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2018-05-10 第196回国会 参議院 農林水産委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
平成三十年五月十日(木曜日) 午後四時開会 ─────────────
委員
の
異動
四月二十日
辞任
補欠選任
元榮太一郎
君
山田
俊男
君
渡辺美知太郎
君
平野
達男
君 五月七日
辞任
補欠選任
田名部匡代
君
石橋
通宏
君 五月九日
辞任
補欠選任
石橋
通宏
君
田名部匡代
君 五月十日
辞任
補欠選任
小川
勝也
君
相原久美子
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
岩井
茂樹
君 理 事 中泉 松司君
舞立
昇治君
田名部匡代
君 紙
智子
君 委 員 礒崎
陽輔君
上月 良祐君
進藤金日子
君 野村 哲郎君
平野
達男
君 藤木
眞也君
山田
俊男
君 谷合 正明君 横山 信一君
徳永
エリ
君
舟山
康江
君
相原久美子
君 川田 龍平君 儀間 光男君 森 ゆうこ君
国務大臣
農林水産大臣
齋藤
健君
事務局側
常任委員会専門
員 大川
昭隆
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
理事
の
辞任
及び
補欠選任
の件 ○
農業経営基盤強化促進法等
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
岩井茂樹
1
○
委員長
(
岩井茂樹
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る四月二十日、
渡辺美知太郎
君及び
元榮太一郎
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
平野達男
君及び
山田俊男
君が
選任
されました。 また、本日、
小川勝也
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
相原久美子
君が
選任
されました。 ─────────────
岩井茂樹
2
○
委員長
(
岩井茂樹
君) まず、
理事
の
辞任
についてお諮りいたします。
舟山康江
君から、文書をもって、都合により
理事
を
辞任
したい旨の申出がございました。これを許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
岩井茂樹
3
○
委員長
(
岩井茂樹
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 この際、
理事
の
補欠選任
を行いたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
岩井茂樹
4
○
委員長
(
岩井茂樹
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
田名部匡代
君を指名いたします。 ─────────────
岩井茂樹
5
○
委員長
(
岩井茂樹
君)
農業経営基盤強化促進法等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
本案
に対する質疑は既に終局しておりますので、これより
討論
に入ります。 御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
徳永エリ
6
○
徳永エリ
君 私は、
国民民主党
・
新緑風会
を代表し、
農業経営基盤強化促進法等
の一部を
改正
する
法律案
に
反対
の立場から
討論
させていただきます。 今回の
法改正
は、
所有者不明農地
を簡単な手続で
農地バンク
に貸せる
仕組み
の
改正
と、もう一つ、
農業用施設
内の
床面
を
コンクリート張り
にしても
農地
とみなすように
規制
を
緩和
するというものであります。この
コンクリート張り農地
について、議論が足りておりません。
規制緩和
の
理由
について、
農林水産省
は、以前からあった
生産現場
からの強い
要望
に応えるために判断したと説明されました。さらには、農作業の
効率化
が
農業者
の
高齢化
や
人手不足等
の
課題解決
につながるのだとも説明されました。確かに、私も
現場
を回っていて、
生産者
からそのような声を聞いています。しかし、今回の
規制緩和
は本当に
農家
のためなのでしょうか。 これまで
国家戦略特区
のワーキンググループでも議論されてきましたし、
規制改革推進会議農林ワーキング
・グループでも、
植物工場
の立地に関する
用途規制
の
緩和
を論点に
国土交通省
や
企業
からのヒアリングを行っている中で、
農業用地
であればほとんどのことをクリアするという
専門委員
からの
意見
が出ています。今回の
農地法
上の取扱いは、
企業
が
要望
する
植物工場
を建てるための
法的規制緩和
の初めの一歩なのではないでしょうか。 この一歩がこの先どうなっていくのかが心配なんです。多くの
懸念
と不安が払拭されないまま、特に未来の
農村地域
