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2018-03-09 第196回国会 参議院 本会議 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成
三十年三月九日(金曜日) 午前十時二十六分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第六号 ─────────────
平成
三十年三月九日 午前十時 本
会議
───────────── 第一
所得税法等
の一部を
改正
する
法律案
(趣
旨説明
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
伊達忠一
1
○
議長
(
伊達忠一
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
所得税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
趣旨説明
) 本案について
提出者
の
趣旨説明
を求めます。
財務大臣麻生太郎
君。 〔
国務大臣麻生太郎
君
登壇
、
拍手
〕
麻生太郎
2
○
国務大臣
(
麻生太郎
君) ただいま
議題
となりました
所得税法等
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
を御
説明
させていただきます。 本
法律案
は、働き方の
多様化等
への
対応
、
デフレ脱却
と
経済再生
の
実現
などの
観点
から、国税に関し、所要の
改正
を一体として行うものであります。 以下、その大要を申し上げさせていただきます。 第一に、働き方の
多様化等
を踏まえ、
給与所得控除
及び
公的年金等控除
から
基礎控除
への
振替
並びに
給与所得控除
、
公的年金控除
及び
基礎控除
の
適正化
を行うことといたしております。 第二に、
デフレ脱却
と
経済再生
に向け、
所得拡大促進税制
の改組、
情報連携投資等
の
促進
に係る
税制
の
創設
、
事業承継税制
の
拡充等
を行うことといたしております。 このほか、
外国法人等
に係る
恒久的施設
の範囲の
見直し
、
法人税
の
申告等
の
電子情報処理組織
による
申告義務
の
創設
、
たばこ税
の
税率引上げ等
の
見直し等
を行うとともに、
特定認定長期優良住宅
の
所有権
の
保存登記等
に対する
登録免許税
の
特例等
について、その
適用期限
の延長や
整理合理化等
を行うことといたしております。 以上、
所得税法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
をさせていただいた次第であります。(
拍手
) ─────────────
伊達忠一
3
○
議長
(
伊達忠一
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。
古川俊治
君。 〔
古川俊治
君
登壇
、
拍手
〕
古川俊治
4
○
古川俊治
君 自由民主党の
古川俊治
です。 私は、
自民
・
公明
を代表し、ただいま
議題
となりました
所得税法等
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
いたします。
安倍総理
は、
財政健全化
について、
基礎的財政収支
、いわゆる
プライマリーバランス
の
黒字化
を目指す
目標
を堅持すると重ねて発言しています。同時に、
公的債務残高
の対
GDP比
の安定的な
引下げ
を目指すこととされています。 この
目標達成
に向けて、これまでの
取組
を精査した上で、本年夏の
骨太方針
において、
プライマリーバランス
の
黒字化
の
達成
時期とその裏付けとなる具体的な計画が示されると伺っています。 同時に、
デフレ
からの
脱却
と
経済再生
を完遂させることが、これこそが
国民
が最も
安倍内閣
に期待していることだと思います。相当に工夫の要る
経済運営
が求められていると思いますが、
財政健全化
と
経済
の
再生
、
デフレ
からの
完全脱却
という
課題
を解決するために、
安倍総理
は、今回の
所得税法等
の
改正
を踏まえ、どのような姿勢で取り組まれるおつもりでしょうか、お聞かせください。 次に、
基礎控除
、
給与所得控除
の
見直し
について伺います。 昨今、時間や場所に縛られない柔軟な働き方が
