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2018-02-14 第196回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年二月十四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月十三日     辞任         補欠選任      小林 正夫君     藤田 幸久君      里見 隆治君     伊藤 孝江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     理 事                 三木  亨君                 宮本 周司君                 吉川ゆうみ君                 大島九州男君                佐々木さやか君                 武田 良介君                 石井 苗子君     委 員                 猪口 邦子君                 今井絵理子君                 小野田紀美君                 尾辻 秀久君                 大野 泰正君                 酒井 庸行君                 藤川 政人君                 丸山 和也君                 宮島 喜文君                 杉尾 秀哉君                 鉢呂 吉雄君                 藤田 幸久君                 伊藤 孝江君                 熊野 正士君                 木戸口英司君                 江崎  孝君                 伊波 洋一君    委員以外の議員        議員       糸数 慶子君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       大鷹 正人君        外務大臣官房参        事官       鯰  博行君        外務大臣官房参        事官       林  禎二君    参考人        国立研究開発法        人国立環境研究        所地球環境研究        センター気候変        動リスク評価研        究室長      江守 正多君        一般社団法人J        EAN代表理事        特定営利活動        法人パートナー        シップオフィス        理事       金子  博君        アジア防災セン        ターセンター長        早稲田大学名誉        教授       濱田 政則君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際経済外交に関する調査  (「アジア太平洋における平和の実現地域協  力及び日本外交在り方」のうち、国境を越え  る諸問題の現状解決に向けた課題環境問題  ・気候変動等への対応)について)  (海外派遣議員の報告)     ─────────────    〔理事三木亨会長席に着く〕
  2. 三木亨

    理事三木亨君) ただいまから国際経済外交に関する調査会を開会いたします。  本日、鴻池会長が都合により出席できませんので、会長の委託を受けました私が会長の職務を行います。  委員異動について御報告いたします。  昨日、里見隆治君及び小林正夫君が委員を辞任され、その補欠として伊藤孝江君及び藤田幸久君が選任されました。     ─────────────
  3. 三木亨

    理事三木亨君) 国際経済外交に関する調査を議題といたします。  本日は、「アジア太平洋における平和の実現地域協力及び日本外交在り方」のうち、「国境を越える諸問題の現状解決に向けた課題」に関し、「環境問題気候変動等への対応」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、国立研究開発法人国立環境研究所地球環境研究センター気候変動リスク評価研究室長江守正参考人一般社団法人JEAN代表理事特定営利活動法人パートナーシップオフィス理事金子博参考人及びアジア防災センターセンター長早稲田大学名誉教授濱田政則参考人に御出席いただいております。  この際、一言御挨拶を申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、江守参考人金子参考人濱田参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、参考人に対する質疑を行います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、江守参考人から御意見をお述べいただきます。江守参考人
  4. 江守正多

    参考人江守正多君) よろしくお願いいたします。  アジア太平洋に限らないんですけれども、グローバルな問題として気候変動の問題、いわゆる地球温暖化の問題について大枠の認識をここで述べさせていただきたいと思います。  資料を御覧いただきたいと思います。  二ページ目、一枚目の下に世界平均気温変化傾向が書いてありますけれども、このように長期的には上昇傾向であると。途中上がったり下がったり、あるいは十年スケールで見ても、途中上昇が止まっているように見える期間もあったわけですけれども、最近また上がっているのは顕著であるということで、実際に地球は温度が上がっております。  めくっていただきまして、三ページ目、気候変動関連リスクを全体像で捉えると書いてあるところですけれども、地球温暖化が進みますと様々なリスクが懸念されるわけですけれども、それは皆さんよくいろいろなところでお聞きになっていると思いますが、左上に書いてあります悪影響ですね、熱波、大雨、干ばつ海面上昇水資源食料、健康、生態系その他の影響が指摘されています。しかしながら、広い目で見ますと、一方で、場所によっては良いこともあるかもしれないじゃないかということが右上に書いてあります。  一方で、対策を行いますと、対策に伴って経済的なコストであるとか対策の副作用に当たるようなリスクが懸念されるということが左下に書いてあります。また、対策を行うことによって気候変動が抑制される以外にも副次的な好影響が、省エネであるとかエネルギー自給率の向上などといったものがあると。気候変動の問題とそれに対処することというのは全体像で捉えるとこのような様々な側面を持っているんじゃないかという形で整理させていただきました。  しかも、どの好影響、どの悪影響を被るかというのは国によっても世代によっても様々な要素によって異なるわけですので、実はこの気候変動の問題の深刻さというのはなかなか考え始めると複雑な問題であると思います。しかしながら、国際的な認識としましては、これは全体的には非常に深刻な問題であるということで捉えられていると思います。  特に、その下に、四ページ目に書いてありますクライメートジャスティスという考え方がありますけれども、これは、今まで温室効果ガス排出してきたのは主に先進国と最近では新興国であります。一方で、最も深刻な被害を受けるのは貧しい途上国や弱い立場人たち、あるいはこれから生まれてくる人たちも含めた将来世代であると。ポイントは、この人たちはほとんど温室効果ガス排出していないということです。  最も原因に責任のない人たちが最も深刻な被害を受ける。例えば、自分の住んでいる国がそのうち沈んでしまうかもしれないという心配をしなくてはいけない人たちであるとか、あるいはアフリカの小規模農業をしていて干ばつが来ると本当に食料や収入がなくなってしまうような人たち、そういう人たちは、自分には責任がないにもかかわらずそういう目に遭っていると。これは国際的な人権問題であるという認識社会運動が起きている。それがクライメートジャスティスという考え方ですけれども、このような捉え方がこの気候変動の問題全体として非常に深刻であるという国際的な認識の背景の一部にあるのではないかと考えます。  めくっていただきまして、御存じのとおり、そういった認識に基づきまして、国際社会においては国連の気候変動枠組条約の毎年行われているCOPの、二〇一五年のフランスのパリにおけるCOP21におきましてパリ協定が合意されまして、翌年発効いたしました。パリ協定の中で一つ注目すべきことは、長期目標が合意されたということです。そのスライドに書いてあるのはその長期目標ですけれども、世界的な平均気温上昇産業革命以前に比べて二度より十分低く保つとともに、一・五度に抑える努力を追求するということが合意されました。  この一・五度といいますのは、現時点で既に産業革命以前に比べて世界平均気温がおよそ一度上昇しております。ですので、この一・五度というのは現在と比べると〇・五度ぐらいです。二度というのも現在と比べるとあと一度ぐらいです。ですので、非常にタイトな目標である。そのグラフに書いてありますように、赤の線のような対策なしで気温がどんどん上がっていくケースでは、一・五度というのは二〇三〇年頃には超えていってしまう。二度というのも二〇四〇年頃には超えていってしまう。対策をしないと割とすぐに超えてしまうようなところに目標を持ってきているということがお分かりいただけます。  次の六ページ目ですけれども、それでは、その一・五度や二度を目指すためには温室効果ガスをどれだけ削減しなければいけないのか。これについてもパリ協定の中に書いてありまして、そこに書いてありますように、今世紀後半に人為的な温室効果ガス排出吸収源による除去均衡を達成するということが書いてあります。  温室効果ガス排出といいますのは、主にはエネルギー起源二酸化炭素排出が一番大きいわけです。吸収源による除去というのは、例えば植林を大量に行うと大気中の二酸化炭素を吸収できるといったことを指します。それの均衡ということですので、排出量吸収量がバランスする、これは言い換えると正味の排出量をゼロにするということです。しかも、吸収量はそれほどたくさんは増やすことはできませんので、これは基本的には排出量今世紀中にほぼゼロに持っていくという目標を意味しています。  そこのグラフに書いてありますように、青い線で書いてあります、二度未満と書いてある現在以降のグラフに示されているように、これまでずっと増加してきた世界全体の人為起源CO2排出量をできるだけ早くピークを打って、それから減少に転じさせて、そのままどんどん減少させて、今世紀中にゼロにしたいというようなことを国際社会は目指したということをパリ協定は意味しております。  めくっていただきまして、七ページ目なんですけれども、現状を申し上げますと、一つはいいニュースがありまして、世界CO2排出量経済成長グラフを一九九〇年を起点にこのように書きますと、緑色がCO2排出量、ピンク色が世界の総生産でありまして、最近、CO2排出量、去年は少し残念ながら上がってしまったんですけれども、その前の三年間というのは、世界全体で見て経済成長しているにもかかわらず、CO2排出量は増えなかったということが指摘されています。つまり、これは世界全体の産業構造サービス産業の割合が増えていることであるとか、アメリカのシェールガスが大量に使われるようになったとか、様々な要因があると思いますが、一つには、世界全体で再生可能エネルギーが非常に安くなって導入量が増えたりしているということが一部表れているのではないかと考えられます。  というわけで、非常にいい進展は見られるんですけれども、一方で悪いニュースもありまして、次の八ページ目の、排出ギャップというふうに書いてありまして、黒で書いてあります実績は上のグラフの緑の線とほぼ同じものですけれども、それ以降、パリ協定各国が自主的に自分の国は何%削減するという目標を宣言しているわけですけれども、それを全て達成したとして、どれだけの削減が見込めるかということを見積もったものです。  実は、これはパリ協定なしでその排出量はこれからも増加していくという場合に比べて相対的に僅かな削減にしかなっていなくて、二度や一・五度を目指すような削減ペースには非常にギャップがあるということをこのグラフは示しています。現在の国別目標を全て達成しても三度前後気温上昇してしまうということが認識されていて、パリ協定においては、五年ごとに各国目標を見直して、目標を強化してこのギャップを埋めていこうということが重要なアジェンダになっているのは御存じのとおりです。  そういうわけでありますので、これが世界全体で今世紀中に排出量ゼロを目指すということを世界目標にして合意したわけですけれども、これは是非やらなくちゃいけないようにも見えるし非常に難しそうにも見えると。この問題をどうやって捉えていくかというのが非常に重大な認識の問題になっているというふうに私自身は思っております。  認識の問題として捉えましたときに、次の九ページに書いてあります、これは一つ社会調査の結果なんですけれども、世界市民会議という社会調査が二〇一五年六月、ちょうどパリ協定が合意される半年前ぐらいに世界全体で同時に行われました。あなたにとって気候変動対策はどのようなものですかという問いがあったんですが、これに対して、世界平均ですと、三分の二ぐらいの人たちが、多くの場合生活の質を高めると答えました。日本回答者は、三分の二ぐらいの人たちが、多くの場合生活の質を脅かすと答えました。つまり、温暖化対策をすればするほど、世界では生活が良くなると思っている人が多いのに対して、日本では生活が悪くなると思っている人が多いと。  これは、日本回答者が何を話しながらこの回答をしたかの分析も見たところ、基本的に温暖化対策であるとか環境にいいことというのは、我慢であるとか、辛抱であるとか、節約であるとか、負担であるとか、便利な生活を諦めるとか、そういうイメージが非常に強いということが分かっています。しかしながら、大事なこと、地球のため将来のためなので大変だけれども努力してやらなければいけないと、そういうふうに認識している方が日本には特に多いようであるということです。  ところが、次に書いてありますように、これは私自身認識でもありますし、国際的に専門家が言っていることでもありますけれども、この脱炭素化CO2排出をゼロにするということは、そんなふうに嫌々努力して不承不承にやっていて達成できる目標では決してないと思います。嫌々努力していると、どれだけ我慢すれば排出ゼロになるんですか、何時代に戻るんですかという話になりますので、決してそういうことではないんだろうと。  じゃ、どういうことかというと、最近よく言われるようになったのが、社会の大転換が起きる必要があると。大転換というのは、英語でトランスフォーメーションという言葉をここではそう訳して、ここでの意味としては、単なる制度技術導入ではなくて、人々世界観変化を伴うような過程であると。人々の物の見方考え方常識、そういったものが大きく変わってしまう、そういうことが起こらなければいけない。過去の人類の歴史上での例としては、例えば産業革命であるとか奴隷制の廃止というのが人々世界観が大きく変わった事例として挙げられます。ですので、排出ゼロを実現するということは、このような種類の社会変化を意味している。決してコストを掛けて技術導入したり制度導入しさえすればいいという話ではどうもなさそうだという、我々としても認識転換が必要なのではないか。  大転換が起こるためには、その下に書いてあります新奇性多様性、経験からの学習が必要だと言われております。これはいわゆる技術イノベーションみたいな話とよく似ているんですけれども、今まで考えたことのないことをいろいろ考えてみて、いろんな人がいろんなことを試して、そして成功したり失敗したりした中から成功したことをつなげたり広げたりしていくと。一方で、計画して管理して、同じやり方で過去の延長でやっていたのではこういった常識変化は起こらないということが指摘されています。  考えてみますと、私見では、この下に書いてある方のやり方というのは日本の今まで得意としてきたやり方なのではないか、そういうやり方ではこの常識転換というのは起こらないのではないかと、そういうことを示唆しているように見えます。  めくっていただきまして、十一ページ目ですけれども、これはスイスの人が書いた論文から持ってきたスキームなんですけれども、京都議定書からパリ協定パラダイムが変わったということが指摘されています。これは、この論文が分かりやすかったんですけれども、多くの人が異口同音にこういうことを言っています。  京都議定書のときは排出量重視世界全体で排出量を減らしたいんだけれども、自分の国はなるべく排出削減が経済的な負担になるのを避けたいと。経済的負担の抑制の動機が働いて、その負担をほかの国に押し付けるというのが政策目標になっていた、交渉の目標になっていたというパラダイムであったというふうに捉えたときに、パリ協定パラダイム技術重視と申しますか、技術変化すれば排出削減はできるじゃないかという新しい認識が生まれた。再生可能エネルギーやバッテリーや電気自動車、そういったものがどんどん安くなって、人々がどんどん使うようになっていくと排出削減はできると。むしろ、その変化において、いかに自分の国の技術を普及させるかであるとか、標準を取るかであるとか、国際的なリーダーシップを取るかであるとか、そういうところの競争になっている、経済的機会の獲得の競争になっているというパラダイムのシフトが語られています。  次のスライドは、これは最近何年間かの日本における地球温暖化議論を聞いていて自分が観察したことをまとめたものなんですけれども、どうも地球温暖化は大事だというふうに皆さんおっしゃいます。これは政治家の方も産業界市民団体も、皆さんそういうふうにおっしゃって、解決するべきだというふうにおっしゃいますが、その解決するべきだと言っている内容が、よく聞いていくと二つの大きなグループに分けられて、その間が鋭く対立しているんじゃないかということです。一つ考え方は、左側にあります技術が重要であるという見方です。逆側は、社会的な変化が重要である。  例えば、技術が重要であるという視点に立ちますと、日本は高効率の火力、石炭を含めて火力発電技術を持っているので、それを普及させていけば貢献になるじゃないかと言いますが、右側から見ると、それはそれを建てたら三十年ぐらいそれを使うので、再エネが入っていかないのでリスクだと言います。  あるいは、左で見ると、原子力発電所を安全確認されたものから再稼働させていけばCO2出さずに安くてエネルギーつくれるじゃないかと言いますけれども、右側から見ると、まだそれは心配である。  あるいは、革新的技術というのは、ここで意味しているのは例えば核融合とかそういうものがそのうちできれば問題一気に解決されるかもしれないじゃないかと言いますが、そんなのはできるか分からない。  そして、再生可能エネルギーというのはどちらから見ても重要ですけれども、左の立場からでは、今は高コスト不安定なので更に技術開発が必要である。右から見ると、今の技術でももっと入るのに、社会の仕組みが悪いと入っていかない。  省エネも大事ですけれども、左から見ると、これは省エネ機器をたくさん売っていこうという話ですけれども、右側から見ると、ライフスタイルが重要じゃないかと。  右側の気分というのは、最終的には特に先進国は物質的な豊かさを追求するような時代からもう脱却するべきじゃないか。しかし、それは左側から見ると、不景気になったらどうするんです、失業者が大量に出たらどうするんだという懸念につながります。  これはどちらが正しくてどちらが間違っていると言っているわけじゃないんですけれども、往々にしてこういった対立の構図があるように見えるということを指摘させていただきます。  次の最後の一枚ですけれども、十三ページ目に行きまして、ですが、この一、二年、パリ協定以降の特に様子を見ていますと、この二つ立場というのは必ずしも対立しなくてもいいんじゃないかという新しい見方ができるようになってきたのではないかと思います。  技術立場から言いましても、従来の技術進歩延長では何十%も削減ができないことは分かっていると。社会変革立場から言っても、理念を唱えているだけでは社会は変わらないということは分かっている。しかし、これを組み合わせますと、例えばその理念から発して、ここでの例は自動車ですけれども、一人一台自動車を持つのは無駄である、一家に一台持つのは無駄であるという理念から発したとして、それを唱えていただけでは社会は変わりませんでしたが、その信念に後押しされるような形でイノベーションが起こると、ここではライドシェアアプリを使えば便利じゃないか、これから自動運転ができるようになってくると、さらに一人一台、一家に一台自動車要らないんじゃないかと常識変化が起こりまして、それによってライフスタイルが変わると。  理念を唱えていただけでは変わらなかったライフスタイルというのが、イノベーションというのがかむことによって変わると。今までは自家用車を購入するというのが常識だったのが移動サービスを利用するというのが常識になると、それによって人々の行動とか需要が変化してビジネスモデル産業構造が変わっていくと。こういう融合が見られるようになったのではないかというふうに思います。  最後に全体的なことを申しますと、パリ協定の合意というのは私はこういうふうに捉えています。人類化石燃料文明今世紀中に卒業しようとしていると、そういう決意であるというふうに思います。  ここでも常識変化が起こっていまして、化石燃料の問題というのは少し前までは枯渇が心配でした。化石燃料はいつかなくなってしまうので大切に使わなくちゃいけない、ずっとそうやって私も育ってきたわけですけれども、最近のパリ協定議論というのは、化石燃料はたくさん余っているのに使うのをやめるということを意味しています。現在発見されている化石燃料の三分の一ぐらいは燃やして、三分の二ぐらいは地中に埋めておく、使わないで取っておくということをしないとパリ協定目標というのは達成できないわけです。  そんなことが起こるかと思ったときに非常にいい言葉がありまして、石器時代が終わったのは石がなくなったからではない、何で終わったかというと、鉄器とか青銅器が生まれたからであると。同じようにして、化石燃料時代が終わるのは、化石燃料を使い切ったときではなくてもっと早く終わるのではないか、それが起きるとしたら、それは化石燃料よりももっと安くて便利で豊富に存在する安定したエネルギーシステム人類が手に入れたときではないか、それを今世紀中に目指そうと言っているのがパリ協定である、そういうふうに認識しています。  是非、こういった大きなスコープで国会議員の方々におかれましてもこの問題を議論していただきたいと一国民として強く感じております。  以上です。どうもありがとうございます。
  5. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  次に、金子参考人から御意見をお述べいただきます。金子参考人
  6. 金子博

