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2018-12-07 第197回国会 衆議院 原子力問題調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年十二月七日(金曜日)     午後一時二十分開議  出席委員    委員長 高木  毅君    理事 伊藤 忠彦君 理事 斎藤 洋明君    理事 津島  淳君 理事 細田 健一君    理事 吉野 正芳君 理事 阿部 知子君    理事 浅野  哲君 理事 富田 茂之君       井林 辰憲君    泉田 裕彦君       岩田 和親君    木村 次郎君       木村 哲也君    北村 誠吾君       小林 鷹之君    佐々木 紀君       齋藤  健君    高木  啓君       西田 昭二君    野中  厚君       福山  守君    古田 圭一君       星野 剛士君    堀井  学君       松本 剛明君    三原 朝彦君       宮澤 博行君    宗清 皇一君       簗  和生君    山際大志郎君       山田 美樹君    渡辺 孝一君       逢坂 誠二君    菅  直人君       堀越 啓仁君    宮川  伸君       伊藤 俊輔君    斉木 武志君       牧  義夫君    佐藤 茂樹君       中野 洋昌君    田嶋  要君       藤野 保史君    足立 康史君     …………………………………    参考人    (アドバイザリー・ボード会長)    (政策研究大学院大学名誉教授)          黒川  清君    参考人    (アドバイザリー・ボード会員)    (政策研究大学院大学客員研究員)         石橋  哲君    参考人    (アドバイザリー・ボード会員)    (長崎大学核兵器廃絶研究センター長教授)    鈴木達治郎君    参考人    (アドバイザリー・ボード会員)    (拓殖大学政経学部准教授)            益田 直子君    衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      関  武志君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   泉田 裕彦君     木村 哲也君   佐々木 紀君     木村 次郎君   宮澤 博行君     高木  啓君   生方 幸夫君     堀越 啓仁君 同日  辞任         補欠選任   木村 次郎君     佐々木 紀君   木村 哲也君     小林 鷹之君   高木  啓君     山田 美樹君   堀越 啓仁君     生方 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   小林 鷹之君     泉田 裕彦君   山田 美樹君     宮澤 博行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  原子力問題に関する件(原子力規制行政在り方)      ————◇—————
  2. 高木毅

    高木委員長 これより会議を開きます。  原子力問題に関する件、特に原子力規制行政在り方について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人として、アドバイザリー・ボード会長及び会員の、政策研究大学院大学名誉教授黒川清君、政策研究大学院大学客員研究員石橋哲君、長崎大学核兵器廃絶研究センター長教授鈴木達治郎君及び拓殖大学政経学部准教授益田直子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言の際は着席のままで結構でございます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ていただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず黒川参考人にお願いいたします。
  3. 黒川清

    黒川参考人 ありがとうございます。  このような会が開かれたのは、多分、一年しばらくしてからだと思いますが、御無沙汰しておりました。  実は、覚えておられると思うんですけれども、今、十二月の七日ですかね、あしたになると十二月八日で、憲政史上初と言われる国会事故調査委員会というのが法律のもとで行われまして、辞令をいただきました。それがちょうど八年前のあしたです。そのとき私、委員長として最後の締めの挨拶をしろということなのでしましたけれども、ちょうどそのときは、議事録にも残っていますが、憲政史上初だということと、たまたまきょうは真珠湾の七十年目ですねという話をしたわけです。  あれからもう七年たちました。長年ではありませんけれども、七年ですけれども、実を言うと、今思い出すと、その十二月の十日に、八年前のことですが、これは七年前でしたけれども、八年前は何が起こったかというと、アラブの春ですね。チュニジアであれが初めて起こったのがちょうど八年前です。そのちょうど一週間前に実はチュニスで、日本アラブ経済会議みたいな話をやりまして、奥田トヨタ会長を団長として百五十社ぐらい行きまして、私もちょっと参加しろと言われてしゃべりに行きましたが、非常に落ちついた町だったんですけれども、一週間後にアラブの春が起こるなんて想定もしませんでした。  つまり、その三カ月後に、今アラブの春が起こって八年たったところですが、今、北アフリカはほとんど国家がなくなっちゃいましたよね。リビアがなくなり、チュニジアはまあ落ちついていますが、エジプトもあんなことがあり、それからそれがあっという間に中東に広がって、今、中東人たちイギリスとかいろいろなところに、ヨーロッパに行くようになったのも、あれがきっかけだったわけですよ。つまり、北アフリカから中東ヨーロッパに対する移民、避難している人たちがどんどん来ているのは、たった八年前のあの事故から起こったことなんですね。  それが、八年たってあれだけ世界じゅうが変わってしまったのに、その三カ月後に起こったあの津波と福島の大事件は、それじゃ日本はどのぐらい変わったのかということですね。そのぐらいの変わり方の少なさは、非常に安定しているといえば安定しているのかもしれないけれども、ちょっと変じゃないかなと思います。  もう一つは、あれが憲政史上初だということはあのころから言っていましたけれども、じゃ、今までの行政についてそれを抑えるようなメカニズム日本にあるのかという話をしましたけれども、三権分立が機能していないんじゃないかという話を私は繰り返し言っていました。  普通は、イギリスでもアメリカでもそうですけれども、行政については常に国会が抑えるなり指揮をするというメカニズムが入っているわけですけれども、それについていろいろな、独立した調査委員会で常にそれを分析して、行政についてこういうことをするということを国権最高機関が常にやっているわけですよね。  だから、そういう意味では、あれが憲政史上初ということは、非常に私としては、それをやってもらうことに随分、先生方には会いに行きましたけれども、やはり日本はそれはちょっと違うんじゃないかなと私は思いました。  あれからやはりそういうことが全然出てこないというのは非常に問題があるんじゃないかと思いまして、自民党でもお話ししましたけれども、例えば、選挙で一票の格差、あれを、国勢調査の後にやはりこのような独立委員会をつくってどういうふうにするかという話をするようなことをやったらどうですかと言ったら、そういう話もしていますけれども、そういう意味では、そのまま全然変わっていないんじゃないかなという基本的な考えがあります。  実は、それが憲政史上初ということで、全部公開もしましたし、報告書もありますし、英語でも出しましたしということですので、あれから世界じゅうで、いろいろなところで私は呼ばれて、二〇一三年は三回、世界一周、いろいろなところで呼ばれて講演のたびに行きましたけれども、それからも、実を言うと、いろいろなところで私のところに問合せがあったり、原子力を持っている国の大臣が時々私のところに会いに来たりするんですけれども、そういう意味では、あれから日本は本当に変わっているのかというのが、一つ、非常に大きなことを聞かれます。  二番目は、もう一つは、再生エネルギーへ向かった大きな動きがどんどん動いていますけれども、その動ききっかけにして日本では動いているかというと、それほど動いていないような気がします。かなりラジカルに世界じゅうが動いていますけれども。  そういう意味では、最近になったら、小型の原子力をつくろうとかいろいろなことが、意見は出ていますけれども、やはりそういうことは世界じゅうには隠せないわけで、日本は一体あれから何を学んで何をしようとしているのかねという話が極めて大きな疑問として出ていますので、これはむしろ行政よりはやはりぜひ国会先生方が、いろいろな、選挙その他の、今まで書いたように、一つ規制とりこという、後ろにいろいろなことがあったわけですけれども、それを乗り越えて、ぜひもっと大きなビジョンで、ぜひ何かそういうことを議論して前に進めるということがすごく大事なんじゃないだろうかと思います。  これが一つは、やはりこういう事故から日本人たちはあるいは政治家は何を学んで何をしようとしているのかという話がはっきり見えないんですね。そういうことをぜひ期待したいなと思っております。  もちろん、使ったプルトニウムその他の問題もあるし、そういう話は一体どうなるんだろうかという話に続いて、地震大国日本は何を学ぶのかということを世界が見ているということは、私は非常に強く感じておりまして、先日も、一回はまた、原子力があるところの大臣が昼食にしましょうということで来られたんですけれども、そのときも実は、あの国会事故調報告はすばらしい、七つのリコメンデーションをしていますよね、あれから何か起こりましたかと聞かれました。  というのが、そういうことをやっていることが余り見れないんですね、向こうには。実は、あれについては、委員会はやったんですけれども、一についてだけやったことが何回かありまして、アドバイザリー・ボードなんてつくったのは前回が初めてだったんですけれども、それでやっているということで、何か起こっているということは、七つ提言のうちの一つについて少しずつ進んでいる、それが一年ちょっとたってまた行われたということで、先生方にぜひお願いしたいのは、いろいろあると思いますけれども、やはり大きな日本の将来を見据えて、これから学んだこととして日本が、国会がどういう方向を向いて何を打ち出すかということは世界じゅうが見ているので、ぜひその辺を考えていただければと思ってお願いしたいと思います。  本当にありがとうございました。(拍手
  4. 高木毅

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、石橋参考人にお願いいたします。
  5. 石橋哲

    石橋参考人 石橋哲と申します。  二〇一一年十二月の八日に発足しました国会事故調に参画をしまして、事務局で全体工程のプロジェクトマネジメントを担当させていただいておりました。  二〇一二年七月五日の委員会解散後は、福島県、首都圏、近畿の高校生、大学生、社会人方々と一緒に「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」というサークル活動を御一緒させていただいております。国会事故調報告出発点として、社会のシステムについて世代を超えて学び合って、教訓を共有するという場をつくることを目指しております。  次のスライド、よろしいでしょうか。ありがとうございます。  先生方承知のとおりですけれども、国会事故調では、国民国家に対する信頼の再建、再構築に向けて、七つ提言を行いました。いずれも大変大がかりなプロジェクトになりますので、民間における巨大プロジェクトの遂行の例に倣い、実施計画の策定と進捗状況公表国会に期待するとさせていただいております。事務局の方からお配りいただいております国会事故調報告書ダイジェスト版がございますけれども、それの九ページ目の右側の「提言の実現に向けて」というところの冒頭にこちらの記載がございます。  昨年六月十二日にこの原子力問題調査特別委員会において私が発言の機会を頂戴した際に、この実施計画についての御議論をお願いいたしました。その後、ほぼ丸一年半ぐらい経過をしております。事故から七年超、国会事故調活動報告は実質半年ほどでございましたけれども、そこから丸六年ほど経過をしております。  この実施計画についての御議論はどのようにこれまで進捗がございましたでしょうか。既に実施計画公表はされておりますでしょうか。まだであれば、それはいつでしょうか。若しくは、議論もないままに、国会事故調提言は放置されることというふうに決まったのでしょうか。  特別委員会先生方、本委員会御担当の衆議院事務局皆様、私、石橋哲は、国民としてぜひ御教示を賜りたいというふうに強くお願い申し上げたいと思います。  次のスライドをお願いします。  ことし、二〇一八年二月二十六日、国際赤十字赤新月社連盟による東日本大震災復興支援国赤十字赤新月社会議二〇一八が東京で開催されました。世界各地で日々さまざまな災害の対応に直面、対応されておられる約二十カ国の各国赤十字赤新月社皆様が参集されました。  日本赤十字社様からお声がけを賜り、私が参加しておりますサークル活動「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編学生チームのメンバーであります福島県立福島高校の生徒六名が、高校生の目から見た福島第一原発事故についての考察を通して、事故に至る根本原因が、我々の身近な至るところに、私たちの心の中に潜んでいることを発見したという報告をさせていただきました。  各国赤十字赤新月社皆様からは、私たちも日々同じ現象に直面している、私たちは同志だという趣旨のたくさんの共感のお言葉を頂戴いたしました。  次のスライドをお願いします。  さて、その根本原因とは何でしょうか。  国会事故調報告の最も重要な点はどこかということをもし問われた場合には、私は、今ごらんいただいていますところの記載であるというふうに考えます。これも、先ほどごらんいただきましたダイジェスト版に出ておるところでございます。  ちょっと読み上げます。  「問題解決に向けて」「本事故根源的原因は「人災」であるが、この「人災」を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決策とはならず、失った国民信頼回復は実現できない。これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先記録を残さない不透明な組織制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組みであった。また関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、世界潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織利益を最優先とする組織依存マインドセット(思い込み、常識)であった。」「当委員会は、事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である「組織的、制度的問題」がこのような「人災」を引き起こしたと考える。この根本原因解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である。」  次のページをお願いいたします。  福島事故に伴うさまざまな現象は、その根源的原因である制度的問題、ここでは規制とりこという言葉になっておりましたけれども、さらに、その背景にある思考停止時系列で考えてみたいと思います。  二〇一一年三月十一日、東日本大震災が発生いたしました。事故の直接的な原因により、国民の生活に重大な影響を及ぼした福島原発事故が発生しました。  被災地にお住まいであった方々や、さまざまにかかわりのある方々、あるいは地域に及ぼす事態や環境への影響はいずれも、深く、広く、そして大きく、今も続いております。これらは非常に大きな課題です。さまざまなメディアで活発に交わされる言葉群政治国会での御議論は、三月十一日以降の現象に集中しています。  同時に、このような事態をもたらした制度的な欠陥、すなわち、「自らの行動を正当化し、責任回避を最優先記録を残さない不透明な組織制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組み」、さらには、「世界潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織利益を最優先とする組織依存マインドセット(思い込み、常識)」は二〇一一年三月十一より前に存在しました。ただ、ここについての御議論が見られることは、かつても今もほぼないように私には見えております。国会事故調は、ここにこそ本当の根源的な原因があるというふうに記載しております。  次のページをお願いいたします。  さきに述べました高校生たちも発見したこの根源的原因は、私たちの中にあります。私たちはその中に生きています。実際に、ことしも、この根源的原因の帰結とも言えるさまざまな不祥事などの事態が表面化してきております。取り除くのは、長く険しい道のりです。しかし、再発防止に向けた責務を負っているのは福島原発事故を起こした私たち世代です。  国会事故調は、根源的原因の除去には透明性確保公開性担保が不可欠であると考えました。七つ提言は、その制度的な具現化提案です。  ことし四月、さき原子力委員会委員長田中俊一先生黒川清先生の対談が福島飯舘村で行われました。その様子は、東洋経済オンラインの「飯舘村から考える日本政治欠陥と処方箋」という記事に掲載されています。そこで田中先生は次のように述べておられます。  「議論オープンにしていると、理不尽な力が入り込むことが非常に難しくなる。そういう意味では、フルオープンでやることの力を、規制庁の職員も含め、みんなが体験的に学びました。 わたし自身もこんなにすごいものだとは思わなかったけれども、強力ですよ。世の中、みんなが見ているところでは、良識がきちっと働きます。そういうふうに日本がなっていくといいなと思っています。」  皆様先生方はもう既に御承知ですけれども、今ごらんいただいていますのが七つ提言の構造です。  事故再発防止には、透明性確保公開性担保が不可欠であり、かつ有効です。国会事故調報告七つ提言は、その制度的な具現化の御提案です。  根源的原因をなくすためには、透明性確保公開性担保を阻むさまざまな制度、法令、議院規則を含むさまざまな規則先例集などを含む慣例など、抜本的に見直す必要があると考えます。  具現化に向けた不断の改革の努力を尽くす使命は、国民から未来を託された国会議員議院事務局を含む国権最高機関たる国会のみならず、私たち国民一人一人が負っていると国会事故調記載しております。  次のページをお願いいたします。  委員会先生方衆議院事務局皆様、ぜひ実行計画の御議論をお願いいたします。  衆議院原子力問題調査特別委員会が、国民からの国家に対する、また世界からの日本に対する信頼を再建するプロジェクトマネジメントの場として機能して、科学技術のあり方について社会的な合意形成を行う公共空間として、世界への範となることをぜひお願いしたいと思います。  以上です。(拍手
  6. 高木毅