増加
しています。例えば、
フリーランス
の数は、
民間調査
では、
平成
二十八年で千六十四万人の対前年
比増加
となっています。在宅で仕事を請け負う
子育て
中の女性の
方々
、
起業
する
方々
などは働き方
多様化
の一例です。しかし、
給与所得者
には
給与所得控除
がある一方、
フリーランス
や
起業
、
請負
などでは実際に
負担
した
必要経費
という限定的な
控除
となっています。
租税原則
の
基礎
を成すものに、
公平性
の
原則
があります。この
原則
の中には、
負担能力
の大きい人により大きな
負担
をしてもらうという
垂直的公平性
と、等しい
負担能力
のある人には等しい
負担
を求めるという
水平的公平性
があります。 この
公平性
の
原則
から見れば、
給与所得者
、
フリーランス
や
起業
、
請負
など、働き方や
収入
の
稼得方法
により
控除
が異なるということは、
水平的公平性
を損ねることになります。今回の
所得税法改正
では、誰もが受けられる
基礎控除
を一律
増額
するとともに、
給与所得控除
の一部を
基礎控除
に振り替えることとしています。
自営業
や
フリーランス
で働く
方々
など、様々な形で働く人々を広く
支援
することができる
措置
として評価できると
考え
ています。 一方、
水平的公平性
の
観点
からいえば、
給与所得者
と
自営業者
などとの
所得捕捉率
に
格差
があるものと指摘されています。そこで、今回の
基礎控除
の
増額等
の
見直し
は、働き方や
収入
の
稼得方法
の違いにより
課税所得
の
捕捉率
に差があることとどのような
整合性
を取ったのでしょうか。まず、その
考え方
を
麻生財務大臣
に伺います。 続けて、もう
一つ
の
公平性
、
垂直的公平性
の
観点
から伺います。 前回の
所得税改正
では、
配偶者控除
及び
配偶者特別控除
の
見直し
の中で、
納税者本人
に
所得制限
として、
給与収入
の場合千百二十万円超の
控除額
を
逓減
、消失としました。そして、今回の
所得税改正
では、
基礎控除
の一律
増額
、
基礎控除
の
増額分
と
給与所得控除
の
引下げ分
の
振替
に加えて、八百五十万円を超える
給与所得者
においては
給与所得
の
控除
が
頭打ち
となる一方、
子育て世帯
や
介護世帯
には
負担額
が増えないよう工夫されています。また、
所得金額
が二千四百万円超の
給与所得者
には
基礎控除
が
逓減
、消失される
措置
もとられています。 これらの
見直し
は、
一つ一つ根拠
を持って決定されていることと思いますが、それぞれの
見直し
に関する
所得額
はばらばらで、
垂直的公平性
に関する
政府
の
考え方
が見えにくいことから、場当たり的に決定しているのではないかという疑問の声も一部にあります。 そこで、これらの
措置
はどのような
考え方
に基づいて決められ、
整合性
が保たれているのでしょうか。この
政府
の
考え方
についても、
財務大臣
、お聞かせください。 続いて、
生産性革命
について伺います。
ロボット
や
IoT
、
人工知能
といった
生産性
を劇的に押し上げる最先端の
イノベーション
は、これまでの
世界
の
産業発展
の様相を大きく変える力を有しています。
我が国
が厳しい
グローバル競争
の中で
経済成長
を続けていくためには、
イノベーション
の創造をリードし、あるいは確実に取り入れる
生産性革命
を
実現
しなければなりません。 今回の
税制改正
では、
平成
三十年度から三年間を
生産性革命集中投資期間
として、
時限措置
で、
IoT等
の
先端技術
への
投資
に対して
特別償却
又は
一定割合
の
税額控除
を選択できるようにしたほか、
企業
が
賃上げ
と
国内設備投資
を行う場合には、
一定
の
要件
で
税額控除
を可能としています。
企業活動
において
イノベーション
を取り入れ、
生産性
を
向上
させる
措置
として期待しています。 一方、
生産性革命
を成し遂げるには、
イノベーション
を生み出す力も必要です。例えば、
革新的医薬品
の
研究開発
でも、ゲノムに基づく
創薬
や
再生医療技術
による
創薬
、
コンピューターシミュレーション創薬
など、
産業
の未来を変える
研究分野
が数多くあります。
アジア各国
の
研究力
の
向上
もあって、
科学研究
の
国際競争
はますます熾烈となっており、
世界
の中に