に禍根を残しかねない問題を抱えたままこの
法案
を成立させるわけにはまいりません。
反対
する第一の
理由
は、
対象
となる
農業用施設
が
農作物栽培高度化施設
とされていることです。
農作物栽培高度化施設
には、一般的な
農業用
の
ビニールハウス
だけではなく、
ガラスハウス
、そして
植物工場
も含まれるのでしょう。
農林水産省
の説明によると、
施設
の
基準
は、高さ、
周辺農地
への
影響
、
排水施設
を設けることや専ら
農業
の用に供される
施設
であること等で、
施設
の
面積要件
などはありません。つまり、
優良農地
に巨大な
植物工場
を建てることも
法律
上は可能だということであります。 第二の
理由
は、
植物工場
を建てた
企業
が経営破綻した場合に、
企業
が
施設
を取り壊し、
コンクリート
の
床面
を剥がし、
原状回復
を高い経費を掛けてやることが現実的かどうかということであります。
都道府県知事
による
原状回復命令
の
対象
になり、
命令
に従わない場合は代執行ということも考えられますが、結果、
農地
の
所有者
や自治体の負担になることも考えられるのではないでしょうか。
植物工場
の
特徴
は、非
農地
、
栽培
不適地での
農業生産
が可能だということです。空き地や
空き店舗
、
空きオフィス
、
空き工場
、
空き倉庫
などを
利用
できるわけです。その
特徴
を考えれば、なぜ
農地
に
植物工場
を建てる必要があるのでしょうか。
農地
なら、
建築基準法
の適用を受けない
植物工場
が建てられます。
農地
は、
課税評価
は低いので、
固定資産税
だけではなく
相続税
も安くなります。しかも、
相続税
や
贈与税
の
納税猶予
の
対象
にもなるので、
農地所有者
から低い地代で借入れができます。また、
認定農業者
になれば、
低利融資
や
補助金
などの
支援
も受けることができます。
農地
に
植物工場
を建てることは
企業
にとってはいいことずくめですから、この
法律
が成立したら一気に
農村地域
に
植物工場
が建つということにもなりかねないのではないでしょうか。
規制緩和
には
反対
です。でも、数の力でこの
法律
は成立することになります。ですから、
農地扱い
とする
農作物栽培高度化施設
の建物の
基準
などについては今後
政省令
で決めるということですが、どうか私たちの
懸念
をしっかり受け止めていただいて、
農村
や
農地
が将来荒廃することがないように厳しい対応をしていただくことを
大臣
、
農林水産省
に強く強くお願いをいたしまして、私の
反対討論
とさせていただきます。 ありがとうございました。
紙智子
7
○
紙智子
君 私は、
日本共産党
を代表して、
農業経営基盤強化促進法等
の一部
改正案
に
反対
する
討論
を行います。
反対
する
理由
は、
国家戦略特区諮問会議
や
植物工場
を推進する
民間企業
の要求を受け入れ、
農林水産省
の見解まで変えて、
農地
を
コンクリート化
しても
農地
と認めるものになっているからです。
農作物栽培高度化施設
とはどういう
施設
なんでしょうか。
農林水産省
は、
水耕栽培
のみならず、
環境制御
や
衛生管理
の
高度化
を図る
施設
と言っていますが、一般的な
農業用パイプハウス
が
高度化施設
になるとは思えません。
農家
が活用している
農業用パイプハウス
が
高度化施設
として認められないなら、
コンクリート化
した
農地
は
農地
と認められず、
違法転用
になってしまいます。
農林水産省
は、
農地
とは棚やシートの上で
農作物
を
栽培
してもいつでも耕作できる
状態
に保ったのが
農地
である、
コンクリート
で固めると土がなくなるから耕作できないと言っていました。それなのに、なぜ
農地
の
コンクリート化
を
農地
として認めるのでしょうか。 大手の
企業
が会員になっている団体は、
植物工場
の
研究開発
を加速するための
国内法整備
と
規制緩和
として、
農地法
、
建築基準法
などの
規制緩和
を求めてきました。
国家戦略特区諮問会議
において、
竹中平蔵
氏、
八田達夫
氏
ら有識者
は、
植物工場等
は
農業
の
競争力向上
にも貢献している、
農地
を転用せずとも
農地
として円滑に
農業
が行えるようにすべきだという
要望
が出されると、
農業振興
を図る観点から検討するなどと答え、
農地
の
コンクリート化
を認める
方向
にかじを切ったことを認めました。
農地
の
コンクリート化
が認められると分かると、
植物工場
を推進している
民間企業
は、
植物工場
は
工場
や
学校施設
を活用することで
コスト
を軽減してきた、
コンクリート張り
は
農地
として扱われなかったが
農地扱い
になる
方向
だ、
農地扱い
ではなかったために
建築基準法
が適用されたが、
農地扱い
になれば制約が
緩和
される、
建設コスト
の低減は可能になる、
固定資産税
など
税金面
でも
コスト低下
になると言っています。こうした
要望
に応えた
改正案
であることは明らかです。
コンクリート
で固めた
農地
は、
資材置場
など
農業
以外に
利用
される
可能性
もあれば、そもそも
農地
に戻すことが困難になるという問題があります。
