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参考人(
栗林知絵子君) 豊島
子どもWAKUWAK
Uネットワークの
栗林と申します。
今日は、このような場で
お話をさせていただきまして、ありがとうございます。
私は、豊島区という
地域で
子供の居場所づくりをしています。全ての
子供が来れるような居場所、ですけれ
ども、特に困難を抱えた
子供たち、この
子供たちがつながることによってみんな笑顔で成長してほしい、そんな思いでつながった
地域の方と居場所をつくっています。
具体的にどういう居場所をつくっているのか、そしてどんなことをやっているのか、お伝えできればと思います。今日、お手元にパンフレットございますので、そちらも御覧ください。(
資料映写)
そもそも豊島
子どもWAKUWAK
Uネットワークは、二〇〇四年に豊島区が
子供が外で遊べる広場、プレーパークというのを造りまして、そこで
子供たちと関わるところからいろんな居場所が増えていきました。
具体的に言いますと、居場所で
子供に出会います、
地域の人が。そして、
子供の困り事を
子供からキャッチしてしまった。そうすると、
地域の
子供のことは放っておけないよね、じゃ、この子に必要な
支援をつくっていこうという中で、
地域の中に無料学習
支援、そして、一人で御飯を食べている子やおなかいっぱい御飯食べれていない
子供がいるということを知りまして、家族の次のコミュニティー、
地域で御飯を食べる、そんな場所もできていきました。
今では、特に一人親の豊島区の御
家庭の場合は、ア
パートが八万円、十万円といっても、本当に狭いお部屋で住んでいます。
子供が大きくなると、勉強のこととかでいろいろ言い合いになりますよね。例えば、うちだったら、
子供は
子供部屋に入って、お互い距離を置いてクールダウンすることができるんですけれ
ども、狭いア
パートで口げんかになると、
子供は外に出てしまいます。徘回してしまうんですね。そういう中、
子供が安心して来れる、泊まれる居場所もあったらいいねということで、WAKUWAKUホームという、いつでも
子供も
お母さんも来ていいよ、場合によっては泊まってもいいよ、そんな場所までできてしまいました。
これが全体像です。食べる場所、遊ぶ場所、学ぶ場所、のんびりできる場所、様々な居場所がありまして、そこに
子供や
お母さんが行く中で
地域のつながりができてきます。先ほど
小河さんから政策の
お話がありましたが、
入学準備金の話、私
たちがその親子にそういう情報を届けることによって
子供たちのその環境が豊かになります。
これは
日本財団が、三年ぐらい前でしょうか、発表した
データをちょっと持ってまいりました。十五歳の
子供たちの百二十万人のうちの十八万人というのが一人親
家庭、
生活保護家庭、そして施設に暮らす
子供です。つまり、十分な大人、ねえねえ聞いて聞いてって言ったときに応えてくれるような大人がいない
子供たち、この
子供たちの将来を試算したわけですけれ
ども、この
データの中に、ヘックマンという学者さんが、就学前の
子供たちに対する投資というのはとても成果が高いというふうに挙げています。
そして、こんなグラフを載せているんですね。若者に、今の若者にもちろん
支援は必要です。でも、その成果というのがとても低いんだけれ
ども、黄色いゾーンは就学前ですね、青いゾーンでも多分小学生ぐらいまでの
子供たち、この
子供たちにいろんな人的資本投資をすることこそがとても成果が高いよというふうにこのグラフから読み取れると思います。
実際に私
たち、プレーパークに来ている中三の男の子の勉強を教えたことがあります。ですけれ
ども、教えてみたら、掛け算、小数点の足し算でつまずいていたんですね。そこで、中三の学習
支援って今とてもいろんな
自治体でもやっているんですけれ
ども、もっと早い時点、小
学校のそのつまずいた時点で
支援をすることの方が成果が高いんじゃないか、そこで
支援をすることによって、
高校とか、進学
高校が変わっていれば就労先も変えることができるんじゃないか、そんな思いで、小学生も来れる学習