    参考人金子博君) まず、本日、プラスチックごみによる海洋汚染問題についてお話をさせていただく機会を設けていただいたこと、感謝いたします。  早速なんですが、私の方のプレゼンの資料を見ていただきたいと思っています。  一ページ目なんですが、これに関しては今事務局の方々からの回覧をちょっとお願いをしているものがあります。最近、マイクロプラスチックという言葉がかなり新聞等でも出てきて、世界的な問題になっているということで周知されてきていますが、その現物を今日お持ちをしました。(資料提示)  一つは、ここの写真にありますけれども、ハワイ島カミロポイントで採取したものが大きい瓶に入っているもの。それから、小さい瓶については、山形県に小さな島、飛島というのがあるんですが、そちらの海岸に漂着していた同じ小さいプラスチックの破片のごみということで、実際見ていただいた方がいいかなと思ってお持ちをしたところです。  マイクロプラスチックというのはある定義付けがされていまして、世界の研究者が直径五ミリメートル以下の微細なプラスチックごみのことを総称しようというふうに定義付けをしました。通常、マイクロというと目に見えないレベルのものを総称するんですけれども、このプラスチックごみについては一般の方々が目に付くことが可能な定義付けをしようということで悩まれて、実際五ミリメートルですと目に見えるということがあって、それを総称しようということに決まった背景があります。  多くはプラスチック製品の破片が主たるものになっていますけれども、中には洗顔剤などに添加されているマイクロビーズや化学繊維の破片も含まれていますが、これらはごく一部であります。含有、吸着する有害化学物質が食物連鎖に取り込まれて生態系に及ぼす影響が世界的に懸念されているということが今日的な課題になっているところです。  同じページの、コアホウドリという鳥の死骸写真をお持ちしたんですが、若干ちょっと訂正をさせていただきたくて、このコアホウドリはよくプラスチックごみ被害を受ける鳥ということで象徴的に扱われているんですけれども、その写真は何点かあって、この写真はちょっと別の方が撮ったもので、訂正させていただきます。北西ハワイ諸島のレイサン島でリチャード・ステイナー教授が撮影したものですので、これはJEANの方が使用許可を得て掲載しているものですが、後でデータの方を事務局の方に訂正をさせていただきたいと思っています。  二ページ目、ちょっとめくっていただいて、二ページ目のスライドの方を見ていただきたいと思っています。  それでは、マイクロプラスチックを含むプラスチックごみそのものの特徴ということを共有させていただきたいと思っていますが、まず、ごみの発生原因や経路が複雑多岐にわたるということがあります。身近な生活用品あるいは農業、漁業系の資材として使われていますし、工業製品でも多々使われていると。それらが陸域や海域で捨てられて、あるいは飛散して海の方に最終的に入ってきてしまっていると。基本的にはポイ捨て行為を含む不法投棄もあるんですけれども、意図なく、意識的でなく、風雨等によってまた拡散する部分もあると。  右の写真はこの近くの写真をあえて撮って皆さんにお示ししたんですが、たばこのポイ捨てなり、あるいは皇居のお堀でもレジ袋なんかがたくさん漂流してしまっているという状態があります。写真の右の方に東京の荒川放水路の河口部の写真もありますけれども、ここにはペットボトルが大量に漂着しているということが明らかになっています。私が今暮らしている山形県の庄内地域でも、毎年冬を越して、これからの時期になりますが、大量の漂着物が流れ着いてしまうと。その件は沖縄県でも一緒であるということです。  ここで特徴の二つ目にあるんですが、ごみの移動性、拡散性というところが特徴にあります。水の流れ、海流によって地域や海域を越えてほかの地域の沿岸へ漂流したり海岸へ漂着してしまうということがあります。ごみの性状によっては漂流したままのものもありますし、海底に堆積するものもあります。ほかの地域で海岸に漂着する場合も、やはりこれは気候条件といいますか地理的な条件によって、場所による偏りが大変大きい問題なんですということがあります。  冒頭に申し上げたとおり、微細化、破片化していくということによって回収がもう不可能になってしまうということが二つ目の特徴の中に入っています。  今、海岸漂着ごみは回収活動をかなり行っているわけですけれども、もう多種多様なごみが入っているものですから、要するに単一の素材ではないものですから、リサイクルや処理が困難なものになっています。ですから、回収した場合に、そのまま最終処分場に持っていったり、最新の焼却炉があれば多少燃やせるということもあるんですけれども、そういったことで困難な問題になっています。  三つ目のスライドを見ていただきたいんですが、これまでのプラスチックごみによる海洋汚染問題については、対応の基本的な考え方というのを私たちNGO、NPOが示してきています。お手元の資料は、二〇〇七年に海洋基本法ができて、それから基本計画を作ろうということで、二〇〇七年、そのときに我々からの提案として、海洋基本計画の中にこういった問題を入れてほしいということで作ったペーパーに基づくものです。  三つの基本原則と十一の方策ということで提示をさせていただきました。その中の幾つかは、赤で書いてありますけれども、現行法、海岸漂着物処理推進法という法律の中に入れていただいた経緯があります。ただ、現行法にまだ組み込まれていない方策の項目もまだ残っているという理解を我々はしているところです。  四ページ目に、見ていただきたいんですが、現在、海岸漂着物処理推進法というのが我が国のこの問題の個別対策法としてありますけれども、実はこの法律は略称でして、大変長い法律名称になっています。美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理の推進に関する法律ということで、二〇〇九年、平成二十一年に皆様方のお力も得て参議院本会議で超党派の議員立法として採決、成立をさせていただいたものになります。  目的は、ここに書いてあるとおり、海岸に着いたごみを何とか取りあえず回収したいということが、その当時のせっぱ詰まった状況もありました、そういった回収処理、それから元々のごみを出さないというところの取組を推進するということになります。  それの目的に基づいて六つの基本理念というのを掲げていただいています。その中に、本日の調査会のテーマでもありますけれども、国際協力の推進ということもきちっと入っています。この背景には、先ほど申し上げたとおり、ごみは移動する、他地域に移動してしまうという特徴の下によっているという理解をしていただければと思っています。  この法律の立て付けとしては、ここに掲げた責務、連携の強化から法制の整備ということで三十数条の法律になっていて、現在、八年目、九年目に法律ができてからなりますけれども、成果の出ている部分、あるいは取組が始まっている部分というところがあります。特に、回収処理については国の予算措置をしていただいていますので、かなり甚大な海岸については一定の成果が上がってきているというふうに私たちも評価をしているところです。  ただ一方、発生の抑制をするというところについては、大変難しいテーマでもあることもあって、実績、成果、特に環境教育は今始まったばかりですし、地域ごとにその対策の推進の状況も差が生じているというのが現状になっています。  五ページ目のスライドになりますけれども、アジア太平洋地域における国際協力、連携の主な経緯について次お話をさせていただきたいと思っています。  JEANは、一九八六年のアメリカの環境NGOが始めました国際海岸クリーンアップ、ICCと略していますが、現在百を超える国・地域で展開されている、調べてごみの問題を対策に向けていこうという活動の事業に一九九〇年に参加した団体になります。日本のICCのナショナルコーディネーターを担っております。  二〇〇二年からは、当時、特に日本海側で海外からのごみの漂着が報道等でかなり強く出されて、海岸に着くごみ問題というのは国外起因のものだろう、中国、韓国からの大量の漂着じゃないかというふうに、ある意味事実なんですが、一部誤解をされて動かれていました。というのは、日本国内からも相当なごみが出ているという実態が併せて報道されなかったがために偏りのある報道がされてきたということがあって、JEANでは、韓国のNGOと連携をして、長崎県の対馬市において日韓協働プロジェクトを開始したところがあります。  以降、様々な国際協力の枠組みに向けて努力を重ねてきているところですが、二〇〇六年には、日中韓ロの四か国での官民学関係者が集まって、山形県の庄内地域でのワークショップをさせていただいたところです。  二〇一二年、御承知のとおり、東日本大震災が発災して大量の漂流物も出てカナダ、アメリカの海岸に漂着するという問題が発生したときには、私たちの方では、日本政府の要請も受けて、対話と現地調査を継続して二年半にわたって行っているところです。二〇一五年には、特にそういった関係からつながっている北太平洋のNGOの関係者と国際シンポジウムをハワイ島で開催したところになります。  二〇一六年、三重県において、JEANと主催で海ごみサミットという、この問題を関係者が集まって協議しよう、情報共有しようという主体的な場を開催をしたところです。この場においては、欧州も含めてNGO、研究者を十四名ほどお招きをして、国際的な基金の設置の提案とかプラスチックごみ削減に向けた鳥羽アピールというのを採択をさせていただいたところです。  めくっていただきまして、六ページ目になりますが、国際的な協力、連携による対応の必要性と意義ということを改めて書き出したところです。  問題の特徴、冒頭に申し上げたとおり、ごみの移動性、拡散性にあります。結局、どこの国・地域から出てきたごみなのかを正確に明確にしても対策には直結しないんだということがあります。それぞれの国・地域での回収処理と発生の抑制対策が求められるという問題になります。しかも、という上で、有効かつ効果的な対策の手法をお互いに共有していくことがベストなことだろうというふうに考えています。要は、他国、他地域における現状とか対策手法などについて学び合う国際協力というのがとても重要だと思っております。  例えで例一、二、三をちょっと挙げていますが、時間の関係でちょっと一つだけになりますが、例えば、日本で法律を作ったときには、韓国での法制度が二〇〇〇年にかなり確立していたものですから、そういったことを学びに行ったりとか、あるいは、国土交通省とNPOが連携して開発しましたごみのモニタリングの手法、こういったものも韓国で使われたり、あるいは台湾のNGOがこれから使おうとしているとか、そういった技術的な共有もしようとしてきているということ。それから、震災漂流物の調査活動においては、NGOとの連携を背景に漂着物の一部返還にも至った経緯があります。  東日本大震災起因の漂流物への対応の成果として私たちが申し上げているところがあります。それは、今まで養ってきたICCのネットワークというのはとても有効に機能して、こういった大きな問題が起きて、それに対してお互い共有、対話していくという際について相互理解を深めることがとてもできたということがあります。  従前からこのプラスチックごみの問題はあったわけですけれども、東日本の漂流物の大量漂着ということが起きたことによって、改めて従前からの問題としてクローズアップされたということがあります。例えば、日本の研究者による研究手法もアメリカの西海岸に技術移転をしたという実績もこの中ではあります。  一方、協力、連携を進める上での課題というのもあります。  今、現行法の法律の中では、政府は民間の団体等が果たす役割の重要性に鑑みてその活動の促進を図るために財政上の配慮を行うということも含めて、三条、四条ぐらい民間団体の重要性を書き込んでいただいていますけれども、そういった中でも、都道府県を経由して日本ではこのごみ対策というのは進めているんですね。  一方、国としてやる予算措置がないと。これは、調査研究だけの予算はあるんですけれども、実際、広報なり環境教育をしていこうとか全国的な規模で動いている団体と一緒にやっていこうといったときに財政上の支援ができるスキームが法律上ありません。地方分権の流れという背景があるということはお聞きしていますけれども、そんなことで、なかなか全国的な動きがうまく進展していくことが、ちょっと心配しているというところがあります。  それから、事例の二つ目に挙げたのは、中国でもこの問題はNGOが取り組んでいるテーマでもあるんですけれども、中国のNGOから日本での取組を学びたいというオファーがあったときに、じゃ、それをどういった資金でやろうかといったときに、JICAの事務所と相談をして、提案はできるということで審査していただいたんですが、ただ、審査段階において、特に中国案件についてはいろんな配慮があって、日本に返ってくるメリットがきちっと数値的に何かあるのかということがかなり議論になってしまって、この問題、そういう成果がはっきりすぐに分かる問題ではないので、なかなかそういった予算措置を、支援措置を受けることができなかったというのもあります。  もちろん、ODAというところがありますけれども、アジア太平洋地域でいえば対象国・地域が限定されています。地球環境基金という国の関係のファンドもありますけれども、こちらには活動に携わる直接の団体職員等の人件費が計上できないという制度上の難点があります。  めくって八ページ目になりますけれども、そういった状況の中で、提案ということをちょっと最後述べさせていただきたいと思っていますが、中期的、長期的、短期的なことがあります。  中長期的には、結局この問題をどう捉えるかというときに一番大事な話として、人間社会において、廃棄物管理、ごみの管理は徹底できないんだという前提に立てるかどうかだと私は思っています。これまで、町の美化の問題とかよく長くあったんですが、結局モラルに訴えて長く来たんですね、四十年、五十年ですね。そういったことで改善できる面ももちろんありましたけれども、やはりここはもう法制度的にこの廃棄物管理が徹底できるような仕掛けをつくっていかなければいけないんだと、そういう認識に立たない限りは対応が進まないと思っています。プラスチック製品の大量生産・消費、大量廃棄社会から減プラスチック社会への変換を促しながら、プラスチックごみによる海洋汚染防止に係る政策パッケージを是非実行していくのが中長期的な方向性だと思っています。特に、海洋立国日本と称していますので、先導的な役割を果たすことにもつながると思っています。  その上で、短期的な方策としては、上記に述べたようなパッケージ、政策パッケージを議論していただいて取りまとめをしていただく、これは地球温暖化防止対策にも連動することになります。先ほどの江守先生のお話にもありましたけれども、原油の生産量の八%がこのプラスチック関係に使われているということがあります。そこを一%でも二%でも減らすことは温暖化対策にもつながっていく話ですので、この海ごみ対策というだけではなくて、ほかのこととつなげながら連動させるということがとても大事だと思っています。  それから、現行法の改正というのがあります。  今都道府県で基本的な計画を作って進めていますが、国の行動計画ないし基本計画を作るということになっていません。国の基本方針は作るということになってできているんですけれども、やはり計画レベルに上げていただいて、そういった策定をすべきだろうと思っています。  関連法制の整備もそれ以降進んでいません。デポジット制度導入等もいろいろと課題があって、なかなか改正も進まなかったということを聞いておりますけれども、その上で、民間団体が果たす役割として重要性を踏まえてアジア太平洋地域における国際的協力基金の創設を訴えているところです。  人材等の確保とか育成、私たちずっと関わってきたメンバーもかなり年齢を重ねて、次の若い世代に動いてもらわないとなかなか大変だなと思っていますので、そういった人材の確保も含めてと思っています。定期的に、例えば二年に一回、アジア太平洋地域でプラスチックごみの管理フォーラムみたいなものを日本が主導して開催していただくということも、とても大事なことではないかなと思っておりますので、是非御検討をいただければと思っています。  最後の御提案ですけれども、この問題、政府の関係者と最初、十年ほど前に議論を始めたときも、現場にまず来ていただいたんですね。現場を見ていただくと理解を、私たちが何をやっているかというののかなり理解進んだものですから、是非、先生方にも是非地元、あるいは調査会としても、もし可能であればということなんですが、それぞれ日本国内で、日帰りで行けるところもありますので、是非この中で、どこでもよろしいので現場を見に来ていただければ、我々NPO、NGOが是非御案内もさせていただきますし、地元の団体にも顔つなぎもいたしますので、是非ここを御検討いただければと思っています。  どうも御清聴ありがとうございました。
  7. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  次に、濱田参考人から御意見をお述べいただきます。濱田参考人
  8. 濱田政則

