○
政府参考人(
遠藤俊英君) お答え申し上げます。
御
指摘のとおり銀行カードローンにつきましては、二〇一七年九月以降に、残高の多い先を中心にしてこれ十二先、これを
対象にいたしまして検査を実施いたしました。本年一月二十六日にこれまでの検証結果を取りまとめ、公表したところでございます。大門先生の
資料の二ページ目、三ページ目、四ページ目がその検証結果の
内容をまとめたものでございます。
この検査を実施した背景を申し上げますと、全国銀行協会が二〇一七年三月に業務運営見直しのための申合せを公表いたしました。銀行業界において自主的な取組が進められていたわけでございます。それを前提にいたしまして、
金融庁といたしましても、各銀行の業務運営の
適切性に関しまして、
資料の二ページ目及び三ページ目にあります六つの
項目について申合せの前後でどのように改善が図られたのかを検査で
確認したところでございます。
検証結果について重立ったところを申し上げますと、まず二ページ目の一番上の保証
会社審査への依存でございますけれ
ども、この申合せの以前は十二行中九行が保証
会社の
審査に依存しておりました。申合せ以降は一定の改善が見られまして、検査実施後も保証
会社審査への依存を改めるよう前向きに検討が進んでおります。
二つ目の
項目の年収証明書の取得基準でございますけれ
ども、貸金業者は、貸金業法において融資額が五十万円超である場合には年収証明書を取らなければならないというふうになっておりますけれ
ども、申合せ及び検査によって銀行十二行全てが五十万円超に引下げを実施済みでございます。若しくは、その予定としております。
それから、三つ目の
項目の融資
上限枠でございますけれ
ども、そもそも貸金業法における総量規制との関係で問題と見られておりました。検査を通じて各銀行の内部
規定において融資
上限枠が設けられていることが分かりました。また、検証結果によりますと、自分の銀行と貸金業者による貸付けのみならず、他の銀行の融資も含めて年収の二分の一とする銀行が十二行中七行と多く見られました。いずれにいたしましても、他行融資を勘案して融資
上限枠を設定することが重要であるというふうに考えております。
一ページめくっていただきまして、四
項目めの途上管理でございます。途上管理というのは融資実行後の顧客の状況変化の把握でございますけれ
ども、申合せ以前は十二行中八行では銀行自らは実施しておりませんでしたけれ
ども、検査を通じた議論の結果、融資実行後の顧客の実態把握に関しても改善が進行中でございます。また、利用者保護の観点からは相談窓口、返済猶予などの救済措置が重要であるところ、検査を踏まえまして十二行全てにおいて顧客からの相談体制の拡充を検討中でございます。
五
項目めの広告、宣伝でございますが、申合せ以前は十二行全てで年収証明書不要などの不適切な文言が見られました。申合せにおきまして、いずれも不適切な文言を削除しております。また、テレビコマーシャルの自主規制というのは貸金業者において行われていたんでございますけれ
ども、銀行におきましては、申合せ以前はこのテレビコマーシャルについて制限なく放映しておりました。申合せ以降は、いずれも貸金業者の自主規制と同水準に見直しております。
六
項目めの業績評価体系におきましては、これまでの検査では不適切な
契約を招きかねないような問題事例は見付かりませんでした。
以上申し上げましたとおり、多くの銀行では、全国銀行協会の申合せ以降、業務運営を見直し、利用者保護のための体制整備に一定の改善が見られております。ただし、各銀行の取組は緒に就いたばかりでございまして、取組実施のスピードや実効性につきましては引き続き注視してまいりたいというふうに考えております。