支援を五年前に立ち上げました。
それがこのグラフの言っている意味だと思います。大きくなった
子供の
支援も大事なんだけれ
ども、
子供たちが
地域の中にいるうちに
地域の多くの大人が関わって、みんなで育てるような環境をつくるということですね。
これ、福祉の視点でも同じことが言われています。発達期における十分な依存体験というのが基本的信頼感を育み、自立を促すということですね。これはよく愛着形成とも言われていますけれ
ども、やはり全ての
子供が大事にされる、多くの大人に褒めてもらったり気に掛けてもらう、これができるのはやはり
地域の人なんです。
制度ももちろん必要ですけれ
ども、やっぱり孤立しがちな
子供や
お母さんにこのつながりをつくっていくことは
地域にしかできません。
昔と今、昔も
子供たち、自分も大変だったというような話をよく聞きますが、今便利になっています。コンビニとかスーパーも二十四時間営業していますので、昔のようにみそを借りたり、もう家でしか御飯が食べれないという
状況ではないんですね。もう子育ての
お母さんもそうです。人に聞かなくてもスマホで情報が取れてしまうような環境の中、あえて、今、現代のつながりづくりをしていくことが私はとても大事なんじゃないかと思っています。
そういうわけで、私
たち、
地域に様々な切り口の
子供の居場所をつくっています。
子供は昔も今も食う、寝る、遊ぶ、食べる、安心して寝る場所、そして思い切り遊ぶ、この体験が必要なんじゃないかなと思っています。
具体的にこれがプレーパーク、遊び場の様子です。こんなふうに異年齢の
子供たちが遊んでいますが、この真ん中にいる二人は就学前の
母子家庭の
お子さんです。まさに、先ほどのグラフでいう黄色いゾーンの子ですね。
お母さんは、サービス業ですので、土曜日とかも仕事をしないと収入が足りません。そういう、土曜日って、でも保育園がやっていなかったり、保育園行きたくないって
お子さんは言います。でも、
地域でこういう場所があることによって、
子供をみんなで見守って大事にされるわけですね。ここで
子供たちは、人を頼ってもいいとか、何か困ったら相談すればいい、何かやりたい、こんなことを経験して大きくなることが必要なのかなと思っております。
これが、こんなふうに木で何か遊ぶにしても、自分
たちでちょっと上のお兄ちゃん、お姉ちゃんのやっている姿を見ながら、まねをしながら大きくなるんですね。こんな泥んこ遊びとか、今なかなかするところがありません。公園は禁止事項の看板だらけです。サッカーが禁止、ボール遊び禁止、自転車乗り禁止です。ですけ
ども、
子供がやっぱりやりたい、これをしたいと思うような環境をつくっていくことがとても必要なんじゃないかなと思っております。
これは学習
支援です。ここも
対象は
地域の
子供全てです。ですから、小学生も中学生も外国籍の
子供も。そして、外国籍のお父さん、
お母さんは更に
日本語を学ぶチャンスがありません。ですから、手紙を読めないんです。
制度につながらないんです。誰にも相談できない。そういうことを知ってしまいましたので、今では
お母さん、お父さんもやってきます。時には
高校進学のための準備の説明をしたり、時には
教育委員会の窓口に一緒に行くことができます。
もちろん、小学生、つまずいていない子は、ここで勉強、宿題が終わった後、こんなふうに大学生と遊んだり、知っている関係、大事にされる経験をここでするんですね。
これも日常の様子ですけれ
ども、
お子さんによっては、親御さんが忙しいと、なかなか持ち帰った作品、こういうものを家で褒めてもらったり飾ってもらう経験がありません。毎回ランドセルをしょったままここに来る子がいます。一週間分の手紙がランドセルの中に入っています。そういうのを私
たちが全部チェックをしたり、
子供の持ち帰った作品を一時間だけでもここで飾ったり、こういうことだったら私
たち地域の多くの
人たちがつくることができます。
これも日常の様子です。ここにスーパーの袋があるんですけれ
ども、これは
地域のパン屋さんが毎回
子供たちのためにおいしいパンを焼いて、こういうふうに提供してくれるんですね。この学習