我が国
が埋もれてしまうおそれがあります。 そこで、
生産性革命
を推し進めるためには、
企業
への
イノベーション
の
導入促進
はもちろん、
イノベーションそのもの
を生み出す
研究開発
を後押しする
税制
を含む
支援措置
の
強化
が必要ではないかと
考え
ますが、
総理
はどのようにお
考え
でしょうか。 さて、
政府
は、これまでも
中小企業
の
経営力強化支援
として様々な
施策
を発動させていますが、
中小企業
の皆様がその成立を待ち望んでいるものには、円滑な
事業承継
に対する
税制改正
です。現行では、
雇用確保要件
や実際に猶予される
相続税額
が全株式に対する
税額
の半分強にすぎないことから、利用している
中小企業
は対象の約一割にとどまっています。これでは、
経営者
の
高齢化
や
後継者不足
の
深刻化
により、
事業
の将来性があるのに廃業せざるを得ない事例が大量に発生する懸念があります。
自民
、
公明共
に党内でも大いに
議論
し、今回の
税制改正
には
事業承継税制
による
相続税等
の緩和が盛り込まれています。
中小企業
が
日本
のエンジンであり、
日本経済
や
地方
の
活力
を支える基盤であることを
考え
れば、円滑な
事業承継税制
は極めて大切な
施策
です。ただ、円滑な
事業承継
のためには、今回の
税制改正
も含めて、
中小企業
・
小規模事業者
の実態に即した
施策
を更に多面的に展開していく必要があると思いますが、
総理
はいかがお
考え
でしょうか、お
考え
をお聞かせください。 先月二十五日に閉幕した
平昌オリンピック
は、
日本人選手
の大
活躍
で大きく盛り上がりました。本日からの
パラリンピック
でも
日本選手
の
活躍
が期待されます。これが終われば、次の
オリンピック
・
パラリンピック
はいよいよ東京です。
オリンピック開催地
では、
受動喫煙
を
防止
するための
法規制
を行うことが
国際標準
となっています。
自民
党内でも、
受動喫煙防止
のための
議論
について
一定
の結論を得ました。医師としてはいまだ不十分と言わざるを得ない内容ですが、一歩前に進んだものと理解しております。 今回の
税制改正
でも
たばこ税率
の
引上げ
が盛り込まれており、
受動喫煙防止対策
という面からも評価できます。また、
加熱式たばこ
も
喫煙者
に有害なことは明らかですが、この
加熱式たばこ
についても、
課税方式
を見直され、
紙巻きたばこ
の約七割から九割程度にまで
税負担
が
増加
されることで
格差
も小さくなります。さらに、この
税源
が
受動喫煙対策
の
充実
に振り向けられることも期待しています。 そこで、
麻生財務大臣
は、今回の
たばこ
に関する
税制改正
についてどのように評価しておられますか、お聞かせください。
最後
に、
グローバル化
を背景にした
節税対策
への
対応
について
お尋ね
します。 多
国籍企業
が国際的な
税制
の
隙間
や
抜け穴
を利用して過度な
節税対策
を講じることで、本来
課税
されるべきであるにもかかわらず
税負担
を軽減していることは、
BEPS
、
税源浸食
及び
利益移転
と言われており、
OECD
やG20
各国
で連携して
対応
しています。 この問題の
一つ
として最近クローズアップされたのが、
外国法人
の
インターネット通販会社
が
国内
に倉庫のみを持ち、
PE
と呼ばれる
恒久的施設
、いわゆる
支店
に相当する
施設
を持たない場合には
事業所得課税
がされないという問題です。これについては、今回の
税制改正
で、いわゆる
支店
に相当する
施設
の定義が見直されることで
課税
できることになると聞いています。過度な
節税
につながる国際的な
税制
の
隙間
や
抜け穴
が塞がれなければ、正しく税を納めている者の
不公平感
は高まるばかりです。 そこで、今後も、
経済
の
グローバル化
に迅速に
対応
し、過度な
節税
につながる道を断つために適切な
措置
を講じていくという
総理
の
決意
を
お尋ね
して、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
、
拍手
〕
安倍晋三
5
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君)
古川俊治議員
にお答えをいたします。
安倍内閣
の
経済財政運営
について
お尋ね
がありました。 私の基本的な
考え方
は、