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、鈴木参考人にお願いいたします。
  7. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 ありがとうございます。  早速、お手元にあるパワーポイント参考にしていただきたいと思います。  私のきょうのお話は、使用済み燃料対策総合評価が必要であるということについてお話ししたいと思います。  では、スライドをお願いいたします。  きょうの私のポイントは五つであります。  御存じのとおり、日本は、使用済み燃料をごみではなく資源として考えてまいりまして、全ての使用済み燃料を再処理して、回収したプルトニウムとウランをリサイクルするという政策です。これは、高速増殖炉を念頭にしたもので、高速増殖炉が完成して初めて燃料サイクルは確立する、そういう前提で原子力政策を進めてまいりました。  二番目のポイントですが、現実を見ますと、政策は変わっていませんが、実際に再処理した量はわずかに三分の一であります。残りは全部貯蔵されております。さらに、回収されたプルトニウムは約五十トンですが、実際に使われたのは、そのわずか六%の三トンしか使っておりません。その結果、四十七トンものプルトニウムがたまっています。現在のところ、使用済み燃料貯蔵がほぼいっぱいになりつつあるということで、この対策が急務であります。再処理必要性はむしろ薄れていると私は思います。  三番目のポイントとして、再処理も、そもそも資源効率の向上ということが目的だったんですが、最近は廃棄物減容及び有毒度の減少ということが言われていますが、これは科学的根拠は薄いということをきょうお話ししたいと思います。  四番目。プール貯蔵が現在行われておりますが、これは規制委員会田中俊一委員長もおっしゃっていましたが、できるだけ早く乾式貯蔵に移す、これが経済面でも安全面でも有利であるというのが四番目のポイントです。  最後に、プルトニウムの在庫量問題。これは、原子力政策の枠を超えまして、安全保障問題として現在世界で考えられており、このためにもこれを減らしていくことが大事ですが、私がきょう国会にお願いしたいことは、こういうことを全部含めて、総合的で客観的な評価をぜひ国会でやっていただきたいというのが私の願いであります。  では、次、お願いいたします。  これは、一年三カ月前に私がここで発表したときのスライドなんですが、私が申し上げたいことは、脱原発かそうでないかにかかわらず、重要な課題として五つ挙げさせていただきまして、きょうは、この第一番目、国会事故調では未調査だった事項として、使用済み燃料廃棄物問題、特に使用済み燃料の現在の処理扱い方についてきょうお話ししたいと思います。  では、次、お願いいたします。  これは核燃料サイクルの絵なんですけれども、これはよくごらんになっていると思いますが、左側にあるのが、いわゆる、現在使われています、軽水炉を再処理してぐるぐる回すというものですね。右側にあるのが高速増殖炉サイクルであります。  ここで大事なことは、高速増殖炉があって初めて核燃料サイクルが確立するということでありますが、右手の高速増殖炉の方は、当初の目標が一九七〇年代後半だったのが、つい最近の経産省の報告では、二十一世紀後半まで延びてしまう。よく四十年以上も先延ばしされてしまって、どうなるかわからないという現状であります。  そうなってきますと、左側になるんですが、左側は、現在、プルサーマルの目標が十三基から十八基という目標になっていますが、これも、現実、実現していません。その結果、使用済み燃料を再処理する、左側にありますが、日本法律では、全量再処理のもと、使用済み燃料の直接処分が認められておりませんので再処理するしかないんですが、その結果、プルトニウムが余っているということであります。  次、お願いいたします。  それをちょっと定量的に見たものですが、過去四十年間ぐらいの日本原子力使用済み燃料発生量が約二万六千トンなんですが、再処理したものは約八千六百トン。このうち、日本で、国内でやったのは千百トンしかございません。ほとんどがヨーロッパということですね、フランスとイギリスです。  五十トン回収したプルトニウム、使ったのがわずか三トンしかなく、残りは使うめどが立っていない。それから、使用済み燃料、特に、プルサーマルをした後の、使用済みのMOX燃料、これの行き先もはっきりしていない。  現在、中間貯蔵されていますが、これを直接処分できないということで、例えば、むつは、むつに中間貯蔵施設をつくろうとしていますが、中間貯蔵の後どこへ持っていきますかと聞かれますと、再処理工場しかないと。としますと、再処理工場が動いていないと中間貯蔵もできないという、結局、中間貯蔵が進まない状況になっております。  こういう状況で、しかも最終処分もまだ進んでいませんから、核燃料サイクル現実は破綻していると言わざるを得ません。  次、お願いいたします。  これは経産省が資料としてよく配っているものでありまして、核燃料サイクルの意義として、資源の有効利用に加えて、高レベル放射性廃棄物の体積、それから放射性廃棄物の有害度ということを挙げまして、数値で、軽水炉では四分の一、高速炉では七分の一まで、それから、有害度の減少に約十万年かかるのが、八千年、三百年になるということを言っています。これの論理の、この仕組みをちょっとお話ししたいと思います。コストも一円と一・五円という数字になっていますが、これについてお話ししたいと思います。  次、お願いいたします。  実は、私が原子力委員会におりましたときに小委員会をつくりまして、核燃料サイクル総合評価をやっております。その結果、原子力の推進派の方も、サイクルの推進派の方も反対派の方も加えて議論をさせていただいて、結論からいいますと、今経産省が言ったポイントの中で、資源効率は確かにリサイクルの方がいいですが、経済性や核拡散、セキュリティーリスク面では直接処分の方がすぐれている、先ほどの有害度と廃棄物の面ですが、安全性と廃棄物両面では差はないという結論を出しております。  次、お願いいたします。  これがその定量的な結果ですが、まずコストの面で、二・〇円と一・五円、キロワットアワー当たりのこの差を見ますと大した差がないように見えますが、実際に今後使っていく総費用を計算したものが右手のものであります。  よく、過去これだけの投資をしたから、施設を使わないともったいないという議論が行われますが、そうではなくて、使えば使うほど費用が損をする、核燃サイクルの場合ですね。その今後の費用を計算したものが右手でありまして、十八兆円というのは、二〇三〇年までにかかる費用が十八兆円という数値であります。今直接処分にシフトしますと十四兆円で済む。これは二〇三〇年までの話ですから、四兆円の差が出る。  これがそのときの数値ですが、もっと更に再処理のコストは上がっています。実は、廃炉、そして廃止措置費用ですね、これが東海再処理工場でも一兆円に上がると言っていますので、恐らく六ケ所の再処理工場は二兆円では済まないと思います。したがって、この差はどんどん広がっていく可能性があります。  次、お願いいたします。  廃棄物の量なんですが、左側が、経産省が言っている、ガラス固化体と使用済み燃料を比べたもので、確かに、一番左端のワンススルーと、右端のFBRそれから真ん中にあるLWR—FRサイクルというのを比べますと四分の一ぐらいになるんですが、実は、使用済みMOX燃料、これは高速炉が成立しないと捨てなきゃいけません、それを加えたものが左から二番目で、これをMOX限定リサイクルとそのとき呼ばせていただいたんですが、そうしますと、四分の一には減らないで、約半分になります。  右手は何かといいますと、再処理から出てくる高レベル廃棄物以外の廃棄物日本では低レベル廃棄物と呼んでいますが、再処理施設からも廃棄物が出てまいりますので、それを加えますと、確かに高速炉までいけば半分ぐらいになりますが、低レベル廃棄物を加えますと、むしろ軽水炉サイクルではふえてしまうという結果になっております。  したがって、我々のそのときそのときの結論は、差異はないという結論になっております。  次をお願いいたします。  これは、よく、毒性の低減を示すグラフでありまして、確かに、有毒度、有害度を減らしていきますと、リサイクルした方が早く毒性は減っていきます。  注意していただきたいのは、一番下にある文章であります。この文章を私は当時つけ加えさせていただきました。注一と書いているのが、普通の人はほとんど読まないものですが、高レベル廃棄物と人間との間の障壁は考慮されておらず、高レベル廃棄物の実際の危険性ではなく、潜在的な有害度を示している。これはどういうことかということを次の絵で説明したいと思います。  これは、左手に虎が二匹、右に虎が一匹いますが、二匹と一匹の虎はどちらが危険かと言われますと、当然二匹の虎の方が危険度が高い。これが潜在的危険度と呼ばれるものですね。ところが、枠の、おりの中に入っている虎二匹と放し飼いの虎一匹を比較したらどっちが危険か。これは放し飼いの虎一匹の方が危険なわけですね。これを我々はリスクと呼んでいます。  再処理をしますと、このわなの中に、使用済み燃料の中に閉じ込めているプルトニウムを取り出してリサイクルするわけですから、確かに使用済み燃料の中にある毒性は減りますが、出てきた、野放しになっているプルトニウムのリスクがふえるということまで考えなければいけません。これを経産省の表現では出てきません。  次をお願いいたします。  これはちょっと見にくいですが、実は、総合的な被曝線量の評価核燃料サイクルで比較したものでありまして、確かに、ウランが節約されますので、リサイクルのウランの被曝量は減りますが、再処理の被曝量が圧倒的に高くなりますので、両方を加えますと、先ほど申しましたように、プルトニウムを地上で回すときのリスクというのを考えますと、燃料サイクルでは、むしろワンススルーよりもリサイクルの方が高くなるということになります。  以上の結果、我々は、サイクルした方がリスクは減るということではないというふうに考えております。  次をお願いいたします。  では、使用済み燃料をどうするかということですが、現在のプール貯蔵は、御存じのとおり、福島事故でありましたように、電気が、電源が必要であります。電源がなくても安全に貯蔵できるのが、真ん中の、乾式貯蔵と呼ぶ、これは福島の第一原発乾式貯蔵でありまして、津波で建屋が壊れております、でも、しっかりと電気がなくても十分に安全が担保されておりまして、これをぜひ進めていくのが大事である。右手にありますのはドイツのものですが、世界ではこの乾式貯蔵が主流であります。したがって、使用済み燃料をまずこの乾式貯蔵貯蔵していくことが一番安全であり、経済的であると私は考えております。  次をお願いいたします。  最後に、プルトニウムの国際安全保障上の問題についてお話ししたいと思います。  世界でどれぐらい核兵器に使われる核物質があるかというのを、我々長崎大学では毎年ポスターとして発表しております。高濃縮ウランが千三百トンで、広島型原爆に直しますと約二万一千発分、プルトニウムは五百十八トンで、長崎型原爆にしますと八万六千発分で、合計十万発以上の核物質が世界に存在します。  問題なのは、高濃縮ウランは減ってはいるんですが、プルトニウムは依然増加しております。そのほとんどは、高濃縮ウランはほとんどが軍事用ですが、プルトニウムの場合は、民生用、発電所から出てくるものが増加しているということが、これは再処理によって増加しているというのが問題であります。  次をお願いいたします。  このプルトニウムの増加量に対して、安全保障の観点も含めて、ようやく政府は、ことしのエネルギー基本計画並びに原子力委員会の方で、プルトニウムの保有量の削減に取り組むということを発表いたしました。これは大変進歩だと私は思いますが、全量再処理政策を変更しないと、またプルトニウムが発生されますので、これではなかなか減っていかないのではないか。本来、プルトニウムを減らすためには再処理政策を変える必要があると私は思います。  最後に、これは、再処理等拠出金法の法律が通るときに、国会の附帯決議であります。この中で二つ重要なポイントをきょうお話ししたいと思います。  三番、もしこのプルトニウムバランスがうまくとられない場合は、経済産業大臣が認可する方針になっていますので、これを認可してはならないということを国会がちゃんと要求しております。  五番目、ここがきょうお話ししたいことです。再処理事業が及ぼす影響というのは、国際安全保障も含め、あるいは地元の方々、地域の経済にも関係します、全てのそういう社会経済的な側面も含めて、「総合的・大局的な観点から評価する仕組みを構築すること。」ということを国会で附帯決議されております。ぜひこれを実現していただきたいというのが私からのお願いです。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手
  8. 高木毅

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、益田参考人にお願いいたします。
  9. 益田直子

    益田参考人 益田直子と申します。  本日は、発言の機会をいただきましたことを関係者皆様に感謝申し上げます。  私は、評価研究と行政学を専門としています。大学院時代に客員研究員として行ったアメリカの大学院で、評価影響の研究をしておりました。その際、ガバメント・アカウンタビリティー・オフィス、通称GAOと呼ばれる、独立した立場から政府活動の評価を行うと同時に、立法府の補佐を行うという機関の役割に関心を持ちました。  具体的には、GAOは、評価結果を立法府、行政府、国民に知らせることにより、何か問題が起こっている、又は起こりつつあるという警告を発する役割を歴史的な経緯の中で担うようになっていったことに強い関心を持ちまして、その要因を博士論文としてまとめ、出版をしました。  例えば、二〇〇二年ごろにエネルギー政策の策定過程におけるエネルギー関連会社の影響に関する調査を行ったり、又は二〇〇七年にイラク戦争後のイラク政府による復興実績の評価を行ったり、又は二〇一四年に福島第一原子力発電所の事故を受けての調査対象十六カ国における原子力規制機関の対応状況の調査を行ったりしています。それぞれ調査結果は公表され、該当する行政機関には勧告を行っています。  こうしたアメリカのGAOによる評価活動によって行政を監視する機能がどのようにアメリカの統治機構において誕生したのかという著書がきっかけとなり、アドバイザリー・ボードのメンバーに加えていただいたと考えております。そのため、本日は、他国の経験を踏まえて、立法府が、又は議会が行政監視を行うに当たりヒントとなるお話を幾つかお示しできればと考えております。  本日は、関連する過去二つの研究成果を踏まえまして、次の二点についてお話をいたします。  一点目が、アメリカにおいて、立法府は、行政監視の能力を強化するために、なぜ独立かつ立法補佐の機関を必要としたのかです。GAOが議会に近づきながらも、議会の日常的権力作用からは一定の距離をとって独立性を確保する位置にいるからこそ、議会の行政監視を補佐できると考えられているのはなぜかです。  二点目が、国際比較の視点から、日本評価政策評価文化の成熟度の程度はどのように評価されており、その理由は何かについてです。日本は、評価政策については高く評価されていますが、評価文化の成熟度については課題があるという調査結果が出ています。評価文化の成熟度をはかる測定指標は九つありますが、そのうち、他国と比べて最も評価が低いのが、議会における評価の実施と評価の利用に向けた制度化の程度です。つまり、評価活動における立法府の役割に大いに課題があるという結果が出ています。その要因として考えられる事項につきましては、後ほどお話をします。  まず初めに、一点目の、アメリカにおいて、立法府は、行政監視の能力を強化するために、なぜ独立かつ立法補佐の機関を必要としたのかについてお話をします。  詳細はこちらの写真にあります「アメリカ行政活動検査院 統治機構における評価機能の誕生」をごらんいただきたいと思いますが、本日は、立法府との関係にのみ焦点を当ててお話をします。  こちらの図は、GAOが立法府との関係と機能をともに変化させてきたということを示しています。  まず、GAOの機能における変化についてお話をします。  一九二一年に、財務省内にあった監査機能を新たにつくったGAOに移行させたのが設立のきっかけでした。政府の全ての支出証票の監査を行う機関でした。一九五〇年には、GAOは、政府支出における無駄な経費の節約など、経営管理上の効率性に関する監査を始めます。そして、一九六七年の法改正により立法府はGAOが行政府の貧困対策プログラムの効果を評価することを義務づけ、これにGAOが成功したことにより、一九七〇年代以降は政策の効果を検証する評価活動がふえていくことになります。  他方、立法府との関係にも変化が起こりました。図の「位置」と書かれている箇所がそれを示しています。  一九二一年の設立当初は、設立法に立法府の機関であると明記されておらず、行政機能の幾つかを財務省から引き継いだ組織であったので、行政府と立法府の両方の境界線をまたがる組織という説明もありました。そのため、GAOは、行政府の枠内に戻されそうになる動きに何度も直面します。しかし、一九四五年の行政府再編法に、GAOは立法府の一部と明確に表現され、さらに、一九八六年の最高裁判所判決で明確に立法府の機関であると示されるようになるに至って、論争は解決しました。  このように、GAOは、行政府から立法府に近づくとともに、財務的検査から政策の効果の検査、つまり評価を行う組織に変わっていきました。  なお、二〇一八年度のみの勧告数は千六百五十件です。二〇一四年度勧告のうち四年間で執行された率は七七%です。未執行の勧告のデータベースは公開されています。  このように立法府とGAOの関係が近づくためには、相互の取組が必要でした。立法府、議会からは、上院下院の両院がGAOに対する議会側の要望を報告書により明確に示しました。例えば、議会との関係の密接化、GAO報告書の提出のタイミングの改善、監査の観点を政策効果にまで拡大することなどの勧告が出されました。また、それを実施する上で必要な法律の制定を行いました。  一方、GAOの側は、議会側のこれらの要望に応えるように、専門職職員の専門領域の配分を変え、新たな監査活動である評価の実施を牽引する評価・方法論課を新設するなど、組織改革を行いました。それによって、質が高く議会の意思決定のタイミングに合わせた評価書を作成し、その件数を大幅にふやしていくことで議会からの信頼を得るようになっていきました。つまり、議会とGAOの間に行政監視能力を向上させるための相互作用がありました。  その背景には、数々の行政府への不信感を高めるような出来事がありました。莫大な連邦政府資金の支出を伴う福祉政策、ベトナム戦争による軍事費の増大、それらに伴う赤字の持続的拡大がありました。例えば、福祉プログラムは法の目的を達成できているのかについて議会が疑問を持ち始め、その評価をGAOに義務づけました。その後、ウォーターゲート事件と呼ばれた大統領の不祥事が起こると、今度は、国民が、行政権が濫用されているという認識を高め、行政府への不信感を強めるのみならず、それを監視すべき議会の行政監視機能が効果的に働いていないと考え、議会への不満も高めていくことになります。  こうした国民による政府の正当性への強烈な疑念が、議会改革を推し進めていくことになりました。  具体的には、議会が行政府に情報を依存しているために行政府が優越していると考え、議会の情報力を向上するために、信頼性の高い独立した情報源の獲得が必要であると考えるようになっていきます。そして、一九七〇年の立法府改革法の制定により、GAOに評価の実施を義務づけました。  ここで重要な点は、政府活動への正当性の確保が必要になり、そのために、議会のみならず国民にとっても信頼性の高い情報の活用が不可欠となり、党派性やバイアスから自由な独立した組織との関係を議会が強化したということであると考えます。  次に、二点目の話に移ります。つまり、国際比較の視点から、日本評価政策評価文化の成熟度の程度はどういった位置づけにあり、それはなぜかについて、簡潔にお話をしたいと思います。  表は、二〇一五年のジェイコブらによる評価文化の成熟度に関する調査において対象となったOECD諸国十九カ国の間での日本の順位を示しています。下から六番目に位置しています。また、評価政策について、公式化されているとともに十分に確立した国に日本も該当しているわけですが、そちらに分類された国々の中で最下位に位置しています。  評価を下げている最大の原因は、この数値の見方ですけれども、〇から二・〇、〇から二というふうになっておりまして、二・〇というふうに表に書かれているものが最大値になります、そのようにして表を見ていきますと、最大の原因は、数値からも明らかなとおり、つまり、〇・三という数値のところがありますが、そちらが議会における評価の実施と結果の利用に向けた制度化の程度という項目になります。こちらの項目が日本評価を大きく下げているという判断になります。参考としている論文において、なぜ日本評価がこのように低いのかの理由について明確な説明はありません。  しかし、他国の議会を見てみますと、まずその中には、一つ目ですけれども、議会みずからが評価を行う場合や、二つ目に、独立性の高い機関が評価を行うことを議会が求めて、議会が法律の策定や修正を行う場合、それから三つ目が、議会における予算審議の中で行政機関が行った評価情報を利用する場合などがあるということを説明しておりまして、これらに該当しますと議会の制度化のポイントは上がるわけなんですけれども、日本はこれらに該当しないと判断されたと推測できます。  以上となります。御清聴ありがとうございました。(拍手
  10. 高木毅

