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石橋通宏君
立憲民主党・
民友会の
石橋通宏です。
ただいま
議題となりました働き方改革
関連法案に対し、
会派を代表して、そして、今この瞬間にも全国各地でこの
法案に
反対の声を上げている多くの
国民、働く仲間の
皆さんの思いを代弁して、断固
反対の
立場で
討論をいたします。
初めに、
法案の
審議がまだ全く不十分であるにもかかわらず、そして、
国会の会期が大幅に延長されて、まだ幾らでも
日程があるにもかかわらず、厚生
労働委員会での
審議が多数の力によって終局とされ、
採決が行われたことに怒りを込めて強く抗議します。
厚生
労働委員会では、熟議の府参議院らしい
審議を真摯に積み重ねてきました。しかし、これだけ大事な
法案の
審議だからこそ、時間ありきではないはずです。ここに至っても
審議は尽くされていません。それは、取りも直さず、八本もの
法案を一本にまとめて
国会に出してきた、その上さらに、データ偽造問題などで
国会を混乱させた
政府・与党の責任じゃありませんか。
問題はそれだけではありません。
審議しても
審議しても議論が深まらないんです。
委員会での
審議を通じて私
たちは
法案の数々の問題点を明らかにしてきました。その多くは、これまで
安倍総理や加藤厚労大臣が
国民に対して
説明してきた
法案の
目的やメリットと完全に矛盾する問題だったんです。だからこそ、
政府は、丁寧かつ真摯に
答弁する責任があったはずです。それにもかかわらず、
政府の
答弁は、
衆議院段階からの
答弁をテープレコーダーのように繰り返すばかり、加藤大臣は最後まで御飯論法、これで
国民の
理解や納得が得られるわけがない。
国会審議を軽視し、最後まで聞こえのいい美辞麗句ばかりを並べて
労働者を欺こうとする安倍政権の
姿勢を強く糾弾して、以下、
反対の
理由を申し述べます。
第一の、そして
反対の最大の
理由は、やはり高度プロフェッショナル
労働制の問題です。
審議を通じて、改めてこの高プロ制度が、定額働かせ放題そのもので、過労死促進につながる戦後最悪の
労働法制大改悪であることが明らかになりました。
高プロは、時間ではなく成果で評価される制度などでは全くありません。単に
労働時間の制約を一切取り払い、残業代なしで時間制限なく働かせることを可能にするためだけのとんでもない制度です。成果で評価することも、時間で評価してはいけないことも、明文の
規定などどこにもありません。頑張って働いて、同じ期間に二倍、三倍の成果を出しても、二倍、三倍の報酬を出す必要などどこにもありません。一体どこが成果で評価される制度なのでしょうか。
高プロの対象者が、強い
交渉力を持つ超高度な専門職に限定される
保証などどこにもありません。対象業務は省令で
拡大できる上、年収要件の目安とされた一千七十五万円にも根拠は全くなく、通勤手当や住宅手当など、諸手当込みで賃金額を決めれば、やりようによっては基本給何と八百万円以下の
労働者にも適用が可能です。どこが高度なプロフェッショナルですか。将来的な
拡大にも全く歯止めがありません。
自由で裁量ある働き方も、どこにも
保証はありません。使用者が
労働時間に関わる業務命令を出してはいけない
規定など、どこにもありません。そもそも、達成すべき成果を決めるのも、その達成期限を決めるのも、使用者の権限なんです。過労死レベルの働き方をしなければ達成できないような成果と期限を課すことを禁じる条文などどこにもありません。
その上、高プロは、新規採用や中途採用でも何と適用可能です。しかも、高プロへの同意を採用
条件にしてもよくて、同意しなければ不採用とすることも全くおとがめなしなんだそうです。一旦入社して、嫌なら後で撤回すればいいという
政府の無責任な
説明には、ただ愕然とするばかりです。
政府は、本人同意があるから大丈夫、同意の撤回もできるから大丈夫、繰り返し宣伝しています。しかし、それも全く根拠はありません。同じ制度で運用されている企画業務型裁量
労働制で過労死や精神疾患が続出しています。その事実を知っていながら大丈夫だと喧伝しているのであれば、それは詐欺に等しく、断じて許せません。
高プロ適用
労働者には、実