経済再生
なくして
財政健全化
なしということであり、
経済成長
を
実現
し、
税収
を上げることで、
財政健全化
も進めていくというものであります。
所得税法等
の一部を
改正
する
法律案
では、働き方の
多様化等
を踏まえ、
個人所得課税
の
見直し
を行うとともに、
デフレ脱却
と
経済再生
に向け、
賃上げ
、
生産性向上
のための
税制
上の
措置
を講じ、さらに、
中小企業
の代替わりを
促進
する
事業承継税制
の
拡充等
を行うこととしております。 こうした
税制支援
を含め、あらゆる
施策
を総動員することにより、
デフレ脱却
、力強い
経済成長
を目指してまいります。 引き続き、
デフレ脱却
と
経済再生
を図りながら、
歳出
と歳入、それぞれの面からの
改革
を続け、
プライマリーバランス
を
黒字化
し、同時に
債務残高
対
GDP比
の安定的な
引下げ
を目指してまいります。
研究開発
を後押しする
税制
などの
支援措置
について
お尋ね
がありました。 資源に乏しい
我が国
において、
イノベーション
は
経済成長
の大きな源泉であります。
生産性革命
を推し進める上でも、その
重要性
は論をまちません。 そうした
観点
から、昨年の
税制改正
において、
研究開発投資
を
増加
させた
企業
への
税額控除率
を引き上げ、
イノベーション
を生み出す大胆な
投資
を促すよう
研究開発減税
の
強化
を行ったところです。 同時に、
イノベーション
の
社会実装
を進めることも極めて重要であります。そのため、今回の
税制改正
では、
IoT
、
人工知能
、
ロボット
など、
先端技術
を取り込む
設備投資
に挑戦する
企業
には、
税負担
を大胆に引き下げ、革新的な
イノベーション
の積極的な
活用
を促してまいります。 これらの
税制支援
に加えて、
予算
、
規制改革
など、あらゆる
政策
を総動員しながら、ソサエティー五・〇の
実現
に向けた
イノベーション
を力強く後押ししてまいります。
中小企業
・
小規模事業者
に対する
事業承継支援
について
お尋ね
がありました。 今後十年で
中小企業
・
小規模事業者
の
経営者
の約六割が七十歳を超えるという現実があります。
黒字廃業
が相次ぐような事態は
我が国経済
にとって大きな損失であり、
事業承継
問題は待ったなしの
課題
です。 この強い
危機感
の下に、
事業承継税制
を抜本的に
拡充
し、
承継
時の
贈与税
、
相続税
の
支払負担
をゼロとすることといたしました。また、
後継者
による新しいチャレンジを応援する
補助金
などにより、切れ目のない
支援
を行います。 さらに、
安倍内閣
では、既に
事業引継ぎ支援センター
を全国展開しておりますが、
後継者難
に苦しむ
企業
と
事業
を引き継ぐ
企業
の
マッチング機能
の更なる
強化
にも取り組んでまいります。 そして、何よりも、こうした
支援制度
を十分に周知し、
一つ
でも多くの
中小企業
・
小規模事業者
の皆さんに
活用
をいただくことが大切であります。自治体や
商工会議所
、商工会とも連携しながら、全国津々浦々にしっかりと普及させ、
我が国
の宝である
中小企業
・
小規模事業者
を次世代へしっかりと引き渡していく
決意
であります。 国際的な
租税回避
への
対応
について
お尋ね
がありました。 国際的な
租税回避
については、
課税
の
公平性
を損ない、
納税者
の信頼を揺るがす大きな問題であると
考え
ています。 こうした
租税回避
の
防止
については、
日本
はこれまで、
OECD
、G20による
BEPSプロジェクト
での
議論
を主導し、例えば、
日本
が
議長国
を務めた
伊勢志摩サミット
においても、その
合意事項
を
各国
が足並みをそろえて着実に実施していくよう
首脳宣言
に盛り込みました。 今般の
税制改正案
においても、
BEPSプロジェクト
の
合意事項
を踏まえ、
各国企業
が行う
事業
への
課税
の前提となる
PE認定
に関する
租税回避
に
対応
するために規定の
見直し
を行うこととしています。 引き続き、
政府
としては、こうした国際的な
合意
を着実に実施するとともに、
国際社会
と協調し、
租税回避
の
防止
に向けて不断に取り組んでまいります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から答弁させます。(
拍手
) 〔
国務大臣麻生太郎
君