    高木委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 高木毅

    高木委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は自席から着席のままで結構でございます。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。細田健一君。
  12. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございます。自民党の細田健一と申します。  アドバイザリー・ボード先生方におかれましては、御多忙のところわざわざお出ましいただいたこと、改めて感謝を申し上げます。また、七年前から我が国の原子力システムの安全性向上のために御尽力をいただいていることにも、改めて深く敬意を表します。  先ほど、累次御紹介がございました国会事故調提言の一の中に、「国民の健康と安全を守るために、規制当局を監視する目的で、国会原子力に係る問題に関する常設の委員会等を設置する。」という提言がございまして、この常設の委員会というのはまさにこの委員会だと理解しておりますが、あくまでもこの委員会の目的は規制当局を監視するというふうにされておりますので、この観点から幾つか先生方に御質問させていただきたいというふうに思っております。  まず、鈴木先生にお伺いをしたいんですけれども、今、先生御存じのとおり、炉規制法でいわゆる炉の運転期間というのが基本的には四十年に制限をされておりまして、一回に限り二十年の延長が認められるということになっております。  これは、四十年に限定をしたという理由については、立法当時、担当の細野大臣から、中性子線による炉の脆化を勘案してというような答弁があるわけでございます。  ただ、一方で、いわゆる運転休止期間、原子炉が動いていない期間というのは、当然中性子線にさらされないわけでございますから、中性子線による炉の脆化は進行しないというレポートがございまして、したがって、四十年という期間は変えないにせよ、カウントの仕方を、炉がとまっているときはその四十年に組み入れないということが科学的に妥当ではないかという議論がございます。  現在、こういう議論規制庁あるいは規制委員会に提起されているというふうに理解をしておりますけれども、こういう、どういう規制が科学的、合理的かということについての議論から規制委員会あるいは規制庁は逃げないということが必要だと。結論はどうあれ、そういう事業者等々からの問題提起に対して、逃げずにきちんと議論するということが必要だろうと思っていますが、まずこの点についての鈴木先生の御見解をよろしくお願いします。
  13. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 ありがとうございます。  最近の議論について詳しく存じ上げてはいないんですが、そもそも、四十年という寿命については、特に科学的根拠があるわけではなくて、通常の工学的な寿命とか炉の財政的な寿命から来ているというふうに私は理解しております。  そういう意味から考えまして、御指摘のとおり、それぞれの炉でどのような健全性が保たれているかというのは、もちろん、そのたびごとに、その炉ごとに審査されるというふうに理解しておりますので、もし停止期間が長ければ、当然脆化の進み度は進んでいないというふうになると思いますので、安全審査の方もそれに基づいて十分審査されるものだと私は理解しております。  難しいのは、何年、日本の場合は二十年となっていますが、その予測の信頼性をどうとるかということで、これが海外でもかなり慎重に審査せざるを得ないということで、過去のデータはそうやってとれるんですが、将来の審査、炉の寿命について、予測技術というのがどこまでこの後進んでいくのかということが重要になってくるかと私は考えております。
  14. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  そうですね。当然、その科学的な手法、あるいはその妥当性についてはさまざまな議論があり得ると思いますけれども、ぜひそういうことから本当に逃げずに議論をしていただきたいと思っております。  もう一問鈴木先生にお願いをしたいんですけれども、現在、いわゆる独立した規制委員会、又はそのもとでの規制庁が設置されているというのは非常に大きな進歩であるというふうに考えておりますが、他方で、この規制委員会が、独立だけではなく、孤立あるいは独善に陥っているのではないかという批判も一方であるわけです。  これは、例えば、前の田中委員長の判断によりまして、いわゆる、過去に原子力の安全審査に携わったさまざまな原子力工学の学者の先生方がいらっしゃるわけなんですけれども、基本的にはそういう方々を排除して審査を進めるということで、その結果何が起こっているかというと、基本的には規制委員会に所属しておられる五人の先生方のみがさまざまな審査をされると。したがって、その五人の先生方、当然その五人の先生方は非常にクレディビリティーの高い先生方だと思っておりますけれども、他方で、やはり一日はお一人の先生方にとっては全員二十四時間ですから、そういう意味で、その五人の先生方に過大な負担がかかり、それが結果として、例えば安全審査のおくれにつながったりしているというような批判もございます。  我が国の原子力工学、あるいはこの関連した分野、あるいは地震、津波の分野においては相当程度の研究人材の厚みがあると思っておりまして、そういう方を、例えば核燃料安全専門審査委員会でありますとか、あるいは原子炉安全専門審査会の方に登用して、さまざまな方の意見を伺いながら、あるいはさまざまな方が審査に携わるという形でクロスチェックを行いながら、審査の合理性、あるいはそのスピードを高めるということが必要ではないかというふうに考えております。当然、これはやり方の問題も含めてなんでしょうけれども。  そういう意味で、今の基本的にはその五人の先生のみが判断をするというやり方というのは、逆に言いますと、ちょっと、やや大丈夫なのかなというところがございまして、この点についての鈴木先生の御見解をお伺いできればと思います。
  15. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 ありがとうございます。  まず、御指摘のとおり、規制委員会が孤立してはいけないというのは、私もそう思います。  五人で全部が判断できるわけではもちろんないわけで、事務局である規制庁、ここが十分に専門的な能力を持って五人を支えるというのが仕組みのはずですから、規制庁は、当然ながらいろいろな専門知識を持っている方々が集まって、さらに、最新の科学技術情報については原子力産業界ともコミュニケーションをちゃんととって、新しい情報について規制委員先生方に情報を提供する。  私がちょっと危惧していたのは、五人の先生方が分担を決められて、例えば個別分野でA先生が決められるというふうになってしまいますと、五人ではない、逆に一人になってしまうおそれがある、この方がむしろちょっと心配だったんですね。そもそも五人は合議制で議論すべきだというふうになっていると思いますので、これは原子力委員会のときも同じだったんですが、担当は原子力委員会のときには決められなかったんですね、全て五人で議論をするというふうになっておりましたので。それが一つちょっとあるかなと。  一方で、新しい、最新の知見についての情報をどうとるかというのは、例えば米国なんかでは当然ながら、学会、ASMEというアメリカ機械学会ですね、そこの議論にも規制当局の専門家がちゃんと参加して常に最新情報を手に入れるという仕組みがありますので、もちろん日本でもそういう方向で今進んでいると思いますが、御指摘のとおり、孤立してはいけない、最新科学技術情報をちゃんと規制庁が把握して、それで総合的に五人の委員会議論していただくという形をとるべきだと思っております。
  16. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  本当に、今の鈴木先生の御懸念は全く共有するところでございまして、今まさに、例えば更田先生ならばこういう御担当、田中先生ならばこういう御担当という形になってしまって、基本的には、最終的な決定は当然合議の上でということになるんでしょうけれども、実質的な審査というのはもう本当に一人の方の判断というような形になっていますので、これは本当に更田先生とかはある意味大変な時間的あるいは精神的な重圧の中でお仕事をされておられるというので、これは本当に私は敬意を表したいと一方で思っておりますけれども、ただ、やはりそういう意味でのいろいろ負担の分散あるいはリスクの分散ということでも、多数の方に審査の過程に入っていただき、またスピードアップを図るということも必要ではないかというふうに思います。  それでは、益田先生に一点お伺いしたいと思います。  今の規制委員会あるいは規制庁に対する批判に、効率性という概念が余りにも欠けているのではないかという批判がございます。  これは、例えば、いわゆる炉の設置については標準処理期間というのが行政手続法というので我が国では定められておりまして、基本的には二年という審査期間というのが標準処理期間とされているんですが、他方で、今、現実を見ますと、審査の許可申請をしてから四年以上放置をされているような状況というのがございまして、この点、日本規制委員会のカウンターパートであるアメリカのNRCであれば、相当、効率性の原則というようなものについても配慮を払った組織運営が行われております。  当然、審査は厳正にやっていただかなきゃいけませんから、別にむやみに早めろと言うつもりは全くございませんけれども、ただ、一方で、当然、民間事業者を相手にしている限り、ある程度の予見性を持って規制当局も、つまり、予見性というのは、いつごろまでには審査を終わる、法定は二年とされているわけなんですけれども、そういう予見性というのが非常に重要だというふうに思っていまして、この点について、特にアメリカが、各行政機関の効率性が不十分であるというふうに考えられるときに、例えばGAOはどういう勧告を出すことが例としてあるのかということについてお伺いできればというふうに思います。
  17. 益田直子

    益田参考人 一般的な回答になってしまいますけれども、効率性の観点ももちろん評価の項目に入ってまいります。効果のところを強調しましたけれども、効率性があって、そしてまた効果も測定するというところになります。  GAOの場合は、その政策領域に関してスペシャリスト、専門家を置いて評価をしておりまして、それも、繰り返し、それが非常に国家のリスクとして捉えられるものであれば、効率性や効果の有効性の観点から評価を繰り返します。なので、そうしたことをもって、行政機関に対して、又は必要に応じて関係した国会委員会に対しても、意見を出して、それがどのように履行されたのかをフォローし続けるという対応をとります。
  18. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございます。  まさに、規制委員会規制庁の効率性が問われている場面であるというふうに認識をしております。  それでは、黒川先生と石橋先生にお伺いをしたいと思います。  今るる申し述べてまいりましたけれども、さまざまな批判がある中で、規制委員会規制庁はそれなりに成果を出し、また、頑張ってきておられるとは思っておりますが、ただ、一方で、先ほど申し上げたような、独立と孤立を履き違えているのではないかとか、あるいは、余りに過去の規制行政との非連続性を強調する余り、学界から孤立しているのではないかとか、それから、確かに安全性の向上というのは必要ですけれども、ただ、一方で、当然、行政組織としては効率性が求められるわけで、余りにも審査が非効率ではないかというような、またさまざまな批判もあるというのも事実でございます。  これらについて、過去の事故調のレポートをまとめられたという御経験から、それぞれ、もし仮に規制庁規制当局に今アドバイスあるいはコメントをするとすれば、どういうコメントを出されるのかということをぜひお伺いしたいと思います。
  19. 黒川清

    黒川参考人 私、実は、前の規制委員会のときの田中先生のところにも行きましたし、今度も更田先生のところにも参りました。自分たちだけではなくて、もちろん公開性というのもすごく大事ですけれども、専門、五人しかおりませんので、ぜひ、海外の人たちとも一緒に行くとか現場に行く、そういう人たちと一緒にやることによって、よりバイアスのかかり方が少ないようなことを一生懸命見せるということがすごく大事だと思うことを言っておりました。  それから、二番目には、各国、フランスもドイツもアメリカもそうですけれども、規制委員会人たちのやり方もありますので、ぜひ、そういう人のところに若い人たちをどんどん行かせましょう、向こうからも来てもらいましょうということによって、できるだけ、国際的に、お互い納得ができるような人材が育ってくるんじゃないかと思うんですね。ですから、アメリカなんかでは、各炉のところに二人、規制委員会人たちがいて、シニアな人と若い人がいて、常に、いつでもアポなしでどこの委員会にも行けるようになっているわけですね。  だから、そういうところに若い人をどんどん行かせると、お互いに共通したスタンダードが出てくるということがすごく大事だと思っているので、そうやって将来の人材をつくることも考えるということをぜひやってくださいという話は随分やっていますので、ぜひエンカレッジしていただけるのが大事じゃないかと思っております。
  20. 石橋哲

    石橋参考人 黒川先生と同じような言葉になってしまうかもしれませんけれども、先ほど細田先生がおっしゃった、規制委員会には審査の課題がたくさんありますと。実態として、想定されていたよりは時間がかかってしまっているということからすると、規制委員会方々が、若しくは規制庁方々がサボっているのかというと、きっとそうではないんだろう、すごく一生懸命お仕事されているんだろうというふうに思います。  ということは、要はリソースが足りないのではないか。一方で、予算の制約もございます。だとすると、先ほど黒川先生がヒントのようなことをおっしゃいましたけれども、例えば、日本原子力行政に携わられた方々、審査の方々ではなく、海外の規制当局の担当者の方々、IAEAの方々とかいう方々と相互交流をする。それによって、例えば海外の、事故が起こっていない国の原子力規制の担当者の方々は、恐らく、日本事故の現場、そこでどのようなことが行われていて、どのような御議論があって、どのような規制が行われているのかということもきっとお知りになりたいということを想像いたします。  世界の標準が日本の中にも入ってくる、日本の知見が世界に出ていく、それによって国際的な原子力規制のあり方、水準というものが向上していく。そのようなことが、サイクルが確立されていくと、先生が御議論されている、リソースの不足による遅延ということもなくなるのではないかということを想像いたします。
  21. 細田健一

    ○細田(健)委員 ありがとうございました。  私も、規制委員会あるいは規制庁の担当者と話をして、確かに、今おっしゃったように、さまざま形で、そういう例えば海外との人材交流でありますとか、そういうことは努力はしているようですけれども、他方で、どうしてもやや過度にちょっと保守的な形で審査が行われるというような傾向もあるようでございます。  最後に、それでは、鈴木先生にお伺いをしたいんですけれども、つまり、今の規制庁あるいは規制当局に、先ほどリスクの概念を御紹介されたんですけれども、そのリスク概念というのがなかなか希薄ではないかというのを、私は個人的な感じがありまして、特に、自然現象については、確率論からやや離れて、過大な形での安全性対応が求められているのではないかというのを私、個人的な見解として持っております。そもそも、ややちょっと確率論的な議論が難しい部分はございますけれども。  ですから、もしそこを是正するために何らかのヒントがあれば、つまり、基本的には安全対策というのはもう全く限りがないわけでございますから、ある種のリスク評価に基づいた上でその適正な範囲というのを決めるということだと思いますけれども、今なかなかそのシステムが余り適正に働いていないのではないかという感想を個人的には持っておりまして、そこを何か是正するためのヒントをもしいただければ大変助かります。
  22. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 難しい御質問ではあるんですが、私が理解する限り、規制委員会は、純粋に科学的に安全性を定義しようというふうに努力される、過去の経験を踏まえてできるだけ客観的にというふうに考えておられて、これが、過度に保守的なと今おっしゃいましたけれども、多少そういう傾向が出ているのかもしれませんが、本来、規制の決定というところは、これは政策決定ですので、科学的な根拠プラス社会がどういうふうに安全を評価するかということも含めて考えなければいけないものなので、例えば、私が知る限り、アメリカの規制委員会では、規制目標を決めるときにも、一般市民の方も含めたいろいろな方がヒアリング、いわゆるパブリックヒアリングですけれども、かなりの回数の公聴会を開いて、独善的にならないような形で規制目標を決めていく。ただ、規制目標が決まってからの後はそれに基づいて客観的に評価をするわけですが、常に社会は変わりますので、規制目標も変わる可能性は当然あると思います。  そういう意味では、私が見る限り、今の規制委員会に、もし改善をするとすれば、より社会とのコミュニケーションが必要なのではないか。例えば、地元での公聴会も数が少ないというふうに私は聞いております。地元に説明するのはむしろ事業者と経産省の役割であって、規制委員会の役割ではないというふうに伺っているんですが、私は、そうではなくて、もちろん事業者や経産省の説明も必要ですが、規制当局も、規制の概念とか安全目標とか、どうしてここでいいのかとか、そういうことについてもっと積極的に地元の人たちとコミュニケーションをとる場が必要ではないか。  これも、規制委員会ができるときの附帯決議で、地方自治体にそういう仕組みをつくるべきだという附帯決議がされているんですが、これも実現していないということで、ぜひ国会の方で、附帯決議が一体どうなっているのだということを要求していただいて、地元で、地元の皆さん、住民の方や他の専門家の方々意見を踏まえた上での安全審査の仕組みというのを考えていただきたいと思います。
  23. 高木毅

    高木委員長 質疑時間、終了しておりますが。
  24. 細田健一

    ○細田(健)委員 先生方、非常に有益な、参考になる議論をすることができました。本当にありがとうございました。
  25. 高木毅

    高木委員長 次に、菅直人君。
  26. 菅直人

    ○菅(直)委員 きょうは、参考人の四先生方、どうもありがとうございます。  この委員会に先立って、私も、黒川先生の「規制の虜」をもう一回読んでみたり、あるいは、この国会事故調ができるときの経緯を自民党の塩崎さんが書かれた本を読んでみたりいたしてまいりました。  先ほど来、委員の方から幾つかの指摘、これはどなたが答えるのかわかりませんけれども、率直に申し上げて、例えば、実施計画について石橋さんからもあるいは黒川先生からもありましたけれども、私の知る限り、七つ提言に対して、国会としてそれを踏まえた実施計画を策定するという作業はスタートができていないというのが私の認識です。ですから、その進捗状態を国民公表するということも、残念ながらできておりません。  私は改めて、この報告書の「はじめに」というところ、多分これは黒川先生が中心に書かれたんじゃないかと思いますが、あえて読み上げさせていただきたいと思うんです。  想定できたはずの事故がなぜ起きたのか。その根本的な原因は、日本が高度経済成長を遂げたころまでにさかのぼる。政界、官界、財界が一体となり、国策として共通の目標に向かって進む中、複雑に絡まった規制とりこが生まれた。そこには、ほぼ五十年にわたる一党支配と、新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった官と財の際立った組織構造と、それを当然と考える日本人の思い込みがあった。経済成長に伴い、自信は次第におごり、慢心に変わり始めた。入社や入省年次で上り詰める単線路線のエリートたちにとって、前例を踏襲すること、組織利益を守ることは、重要な使命となった。この使命は、国民の命を守ることよりも優先され、世界の安全に対する動向を知りながらも、それらに目を向けずに安全対策は先送りされた。  これがまさに先生方がつくられた報告書の初めで、「そして、日本原発は、いわば無防備のまま、三・一一の日を迎えることとなった。」と締めくくられております。  私は、この委員会ができたことも、そしてアドバイザリー・ボートができたことも大変よかったと思っているんですが、率直に言って、こちらの側に座らせていただいていて、まだまだ、極めて不十分だと。議論そのものの中身を含めて、一番本質的な議論が、きょうの委員会、これも久しぶりですけれども、必ずしもなされていない。  つまりは、規制委員会の個別のこととか、いろいろなことはいろいろなところでできるんですが、まさに、この報告書で示された、ある意味では日本の国というものが成功する中で逆に大きな失敗を招いたという、その反省に立った議論が残念ながら国会では十分に行われていないという感じを、私もこの一員であって責任を感じているんですが、思っております。  それについて、重なるかもしれませんが、黒川先生、石橋参考人、お二人に、ちょっとその点についての御意見をお聞かせいただければと思います。
  27. 黒川清

    黒川参考人 ありがとうございます。  そのとおりだと思いますが、例えば、三菱銀行の人が住友銀行に移れますか。では、日立のエンジニアがパナソニックに移れますか。移りにくいですよね。それで、三菱銀行の人は住友銀行には移れないけれども、外資系には移れるんですよ。そんな国ありますか。日本ぐらいですよ、新卒で動けなくなっちゃってるの。動けなくなるのであれば、どうしたってそんたくしますよね。  だから、それがずっと今まで続いていて、うまくいっていたからということだけれども、戦前は少なくとも長男しか家督を継げなかったですから、そんなことは最初から思っていないんですよね。  だから、それが皆さんの常識だったというところに一番の問題があるわけで、神戸製鋼も三菱マテリアルも東芝も全て、案件についての議論が、いろいろな議論をした上で責任ある人が決めていけばいいわけですよ。それをしなかったから、それがみんな上がってきているから、どちらかというと男性はみんなそんたくして上がってきたということだったんですよ。  だから、そういうことを言ったのが、東芝もあっという間に破綻したでしょう。神戸製鋼も、三十年、みんな知っていたんだけれども、言えなかったわけでしょう。何で言えないわけですか。横に動けないからですよ。それが東芝みたいな会社でもそうなってしまって、福島事故はそれを世界じゅうに見せちゃっただけなんですよね。  だけれども、その下にあるのは、横に動けないのが当たり前だと思って年功序列でいってきたという、それで採用するのには十八歳の偏差値で見てきただけじゃないですかという話をしているわけで、そこのところが、日本がそんな国だなんて誰も思っていませんから、全く理解されていなかっただけの話なんですね。  今でもそういう話をすると、えっ、そんなことは全くわかりませんでしたという、想像もしていないことが日本では常識だったということが一番の問題だと思います。
  28. 石橋哲

    石橋参考人 今ごらんいただいております事故調の黒川先生の「はじめに」の次のページ、二ページ目の真ん中よりちょっと下ぐらいのところを読ませていただくと、私が今思った感想に率直に当てはまると思います。「百年ほど前に、」のその次です。日本は変われないというのが得意わざのようでございまして、ここの文章です。  変われなかったことで、起きてしまった今回の事故に、日本は今後どう対応し、どう変わっていくのか。これを、世界は厳しく注視しています。私たちはこの経験を無駄にしてはならないと書かれています。  世界が注視しているだけではなく、今、この事故を起こしてしまったのは今現在大人である私たち世代ですけれども、今後生まれてくるであろう世代も私たちを見ているというふうに感じます。  この機会を、変わり始める第一歩としてできるかどうか、それをどうするのかは私たちの判断によるというふうに今感じております。  以上です。
  29. 菅直人