労働時間が把握されません。この問題は実に深刻です。過労死で倒れても、
労働時間の証明ができないので、労災申請も裁判も困難なんです。万が一のとき、一体どうやって健康管理時間から実
労働時間を算出するのかという我々の質問に対し、
政府はこう
答弁しました。パソコンのオンオフで見る、本人に聞いてみる、挙げ句の果てに、管理者が対象
労働者の
労働時間を現認する、そんなふざけた
答弁を
国会の場で平気で言い放つほどずさん極まりない
法案であり、とんでもない制度なんです。
今週、
安倍総理がついに真実を語りました。高プロは、産業競争力
会議で
経済人などから
意見があり取りまとめられた、経団連会長らから高プロを導入すべきと御
意見をいただいたと。
労働者の希望やニーズに応えるための制度だ、これまでの
説明は全くの虚偽だったんです。
どおりで、本当に残念ながら、過労死家族会の
皆さんの面会要請を拒否していながら、その一方で、財界人との会食には喜び勇んで出かけていくはずです。いまだに家族会の
皆さんに会おうとせず逃げ回っている
安倍総理の
姿勢が、高プロ制度の真実の姿を見事に物語っています。
結局、安倍政権は、財界からの要望に応えるために、
労働時間等総合実態調査の調査結果を都合よく捏造し、JILPTの調査結果は都合が悪いから隠蔽して、さらに、
労働者の要望をさも聞いたかのように、
法律の骨格ができ上がってしまってから十二人のヒアリングをでっち上げた。高プロの立法事実を捏造していたのであれば、これはもう
法案の撤回どころではありません。今すぐ
国民に謝罪をして、内閣総辞職すべき大問題です。
反対理由の第二は、本
法案が、
現行の裁量
労働制の深刻な制度的欠陥を放置して、何ら
対策を講じていないことです。
この間、裁量
労働制の適用
労働者に過労死や精神疾患など、健康被害が
拡大しています。しかし、労災の申請がなされ、支給決定となるのは氷山の一角と言われています。実
労働時間の把握が困難で、申請にすらたどり着けず、泣き寝入りせざるを得ないからです。
厚生
労働省も、
現行制度がそもそもの制度趣旨に反して濫用、悪用されている実態を認めています。制度的な欠陥があるからです。では、なぜその欠陥をこの
法案で埋めないんでしょうか。
いや、一部埋めようとしたんです。しかし、その大切な
規制強化まで、
安倍総理の鶴の一声で撤回してしまいました。加藤大臣、なぜ体を張って止めなかったんですか。恐らく、大臣自身、中身を
理解していなかったんでしょうね。残念ながら、厚生
労働大臣失格としか言いようがありません。
理由の第三は、残業時間の上限
規制について、残念ながら、それが真に
実効性ある長時間
労働削減策になり得ていない問題です。
私
たちも、上限
規制が導入されることは歓迎しています。しかし、特例水準が過労死水準を超える水準であること、それが安易に適用されて悪用されたら、四週間に百六十時間もの残業が可能になってしまうことはやはり大問題です。
その抜け穴を埋めるためには、特例水準適用の厳格化や勤務間インターバル
規制の義務化、一日当たり、一週間当たりの上限
規制の設定が必要であるにもかかわらず、大臣は最後まで積極的な
答弁をしませんでした。
また、自動車運転手や建設
労働者など、一部
労働者に対して上限
規制の適用を五年間も猶予すること、その上、自動車運転手については、五年後の上限を休日
労働を含まない九百六十時間としていることも大問題です。命や健康の大切さは同じなのに、ダブル
スタンダードで異なる
労働時間
規制を適用し、
労働者を差別することなど、絶対に許されません。
理由の第四は、
政府案にパワハラ
規制を含むハラスメント
規制に対する
規制が盛り込まれていない問題です。
今この瞬間にも、パワハラ、セクハラ、そして顧客やユーザーからの過剰クレームによって精神的に追い詰められ、苦しんでいる
労働者がいます。命に関わる深刻な問題も発生しています。それにもかかわらず、
政府案には
規制が含まれていません。これでは到底
労働者のための
法案と言えません。
以上、数ある
法案の欠陥の中から幾つかの重要事項に絞って
反対の
理由を申し述べました。
最後に、いま一度、同僚議員の
皆さんに申し上げます。
労働時間の大原則は、一日八時間、週四十時間です。そして、その時間内で働けば……