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松平委員 個別の承諾を得なくてもいいようになるというのは非常に大きな進歩だと思います。こちらは本当にすばらしいと思います。
ただ、私、この
電子化を進めるに当たっては
一つ大事なポイントがあると思っています。
今おっしゃっていただいた案、私も見たんですけれども、これはよく見ると、その案はこうなっているんですね。個別の承諾を得なくても
電子提供できますよ、しかし、
株主は希望があれば書面でも交付請求できますよと。書面での交付請求、だから、書面で欲しいと思えば書面での請求もできるというふうになっているんです。
つまり、その案では、せっかく
電子化で電子的に
提供できるようにしても、
株主が書面で欲しい、紙で欲しいと言った場合、デジタルで
提供しようとしていた
資料を印刷して郵送して紙で渡さなきゃいけないというふうになっているんですよね。
私、ここで
指摘したいのがここの部分でして、この書面請求権も
会社の
選択でなくせるようにしたらいいんじゃないかなと思うんです、これは定款でですね。せっかく先進的な
会社がデジタルオンリーでやろうとしても、請求があれば紙で
対応しなければならないというのであれば、今までと手間数は変わらない、一緒で、
デジタル化は進まないですよ。
つい先日、これは議員のお仲間にも
出席された方はいらっしゃるかと思うんですが、新経済連盟主催の最先端ビジネスセミナーというものが参議院議員会館で行われまして、私も聞きに行ったんですけれども、ここで、freee
株式会社、ベンチャー
企業で、今はもう非常にでかい
会社となっているfreee
株式会社のCEOの佐々木さんが講演されていて、同じことをおっしゃっていました。
電子化を進める際は例外なき
電子化こそが重要だ、プロセスの九割を
電子化しても、紙とか有人とかオフラインのプロセスを例外で残してしまうと、ユーザー体験は零点になると。
デジタル化を進めようという気概があるのであれば、書面での交付請求、これはできないようにするというふうにしてもいいんじゃないかなというふうに思います。この点について、実は
質問通告をしていないので、私はこれは言いっ放しになっちゃうんですが、そういう意見もあるということで、次に行きたいなというふうに思います。
次に、
株主代表
訴訟について
トピックとさせていただきます。
株主が
会社にかわって
役員の責任を追及するという
制度、
株主代表
訴訟という
制度があります。実はこの
株主代表
訴訟制度、
日本は国際的に見ても
株主代表
訴訟が行われやすいというふうに言われています。
諸外国では、
株主代表
訴訟を提起する権利は
少数株主権というふうにされています。
少数株主権とは何かというと、一定割合、一定の株を持つ
株主、例えば十株とか百株とか千株とか、そういう一定数を持つ
株主のみが行使できる権利を
少数株主権というんです。だから、諸外国では、つまり、一定の
株式を持っていないと
株主代表
訴訟を提起できない。
一方、
日本では、単独
株主権といって、一株しか持っていなくても代表
訴訟を提起できます。この違いは結構大きいです。提起時に、
日本では濫訴を排除する仕組みというのが余り設けられていないですし、裁判で
株主権の濫用だということで却下された例というのは今までも極めて少数です。
また、
株主代表
訴訟の場合の申立て手数料、これは請求額がいかに高額であっても、一律一万三千円と非常に安くなっています。
オーストラリア、
カナダ、フランス、ドイツ、
日本、イギリス、韓国、そういった国々の
株主代表
訴訟制度を
調査した研究というのがなされました。JITEという研究誌にこちらは載っていたんですけれども、それによると、
日本のみが唯一
株主代表
訴訟を提起するインセンティブを
株主に与えている、安かったりそういうことなんですが、そういう
法制度を持つ国として位置づけられてしまっています。
もう実際に、
海外で
上場会社に対して
株主代表
訴訟を提起されることは極めてまれになっています。
アメリカは別ですけれども、
海外でも極めてまれと。
例えばイギリス、英国では、一九九〇年から二〇〇六年の間に公表された裁判例の中で、
株主代表
訴訟に関するものというのは三件しかありません、十六年の間ですね。一方、
日本では、同じぐらいに、年間六十件から八十件で推移されていると。年によっては百件を超えるというところもあります。
このように、
日本は、
株主代表
訴訟を非常に起こしやすくなっているという現状について、
法務省として何か問題意識を持っていらっしゃいますでしょうか。