    ○菅(直)委員 ありがとうございます。  それと、これは与野党を超えて申し上げたいんですけれども、当時野党であった自民党の塩崎さんがこの国会事故調をつくるのを物すごく努力されたことを私もよく聞いております。  そして、先ほども益田参考人の方からもGAOの話が出ましたが、私はかつて、憲法六十五条について当時の行政監察局と大分議論をやったことがあります。つまり、行政監察局の機能を全部国会に移したらどうかということを提案をしたら、憲法六十五条に反するという反論が当時の政府から出てきました。つまり、憲法六十五条というのは、「行政権は、内閣に属する。」と。つまりは、行政権にかかわるものは内閣がやるんであって、立法府がやるものじゃないというのが霞が関官庁における憲法解釈として当時は少なくともありました。  その点、やはりアメリカの場合は、行政府と立法府が非常にはっきりと分かれているということもあって、意味合いが若干違うところもありますけれども、益田参考人にあえてお聞きしたいんですが、私は、立法府にそういう機能を持たせるということは大いに賛成なんですけれども、なかなかそれが国会議員自身、与党になったり野党になったり最近多少はしていますけれども、与党になると、もう全部行政でやろうと思うんですね。行政の中のことは自分たちと役人で決めようとするわけです。  国会という場はなるべくそういうことは議論させたくないという気分が、どうしても与党になるとあるように思えてなりませんが、益田さんから見て、この問題、どのように見られているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  30. 益田直子

    益田参考人 御質問ありがとうございます。しかも、大変難しく、根幹の問いをいただきました。  議院内閣制において行政監視機能を働かせようとしますと、どうしても、与党と野党との対立関係の中で行政監視機能をどのようにつくり上げていくのかというところになります。それは、確かに、大統領制のように、はっきりと、立法府と行政府の間での権力のチェック・アンド・バランスから、その対抗関係を使って行政監視を行おうとするところとでは、違いが出てくるかと思います。  ただ、両者とも、イギリスやアメリカの実際の動きを見ますと、最初に国会が、また議会側が行政監視機能を強化しようというふうに、大きく動きを始めるのは議会からであるというところが大事なことであろうかと思います。  ただ、それを、独立した機関を生かしていくのか、又は、既にある議会の中の委員会をより、法案を作成するというよりも、行政監視機能の観点から、党派性をなるべく薄める形で議論をしていくのかという点で、その委員会の置き方を変えることによって議院内閣制の中でも行政監視機能を高めていくということは、先例がありますので、可能なのではないかと思います。
  31. 菅直人

    ○菅(直)委員 ありがとうございます。  私も結構長くこの国会にいるんですが、例えば、我々が、野党が長かったですから、いろいろと法案の、政策なんかを委員部なんかに聞くんですが、委員部でしたか、ほとんどは役所からの出向なんですね、そのトップが。ですから、野党が政策立案、法案をつくろうと思うと、基本的には官僚出身の人がそういうポジションについていて、委員部の委員長なんかについていて、やっているわけです。ですから、これは国会の中でなかなか、変えることが非常に難しいんです。というのは、与党になった途端に、それでいいとみんな思っちゃうんですね。  ですから、そこは、逆陳情で恐縮ですが、やはりアメリカと日本制度の違いというよりは、私は、日本の基本的な国家の構造を、つまりは、官僚中心につくる、つまりは、国会でいうと与党が決めるのが当たり前だという形でつくっていて、本当の意味での行政府から独立した立法府というか国会になっていない。  ついでに言いますと、私は、よく国会のことを立法府だと言う人がいるので、間違っている、国会国権最高機関なんだと。つまりは、どういうことかというと、なぜ国会国権最高機関と書いてあるかといえば、それは、主権者である国民が直接選ぶのは国会議員であって、つまり、日本国憲法は主権者が国民であるということが一番のベースになっているわけであって、そこから、その中の機能としての三権分立、権限の三権分立ではなくて機能として、立法は国会を中心に、そして行政は内閣を中心に、司法は裁判所を中心に。しかし、権限は最終的には国民が持っているわけですから、国民がダイレクトに決めるのは、総理大臣でもなければ最高裁長官でもなくて国会議員ですから。そういうやはり憲法議論も含めて、もっと国会がそういう機能を持つべきだということを、ぜひ益田先生にはもっと大いに発信していただきたいなと。  もし御意見があったらお聞かせください。
  32. 益田直子

    益田参考人 議院内閣制をよくプリンシパル・エージェント理論で行政学者などは議論するんですけれども、その際も、確かに、今御発言にあるとおり、究極のプリンシパル、主権者は国民である、究極のエージェントが官僚組織なのである、いかにしてプリンシパルである国民が究極のエージェントである行政機関を監視するのかという視点が必要だというような話がございますけれども、なかなかお答えしにくいんですけれども、行政学の領域でもその認識はあるというふうに思います。
  33. 菅直人

    ○菅(直)委員 ありがとうございます。  それから、鈴木参考人にも、ここで言われていることは、私は、ほとんど一〇〇%、先生が指摘されたことは当然のことだと思っているんですが、これもなかなか国会ではこういう議論にならない。ほとんど役所がこれと真反対なことを、多分、間違っていることをわかっていて言うんですね。つまりは、もう今や、直接、オンカロそのものがいいかどうかは別として、再処理をしてどうかなるようなものではないことはわかっているはずなのに、今なおそれにこだわる。  理由は、私から見るとただ一つです。つまりは、再処理をやめると言った途端に、再稼働したときに生じる使用済み燃料を持っていく場所がなくなる。今のところは、再処理をするということを前提として青森にいわば預かってもらっているわけですね。ですから、それは預かりじゃなくて持ってきっ放しになるということについては、かつての自民党政権時代に当時の閣僚と県が覚書を交わしていて、あくまでそれは一時的な預かりだと。  ですから、理由は、ここに書かれているような本質的な問題からくるのではなくて、再稼働させる、再稼働させるためには、使用済み燃料が生じる、それをとりあえず置く場所を確保するには再処理をすることを前提にしなきゃいけない、こういうふうに私は見ておりますが、先生はいかがごらんになっていますか。
  34. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 御指摘のとおり、特に新しい規制行政になる前なんですけれども、使用済み燃料の行き先として事業者がどこか書かなきゃいけないんですけれども、その場合、再処理しかなかったわけですが、今もそこは変わらないですね。事業者の立場からいうと、全量再処理が変わらなければ、再処理しかないと言わざるを得ないですね、おっしゃるとおり。  現実に、再処理が動いていないと使用済み燃料の行き先がなくなってしまうという、ふん詰まりになるというのが今も続いているわけですが、少し変わってきているのではないかというのが、最近、例えば玄海では、オンサイトで、発電所のサイトに中間貯蔵として乾式貯蔵を認めてもよいという御意見とか、浜岡では既に、廃炉になる原子炉から出てくる使用済み燃料については浜岡の発電所サイトで中間貯蔵してもいいとか、少しずつ地元の方々の理解が出てきているのではないかなと。でも、その前提に、御指摘のとおり、じゃ、その後どうするのかということが決まらないと、なかなか周囲の方々は、逆に、地元はよくても、県の方で納得されない可能性が高いということですね。  そのためにも、私はぜひ、使用済み燃料の直接処分を可能にするように、特定廃棄物の処分に関する法律の中に、地層処分の対象となっているものが、再処理から出てくる廃棄物しか今対象になっていないので使用済み燃料は直接処分ができないんですね。その法律を変えればいいわけです。それはそんなに難しい話ではなくて、この特定廃棄物の定義の中に使用済み燃料も含むというのを一言入れればいいだけの話で、私は原子力委員会にいたときにもこの議論を何回も役所の方としたんですが、法律を変えるのが先なのか、全量再処理を変えるのが先なのかという議論が延々と続いて、全量再処理政策を変えない限り法律は変えられないというのが役所の立場なんですけれども。  私に言わせてみれば、既に、再処理できない使用済み燃料、まあ、事故が起きてしまいましたし、現実に破損した使用済み燃料とか、研究炉から出てくる使用済み燃料とか、再処理できない使用済み燃料があるわけですから、早く法律を改正して、再処理の原則は保ってもいいから、まず、再処理できない使用済み燃料を処分できるように法律を改正することが大事ではないかというふうに考えています。これができれば、電力会社も、あるいは地元の自治体の方も、行き先ができるわけなので、その法律改正が大事だと思っています。
  35. 菅直人

    ○菅(直)委員 もう一点、イギリスとフランスのいわゆる再処理の工場、私、イギリスのニュークリア・デコミッション・オーソリティーに行って、向こうと話をしたこともあるんですけれども、基本的には、少なくともフォーマルではないですが、場合によっては自分の方で、ある程度の費用さえ払ってくれれば再処理をしてもいいと言ってくれているはずなんです。それで、我々、いろいろなところで役所を呼んで聞くんですが、いや、そういう交渉については答えられないとか、つまり、我々が聞いても、答えられないと言うんですよ。  ですから、再処理の問題そのものを、今先生が言われたように、地層処分を含めた新しい道筋があるということと、たまり過ぎているプルトニウムの、もう一回もとに戻す、そういうやり方についても、国としてもっとそういうことを積極的にやるように、ぜひこれも逆陳情で恐縮ですが、皆さん方の立場からも発言をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 イギリスは、もう公式に、イギリス国内にある、貯蔵しているプルトニウムの所有権を引き取るということは政策として公表していますので、別に隠れてやっているわけではなくて、これはイギリス側はいつでもという状況になっています。現にドイツとかスウェーデンのプルトニウムを引き取っていますので、制度的には何の問題もイギリス側はない。  最近の報道で、日本政府がイギリス政府と初めて、このプルトニウムの引取りについて、交渉したかどうかわからない、会合を持ったという報道を私は見たことがあるんですが、今回、原子力委員会提言の中に、プルトニウム利用の基本的考え方の中に、海外にあるプルトニウムについては電力会社と協力して進めるようにという表現があるんですが、この意図は、御指摘のとおり、イギリスにあるプルトニウムイギリスに引き取ってもらうように電力会社と交渉しなさいということになっていると思います。  私は、提言として、電力会社に、もちろん、今は電力会社の所有物なのでそういうふうに政府が指導していくことは大事だと思うんですが、最終的に、もし電力会社ができない場合は、ちゃんと原子力基本法に、核物質防護の観点から、政府が民間のプルトニウムを購入できるというふうに書いてあるわけですね。だから、政府がやる気になれば民間のプルトニウムも購入できる。自分で購入して自分のものにしてから交渉する手もある。現に「もんじゅ」の燃料は電力会社から買っているわけですから、制度的に、政府が買い取って、それを処分のためにイギリス政府と交渉するということも私は可能だと思いますので、そういう提言をさせていただいています。  積極的にプルトニウム削減のために政府が責任を持って取り組むことが必要だと私どもは考えております。
  37. 菅直人

    ○菅(直)委員 大変有意義な御意見をありがとうございました。  時間ですので、これで終わりにします。
  38. 高木毅

    高木委員長 次に、斉木武志君。
  39. 斉木武志

    ○斉木委員 国民民主党の斉木武志です。  私も、「もんじゅ」が地元にありまして、そしてまた、プルサーマル発電が高浜の三、四号機で本日も行われておりますので、今報道でも、核燃サイクル日本はどうなるのか、進むべきか引くべきかというのは非常に新聞紙上をにぎわしております。その核燃サイクルの今後について、鈴木先生中心に伺わせていただければというふうに思います。  まず、私も、この質問の機会をいただいて、事前に資源エネルギー庁や経産省と高速炉戦略の今後について議論いたしましたが、やはり資源エネルギー庁と鈴木先生の言い分は大分食い違うなというふうに思っております。  その一点が、高速炉開発を今後も維持をするというのが資源エネルギー庁の主張で、その大きな論拠としては、廃棄物減容ができる、そして有害度を低減できる、この二点、大きく挙げております。ただ、そこが論拠として成り立っていないんじゃないかというのが鈴木先生の御指摘だと承りました。  廃棄物のまず減容ですね。減容は、高速炉そして核燃サイクルで現行六ケ所を動かしたとして、余り効果はないということなんですが、そこをちょっと詳しく教えていただけますか。
  40. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 経産省の言い方は、非常に慎重な言い方を今されていると思うんですが、高速炉がもし成立した場合、軽水炉のシステムと高速炉を比べますと、廃棄物の量は確かに減ります。毒性も確かに減ります。したがって、高速炉の開発意義の中の一つ廃棄物減容とそれから毒性の低減というのは確かに含まれます。  私が言いたかったことは、それを事実だとしたとしても、リスクはそれだけでは決められないというのが一点。再処理した場合のリスクも当然含めて全体的なリスクを考えると、決してそんなにメリットがあるわけではない、高速炉が実現した場合でもですね。高速炉が実現しない場合は、むしろ、軽水炉だけで再処理をしてしまいますと、体積も容積もふえ、毒性も減らない。使用済みMOX燃料の毒性は軽水炉のウランの使用済み燃料よりも高い。  したがって、高速炉と軽水炉を考えた場合の話と、だからといって、今再処理をして軽水炉だけのリサイクルをした場合は、逆にリスクもメリットもなくなってしまう。これを経産省は全部言わないですね。それを全部一応調べたのが先ほどのグラフです。  したがって、軽水炉の、今の六ケ所再処理工場を動かすことのメリットの中には、減容も毒性低減も余り意味がなく、むしろ、MOX使用済み燃料が出てきちゃいますと、それを直接処分するようになりますとリスクもそれから容積もふえてしまう。これが私が言いたかったことです。
  41. 斉木武志

    ○斉木委員 もう一点、有害度の低減というところも資源エネルギー庁側は主張を強くするんですけれども、それも余り効果がないということなんですが、ここも詳しくその論拠を教えていただけますか。
  42. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 先ほどのグラフを見ていただくとわかりますが、経産省が言う有害度というのは、例えば、天然ウランの毒性に到達するのに何年かかるかというグラフがありますよね、あれを見て言っているわけですね。あれは事実。科学的に正しいわけです。さっき虎の例を言いましたが、虎が何匹かいても、だんだんだんだん時間とともに減っていきますよというグラフですね。それは再処理した方が確かに減ることは間違いないです。  私が言いたかったことは、そのために取り出すわけですね、毒性のある高いものを、プルトニウムという。その取り出したプルトニウムのリスクまで考えないとリスクの評価にはならない。というのが、先ほどの私のグラフでいいますと、十ページの絵の一番下に書いてある説明ですね。高レベル廃棄物と人間の障壁を考えていない。裸の虎を比べているだけの話なわけですね、これは。  現実には、使用済み燃料という中に閉じこもって、しかも、実際に地層処分してしまいますと、地層が壁になっているわけですね。だから、地層を伝わって地上に出てきたときのリスクを考えるのが地層処分のリスクなわけですけれども、それをわざわざ地上でプルトニウムを取り出して地上でリサイクルするわけですから、そのリスクを考えますと、使用済み燃料の毒性は減っても、地上にいる人間に対する被曝量はふえてしまう。というのが、その次の十二ページ評価の数値です。だから、一面だけしか評価していないということですね、有害度の低減というのは。わかっていただけましたか。
  43. 斉木武志

    ○斉木委員 ありがとうございます。  それと、事業者側ともいろいろ話をすると、やはり六ケ所村が二〇二一年に竣工する、再処理加工場も、二〇二二年ですか、竣工する、もうすぐできる。これまでに三兆円から四兆円ぐらいお金を使っているので、動かしちゃった方がいいじゃないか、コストを考えてもそっちの方がリーズナブルでしょうという主張が聞こえてくるんですけれども、それに関して、コストはどうですか。
  44. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 それもよく誤解を生む表現なんですが、動かしてそれが節約になるなら、リターンがあれば、利益が返ってくるなら動かした方が当然いいわけですね。ところが、動かして出てきたMOXを加工して更に原子炉に入れますと、軽水炉の普通のウラン燃料を使うよりは損をするわけですね、高いので。使えば使うほどお金がかかる。それが八ページの右下の数値です。  したがって、これまでお金を使ったので、もったいないから動かしましょうというのは、動かした結果、節約になれば、その分確かに使った方がいいわけですが、動かせば動かすほど、動かさない場合に比べるとお金がかかってしまうというのが、この右下の表です。したがって、動かした方が私は損だというふうに評価をしています。
  45. 斉木武志

    ○斉木委員 これは二〇一二年に評価されていると思うんですが、現在それよりかなり工事は進んでいると思います。
  46. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 同じですね、基本的には。むしろ、過去にかけたお金は関係なく、これから幾らかかるかということですね。これから幾らかかるかは同じ評価になると思います。
  47. 斉木武志

    ○斉木委員 ありがとうございます。  そして、プルトニウムのやはり四十七トンという日本の保有量も、これはIAEA始めとして、国際社会からもいろいろ指摘のあるところです。できたプルトニウムをどう燃やしていく、使っていくのかということも先ほど言及がありましたけれども、恐らく、先ほど言及されたのはイギリスのPRISM構想かなというふうに思っておるんですけれども、プルトニウムイギリスも百トン以上たしか持っていると思います。それを燃やしていくものとして高速炉のPRISM構想というのは持っているというのは承知しておるんですけれども、日本の場合に、できた四十七トンをどういう形で消費、低減を図っていくのが望ましいとお考えですか。
  48. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 今の政府の計画は、全て日本に持ち帰ってきて、軽水炉で燃やすという考え方なんですね。ところが、燃やす原子炉、MOXにして燃やす許可を得ている原子炉を稼働しているのは四基しか今ないわけですね。十三基以上動かさないと減っていかない、六ケ所を動かす前提ですけれども。六ケ所を動かさなければ、四基でも少しずつ減っていきます。でも、すごい時間がかかるので。  まず、先ほど菅先生からありましたけれども、イギリス政府は、イギリスにある、二十一トンぐらいありますけれども、それを引き取ってもいいと。これは、イギリスはまだどう処分するかは決定していません。本来はもう三年ぐらい前に決めていなきゃいけないんですけれども、PRISMも一つの案です。MOX燃料にして軽水炉で燃やす案もあります。それから、アメリカと同じように、直接処分する案も検討しています。まだ決まっていません。いずれにしても、日本は、イギリスにもし所有権を譲ってしまえば、これはイギリスの決定のもとにプルトニウムが処分されます。  フランスはそういう提案はしていませんので、今のところフランスのプルトニウムは持って帰ってこなきゃいけないんです。その場合、プルサーマルで燃やすことになりますが、時間がかかります。  一つの方法、もう一つ、新しい原子力委員会の中に、研究用のプルトニウムが、日本原子力研究開発機構は持っているわけですが、これは七、八トン近くあると思うんですけれども、これの行き先がまだ、使い道が決まっていないものについては処分も考えろ、あらゆるオプションを考えなさいと書いてあります。  処分という言葉が入ったのは今回が初めてです。したがって、利用せずに、もう使用目的がないプルトニウムは処分も検討しなさいということで、これは、初めてプルトニウム日本で、国内で地層処分することを検討しなさいということなので、新しい概念だと思います。これがもし実現すれば、日本の国内でもプルトニウムをごみとして処分することになるということになると思います。
  49. 斉木武志

