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古賀之士君
委員派遣について御
報告申し上げます。
去る二月十九日及び二十日、地方における
経済・
税制・
金融情勢等に関する実情を
調査し、もって本
委員会に付託を予定される
所得税法等の一部を
改正する
法律案の審査に資するため、青森県及び北海道に
委員派遣を行いました。
派遣委員は、
長谷川委員長、羽生田理事、古川理事、三木理事、里見
委員、宮崎
委員、大門
委員、藤巻
委員、藤末
委員及び私、
古賀の十名です。
以下、
調査の
概要について申し上げます。
まず、東北
財務局、北海道
財務局及び日本銀行函館支店管内の
経済状況等についてであります。
青森県の人口減少率は秋田県に次ぐ一・一三%であり、年間で一・四万人減少しています。近年は、青森県へのインバウンドが大幅に増加しており、外国人延べ宿泊者数は、
平成二十九年十一月現在で
平成二十二年の四倍となっています。
北海道については、企業の景況感が夏期にピークとなり、冬期に落ち込む傾向がありますが、冬期の落ち込み幅に改善が見られます。高齢化のスピードが速い北海道では企業の後継者不足が深刻であり、後継者不在率は全国で最も高くなっています。
なお、道南地域を管轄する日本銀行函館支店からは、管内の業況判断について、北海道新幹線開業直後の盛り上がりやイカの不漁等に伴う水産加工の不振などについて
報告がありました。
次に、税務行政についてであります。
仙台国税局の管轄区域は、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県及び福島県の東北六県であり、面積は全国の一七・七%を占める一方、人口は七・〇%であり、税収は三・六%となっています。また、東日本大震災の影響としては、雑損控除など特例の適用件数が
平成二十三年に十四万件を記録しました。
札幌国税局の管轄区域である北海道は、面積が全国の二二・一%を占め、広大な管轄面積の税務署が多くなっています。北海道の人口は全国の四・二%であり、所得税の確定申告者数は三・七%、申告法人数は四・〇%となっていますが、税収は二・四%となっています。
次に、
税関行政についてであります。
函館税関の管轄区域は、北海道並びに青森県、岩手県及び秋田県の東北三県であり、全国の三分の一を占めています。外国人旅行者数の増加が続いているため、安全、安心な通関の確保が
課題となっており、テロ対策や不正薬物の取締り強化、金地金等密輸への厳格な
対応などに取り組んでいます。
次に、北海道旅客鉄道株式会社の西野副社長及び
国土交通省からの
説明聴取についてであります。
北海道新幹線は、
平成二十八年三月二十六日に新青森—新函館北斗間の百四十九キロメートルで開業しました。しかし、盛岡以北が時速二百六十キロメートルに制限されており、さらに、在来線との共用区間では運行速度が時速百四十キロメートルに制限されていることから、所要時間が一時間を超えています。
国土交通省からは、高速化に向けた取組を行っており、現段階の
計画で、東京—新函館北斗間の所要時間は現行最速の四時間二分から最大で約六分短縮されるとの
説明がありました。
次に、青森県の地元
金融機関及び
中小企業団体との
意見交換についてであります。
青森県の地元
金融機関については、青森銀行、みちのく銀行、東奥信用金庫、青い森信用金庫、青森県信用組合の各頭取・理事長から、青森県における地域
金融の実情、地域
経済活性化への取組、日本銀行のマイナス金利政策に伴う経営への影響、フィンテックへの
対応状況、
中小企業の
金融円滑化に向けた取組などについての
説明を聴取しました。また、国際
協力銀行と連携した
金融支援の具体例、金利上昇に備えた取組、増加するカードローンに対して
金融庁が
検査を行う
状況下での取扱いの改善点、AIやフィンテックへの
対応に伴う雇用への影響などについて
意見交換を行いました。
青森県の
中小企業団体については、青森県商工
会議所連合会、青森県商工会連合会、青森県
中小企業団体中央会の各会長から、経営者の高齢化に伴う後継者問題、若年層の県外流出による人手不足への
対応、
平成三十年度
税制改正に盛り込まれた
事業承継税制の
見直しに対する評価、消費税の軽減税率導入に伴う事務負担増などについて
説明がありました。また、所得拡大
促進税制の
見直しに対する受け止め方、若年層が県外に流出してしまう理由などについて
意見交換を行いました。なお、
事業承継税制の
見直しや消費税の軽減税率導入については、より充実したきめ細かい周知が必要であるとの要望がなされました。
次に、北海道の夕食懇談会では、函館市長、函館商工
会議所、北洋銀行、北海道銀行、みちのく銀行、道南うみ街信用金庫、渡島信用金庫、函館商工信用組合の代表などと、地域
経済活性化の取組、
少子高齢化と若年層の流出に伴う人口の減少、インバウンドの増加を目指す取組、イカの不漁に伴う地域
経済への影響などについて
意見交換を行いました。
最後に、訪問先の企業について申し上げます。
株式会社リンクステーションは、「青森をけん引する会社を創る」というビジョンの下、システム開発などの事業を積極的に展開しています。チケットを販売管理できるシステムは全国的に広く利用されているほか、ポイントカード事業な
ども行っているとの
説明がありました。また、キャッシュレス化が進む中でポイントカード事業を展開する狙い、ブロックチェーンの仕組みを取り入れる可能性、知的財産を保護するための取組などについて大嶋社長と
意見交換を行った後、業務の実施
状況について視察を行いました。
株式会社AIハヤブサは、公立はこだて未来大学発のベンチャー企業として、
平成二十九年三月に設立されました。村松代表取締役及び松原取締役からは、「函館発!人工知能(AI)で世界にイノベーションを巻き起こす!」として、AIと画像処理技術を組み合わせた
検査装置を開発し、作業員による
検査の省力化を目指しているなどの
説明がありました。また、既存の画像処理技術との競争、紫外線などを活用した
検査に発展する可能性、知的財産権の侵害を回避するための取組などについて
意見交換を行いました。
株式会社東和電機製作所は昭和三十八年十二月に設立され、イカ釣りの自動化を実現した会社であり、浜出専務取締役から
説明を聴取しました。同社の主力製品である全自動イカ釣り機は、直近の
国内シェアが七五%、世界シェアが七〇%となっています。現場での物づくりを徹底しており、社員が漁船に乗り込んで製品開発につなげています。さらに、実際の漁業や政府の補助金政策などについて
意見交換を行い、LED漁灯などの製造現場を視察しました。
以上、概略を申し述べましたが、おかげさまをもちまして、今回、多くの方々と接し、極めて有意義な
意見交換及び視察を行うことができました。
調査に御
協力いただきました関係行政機関、
金融機関、
中小企業団体及び企業の方々に対し、この席を借りまして厚く御礼を申し上げ、派遣
報告を終わります。