    参考人濱田政則君) アジア防災センターの濱田でございます。防災分野の国際協力の在り方ということでお話をしたいと思います。お手元のパワーポイントのコピーに沿いまして御説明します。    〔理事三木亨君退席、理事宮本周司君着席〕  右肩にページがございますが、二ページ目のグラフでございますが、このグラフはどういうグラフかといいますと、一九四六年から約七十年間を五年刻みにいたしまして、その間で起こっている地震・津波災害、これは千人以上の犠牲者が出た災害でございますから大災害とも言っていいと思いますが、その回数を示したものであります。これを見ていただきますと、一九八〇年代半ばから急激に災害が増えてきているということがお分かりになろうかと思います。特に赤で示しましたのはアジア地区で発生した災害でございます。アジア地区の災害が大半を占めているということになります。  三ページ目でございますが、この図は二十一世紀に入ってからやはり千人以上の犠牲者を出した地震・津波災害が発生した場所を示しております。総計で十三回発生しておりまして、約七十万人の犠牲者が出ているということであります。十七年間で十三回ということでございますので、毎年一回ぐらいの割合で死者、行方不明者千人以上の災害が発生していることになります。この中で赤字で示したものでありますが、これは犠牲者が二万人を超えたという災害でございます。全体で七回起こっておりまして、今世紀七回起こっていまして、その六回がアジア地域で発生しているということがお分かりになろうかと思います。ほぼ二年に一度の割合でこのような超巨大災害が発生しているということであります。  四ページ目でございますが、これはその災害の例でありますが、二〇〇四年にはスマトラ沖地震で、インド洋沿岸で約二十二万人の方が亡くなられたと。そのほか、二〇〇五年にはパキスタン、二〇〇八年には中国四川において、それぞれ八万人以上の犠牲者が出た災害が出ております。我が国でも残念ながら東日本大震災で、関連死された方を含めますと一万九千人の犠牲者が出たということであります。  その次の五ページ目でございますが、地震・津波災害が世界的に増大している原因は何かということを考えますと、一番最初に思い付きますのは、地震と津波そのものの発生回数がここのところ増加しているんじゃないかということなんですが、この図はマグニチュード七以上の世界の地震の回数をやはり一九四六年から七十年間、五年刻みで示したものであります。確かに一九八〇年代半ばから若干回数が増えてきておりますが、最初に見ていただいた災害の発生件数と比べると、これは比べ物にならないわけであります。これは何を意味しているかと。地震、津波というのは自然現象でございますが、その自然現象の受け手である我々社会がそういう自然現象に脆弱になってきていることを示唆しているのではないかというふうに考えております。  次の六ページ目でございます。これは風水害はどうかと。やはり同じようなグラフでございますが、千名以上の犠牲者が出たのを棒グラフにしますと、八〇年代半ばからこれは急激に増えてきている、しかも赤が多いと、アジアに集中しているということがお分かりになろうかと思います。  七ページ目に行きますと、これは今世紀に入ってからの洪水、サイクロン、ハリケーンなど風水害の世界の発生地点を示しております。千人以上の犠牲者を出した風水害が今世紀既に二十回発生しておりまして、一年に一回以上の割合で発生をしているということになります。このうち、世界で二十回でございますが、十五回はアジアで発生をしております。インドやフィリピンなど同一地域が洪水や台風により何度も被害を受けるという事態になっております。最も犠牲者が大きかったのは、このグラフの中央の上に示しております二〇〇八年のミャンマーでございまして、巨大サイクロンによりまして約十四万人の方が命を落としたということになります。  八ページ目でございますが、今世紀世界で発生した風水害の例でございます。ベネズエラで三万人の人が洪水で亡くなったと。これは土木学会が調べに行ったわけでございますが、正確な数字は把握されておりません。約三万人ということであります。そのほか、バングラデシュ、ミャンマー、フィリピン等で台風、サイクロン等の被害が発生をしてきたということであります。  九ページ目に行きたいと思いますが、これはまとめになりますが、一九八六年から三十年間の統計のまとめでございますが、千人以上の犠牲者を出した災害の地域的割合を示しております。左側が発生件数でございまして、千人以上の犠牲者を出した災害がこの三十年間で七十八回起こっておりますが、そのうち五十九回はアジアで発生をしております。右の図は犠牲者の数でございます。三十年間で約百二十四万人の方が命を落としておりますが、そのうち九十万人、これはアジアだということになります。これは千人以上の災害の集計でございますので、千人以下の犠牲者の数を加えますともっと大きな数になるということでございます。  二〇一五年に、御承知のように、仙台で国連防災世界会議というのが開催をされました。世界の自然災害リスクを軽減するための行動枠組というものが採択をされたわけでありますが、その主要な対象となるのは、まさにこれはアジアであるというふうに考えております。  十ページ目に移りたいと思います。世界的な風水害の発生原因は何であるか、増加の原因は何であるかと、地球規模での気候変動ではないかということが指摘されているわけであります。この上の図でありますが、気象庁のデータを基にしました世界気温変化、これは先ほど江守先生の方からも御紹介ございましたが、一九六六年から半世紀のグラフでございますが、約〇・五度上昇していると。気温上昇につれまして、その下のグラフでありますが、海水温が上昇してきていると。この海水温の上昇というものが巨大台風、ハリケーン、サイクロン等の発生要因の一つになっているんじゃないかというふうに言われているわけであります。  十一ページ目に参りますと、自然災害の分野で我が国の各機関がどのような国際協力をしているかということをまとめた表でございます。国連などによる国際防災プログラムへの参加、多国間及び二国間などの防災分野の共同研究、それから災害予防の段階での協力、発災直後の緊急対応、それから復旧復興の支援と五つの項目があるわけでございますが、ここに示しましたように、様々な機関がこの防災分野の国際協力に参加をしているということであります。  下から二段目にNPOが書いてございますが、NPO、それと防災、国際協力ということでネットを検索しますと、一万二千件出てまいりました。それほど多くの分野がこの国際協力に関わっているということであります。  問題は何かといいますと、機関とか組織の間の情報交換、協力、連携、これが極めて不十分だと、お互いに何をやっているか分からないような状態が続いてきたということであります。  そういうことを受けまして、十二ページ目でございますが、日本学術会議で自然災害軽減のための国際協力のあり方検討委員会というのが大分前にできました。  この委員会の背景でございますが、大きく二つございます。一つは、世界の自然災害の約四分の三がアジア地域に発生していると、これらの国々から防災先進国である我が国への支援要請が極めて高いということ。もう一つは、防災分野の国際協力というのは単に防災だけをやっていたのでは効果が上がらないと、社会、経済、環境など多分野での協力が重要であるということから、一ページ前の各機関の参画を得てこの委員会を設立をしたわけであります。    〔理事宮本周司君退席、理事三木亨君着席〕  次の十三ページ目でありますが、日本学術会議委員会でありますが、約一年間審議をいたしまして、我が国の防災分野の国際協力の在り方についてという提言をまとめました。  提言の骨子でありますが、そこの図にありますように、防災分野の国際協力の連携を図るために、まず、自然災害軽減国際戦略協議会というのを国全体でつくろうと。この下に、災害予防協力と発災後の被災地支援のための統合プラットフォーム、ここで情報等の共有化を行うわけでありますが、そういうプラットフォーム。それから、人材育成というのを、これは各機関で行っておりますが、特に大学が主体になってやっておりますが、人材育成のための統合プラットフォーム。それから、国際プログラム、これ様々ございますが、この国際プログラムに我が国としてどう対応していくかというようなことを情報共有化するというプラットフォームをつくろうということであります。  こういう案をまとめたわけでありますが、具体的な組織づくりに入ろうというやさきに東日本大震災が発生いたしまして、残念ながら中断したまま現在に至っております。本日、この参議院の調査会でお話しできたことを好機としまして、皆様の御支援をいただいてこの協議会設置に向けてこれから努力をしていきたいというふうに思いますので、何とぞ御協力のほどお願いしたいというふうに思います。  十四ページ目に参ります。私、現在、アジア防災センターのセンター長を務めております。アジア防災センターといいますのは、もう先ほどから繰り返しますが、アジアで災害が集中していると、この災害を何とか軽減をしたいというために一九九八年に神戸市につくられました。アジアの三十か国がメンバーとなって今運営をされております。主要な活動、右側に書いてございますが、五項目ございます。これらの活動の中で私どもが一番力を入れておりますのは、四番目の防災・減災のための人材育成であります。  これは一体どういうことをやっているかといいますと、十五ページを見ていただきたいと思いますが、このアジア防災センターでは、メンバー国三十か国ございますが、それぞれの政府の防災関連の職員を研修生として数か月受け入れまして、センターにおける防災に関する講義、我が国の防災関連機関、大学等へ行っていただきまして、意見交換、情報収集をしてもらうと、防災に関する知識や情報を習得してもらうというのがこの内容でございます。研修後、この研修生でありますが、自国に戻りまして、ほとんどの方はその国の政府機関の防災分野で活躍をしているということであります。  十六枚目、これアジア防災会議というのを毎年やっております。アジア防災会議の運営、それからアジア防災会議としてどういうことをやっていくかというようなことを毎年定期的に議論をしているということであります。  十七枚目になります。ここにNPO法人の防災分野の協力の例として、私自身が代表理事を務めております国境なき技師団という組織がございます。よく間違えられるわけですが、国境なき医師団ではございません。これは、国際的にエンジニアズ・ウイズアウト・ボーダーズという組織がありまして、その日本セクションという位置付けでございます。土木学会とか日本建築学会とか工学系の学協会が中心になりまして、被災地の復旧と復興のための支援、自然災害軽減化のための技術普及と防災教育などを行ってきております。  次の十八枚目でありますが、その一例でございます。これはインドネシアの例でありますが、地盤の調査の方法を現地の技術者に教えたり、それから橋とか建物の復旧の方法をいろいろ指導するというような活動をしております。  最後になりますが、十九枚目でありますが、学生のグループによる国際的な防災教育活動について紹介をさせていただきたいと思います。早稲田大学と京都大学に防災教育活動のための学生組織がスマトラ沖の地震、津波の後に設立されました。毎年、インドネシア、フィリピンへ出かけていきまして、小中学校の児童を対象に防災教育活動を行っております。活動の資金でありますが、これは学生自身がアルバイトをして滞在費とか旅費を稼いで出向いているというものであります。  下の欄の右側でございますが、これは学生が使っている防災用の絵本でございまして、日本語はもとより、英語それからインドネシア語でこの防災教材を作りまして、インドネシア語で子供たちに説明をするというような活動をしております。こういうものを無料で子供たちに配布をしているという活動もしているということでございます。  以上でございます。
  9. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の参考人に対する質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただきたいと存じます。  委員の一回の発言時間は答弁を含めて十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  小野田紀美君。
  10. 小野田紀美

    小野田紀美君 先生方、本当にありがとうございました。  ちょっとそれぞれの分野においてかなり濃いお話をいただいたので、聞きたいことが多過ぎてちょっと最後まで行けなかったら申し訳ないんですが。  まず、江守先生に幾つかお伺いしたくて。この地球温暖化の問題に関しては、いかに世界で倫理観を持って、認識を持ってやっていくのかが大事なんだと思っていたんですが、先生が書かれた、この青色の冊子の十ページに、倫理的規範を共有する必要は必ずしもないというふうに書かれていて、点火の段階で必要なのであって、制度ができて経済に火が付けば、後は勝手に燃え広がるとおっしゃったところで、まさに我慢をしてこの温暖化を止めていこうというのではなくて、イノベーションで更に豊かな生活をやっていくためにというところに火が付けば、この倫理観の共有というところをかなり強くみんなで必死にやっていかなくても大丈夫なんじゃないかというところで非常に希望が持てたなというふうに思いまして。  やっぱり、どうしても発展途上国の方たちは、これから発展していくのに俺たちに我慢を強いるのかというところでなかなか協力が難しいというところもあったので、石器時代が終わったのは石がなくなったからではないという非常にキャッチーなこの言葉の中で、これから世界が一丸となってこの温暖化に取り組んでいくために、日本としても、我慢じゃなくて、日本がどこよりもクリーンで安くていいエネルギーを生み出していくんだというパワーとかが、国を支援していくのも必要だと思うんですけれども、どう一緒に盛り上がっていけばいいのか。まず日本だけでも頑張っていくぞというふうにリードを取っていくのか、それとも何か世界で協力しながらこういう方法がいいんじゃないのという方法があればまた教えていただきたいというのが一つと。  あと、これもまた冊子になって恐縮なんですけれども、十七ページに、脱化石燃料が進むと化石燃料企業は困るだろうということでデジタルとフィルムの話もされていらっしゃったんですけれども、企業とかであれば新しいものに対して移行していく補助を社会全体で後押しすることができるのかもしれませんが、例えば国ですね、石油に依存をして発展している国がやはり多数ある中で、そういった国は今どういうふうな思いでこの新しいイノベーションを見詰めているのか。その国々の思いですとか、そこに対する何か世界での対応の仕方というところがあれば、ちょっと教えていただきたいなというのが一つ。  そして最後に、ちょっと外れるかもしれないんですが、大分前に不都合な真実ってはやりましたよね。実は温暖化にはなっていないんだ、むしろ氷河期に行っているんだというようなことがあって、またそこで世論が何かちょっと揺さぶられたようなイメージがあるんですが、あれに関しては先生どのように思われているのか。  ちょっとこの三つ、まずお伺いできたら有り難いです。
  11. 江守正多

    参考人江守正多君) 御質問ありがとうございます。  最初の点について、倫理観を共有する必要は必ずしもないというふうに書いたことがあるのは、全員が共有する必要は必ずしもないということですね。  これは、僕が書いたものでは分煙を例にしていまして、分煙の話って最近ちょっとややこしくなっているので、ちょっとそのややこしい部分はおいておいて、例えば三十年前と現在を単純に比較したときに、昔は考えられないぐらい今分煙が進んでいると。昔はそんなことが起こるなんて誰も思っていなかったようなことが起きている。それは受動喫煙の医学とか倫理的な配慮とか、そういうものを人々がみんなが共有したからそうなったかというと、そんなことはなかったんだろうと思うんですよね。一部の人はそれが分かったかもしれないですけれども、制度ができて、分煙のお店がみんな喜んで行くようになったら、社会は大きく変わってしまった、気が付くと常識が変わっていたと。そういうことがエネルギーに関しても起こってもおかしくはないんじゃないか。  なので、無関心な人が多いので問題が先に進まないという言い方はよくあるんですけれども、実際は無関心な人がたくさんいても世の中というのは大きく変わるということは起こっているんじゃないかという指摘であります。ただ、関心を持つ人は多ければ多いほどいいですし、こういった国会などの場で皆さんに関心を持っていただくことはもちろん重要だと思います。  日本ですけれども、日本は、これ御存じだと思いますけれども、国際的にはこの問題ではかなり最近は批判を受けることが多くなっています。それは、一つには石炭火力発電所を国内でまだたくさん建てようとする計画があるということと、海外で日本技術とか資金で建てようとしているということに対して批判があると。  これはもちろん、ヨーロッパやカナダなどでいち早く脱石炭を目指しているところに比べて、日本の資源事情であるとか日本のエネルギー安全保障の事情、経済事情を考えて、日本の方が石炭やめるというのは言い出しにくい背景があるということはもちろん理解できるわけですけれども、その国際的な流れに対して、日本は現時点ではもちろんリードすることが期待されている部分もありますけれども、逆に、何というか、流れに乗れていない部分があるというところを是非皆様に御認識いただいて御議論願えればというふうに思っております。  もちろん、日本技術で引っ張っていきたいという部分もあると思います。特に今注目されていますのは、自動車世界がEVにかじを切っていて、日本はどうするんだということがここしばらくでも非常に盛んに言われて、日本はEVとか燃料電池車ですね、水素の自動車であるとか、幾つかハイブリッドを中心にして両にらみで来たわけですけれども、ここへ来て、ちょっと固有名詞を挙げていいのか分かりませんけれども、トヨタが、何というんですか、モビリティーサービスのプラットフォーマーを目指すということを言い出したということは、これは非常に大きいと思っておりまして。  つまり、車を売るというビジネスモデルから、それはもちろん続けるんだけれども、モビリティーサービスを提供するというビジネスモデルで、これからグーグルとかアマゾンとかと協力したり競争をしたりしながらやっていくんだという流れがあると。これは非常に国際的な日本の貢献がこれから期待されるところではないかと思います。  それから、脱炭素へと移行していくときに、個々の企業であればそのトランジション、移行というのは何とかできるかもしれない。国ですね、それはおっしゃるとおりで、それは非常に大きな問題だと思います。最終的にそこが一番大きな問題になるんじゃないかと思います。  御存じのように、これは僕は全く専門ではないので耳学問ですけれども、サウジアラビアの皇太子が大改革をしているという中で、一つは脱石油依存ということで、相手企業に投資をしたりとか、そういう形で転換を図っているというのは御存じのとおりですけれども、全ての産油国がその脱化石燃料時代にうまくトランジションできるかというのは国際的な非常に重大な政治課題であろうというふうに御認識いただければと思います。  最後に、不都合な真実ということをお聞きいただいたんですけれども、「不都合な真実」という映画自体はアル・ゴア元副大統領の地球温暖化は大変だという映画ですけれども、一方で、不都合な真実は不都合なんじゃないかみたいな、地球温暖化は間違っているんじゃないかみたいな議論は昔からずっとあります。  これはいろんな側面がありまして、科学的に、例えば太陽が大事なんじゃないかとか氷河期が来るんじゃないかとか、そういうことは全部僕は反論ができます。科学的な論文を参照しながら反論することができます。それで、あとまだ未解明なこともあるんじゃないかと言われたらもちろんそのとおりで、科学的な議論はこれからも必要な部分というのはあります。  しかしながら、現在分かっている科学の総体として、人間活動が二十世紀後半以降の気温上昇の主な原因であること、このまま温室効果ガス排出が続けば世界平均気温が上がり続けること、そういったことというのは、もうその科学的な知見として十分に結論付けられるということが、御存じかと思いますが、IPCCという国際的に科学的な論文を精査して科学的なスタンダードをつくっているところの結論で、国際交渉も科学的な認識としてはそれをベースにしているという認識を持っております。
  12. 小野田紀美

    小野田紀美君 時間ですよね。  済みません、ここで一回終了します。ありがとうございます。
  13. 三木亨

    理事三木亨君) 杉尾秀哉君。
  14. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 三人の先生方、大変ありがとうございました。  今ちょっと江守参考人の方がずっとお話しされていたので、私は濱田参考人に伺います。  今、地球温暖化の話がありました。先ほどのスライドでも、この五十年間で平均気温〇・五度上昇、海水温が〇・三度上昇というデータを示されましたけれども、先ほどの話ですと、つまり地球温暖化を防止できない場合、今世紀末までに二度ぐらい更に気温上昇する可能性があると、こういう話でしたけど、もしそういうことになったら、海水温がどれぐらい上がって、どれぐらいこうした大規模な風水害のリスクが高まるのか、何かデータのようなものというのはお持ちでしょうか。
  15. 濱田政則

    参考人濱田政則君) それは、IPCCの方でそういう議論をされているかどうかですよね。大気温が上がれば海水温は上がるわけで、今まで半世紀で〇・五度上がってきて、最悪の場合五・六度上がるというような数字が出ているわけですから、これは想像も付かないような形になるだろうと。  そういう自然環境変化地球温暖化、それがハザードの増大を招いていると。それは、集中豪雨であるとか、今年のように豪雪であるとか、それから巨大台風、ハリケーンとかの発生、それから雨が降ると思えば全く降らないところも出てきている異常小雨、それから異常高温というような問題が出てきているわけですね。  それはハザード、自然現象なんですが、それを受ける我々側が更に問題だと。要するに、社会環境変化してきていると。それは、よく言われることですけれども、少子高齢化であるとか、都市圏の過密化であるとか、それから地方の過疎化、いろいろあるかと思います。それから、災害経験の伝承が不足しているなんというのもよく言われます。私、一番問題だと思いますのは、やっぱりライフスタイル変化してきている、余りにも電子機器に依存をし過ぎてきていると。  自然環境変化社会環境変化が相まってこれからどうなるかという御質問なんですが、私にもよく分かりませんが、自然災害の規模とそれから頻度、これが増大することは間違いないだろうというふうに思っております。  じゃ、それに対して我々はどうするのか、どう対応するのかという問題ですが、一つのキーワードは、予想を超える自然現象、これにどう対応していくのかということだと。それから、私は工学の人間ですから工学的に言いますと、設計したときの外力、これをはるかに超えるような外力が生じたときに大災害につながらないような措置をしておくと、この二点じゃないかというふうに思います。この先どうなるかということに関して、私は専門ではございませんので、ちょっと明確には答えられませんが。  以上です。
  16. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 続けて伺いますけれども、先ほど、大規模災害の犠牲者の四分の三ぐらいがアジアに集中している、そうしたアジア諸国から日本に対する防災面での期待が大きいという話でしたけれども、人材育成等々で努力されているというお話を伺いましたが、それ以外に日本政府としてできること、やるべきことというのはどういうことがあるんでしょうか。
  17. 濱田政則

    参考人濱田政則君) アジア地域で災害が集中している最大の原因、特に死傷者が多いという原因は、建物、家屋、これが崩壊をするからだと。耐震性の極めて低いものが破壊をして多くの人命が失われてきた。それを我々は繰り返してきているわけでありますが、じゃ、その建物、家屋をいかに強くするかと、現在あるものを、それが非常に難しい。それは何が難しいかというと、経済的に難しい。例えばれんが造り、こういうものを直す技術、これを一部研究をしている人がいますけれども、そういうものを持っていって直すためにはお金が掛かるということになりますね。その費用の裏付けが十分じゃない、いつまでもほっておかれるという状態が続いてきているということだと思います。  ですから、先ほども申し上げましたが、防災分野だけの支援じゃなくて、経済、社会、こういう多分野にまたがるようなシームレスな支援をしていく必要があるであろうというふうに思います。
  18. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 ありがとうございました。  では、続けて金子参考人に伺います。  最後の方で、今後の必要な方策として減プラスチック社会への変換を促すと、こういう話がありました。脱プラスチック社会、減プラスチック社会ということで、例えば3Rですね、リデュース、リユース、リサイクルですか、そういったことも含めて、減プラスチック社会実現するために一人一人ができること、そして政府レベルでやるべきこと、どんなことがあるか、御意見をお聞かせください。
  19. 金子博

