○坂本
委員 自由民主党の坂本哲志でございます。
畜産物
価格決定に向けて、二十分間の
質問時間をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。
今回の
質問を考えるに
当たりまして、とりわけ
酪農につきまして、
北海道農業協同組合の中央会、北農中、それから、私の
地元でございます熊本県の
酪農業協同組合、酪連に、何を一番
質問してほしいかということをお尋ねいたしました。それぞれ五点ほど挙がってまいりました。そして、そのワン、ツーはお互いにやはり共通のものでありました。
北海道からも、そして九州からもともにワン、ツーで挙がってきたのは、家族
経営の
酪農家に対するクラスターの採択基準の弾力化をお願いしますということでありました。それから二番目は、
家畜排せつ物処理施設が老朽化をしている、これを何とかしていただきたい、これにはかなりいろいろな制約がありますので。この二点がともに挙がってまいりました。
私は、
北海道の場合には大規模
経営が多くてメガファームも多いわけですので、
北海道酪農から家族
経営に対する
支援が第一に挙がってきたのは意外な感じがいたしましたけれ
ども、考えてみますと、集落を形成するのはやはり家族
経営の
農家であります。また、家族
経営農家は、お互いにそれぞれネットワークを形成して、常に切磋琢磨をしながら
農業の質を高めるとともに、コミュニティーの原点でもございます。さらに、さまざまな形で地域貢献もしておりますので、日本の
酪農あるいは日本の
農業に家族
経営は欠かせないものである。
北海道からも九州からも家族
経営の
支援の
要望があったのも、やはりそういうことなんだということで納得するものがありました。
自民党には
畜産・
酪農対策委員会というのがありまして、ことしも十二月三日から十二月九日まで、三班に分けて、この
畜産物
価格決定に対応するために、関東、
北海道、九州の
酪農、
畜産を視察したところでございます。
この
委員の中には事務局長を務められました宮路拓馬さんもおられまして、
北海道に行かれたそうでありますけれ
ども、ちょうど折からの大雪で、大変なスケジュールの中で、難行苦行しながら根釧地区
あたりに行かれたそうであります。
この関東と
北海道と九州の視察団の報告から挙がってきたものも、やはり、家族
経営に対する
支援がなくては今の日本の
酪農は衰退していくばかりである、そういう報告でございました。
ただ、一概に家族
経営の
酪農と言っても、幾つかのタイプがございます。家族
経営は大方、搾乳牛五十頭前後、肥育二十頭から三十頭、こういったところが一般的でございます。お父さんやお母さん、
経営者夫妻、後継者の子供さん、若しくは雇入れ人がいて、大体四人から五人、六人が
酪農従事者であるというような全体的な家族
経営タイプの像でございますけれ
ども、しかし、その中でも、私は三つのタイプに分かれるというふうに思います。
一つは、後継者がいない
現状維持派、若しくは、
経営者の方が高齢化をされて、将来なかなかやっていけないのではないか、そのためには規模を縮小するしかないではないかというような規模縮小型。
それから二つ目は、
現状維持ではあるが、まだ若い
経営者で、
現状の搾乳牛の頭数を維持しながら効率のよい
経営をやろうとしている
酪農家、このタイプがございます。こういったものに対しては、もちろんお父さん、お母さん、父母が手伝うということになります。
そして三番目のタイプは、後継者として予定されている子供さんがいて、お父さん、お母さんも健在で、さらには一人ぐらいを雇用し、六人ぐらいあるいは七人ぐらいで家族
経営的な手法で
酪農をやり、将来は搾乳牛百頭以上ぐらいまで拡大していこうという意欲あふれる家族
経営の
酪農家。
この三つのタイプに大体分かれるのではないかなというふうに思います。
ただ、この三つとも共通していますのは、家族的な協力で質の高い
酪農をしていこうという意欲。それから、地域と一体になって、集落の一員として集落作業にも協力していこうという共助の精神というのが強いということ。そしてもう一つは、
酪農家同士で、また
酪農家以外の
農業者ともネットワークをつくりながら、異業種間交流も重ねながら、新たな地域社会の展開を考えていこうとされていること。こういった共通の思いを皆さん持っておられて、非常に真剣な方々ばかりであります。これほど意欲と、そして志と、さらには経験がある家族
経営をしっかりと守っていくことは、これは本当に国の責務であるということをつくづく感じます。
もちろん、五百頭から二千頭というメガファームも重要であるということは、これは論をまちません。大規模
農家は、多くの乳量を
確保し、所得も安定をさせますし、そして、雇用している人への休日な
ども確実に
確保されます。さらに、肉用牛の素牛の
供給にも寄与されておられます。雇用増大と、観光牧場など地域
振興にも貢献しようという強い意思を持って努力をされている方々ばかりでございますので、こういった方々におかれましては、今後の日本
酪農界のトップランナーとして、今後もしっかりと
酪農界を引っ張っていただいてほしいというふうに思います。
しかし、家族
経営酪農は、高齢で後継者はいない
現状維持派にいたしましても、高度で貴重な
酪農の技術を持っていらっしゃいます。もしそれを続けることで、みずからの畜舎やあるいは技術などを新たな新規就農者へのバトンタッチをすることができるならば、これは大きなまた一つの財産になります。
また、若い
経営者が
現状維持ながらも効率のよい
酪農を目指す当面の
現状維持
酪農家につきましては、それこそが将来の地域のリーダーでもあり、将来の家族型
酪農を担っていく人材でもあります。
さらに、家族
経営ながら、後継者がいて、搾乳牛百頭以上まで拡大を目指す家族型
酪農家は、とりわけ都府県におきましては地域の担い手であります。
こういった方々に
支援の手を更に伸べていく新たなスキームをつくっていくべきではないのかというふうにも私は思うところであります。
現在の
畜産クラスター計画に係る総合評価では、女性の参画、あるいは輸出の促進、そして雇用の創出、新たな産業、いわゆる六次産業化の創出などにポイントが与えられております。
しかし、一心不乱に
酪農のために家族総出で
経営をしている者としては、なかなかそういうところまでは手が届きません。とりあえず、まず畜舎をどうしようか、あるいは堆肥舎をどうしようかということでございます。家族
経営の
経営形態を、先ほど私が言いましたように三類型に分類化し、さらに、家族
経営のよさを総合評価ポイントに加えるような、新たな家族
経営評価基準をつくるべきではないのかというふうにも考えます。
後継者の存在、
酪農に従事する家族構成、さらには地域への常日ごろの活動に対する客観的評価、そして
酪農の経験と技術を将来新規就農者に引き渡してもよいという覚悟、こういうことなどを考慮しながら、地域
酪農、家族
酪農の実態をきめ細かく考慮したポイント等をやはりつくっていく、考えていくべきではないかというふうに思いますけれ
ども、こういった新たなスキームに対してどのように考えておられるのか、農林省にお
伺いをいたしたいと思います。