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大門実紀史君 大門でございます。
今日は、法案
関係に絞って質問をしたいというふうに思います。
今回の
旅客税は、安倍内閣の
観光戦略の、言わば安倍
観光戦略の
財源をつくろうというものでございますので、したがって、安倍
観光戦略そのものがまず問われなければならないというふうに
考えております。
外国人観光客が増えるのはいいことですし、たくさん来てほしいなと私も思いますけれども、ただ、商業ベース、コマーシャリズムに走り過ぎて、
日本の自然とか文化とか文化遺産とか、そういう価値を毀損したり、あるいは
日本の住民の生活
環境を壊すということはあってはならないというふうに思います。中長期的に見れば、そういうことを大事にしてこそ将来的に
観光客も増えるのではないかと思います。
ところが、この間各地で実際に進んでいることを見ると、
観光振興の名目での開発事業とか、歴史文化遺産の価値そのものを高めるというよりも、何といいますかね、安易な周りでイベントをやったり訳の分からないお祭りをやったり、とにかくそこでお金を落としてもらえばいいというふうな、近隣開発とか含めてですね、民泊もそうですけれども、そういうものがどうも先行してきているのではないかと。
特に私が今日取り上げたいのは、この間私が
懸念しているのは、こういう取りあえずもうかればいいというような
観光戦略の中で、文化財保護行政にも相当ゆがみをもたらしてきているのではないかという点でございます。
私、ヨーロッパ行ったときにドイツとフランスの文化庁の役所の方とお話をしたことがあるんですけれども、ヨーロッパはもうはっきりしておりまして、本当にありのままの文化財の価値を大事に大事に継承していくと、伝統と歴史をですね、厳格に保存して継承していくと。そのことが現代人の知的好奇心を高めて、何といいますかね、文化財の現代的価値を高めるというような話を伺ったことがあります。そういう五十年、百年先まで見越したきちっとした文化財保護と歴史の継承ということがあるからこそたくさん人が来てくれるというような
関係にあるんだということを伺ったことがありますが、
日本は、先ほど申し上げたように、文化財行政にも目先の利益、もうけることが大事だと。文化財の周りに商業施設を造るとかホテルを造るとか、そういうことが先行されて、お金を落とさせることばっかりこの間走っているんじゃないかというふうに思います。
その象徴が、山本前
地方創生大臣が、学芸員はがんだと、あいつらは稼げないやつらだというような言い方をしたところに象徴的に表れるように、何か軽薄なといいますか知的水準の低いといいますか、取りあえず何かもうけろみたいな、非常にレベルの低いようなことが進んでいるのではないかというふうに危惧しているところです。
資料を配付いたしましたけれども、一枚目が、実は文化財保護法の改正が今予定されております、その中のことをいろいろ書いてあるんですけれども、何が今までと大きく違うか。もちろん、この文化財保護法改正案の中身いろいろ問題があります。これはこれでしかるべきところで議論されると思いますが、基本的な
考え方のところで、上の方で赤の波線のライン引きましたけど、とにかく文化財を
経済の
振興の核とすると、こういう言い方が出てまいりました。今までにないことであります。要するに、
経済振興の核と、
経済効果だということなんですよね。
文化財というのはそもそも何だろうと
考えますと、これは人類の知的財産でございまして、人類が生きてきたあかしであります。それはもちろんきちっと大事にして、いろんな方に鑑賞してもらう、学習してもらう、子供たちにも勉強してもらう。そして
入場料が入ると。そういうことでの結果としての
経済効果はあると思うんですけれども、最初から
経済振興の核、稼げというふうに位置付けられてきたわけであります。こういうふうになりますと、文化財の中にはもうからない文化財もあるわけですね。大事だけれども、歴史的価値は高いけれども、もうけの
対象にならないようなものもあるわけであります。そういうものが置いてきぼりになる可能性が、危険性があるということですね。
もう
一つは、こういうことがいろんな随所に出てきたんです。二枚目の
資料に、これもちょっと、今までにない文言が出てきます。明日の
日本を支える
観光ビジョンの中で、これも左の視点一の途中で書いてございますけど、文化財を、保存優先から
観光客目線での
理解促進、そして
活用へと書いてあります。私は何も、文化財全部鍵を閉めて、人に見せるべきじゃないと、保存だけだと、保存が一番大事だということを言っているわけじゃないんです。そうではなくて、とにかく、今までが保存優先なのかどうか分かりませんけれども、とにかく稼げと、
活用して稼げということがここにも出てまいります。
さらに、もっと驚いたのは、ちょっと
資料は配っていませんけど、文化庁の概算要求ですね、
平成三十年度の、その中に文化財で稼ぐと。文化庁の概算要求の中に文化財で稼ぎますから予算をお願いしますと、とうとう文化庁までこういう表現を使うようになってきております。
細かいことは今申し上げませんけど、こういう方向について
日本歴史学協会等々が非常に
懸念を示されてきております。先ほど申し上げたように、もうかる文化財、もうからない文化財、大事な文化財でももうけられなければ置いてきぼりになるんじゃないか、保存されないんじゃないかということも含めて、非常に危惧されている。そういう方向が今進んでいるということなんですけど、今日は文化庁から文化財部長の山崎さんに来ていただきました。山崎さんとはこの間いろいろ議論しておりますけれども、いかにも文化庁というか文化財というか、そういう雰囲気を持った、私、すばらしい方だと思っているんですけど、こういう文化財で稼ぐという表現に、山崎さん、どうですか、抵抗感、抵抗はないですか。