登壇
、
拍手
〕
麻生太郎
6
○
国務大臣
(
麻生太郎
君)
古川議員
からは、
個人所得税
の
見直し
などについて計三問
お尋ね
があっております。 まず、
基礎控除
の
増額
と
所得
の
捕捉
について
お尋ね
がありました。 今般の
個人所得課税
の
見直し
では、
特定
の
収入
のみに適用されます
給与所得控除
から、どのような
所得
にでも適用できますいわゆる
基礎控除
に
控除額
の一部を振り替えるということにいたしております。この
見直し
は、働き方が
多様化
している現状を踏まえれば、適切なものと
考え
ております。 他方で、御指摘の
事業所得者
の
所得
の
捕捉
につきましては、これまでも、
記帳義務制度
の
拡充
、
法定資料
の
整備充実
、罰則の
強化
、また
青色申告
の
普及促進
など、適正な
申告
や
所得把握
に向けた
取組
を進めてきております。 引き続き、
マイナンバー制度
を
活用
しつつ
所得把握
に努めるとともに、
経済社会
の
ICT化
の動向などを踏まえ、適正な
申告
に向けた
取組
を進めていく必要があろうと
考え
ております。 次に、
各種控除
の
見直し
における
所得制限等
の
考え
についての
お尋ね
があっております。
配偶者控除
につきましては、
平成
二十九年度
税制改正
において、
所得
一千万円で消失することといたしております。これは、御存じのように、
見直し
前の
配偶者特別控除
につきましても、この額を超える
納税者
には
控除
を適用しないことにしていたということを参考にしたものであります。
基礎控除
につきましては、
平成
三十年度
税制改正
において、
所得
二千五百万円で消失することといたしておりますが、これは、
所得
再
分配機能
の回復の
観点
も踏まえつつも、
基礎控除
が最も基本的な
控除
であり、広い
所得階層
に適用されるべきものであることを総合的に勘案した結果であります。 また、
給与所得控除
につきましては、
控除
が
頭打ち
となります
給与収入
を八百五十万円超に引き下げることとしたところです。この
水準
は、家計への
影響
や
地方財政
への
影響等
を総合的に勘案して決定をいたしたものであります。 このように、それぞれの
所得制限等
の具体的な
水準
は、各
控除
の
趣旨
などを勘案した上で決定されたものであります。
最後
に、
たばこ税
の
見直し
について
お尋ね
がありました。
たばこ税
につきましては、
高齢化
の進展により
社会保障関係費
が
増加
いたしております中、引き続き厳しい
財政事情
にあることを踏まえ、
たばこ税等
を国と
地方
を合わせて一本当たり三円引き上げるとともに、近年急速に
販売量
が
増加
をいたしております
加熱式たばこ
の
課税方式
を見直すことといたしております。 こうした
見直し
により、
たばこ
の
消費量
の減少が見込まれる中におきましても、引き続き
一定
の
税収
を確保することが可能となりますほか、
加熱式たばこ
の
課税方式
の
適正化
により、
紙巻きたばこ
と
加熱式たばこ
との間で
税負担
が大きく異なるといった
税負担
の
公平性
の
課題
の解決につながるものと
考え
ております。(
拍手
) ─────────────
伊達忠一
7
○
議長
(
伊達忠一
君)
藤巻健史
君。 〔
藤巻健史
君
登壇
、
拍手
〕
藤巻健史
8
○
藤巻健史
君
日本維新
の会、
藤巻健史
です。 まず初めに、森友問題に係る財務省の公文書改ざん疑惑問題については、
政府
が
国民
に対してしっかりと
説明責任
を果たすことを要求いたします。 もし改ざんがあったのなら、
国民
を裏切る行為であり、犯罪ですし、公文書の管理に関する
法律
を幾ら整備しても、機能しないものになってしまいます。 さて、我が党を代表して、本日の議案について
質問
いたします。 一九八六年から二〇一六年の三十年間の
税収
と
歳出
を比べてみますと、
税収
が一・三倍となったのに対し、
歳出
は一・八倍にも膨れ上がっています。この結果、
借金
が千八十六兆円にも積み上がり、対
GDP比
で
世界最悪
の
状況
となってしまいました。 ところで、学者の中には、
インフレ
のことを
インフレ税
と表現する方がいらっしゃいます。
インフレ
は、
債権者
が大変な思いをし
債務者
が得をするということで、
債権者
から
債務者
への富の
移行
、すなわち
債権者
である
国民
から
日本最大
の
