○小川勝也君 立憲民主党・民友会の小川勝也です。
ただいま議題となりました
卸売市場法及び
食品流通構造改善促進法の一部を
改正する
法律案に対し、会派を代表し、
質問いたします。
昨年から今年にかけて、国会では森友、加計問題が注目され、いよいよ安倍総理の進退の段階まで来ました。
世界で最も優秀とされる霞が関の官僚が、公文書を破棄、改ざんしたり、誰かをかばうために国会で虚偽の
答弁をしたり、
国民の政治、行政に対する信頼はまさに地に落ちています。財務省の決裁文書改ざん問題も、国有地の大幅値下げ問題も、加計学園の獣医学部設置の
認可も、なぜなされたのか、全容は少しも解明されていません。多くの
国民が
政府を信頼できなくなっている今こそ、国会が全てを明らかにする責務を背負っていることを与野党問わず厳しく自覚するべきであります。
さて、そんな中で、どうしても
理解できない
法案が昨年成立してしまいました。それは、主要農作物種子法の廃止
法案であります。
国民の命の源である食料、その源が種子です。種子こそが戦略物資化される
世界の潮流の中での廃止
法案、びっくりいたしました。今、野党各党で衆議院に復活
法案を
提案しているところでございます。
そして、いま一つ
理解し難い
法案が、ただいま議題となっております
卸売市場法の
改正案です。
食料の
供給、分配は、まさに生命の存続に関わることであり、その
ルール作りは、洋の東西を問わず大変重要な歴史上の政治課題でした。飢饉があったり、強力なリーダーが誕生したりと、人類は紆余曲折を経て、文化、
地域の違いはあるとはいえ、それぞれの
卸売市場制度を持ち、今も食料の
供給、売買の
ルールは大事にされています。
本
法律案は、
平成二十九年十一月二十四日に未来投資
会議等が出した
卸売市場の抜本的
見直しの
提言がベースとなったものであり、事実上の
卸売市場法廃止を求める声が反映されたものと承知をいたしております。JA
グループなども廃止ありきに反対し、与党審査で大きく押し戻したと報道されていました。しかし、実際はどうだったでしょうか。
結論から申し上げますと、この法
改正の肝は、中央、
地方卸売市場の
開設を
許認可制から
認定制へというところであり、裏を返せば、今年五月二十四日の井上食料
産業局長の衆議院農林水産委員会での大串委員に対する
答弁のとおりであります。その
内容は、
認定制に移行した場合には、
認定を受けずに
開設する
卸売市場が制度上は存在をし得る、このことに尽きるのではないでしょうか。
齋藤農水
大臣にお伺いいたします。
本
法律案は、各種
会議の委員が望むような新たな食料の
流通システム、すなわち
規制の極めて少ない
産地と
消費者を結ぶ
市場、すなわち非
認定の
卸売市場、別名
食品物流センターを容認することにあるのではないでしょうか。お答えください。
昨今の中央、
地方の
卸売市場のありようは大変厳しい
状況であると聞いています。その要因は幾つもあります。
国民の
食生活の
変化、
小売店の減少、大
規模小売店の展開、
加工食品の増加、
食品の
市場経由率の減少などです。ちなみに、
水産物の
市場経由率は、
昭和六十年におおむね七七%だったものが現在では五〇%
程度、青果では、同じく八五%が六〇%
程度まで下がっております。複数の
市場の仲買人の方から、物が少ない、物がないという話も伺ってまいりました。
現在の中央、
地方の
卸売市場のままで万々歳とは考えていませんが、公設、
許認可制の下で
取引規制の緩和を盛り込むことや、独自の工夫がしやすくなるような
改正案に至らなかった
理由を
農林水産大臣に伺います。
この
改正を契機に、
地方都市などで
自治体が
運営から撤退する可能性が高くなるという指摘があります。
農林水産大臣の受け止めはいかがでしょうか。
また、
認定市場から非
認定市場への転換にはどのような手続が考えられますか。国から受けた
