○石橋通宏君 立憲民主党・民友会の石橋通宏です。
ただいま
議題となりました
働き方改革関連
法案に対し、会派を代表して
質問いたします。
初めに、働く者の命に大きな影響を与えるこの
重要法案が、衆議院厚生
労働委員会において、たった三十時間余りの審議で、全く
議論が尽くされないままに採決が強行されたことに、満身の怒りを込めて抗議します。
そもそも、八本もの
法案を一本に束ねて
国会に出してきたこと自体、安倍政権の
国会軽視、
国民無視の体質そのものです。八本分の十分かつ丁寧な審議が必要なのに、採決すべきではない、
法案に反対だという圧倒的多数の
労働者の声を無視して採決を強行した、一体どこが働く者のための
法案なんですか。
大体、この
法案の立法事実はとっくに消えうせました。
政府が根拠としてきた
平成二十五年度
労働時間等総合
実態調査は、統計上の有意性や信頼性など全くない、いいかげんな代物だったことが明らかになりました。比較してはいけないデータを比較して、裁量
労働制の方が
労働時間が短く見えるデータを偽造していたとは、開いた口が塞がりません。
まさに、公文書の改ざん、廃棄、隠蔽、
国会での虚偽
答弁、証人隠し、困ったときの記録なし、記憶なし、責任逃れと言い逃れ、安倍政権の政治のゆがみそのものじゃないですか。
良識の府参議院の見識ある与党
議員の皆さん、この
法案が本当に働く者のための
法案なのか、
過労死促進にならないのか、参議院では徹底的に審議して、駄目なら堂々と廃案にする、それぐらいの覚悟でやろうじゃありませんか。
そのことを強く訴えて、以下、
法案について
質問します。
第一に、
労働法制に対する安倍政権の基本姿勢について確認します。
安倍総理は、これまでずっと、民間
議員と称する財界や人材ビジネス界のお友達の言い分にのみ耳を傾けて、彼らの利益のために
労働者派遣法の大改悪など、
労働法制改悪を推し進めてきました。それに対する真摯な反省がなければ、真に働く者のための
働き方改革などなし得ないはずです。総理の反省の弁をお願いします。
その上で、先日、
過労死を増やすような
法案を絶対に成立させてはならないという思いから、
過労死家族会の皆さんが
安倍総理との面会を求めました。しかし、総理は、何とその申出を断って、財界人との会食に出かけていったと聞いています。何なんですか、それは。総理の
説明を求めたいと思います。
第二に、残業時間の
上限規制について
質問します。
労働時間の大原則は、一日八時間、週四十時間
労働です。そして、その時間内で働けば、労基法第一条が
規定する、人たるに値する
生活を営むための必要を充たす
労働条件が保障されなければなりません。その当たり前を
実現することこそが真の
働き方改革だと考えますが、総理の見解をお示しください。
今回の
法案は、残業時間の
上限規制を二階建てにしています。原則は、月四十五時間、年三百六十時間以内であって、
対象事業者の全てがまずその枠内で協約締結を図ることが要求されるのだと
理解しますが、それでよろしいでしょうか。その上で、例外的に年七百二十時間までの特例
水準が容認されるわけですが、問題は、単月百時間未満、
平均で月八十時間以内という条件が
過労死水準を超えていることです。なぜそれを法的に許容するのか、
説明をお願いします。
また、本
法案では、
勤務間インターバル規制が
義務化されていません。そのために、
上限規制の枠内であっても
過労死レベルの連続時間
勤務が可能になってしまいます。なぜ休息
規制を
義務化しないのか、厚労大臣、その理由を教えてください。
加えて、
加藤大臣、自動車運転手、建設作業員、医師については五
年間の
適用猶予となっています。同じ
労働者でありながら、なぜ五年もの間、
適用を猶予するのか、誰もが納得いく
説明をお願いします。
しかも、自動車運転手については、五年後の
上限を九百六十時間としています。この
水準では、
現行の
改善基準告示とほとんど変わらず、
改善になりません。なぜこんなとんでもないダブルスタンダードを合法化するのか、御
答弁ください。
そして、今、学校の先生の深刻な長時間
労働の
実態が明らかになっておりますが、この