    参考人金子博君) 言ってはみても難しいテーマではあるんですね。一つは、個人個人といったときに、プラスチックによる海洋汚染問題であれば、その現状をどうやって正確に知っていただくかということがとても大事だと思っています。  ですから、普及啓発等、例えばNHKでも番組を作ったり放映をしたりすることがありますけれども、そういったメディアも活用しながら周知をしていくこと。これは、都道府県レベルでは、地域ではなかなかできないので、まさに国レベルでそういう広報的なことをきちっと行うと。その際に、国外から来ている漂着物ももちろんありますけれども、国外に出ていく、日本社会の問題としてきちっとどうなっているんだというところを伝えていく、そこが一番のポイントになるかと思っています。
  20. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 分かりました。  今ちょっとNHKの話が出ましたので、続けて江守参考人に伺いたいんですけれども、地球温暖化の関連で、去年の暮れの「クローズアップ現代」か何かだったと思うんですが、今、中国が脱原発、再生エネの方に急速にシフトしていて、その分野が非常に伸びていると。一部日本の方にも進出してきているということで、このままいったら日本のみ込まれるんじゃないかみたいな、こういう番組ありましたけれども、こうした現状についてどういうふうに考えているのかということと、それから、中国がそういうふうにシフトできた大きな原因というのは何だったんでしょうか。
  21. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  僕自身は必ずしも詳しくないんですけれども、背景としては、よく言われますように大気汚染の問題があって、自動車の排気ガスであるとか石炭火力発電所の排気ガスというのを減らそうという世論も政府のモチベーションも非常に大きかったと。  もう一つは、恐らくやはり産業政策なのであろうと思います。  先ほどちょっとEVの話をしましたけれども、EVをある程度の割合売らなくちゃいけないという、これから中国でも規制が始まると言われていますけれども、それによって地球環境を良くする、そこに貢献するということと同時に、ハイブリッドを追いかけていたのでは日本技術に追い付かないものを、一気にそのゲームのルールを変えて国内産業を伸ばしていこうと。再生可能エネルギーについても恐らくそういう戦略があるのではないかというふうに思います。  あと、よく指摘されますのは、アメリカが、トランプ大統領がパリ協定離脱ということを宣言して、そこにリーダーシップの空白がある中で、中国が国際的な存在感を示そうとしているというようなことが聞かれると思います。
  22. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 その番組だったか何かだと思うんですけど、二〇〇九年に中国の議会で低炭素社会を構築することを決議したという、それが一つのきっかけにもなったみたいなふうなことが出ていたと思うんです。  もう一つだけ伺いたいんですが、ちょっと私びっくりしたんですけど、先ほど配付していただいた資料の中の九ページで、日本人の意識調査で、気候変動対策に対して世界平均と比べて余りにもネガティブ過ぎる、何でこんなことになるのかとちょっと驚いたんですけれども、その原因と、それからどうすれば意識改革ができるのか、これだけ伺わさせていただいて、終わりたいと思います。
  23. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  日本に関しては、これは先ほど申し上げたとおりで、我慢だ、辛抱だという意識が強い。海外、世界平均でこれだけポジティブな意見が多かったのは、ちょっと僕は根拠は分かりませんけれども、想像すると、やはり新しい社会に移行するんだというポジティブな気持ちであるとか、あるいは、特に途上国の場合には、やはり気候変動を何しろ止めてほしいと。フィリピンの台風であるとか、いろんな被害を実際に受けていて、それが、その対策が進んで気候変動が収まってくることが非常に生活の質にとって重要であるということがあるんだと思います。  国内においては、やはりこの問題に関してポジティブなメッセージをもっと出していかなくてはいけないと思っています。
  24. 杉尾秀哉

    ○杉尾秀哉君 三人の先生方、大変ありがとうございました。貴重な意見を聞かせていただきました。  時間になりましたので私は終わります。ありがとうございました。
  25. 三木亨

    理事三木亨君) 熊野正士君。
  26. 熊野正士

    ○熊野正士君 三人の参考人の先生方、大変にありがとうございました。  江守参考人の方から、京都議定書とそれからパリ協定パラダイムシフトが起こったという話、また、必ずしも地球温暖化対策が対立の図式ではないんだというふうなお話を伺いまして、本当にそのとおりだなというふうに思いました。  先ほど杉尾議員の方からもありましたけれども、この九ページの、あなたにとって気候変動対策はどのようなものですかというこの日本調査ですけれども、そういった意味でいうと、このパラダイムシフトであるとか対立の図式ではないといったこと、意識改革が先ほども必要であるというお話でございましたけれども、具体的に、学校教育であるとか啓蒙活動ですね、そういった具体的な何か先生の方から御提案等がありましたら是非教えていただければと思います。
  27. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  教育ということ、私自身は必ずしも専門的に取り組んではいないんですけれども、一つには、今、環境省の事業で地球温暖化防止コミュニケーターというのがありまして、それの監修などに関わらせていただいて、そこでいろいろと意見を申し上げています。  そのときに少し強調しているのは、今まで、この地球温暖化という問題を学校で教えるときには、小まめに電気を消しましょうとか、そういう身の回りのできることから始めましょうという話をして、今日できることから始めましょうと。それはそれで非常に一つ意味があったんですけれども、それだけを言っていると、非常に、自分はできることはもうやったんだからあとは知らないよという話になりかねない、別の言い方をすると、現状のシステムを肯定してしまうことにもなりかねないわけです。本当は、もっと考えなくちゃいけないのは、今のエネルギーの在り方であるとか社会の大きな構造の問題、子供に温暖化の話を教えるときにも、そちらにも目が行くようなことをしなくてはいけないのではないのかなと思います。  一つには、今日できることは何ですかということを考えてもらうのと、大きくなったらできることは何ですかというのを同時に考えてもらうということをやると、子供は大きくなったらこんな職業に就いてこんなふうに問題に取り組みたいということをいろいろ発想してくれるので、そういったことを子供自身に考えてもらうことというのが非常に大事なんじゃないかと思っています。
  28. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  先ほど先生のお話を伺っていて、二度目標というのがあって、もう既に一度は上がっているので、余裕があるのはあと一度だということで、それで、先ほど小野田議員の方からも質問があって、本当にこれ、二度が科学的に知見としてどうなんだというふうな議論も実はあるんだということでしたけれども、科学的な知見という意味で全部説明できますよというふうに先生おっしゃっていましたけれども、この科学的な知見というのは実際どのような形で蓄積されているのか、その中でまた日本が果たすべき役割があるのかどうか、その辺のことを教えていただけますでしょうか。
  29. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  科学的な知見の蓄積ということで申し上げますと、IPCCという気候変動に関する政府間パネル、これが国連の下の世界気象機関と国連環境計画の枠組みで、各国政府が、政府間パネルですので、そのオーナーシップを持ってどんな報告書をどういうやり方で作るかという議論をした上で、世界中の専門家が集まって報告書を作るということを五、六年、六、七年に一度行っています。第六回の報告書の執筆作業がこれから始まるところです。日本政府も非常にそこで大きな役割をしていますし、日本からもその報告書の執筆者はたくさん出てきていますし、それから、日本の各研究者が書いた論文がたくさん引用されるというか、それが一つ一つがベースになって国際的な温暖化の知見ができているということは非常に重要な取組であります。
  30. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  続きまして、金子参考人にお伺いしたいんですが、先ほどマイクロプラスチックのお話がございました。ただ単にプラスチックということではなくて、有害物質が付着とかの、その辺のことをもう少し詳しく教えていただいてよろしいでしょうか。
  31. 金子博

    参考人金子博君) 私はもちろん研究者ではないので、その分野の第一人者は東京農工大学の高田秀重先生らになりますけれども、一点は、プラスチックをうまく使っていくというか、利便性からいって物質を添加して素材を柔らかくしたりしていろいろ加工したりするんですが、そういったもので元々入っている化学物質、それで有害性のあるものがある。  それに対して吸着というのは、例えば、海に細かいごみが、プラスチックの破片が流れ出た場合に、その海域に溶け込んでいる元々ある有害物質、過去に我々が流してきたPCBとかですね、そういった有害な物質をこのプラスチックの表面に、恐らく十万倍から百万倍の濃縮率があるというふうに高田先生の研究結果では出ているんですが、そういったように濃縮するんですね。それを、細かいものですから、言ってみればプランクトンが摂取する大きさに既になっている事態が発生しています。そのプランクトンが、小魚が食べるわけですから、その一連の中で、ただ、消化過程、消化機能を持っていますから、その消化器官によって体内に取り込まれるかどうかというところが今の研究課題というふうに聞いています。  一部有害な物質が、例えば鳥なんかが食べて体内に移動したという研究成果も少し出てはきているんですが、じゃ、その濃度がすぐに影響が与えるほどかというと、そうではもちろんないわけですね。ただ、この問題、ほっておくと、そういった一連の食物連鎖の中で、我々、最終的な健康被害も含めて、あるいは生態系の全体の保護からいうと大きな問題になるだろうという指摘になっています。
  32. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  先ほど教えていただいた中で、海洋漂着物等の発生の抑制ということで、これが地域ごとに温度差を生じているというふうなことだったんですけど、この辺の、具体的にはだからプラスチックとかそういうものを抑制するということで、何か地域差というのは具体的にはどんなことが起こっているのかなと思いまして、ちょっと教えていただいてよろしいでしょうか。
  33. 金子博

    参考人金子博君) ここで申し上げたのは、法律上の仕組みということで、まず民間団体も含めてごみを回収をすることがとても大事だと。回収しておけば再度流出をしないので、そういうために回収はまず必要で、海岸に着くようなごみをまずそもそも川を通じて出さない、あるいは海で発生させないというところがとても大事であると。そういう発生抑制対策なんですけれども、それが法律上の建前としては都道府県が主としてやる、行うと。海岸管理者が主に都道府県になっていますので、そういった意味で、海岸管理者がメーンになって対策を進めましょうというのが法律の枠組みだったんですね。ですから、国としてやる、そういう回収活動を直接やるというスキームになっていないということで、地域でその理解があって、例えば県の職員が理解をして対策をするとしないかでは結構差が開くものですから、それを一律にボトムアップしていく必要がこれからはあるということです。
  34. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  是非一度現場を見てきてくださいということでしたので、私も是非現場に伺って勉強させていただきたいと思います。  最後濱田参考人に伺いたいんですけれども、このアジア防災センターというのが神戸にあるというふうに伺いまして、私も今大阪に住んでおりますので、また訪れて勉強させていただきたいなと思うんですけど、その中で参考人濱田先生のおっしゃっておられました防災・減災のための人材育成ということで、この表でいきますと十五ページの方にこの矢印がこう大きくあって、日本で研修を受けてまた現地といいますか本国に戻ってというふうなことなんですけれども、この辺の日本で行われている防災・減災に関する人材育成の枠組みといいますか、実際どのようなことが行われているのか、少し教えていただいてよろしいでしょうか。
  35. 濱田政則

    参考人濱田政則君) まず、これはアジア防災センターの研究員がおりますから、その研究員から防災・減災に対する基礎的な知識のまず伝達といいますか、そういうことをまずやります。それと、中央防災会議等の政府の機関に派遣をいたしまして、そこでどういう政策を取っているかとか、そういうようなことを学んでもらう、これは政府の職員が対象でございますから。それと、自治体ですね、例えば高知県に派遣をして高知県の津波対策はどうなっているかと、そういうものを学んでいただくというようなことを四か月間やりまして、それで国に帰っていただくと。  時々、私どももお会いしますけれども、やはり防災関連のトップになられて、その国の防災政策を引っ張っているという方が多いというふうに思っております。  例えば、いろいろ防災の機材とかそういうものを提供する。そういう短期的なものはなかなか長続きしないといいますか、よく私もいろんな国行って見るわけですが、例えばJICAが支援したもので、ある部屋にパソコンが百台も置いてあって、全く利用、まあちょっと個別名を挙げるのは非常に問題ですけど、ほこりかぶっていると。そのプロジェクトが終わってしまうと、何も後はフォローがないと。  人を育てるというのは、そういう点じゃ非常に有効だろうと思います。その人たちが頑張っていただいて、日本の支援をどんどん発展をしていっていただけるというようなことで、特に力を入れているということで御説明しました。
  36. 熊野正士

    ○熊野正士君 先生方、本当にありがとうございました。これで終わります。
  37. 三木亨

    理事三木亨君) 武田良介君。
  38. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  今日は、三人の参考人の先生、本当にありがとうございました。  まず、江守参考人にお伺いしたいと思うんですが、私、COP22の会議に参加をさせていただきまして、その際にも途上国の方がその会議で発言をされて非常に印象を持ったという経験があります。例えば、海水面が上昇することで沿岸部の農村なんかが水没するんじゃないかと。とりわけ、その御発言されていたアフリカの国では貧困層がそういった沿岸部に住むという傾向もあるので、先ほどの話じゃないですが、責任持たない者が影響を受けるということだとか、食料や水の供給の流れがまた変わってしまって、そういった食料や水を争う形での紛争、大小はあれですけれども紛争に発展しているという告発等々もありました。  やっぱり、現地で当事者の方からお話を聞くというのは非常に私も印象を持ちまして、先ほどの話でも必ずしも全員がそういった気候変動に対する認識持たなくても変化進むことはあるというお話でしたけれども、多ければ多い方がいいということもありまして、参考人がIPCCの報告書の執筆にも関わってこられているということですので、そこら辺の途上国でのそういった具体的な事例といいますか、そういうのを幾つか御紹介いただければというふうに思っております。
  39. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  僕自身は、その途上国での事例、具体的に今ちょっと特にこれがということではないんですけれども、自分認識として非常に強く思っておりますのは、おっしゃっていただいたように、紛争等に発展するような食料、水や安全保障の問題が特に途上国で起こっていること。よく指摘されますのは、シリアの内戦が始まったときに、記録的な干ばつによる深刻な食料不足というのがその引き金ないしは拡大要因の一つとしてあったということを考えますと、それが地球温暖化のせいで起こったとは言いませんけれども、地球温暖化が進んでそういう地域で干ばつが増えるであろうことは予測されていますので、やはりそういう意味を含めて我々はこの問題を考えるべきではないかと。  つまり、日本議論していると、つい日本の気候がどうなって、日本の農業がどうなって、災害がどうなるか、それももちろん大事なんですけれども、国際的にもっと深刻な問題が起こったときに、日本にとってもそれは何らかの意味で人ごとではないということを含めて議論するということが大事なんだろうというふうに思っております。
  40. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。  もう一つ江守参考人にお伺いしたいんですが、先ほどの気候変動に対する日本のネガティブなイメージに関わるのかどうか、江守参考人環境技術会誌というところで書かれている中身の中に、気候変動の懐疑論が、先ほども少しありましたけれども、国際社会に一定あると。米国においては三つの理由があるということがそこで言われておりまして、産業界の反対という点、それから新自由主義などの発想に基づいての反対、それからキリスト教原理主義の発想なんかに基づいて、神が創ったこの変動に対して手を入れられるのかというようなことがあると。  これはアメリカにおいてということだったんですが、例えば日本ではその懐疑論というのはどういったものから出てきているのか。今の懐疑論の現状ということもありますけれども、先ほどの話に絡むのかどうかも分からないところもありますが、日本ではどうなのかということをちょっとお聞きしたいと思っております。
  41. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  懐疑論は、日本では二〇〇七年、八年ぐらいに非常にそういう本がたくさん売れたりした時代があったんですけれども、その後、地球温暖化問題自体が世の中の議論において非常にバックグラウンドに引っ込んだようなところが、余り関心が表に出てきていないようなところがあって、懐疑論自体も余り派手には聞こえなくなったところだなというふうに思っているところです。  当時、非常に、その懐疑論的な本を書いていた方というのは、何か気候とは違う専門分野の学者の方であるとかそういう方が多かった印象で、その方のお考えもあるとは思いますけれども、やはり引用しているものなんかを見ますと、アメリカで申し上げたような三つぐらいの理由で出てきている組織的な懐疑論の影響を受けていると。つまり、インターネットで検索すると、アメリカではこういう議論がある、温暖化はうそであるということが分かったみたいなことというのはいろいろ出てくるわけで、それを無批判に引用して日本の世論にも影響を与えていた部分があったと思います。  その後、実は日本において一つ特徴的だったのは、三・一一の東日本大震災以降、原発反対の人たちが非常にたくさん発言するようになってきて、その人たちが温暖化懐疑論を支持したような現象が見られたというふうに観察しています。それは、地球温暖化問題というのが原発推進の口実であると、そういうような見方で、原発に反対するんだったら温暖化というのは疑うと。原発御用学者と温暖化の科学の御用学者を同一視するような、あるいは国家権力に対して一般的に敵視するような、そういった流れの中で、かなり温暖化懐疑論に傾倒した人が出てきていたように見えます。
  42. 武田良介

    ○武田良介君 そうすると、その批判というのは必ずしも科学的ではないというか、科学の分野ではあらかたもう決着が付いている話ということでいいんでしょうか。
  43. 江守正多

    参考人江守正多君) これはいろんな言い方ができると思いますけれども、もちろん気候科学者の立場から言えば、IPCCの報告書にまとめられている世界中の科学者が書いた論文を基にして出ている結論というのが非常に信頼性の高いものだと思っています。  もちろん自然現象ですので一〇〇%理解したということはあり得ないので、まだ分からないことがあるじゃないかということは、もちろん原理的にゼロにはなりません。しかしながら、現在分かっている時点の知識で、先ほど少なくとも申し上げた二つのこと、二十世紀後半以降の世界平均気温上昇の主な原因が人間活動であること、これからも人間活動によってほっておけば気温上昇すること、これは僕個人としては疑いはないというふうに思っています。
  44. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。  金子参考人にもお伺いしたいと思うんですが、国際海岸クリーンアップだとか、取組もずっと紹介されまして、非常に大切な取組だなということを思いながら聞かせていただきましたけれども、この間ニュースの報道なんかで、EUなんかが二〇三〇年までに段階的にゼロにしていくと、プラスチックの、何ですか、包装なんかを減らしていくというのが発表されました。報道で、イギリスのスーパー経営している会社なんかも段階的になくしていく、他のスーパーでも同様に取り組んでほしいというようなことを報道で見たんですけれども、その受け止めといいますか、そういうものが広がってきた要因といいますか、取り組んでこられたお立場からいかがでしょうか。
  45. 金子博