施設整備補助はどうなるんでありましょうか、併せてお伺いいたします。
経営の
自由度が高い大資本による非
認定の
卸売市場が誕生すれば、海外からの輸入
食品、国内の
農林水産物、
加工食品など、大型
量販店との
取引を中心に、未来投資
会議なる
会議体の
方々がもくろむような経営の優位な
物流センターに発展する可能性が高くなります。そうなれば、
食品流通の大部分が非
認定の
卸売市場に流れ、公設の
認定卸売市場の経営は、荷物、売り先の減少などにより一層厳しくなり、撤退することも予想されます。
将来的に公設の
卸売市場の経営がどうなると予測しておられるのか、
農林水産大臣の見通しをお答えください。また、公設
市場が存続の危機に瀕したときには国はどういう関与をするのでしょうか、
農林水産大臣、お答えをいただきたいと思います。
今、私
たちの国には買物難民が増えています。買物にアクセスできる
小売店が一つだけという方も増えています。このような
小売店の仕入先としても、公設
市場は大きな存在です。
食料・農業・農村基本法には、食料の安定
供給が国の責務として明記されています。私は、
国民がどこに住んでいても、安全でおいしい食料を適正な
価格で手にすることができる、このような食料アクセス権を保障するのも国の大きな責務の一つだと考えますが、いかがでしょうか。アクセスできる範囲に公設
市場を経由した
食品流通がなくなることを、国は容認するのでしょうか。
国民の食料にアクセスする権利に対する国の責務について、農水
大臣のお考えをお伺いいたします。
民間企業には、当然、倒産、経営
判断による撤退、海外企業に買収されてしまう、そんなリスクさえあります。
農林水産大臣は、
国民の台所がそのようなリスクにさらされることを許容しますか。
大資本による非
認定の
卸売市場は、大型
量販店と結託して
地域の
食品流通を支配することによって、公設の
認定卸売市場が撤退した後、自己に有利な
取引と
価格、
生産者、
消費者に押し付けるような事態も起こりかねません。国が公設
市場の
適正配置に
責任を持つ仕組みを撤廃してしまう本
法律案は、その第一歩に思えてなりません。
国は
責任を放棄したと考えてよいかどうか、
農林水産大臣に
お尋ねいたします。
そして、大事な点があります。
生産者がよりどころとして安心して農作物を
生産できたのは、
価格に上下変動はあるにせよ、
認可市場に
受託拒否の
禁止規定があるからです。
認可、
認定の
市場が減少すれば、
生産者の
立場はおのずから弱いものになっていきます。
消費者の
立場からも
生産者の
立場も危うくする本
法律案は一体誰のための
法案なのでしょうか。
農林水産大臣に
お尋ねいたします。
公設
市場の卸売、
仲卸の存在や手数料も無駄なものと決め付ける人
たちに、命と食料の制度
改正を任せていいのでしょうか。
生産者の利益を守る卸、
消費者の利益を守る
仲卸、日本の
市場制度はうまく
機能してきました。さきに述べたように、
市場をめぐる情勢は必ずしも明るいものではありませんが、
仲卸会社も減少の一途をたどり、競りに掛かる物品も減ってきています。競り場に、それぞれの
市場で独特のあの味のある掛け声も、過去の風物詩となってしまうのでしょうか。
今だけ、金だけ、自分だけ。安倍総理の率いる
審議会政治に対する尊称です。現代は、資本主義社会、ビジネス社会ですが、生命を人質に取るようなビジネスと食料を独占するビジネスはタブーとされてきました。さきに述べた種子法廃止
法案と本
法律案は、明らかに将来に禍根を残すであろう格別の悪法です。衆議院では、問題が明らかになったにもかかわらず、すぐ採決になってしまったようです。
参議院では、将来に向けての想像力を豊かにして、廃案も視野に入れ、徹底的に
審議してまいりましょう。
終わります。(
拍手)
〔
国務大臣齋藤健君
登壇、
拍手〕