支援、豊島区には今十九か所に増えました。
地域の大人が
地域の
子供たちのための学習
支援をしています。そこに、
地域の福祉系のパン屋さんですね、
皆さん、
子供たちのためにということでパンを提供してくださったりお寺からお菓子が届いたり、つまりまさに
地域の
子供をみんなで支えるつながりをつくることができています。
ここでクリスマス会、家でできなくても、こんなふうにわいわいクリスマス会をやったり、大学生が本物の文化、芸術、そういうものを届けたり、時には博物館に連れていったり、学習
支援に来ている大学生、みんな十分な環境の中で育った子が多いです。自分がやった体験を
子供たちにさせ、そういう場をつくっているんですね。
これは先日のクリスマス会の様子です。私
たちの
活動、全て
子供は無料です。
お金があるなしに限らず全ての
子供が
地域に大事にされてほしいということでやっていますので、なかなか財源は厳しいです。ですから、近くのスーパーでスポンジを買って、みんなでケーキを作って、でも、みんなであったかいクリスマス会を迎えることができるんですね。
そして、これ、よく今
皆さんも聞くことがあるかもしれません、
子供食堂です。十分に御飯が食べれないとか、独りぼっちで、
お母さんが帰りが遅かったり、普通の核家族でも、お父さんの帰りが遅くて、
お母さん、もう夕方になると笑顔がない、そんな中で親子二人で御飯を食べているお宅もあるわけですね。月に一回でもこうやって
地域みんなでわいわい御飯を食べる。そこで
お母さんも気持ちが楽になることで、子育て全体、楽になったらいいななんて思っております。
ここは就学前の親子がたくさん来ています。ここはお寺を借りてやっていますので、こんなふうな看板も掲げ、こんなふうなにぎやかに、わいわい御飯を食べています。
一方で、ここは九十歳のおばあちゃんが住む一軒家を借りてやっている
子供食堂です。
地域の方が、この場所、自分のお宅を使っていいよということで貸してくださっています。でも、このおばあちゃん自身が、
子供たち、そして私
たちおばちゃん、いろんな
人たちとのつながりの中、老後も、もう九十ですので、
地域とつながりながら楽しく暮らすことができるんですね。で、こんな郷土料理や季節の料理、もちろん、
お母さん余裕がなくて家でできることがないなら、親を責めるのではなく、
地域でこういう場をつくればいいんじゃないかなと思っております。
これ、フキの煮物なんですけれ
ども、ある若い
お母さん、この煮物を
子供食堂で初めて食べられました。
お母さん自身が十分な環境ではない中で成長されたんですね。そして、未婚のまま出産されてシングルマザーになりました。やはり、こういう
お母さんも
子供食堂にやってきて大事にされる、そして
子供はもっとみんなで大事にしてみんなで育てる、このつながりをつくる
子供食堂はいい装置だなと思っています。
手作りのお弁当を
学校の
運動会に持っていったことがないということを聞けば、こんなふうにお弁当の作り方を教えたり、夏休み、
お母さんはお盆休みはいつも別の仕事を入れている、旅行なんて行ったことないとか、不登校の
お子さんはそもそも修学旅行も行っていないですよね、そんな声を聞き、農家さんのところにみんなで遊びに行ったり、つまり、本当は親が家族でやる経験ですけれ
ども、できないんだったら
地域でやろう、こんな広がりです。
先ほど言いました無料学習
支援、豊島区には、私
たち五年前に始めたんですけれ
ども、これ、行政とかがいい
取組だねと応援することによってどんどん増えていきました。今十九か所です。そして、これ、福祉課さんがこんなふうなマップを作り、毎回、月に一回、区役所に集まって、みんなで情報共有をしています。つまり、
地域全体がこういう
子供たちをほっておかない、そんな意識が高まってきています。そして、これ、マップですね、マップを作って必要な
子供に情報を届けております。
同じように
子供食堂も、これ三つ折りのマップなんですけれ
ども、これ三つに折ってあるんですけど、中を開くとこんなふうに、
地域の
子供食堂、豊島区の中に今十三か所、増えました。こういうところがあるよというのを情報を