    ○斉木委員 プルトニウムの地層処分というのは、日本ではまだ実用化とは遠いものだと思うんですが、プルトニウムの地層処分というのは技術的に可能なんでしょうか。
  50. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 これは、もちろん可能だと思います。使用済み燃料の処分が可能であれば、プルトニウムの処分は可能です。  ただ、今アメリカがやろうとしていることは、あれは非常に純度の高いプルトニウムなので、固定化、安定化するための技術開発をしています。それではなくて、例えばガラス固化体、今、日本ではガラス固化体にしようとしていますが、そこにプルトニウムをまぜてしまうという案は前からあります。それでガラス固化体と一緒に捨ててしまう。  ただ、日本は、プルトニウム資源として考えてきて、今までその研究開発をやっていませんので、やるとなったら、アメリカやイギリスと協力して、プルトニウムの地層処分の知見をやはりこれから情報共有していかなきゃいけないと思います。
  51. 斉木武志

    ○斉木委員 お聞きしていると、資源エネルギー庁との見解の隔たりはかなりあるなというのが率直な感想なんですけれども。  資源エネルギー庁や電力事業者の、特に電力事業者の経営、今後の経営体力、電力の自由化も、発送電分離も来年行われます。そういった中でどうやって安全に処理をしていくのかというのは、もう本当に日本の国としての課題になってきているなと感じておるんですけれども、事業者側がやはりこの核燃サイクルを維持するということにこだわる大きな理由というのはどこにあるというふうに先生はお考えになっていますか。
  52. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 電力会社は、私が何回も聞いたんですけれども、経営的には再処理しない方が楽なわけですけれども、先ほど申しましたように、全量再処理という政策のもとで、法律上処分できないわけですね。だから、貯蔵するか再処理するかしかないんです。  そういう意味では、貯蔵が一番経済的にはいいと思いますが、先ほど菅委員の方からありましたけれども、貯蔵する際にも、再処理が動いていないと貯蔵ができないということなので、再処理優先するという考え方ですね。  今は、再処理拠出金法ができてしまいましたので、経済的な議論は一旦外して、まず拠出金を出さなきゃいけないんです、全部。全量再処理分の拠出金を出さなきゃいけないので、その部分を発電コストに入れなきゃいけないのでむしろ厳しくなったとは私は思うんですが、直接処分のオプションができれば、電気事業者としても柔軟性が私は高まると思います。  今、プルトニウムについて言っても、MOXで燃やす加工のコストが高いので、経済的に考えれば、その部分も国がある程度保障してあげる。例えばドイツの場合は、MOX燃料とウラン燃料の差額について国が支援をして、それで、ウラン燃料と同じ価格でプルサーマルを進めるということになって、ドイツではプルサーマルがどんどん進んで、もう今ほとんどプルトニウムはドイツには残っていません。  したがって、プルトニウムを削減をするということであれば、そういうふうな、事業者にとってインセンティブになるような政策を導入することが私は必要ではないか。それを全部電気事業者に任せていると、なかなか進まないと思います。  これも、電気事業者の方も、なかなか再処理が高いというのを以前は認めていなかったのでそういうことが言えなかったんですが、今はサイクルの方が高いということは認めていらっしゃるので、その差額について国が支援して、プルサーマルについては経済的損失が出ないようにしてあげるというのは一つの方法ではないかと思います。
  53. 斉木武志

    ○斉木委員 今非常にいい例をお聞きしたなと思うんですけれども、インセンティブですね。ドイツの例だと思うんですけれども、どのようなインセンティブ、具体的にどれぐらいのインセンティブを与えてプルトニウム消費を進めたということなんでしょうか。
  54. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 ドイツは八〇年代にMOXの方が高いということがわかりまして、それでドイツでは、プルサーマル、MOXのリサイクルを実証事業と呼んで、それで国が電力会社に支援をして、事業者の負担はウラン燃料と同じ負担にとどめる、それより高い部分については国が支援するという仕組みをつくって、電力会社に負担にならないようにMOXの消費を進めたということなので、金額的に私、現在、頭の中、どれぐらいあるかわかりませんが、当時はそれほどの金額ではなかったと思います。  ドイツも実は、国内でMOX加工が高くてできなくなって、フランスに頼んでMOXにしてもらって国内に運んで燃やすという方法をとりましたので、そういうことでやったと思います。
  55. 斉木武志

    ○斉木委員 現状、日本の場合には、MOX燃料を燃やす、消費することに対してインセンティブはないということでしょうか。
  56. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 今は特に財政的なインセンティブはなくて、ただ、交付金というのがありまして、地元にはインセンティブがあるかと思います。プルサーマルを引き受ける地元にとってはインセンティブがあると思いますが、電力会社にとってのインセンティブはないと思います。
  57. 斉木武志

    ○斉木委員 そうしたメリットをつくることによって誘導するという政策だと思うんですけれども。  もう一点お聞きしたかったのが、私、資源エネルギー庁に確認したところ、やはり今の炉規制法は、使った使用済み燃料をどう処分するかは最初に認可の段階で決めている、だからその炉規制法の変更届が必要だ、全量再処理ではなくて直接処分するのであれば。そういった、先ほどの特定廃棄物法律とともに、やはりそこの辺をいじって、なおかつMOX燃料を燃やすことに対するインセンティブ、事業者にとってもインセンティブを設けていけば、これは事業者がみずからプルトニウムを消費する、MOXを消費する方向に持っていくことは可能だというふうにお考えですか。
  58. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 今電気事業者がどういうふうに説明されているかわかりませんが、ドイツの場合は、表の場でみずからMOXの方が高くてやりにくいということを言っていたわけですね。したがって、国が支援しますということが表の場で議論できましたけれども、今、電力会社はみずから喜んでリサイクルすると言っているわけですね、でしょう。そういうふうに言われてしまうと、なかなかインセンティブつけられないですよね。  だから私は、電気事業者は、自由化になったのであれば、みずから、MOXのリサイクルも再処理も経済的にデメリットがあるのでやりたくないと発言をしないと、国として支援するのは難しいと思います。むしろ、それであれば、私が先ほど申しましたように、プルトニウムを国の所有物にしてしまって国が責任を持って処分する。これはイギリスのやり方です。イギリスは、プルトニウム処分を国の事業として税金でやると決めたわけですよね。それで、税金で電気事業者に委託をして燃やしてもらうという考え方です。これも一つの方法です。  だから、どちらかにしないと、今は電力会社もやりたいと言っていますので、プルサーマルを。やりたいと言っているのに、国が支援する理屈はなかなかつけにくいと思います。ドイツの場合は、やりたくないということを表の場でちゃんと言っていましたので、国は、じゃ、進めるために支援をしましょうと。  だから、ちゃんときちんと表の場でプルサーマルについての意図を電気事業者がはっきりしない限りは、私は支援制度は難しいかなと思っていますので、逆に、国がプルトニウムを買って、それで税金で処分してもらうという事業の方が進むと思いますね。
  59. 斉木武志

    ○斉木委員 ありがとうございます。  プルトニウムを減らさなければいけないというのは、この出席委員、どなたも思っていらっしゃる共通理解だと思いますので、貴重な御示唆をいただいたと思います。  ありがとうございました。
  60. 高木毅

    高木委員長 次に、富田茂之君。
  61. 富田茂之

    ○富田委員 公明党の富田茂之でございます。  四人の先生方、きょうは、貴重な御意見ありがとうございました。  私は、この委員会に初めて参加をさせていただいているんですが、実は、五年前に超党派で高レベル放射性廃棄物最終処分場を考える議員連盟というのをつくりまして、自民党の河村建夫先生、当時民進党だった増子輝彦先生と三人で共同代表を務めております。  その議連をつくった後、スウェーデンのエスポ岩盤研究所、フィンランドのオンカロ地下施設に行きまして、また、次の年の二〇一四年の一月には、フランスのビュールの地下研究所も視察してきました。二〇一四年の八月には、ドイツのゴアレーベンサイト、スイスのモンテリ岩盤研究所、アメリカのハンフォードサイトを視察させていただいて、昨年の八月に、アメリカ・ニューメキシコ州カールズバッドにあります核廃棄物隔離試験施設、WIPPも、なかなか難しかったんですが、やっと見せていただくことができました。  その関連で、地層処分の研究にずっと行っていたんですが、原発の廃止措置もきちんと勉強していかなきゃいけないだろうということで、ことしの夏、お手元にちょっと配らせていただきました、米国のザイオン原発イギリスのセラフィールドに視察に行ってきました。  この資料を見ていただきますと、ザイオン原発、建屋が二棟あります。この中はもう何もありませんで、もう建屋も今年度中になくなるというふうな状況でした。行く前には廃炉措置には三十年ぐらいかかるというふうに一般に言われていましたので、行ってみてびっくりしたんですが。このザイオン原発は、二基のPWRから構成されていまして、一九七三年に一号機、七四年に二号機が運転を始めましたけれども、九七年に蒸気発生器からリークする事故が発生して、翌年、廃止措置に移行するということが決まりました。  当初、廃止措置を行う会社の方は三十年ぐらいの計画で始めたんですが、今行っておりますザイオンソリューションズという会社は、二〇一〇年から始めて今年度で終わると。八年で終わるということで、ああ、こんなふうにできるんだということで大変びっくりいたしました。  その中で、この資料の二、三にあります、鈴木先生がこっちの方がいいんだと言われています乾式での保管。実は、アメリカも最終処分場がありません。そういった意味で、どうにかキャスクに入れてコンクリートで固めてというふうにやっているんですが、写真を見ていただいてわかるように、門がありまして、こういうふうに、これだけの数の乾式、四十三の乾式キャスクで保管しているんですが、更地にどんと置いてあるんですね。  この建屋がなくなりますと、この廃止措置をやっている会社からもとの地主さんに土地は返すと。じゃ、この乾式で置かれているキャスクはどうなるんですかと聞きましたら、わかりません、自分たちの責任ではないと。元地主の方が責任をとって、二十年に一回、規制庁にきちんと許可をとって、ずっと置いておくんだというんですね。  今の状況で、原発の施設があって、プールがあるのと、また乾式をその中でやるというのは、両方いいと思うんですが、こういう廃止措置が進んでいったときの使用済廃棄物をどういうふうに置いておく、先生の乾式がいいというのもわかるんですが、そのあたりについては、鈴木先生、どう思われますか。
  62. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 廃止措置が決まった使用済み燃料をどうするかというのは、御指摘のとおり、行き先がないので、アメリカもこうですけれども、先ほどちょっと申しましたが、浜岡もそれで地元の方も合意していただいて、乾式貯蔵でオーケーですと。  問題は、先ほどの話に戻りますが、その後、前提は再処理するとなっていますので、再処理工場を動かさないと持っていきようがないわけですね。だから、そのためのオプション、選択肢として、地層処分、直接処分の選択肢を早くつくってあげるのがいいのではないか。  ただ、日本は、残念ながら規制が厳しくて、残念ながらというのはおかしいですけれども、建屋がちゃんとなきゃいけないんです。更地にぽんと置いておくわけにはいかなくて、ちゃんとコンクリートの建屋を建てて、その中に置くようになっていますので、外からは見えないんですね。実は、核物質防護の観点からも、これはフェンスがきちっとなされていますが、結構厳しい防護対策をとらなきゃいけないので、地上に置いておく場合でももちろんリスクはゼロではないので、きちんとした管理が必要であることは間違いないです。ただ、プールに置いておくよりは、電気が要らないというのは、福島事故を踏まえた上では非常に大きいんだと思います。  それから、容量が柔軟にふやしていける。プールはもう最初から決まっていますので、プールを新しくつくるのはなかなか難しいですが、土地さえあれば乾式貯蔵はふやしていけますので、そういう意味では、乾式貯蔵の方が経済的でもあり、安全面でもプラスだと思いますので、私は、廃止措置であろうが運転中のものであろうが、なるべく早く乾式貯蔵に移すのがいいと思っております。     〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
  63. 富田茂之

    ○富田委員 ザイオンでもセラフィールドでも伺ったんですが、やはり、自分たちの知見を日本も活用してほしいと。ザイオンの方は、日本原電といろいろやりとりしているという具体的なお話がありました。  今後、廃止措置を進めていかざるを得ない、特に福島第一原発では特殊要因がたくさんある、そういった中で、外国で実際進んでいる廃止措置の知見をどういうふうに活用していったらよろしいでしょうか。
  64. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 確かに、アメリカは、廃止措置専門のエンジニアリング企業が随分出てきまして、かなりノウハウを蓄えています。廃止措置は、原子力工学科の専門家がそんなに、逆に、むしろ要らないわけですね。環境の専門家とか、それから工程管理がすごい重要で、いわゆるエンジニアリング会社のノウハウが非常に有効だと思います。もちろん、中の除染とかという場合には原子力の専門家が必要ですが。  アメリカで伺っていますと、それぞれプラントのデザインが違うので結構大変なんですが、どれを順番にやっていったらいいかとか、そういうノウハウが大分アメリカはできてきているので、それは日本も廃止措置のエンジニアリング能力を高めていく方向に行かなきゃいけないと思いますが、この人材確保のためにいわゆる新しい原子炉を建てなきゃいけないと言われていることがあるんですが、これは私は違うと思うんですね。  新しい原子力発電所の新設のノウハウと廃止措置のノウハウとは、重なる部分もありますが、かなり違いますので、もうフランスは廃止措置専門のトレーニングセンターというのができています。だから、日本も、これから廃止措置のニーズが高まっていくわけですから、むしろ、需要を考えますと、廃止措置産業の方向にシフトしていった方が産業競争力も高まっていくと思います。
  65. 富田茂之

    ○富田委員 ありがとうございます。  ザイオンでも全く同じことを指摘されまして、実際に原発を設置また管理していく人材と廃止していく人材を分けた方がいい、ここをきちんとしないと責任が不明確になるというような御指摘もありました。ありがとうございました。  次に、黒川先生と石橋先生にお伺いしたいんですが、黒川先生の事故調の報告書の最初のところに、「(過酷事故)における心の準備や、各自の地位に伴う責任の重さへの理解、そして、それを果たす覚悟はあったのか。」というふうに書かれています。この事故人災であることは明らかで、歴代及び当時の政府、規制当局、そして当事者である東京電力による、人々の命と社会を守るという責任感の欠如があったというふうにおっしゃっています。  また、石橋先生は、昨年のこの委員会での御指摘の中で、「事故を起こした福島原発や全国にある使用済み核燃料の課題がある日本原発とそれに伴うリスクから逃げられない、原発についてはさまざまな考え方があります、しかし、いずれにせよ、その原発に伴うリスクを直視すること、民主主義の仕組みをちゃんと動かさなければいけないというのが国会事故調の今回の教訓である」というふうに言われて、「これらの根本原因解決の道は、透明性公開性の徹底による原子力規制の独立性を担保することであるというふうに考えます。」というふうにお二人は言われています。  実は、二〇一三年に、エスポやオンカロに行く前に、フランスでロンゲさんという元老院の先生にお会いしました。この方は、もともとフランスの下院議員だったんですが、ビュール地下施設を自分の御地元に誘致した。それまでずっと選挙で負けたことがなかったのに、誘致した途端に選挙で負けて、地方議会の議長になって元老院に復活してきた。自分が復活した後、その後の下院議員は全部その地下施設容認派がちゃんと続いていると。ただ、自分が誘致すれば選挙に落ちるんだ、そういうことを言われて、そのときに言われていたのが、本当に、今両先生が言われた透明性公開性、独立性、これが大事なんだ、ここをきちんとしていけば必ず住民の皆さんに理解されるというお話でした。そして最後に、ロンゲさんは、政治家の覚悟が必要だというふうに我々に言ってくださいました。  なかなか、最終処分場、日本では動きません。手挙げ方式から今変えてNUMOが一生懸命いろいろな地域で説明していますけれども、こういった透明性公開性、独立性、そしてまた政治家が本当に覚悟を持って取り組まないと動かないと思うんですが、ここを動かしていくことについて、どういうことに留意すればいいかということを、黒川先生、石橋先生からお伺いできればと思います。     〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 黒川清