    参考人金子博君) もちろん、一昨年、三重で会議を開いたときに、ヨーロッパの関係、NGOの方も招いてお話を聞いたことがありますけれども、やはりNGO、NPOが研究者たちの知見も使いながら問題を対処していかなければいけないという社会的な運動みたいなところもあったかと思いますし、ただ一方で、温暖化対策の話と絡んでくるんですけれども、もう脱石油の時代だろうということに切り替えて、石油資源を使うということではなくて、一旦外に出た石油資源を再活用するというふうに、循環経済の方が、もうシフトを変えていくというふうにかじが切られているという、そういった大きな流れも背景にあると思います。  その上で、特に海ごみの主たるものがプラスチック製品なので、そこに結び付けた政策ということで展開され始めているというふうに考えています。
  46. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。  時間が来てしまいまして、濱田参考人にもちょっとお伺いしたいことあったんですけれども、これで終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  47. 三木亨

    理事三木亨君) 石井苗子君。
  48. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。日本維新の会の石井苗子です。  三人の参考人の方々、今日はありがとうございました。もう質問したかったことに先に答えていただけるような内容で、本当に有り難かったと思います。  江守参考人の御説明、大変興味深かったんですけれども、このイノベーションというところで、日本は、先進国途上国の間での災害被害関係の気候正義ですね、クライメートジャスティスというんですか、これが共有されていないところで、省エネしなくちゃというやらされている感というのがすごく強くて、倫理観が成立していないところで技術の問題として取り組んでいくと世界の流れとずれていってしまうという、そのどうずれていくのかを質問しようと思っていたら、技術社会変革の対立の構造というのがとても面白かったんですけれども、私もそう思うんですが、イノベーションと言った途端にこの気候正義で論理のすり替えが出てくるのではないかと思うんですね。リーダーシップ観のすり替えなんですけれども、例えばどういうことかというのを教えてもらいたんですが。  中国やインドというのは、まず先進国がお金を提供するのが当たり前だと思っているわけです。基本的には、インドや中国というのは、この国に限りませんが、自分たちのところは途上国側の代表として先進国にもっとお金を出せという立場になるわけですね。そうすると、問題には取り組んでいるんだけれども、気候変動対応によって社会が大きく変化するということをにらんで、いかに自分の国の有利に持っていくかというイノベーションをやり始めるのではないかというのが私の質問なんですけど、日本はどの立場でこれを、技術と対立の構造の社会改革というのを持っていけばいいのか、環境技術イノベーション変化すればこれがビジネスにつながっていくという、このお金もうけの方に積極的になっていけばいいのかどうかという、ここのところの先生のお考えを教えてください。
  49. 江守正多

    参考人江守正多君) 非常に、ありがとうございます、難しい御質問で、必ずしも僕がやはり専門ではない分野なんですけれども。  一つには、中国は既にお金を供給する側の立場になりつつあるのだろうと思っています。インドはもちろんこれからも先進国に資金も技術も提供してもらいながら発展していきたいというふうな立場だろうと思います。  その中で、当然、中国は特にそうですけれども、環境エネルギーのイノベーションというか、環境エネルギー革命、脱炭素革命の流れの中で自国の産業を有利にしていきたいというふうに動くであろうことは恐らく明らかでありまして、ある意味では、もしかしたら日本も同じような競争というかビジネスの流れの中で戦っていかなくてはいけないということなのではないかと思います。  そのときに、日本の戦略というのが、石炭火力日本の高効率の石炭火力を売っていくという戦略でいいのかどうかですね。中国がEVだ再エネだというのを世界に売って、非常に国際的にも評判がいい形で自分の国の産業を国際的に売っているときに、日本はいかに高効率石炭火力発電技術が進んでいるからといって、国際的な非難を浴びながらそれを売っている状態というのがいいのかどうかというのはちょっと気になるところであります。
  50. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  国際経済ということでちょっと御質問をしてしまいましたけれども、金子参考人の方には今度は、環境委員をやっておりましたので、ちょっとマイクロプラスチックのことについて質問させてください。  二〇一六年の世界経済フォーラムというダボス会議でマイクロプラスチックの試算が出ました。二〇五〇年、今からざっと三十年後にはこのマイクロプラスチックが海の魚の総量を超えるという、これがまず本当かどうかということを聞きたいんです。  それと、そのときに質問したんですが、国際協力といっても、沿岸がほとんどの日本の国とそうでない国の国際協力って大変難しいと思うんです。そうなると、技術的なことで申し訳ないんですけれども、マイクロプラスチックを分解する微生物の研究というのが行われていると。  この二つ、まず最初のデータが本当かということと、この研究がどのくらい進んでいるのか、質問させていただきます。
  51. 金子博

    参考人金子博君) まず、マイクロプラスチックそのものの量の推計値は研究者たちが発表していて、かなりの数があるというのは論文では出ていますけれども、それが積算をされて二〇五〇年に魚の量、水産資源の量を超えるかどうかという、私自身はちょっとそういう知見を直接は持っていないので、改めて研究の方々をお呼びして聞いていただくことがベストかと思います。  ただ、推計量はかなりいろんな数字を使いながら出していますので、海にプラスチックごみが出るという総量については、年間一千万トンぐらい世界中で出ているということはかなり引用されている論文がありますので、それと実際に調査をしてマイクロプラ化されているということを併せて、そういう表現でダボス会議ではある財団が報告したというふうに理解をしています。  国際連携については、もちろん海を有していない国もあるわけですが、ただ、実際、海のごみ問題については、海を有している国々が直接やっぱり関われる話だろうと。例えばモンゴルのNGOの方とも会ったんですが、それはやっぱり内陸の廃棄物問題となります。直接海洋性を有していないので、海を持っていないのでなかなか手出しはできないということがありますので、それはあくまでも廃棄物問題としての技術支援なりを日本がするとかいうスキームはあり得ると思うんですね。  ただ、海を有していてごみが出てしまっているというところに対しては、例えばODAなんかを使ってきちっと廃棄物の処理の仕組み、システムを立ち上げるということはとても大事だろうと思うんですね。日本の家庭ごみの収集システムってやっぱり立派なものだと思っていますので、そういったことがまだ整っていない地域は国としてありますので、そういったところから手を加えるということがあります。  そんな意味で、廃棄物全体の議論をする場が今後必要だろうと。ごみ問題でも、その分野分野に分けて話をするのではなくて、海洋ごみというところを少し表に出してつなげていった方がいいんではないかという感じを持っています。
  52. 石井苗子

    ○石井苗子君 微生物の研究は進んでいるんですか。
  53. 金子博

    参考人金子博君) 微生物については、私は不確かだという気がします。特に陸域では、陸上では土壌の中の生物っていろいろ活動があるというのは理解はできるんですけれども、海の中に例えば沈んでしまったものを、プラスチックを分解するところまでの微生物の環境が果たしてあり得るかどうかというのは、かなり研究者の中のことを聞かないとちょっと疑念に若干思ってしまっています。  生分解性のプラスチックがいいということで普及をさせようという動きもありますけれども、国連の方では海洋のプラスチックごみについてはそれは適用できないというか、余り意味がないんだということを言っています。陸上での自然分解性のプラスチックの普及は有効であったとしても、海ではちょっと難しいねという評価をしています。
  54. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  あと二分なので、最後濱田先生にお伺いします。  濱田先生は組織案を持っていらっしゃるとお聞きしておりますけれども、今アジア防災センター、アジアに対する防災の組織のトップでいらっしゃると思うんですが、災害があるほかのアジアの国々というのは日本から学びたいと思っている国も多いと思うんですが、そういった意味で防災技術日本が大きく期待をされていると思うんです。  防災のその分野での日本の国際協力は、全体として提携されていたり組織的な取組が今まで余りできていなかったのではないかと思うんですが、この辺がいかがかということと、センターの役割というのはよく分かったんですが、活動しているのも分かったんですが、専門家が少ないのであれば、なぜ少ないのかというのを教えていただきたいと思います。日本では、東日本大震災が起きた直後に日本学術学会の提言が検討されていて、その後、その連携というのは進んできたと思うんですけれども、全体として効果的にやって成果を上げてきたとは言い難いのであれば、残された現状課題というのは何なのかも教えていただきたいと。せっかくつくった組織なのに有効に発展していっていないと、内閣府の予算も一億ぐらいだと聞いておりますので、どうしたらいいのか、どこに必要性があるのかという部分でお教えいただきたいと思います。
  55. 濱田政則

    参考人濱田政則君) 専門家が決して少ないということではないと思うんですね。ちょっと言葉は語弊があるかもしれませんが、専門家自分の専門分野に埋没しているという状況があるんじゃないかと。  東日本大震災のときに学術会議で二十幾つの学協会の会長さんにお集まりいただいて、その連携ということを話し合いました。そのときに原子力学会の会長さんも来られて、これからは土木学会であるとか地震学会だとか、そういうところと一緒にやっていきたいんだという発言をされました。それ、非常に印象的だったんですが、そのときはそういう気分だったんですけれども、その後、その分野間の連携が十分に進んでいるかというと、そうではないだろうというふうに思います。それは我々研究者の責任なんですが、やっぱり自分の分野に引きこもる、それぞれの学会をつくってそれぞれの学会でやっていると。防災というのは、先ほど申し上げましたように、広分野の協力ということが不可欠でございますので、やっぱりそういうのが十分ではないと。  ただ、幸いなことに、日本学術会議では現在では三十ぐらいの学会が集まって、この防災の問題について共同で取り組もうというような動きがございます。こういうものが発展をしていけば分野間の協力というのが出てくるだろうと、そういうことも期待をしております。
  56. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。
  57. 三木亨

    理事三木亨君) 木戸口英司君。
  58. 木戸口英司

    木戸口英司君 参考人皆さん、ありがとうございました。  会派、希望の会、自由党の木戸口英司でございます。    〔理事三木亨君退席、理事宮本周司君着席〕  まず、濱田参考人にお聞きしたいと思います。  「よしはまおきらい物語」、ありがとうございます。私、岩手県でございます。震災復興、いろいろお世話になっております。  その観点で少しお聞きをしたいと思いますが、仙台で行われた国連防災世界会議でありますけれども、優先行動というのが四つ確認をされて、リスクの軽減ということを中心に、そしてより良い復興ということが確認されております。その中で、ガバナンスの強化、これも災害リスク軽減ということでのガバナンス強化ということで、それぞれ人材育成が進められているということだと思います。  その中で、今、日本対応ということを指摘もあったところでありますけれども、日本においても、確かに様々専門家皆さん、大変献身的に研究をされ、対応されているということでありますけれども、やはり事が起こったとき、特に南海トラフとか大きな大災害が予想される中で、やはり専門家皆さんをどのように動いていただくか、やはりガバナンスの強化、マネジメントの強化、そしてプラットフォームづくりというのが非常に日本においても重要だろうと、そのように思います。  その中で、やはり日本の災害対策というのは基本やはり市町村が中心ということになっていて、非常に、熊本でもそうでしたけれども、自治体が直接被災するという状況の中でやはり初動が非常に困難を極めたということ。その意味でいうと、やはり国と都道府県、そして市町村がどう連携をして初動の中でマネジメント、ガバナンスを強化していくかということが非常に重要なんだろうと思います。  その意味で、今、内閣府が国でいえば中心なんですけれども、やはり行政の一組織であって、そのガバナンス強化という意味では、私はやはりもう一つ専門的な組織というものを、アメリカのFEMAという組織が、これもいろいろ問題もあるんだろうと思うんですけれども、中央集権であることだけがいいと私も思いませんけれども、やはりそういう専門的な組織があるという中で、日本が、いろいろ計画は国で作っているわけでありますけれども、実際これだけの沿岸部、大きく被災する懸念がある中で、一斉にそれぞれ地域地域で動き出すための、日本における人的なこういうガバナンスという部分での課題というものがあるんじゃないかと私、危機意識を持っているんですが、参考人世界的なそういう支援をしながら日本を振り返ってみていかがかということをお聞きしてみたいと思います。
  59. 濱田政則

    参考人濱田政則君) ガバナンスの問題ですね。内閣府というのは、省庁の上にあってそれをガバナンスするものだという趣旨で、防災の分野でもそういうふうに位置付けられたわけですが、現実を見ますとそういう状況にはなっていないだろうと。コーディネーションはできるのかもしれませんね、だけどそのガバナンスというところまでは行っていないということなんですが、最近になりまして内閣府が主導で防災分野の国家的な研究プロジェクト、これを推進していますから、そういうものを一つずつ重ねることによって内閣府のリーダーシップが出てくるんじゃないかというふうには期待をしております。  それから、初動の問題が出ましたけれども、これはもうおっしゃるとおりでして、兵庫県南部地震のときに、あの地震が起こってから三時間か四時間ぐらいですか、NHKのニュース見ますと死者四人と言ったんですね。それがもう一千倍に増えたと。全くその状況が分からなかったと。それが、同じことが繰り返されていると。あの東日本大震災でもほとんど情報が入ってこないということで、初動体制が遅れると。  こういうことで、今どういう動きがあるかといいますと、例えば衛星写真からいち早く災害の状況を把握して、それを災害対策本部に送る。それと、非常に狭い地域であれば、ドローンですか、そういうものを飛ばしてやるというような技術が出てきておりますので、それを将来活用することによって災害直後の情報の収集というのはより円滑に進んでいくんじゃないかというふうに思います。    〔理事宮本周司君退席、理事三木亨君着席〕  それから、航空写真なんかも非常に活用の道があると思うんですね。ところが、航空写真を撮っている会社、これ何社もあるわけですが、熊本地震のときですと、熊本城だけを撮っているんですね。山間部の土砂災害だとか、それから家屋が壊れているとか、そういうところは絵にならないといいますか、売れないものだから撮れないと。みんな熊本城だけを撮っていると。そういうことが一体どうにかならないかというようなことをこちらの方からも言って、やはり災害時に手分けをして、航空機を飛ばして災害を集めると。それを一か所に集めて直後の対応を決めていくというような体制がだんだんとできつつあるんじゃないかというふうには思っております。
  60. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。  そこで、多分、専門家皆さんもそれぞれそういう危機感を持って、いろいろ対応を考えられたりいろいろシンポジウムを開いたり国際会議を開いたりされているんだろうと思います。実際日本の中で起きないことを望むんですけれども、首都直下、南海トラフということが言われる、非常に数年のうちにと。北海道沖というところもまた懸念されている、北海道、東北にもまた近々あるのではないかという報道も年末にあったところであります。  その意味では、先ほど言いましたとおり、計画が作られている中で、実際これをそういう大きな危機の中動かすということがその危機感の大きなところでありますけれども、本当に、そこに対応する組織なり人材なり、これをつくっていく。本当にそれを進めていく上で、例えば、先ほど学術会議のお話もありました、このアジア防災センターの役割も大きいと思いますが、どういう場でこれを進めていったらいいか、濱田参考人が感じられるこうしろということで結構でありますので、御意見をいただければ。
  61. 濱田政則

    参考人濱田政則君) 非常に私自身も限界を感じております。  今、私、特にやっておりますのは臨海部の安全性について。臨海部には我が国の産業施設がいっぱいあるわけですが、その産業施設を管轄している経済産業省、それと、航路を管轄しているのは国土交通省なんですね。私に言わせますと、全く連携がなっていない、壁がますます厚くなってきているんじゃないかというふうに思いますが、もうそういうことを事あるたびに国の委員会でも言うんですが、びくともしないというのが現状だろうというふうに思います。  日本の産業施設、戦後間もなく建設が始まりまして、老朽化が進んでいるんですね、五十年以上たっていますから。じゃ、老朽化ということを考えてやっぱりこれをどう強化していくかということは国としての重要な課題ですが、経済産業省はそれは非常に興味があるんですが、国土交通省それから自治体にほとんど情報が出てこないという実態がございます。  それはなぜかといいますと、産業施設の中の情報を出すということはその企業に対してデメリットになりますから、これ出さないと。何か例えば液状化が起こるとかなんとか言い出すと、翌日株価が下がるというような返事が返ってくるわけですが、そういう情報の壁というものをまずどう打ち破るか、どう打破していくかということで、私自身も困っているといいますか、苦闘をしているというのが状況でございます。
  62. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。  ちょっともう時間になりましたので、もう質問はこれで終わりにいたしますけれども、最近、各市町村に、災害が起きたときに受援体制をつくれと、援助をどう受けるかという計画を立てろという、これも内閣府から、これも大事だと思うんですが、その計画を立てても、その災害の中でどれだけ市町村がそれをコントロールしてマネジメントして住民の命を守れるかというのは、本当に危機的な状況を私も懸念をしております。各市町村のマネジメントを都道府県そして国で、全体でどう支えていくかという体制、もう少し研究が必要だなと思いながら私もおりますので、是非またお話をお聞かせください。  以上でございます。
  63. 三木亨

    理事三木亨君) 江崎孝君。
  64. 江崎孝

    ○江崎孝君 ありがとうございます。  COP17に僕も行かせていただいたんですけれども、今の三人の先生方の分野でいくと、やっぱり温暖化というのが今世界中で、あるいは国家的規模で取り組まれていると思うんですね。じゃなくて、こちらの金子さんと濱田さんの分野というのは、例えば濱田さんの分野も、日本学術会議が始めたという、この検討委員会を立ち上げたということですし、プラスチックの問題も議員立法なんですよね、これ。  ですから、どちらかといえば国の関与、あるいは国家レベルでの対応の仕方というのがやっぱりちょっと随分不足しているのがあるんじゃないかなというのをお話を伺って聞いていたんですけれども、お二人にお伺いしたいのは、国は今後どうあるべきなのか、国の関与はどうすべきなのか、あるいは国はどうすべきなのかというふうにお考えなのか、端的にお二人に御質問させていただきます。
  65. 金子博

    参考人金子博君) この問題を所管する省庁が、じゃ、どこなのかというところが最初課題でして、我々が誰と話せばいいかといったときに、ようやく落ち着いたのは環境省なんですね。ただ、当初は地球環境局が所管だったんですけれども、今、窓口をちゃんとつくってほしいという中で海洋環境室というのが生まれました。  そういった意味では、政府の人材をやっぱり減らそうという動きは一方でありますけれども、減らした方がいいんではと。でも、プロパーとしてちゃんと活躍、このいろんな問題を把握するプロパーを育てるということはとても大事だと思うんですね。ですから、本気でこの問題を改善に向けていくのであれば、まずは省庁の担当者の人材確保、人数を減らすという話ではなくて必要な分野には必要な投入をしていくということを、切り替えた議論をしていただかないととても進めないと思います。国際会議はこの分野では相当数が多く開かれるようになった時代ですので、それに対応するだけでも手いっぱいなところがありますので、まずはそういうような体制づくりだと思います。
  66. 濱田政則

    参考人濱田政則君) 十三ページ目のパワーポイントで御提案を申し上げましたが、この自然災害軽減のための国際戦略を我が国としてつくっていくという会合ですが、これはやはり内閣府が主体でつくるべきだと思っています。  実際にどういう機関が面倒を見るかという、我々の機関も一つの候補にはなると思いますが、是非それを実現させていただきたいと。これは、お互いに情報を共有化するというところから始まるわけですから、それが連携の第一歩だと思うんですよね。これを是非実現するように御支持をいただきたいというふうには思います。
  67. 江崎孝