子供たちに提供したり、時には
子供たちを連れてくるのは行政の方だったりします。もちろん、
地域の方も連れてきます。
こうやって
子供の居場所、食べる場所、遊ぶ場所、そして学習
支援の場、いろんな場ができていく中、そこに、そういう場所に
子供をつなげる人ができていく中、
地域のセーフティーネットの網がどんどん細かくなっています。
豊島区では、今、来年度からおせっかいさんという、
地域の方だけではなく、行政に
子供生活支援員、コーディネーターを配置をして、更に必要な
子供たちにこのような
地域の資源につなげる、こんな
制度もできてきています。
私
たちのこの
取組、
子供、勉強、本来は
学校で
先生が教えるべきだろう、
子供、親が育てるべきだろう、御飯なんか
子供食堂で作ったら親が怠けてしまうんではないか、こんな批判もありました。ですけれ
ども、私も近所の公立の
学校に
子供通いました。
先生、本当に余裕がない中、一生懸命やってくださっています。
お母さんもお父さんも、シングルでも何とか頑張っているんです。だったら、そこで見捨てるのではなく、足りないところは
地域でサポートするよ、みんなの
地域の
子供だよね、こんな意識がもっと広がる中、そういう
地域は全ての人をほっておかない町になっていくんじゃないかなと思っています。
私
たち自身、こういう
取組をする中、多くの仲間ができて、私自身、
地域のつながりが豊かになりました。特に
子供食堂は、今
全国に八百から千か所ぐらいあるんじゃないかと言われています。豊島区の中だけで十三ですね。先日、埼玉で「広がれ、こ
ども食堂の輪!」
全国ツアーというのがあったんですけれ
ども、埼玉県内にも八十か所以上あるということです。こうやって、
地域の
子供を
地域で何とかみんなで支えたい、こんな意識が広がっています。
子供食堂というのは、やはり子育て
支援というのは今までもいろいろ施策はあるんですよ、子育てサロンとか子育て広場とか、親御さんが
地域で仲間をつくり、子育てが楽になるようにということであるんですけれ
ども、一人親の
お母さん、平日の昼間の広場に行くことはできません。でも、保育園帰り、月に一回でもここに行けば、あったかい御飯作って、今日だけは洗い物しなくてもいい、こんな場というのは、やはり困難な
家庭の
お子さん、つながりにくい親子がつながりやすい装置なんですね。そして、私
たちも子育てのし直しができたり、
子供と関わる中、自分
たち自身も豊かになっています。
これは、つい先日、お正月にいただいた
地域の方からのお手紙です。よかったら後で御覧ください。
子供食堂や食料
支援もしています、畑に連れていったり、みんなで焼き肉を食べに行ったり、そんなことも、企業さんとかいろんな方
たちが今
子供の
支援をしたいんです、だけ
ども、どこにその子がいるか分からない、
支援をしたいけ
どもということで私
たちに相談されてきます。私
たちは本当におせっかいにも、その企業と
地域の
子供をつなぐだけなんですね。フードロスの食材とその親子をつなぐだけです。でも、そのつなぎ手がいることによって
子供たちが豊かに育つ、この環境は
地域の
人たちがやる気になれば
全国どこでもできるんじゃないかなと思っています。このお手紙にもありますが、今本当にこの
支援があって助かった、でも、自分ももうちょっとしたら今度は支える側に回りたい、こんな
お母さんの声をよく聞きます。
こうやって、
子供ってその年齢によって必要な
支援が違います。小さいうちはやっぱり関係づくりですね、大事にされる。だけど、大きくなってくると、やっぱり今度
お金も掛かります。いろんな
制度やその居場所、人につなげて、
子供たちが成長する、そして
地域に戻ってくる、この循環ができることによって私は持続可能な町づくりになっていくと思っております。
子供食堂、五年前はこんな
取組、大丈夫なのかなんていう声がありましたが、もっともっとこれが広がったらいいねということで、別刷りで「広がれ、こ
ども食堂の輪!」
全国ツアーというのをお配りしていますが、こんな啓発もしております。
長くなりました。以上です。ありがとうございました。