都市部
の
生産緑地
で
植物工場
が推進されると、
都市農地
の多様な
機能
を損なうことになりかねない問題もあります。
農地
は、いつでも耕作できる
状態
に保ってこそ
農地
です。農政の
岩盤
中の
岩盤
である
農地
の安易な
規制緩和
は行うべきではありません。 以上を述べて、
反対討論
といたします。
岩井茂樹
8
○
委員長
(
岩井茂樹
君) 他に御
意見
もないようですから、
討論
は終局したものと認めます。 これより
採決
に入ります。
農業経営基盤強化促進法等
の一部を
改正
する
法律案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
岩井茂樹
9
○
委員長
(
岩井茂樹
君) 多数と認めます。よって、
本案
は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、
田名部
君から
発言
を求められておりますので、これを許します。
田名部匡代
君。
田名部匡代
10
○
田名部匡代
君 私は、ただいま可決されました
農業経営基盤強化促進法等
の一部を
改正
する
法律案
に対し、自由民主党・こころ、公明党、
国民民主党
・
新緑風会
、
立憲民主党
・
民友会
及び
日本維新
の
会各派共同提案
による
附帯決議案
を
提出
いたします。 案文を朗読いたします。
農業経営基盤強化促進法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯決議
(案)
農業生産
の
基盤
である
農地
は、
国民
のための限られた
資源
であり、かつ、
地域
における貴重な
資源
であることを踏まえ、
農地
の
利用
の
効率化
及び
高度化
の
促進
が図られるよう、政府は、本法の施行に当たり、次の
事項
の実現に万全を期すべきである。 一
相続
未
登記農地
の発生を防ぐため、
相続等
による
権利取得
に際しての
農地法
第三条の三の
届出義務
の周知を図るとともに、
相続登記
の
重要性
について啓発を図ること。また、
相続
未
登記農地
問題の
抜本的解決
に向けて、
登記制度
及び
土地所有
の在り方、
行政機関相互
での
土地所有者
に関する情報の
共有
の
仕組み等
について早期に検討を進め、必要な
措置
を講じること。 二
農作物栽培高度化施設
に係る
農林水産省令
を定めるに当たっては、
周辺
の
農地
に係る
営農条件
に支障を及ぼさないよう
当該施設
の
規模等
について必要な
基準
を定めるとともに、
農地
の
面的集積
や
農業
の有する
多面的機能
の発揮への
影響
について考慮すること。また、
現場
における
運用
に当たり、混乱が生じないよう、
基準
は具体的に定めるとともに、
農業委員会
が適切に判断できるようきめ細かく方針を示すこと。加えて、
施設
の周囲や複数の
施設
を一体として扱うことによって広範囲を
コンクリート等
で覆うことを許容するなど、
法改正
の
趣旨
を逸脱する
運用
が行われることがないようにすること。 三 底面を
コンクリート等
で覆った
農作物栽培高度化施設
の適正な
利用
を確保するため、
農業委員会
による
利用状況調査
、
勧告等
が適時に行われるようにすること。また、適切な
利用
が行われていない場合には、速やかに必要な
是正措置
が講じられるようにすること。 四 貸し出した
農地
に
農作物栽培高度化施設
が設置される
農地
の
所有者
には、民法上の手続き、
当該施設
が
利用
されなくなった場合に発生しうる責務などについて、必要な
事項
が伝わるよう
体制整備
すること。 五
農業委員会
が、
共有者不明農用地等
に係る不
確知共有者
の探索や
農作物栽培高度化施設
に係る業務を円滑に実施することができるよう、必要な
支援
及び
体制整備
を図ること。 右
決議
する。 以上でございます。 何とぞ
委員各位
の御賛同をお願い申し上げます。
岩井茂樹
11
○
委員長
(
岩井茂樹
君) ただいま
田名部
君から
提出
されました
附帯決議案
を
議題
とし、
採決
を行います。 本
附帯決議案
に
賛成
の方の
挙手
を願います。 〔
賛成者挙手
〕
岩井茂樹
12
○
委員長
(
岩井茂樹
君) 多数と認めます。よって、
田名部
君
提出
の
附帯決議案
は多数をもって本
委員会
の
決議
とすることに決定いたしました。 ただいまの
決議
に対し、
齋藤農林水産大臣
から
発言
を求められておりますので、この際、これを許します。
齋藤農林水産大臣
。
齋藤健
13
○
国務大臣
(
齋藤健
君) ただいまは
法案
を可決いただき、ありがとうございました。
附帯決議
につきましては、その
趣旨
を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
岩井茂樹
14
○
委員長
(
岩井茂樹
君) なお、
審査報告書
の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
岩井茂樹
15
○
委員長
(
岩井茂樹
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十五分散会