    ○江崎孝君 三・一一で中断をされたとさっき濱田先生がおっしゃいました。それまでは内閣府が取っかかりとしてはいろいろやっていたんでしょうか。
  68. 濱田政則

    参考人濱田政則君) いや、これは三・一一が起こった後、日本学術会議に二十幾つかの学協会の会長が集まって、こんなことじゃ駄目だと、要するに連携をしなくちゃ駄目だというお互い意識を持ったんですね。こういうものをつくっていこうということで始まった議論です。
  69. 江崎孝

    ○江崎孝君 ちょっと聞き漏らしたんですけれども、金子先生、海洋環境室ができた、それはどちらの省庁でしょう、国交省でしょうか。
  70. 金子博

    参考人金子博君) 環境省の水・大気環境局の中に水環境課というのがあって、その中に一応並列する形で部屋が設けられたということですね。
  71. 江崎孝

    ○江崎孝君 分かりました。また何かの機会環境省と、あるいは内閣府にも質問させていただきたいというふうに思います。  話変えますけれども、十五、六年前だったでしょうか、今のこの仕事に就く前に、ドイツの方に環境問題で仕事で行ったときに小学校を視察させていただいたんですけど、もうそのときに太陽光パネルが屋根に載っかっていて、廊下に、まあ今はどこでもあると思いますけれども、ちょっと今発電容量が何ぼですよとか、どこからか買っていますよみたいなのが出るようになっていたんですね。それはそれですごいなと思ったんですけれども。  その小学校を後にするときに、校舎にどでかい、ドイツ語ですけれども書いてあって、通訳の方に何て書いてあるんですかって聞いたら、要するにグローバル、要するに地球規模で物を考えて行動はローカルでやりましょうという、そういう標語というか、どでかく書かれているわけですよ。小学校の時代から、物事は地球規模で考えて、そして、行動はもちろん、地球で、そんな世界じゃできませんから、電気を消したりとか、ごみを出さないとか、そういうローカルでやりましょうという、そういうことを小学校のときからやっているんですけれども。残念ながら、そのとき日本の教育環境というのは全然それとは真逆というか、全く整っていなかった。そういう意味でいくと、教育が、例えば地球温暖化の問題に対する教育の問題というのが相当遅れていった、日本人の先ほどの意識調査にも表れている。  その分野で何か先生から提言できる、やっぱりそういう問題があったこと、あるいは教育でどうやってやらなきゃいけないかということ、あったらお聞かせください。
  72. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  一つには、地球温暖化に限ったことで言いますと、環境省は国民運動として、京都議定書の前ぐらいのときから、チーム・マイナス六%というかクールビズみたいなものを始めとして、非常に国民に対して地球温暖化のことを考えてほしいというふうに言っていたわけですけれども、これが、先ほども申し上げたように、非常にアクト・ローカリーな、ローカルのところでやるということは強調されたけれども、シンク・グローバリーの方ですね、グローバルに考えるというところの方は、一応教えてはいるんだけれども余りぴんとこないような形で、何か、小まめに電気を消せばいいんだなというところばかりが独り歩きしてきたようなところがあるんじゃないかと思っています。  それで、温暖化の将来、今後のことの議論を考えると、やはりエネルギー革命みたいなものが起こるということを我々国民一人一人がどう考えていくかということは非常に重要だと思います。環境省が国民運動というのをやっていると、なかなか、先ほどと、省庁が縦割りみたいなお話が濱田参考人からもありましたけれども、ちょっと似たような話で、エネルギーがということを余り恐らく環境省は主体的には言えないんですよね。  今、環境省のキャンペーンというのはクールチョイスというのを言っていて、省エネの製品を選んだりサービスを選んだりライフスタイルを選んだりしましょうと言っているんですけれども、本当はエネルギーを選ぶということがそこに入ってこなくちゃいけないんですが、環境省が言うと、余りそこが、所掌外なので言えないと。そこは政府一体となって、経産省の分野も含めて、エネルギーのチョイスということをこれから温暖化の教育の中に入れていくと、そのグローバルに考える部分というのがおのずと含まれてくる部分があるんじゃないかなと個人的には思っているところです。
  73. 江崎孝

    ○江崎孝君 ありがとうございました。  やはりどうしても、この立地条件なんでしょうか、内向きで考えて、やっぱり地球規模で物事を考えるという発想が、教育の分野でもそういう流れになっていないというのを、こういう国際問題の論議しているとつくづくそう思うんですが、時間がなくなったので、最後江守先生にお聞きしたいんですが、先ほど小野田さんとかもう一人の方の質問の中で、石炭火力の問題が日本批判につながっているという。僕らの党は脱原発基本法を作ろうとしているんですね。だから、原子力発電を一応なくすということになるときに、やっぱり再生可能エネルギーというのは、まだまだちょっと時間が必要になってくる。そうすると、ベースロード電源にやっぱり火力発電、石炭火力発電入れなきゃいけないんじゃないかというのを僕は思うんですね。  そのときに、やはり今のコジェネですとか様々な石炭火力日本技術というのは相当高い。だから、世界中で石炭火力をやっている発電所が仮に日本技術で置き換わるとすれば、それだけで世界中のCO2が下がっていく。これは実際、数字的にそうなると思うんですね。  それと併せて、二国間クレジットというのをちょっとやりながら、当座はというか、石炭火力をやはりベースロード電源に入れなきゃいけないんじゃないかというふうに僕は思うんですけれども、先ほどの先生の話と真逆な話になっちゃいますから、その辺の考え等をちょっとお聞きして、討論をするつもりはありませんけど、考えだけお聞かせください。
  74. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  これは全く私の個人的な考えとして申し上げますけれども、やはり長期的にCO2排出量をゼロにしなくちゃいけないということを考えると、一度、いかに高効率といえども石炭火力発電所を建ててしまうと、それが三十年か四十年使われる間、そこに排出ゼロの電源というのが、具体的に言うと再生可能エネルギーが入っていかないわけですね。ですので、今のタイミングで新しく建てるということは非常にその排出ゼロに向かう道に逆行しているというのは、一般論として僕は非常に正しいんだというふうに思っています。  じゃ、原発か石炭かというその二択になるのかというと、それはそうではないと僕は思っていて、やはり再エネ大量導入議論というのが経産省の委員会なんかでももう随分話が行われていますけれども、まだそれが恐らく政府として本腰を入れて、本当にそっちにかじを切っていない部分というのはあるのではないかなと。もちろん再エネは変動するわけですけれども、その系統の使い方、これからITを使ったり需要を調整したり、そういうことをうまくやると再エネで随分行くという話は僕はあると思っているので、そこのところを更に検討された上でお考えいただければというふうに思います。
  75. 江崎孝

    ○江崎孝君 ありがとうございました。
  76. 三木亨

    理事三木亨君) 伊波洋一君。
  77. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。私は沖縄県選出です。  まず最初に江守先生にお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話の中で気候変動対策、いわゆる脱CO2ということについて、アンケートについてまず聞こうと思ったんですけれども、なぜ世界ではこれだけ質を高めるものであるかという先ほどの問いに対しては、それは知らないという話でしたので保留しますが、中国が六五%というのは、今、北京など空も真っ黒になっていて、やはりそれだけ石炭の弊害があると思いますし、ドイツだと先ほどの環境教育も影響しているのかなと思いますが、その話の中で、先ほど、シェールガスについて、シェールガスの大量消費が必ずしも化石燃料の話とは結び付いていなかったような説明だったんですが、それについて詳しくちょっと説明いただけますか。
  78. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  シェールガス、これも僕が特に詳しいわけではないんですけれども、基本的には、石炭と天然ガスを比べた場合には、石炭の方が同じエネルギーをつくるのに二倍ぐらい二酸化炭素を出しますので、同じ化石燃料で発電をするのであれば、石炭からガスに燃料を変えるというのは現時点では有効なCO2削減対策なわけですね。  アメリカにおいては、イノベーションによってシェールガスというのがたくさん安く国内で取れるようになったので、それが非常に普及していっている、その分だけ石炭火力発電を減らすことができればアメリカ国内においてはその対策になっているということです。しかし、行く行くは、それも今世紀中には再生可能エネルギーに置き換えられていくことがパリ協定目標を目指す上では必要になってくるというふうに僕は理解しています。
  79. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄では電力が、原子力がないわけで、原油、石油から石炭に行って、そして今は天然ガスに移っていこうとしているわけですけれども、基本的に、天然ガス発電そのものは一応当面容認されるんでしょうか。
  80. 江守正多

    参考人江守正多君) これも私の個人的な理解ですけれども、それは石炭に比べればということであると思います。長期的には再生可能エネルギーに向かっていくべきであるというふうに思います。  例えば、沖縄と似ているかどうか分からないですけれども、ハワイですね。ハワイ州は、二千四十何年だったか分かりませんけれども、再生可能エネルギー一〇〇%を目指すということを言っていて、やはりある意味離島であって、タンカーで運ばれてくる石油とかそういうものに今までエネルギー源を頼っていたわけですけれども、風力、太陽光、地熱、そういうものをフルに利用することによって再生可能エネルギー一〇〇%ができるというビジョンを立ててやっているんですよね。  それは、もう本当にそれでいくんだという考え方をすれば、沖縄も自然に非常に恵まれて、エネルギー資源としても、僕は詳しくはないですけれども、そういう可能性はおありではないかと思うので、是非そういう方向でもう一度御検討いただけたらいいんじゃないかなというふうに思っております。
  81. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄では、ほかに海流発電といいますか潮流発電といいますか、それも研究されているようですけれども、今指摘された風力や太陽光発電、地熱発電に加えて水素燃料の問題というのは、それは有望なんでしょうか。
  82. 江守正多

    参考人江守正多君) 御存じのとおり、水素自体は一次エネルギーではなくて、電気と同じように何らかのエネルギー源から変換されてつくられるものなわけですね。それを例えば車の燃料に使ったり、あるいはエネルギーを貯蔵したり輸送したりするための媒体に使うと。それをいろんなところのエネルギーで、水素で発電したりいろいろできるようにするというのが恐らくその水素社会という話ではないかと思うんですけれども、ちょっとそこから先は私自身は非常によく分からないところなんですが。  先ほどちょっと車の話をしましたけれども、車がEVがいいのかFCV、水素を使った燃料電池車がいいのかみたいな議論に関して言えば、車自体の性能にプラスしてインフラが、水素ステーションが水素燃料電池車に乗っている人が十分便利と感じるぐらい国中にできるのかという問題を含めて考える必要があるんだろうと思っています。そのときに、個人的には必ずしも水素がいいという結論にはならないのかなと思います。  一方で、その水素というものをエネルギーの貯蔵であったり運ぶ際の媒体として使っていくという道筋というのは大いに研究されていいんじゃないかなというふうに個人的には思います。
  83. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄からこちらに来るときいつも飛行機に乗るわけですが、大阪とかあちこち行く。私たちは空の上から日本列島をいつも見ているんですけれども、実に人間が、日本人が住んでいるところは、場所は小さいところにあって、ほとんどが緑の資源、森なんですね。  森の資源を使うことは要するに脱石炭燃料にもなりますし、CO2の収支はバランス取れているので、これは大いにありだと思いますが、それはどう考えるんでしょうか。
  84. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  森林に関しては、バイオマスを燃料に使うというのはいわゆるカーボンニュートラルで、森林が育つときに光合成で吸収して、その分を燃やしたときにCO2が出ていけば差引きゼロであるというのが、理論的にはそうなんですけれども、実際には、何ですか、木を運ぶときの車の燃料であるとか、様々な木をエネルギーにする活動に付随して発生するCO2を含めて考えたときに、本当にどれだけニュートラルになっているかというのを検証しながら使う必要があると思います。ですが、森林を有効に使うということは非常に重要なんだろうと思います。  しかし一方で、その森林の、何というんですか、林業の担い手というのがどんどん高齢化や過疎化によって減っていっているという恐らく問題があるので、そこをどう手当てしていくかということを恐らく併せて考える必要があるんだろうと理解しております。
  85. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございます。  じゃ、次に金子参考人にお伺いしますけれども、漂着ごみの問題なんですね。漂着ごみって、沖縄も島々ですからかつて廃油ボールいっぱい来ましたけれども、今はほとんどなくなりましたが、今来ている漂着ごみを行政が含めて全部除去する仕組みをつくるにはどのくらいの予算が必要でしょうかね、年間でいえば。要するに全国で、全体の流れとして問題になっている漂着ごみをクリーンアップする仕組みをつくるとしたらですね。
  86. 金子博

    参考人金子博君) 回収処理自体にお金も掛かりますので、それは今、年間、国の方は三十億近いお金を確保していただいているんですけれども、それは全国での話で。ごみは偏りがあるので、多いところと少ないところがありますから、多いところを集中的にやるにはもう少しやっぱり予算措置は必要だろうと、まだ足らないかなというのは現実にあると思います。  ソフトな部分は、様々な関係者がちゃんと現場を共有して、議論をして有効な政策を地域で立てていくということが必要ですので、そのための予算はそんなにソフトな部分ですから掛からないはずだと思います。
  87. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 私も一市長しておりましたので、ビーチクリーンとか割とよくいろんな運動をやったんですけど、やはり所管が県であったりいろいろあったり違いますので、でも、それぐらいの額だったら、その何倍かを使えばきれいにできるのだったら是非やってほしいなと思って、頑張っていただきたいと思います。  次に、最後濱田参考人。  沖縄は台風のいつも通過する地域なんですが、実は沖縄で人が死ぬようなことはないんですね、台風で。それと、建物が壊れるということも基本的にないんですね。農産物が被害を受けるということはよくあるんです。最近はビニールハウスも強化されているので、それもなくなりつつあるんですね。ですから、そこを通った後、日本本土に行くと死者が出て、いっぱいの被害が起きますよね。それから大陸に行けば大陸であります。  様々な被害があるということが今日示されたわけですけれども、それぞれ起こった国において、例えばこれだけ大きな被害があると、そこに新たな町を再生していくときに、そういう被害に遭わない、壊れないような町に生まれ変わっているのでしょうか。それとも、それも再度また同じようなものになっているのでしょうか。現実はどうなのでしょうか。
  88. 濱田政則

    参考人濱田政則君) 結論から言いますと、同じようなものをつくってきているということだろうと思います。  国連の行動枠組の中にビルド・バック・ベターと、これは聞こえはいいですよね。いいものをつくろうよということなんですが、それはやっぱり財政的な、何というか、基盤がないとそれはとてもできないわけなんですよね。  沖縄でやっぱり台風で死者が出ていないということは、やはりそれは長年の経験といいますか、家の造り方とかそういうことが生かされているんじゃないかというふうに思います。残念ながら、災害が起こった国でビルド・バック・ベターができた、まあ今回の三陸はちょっと違うと思いますが、そういう状況には一般的にはないだろうというふうに思います。
  89. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 もう時間ありませんけど、最後に。  私も東日本大震災を見て一番驚いたのは、家がぷかぷか浮いていることだったんですね。沖縄の家は浮くことはないんです、全部コンクリートでできていて、下に基盤もきっちりあって、ほとんどが。ですから、そういう意味では、やはり今言われている、東海も含めて、いろんな形の、何年か以内には来るというんだったら、浮くんだったらどこか移していった方がいいんじゃないかなというのをいつも考えるんですけれども、早めにですね。  そういう意味では、防災対策はやはりいろんな知恵を出してやっていくべきじゃないかと思いますし、また日本が持っている技術是非世界に提供していただいて、その防災基準そのものをやはりそれぞれの国で確立できるように、濱田参考人、頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  90. 三木亨

    理事三木亨君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。  質疑のある方は挙手を願います。  小野田紀美君。
  91. 小野田紀美

    小野田紀美君 金子参考人に一点だけちょっとお伺いしたいことがありまして、今後の必要な方策の中の黒丸四つ目なんですが、アジア太平洋地域における国際的な協力基金の創設について、青色の参考資料の方でちょっと細かく書いてくださっていて、自らの地域、国において発生する廃棄物を徹底的に管理する仕組みを構築することと併せて、海洋に流出させてしまったごみの一部が漂着した海岸において、回収、運搬、処理を行う費用を確保して負担し合う、そういった基金を創設することを検討すべきであるというふうに書かれていらっしゃいまして、これのイメージというか、どこがお金を出すのかとか、あと国の関与の仕方とか、これちょっと教えていただけますでしょうか。
  92. 金子博

    参考人金子博君) 全くの個人的なちょっと考え方だけなんですけれども、もちろん基金、ファンドを集めるわけですから海を有する国が出すのはあるんですが、もちろん製品として販売しているものが漂着物になっているわけなので、やはり産業界からいわゆる課金をするというか、製品に課金をしてその一部をきちっと対策に充てるというスキームにしていかないと、将来世代に負荷を与えてしまう、増やしてしまうだけになりますから、現世代、我々が消費生活をしているわけですから、そういう意味で考えると、是非、そういう税制の問題も絡めながらファンドを一個つくるということが私は理想だと思っています。  その上で、今国際ルールがないものですから、漂着した海岸を有する国・地域が回収するというだけのスキームしか国際的にないものですから、ですから、災害のようなものが一大事発生したときにそれに対応する資金をどこから出すのかというのは、やはり重油の流出事故でつくられたような基金、制度がある、そういったことを少し参考にしながら考えてもいいのかなという考え方にしています。
  93. 小野田紀美

    小野田紀美君 災害のときの流出は特にイレギュラーな例だと思うんですけれども、ページの何個目でしたか、六ページ目に、どこの国・地域から出てきたごみなのか明確にしても対策には直結しないというふうに言われていたんですが、さっき言ったように、製品を作った、それがごみになるような製品を作るんだったら上乗せしますよと。そうじゃない製品を作る方が結果的にメリットになるというか、ごみを削減する方にお金を使っていく方がメリットになるよということをつくることでごみを減らしていけるとも思いますし、また、その出した処理を、この今日の資料にもありますけれども、三ページ目に、日本も六万トン年間出しているということですが、中国が三百五十三万トンと桁違いを出しているわけで、基金をもしつくるのであれば、やはりどこから流れてきたというのは余りというふうにも書かれているんですけれども、やはりごみをより多く出しているところが責任を持って基金にしっかりお金を出していただくと。  そうすることによって、ごみを出すことによる基金にお金をいっぱい出すぐらいならごみを削減する方にお金を使っていこうよというふうに国の考えを改めてもらうというその啓発も必要かなと思うんですけれども、この出しているところ、ごみを出しているところが多く出しなさいよというのは実現可能ですかね。
  94. 金子博

