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河合参考人 私は、
ADRに仲裁機能を持たせる、仲裁というのは
強制力があるという意味でございます、べきだと思いますし、仲裁機能を持たせるのが究極ですが、少なくとも、先ほど申し上げましたように、
ADRの
和解案が出たら、
東京電力はそれを
原則としてのむ、拘束力を受ける、ただし、
裁判を受ける
憲法上の権利を侵害するわけにいかないので、例えば、一カ月以内に
訴訟を起こしなさい、そうすればその拘束力から免れることができます、そうでない限り
和解案は拘束力を持ちます、こういう制度で、これは実は、ほかの自動車
損害賠償についての仲裁組織とかほかの公害とか、そういうものでもそういう制度があります。極めて奇異な制度ではありません。したがって、そういうふうにすべきだというふうに思っております。
参考までに、今
ADRがどういう
状況になっているかというと、
東京電力の側の代理人がすごく元気です。元気で、ばんばん拒否してきます。そして、
ADRを突き上げます。そんな
和解案を受け入れられるわけないだろう、そうしたらこんなに膨れ上がっちゃうぞとかいろいろなことを言って、それこそ、因果関係を立証してみろとか証拠がないとかいろいろなけちをつけて、受けないんです。
最大の
理由は、それをすると
損害賠償額がほかにも同じ理屈になって広がるから、大きくなって収拾がつかなくなるからお断りだということなんですね。そして、結局打切りになってしまう例が続いているので、
ADRの方が逆に萎縮して、
東電さんが受け入れないような
和解案を出したって無駄じゃないですか、だから私たちは
和解案を出しませんという反応になってきているんです。非常に萎縮しているのは、
東電ではなくて
ADRなんです。非常にこれは問題だと思います。
それを打ち破るには、先ほど言った片面的な拘束力、強行性というものを持たせる必要がぜひともある。これは、この
ADR立法のときに日弁連はそこまで考えたんですが、強力な抵抗に遭って、とにかくでは
ADRをつくろうということで、妥協の産物なんです。でも、その妥協の弊害が今もう出てきているんです。
ですから、ぜひ、片面的強行性という
法改正をしていただきたい。これは、
憲法上の
裁判を受ける権利とか財産権、
東電のそういうものを侵害するものではありませんので、ぜひ、
立法当局においてもそれから国会においても、その方向での
検討をしていただかないと、皆さんが考えるように、
裁判を起こすことは簡単ではないんです。私たちだって大変なんだけれども、頼む方ももっと大変です。
福島県の人たちはおとなしいんです。おとなしいから、頼むよ
裁判なんて言えないんですよ。
裁判を起こせない人がほとんどです。皆さんも自分の身になって考えてください。では、百万円
請求する、一千万円
請求する、
弁護士、はい、すぐ頼めると思いますか。すごく大変なんですよ。だから、司法というのは
最後の
最後の救済手段で、もっと簡単で庶民が気軽に
利用できて実効性のある制度をぜひか弱い庶民のために考えていただきたい。お願いします。