    黒川参考人 そのとおりだと思います。  実は私、けさロンドンから帰ってきたんですけれども、五年前、G8、まだ8だったんですけれども、十二月に、デービッド・キャメロンですけれども、きのうも会いましたけれども、デービッド・キャメロンがG8のサミットで、これから高齢社会になってきて認知症は大問題になる、彼は覚悟をかなりしていたんですね。イギリスの場合は、あれはタックスで払っていますから、タックスを上げるとかそういうことをしなくちゃならないので、相当、選挙で落ちる覚悟をしてやるわけですよね。  やって、それで、最初の十四人のメンバーに私は呼ばれて参加していたんですけれども、今五年たったので、今度リポートを出しましたけれども、二〇二五年までに、認知症の治療か、それではなければ進行を抑えるような方策を出すと、みんな、日本もサインしているんですよ。それについて非常にみんな真剣に考えているんですよ。トップがこれにサインしたんだからということを言ってずっとやっていたんですけれども、ちょうど五年たってみると、かなり認知症についての社会の、出てきて、確かに今見ていると随分変わったなと思いました。二つセッションがあったんですけれども、その一つのセッションは最後は私がまとめて、挨拶しました、まとめましたけれども、そういう何か政治家としての覚悟というのがあるんだなと思いますね。  それから、さっきから言っていると、役所に聞くとこう言われてだまされちゃうんじゃないんだけれども、向こうの方がそれでずっとやっていますけれども、二年か三年でかわるでしょう、やめないでしょう。だから、先輩のために、上がっていくためには、あれは間違っていましたと言えないんですよ。それをやるのが政治なんですよ。だから、それを何で役所に相談するのかという話が私の言い分で、だから、それは専門家に聞いてきて、例えば鈴木さんのところに聞いて、それを一々打破するとか、彼を連れていってやるようなことをするとわかりますよ。  だから、一番原子力のことを知っている人だと、日本だと例えば大前さんみたいな人がいますよね。彼は、だって、実際にそのときもやっていたし、MITでそれのPhDも取っている人が、再稼働をするためには、それこそ、先ほど言った、そのときの新潟の知事の泉田さんがよく知っているから、泉田さんがオーケーだと言えば大丈夫だと公言していますからね。  だから、そういうところに、明らかに政治家の能力とコミットメントと、向こうは、役所の人はそれを遂行する人ですから。役所に聞くんじゃなくて、それじゃ変えればいいじゃないというのは国会がやることなんですよ。もう明らかに、イギリスもアメリカも議員が政策をつくっていて、役所はそれを遂行する人だから。そこの人たちにどうでしょうかなんて聞いていること自体が本末転倒だと私は思っているわけですよ。  だって、彼らは、それはできないというのは、さっき言ったように、途中で三菱銀行をやめて、やめられないというところがあるから、そんたくして先輩にやりながら一生懸命それを、間違っていないということをずっと固執するわけじゃないですか。だけれども、世の中は変わっちゃっているわけだから、変えてもいいじゃないのかという話をしなくちゃいけない。これが国会で、議員の役割なんですよ。  だから、役所、今までは、戦前までは、この間もちょっと、その前の事務次官の何人かの人と話をしたんだけれども、みんなよくできますよ、勉強していて。だけれども、変わったときに変えるということはできる人たちじゃないんですよね。だけれども、七十年前、戦争が終わるまでは、日本が近代国家になってまだ百五十年だからしようがないんだけれども、それまでは、ごく最近までは、みんな、あの人たちは天皇制の役人だったんですよ、だけれども、戦後になってつくったのは、自分たちでつくったわけじゃないから、だから、みんなお上だと思っているんですよ、無意識に霞が関を、全部がね。  だから、あの人たちはパブリックサーバントなんだからと、私、結構言いますけれども、だから俺の言うことを聞けなんて話を結構しちゃいますけれどもね。だけれども、そういうプロセスにまだ日本がなっていないというところが一番の問題なんだと思って。  向こうは確かに、議員さんも、自分の出身の地元じゃないですから。それは党が決めるんだから。それで、やはり大学のときから、別に選挙にもそんなにお金はかからないと言っていましたよ。だから、やはりどこに出すかというのは、次に出てくる自分たちのヘッドをやるために、多分三十五歳ぐらいになっていくと頭角をあらわしてきますからね、みんな、大学を出て党に入ってきますから。だから、お金がかかるわけじゃない。どこに出すかというのは党が決めますから、こいつはできるというふうになってきたときには、一番手ごわいところに出すわけですよ、多分負ける確率が多いんだけれども。だけれども、その負けるという経験をさせることが大事だということを知っているから。  そういう、何か明治維新のときには議会のあり方は向こうのまねをしたというのはよくわかるんだけれども、そうなった歴史と哲学を全然勉強していないし、形だけまねするんだけれども、運営の仕方は、みんな地元から出しているんじゃないし、やはり党がやっているんですよね。だから、そうやって、そういう失敗もしながら、中で頭角をあらわしてくるから、トニー・ブレアにしたって、キャメロンにしたって、みんな四十二、三歳で首相になるわけですよ。だから、そういう人たちをつくってきた歴史ということを、もうちょっと学んでくれないとと私は思っていて、だから、先生のおっしゃるとおりだと思うんだけれども。  さっき言った規制委員会も、アメリカ、イギリスの人に話しましたけれども、あのときに。日本規制委員会人たちだって多分すごく優秀な人たちは多いですよ、スタッフもね。だから、それを向こうに行かせろと。で、同じ数をこっちに来させろと。イギリスもスウェーデンもオーケーだと言っていましたよ。だから、そういう人たちが来ると、みんなが原子力という世界共通のエネルギーだというのであれば、規制の人も、運用の人も、グローバルな人材でいいじゃないですか。何で日本人に限っているわけ。だから、例えば、一年間行かせる、五人アメリカに行かせよう、アメリカのエンジニアを五人よこさせよう、向こうに、イギリスも行く。いろいろなことをやると、みんな共通のルールをつくってきますから。そうすると、これから新興国が出てきたときに、みんな共通のルールでできるじゃないですか。  何でみんな日本だけでまねして、日本でやって、日本の人しかいないのというのが、これからの、グローバルの、日本の一番の問題で、さっき言ったように、神戸製鋼の問題だって、全部知っていたのに言えないわけですよ、現場の人は。あれは部長から始めたんだから黙っていろみたいになっちゃってね。それで、最後になって突然大爆発しちゃうわけじゃないですか。あれだって、あのときあるところで話させていただいたんだけれども、会長と社長がやめたでしょう、神戸製鋼の場合、それでみんなおとがめなしみたいになっちゃったじゃないですか、何となく雰囲気が。それで、だけれども、あのつくったものは世界じゅうに売れているんだから、それはどこかでしゃべりましたけれども、あれで済んだという雰囲気がおかしいんですよ。  だから、それで、六カ月前に検察が入ったというニュースが一紙で出ていましたけれども、あれは、その製品を使ったところから訴えられるからですよ。これも形をつくっているだけじゃないかなと思うんだけれども、実際に訴訟が起こりそうになったので入ったんじゃないかなと思うんですね。  つまり、何かをしたときに、ちゃんと責任と、責任をとれなかったときはどういう処理をするのかというのが、国内のルールだけ言っているところが、今のグローバリゼーションでおかしくなっているのが、本当にいろいろなブランドの企業が次から次へとちっちゃなことであっという間にすぐなくなっちゃうわけじゃないですか。何かあるとすぐに役所に相談に行くって、これはおかしいですよと私は思っているんですね。  だから、そこのところが一番の今のグローバリゼーションで弱いところじゃないかな。全て日本人が日本人で考えていっているという話だと思います。それが年功序列でいくから、ついそんたくしちゃうということでしょうね。
  67. 高木毅

    高木委員長 石橋参考人、簡潔にお願いいたします。ちょっともう時間が。
  68. 石橋哲

    石橋参考人 難しい御質問だったのですが、私の今考えたことを申し上げます。  覚悟、政治家先生方の覚悟といっても、多分すごく難しいんだろうと。選挙に通らないと何とかの人という言葉がありましたけれども、もしそうだとすると、支持される有権者の方々に受けないことというのは言えないということになると思います。推進、脱という言葉は盛んに議論されますけれども、目の前にある、これどうすんのという話は避けて通らないといけないという形に、どうしても合理的判断をすればそうなっちゃうということを想像いたします。  だとすると、この国会事故調提言というのはなかなか我ながらよくできているというふうに思っておりまして、そこの提言をほかの人にやらせればいいじゃないかと。提言の七というところに、「独立調査委員会の活用」というところがございます。国会事故調は時間も極めて限られておりましたので、ただいまから議論ありました使用済み核燃料の処理の問題、その他もろもろ、国民生活に重大な影響のあるテーマについては積み残しがたくさんあります。それをまたこの独立調査委員会の活用という形でなさるというのは、有権者の方に支持されるかどうかという覚悟を伴うことなく選択できる方法なのではないかというふうに今は思いました。  それを活用することによって、例えば、先ほどから規制委員会規制庁の方のリソースが足りないかもしれない、若しくは海外の最新の知見、廃止措置の知見を入れてくるというところも、実は国会事故調提言の五の「新しい規制組織の要件」の3)というところに、原子力規制分野についてのグローバルな人材交流を行うというふうに書いてあります。これは、ただ単に行って研修を受けてくるというわけではなくて、チームごと入れかえるということも含まれているというふうに読むことができるというふうに考えます。  これを、じゃ、独立調査委員会で行うということもできるのではないかということを思いますし、また、よく世の中では言われるというふうに私は認識しておりますけれども、提言一の「規制当局に対する国会の監視」という言葉がありますが、この規制当局というのは、ただ単に原子力規制委員会若しくは原子力規制庁にとどまることではないというふうに思っております。  この提言一の3)、4)には、この提言若しくは積み残されたたくさんの課題の改善、実施状況について国会が、この原子力問題調査特別委員会が監視をするということになっておりますので、その対象というのは、規制委員会規制庁だけに限らず、行政当局全部にかかるのではないかということを考えておりまして、それの実行体制というのもこの新しい独立調査委員会でつくることができるのではないかというふうに思います。  以上のようなことを、済みません、簡潔ではなかったですけれども。
  69. 富田茂之

    ○富田委員 済みません、時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
  70. 高木毅

    高木委員長 次に、田嶋要君。
  71. 田嶋要

    ○田嶋委員 田嶋要でございます。無所属の会でございます。  ありがとうございます。  三・一一、起きてしまったわけでありますから、今何ができるか、これから何ができるか、その教訓をどれだけ風化させずに学び取っていくことができるか、もうそれしかないという思いで今日まで来ていますけれども、私もこの原子力委員会にいながら、何となく少し後ろめたい気持ち、やるべきことを十分やり切れていないという気持ちを常に感じながらきょうに至っておるのが正直なところでございます。  それで、黒川先生、いろいろとずっとお世話になってきておりますけれども、しかし、ここまで来るのも本当に大変だった気持ちがございまして、私も以前に野党の筆頭理事を引き受けて、このテーマが宙ぶらりんのまま政権がかわって、ずっと宙ぶらりんだったということがございました。  きょうは、短い臨時国会にもかかわりませず、委員長のお計らいでこういう日ができたのは、私は望外のありがたいことだと思っておるんですが、しかし、ここまで来るのも本当に大変で、アドバイザリー・ボードというものが今委員会にくっついているのはここだけだと思うんですが、それだけでも少し画期的かなとは思うんですが、ここから先、ぜひ、こういう機会ですし、もう間もなく通常国会も近いわけでありますから、来年の一月以降、このアドバイザリー・ボード黒川先生、どういうふうにやっていってほしいということを、ぜひ理想形としてぶつけておいていただきたいというふうに思うんですが、よろしくお願いします。
  72. 黒川清

    黒川参考人 ありがとうございます。  私ども、最初に始めたときにいろいろ考えましたけれども、やはり原子力発電所は、あのころは四百四十ぐらい世界じゅうにあったんですね。これが日本で起こったこと自身はみんな非常にびっくりしたわけです。  あの反応を見てみると、ドイツがやめるというふうに決めたのも、緑の党の四十年の歴史があるということもあるけれども、日本のような、科学技術が進んでいてエンジニアリングが強い国であんなことが起こるなんというのは信じられない、うちじゃだめに決まっているよねという認識があったわけですよ。だから、スイスだってすぐにやめたじゃないですか、その年の。イタリーもやめましたよ。あれは日本で起こったからやめているわけで、もっと違った国で起こっていれば、まあ、あっちだからしようがないなという話だったと思います。  だからこそ、私は、これができたときに、これはもう全部公開だ、英語での同通も入れちゃうということで基本的にやりましたから、世界じゅうの人が今でもいつでも見れるようになっているわけですよ。だから、この報告書もこれだけつくりましたけれども、最後の、六カ月と言われていましたから、ほぼ六カ月と書いてありましたので、その法律の訳し方もちょっとずっと議員先生たちとやりましたけれども、七月五日に出しましたけれども、これもそうですけれども、これも全部英語訳も出ていてオンラインでも見れますから、世界じゅうの人が知っているので、一々聞きに来るわけですよね。この七つのレコメンデーションはすばらしいと某国の大臣に言われたけれども、それはどうなりましたなんて聞かれちゃって、私、返事に困りましたよ。  だから、そういうことで、そのときはちょうど三原さんが会長になられたときにその話もしに行って、結構世界じゅう見ているから、そういう話を、やはりそれは国のそのものの信用の問題ですからね。そういう意味では、私は国会の先生たちが、選挙とかいろいろあるけれども、やはり大きく、先はそうなんだけれども、今回の選挙はこういうアジェンダがいろいろありますけれども、やはりそういうことを皆さんに共有することが大事で、これでわかったことは、電事連のようなところにたくさんのお金が集まって、みんなで分けているみたいな話があるわけじゃないですか。大企業に聞いてみると、みんな知っていましたよ。だって、向こうの注文、すごくいい値段で注文してくるわけだから。それが何千億もあるらしくて、そういう話がわかっちゃった。私は全く素人だったけれども、こんなことが起こるなんというのは信じがたい話ですよね。  そういう意味では、これをきっかけにどう変わるのかということはもう世界じゅうが見ているということは、これは日本じゃなくて世界と共有しなくちゃいけないというみんなのスピリットがあったことだと思います。  そういう意味では、やはり役所の人は責任をとらないようになっていますから、それはとれる人たちじゃないですよね、どうしても。言われたことをやる人たちだから。なんだけれども、実はそうじゃなかったというところにも問題があるなと思いますし、これは役所だけじゃなくて、企業にしても、新卒で入ったところで横に動けないわけだから。だから、みんな問題があると知っていても、余り言っていると半沢直樹になるわけじゃないですか。だからみんな遠慮して上がってきているなというので、この間、「平成の三十年」の日経にも、最後福島事故のお話で私のコメントが出ていますけれども、結局は、偏差値で入った人たちが年功序列で、そうなると、そんたくしてきた人たちがみんな上がっているんじゃないのかなんということを書いてしまいましたけれどもね。  だけれども、現状はそうですよ。それが当たり前だという制度だったところに問題があるわけで、今からのようなグローバリゼーションになってくると、やはり国会の先生たちのコミットメントと、みんなも応援すると思いますけれども、そういう社会になってこないとすごくまずいんじゃないかなと私は思います。  平成三十年ということで、これからいろいろなイベントもあると思いますけれども、確かにその平成三十年、経済はそんな成長しなかったし、バブルもはじけたし、この間も出ていますけれども、やはりドイツなんかに比べても成長していないんですよね、企業も。というのは、企業は長らえることがプライオリティーになっているんですよ、そこで仕事をすることになったから。むしろ、企業をやめても新しい企業をつくって経済を上げるという、ないでしょう、日本常識では。だから、そこのところに、いつまでもできないことをやっているのは難しいんじゃないかなと私は思っています。  ぜひ、だからそういうつもりで先生方に私はすごく期待しているというのは、応援しているわけですけれども、ぜひ日本のために頑張ってもらいたいなというのが私の本心です。
  73. 田嶋要

    ○田嶋委員 きょうのこの場も、一種参考人質疑という形をとっていますが、通常、参考人質疑は、法案、閣法審査のときに、どっちかというと、反対派の先生二人、賛成派の先生二人みたいな感じの参考人質疑が多いんですが、きょうの話は、ほぼ一〇〇%、現状の政府のやっていることに、まあ、強さはいろいろありますけれども、かなり問題ありということをたくさんいただいているという感じがするわけですね。  これはやはり本当に画期的なことだし、私は、もっと頻度も上げて、ほかの委員会が開催されるされないとか、法案がどうとかということは関係ないわけですから、もうこれはがんがんやるべきだというふうに私自身は思ったわけでありますけれども、そういうことを黒川先生に言っていただきたいなと思うんですが、いかがですか、黒川先生。
  74. 黒川清

    黒川参考人 実は、私ども、提出したところで本当は私たちのデューティーは終わっているわけなんですよね、両院の議長さんに渡したという。それでどうするのかなと思って、それでやってくれとかなんとか言う立場じゃないよというふうに思っているんですけれども、でもやはり、これは本当の日本の大事な問題なので、お互いに相談しながら、どういうふうにしたら、みんなと国民と、あるいは世界原子力関係者全ての人たちと、この歴史的な、憲政史上初の、国会による事故調査委員会ということのシステムそのものを生かしていくかということを先生たちとも共有できればいいんじゃないのかなと思います。
  75. 田嶋要

    ○田嶋委員 委員長、ぜひ、これはやはり、この国会で開いていただいたのを感謝申し上げるんですが、今度はいよいよ通常国会でございますし、本当にこれは、風前のともしびのような感覚で、私も心配しながらここまで来たので、ぜひ今度の通常国会からは頻度を上げていただいて、もう国会開会の翌日ぐらいから始めるぐらいの意気込みで考えていただきたいと思うんですけれども、委員長、御検討いただけますでしょうか。
  76. 高木毅

    高木委員長 理事会で協議させていただきます。
  77. 田嶋要

    ○田嶋委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  それでは、鈴木先生にお尋ねをしますけれども、私、きょうの何といっても一番のインパクトは、虎の三匹の絵だと思っておりまして、これは私、いろいろな勉強会で見たことがないので、初登場かなと思っているんですけれども、その少し前にあるこの六ページの資料、これは耳にたこができるぐらい聞かされている資料ですね。経産省の説明ということなんでございますけれども、これ、恥ずかしながらうのみにしていました。  私、恥ずかしながら、この有害度というのは、あ、そういう裏がある話なんだということを、きのういただいた資料で初めて思ったんですが、要は、これはリスクの話とは全く別個な話であって、有害度そのものを議論することはほとんど意味がないということですよね。
  78. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 全く意味がないわけじゃないです。虎はやはり二匹よりは一匹の方がいいことは間違いないんですが、ただ二匹、一匹だけを比べていると全体のポイントを見逃すということが言いたかったんですね。  さっき申しましたように、高速炉で燃やすと確かに有害な物質は減るわけです。だからそのメリットは確かにあるんですが、高速炉は再処理を前提としていますので、必ず使用済み燃料から取り出して地上で燃やさなきゃいけないんですね。それに伴うリスクをどう考えているかということをちゃんと評価しなきゃいけない。これはもう既に海外では十分に議論されていて、メリットはあるけれども、リスクを考えると、今これを商業化するだけのメリットはないというのが大きな結論、大体の結論です。  ただ、研究開発については、アメリカも、フランスも今度やりますけれども、研究開発については私もそんなに反対はしていないです、将来のメリットがあるわけですから。だけれども、それを大前提に今の六ケ所の軽水炉のリサイクルとつなげるのには無理があるというのが私の言いたいことです。
  79. 田嶋要

    ○田嶋委員 ありがとうございます。  これは初めて見る虎の絵なんですけれども、先生はこの経産省の説明資料を見た途端にそれは当然わかっておられたと思うんですが、これは先生に対する苦言じゃないですよ、苦言じゃないんですけれども、先ほどの話で、情報非対称なので、我々が部会とかでこういうものを、経産省から何か詳しそうなこういう字の細かい資料を出されると、正しいことを書いていそうなふうに思っちゃう嫌いはやはりありますよね。疑ってみる努力はしても、やはりだまされることは多いんですよね。  先生、虎の絵を例えばすぐファクスで国会議員に送ってくれるとか、そういうことを早いタイミングでやっていただきたかったなという気もするんですが、それは、きょう初めてこれを見させていただきましたけれども、その過程でどういう事情があったのかということを何か御説明いただけますか。
  80. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 経産省の説明資料も、例えば十ページのこの絵、高レベル廃棄物が下がっていく、毒性が下がっていく絵、これは世界じゅうで見せられている絵です。これ自体は間違っていないんですね。これで終わってしまうので誤解しちゃうので注一をつけてもらったんですが、私が原子力委員にいるときは。この注一をつけるだけでもかなり抵抗されたんですけれども、でも、注一をつけることで全体のメッセージが少しは変わるかなと思ったんですが、変わらないですね、やはり。  先ほどの結論の中で、原子力委員会の小委員会では、差異はないという結論は経産省の人もその場にいて納得しているわけですね、プルサーマルをやる場合にはほとんど意味がない、差がないということを。だから、何が言いたいかというと、みんな知っているわけです、経産省の方も。  私がきょう強調したいのは、だから、国会あるいは第三者委員会のようなところが監視していないと、我々専門家が一人で声を上げてもなかなか言うことを聞いてくれない。  実は、この虎の絵は、ある政党の勉強会に呼ばれて説明したときに、なかなかわかっていただけなくて、それで説明したんですね。虎の話をしたら、ようやくわかったと言っていただいたので絵にしたんです。
  81. 田嶋要