法案は全く
対策を講じておりません。なぜ給特法の改廃を含む
改善策を盛り込まなかったのか、教員の長時間
労働撲滅に取り組む気がないのか、林文科大臣、
説明をお願いします。
第三に、裁量
労働制について確認します。
安倍総理は、今、裁量
労働制の
適用労働者に
過労死や深刻な健康被害が次々と発生している現実を認識しているのでしょうか。認識しているとすれば、その原因は何だと分析しているのかも併せて御
答弁ください。
過労死が発生しているということは、
現行の裁量
労働制に深刻な
制度的欠陥があるということです。それなのになぜ、
現行制度の
適正化、
規制強化の部分まで
法案から撤回してしまったのか、総理、合理的な
説明をお願いします。
第四に、この
法案の最大の問題である高度プロフェッショナル
労働制について
質問します。
そもそも、
安倍総理、この高プロ
制度の
導入をあなたに要請したのは一体誰なのか、
是非教えてください。総理は、時間にとらわれない
働き方を望んでいる
労働者がいると繰り返し
答弁しています。総理の御
答弁ですから、きっと統計上も有意な調査の結果に基づいておっしゃっているのでしょう。まさか、たった十二人の専門職にのみ聞いた話だなどとは言わないと思いますが、その調査結果を具体的にお示しください。
また、総理によれば、この
制度は、時間ではなく
成果で評価をするのだそうです。では、条文のどこに
企業は
対象労働者を
成果で評価しなければならないと
規定してあるのか、該当条文を示して教えてください。
一方で、その
成果で評価をすることは、
現行制度の下ではできないんでしょうか。
労働時間
規制を全面的に
適用除外しなければ
実現できないこととは一体何なのか、具体的に解説をお願いします。
成果で評価をされるということは、要求された
成果を出さなければ評価されないということです。では、その
成果は誰が決めるのでしょうか。加えて、その
成果を出す期限は誰が決めるのか、併せて答えてください。
例えば、この
制度では、理論上は、何と一日二十四時間、それを最長四十八日間連続して働かせること、働き続けることが合法的に可能です。そんなとんでもない
働き方をしなければ達成できない
成果と期限を課すことは
法律上禁止されているんでしょうか。また、そんな
業務命令を課した
使用者は罰を受け、
制度の利用を禁止されるのか、併せて御
答弁ください。
労働者が誰であろうと幾らもらっていようと、命と健康、暮らしの安心を守るための
労働基準法から
適用除外されることなどあってはなりません。それ自体、憲法が保障する基本的人権の無視です。
安倍総理、断固、高プロ
制度の撤回を求めます。御
答弁ください。
第五に、同一
労働同一
賃金について
質問します。
まず、
安倍総理は、同一
労働同一
賃金と同一価値
労働同一
賃金との違いについてどのように
理解をされているのか、御
答弁ください。
ILO第百号条約は、男女間の
賃金格差を
解消するために、同一価値
労働同一
賃金の
実現を批准国に求めています。なぜ同一価値
労働が求められているのか、総理、解説を願います。
それなのに、本
法案は、同一価値
労働同一
賃金の
実現を目指しておらず、これでは、男女間や業種間の抜本的な
格差解消にはつながりません。総理、見解を示してください。
最後に、パワハラ
規制の必要性について
質問します。
今この瞬間にも、パワハラによって精神的に追い詰められ、苦しんでいる
労働者がいます。パワハラ
規制なくして、真に
労働者のための
働き方改革は
実現できないはずです。にもかかわらず、
政府案にはパワハラ
規制がありません。なぜなのか、総理、明確に御
答弁ください。
以上、
政府案の問題点を中心に
質問いたしました。
私たち立憲民主党は、働く者の立場に立った真の
働き方改革の
実現で真っ当な
雇用を取り戻すことこそ、
国民の安心、子供たちの
未来にとって今最も必要なことであり、政治の責任だと考えています。これからもその
実現に向けて全力で闘っていく決意であることを申し上げ、私の代表
質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