債務者
である国への富の
移行
という意味で税金と同じだからです。 このまま
借金総額
が極大化すると、尋常なる方法での
財政再建
が不可能になり、大
増税
、すなわち大
インフレ税
の徴収という形での決着しかなくなるのではないかと危惧いたします。
税制改革
は
国会審議
を経なければならないのに、実質大
増税
と同じながら、
国会審議
を経ることもなく、
インフレ税
、すなわち
インフレ
が
財政再建
のために導入されては、
国民
はたまったものではありません。
インフレ
は、
消費税
よりも圧倒的に
逆進性
が強く、コントロール不能になれば
国民生活
が苦境に陥るからです。だからこそ、このような
財政状況下
にあっては、確実に
歳出
を削減し
税収プラス税外収入
を増やしていくことが極めて重要だと
考え
ます。 私ども
日本維新
の会は、身を切る
改革
を行った上で国と
地方
の
歳出
を真に必要なものに絞り込むことが重要だと
考え
ています。また、
税収プラス税外収入
を増やすにも、安易に
増税
に頼ることなく、
経済発展
により
税収
の
自然増
を図るべきだと
考え
ています。例えば、
名目GDP
、すなわち
経済規模
が二倍になれば
国民生活
も二倍豊かになり、
税収
も二倍になるのがあるべき姿だと思うのです。
世界
的に権威のある
経済誌インターナショナル
・エコノミーの昨年
夏号
の特集は、
日本病
は
世界
に蔓延するかでした。低迷する
日本経済
をかつての
英国病
になぞらえているのです。情けない話ですが、逆に言えば、根本的な
改革
さえすれば
他国並み
の
経済成長
はできるということでもあります。
経済規模
が三十年間で一・八倍になっていれば、
増税
せずに
税収
の一・八倍は
達成
できたはずです。そうなっていれば、
借金
もたまらなかったはずです。 そこでまず、
総理
にお聞きいたします。 この二十年間、
日本
の
名目GDP
は一倍、三十年間ではたったの一・五倍にしかならなかったわけですが、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、中国は
自国通貨ベース
で
GDP
をいかほど伸ばしていたのか、お教えください。 もし、
他国
が
名目GDP
を三十年間で二倍にできていたのなら、
日本
も二倍にするのは難しいことではなかったはずです。
財政政策
、
金融政策
を最大限に発動したにもかかわらずこの結果なのは、何が問題だったのでしょうか。そして、それは今後克服可能だと思われるのか、お答えください。
総理
はよく
経済低迷
の理由を
デフレ
のせいにされていますが、
デフレ
だったから
景気
が悪くなったのではなく、
景気
が低迷していたから
デフレ
になったのではないでしょうか。 私ども
片山虎之助共同代表
が
予算委員会
での
代表質問
でお聞きしましたように、
安倍政権
は
財政再建
を二の次に
考え
ているようにも見受けられます。まさか、幾らばらまいても後で
インフレ税
で没収するからいいやなどとは
考え
ていないと思いますが、その点は確認しておきたいと思います。
総理
、いかがでしょうか。 今回の
税制改革
では、
日本維新
の会が
成長促進
のために主張していた
中小企業
の
事業承継
を容易にするための
税制改革
も含まれており、必要な
改革
が含まれている点では敬意を表します。 しかし、
税制
は国が将来どうあるべきかを示すものでもあり、強力な
誘導手段
でもあります。結果
平等主義
の
国家
を目指すのか、
機会平等主義
の
国家
を目指すのかなどの
メッセージ等
がそこには含まれているべきだと思います。 私ども
日本維新
の会は、簡素、公平、
中立
ではなく、簡素、公平、
活力
という理念に基づいた
税制改革
を目指しています。この
観点
から、幾つか
総理
に
質問
いたします。
給与所得控除額
が八百五十万円超で
頭打ち
となる
改正案
ですが、これが同じ
政府
の掲げる働き方
改革
とどう結び付くのか疑問です。相反する
政策
のようにも思えます。八百五十万円の年収の人とは
大金持ち
ではありません。その
人たち
に対しての
所得税
も
累進性
が既に十分過ぎるほど強いのですが、今回の法案はその
累進性
を更に強めることになります。 私ども
日本維新
の会は、
経済活動促進
のために
フロー課税
は低減し、薄く広い
ストック課税税制
を目指すという
観点
から、
所得税
の
税率構造
の
フラット化