    ○田嶋委員 ありがとうございます。私もでございます。非常に目からうろこのようなこれでございましたので、今後、ぜひ、やはりおとといも、全く古い数字を基準にした役所の説明を取り上げて私は問題視して、エネルギーにかかわる断熱の方だったんですけれども、やったんですが、まさにこれは外部の有識者と議会側が連携していかなきゃいけないので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それで、益田先生にも一問お尋ねをしたいと思うんですが、これも不都合な真実がさらされているわけで、全くお恥ずかしい日本の状況でございますけれども、一つは、先ほど、評価政策は高く評価されているということをおっしゃりましたですね。評価政策評価文化の成熟度ということで、前半の評価政策は高く評価されているというのはどういうことをおっしゃっているのかということが一点。  それから、具体的に日本での適用はどういうふうにやっていくのか。例えば、会計検査院というものもありますし、先ほど菅先生からも、かつてにいろいろトライをされて拒絶をされたという話もありましたが、じゃ、この辺の成熟度を上げていくためには、具体的にどういうルートを通るのがいいかという何か具体案はございますでしょうか。
  82. 益田直子

    益田参考人 ありがとうございます。  評価政策の評定結果が十分に確立したという点ですけれども、今ちょっと手元に論文を持ってきてはおりませんが、まずは、政策評価法が制定されている、それから、その法の対象が、ほぼ多くの、中央省庁が含まれているとか、評価対象である政策領域が広範囲にわたっているとか、何かそのような項目がありまして、それをもとにこの評価政策の評定が高く位置づけられているというふうだったと思います。  それから、具体的な工程、どのようにするのかというところは確かにまだ検討事項ですけれども、先ほど菅委員の方からも言われましたが、国会国権最高機関であるということであるならば、やはり重要な問題については党派性を超えて、与党、野党ともに、例えば委員会で、ここは党派性を少し薄めて、みんなでこのことについて議論していこう、では具体的に委員会でどのようにアドバイザリー・ボードを生かしていくとか、又は、先ほども出ましたが、具体的に独立調査委員会をどのように設置していくか、では実施計画はどういうふうに立てていこうかという具体的に工程表をつくり始めてというところを始めて、じゃ、やはりこのことはこのアドバイザリーの人数では足りないねとなったときに、ほかの立法補佐機関にも協力を仰ごうというところで、恐らく、小さく、具体的に、多分テーブルの上にもうほとんどの材料が載っているということはきょうの審議を通じて感じまして、テーブルの上にもうほとんど全てやるべき材料はあって、それを具体的にどうするのかというところはもう見えている。  この委員会がメーンとなって、アドバイザリー・ボードも助言をさせていただきながら進めていく中で、多分もう既に載っているさまざまな材料を、ではこれを生かしていこうという、もう多分スタートができると思います。  あと、さっき委員長がおっしゃったように、政治家さんの意思だけだというふうに思います。
  83. 田嶋要

    ○田嶋委員 ありがとうございます。  我々の覚悟と行動が問われているときだというふうに思います。  最後の質問になりそうですけれども、石橋先生と黒川先生にも本当に大きな御助言を賜ってきた今日でございますが、一つは、この「規制の虜」を、私、国会委員会で三度引用しまして、ついに更田委員長がお読みになったそうでございます。一回目、読んでいませんと言われました。二回目、手にはとったけれども読んでいませんと言われました。三回目、この間、読みましたと。いや、だから、前進しているなと思ったんですよね。  私も、この実行計画をこれから、今、石橋先生が言われたようにつくっていかなきゃいけない。我々の委員会も責任があると思うんですが、その前に、私だけでも何とか定点観測をしようと思いまして、私の原子力特での委員会は全部これがベースでございまして、この中に書いてあることを今の原子力規制委員会がどのぐらい前進させているかということで、三点、今でも私は進捗管理をしているものがあります。  それは、一つは、ノーリターンルール。つまり、怪しまれるような人事がないか。それは、規制庁を終わった後で電力会社にいる、それはまだ情報を出してこないんですよ。要するに、たかだか数百人の話だから、何百万人調査しろと言っているんじゃないんだから、ちゃんと出してくれと言って、私は今度規制庁に行かなきゃいけないなというふうに思っているんですね。  それから二つ目は、議論公開性。決めるときの議論は全部公開しているそうです。ビデオも出しているそうで、日本語で議事録も全部。ところが、決める前のファクトチェックの会議、それが決める会議の何倍もあるんですが、それは非公開になっているんですね。このことも委員会で二回取り上げていますけれども、技術的に困難です、こういう答弁なんですよ。やはりこれもおかしいなと思うんですね。  それから三点目は、B5bです。九・一一以後のテロの対策としてのB5bを、アメリカの原発は、動いていない原発まで全部やっている。このことを役所から確認して委員会で取り上げたら、更田委員長は、動いていない原発は適用していないというのが日本の状況なんですよ。つまり、動いているものだけはテロ対策もできているけれども、動いていない原発はできていませんという答弁なんですね。  そのことの三点が、一応、私の今わかっている状況なんですけれども、今後も、今度の春の定点観測も続けていきたいと思いますが、ぜひこのことに関して、これを参考にしながら、私としては、知恵がありませんので、これを学ばせていただきながら委員会でできるだけ頑張りたいと思っておるんですが、石橋先生から、あるいは黒川先生からコメントをいただきたいと思います。
  84. 高木毅

    高木委員長 恐れ入ります。時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。どちらの先生で。
  85. 黒川清

    黒川参考人 ありがとうございます。  私も、更田さんになったとき、すぐにまたその本も持って伺いました。応援しているからしっかりやってよねという話を言ったんですけれども、あのとき、まだ読んでいなかったんですね、そうすると。  それから、繰り返し言うようですけれども、これは世界的なイシューなので、ぜひ人事をやはり海外と交流させてください。それを言っているんだけれども、なかなか、まあ下の人が嫌だと言うのかどうかわからないけれども。だけれども、することによって、グローバルなスタンダードをだんだんつくっていけばいいんですよ、一緒になって。これは人件費はほとんどかからないですから、同じ数交換しているだけですから。それはいいよねとみんな言ってくれますよ。  そうすると、あの起きたときの、最初のアメリカのニュークリア・レギュラトリー・コミッション、最初の六日間のミニッツが出ましたよね、後で。あれをさあっと見たんだけれども、あれも、全ての電話から全部録音してあって、それが全部起こしてあるんですけれども、そうすると、何かあったときに、自分たちだけじゃなくて、これはあいつに聞いた方がいいとか、どんどんどんどん固有名詞が出てくるんですよね。  だから、そういう、常に開かれた、交流しているということがやはりすごく大事なことで、自分たちだけでは決めないで、これはあの人に聞いた方がいい、これはあの人を呼んで聞いてみようと、どんどんどんどん出てきます。ああいうことを記録しているということは本当にすばらしいことだと感動的でしたね。福島で起こっていることについてと、ばあっとやっているんだけれども、ほとんど寝ないでやっているんじゃないかという記録が全部出てくるというのはすごいことだと思いました。  だから、そういう意味では、言った公開性は大事ですよ。だけれども、やはり国際性で、次の世代をつくってくるということを日本のイニシアチブでぜひやってくれということを言っているんですけれども、なかなか、何でこんな易しいことができないんでしょうかねというのは実に不思議ですね。  だから、これがやはり、日本一つこの事故から世界に貢献するというのは、次の、新しい国、トルコとかいろいろなところもつくりたがっているのはわかっているんだけれども、そのときのルールは誰がつくるの、オペレーションは誰がつくるのということになれば、そういう人たちがたくさんいることによってやはり新しい人をつくれると思っているので、ぜひそのきっかけをつくってほしいなと思います。
  86. 田嶋要

    ○田嶋委員 ありがとうございました。  どうもお疲れさまでした。
  87. 高木毅

    高木委員長 次に、藤野保史君。
  88. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  アドバイザリーの皆様、きょうは本当に、お忙しいところをありがとうございます。  早速お聞きしたいと思うんですが、アドバイザリー・ボードにお越しいただくのは実に昨年の九月以来ということで、一年三カ月ということになります。大変申しわけないと個人的には思っております。  先ほど石橋参考人から、国会事故調七つ提言実施計画という提案をいただきました。これもやはり大変重く私も受けとめさせていただきたいと思っております。  同時に、石橋参考人が、福島高校生が行われた取組も紹介していただきました。前回の二〇一七年六月のアドバイザリーのときも、石橋参考人は、福島首都圏高校生が三カ月かけて共同コメントをつくるというプロジェクトを御紹介いただきました。  私は、ここにわざわざこうやって毎回毎回こうした取組を紹介いただいているというのは非常に大事だなと思っておりまして、やはり、当委員会あるいはアドバイザリーの役割ということとあわせて、国民議論をどう興していくのか、国民的にこの原子力や核燃サイクルとどう向き合っていくのかという議論が非常に重要ではないかというふうに感じているんですが、石橋参考人にちょっとそこの辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
  89. 石橋哲

    石橋参考人 ありがとうございます。  今お配りいただいている私のパワーポイントの資料の一番初めの紙をごらんいただけるとありがたいのですが、これは国会事故調報告書でございます。私とサークル活動を一緒にしていただいている高校生の皆さん、中には小学生とか中学生もいましたけれども、彼らは国会事故調報告を読んでいます。  しばらく前に、ある先生に、国会事故調って何でないんですか、今と聞かれたことがありました。数年前です。私はすごく衝撃を受けました。それで、何で解散したんですかと聞かれました。  今先生おっしゃったとおり、我々、この事故を起こしたのは私たち世代ですので、私たちが責任を持ってやることなんだろうと思っていまして、ほかに転嫁する先はないというふうに思いますので、まさに国民議論というか、一人一人が自分のことだということを感じながら取り組んでいくということがすごく大事なんだなということを考えております。  以上でございます。
  90. 藤野保史

    ○藤野委員 六月十二日のアドバイザリーで、石橋参考人、こうおっしゃっていただいております。「大人と大人、大人と子供、多数と少数、個人と個人が本音で語り合うこと。そこでは立場などを介在させず、理由と根拠に基づく議論がウイン・ウインになるまで重ねられます。」という指摘がありまして、本当に、私自身の姿勢としてもこういう立場で取り組んでいきたいと思っております。  その上でなんですが、やはり、冒頭申し上げたように、この委員会自身は、国会のさまざまな動きの中で、一年三カ月開かれないということになりました。  これは四人の方に率直にお伺いしたいんですが、一年三カ月も呼ばれなかったということについてどのようにお感じですか。これは全員にお聞きしたいと思います。
  91. 黒川清

    黒川参考人 それはわかりません。これが憲政史上初ということですけれども、やはり国会議員の一人一人の方々が、憲政史上初ということは一体何なのかなということは、自分のこととは、それはなかなか難しいんですけれども。  私もちょっと今反省しているところがあって、やはり、委員長がかわるたびに何かいろいろ相談をして、どういうふうにこれを広げたらいいだろうかという話をもうちょっと相談した方がいいかなとちょっと最近思い出しておりまして、最近は、そういうところに、ツイッターとかいろいろなデジタルテクノロジーでどんどん広げられますから、そういう意味で、パブリックアウェアネスを広げることはすごく大事かもしれないと思いました。  もう一つは、きのう行ってきたイギリスの話でも、やはり、五年間で、最初十四人で始めたカウンセルですけれども、それが今グローバルに広がって、独立したNPOですけれども、イギリスのチャリティーとしてレジスターしていましたけれども、こういう人たちが中心になってそれぞれの国で広げていくと、やはりかなり全体のアウェアネスがふえてきたんじゃないかなと思っておりまして、そういう意味では、何かこのきっかけを、先生たちだけに任せるわけではなくて、やはりそういう、もうちょっと何かのアクティビティーをむしろ積極的にやった方がいいのかもしれないなとちょっと今考え始めたところです。  私の方も、これは渡してあるんだから法律上はお任せするよりしようがないなという気はしていたんですけれども、それはちょっとした感想でございます。
  92. 石橋哲

    石橋参考人 ありがとうございます。  なかなかタイミングがうまく落ちないというのは、いろいろな状況があるんだろうということを推察申し上げます。  ただ、事態というか事実はたんたんと、人の心にかかわらず、人の状況にかかわらずたんたんと物理的現象は進行しております。一方で、それぞれにかかわる方々の心の中への浸透ということも、深く広く進行しているというふうに思っております。それは、政治の状況であったりさまざまな御議論の状況を顧みることなく、容赦なく進んでいくということを考えています。  という中で、どうやって落とし込んでいくんだろうというふうに考えるんですけれども、やはり福島原発事故というのは、人類がなかなかこれまでに経験したことがなかったようなさまざまな現象が伴っておりました。  また、今回のこの国会事故調もそうですし、原子力問題調査特別委員会もそうですし、また、アドバイザリー・ボードが設置されるということも恐らく余り前例がないものだと思いますので、今までの議会のルールにとらわれず、新しくもう一回見直してみる、それは議院規則も含めてだと思いますけれども、新しい取組のあり方ということを御議論をいただくということも一つの方法なのではないかというふうに考えました。
  93. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 国会が大変な状況にあるというのを見ていますと、特に、党派、党略を超えて取り組む難しさというのがあるのかなというふうに実感して見ていました。  この問題、私は、今お二人が述べられたように、どこの政党の問題とか、どこの地域の問題とかじゃなくて、日本あるいは世界原子力を考える上で非常に重要な問題を議論する場だというふうに認識していただければ、非常にその重要性にわかっていただけると思うんですが、なかなか、実は私もこの調査委員会特別委員会のことを原子力の専門家の人に話しても、余り知らないんですね。そういう現実もありますので、これはぜひ回数を開いていただいて、実際に行動に移していただかないとなかなかやはり注目されないというところもありますので、ぜひ党派、党略を超えて、超党派で取り組んでいただくことをぜひお願いしたいと思います。
  94. 益田直子

    益田参考人 なぜ長期間にわたって開かれなかったのかということに対する見解ということですけれども……(藤野委員「いや、そうではないんです」と呼ぶ)あっ、それでよろしかったですか。(藤野委員「いや、感想で結構です」と呼ぶ)感想です。はい。  この原子力問題が優先順位が高いときに、もう実施計画まで立てて、それで進めていこうというふうにある程度の枠をはめないと、政治というのは、常にアジェンダの優先順位がどんどん変わっていくような場面においては、やはりどこかできちんとした計画を立てて、ある程度の枠をつくらないと、なかなか進めるのは難しいのではないかなという印象を受けています。
  95. 藤野保史

    ○藤野委員 ありがとうございます。  それでは、ちょっと鈴木参考人にお伺いをしたいと思うんですが、先日、フランス政府が、日本などとともに進めてきた次世代の原子炉、ASTRIDについて、二〇二〇年度以降の計画を凍結するという意向を伝えてきたというふうに報道されております。  これが、日本政府自身は二〇一六年に「もんじゅ」を廃炉決定したわけですけれども、その後継というふうに日本政府としては位置づけて、国会でも答弁してきたわけですが、今回のフランス政府の決定というのが、日本のそういった後継という、あるいは核燃サイクルのあり方について、どういうインパクトがあるのかというのを教えていただければと思います。
  96. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 高速炉の研究開発というのが、世界的に見て、必要性あるいは緊急性がなくなってきているというのが背景にあるというのがまず第一だと思います。  一方で、原子力を積極的に進めてきている国、中国とロシアとかインドとかの、その開発の延長線上に高速炉は今でも確かにあることも事実ですので、日本がもし長期的に原子力を進めていくのであれば、研究開発を続けるということの意義は私はあると思います。  三番目に、ただ、私は、福島事故を経験して、原子力の研究開発の必要性優先順位をやはり考え直さなきゃいけないと思いますので、それを考えますと、高速炉の優先順位はぐっと下がるんではないかと。経産省やメーカーさんが関心を持ち続けるということは、それは私はよくわかるんですが、日本全体を考えた場合、あるいは世界全体を考えたときに、事故の経験を踏まえて、何が今研究開発に求められるのかということを考えますと、まずは、日本であったら、まず第一に福島の廃炉問題ですね。それから廃棄物処理、それから、プルトニウムも含めまして、どうやって廃止措置を進めていくかとか、そっちの方が優先順位は高いと思うんですね。だから、そういう議論が進んでいないことが、結果的に今のような議論につながっているのかなと。  最後は、たとえ高速炉や燃料サイクルの研究開発が必要だとしても、一番の福島事故の教訓は、基礎基盤技術をきちんと蓄えるということが大事で、自分の判断で、自分で原子力技術をちゃんとマスターしていくということの重要性ということを福島事故は教えていると思うんですが、それなのに海外の研究開発のプロジェクトに依存するような研究開発計画を立てることに非常に私は違和感を感じています。  高速炉が必要であれば、基礎基盤研究をきちんとまず日本でやって、それでASTRIDがもし出てくれば、それはASTRIDに協力してもいいと思いますが、基礎基盤研究が弱いですね、日本は。そこをまず強化することが大事じゃないかと思います。
  97. 藤野保史

    ○藤野委員 もう一問鈴木参考人にお願いしたいんですが、配付していただいた資料で、最後のところで、プルトニウムの問題が国際安全保障上極めて重要な問題であると。いわゆる社会影響も含めた客観的で総合的な評価が必要であると指摘いただいているんですが、この点について、もう少し詳しく教えていただければと思います。
  98. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 これは、実は私が原子力委員会にいるときにも提言しているんですけれども、プルトニウムをエネルギー政策として見る見方と、それから安全保障政策として見る見方が、実は対立しているわけですね。今はエネルギーとしても価値がなくなってきていますけれども。それをもし評価するとすれば、国際安全保障の専門家も必要ですし、原子力の専門家も必要だと。そういう場がないんですね。  それから、もし六ケ所再処理工場をどうするかという議論になってきますと、青森県に与える影響とか、それから、使用済み燃料をどうするかというと、今使用済み燃料を抱えている地方自治体のことも考えなきゃいけない。今度は、それは国際安全保障の専門家ではだめで、地方自治の専門家とか地方経済の専門家も必要になってくる。廃棄物処分をどう考えるか。今度は、廃棄物処分になってくると、次世代倫理とか、又は社会学的、哲学的な議論も必要になってくる。それらを総合的に評価しないとこの使用済み燃料問題はなかなか解決がつかない。そういう場が日本にはないということで、そういう場をつくるべきであると。  GAOのお話がありましたけれども、国会ですとそういう縦割りを超えた委員会がつくれるのではないかということで、ぜひつくっていただきたいというのが私の希望です。
  99. 藤野保史