    参考人金子博君) 難しいのは、中国に対してはなかなか難しいだろうという話は出てくると思います。  ただ、今言われたような原則論は確かだと思っていますが、ただ一方で考えなきゃいけないのは、プラスチック製品の輸出入の関係をどう捉えるかですね。日本は輸入がかなりありますから、廃棄物がちゃんと処理するとたまっていく一方になりますから、そういったときに日本責任、果たすべき責任というのはどういうふうに捉えるか。  例えば、百円ショップというのが繁盛して、アジアも含めた生産地があって、それを安く我々買ってしまっていると。その安いという意味をどう捉えるかなんですね。廃棄物処理のコストをちゃんと払っていないのであれば、本来払うべきだという意味で価格に乗せるというふうな議論も併せてしていかないといけないかなとは思っています。
  95. 小野田紀美

    小野田紀美君 大変参考になりました。  終わります。ありがとうございます。
  96. 三木亨

    理事三木亨君) 石井苗子君。
  97. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  連携の点について、お三方、NGOの当事者の方がお二人で、たしか濱田先生は防災センターでNGOを支援するお立場だと思うんですけれども、そうですよね。  分野で連携という、専門家というのは、その分野のことにしか関心がないと思うんですね。組織づくりということには関心がない。また、お金を出す方は、この間外務省の予算の説明を受けたんですけれども、お金のことしか関心がなくて、この連携がどうしてこんなにうまくいかないかなというのについてなんですけれども。  例えば、物の考え方にもイノベーションが必要だと私さっき申し上げたと思うんですが、分野ごとにNGOとの強化連携を持っていけるんではないかと。例えば、政府がお金を持っていくのが難しいとしたら、ODAとして政府が相手国の国の支援をするより海外に行くNGOにお金を出すというのはいかがでしょうかと思うんです。  企業は利益がないと動きません。NGOの活動が力を付けていくことによって、同じ方向を向いているのであるならば、連携として国がサポートをそっちにするというのはいかがでしょうかと。JICAを通してNGOに流れるということもあるんですが、JICAを基本としていると、お金がJICAから出てくるんですが、JICAとの連携はどうしてうまくいかないんだろうかと思うんですけれども。NGOにお金を落としていくというようなことで、それぞれの皆様が日本国等の資金をうまく利用しながら自分たちの考えを損なわないように活動していくということに対してどんなアイデアをお持ちかをお聞かせください。
  98. 濱田政則

    参考人濱田政則君) まず、その前段階として、NGOというのは、先ほど、山ほどあると言っては失礼なんですが、相当数あるわけですが、それぞれがどういう活動をしているかという情報をやっぱり共有化しなくちゃいけないだろうと思うんですね。  そういう意味で、先ほど御提案をした情報のプラットフォーム、こういうものを構築して、どのNGOがどういうことをやっているかということを把握すべきだと。それに対してどこに投資すべきかというような議論がその次に来るんじゃないかというふうに思いますが。
  99. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。  金子参考人はいかがですか。
  100. 金子博

    参考人金子博君) 結局、海のごみ問題、当初私も関わったときに、その連携の話がやっぱり一番の大きな課題だったことも今思い出したんですね。  というのは、この問題がどこが所管するかという隙間の環境問題だというところがあって、所管が決まっていない問題を動かしているときに、やっぱり民間の団体が動きやすいというところはとても利点があって、いろんな立場で産業の方とも政府の関係者とも、あるいは議員の方々とも話ができた、できていると、今もそうなんですが。そういった進め方のときに、じゃ、NGOがそういう動きをするところにお金が掛かるということが理解をされていないところがあるんですね。我々もちゃんと人件費をもらって生活しなければ動けないというところの前提がなかなか日本社会の場合、特に理解をされていない。これは長い間のまだ課題になっているかと思います。  要するに、民間のコーディネーションが必要な分野について、民間団体にお金を流すということが本当は必要なんだけれども、それは企業とは違うので、そういった理解といいますか、そこを行政側も必要だと思っています。
  101. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。  どうぞ、江守参考人
  102. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  僕自身は、国がどこにお金を出すべきであるか、NGOがどう動くべきであるかというのはちょっとアイデアが思い付かないので、自分の周りの研究者の話をさせていただきますと、私自身の周りを見る限りにおいては、かなり分野間の連携というのは活発に行われている気がしています。特に、気候の問題で影響というのが非常に広い分野にわたりますもので、日本国内の温暖化の影響だけ考えても、農業もあるし健康もあるし防災もあるし、様々な、その気候の基本的な気象学的な研究もあるし、そういう分野の研究者というのはかなり一堂に会して議論をするようなことというのは起きてきていると思います。  一方で、むしろ省庁の間の対話が研究者の交流に比べてまだ比較的少ないような感じがしていて、研究者が連携することによってむしろ省庁の壁を横断していくような動きができたらいいのかなというふうに思っております。
  103. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。
  104. 三木亨

    理事三木亨君) 江崎孝君。
  105. 江崎孝

    ○江崎孝君 済みません、もう時間が過ぎている中で申し訳ございません。  一点だけ、濱田先生に聞き忘れていたんですけれども、この最初のページの理由なんですけれども、一九八六年からアジアで増えているというのを説明いただきましたね。洪水、津波については増えているんだけれども、これは温暖化で説明が付くと。ただ、こちらの地震がちょっと。付くという説明があったんですが。最初の方のページのやつは、この極端に増えている部分についての理由が、説明いただければ説明いただきたいと思いまして。
  106. 濱田政則

    参考人濱田政則君) 先ほど御説明しましたが、風水害に関しては二つ理由があって、それは、自然環境変化によって例えば集中豪雨とかなんとか出てきていると。そのほかに、もう一つの理由は、先ほどからちょっと繰り返しになりますが、社会環境変化だと。それは、少子高齢化とか都市圏の過密化とか、それから人が住んじゃいけないところへ住んじゃうとか、そういうことが増えてきていると。ですから、我々の受け手の方が脆弱になってきている、それが風水害も地震・津波災害も増やしているということだと思います。
  107. 江崎孝

    ○江崎孝君 分かりました。済みません、私聞き漏らしました。どう考えてもこれ都市化じゃないかなと僕思ったんですね。都市化というか人口密集という。
  108. 濱田政則

    参考人濱田政則君) それは、それも一因。都市化と過疎化ですね。
  109. 江崎孝

    ○江崎孝君 過疎化ですね。分かりました。  それで、一点だけなんですけれども、我々も神戸の震災以降に首都機能移転法って作ったんですね、私たちの国は。だけれども、忘れたように東京一極集中が進んでいる。やはり都市化という考え方でいくと極めてやっぱり東京は脆弱になってきているという気がするんですけれども、技師の立場として、先生のお立場として、いわゆる東京一極集中というのはどうお考えになっていますでしょうか。
  110. 濱田政則

    参考人濱田政則君) 東京のことですか。  これはちょっとなかなか言いにくいですが、想像を絶することになるんじゃないかというふうに思いますね。ふだんの生活でも、例えば交通渋滞、それから通勤の問題、いろいろありますね。そういうところに、ちょっとしたことが起こっても、例えば雪、この前雪が降っても大騒ぎになるわけですから、言われているような首都直下地震が起こったときに想像を超えるようなことに今の状態ではなるだろうというふうに思います。
  111. 江崎孝

    ○江崎孝君 終わります。ありがとうございました。
  112. 三木亨

    理事三木亨君) それでは、他に御発言もないようですから、参考人に対する質疑はこの程度といたします。  一言御挨拶を申し上げます。  江守参考人金子参考人濱田参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日のお礼とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  113. 三木亨

    理事三木亨君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  114. 三木亨

    理事三木亨君) この際、お諮りいたします。  本日の調査会に、委員議員糸数慶子君の出席を求め、海外派遣議員の報告について意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 三木亨

    理事三木亨君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  先般、メキシコ合衆国及びアメリカ合衆国の対外政策及び外交における議会の取組等に関する実情調査並びに両国の政治経済事情等視察のため、本院から議員団の派遣が行われました。  調査結果につきましては、既に議院運営委員会に報告されておりますが、本調査会調査に資するため、海外派遣議員からお一人五分程度その概要について報告を聴取し、続いて、政府から十分程度説明を聴取した後、意見交換を行います。  議事の進め方でございますが、まず、派遣議員である酒井庸行君、藤田幸久君、糸数慶子君の順で概要について報告を聴取し、次いで、第六回核実験以降の米国及び国連における北朝鮮問題への主な対応について外務大臣官房参事官鯰博行君から、第二回交渉以降の北米自由貿易協定見直しをめぐる主な動きについて外務大臣官房参事官林禎二君からそれぞれ説明を聴取した後、順次御意見をお述べ願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず、酒井君から報告を聴取いたします。酒井庸行君。
  116. 酒井庸行

    ○酒井庸行君 昨年の八月の三十一日から九月の九日までの十日間でございますけれども、本院から、メキシコ合衆国及びアメリカ合衆国の対外政策及び外交における議会の取組等に関する実情調査並びに両国の政治経済事情等視察のため、本調査会委員を中心とする議員団が派遣をされました。派遣議員は、自由民主党・こころの大野泰正議員、同じく吉川ゆうみ議員、民進党・新緑風会の藤田幸久議員、沖縄の風の糸数慶子議員及び団長を務めました私、自由民主党・こころの酒井庸行の五名でございます。  派遣議員団は、本調査会のさきの中間報告における論点整理などを念頭に、アジア太平洋の平和の実現外交における議会の役割等について、主に相手国関係者との意見交換を通じて調査を行ってまいりました。  以下、調査の概要や所見につきまして、団を構成いたしました三会派からそれぞれ御報告を申し上げます。  初めに、私からメキシコでの調査を中心に御報告をいたしました後、藤田議員、糸数議員より、アメリカでの調査を中心に御報告がございます。  まず、メキシコでは、主にアジア太平洋地域の平和の基礎となる経済的繁栄に大きな影響を与える自由貿易の在り方をめぐり、アメリカ抜きのTPPや北米自由貿易協定、NAFTAの見直しの交渉への対応などを中心に、政府や連邦議会上院の関係者と意見交換を行いました。  なお、議員団が訪れた際、二回目のNAFTA見直し交渉が当地で行われており、タイムリーでホットな話を関係者から伺うことができました。  メキシコは、四十六か国との間で十一本の自由貿易協定、FTAを締結するなど、積極的かつ先進的な自由貿易政策を進める国として知られております。こうした政策によって、かつて輸出の約八割を石油関連に頼っていた同国の経済は、現在では約八割が製造業の関連に変貌しており、一次産品価格の国際市況に左右される脆弱性から脱却することに成功をしております。  こうした中で、アメリカにトランプ政権が誕生し、TPPからの離脱やNAFTA見直しを提起してきていることに対してメキシコ側の認識を問いましたところ、同国では、トランプ政権の対応を機に自由貿易政策への確信がますます強まっており、建設的な交渉を通じて、特定の国ではなく、地域全体の利益になる見直しを実現していくとの決意表明がされたところであります。  また、NAFTAの見直しの結果によっては、自動車産業を中心に同国に千百社以上が進出している日本企業の戦略にも影響が及ぶことから、対応を問いましたところ、日本企業に限らず、進出した企業はメキシコの企業を認識しており、意見も聞きながらしっかりと連携して交渉に当たっていくので安心してほしいということでございました。  メキシコ政府は、今回の見直し交渉を危機ではなくNAFTAを近代化する機会認識しておりました。そこには、既にアメリカとの間で構築されているサプライチェーンや移民労働力という相互依存関係の重要性に対する強い確信が感じられました。  外交と議会の役割との関係では、メキシコ連邦議会上院は、TPPやNAFTA見直しなどの交渉の際、超党派で組織した上院議員団を政府代表団に同行させて、情報収集を行うことで条約や関連法の審議を円滑化、充実させる取組について説明を受けました。こうした取組は、我が国においても参考になるのではないかというふうに思います。  そのほか、現地の日系人団体である日墨協会関係者との懇談では、現地の日系社会との連携を強化し戦略的な外交を行うべきとの力強い御意見をいただきました。現地進出日系企業とは、メキシコ進出の意義やNAFTA見直しへの対応などについて懇談を行いました。  最後に、我が国とメキシコは、明治政府が初めての平等条約を締結し、また、近年では初の本格的なEPAを締結するなど、同国は日本外交にとって重要な役割を果たしてきております。今回の調査では、メキシコ政府や議会関係者から我が国に対する信頼と関係強化への期待が表明され、北朝鮮問題でも、私たちが同国を離れた直後に在墨の北朝鮮大使を国外退去させるなど、我が国の立場への支持を行動でも示しております。今回の派遣目的でもあります議員外交としても、若干の貢献ができたのではないかというふうに思っております。近年進む経済関係はもとより、外交を含め、日墨関係を重層的に発展させていく重要性を認識をしたところでございます。  以上で、メキシコ部分の調査の概要並びに所見の報告を終わります。
  117. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  次に、藤田君から報告を聴取いたします。藤田幸久君。
  118. 藤田幸久

    藤田幸久君 この度、鴻池会長始めの御配慮によりまして参加をさせていただきまして、ありがとうございます。  酒井団長に続きまして、米国での調査のうち、ワシントンを中心に御報告いたします。  ワシントンでは、トランプ政権の政府高官人事が進んでいないことなども踏まえ、連邦議会議員や国務省、シンクタンク関係者などとアジア外交を中心に意見交換を行いました。  調査の概要ですが、まず、北朝鮮問題や中国の海洋進出など、アジアにおける緊張が高まっていることを踏まえ、米国のアジア外交について聞いたところ、大統領の日々の発言だけにとらわれず、実際に取られている政策など取組全体を見るべきであること、アジア政策は前オバマ政権の方針を引き継いでいること、同盟国や友好国との協力に加え、中国とは競合する面がある一方で、協力できるところを探っていくこと、さらに、アジア各国と良好な経済関係構築を目指すといった考え方が示されました。  また、米国にとっても身近な脅威となった北朝鮮問題に関しては、全ての選択肢がテーブルの上にあるが、米国の目標外交解決であり、核プログラムの放棄が目的で、体制の崩壊や半島の統一ではないとの考え方が示されました。一方で、有識者からは、北朝鮮の非核化は幻想であり、同国の核保有を前提に解決策を模索すべきとの見解も示され、今後の大きな争点になることを予感させられました。  そのほか、議員団は関係者に対し、北朝鮮による拉致問題の解決に向けた米国の更なる協力や、普天間基地の辺野古への移転を始めとする米軍基地問題について、沖縄の実情を踏まえた解決などについて要請いたしました。  また、外交における議会の役割を調査する目的で、全米民主主義基金、NEDを訪問しました。近年、欧米諸国では、議会や政党が法律と国家予算に裏付けられた組織をつくり、外交や対外援助支援などを行っています。ドイツやフランスではエーベルト財団やシューマン財団といった政党別であるのに対して、イギリスやアメリカは議会を基本としています。アメリカのNEDは、一九八三年、レーガン大統領の主導で法律に基づき設立された基金で、主に共和党、民主党、財界、労働界の組織を通じて九十以上の国々で民主化支援、紛争仲介、選挙監視、人道援助などを行っています。今回もこの四団体の方々と意見交換ができました。  各国でこうした組織が形成された背景には、冷戦終結後、政府以外の紛争当事者が増え、外交を多元化する必要が生じたことにあります。NED側からは、米国国務省の外交課題が比較的短期であるのに対し、NEDは独立性を生かし、民主化支援のような長期的な外交課題に取り組むことができること、国務省の外交を損なうのではなく、補完するのが役割であるとの認識を伺いました。  また、NED設立に対して、当初、国務省等の反対があった中で設立にこぎ着けた経緯に関しては、当初は政党組織との協力に対する慎重論や反共産主義組織ではないかとの懐疑論もあったが、同盟国内への支援活動から始めて実績を積み上げ、冷戦終結後は多元外交の重要性について国務省も認識を共有するに至ったとの回答がありました。特に、超党派による米国議会議員の強い支援がレーガン大統領の決断に至ったことも知られています。英国でも、最初、外務省が反対していたウエストミンスター財団が今では外務省自体の直接予算で活動していることも、政府を補完する議会外交の意義を認めている証左です。  最後に、今回の米国における調査では、北朝鮮によるミサイル開発の進展に伴い米国本土到達への懸念が深まる中、核実験に関する報道も過熱ぎみであることを肌で感じました。米国の安保理におけるこれまでにない挑発的な主張とも相まって、偶発的なものも含めた軍事衝突のリスクが増大している緊迫感も感じました。他方、政府高官や有識者の間では、圧力だけでなく、米中による連携強化も含め、外交解決の重要性を唱える冷静な意見が多く、我が国もそうした冷静な解決策の模索が必要であることを認識しました。  また、近年、国家以外の主体による紛争が増大する中、政府予算で議会や政党が政府の外交を補完、重層化する活動を支援している米国のNEDの在り方参考にすべきと思われます。十数年前ですが、当時の参議院の倉田議長と衆議院の綿貫議長がこうした勉強会を主催されたということがございますが、そのことを思い出した次第です。  欧米先進諸国に加え、韓国や台湾などでもこうした制度を取り入れて、議会外交も活発化しています。中国やベトナムも、共産党という党組織が政府とは異なる手法で政府外交を補完又は主導しており、重層的な外交の仕組みが我が国でも必要です。今後、同様の組織の立ち上げを検討する上で示唆を得たと考えています。  一枚資料を付けさせていただきましたが、去年の勉強会で参考人から配られた資料ですが、一番下に、アメリカという星のところの米国民主基金を訪問した際には、その下の四つの団体の方々も参加をされました。米国民主基金は、実は自民党では河野太郎現外務大臣が長年交流をされてきた団体でもございますので、そういう背景もあるということも付けさせていただきたいというふうに思っております。  以上で、ワシントンでの調査の概要と所見に関する報告を終わります。ありがとうございました。
  119. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  次に、糸数君から報告を聴取いたします。糸数慶子君。
  120. 糸数慶子

