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伊藤孝恵君
民進党・
新緑風会の
伊藤孝恵です。
私は、
会派を代表し、ただいま議題となりました
平成三十年度
予算三案に対し、反対の
立場から討論を行います。
参議院に本
予算が付託された二月二十八日、
安倍総理は、働き方改革関連法案から裁量
労働制の対象業務拡大を削除する方針を表明されました。
今
国会は、
安倍内閣最大のチャレンジ、働き方改革
国会だなどと喧伝し、
総理自ら、裁量
労働制で働く人の
労働時間は一般
労働者より短いなどと
答弁されてきましたが、それは極めてずさんかつ恣意的なデータをよりどころとしていたことが白日の下にさらされました。根拠となるデータの
信頼性がないのであれば、立法の合理的
理由もありません。同じく立法事実のない高度プロフェッショナル制度、いわゆる残業代ゼロ法案についても速やかに削除し、働く者の
労働時間実態を再
調査の上、その規制の在り方については
労働政策審議会での議論からやり直すべきです。働く者の命に関わる問題を虚偽データで押し切ろうなどということは決してお考えにならないでいただきたいと思います。
また、
財務省の
森友学園文書改ざん問題については、昨日の
佐川前
国税庁長官の
証人喚問を経て、謎は一層深まりました。
前例を究極に重んじる
財務省が異例、特例ずくめの
決裁を行った謎、
決裁文書にのっとって慎重に
答弁するはずの官僚が、先に
国会答弁があって、その整合性のために改ざんを行ったと謝罪する謎、重要なことしか書かない
決裁文書にたくさんの政治家や
総理夫人の名前を記しながら、政治的
関与は一切なかったと言い切る謎。そして、何より謎なのは、
真相解明が必要だと口々に言いながら、学園との交渉当時に
理財局長だった迫田氏や近畿
財務局長だった武内氏、
夫人付
職員だった谷氏、現
総理大臣秘書官の今井氏に加え、肝腎の昭恵
夫人など、
真相を知り得る人物の喚問は必要ない、第三者機関による
調査も特別
委員会も設置しない、全て
財務省の
責任だとトカゲの尻尾切りに腐心し、急ピッチで幕引きを図る
政府・与党の姿です。
このようなデータの捏造や
公文書改ざんもいとわない政権運営が続けば、政治や
行政の
信頼回復はかなわず、民主主義を重んじるこの国が壊れます。今必要なのは
安倍内閣の早急な退陣であることを申し上げ、以下、本
予算に反対する
理由を申し述べます。
第一の
理由は、財政健全化目標なき
予算編成である点です。
政府は、本
予算において三十年度の税収を、名目成長率二・五%を前提に、前年度より一・四兆円増加の五十九兆円と見込んでおりますが、民間シンクタンクによれば、名目成長率は一%台半ばというのが大方の予想です。直近の二十九年度第四・四半期の名目成長率も年率一・一%であり、
政府の楽観的な見通しによって年度途中で赤字国債の追加発行に追い込まれる可能性を否定できません。
歳出面における取組についても、既に限界が
指摘されている金融緩和頼みのアベノミクスを前提とした利払い費の減額などにとどまり、財政健全化への本気度は全く感じられません。いつまで子や孫に借金を押し付け続けるおつもりなのでしょうか。
第二の
理由は、格差是正に取り組む姿勢が感じられない点です。
本
予算は、生活保護費の五%削減や、中間層を含む一部
労働者のみに追加的負担を求める所得税制の改悪も盛り込まれました。取りやすいところから取り、それを箱物偏重の
予算財源にするなど、言語道断です。
第三の
理由は、子育て世代の不安解消に資する取組が不十分な点です。
本
予算には三十二万人分の保育の受皿を整備するための経費の一部が計上されておりますが、それらが十分でないばかりか、数以上に大切な保育の質、それをどう担保していくのかの観点が欠けており、子育て安心プランとは名ばかりの内容になっています。
第四の
理由は、専守防衛原則の転換を疑われる内容が盛り込まれている点です。
本
予算には、唐突に長射程巡航ミサイルの取得費用二十二億円が盛り込まれました。そもそもこのような装備については
予算計上する前の段階で
国会における慎重な議論が必要であり、到底容認できるものではありません。
我々
民進党は、働く者や生活者の声が反映される立法府を守るため、今後も追及を続ける
決意を申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)