    ○藤野委員 ありがとうございます。  この一年三カ月の間に新しいエネルギー基本計画も出てきましたし、出てきたんだけれども、前回と同じ、原発の比率は二〇から二二パーということであります。非常に興味深かったのが、原産協会の会員に世論調査をしましたら、原産協会の約半数の、五〇%の方が二〇三〇年の二〇から二二%は厳しいというお答えをされていて、なるほどと思いました。  先日、十二月の三日に、「もんじゅ」の後継について議論している経産省の作業部会がありまして、この作業部会で戦略ロードマップの骨子案が示されました。しかし、その骨子の中では、後継と位置づけていたASTRIDについては言及がないということでありまして、私、正直言って驚きました。  日本政府というのは、いわゆる、先ほどお話も出ましたけれども、再稼働に伴う使用済み燃料の問題やその他、廃炉に伴うさまざまな放射性廃棄物の問題、いろいろな問題が先送りされる中で、再稼働だけはたんたんとそれこそ進んでいるということで、この国会事故調の中にも実は先送りという言葉が何カ所も出てまいります。初めのところにも出てくるし、結論のところにも出てくるし、津波対策のところにも出てくるし、全電源交流喪失の規制のところにも出てくる。要するに、先送りしていったときにこれが起きてしまったというのが非常に大きなメッセージだというふうに私自身は受けとめております。  これは四人の参考人の方にそれぞれお伺いしたいんですが、やはりこの先送りという点がこの事故の後あるいは事故調の報告の後も繰り返されているように思うんですが、この点についてどのようにお感じでしょうか。
  100. 黒川清

    黒川参考人 ありがとうございます。  実は、先送りというのは、先ほど言ったように、日本社会的な組織からいうと、自分で決めたくないんですよ、自分のいるときに、都合が悪いことはというか、迷うことは。それで、私、決めるなんという、それがアカウンタビリティーなんですよ、実を言うと。日本は説明責任なんといって、あんなのは典型的な誤訳で、説明すればいいというニュアンスでしょう。違いますよ。誰が決めたのかという責任がはっきりしているんですよ、よその組織は。社長じゃなくても、部長、決めたねという話があるわけでしょう。一度も決めたことのない人たちが上がっているんですよ、今、イエスマンだったから。だからそれは、議論はするけれども決めないという人たちがずっと今までなっていたからですね。だから、それで起きちゃうんですよ。  つまり、責任の所在がはっきりしていないんですよ。これが、大企業もそうだし、特に役所はそうだから。だから、それで先送り先送りで常に来ているんですね。だから、今でもたくさんのことが先送りされているでしょう。これだけ借金をつくっちゃってどうするのとか。やはり、そういう話を誰が責任を持って決めるかというのは、それは役所じゃないですよ、それは本当をいえば。会社もそうですよ。だから、最後になってどたっと潰れちゃうわけでしょう、東芝もそうだけれども。  だから、議論した上で決める人が決めるという、組織がちゃんとしていないんですね。だから、そこが一番の問題だと思います。
  101. 石橋哲

    石橋参考人 ありがとうございます。  民間企業ではコストということがすごく意識されます。収益からコストを引いて利益が残るということです。そのコストの中には、単純にお金が出ていくということだけではありません、時間もコストです。先送りをすれば時間コストが累積していきます。先ほど、前半の方の御議論でありましたけれども、規制庁規制委員会のやらなければいけないことがたくさんあって、人的リソースがひょっとしたら不足していてどんどん時間がかかっていく、これも時間コストです。同じ問題だと思います。  以上です。
  102. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 先送りという言葉は、今のまま、そのままの状態で動くというイメージでいると思うんですが、もう既にお話あったみたいに、実は動いているわけですね。だから、決めなきゃいけないことと決めなくていいものを区別することと、決めないかのようにして実は意思決定を続けているということなんですね。  そのときに先送りになっちゃうのは、今のお二人のお話にありましたけれども、専門家の言葉で言うと経路依存性というのがあるんですけれども、今までの過去のルートに乗っかっていれば一番安心できるというシステムなんですね。変えることはすごいエネルギーがかかりますから。そうすると、決めていないように見えているんですけれども、実は過去の決定をずっと引きずっているので、実は社会的には決定しているということなんですね。  これを変えない限りは、ずっと決定が続く。先送りというのは、決定していないように見えますが、私は、ずっと決定を続けているというふうに解釈しているので、とんでもないと思います。
  103. 高木毅

    高木委員長 益田参考人。よろしいですか。  藤野君、よろしいですか。
  104. 藤野保史

    ○藤野委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  105. 高木毅

    高木委員長 次に、足立康史君。
  106. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  大分時間もたっておりましてお疲れかと思いますが、私が最後のバッターですので、御協力をよろしくお願いしたいと思います。  私も、このアドバイザリー・ボード、もっと頻繁に開いたらいいと思います。大体、ふだんやっている質疑よりもよっぽど有意義だと思いますので、ぜひ、田嶋先生おっしゃったように、通常国会ではもっと頻度を上げてやっていければ、こう思っております。  それで、四先生いらっしゃいますので、黒川先生からいくと黒川先生だけで終わっちゃいそうですので、益田先生からちょっと順番にお伺いをしたいと思います。  益田先生、いろいろ行政監視の話、専門的にずっとやってこられたということで、大変御見識だと思うわけでありますが、日本は本当にだめで、例えばアメリカのGAOは、私も留学していたときによく勉強しましたが、すごいですね、あの調査力は。それに対して、一応、会計検査院という、言葉尻でいえば日本にも会計検査院がありますが、あの森友学園の検査を見ていると、全くだめですから。  だから、僕はやはり、これは憲法機関ですから、憲法改正の議論の中でまた会計検査院の位置づけ、これはまさに国会に附属させることも含めて、しっかり議論をしていかなあかんと思いますけれども、一方で、日本には、地方公共団体には住民監査あるいは住民訴訟制度があります。でも、日本は、憲法で会計検査院が規定されているから、国民訴訟制度国民監査制度というのはないんですね。だから、我々がというか国民が頼りにできるのは会計検査院だけです。国会とね。  ところが、その会計検査院ができが悪いので、日本の会計検査院についてちょっと御所見を。批判的御所見で結構ですから、お願いします。
  107. 益田直子

    益田参考人 まだ日本の会計検査院については研究途中ですので何とも申し上げられませんけれども、ただ、申し上げられるのは、それなりの合理性があるんだと思います。もちろん、有効性検査も行っています、会計検査院は。でも、基本的には、効率性検査とか財務面の観点からさまざまな貢献をなさっているというふうに考えています。  ただ、GAOは、そこを超えて、じゃ、財務面で、予定されていたようにお金が使われたけれども、その結果どんな効果があらわれたのというところを重視するようになったのは、やはり議会からの要請によるものだと思います。
  108. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  まさにそういう意味では、今の憲法機関たる会計検査院というのは、憲法機関であるがゆえに、ゆえにというか、そういう独立性が憲法で規定されているがゆえに、ちょっと頼りないというか。  ぜひ益田先生、これから日本の会計検査院を調査されるときは私に聞いてください。大分この森友学園の関係でずっと会計検査院とやりとりがありました。本当にやる気ないですからね。だから、この間、再検査ということで、参議院から森友学園の再検査をしてくれと頼まれたんだけれども、そこで先日、再検査の報告書が出てきましたけれども、すかすかですからね。  だから、それはまた、益田先生、ゆっくりお願いしたいと思います。  鈴木先生、この虎の絵、田嶋先生から大変高い評価を得たこの虎の絵ですけれども、私は余り評価しません。  このおりの中にいる虎は、二匹いますけれども、高速炉で処理すれば、十万年が三百年、まあ四百年かわかりませんが、要は、十万年という毒性、それと三百年、四百年という毒性は、これは一匹、二匹の問題じゃなくて、虎がアリンコみたいになるわけですよ。  だから、私は、おっしゃるリスクの考え方はわかりますが、でも、きょうお話がるる出たような民主主義の限界というものを考えると、やはり、十万年の毒性というのを次世代にそのまま引き継いでいくというのは、これはもう絶対に僕は認められない。  だから、どんなことがあっても、高速炉に関する研究開発は投資をして、十万年の毒性を三百年、四百年にする、虎をアリンコにする作業は、これはもう党派を超えて、義務だ、我々の政治の責任だ、こう思いますが、いかがですか。
  109. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 理論上は、御指摘の十万年を何百年にするということは、確かに認められているんですね。  問題は、本当にそれが実現するかどうか。もうこれは四十年以上海外でも研究されてきて、基礎基盤をちょっと超えた範囲ぐらいのところまで来た。将来、ひょっとしたら実現するかもしれないという状況です。  実現したときの高速炉は、確かに魅力的かもしれない。でも、そこへ行くまで幾らお金がかかるか、あるいはそれがどれぐらい効果があるのか、本当に三百年になるのかということは、まだ誰もわからないという状況です。それに全ての今の原子力をかけるのかというのが私の疑問です。
  110. 足立康史

    ○足立委員 高速炉について、もう一言。  高速炉自体は、小型の高速炉とか今いろいろな議論があって、経済性の観点から今は軽水炉が商業化されてきたわけですけれども、そういう経済性ということをちょっと脇に置くと、僕は今でも、一定の高速炉に関する議論がされてきたし、できていると思うので、僕は、先生がおっしゃるほど、高速炉というのはどうなるかわからないものだとは余り思っていないんですが、先生の、きょう紙で書いていただいた、科学的根拠は薄いと、今おっしゃったことは、先生の御見識なのか、もう世界じゅうがそういう認識だ、高速炉はもうだめだ、要は、科学的にそこにかけるのは余りにそれは見通しがないという、その辺の相場観はどうですか。
  111. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 まず、高速炉はもともとは増殖が大きな目的です。それが一番、高速炉の持っている第一の特徴です。それは、ウランが希少なときは世界じゅうが取り組んでいました。今はウランはだぶだぶで余っていますので、そういう面からいって、高速増殖炉のまずニーズはがくっと減っていますので、世界じゅうで取り組んでいく必要はなくなってきた。必要がないだけであって、やりたい人はやってもいいんです、もちろん、技術者として。  二番目に、高速炉を維持しようとする人たち廃棄物減容とか有毒性の話を最近し始めたんですね。最初はなかったわけです。でも、最初から実はメリットとしては含まれています。  私が言いたいことは、研究開発を否定しているわけではありません。今原子力政策で一番問題なのは、研究開発でやることを現時点の再処理政策にくっつけていることです。  現在の再処理は、むしろやることの方が、先ほどお話ししましたけれども、高速炉のメリット、百歩譲って全部実現することを認めたとしても、軽水炉だけでやってしまうと、リスクはかえって高まり、廃棄物もふえてしまうんですね。それもちゃんと経産省や電力会社は説明すべきだというのが私の言いたいことです。それを知った上で今の再処理を進めるならば、私は、それは社会の選択ですからいいと思いますが、そこを隠して、高速炉のメリットだけ言って、それで今の再処理を進めるというのは、これはおかしい。  それから、廃棄物減容について言えば、今おっしゃっているのは核変換の話ですから、実は日本は、八〇年代から日本原研でオメガ計画というのがあって、基礎研究でずっとやってきています。これは加速炉を使ってやるやり方で、これは今でも原子力研究開発機構でやっていまして、そっちの方がひょっとしたらうまくいくかもしれません。  したがって、目的によってオプションはいろいろありますので、高速炉だけが目的ではありません。  それから、もっと言いますと、使用済み燃料を減らしたいというのであれば、高温ガス炉も十分に価値があります。  したがって、何を目的とするかによって研究開発のオプションはいっぱいあるので、高速炉だけにかけるということはリスクが高いと私は思っています。
  112. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  私自身は、これまでまさに発電のための高速炉、いろいろな次世代炉が議論されてきて、減容化とか毒性の低減というのはその副産物みたいなことでしたが、先ほど申し上げたように、十万年を四百年に、三百年にするというのは我々政治の責任だと思っているので、むしろ主目的が毒性の低減であって、いや、電力は副産物で生まれてくる、それぐらいの思いで高速炉、次世代の炉について議論すべきだと私は思っています。これはちょっと個人的意見です。  時間の関係で、あと石橋先生と黒川先生に、石橋先生から先にお願いしたいんですが、きょう、実は国会政治が今何をやっているかというと、来年の参院選に向けてバトルが始まっています。来年の参院選に向けて、席を外されましたが、阿部知子先生とか……(発言する者あり)あっ、いらっしゃった。見えなくて済みません。隠れていました。最近仲がいいんですけれどもね。原発ゼロ法案というのが、これは立憲民主党か……(発言する者あり)野党四党。野党四党で原発ゼロ法案というのがつくられていまして、これが来年の参院選に向けて、枝野代表なんかに言わせると、これに乗れるかどうかだと、一人区は、こういう政治情勢になっているわけです。  ただ、私は、石橋先生、あるいは世界を飛び回っていらっしゃる黒川先生からすれば、僕はこれはナンセンスだと思うんですね。  先ほど御紹介あったドイツ、あるいはイタリア、あるいは台湾、いろいろな動きがありますが、日本ほどの大国が原発ゼロにかじを切るというのは、世界潮流からして、僕はあり得ないと思うんですよ。  だから、極めて、超党派で冷静な議論をするときに、まさに参院選に向けて原発ゼロ法案をかざして動いているのが、今、野党の四党ですよ、四会派ですよ。  だから、私は、それをちょっと、両先生にきょうは一発かましておいてほしいんですけれども、どうでしょうか。
  113. 石橋哲

    石橋参考人 済みません、私、最近新聞を読んでおりませんで、世の中がどのように動いているのかはよく把握をしていないんですが、一つ今のお話をお聞きして思ったのは、プラスをふやすということを民間企業がやるというのは、すごくわかりやすいです。マイナスを減らすということを誰がやるのかというのは、多分誰もやりたくないです。先ほどの高速炉の減容化というのは、マイナスを減らすという話なので、多分誰もやらないです。やるんだったら政治だと思います。  ゼロ、そうじゃないという議論は、そこは多分国民的な関心事だと思いますので、活発な御議論をやっていただければよろしいのではないかと思いつつ、思いつつなんですけれども、いずれにしても、目の前にある、今あるのをどうするのというのは避けて通れない議論になると思いますので、ゼロ、そうじゃないという御議論に加えて、では今目の前にあるものをどうするのかということについての選択肢をぜひ有権者にお示しいただけると、投票する私どもの方も投票しやすいというふうに感じる次第です。  以上です。
  114. 黒川清

    黒川参考人 ありがとうございます。  実は、この間、北海道でブラックアウトしましたね。九電で、FITの、フィード・イン・タリフの後、またやりましたね、九電が。入れなかったでしょう。なぜあんなことが起こるんですか。  あれは、本土では、九の会社がみんな独占しているからでしょう。グリッドをつくっていないことなんですよ。大体、グリッドをつくるのが一番先ですよ。それに投資をしろと前から言っているのに、あの、七年たっても何にもやらない。もうとんでもない。なぜかというと、どこかに利権があるからじゃないですか。  だけれども、グリッドをまずつくれば、これからは、リニューアブルは、その場所で非常にいいやつをどんどん使うべきなんですよ。風がいいところ、海がいいところ、それからソーラーがいいところ、ジオサーマルがいいところ。それを、ベストエフォートをやった上で、これから高齢社会になってくる日本にどれだけの電気が必要なのかということで、例えば四つだけつくりましょうとかいうことを言うんだったら納得できると思うけれども、日本の場合は、一つ始めると、そこにまた利権ができて、いつまでもやるんですよ。  だから、ストップできるメカニズムはあるんですか、日本には。私はそれを常に聞いているんだけれども。それは国会の仕事ですよ、もうこれはやめようと。だから、最初から全部計算してこれだけにしますというんだったら、みんな納得するんじゃないですかね。  それは、グリッドをつくることが一番最初ですね。それにまず投資しないで、何を言っておるのかねという話だと思います。
  115. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  グリッドの話は御指摘のとおりだと思います、特に再生エネルギーの活用については。  ただ、繰り返しになりますが、世界は、中国、ロシア、インド、そして先ほどあったイギリス、アメリカ、それは原子力で回っているわけですよ。安全保障の問題もある。  きょう、鈴木先生がリスクということをおっしゃいましたが、原子力を推進するリスクというのはもちろんありますね。でも、原発ゼロのリスクって僕はあると思うんですよ。原発ゼロにもリスクがあるわけです。そういう国民が直面するリスクというものを全部テーブルの上にのせてちゃんとした議論は、国会はなかなかできていません。それで、繰り返しになりますけれども、参院選に向けて、原発ゼロ法案が旗になろうとしていると。  私は別に、政府のような原発推進派ではありません。  最近の東電の、例えば処理一つ福島第一原発処理一つ海洋放出ができないのが今の国会であり、今の政府であり、今の東電ですよ。だから、ちゃんとできないんだったらもう無理かな、もうやめた方がいいかなとも思うんだけれども、でも、世界潮流を見て、原発ゼロのリスクも勘案すると、私はやはり、政治の責任で、原子力エネルギー、原子力技術はやはりキープすべきだし、そのために、先ほど申し上げたような、高速炉を始めとする次世代炉の研究開発ではお金を投じるべきだ、こう思うわけですが、最後、もうあと三分ほど、ちょっと鈴木先生と黒川先生に、もう私が最後ですから、きょうの参考人質疑の、言い残したことをちょっと言っていただければと思います。
  116. 鈴木達治郎

    鈴木参考人 一つ、最初、さっきの、ごめんなさい、答え、しなかったんですけれども、きょうここでお話しした、核変換に対する高速炉のあれについては、私個人の意見もありますけれども、もう既に、全米科学アカデミーとかイギリスのロイヤルアカデミーとかで二十年ぐらい前から研究されている結果に基づいてしゃべっていますので、それなりに科学的な根拠はあって、廃棄物の専門家の方はみんな御存じだと思います。  それから、世界原子力潮流について、私の個人的見解は、温暖化を考えた場合に、原子力がないと確かに厳しいと思います。ただ、一方で、その役割はそんなに大きくはなくなってきている。  IAEAの長期予測を見ても、二〇五〇年までの長期予測を見ると、もう千ギガワットいかなくなっちゃったんですね。今八百ちょっとぐらいしかないんです。そうすると、原子力のシェアは、今はもう一〇%なんですが、間違いなく落ちます。(足立委員世界レベルで」と呼ぶ)いえ、発電量に占める原子力の比率が。  だから、原子力がないと厳しいですが、原子力だけに頼っているのはだめだというのが私の見解です。
  117. 黒川清

    黒川参考人 もう一つ、至近の話なんだけれども、今、入管法が入っているじゃないですか。この人たち、ちゃんとそんなところに行かないようになっていますかね。ちゃんとしてくださいよね。スパイとかいろいろな話もあるんだけれども。やはりそれは幾つか、何例かありましたよね。こんなこと、今やはり、東電の人たちが再稼働しているところにオペレーターはみんな行くんじゃないかと思うんだけれども、足りないところをどうするのという話が、問題があるので、それだけじゃなくて、大きく構えてぜひ議論をしていくのが大事だと思います。
  118. 足立康史

    ○足立委員 以上で終わります。ありがとうございます。
  119. 高木毅

    高木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  参考人方々は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。      ————◇—————
  120. 高木毅

    高木委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  原子力問題に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 高木毅

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 高木毅

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 高木毅

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会