○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
日中社会保障協定は、先月の安倍総理の訪中において
早期発効を約束しており、私どもも賛成です。
日中首脳会談において、競争から協調へ、隣国としてお互いに脅威にならない、自由で公正な貿易を発展させていくとの三つの原則を
確認しました。
しかし、沖縄においては、
日本政府の強権によって、日中が互いに脅威にならないという原則に逆行する軍備の強化が進められています。その一つが辺野古新基地建設です。これまで二十二年にわたって県民の反対が続いています。二〇一四年に当選した翁長雄志知事は、県民の先頭に立って辺野古埋立
承認の取消し及び撤回を取り組みました。残念なことに翁長知事は八月八日に御逝去されましたが、玉城デニー知事が県知事選でのこれまでの最多の得票を得て当選をし、翁長知事の遺志を継いで、県民の先頭に立って辺野古新基地建設に反対をしています。
今回、防衛省沖縄防衛局が
一般私人に成り済まして沖縄県の埋立
承認撤回に対して行政不服審査請求をするという前例のない請求を行い、それに対し、審査庁である国土交通相が執行停止の決定をするという極めて異常な
状況が生じています。沖縄県民が県知事選挙で明確に示した民意を無視するものであり、本日報じられているように来月半ばから土砂が投入されるようなことがあれば、
政府と沖縄の亀裂が決定的になることになり、このまま土砂投入をすることがないよう強く抗議し、求めます。
二〇一六年一月二十九日に翁長知事の取消しに対し福岡高裁那覇支部が出した代執行訴訟和解勧告文では、「仮に本件訴訟で国が勝ったとしても、さらに今後、埋立
承認の撤回がされたり、設計変更に伴う変更
承認が必要となったりすることが予想され、延々と法廷闘争が続く
可能性があり、それらでも勝ち続ける保証はない。むしろ、後者については、知事の広範な裁量が認められて敗訴するリスクは高い。」としています。このように、このままでは飛行場は完成することなく、結局は環境だけが破壊をされるということになりかねません。
さて、行政不服審査法は、国民の権利利益の救済を目的としており、第七条二項で、国の機関等、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方になるものについてはこの法律は
適用しないと、
適用除外を定めています。
総務省行政管理局の逐条解説行政不服審査法、
平成二十八年四月によれば、配付資料の一枚目のように、第七条二項の固有の資格とは、「
一般私人が立ちえないような
立場にある状態」を指しますが、これを判断するに当たっての実務上のメルクマール、指標は、一、「相手方」、二、「事務・事業の性格」であり、特に「事務・事業の性格」については、「処分の相手方が、国の機関等に限られていない場合であっても、当該法令上、当該処分の相手方に係る事務・事業について、国の機関等が自らの責務として処理すべきこととされている又は原則的な担い手として予定されているケースについては、当該法令に定める
制度において国の機関等は、その行政主体たる地位が特に着目されているものと考えることができ、
一般私人が行う場合が排除されていないといっても、
一般私人が任意に行う場合とは事務・事業を実施する背景が異なることから、
一般には「固有の資格」に当たるものと考えられる。」と明記しています。
本年六月二十七日から二十九日に実施された公益社団法人
日本港湾協会の第三十回港湾行政実務研修資料、港湾行政の概要、
平成三十年度において、配付資料の二枚目のように、国交省は、公有水面埋立法第四十二条第一項の法意は、都道府県知事の
承認は埋立ての免許と異なり、
承認によって埋立てをなす権利が設定されるものではない。国は、本来公有水面に対する支配権、公有水面を直接排他的に支配し管理する機能を有しており、この支配権に基づいて公有水面の一部について適法に埋立てをなし得るのであり、国以外の者がなす埋立ての場合と異なって、埋立てを行うために特に埋立てをなす権利を取得することを必要としないと解されている。昭和二十八年十二月五日法制局一発第一〇八号法制局第一部長からの港湾
局長宛て。したがって、国が埋立ての
承認を受けた場合においては、埋立てをなす権利がこれによって生ずるのではない、埋立てに関する工事が竣功した場合においては、都道府県の竣功認可を要せず、単に都道府県知事に竣功の通知をすれば足りると明記しています。
そこで、国交省に伺います。
公有水面埋立法上、埋立てという事務・事業については国の機関が自らの責務として処理すべきとされている、又は原則的な担い手として予定されていると考えますが、いかがでしょうか。