を検討しています。この方向にも逆進いたします。
所得
再
配分機能
が極限まで行くと、働き方
改革
どころか、働いても働かなくても手取りは同じ、すなわち結果
平等社会
ということになってしまいます。 この
税制改革
による
税収増
は一千億円と聞いております。この
増収分
の一部を
基礎控除
に振り替えるという話です。しかし、なぜ
税収中立
で物事を
考え
るのでしょうか。例えば、いわゆる
土地改良予算
は一時二千百二十九億円と大幅に圧縮されていましたが、
平成
三十年度
政府案
と前
補正予算案
の
合計額
は五千八百億円と再び
増加
しています。これを四千八百億円に抑え、一千億円を抑え、
大金持ち
とは言えない
人たち
への
増税
を回避した方が国の
活力
につながるのではないでしょうか。
総理
、お
考え
をお聞かせください。 また、
賃上げ
及び
投資
の
促進
に関する
税制
ですが、この
法律
自身に問題があるとは思いません。しかし、労賃とは、他の物やサービスと同様、需給で決まるものです。
税制
で
賃上げ
を図るという計画
経済
的な
政策
よりも、
日本
への対内直接
投資
を増やしたり空洞化を防ぐなどして
日本
人労働力に対する需要を増やすことの方が、より重要で、政治が対処すべき
課題
だと思いますが、
総理
、いかがでしょうか。
最後
に、
名目GDP
を拡大し、
税収増
をも狙えるという
観点
からすると、
日本
が
世界
より一歩進んでいるブロックチェーン技術の発展を温かく見守ることが重要だと
考え
ます。ブロックチェーンは次世代プラットフォームにもなる可能性を持ち、
経済
産業
省が一昨年四月に出したレポートによれば、
影響
のある市場は七十兆円近くにも上るとのことです。 また、昨日、
予算委員会
で我が党の浅田議員が
質問
、提案しましたとおり、ブロックチェーンは改ざんができないというシステムです。今回、森友問題で起きている公文書改ざん疑惑など、ブロックチェーン技術を使えば起こりようがなくなります。行政にとっても非常に有効な技術となると
考え
ます。 一方、ブロックチェーン技術と裏表の関係にある仮想通貨では、取引所大手のコインチェック社で事件が起こりました。これは、交換所の問題であり、仮想通貨自体の問題だとは思えません。しかし、千五百もあるという仮想通貨には、まがいもののような通貨もあると聞きます。 ブロックチェーン技術を育てる
観点
からも将来の
税源
として期待する
観点
からも、仮想通貨取引の
税制
整備や法整備は極めて重要な
課題
だと
考え
ます。 ブロックチェーン、そして仮想通貨の将来性について、そして法整備、
税制
整備の必要性についての
総理
のお
考え
をお聞かせください。 我が党は、
税負担
を求める前に、まずは身を切る
改革
、徹底行革が必要とのスタンスです。民間の
活力
を最大限発揮できる制度を
実現
すると同時に、本当に
支援
が必要な
人たち
へのサポートを手厚くし、将来世代への思い切った重点
投資
を可能にすることを目指していきます。 以上、
国民
の皆様にお約束して、私の
質問
を終わります。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
、
拍手
〕
安倍晋三
9
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君)
藤巻健史
議員にお答えをいたします。
日本経済
の長期的な動向について
お尋ね
がありました。 二〇一七年の
名目GDP
の自国通貨建て金額を一九八八年と比較すると、アメリカ三・七倍、イギリス三・七倍、オーストラリア五・二倍、シンガポール八・四倍、中国五十三・〇倍となっており、
我が国
の
名目GDP
が他の先進国、新興国と比べて低い伸びにとどまっていることは事実であります。 この背景には、
我が国
がバブル崩壊以降、低い
経済成長
と長引く
デフレ
による停滞の二十年を経験してきたことがあります。 この間の
経済
対策を始めとする
財政政策
や各種の
金融政策
は、
一定
の
景気
下支え効果を有していたものと
考え
られますが、
企業
は賃金を抑制し、消費者も将来への不安などから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷、
デフレ
を加速するという悪循環から抜け出せずにいました。 この経験を踏まえ、
安倍内閣
では、政権交代後、長引く
デフレ
から
脱却
し、
日本経済
を力強く成長させていくため、これまでとは次元の違う
政策
として、大胆な
金融政策
、機動的な
財政政策
、民間
投資
を喚起する成長戦略の三本の矢に一体として取り組んできました。 こうしたアベノミクスの
取組
により、極めて短い期間で
デフレ
ではないという
状況
をつくり出す中で、
名目GDP
は一一・七%、五十八兆円
増加
し、過去最高となりました。 今後も、
デフレ脱却
、そして力強い成長のため、三本の矢の
政策
を継続していく
考え
に変わりはありません。働き方
改革
、
生産性革命
、人づくり革命など、あらゆる
政策
を総動員し、
名目GDP
六百兆円
経済
の
実現
を目指してまいります。 また、
経済再生
なくして
財政健全化
なしとの基本方針の下、引き続き、
経済再生
を図りながら、
歳出
と歳入、それぞれの面から
改革
を続け、
プライマリーバランス
を
黒字化
し、同時に
債務残高
対
GDP比
の安定的な
引下げ
を目指してまいります。
給与所得控除
の
見直し
について
お尋ね
がありました。
給与所得控除
については、主要国の概算
控除額
と比べて過大となっていること等を踏まえ、
控除
が
頭打ち
となる
給与収入
を八百五十万円超に引き下げることとしたところです。 ただし、
子育て世帯
等に配慮することにより、九六%の
給与所得者
は
負担
増とならない見込みとなっており、
負担
増となる者についても、給与八百五十万円超から急激に
負担
が
増加
するわけではなく、段階的に増える仕組みになっております。 また、
給与所得控除
等から
基礎控除
への
振替
については、働き方に左右されない
税制
に向けた
見直し
であり、国の
活力
につながるものと
考え
ております。 このように、国の
活力
にも十分に配慮しつつ、
個人所得課税
の仕組みを見直すこととしていることを御理解いただきたいと思います。 なお、御指摘の
土地改良予算
については、
我が国
の農業の競争力
強化
や農村の防災・減災対策の
観点
から必要なものであると
考え
ております。
賃上げ
について
お尋ね
がありました。
賃上げ
については、
中小企業
を含め、今世紀に入って最も高い
水準
の
賃上げ
が四年連続で
実現
し、多くの
企業
で四年連続のベースアップを実施、パートで働く
方々
の時給は、統計開始以来、最高の
水準
となるなど、正規の方、非正規の方、それぞれで
所得
環境に改善が見られ、二〇一四年春以降、賃金は
増加
傾向にあります。 また、有効求人倍率について、史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、正社員の有効求人倍率も、調査開始以来、初めて一倍を超えるなど、労働力に対する需要は高まっています。 また、
安倍政権
では、
生産性
の
向上
や雇用の創出をもたらすとの
観点
から、対日直接
投資
の
促進
に向けて、
法人税
改革
や岩盤
規制改革
等の
事業
環境の改善に取り組むとともに、私自ら
我が国
への
投資
を呼びかけてきました。 引き続き、あらゆる
施策
を総動員することにより、
経済
の好循環を加速させ、労働需要の
増加
、賃金の上昇につなげてまいります。 なお、四年連続での高い
水準
の
賃上げ
は、
所得拡大促進税制
も
一つ
の大きなきっかけとなって
実現
したものと
考え
ており、
平成
三十年度
税制改正
においては、
賃上げ
等に積極的な
企業
の
税負担
を更に引き下げることとしております。 ブロックチェーンや仮想通貨について
お尋ね
がありました。 ブロックチェーン技術については、御指摘の仮想通貨のほか、金融に限らず、様々な分野において利
活用
の可能性があると指摘されております。 技術の安全性の確保など、なお
課題
はあるものと
考え
られますが、
企業
の
生産性向上
や様々なサービスの利便性、安全性
向上
につながるよう、様々な主体がその
活用
にチャレンジしていくことが期待されます。 また、仮想通貨については、資金決済法の
改正
によって取扱業者を登録制とするなど、法制面や
税制
面での
対応
を図ってきたところですが、御指摘のとおり、問題となる事例も生じており、そのような
状況
も踏まえつつ、引き続き適切に
対応
してまいります。(
拍手
)
伊達忠一
10
○
議長
(
伊達忠一
君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五分散会