    委員以外の議員(糸数慶子君) 沖縄の風、糸数慶子です。  私、この中の委員ではございませんけれども、沖縄の風の代表ということで、会長を始めとして委員皆さんの御協力をいただきまして、今回派遣をしていただいたことに心から感謝申し上げまして、御報告したいと思います。  引き続きまして、米国部分のうち、ニューヨークでの調査を中心に、概要と所見を御報告いたします。  ニューヨークでは、主に、北朝鮮問題や核軍縮をめぐる国連の取組、我が国の国連外交在り方等について国連関係者と意見交換を行いましたほか、米国経済の今日的課題等についてニューヨーク証券取引所関係者と意見交換を行いました。  議員団は、北朝鮮が六回目の核実験を強行し、国連では安保理の緊急会合が開催されるという緊迫した状況の中、在外公館や本院事務局から最新情勢や国会の動向などを確認しつつニューヨークに入り、調査を進めました。  国連本部では、事務次長・軍縮担当上級代表である中満泉、同じく事務次長で政務局長であるジェフリー・フェルトマンの両氏と意見交換を行いました。  北朝鮮が核開発を続ける中で、国連では核兵器禁止条約が採択されたことを受けて、その意義や我が国の対応について問いましたところ、同条約を主導した国々も含めて、同条約だけで核兵器の廃絶が実現するとは思っていないが、NPT第六条の核軍縮交渉を補完し、また、生物兵器や化学兵器と同様に禁止を規範化することによる中長期的な効果が期待できるとの見方が示されました。あわせて、我が国には、核兵器国と非核兵器国との溝を埋め、二〇二〇年のNPT運用検討会議で成果文書が出せるように働きかけてほしいとの期待が述べられました。  また、日本外交力を強化するため、国連との関係強化を進める上での留意点については、国連は外交ツールの一つであり、他のツールとの組合せが重要になるほか、どういった点を国連に期待するのかについて考え、優秀な日本人を配置する必要があるが、国連内で育っている日本人人材への支援も必要ではないかとのことでありました。  安保理も含め、国連が課題に効果的に対応していくための改革を進める上で国連事務局が果たし得る役割を問いましたところ、ブリーフィングなどを通じ国連の重要課題を設定することはできるが、安保理内で意見が割れてしまうと、実施する上で事務総長も力を発揮するのが困難になるとの見方が示されました。  次に、ニューヨーク証券取引所では、本調査会が三年間の調査に先立って定めました五つの調査項目にも含まれております国連の持続可能な開発目標、SDGsの達成についても有意義と思われる環境社会、企業統治に配慮したESG投資の意義などについて意見交換を行いました。  同取引所では、ESG投資の重要性を踏まえ、企業によるグッドプラクティスを共有するための会議の開催などを行っているとのことでしたが、個別企業の自主的な取組を重視し、取引所として評価指標などを作成してはいないとの説明がありました。特にこの件に関しましては、吉川委員の方からかなり細かく、詳しく質疑をしていただきました。  そのほか、日米のメディア関係者や日系企業関係者と懇談し、トランプ政権の政策に対する評価や米国経済の見通しなどについて意見交換を行いました。  最後に、ニューヨークでの調査では、日本人女性として初めて国連事務次長になられた中満泉事務次長と、核軍縮問題のほか、日本の国連外交在り方や女性活躍の課題など特にジェンダー問題についても意見交換ができましたことは大変有意義であったと思っております。  また、主にワシントンでの調査になりますが、アジア太平洋地域の平和の実現を考える上で、普天間基地を始めとする沖縄の米軍基地問題を解決することが不可欠であることを米国政府関係者、特にユン次官補代理に対して強く訴えました。沖縄の実情に対して更なる理解を深めていただく必要性を痛感いたしました。  以上で、米国のうち、主にニューヨークにおける調査の概要及び所見を申し上げましたが、最初に訪問した国メキシコで、私どもが訪問した三日後に地震が発生をいたしました。そのことに関しましては、帰りましてから、メキシコ大使館に関して、団長を始めとして委員がお訪ねをいたしましたけれども、特に私は、沖縄におきまして、沖縄は移民で行かれた方々が随分いらっしゃいますので、そういうことも踏まえまして、県民の多くの協力をいただきましてチャリティーコンサートを行い、基金を送らせていただきました。そのことも、日墨協会を通して広く教育関係に是非使っていただきたいということを申し上げて基金を、義援金を送らせていただきましたことも加えたいと思います。  ありがとうございました。
  121. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  以上で報告の聴取は終了いたしました。  次に、政府から順次説明を聴取いたします。外務大臣官房参事官鯰博行君。
  122. 鯰博行

    政府参考人(鯰博行君) お手元に、北朝鮮情勢、外務省と書かれました資料をお配りさせていただいております。昨年九月の核実験以降の北朝鮮をめぐる対応につきまして、駆け足でございますが、御報告いたします。  一枚おめくりいただきまして、二ページ目でございます。昨年の九月以降の主な出来事を、右側に北朝鮮、左側国際社会の動きということで整理いたしました。  まず、九月三日の核実験、これは八月二十九日の弾道ミサイルの直後でございましたけれども、第六回の核実験がございました。そして、九月十五日には再び弾道ミサイルの発射がございました。この二つの弾道ミサイル発射は我が国の上空を通過したものでございます。これに対しまして、九月十一日には国連の安保理で決議第二三七五号が採択されております。  引き続きまして、九月の十九日から二十五日には国連総会、ハイレベルウイークがございまして、各国首脳が演説を行いましたが、中でも、トランプ大統領の演説及び安倍総理の演説がございました。資料を後ろに付けてございますけれども、トランプ大統領は、十三歳のいたいけな少女という表現で横田めぐみさんに言及をいただきました。安倍総理は、これまでの国際社会の北朝鮮との対話の経緯について説明した上で、今は圧力のときであるということを訴えました。  これに対しまして、北朝鮮側ですが、九月二十一日、金正恩国務委員長の声明というのを出しまして、史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮するということを発表いたしております。  その後、十一月三日から十四日にかけては、トランプ大統領がアジアを歴訪いたしました。具体的には日本、韓国、中国でございます。日本におきましては、アメリカは一〇〇%日本と共にあるというメッセージを出していただきました。韓国におきましては、力強い同盟のコミットメントを訴えると同時に、北朝鮮が正しい選択をするのであれば明るい未来を提供することもできるというメッセージも出しております。  しかし、これに対しまして、十一月二十九日ですが、北朝鮮は三たび、弾道ミサイルを発射いたしました。これはICBM級の弾道ミサイルというふうに評価しております。  これを受けまして、十二月は我が国が国連安保理の議長国を務めておりましたけれども、十二月十五日に、我が国の主導、河野外務大臣が出張いたしまして、不拡散(北朝鮮)に関する安保理閣僚級会合を開催し、安保理決議の履行、圧力の強化の重要性を訴えました。さらに、十二月二十二日には安保理決議第二三九七号、これが北朝鮮に関する限り最も最近のものでございます、が採択され、石油精製品の北朝鮮への輸出の制限であるとか、かなり厳しい制裁を掛けることが決定されております。  本年に入りましてからは、まず一月一日に金正恩国務委員長が新年の辞を出して、そこで核弾頭と弾道ミサイルを大量生産し、実戦配備のプロセスに拍車を掛けるべきということを言うのと同時に、平昌オリンピックに北朝鮮が出場するということを初めて表明をいたしました。  一月十六日には、こうした南北の動きを受けまして、バンクーバーにおきまして北朝鮮に関する関係国の外相会合がございまして、河野大臣も出席いたしました。そこでは、平昌オリンピックのための南北の対話を歓迎するけれども、ほほ笑み外交に目を奪われてはならないというメッセージを河野大臣から出していただきました。  こうした流れを受けまして、先週末でございますけれども、平昌におきましてオリンピックの開会式がございまして、その際に日韓首脳会談等がございました。一ページおめくりいただきますと、日韓首脳会談の模様でございます。  三ページ目は日韓関係につきましてですので割愛させていただきまして、もう一枚おめくりいただき、四ページ目、日韓首脳会談における北朝鮮の取扱いでございます。  安倍総理からは、南北対話が平昌オリンピックの成功に向けて進められたことは評価すると。しかし、北朝鮮は核・ミサイル開発を継続している、ほほ笑み外交に目を奪われてはならないといったこと、日韓米が連携して最大限の圧力を掛けるという方針がぶれてはならないということを訴えました。文在寅大統領からは、南北関係の改善と対話が結局は非核化につながらなければならないという立場が示された次第でございます。  一枚おめくりいただきまして、この平昌オリンピックの開会式の際に文在寅大統領主催レセプションがございましたが、その席で安倍総理は、北朝鮮のハイレベル代表団の団長である金永南最高人民会議常任委員長と立ち話をいたしまして、短時間でございましたけれども、総理の方から、拉致問題、核・ミサイル問題を取り上げ、全ての拉致被害者の帰国を含め、拉致問題の解決を強く申し入れた次第でございます。  一枚おめくりいただきまして、六ページ目は、この平昌の機会の南北関係でございます。  二月の十日、文在寅大統領と北朝鮮のハイレベル代表団が会談をいたしました。この際には、金日成国家主席直系の親族として金与正朝鮮労働党中央委員会第一副部長、これは韓国側の発表によりますれば金正恩委員長の特使ということでありますけれども、が来られまして、金正恩国務委員長の南北関係改善に向けた意欲を込めた親書を手交し、文在寅大統領と早期に会う用意があるので都合の良い時期に北朝鮮を訪問いただくことを要請するという意思を口頭で伝達したということでございます。これに対して、文在寅大統領は、今後、条件を整えて成功させようというふうに応じられたということでございます。その際、さらに文在寅大統領からは、南北関係の発展のためにも米朝間の早期の対話が必要であるということを北朝鮮側に述べたということでございます。  以上、非常に簡単でございますけれども、最近の動きを御報告申し上げました。
  123. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  次に、外務大臣官房参事官林禎二君。
  124. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) それでは、北米自由貿易協定見直しをめぐる主な動きについて説明をさせていただきます。  お手元に緑のパワーポイントの北米自由貿易協定の再交渉という資料をお配りしてございますので、それに基づいて説明をさせていただきます。  北米自由貿易協定、NAFTAの再交渉につきましては、今まで六回の会合が行われております。さらに、第七回会合が二月の二十六日から予定されているという状況でございます。  資料を一枚おめくりいただきまして、二枚目以降、各会合でのポイントというものを記載させていただいてございます。  先ほど言及のありました第二回会合、メキシコで行われた会合から、二十八の分野で、ほぼ全ての分野で作業部会が議論が始まりまして、交渉が本格的にスタートいたしました。  その後、第三回、九月、オタワで開催された会合では、情報通信、競争政策あるいは税関といった比較的技術的な分野で交渉がかなり進展したということでございます。また、中小企業分野については交渉が実質的に終了したという発表がなされております。  もう一枚おめくりをいただきまして、十月、第四回会合、アメリカのバージニアで行われた会合におきましては、トランプ大統領がNAFTAを破棄する可能性について言及する中で交渉が行われました。特に、自動車の原産地規則、サンセット条項、これ後でまた御説明をさせていただきますが、かなり立場の違う分野について本格的な議論が行われたようでございます。  第五回会合におきましては、メキシコシティーで行われましたけれども、アメリカからは、カナダ、メキシコが真剣に交渉に応じていないといった趣旨の発言もございました。  そして、先般、一月の下旬にモントリオールで行われた第六回会合の後の共同記者会見を見ますと、アメリカの方からは、ようやく中核的な問題について議論し始めたと。これに対して、カナダ、メキシコからは、米国の要求は前例がないものであるとか、あるいは克服すべき本質的課題があるといった発言もございまして、まだ主要論点については立場の隔たりがあるやに推測されるところでございます。  もう一枚おめくりいただきまして、最後の紙でございますが、NAFTAの再交渉のポイント、どういうところが論点になっているかというのをまとめた紙でございます。特に今、表になっているところの二つの事項、自動車の原産地規則とサンセット条項というのが大きな論点になっております。  自動車の原産地規則について申し上げますと、閾値と呼ばれます、NAFTA産としていわゆる関税の免除が受けられるためにどれだけNAFTA内の部品等を使っている必要があるかという数字でございますが、現行のこれは六二・五%を、逆に言えば残りの二七・五%は日本産ですとかアジア産の部品を使うことができるようになっておりますけれども、この値をNAFTA国産八五%まで引き上げようという提案、さらに、その中でアメリカ産の部品等を五〇%使わなければいけないといった提案が米国からなされているやに聞いております。これに対して、当然ながら、サプライチェーンの問題等もございまして、カナダ、メキシコは反対をしていると。一部、例えば知的財産や先端技術といったものも含めるようなカナダからの対案も出ているやに聞いてございます。  それから、二つ目のサンセット条項でございますけれども、アメリカからは、NAFTAが新しく協定として発効した後五年が経過した時点で改めてNAFTAを延長しましょうという合意がない限りNAFTAは失効してしまうという、こういう提案を出しております。これに対して、カナダ、メキシコは、五年ごとにレビューをする、評価をするというのはいいけれども、失効するというのはやはり協定の安定性等の面で問題があるということで反対をしていると承知してございます。  このほか、政府調達あるいは紛争解決といったところでもアメリカと、カナダ、メキシコが反対しているというのが全体の構図でございます。  最後に、もう一度最初のページにお戻りいただきまして、今後でございますけれども、三月末までは交渉をするということになっております。他方、三月からは、三月中旬からメキシコの大統領選挙が本格化をする予定でございまして、三月中旬に候補者受付、そして選挙運動、そして七月一日に投票というスケジュールがございます。そのほか米国の中間選挙等もございますので、こうした政治日程もにらみながら交渉が続けられていくものと考えてございます。  簡単でございますが、以上、説明でございます。
  125. 三木亨

    理事三木亨君) ありがとうございました。  以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより意見交換に入ります。  意見交換はあらかじめ発言者を定めずに行います。  発言の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただきたいと存じます。  なお、発言に対して回答をお求めいただいても結構です。  委員の一回の発言時間は回答を含め五分以内となるよう御協力をお願い申し上げます。  それでは、発言のある方は挙手を願います。  宮島喜文君。
  126. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 自由民主党の宮島喜文でございます。  ただいま、平成二十九年度重要事項調査第三班の議員の先生からの報告、そして北朝鮮情勢、NAFTAの政府参考人からの御説明、ありがとうございました。  私の方からは、この調査班の団長さんからまずお話を聞きたいと思うんですが、まず、十日間の長旅、本当に御苦労さまでございました。代表団の皆さんのメキシコそしてアメリカ合衆国の実情調査、そして政治経済の事情調査の視察、非常に充実したものではなかったかと御報告を聞いたところでございます。  その中で、議員団の皆さんが訪問された際、NAFTAの第二回目ですか、交渉が行われていたというときに行ったわけでございますが、こうした中と申しますか、先ほど御報告の中にありましたように、やはりトランプ政権に、米国において方針が変わったということでTPPからの脱却やNAFTAの見直しということが起きているという事実はあるわけでございますが、そういう中でもメキシコがきちんと自由貿易主義を堅持し、しかもそれを確信を深めているという御報告を非常にいただいて安心しているわけでございます。日本企業も出ておりますので、私は日本人でございますから、当然その企業を守りたい、日本企業は守っていかなきゃいけないだろうという気がするわけでございますが、そういう中において取り組んでいるということでございます。  最後の方に議会の役割というお話が出てまいりました。その中で私が気になったのが、メキシコ連邦議会上院は、このTPPやNAFTAの見直しの交渉の際、超党派で組織した上院議員団を政府代表団に同行させて、いわゆる情報収集や取組をしているという説明を受けたというところがございました。具体的にはどのような説明であったかなということを少しお聞かせいただきたいと思います。  また、その後段で、我が国においてもこうした取組は参考になるんじゃないかということをおっしゃっているわけでございますが、これは具体的にどのような場合があるのかなということをお考えになったかということを団長の酒井議員にお聞きしたいと思います。
  127. 酒井庸行

    ○酒井庸行君 御質問ありがとうございます。  十日間の行程でございましたけれども、厳しい行程でもありましたけれども、非常に充実をしたということだけはまず申し上げておきたいと思います。  そして、今の宮島先生からの御質問の中で、いわゆる議員外交という部分のことでの役割というのが、御質問がありました。超党派でこのTPP交渉を議員団も中に入ってやっているということがありまして、私たち聞いたときにびっくりしました。これはお話を聞かなきゃいけないということで、ここにも資料がありますけれども、ちょっとそれを申し上げます。  私から、その話を聞いたものですから、実は日本でもTPPのことに関していわゆる情報を、議会というのは審議を通じて政府に対する監督であるということがあるわけですから、その役割を十分に発揮していくためには政府の十分な説明と情報開示が重要になるということがあって、そこで、この点について、TPP協定をめぐってまた日本でも大きな議論となったことは御承知のとおりだということもお話を申し上げる中で、開示できる情報に限りがある中で議会が十分なチェックを行えないという強い懸念が示されたことも現実にありました。  そういうところで、メキシコ議会では、TPPの審議においてこうした問題にどのように対応するのかという質問を実はしました。そうしましたら、ゲラという上院議員でありますけれども、この上院議員はこのTPPの交渉に加わったわけですけれども、こんなふうに言われました。  メキシコの上院はこういった国際協定を批准はしないが承認する役割は担っていると。情報公開という面から、私たち上院は非常にオリジナルな方法を取ったと。これは、数人の上院議員、いろいろな政党からの議員をグループとして組織をして、そしてTPP、NAFTAという政府の行っている交渉に報告のために参加させるというものでありますと。このような新しい方法を通じて、上院は政府の組織する交渉団に随行をして、そしてまた、これによって随時上院に情報を渡すことにより、最終的な承認の過程での議論が少なくなるという役割を担っていますと。このことは、ただ単なる制度的な随行者というだけではなくて、交渉、また交渉の後の承認の過程を簡素化する、つまり、私たちが常に随行していることによって、この新しい協定の結果として改正しなければならないという法律、そういったものを随時フォローしていくということで、そういう点でこの取組は非常にポジティブなものであるという御意見をいただきました。  これは、皆さん……
  128. 三木亨

    理事三木亨君) 酒井委員、時間が過ぎておりますので、簡潔におまとめください。
  129. 酒井庸行

    ○酒井庸行君 はい、ごめんなさい。  そういうことがありましたので、感心をしておりました。十分参考になるだろうと思います。
  130. 三木亨

    理事三木亨君) 宮島委員、時間が過ぎておりますので、おまとめください。
  131. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 はい、分かりました。  どうもありがとうございました。  我が国の国会論議ではちょっとこういう話がなかったものですから、お聞きしました。参考になるかと思います。ありがとうございました。
  132. 三木亨

    理事三木亨君) 大島九州男君。
  133. 大島九州男

    大島九州男君 藤田委員に二点お伺いをしたいと思います。  米国にとっても身近な脅威となった北朝鮮問題に関して、全ての選択肢がテーブルの上にあるが、米国の目標外交解決であり、核プログラムの放棄が目的で、体制の崩壊や半島の統一ではないという考え方が示されましたと。まさに、対話、またいろんな多様な支援、いろんなことをやる中でその外交解決を目指していかなければならないと。  日本は、やはり、それぞれ独自のいろんな支援のやり方があるんではないかと。また、政府が、いろんな団体、いろんなところに、議員外交も含めて、多種多様な形を使ってでも平和に向けて進まなければならない。藤田委員が政権時に外務省に、世界宗教者平和会議、WCRPへの御支援をされたということも、大変私はそういう働きかけも大事なことだというふうに思っておりまして、日本がこういう外交問題を解決するのにどういう役割をしていくことが重要であるか、核には核をとか武器には武器をじゃなくて、日本独自の、そういう武器でない武器というものはどういうものがあるかと委員がお考えになるかが一点。  そして、河野外務大臣がトランプ大統領の核戦略を高く評価するというふうな発言をしていますが、今までの河野先生の発言とは何か程遠いようなイメージが私はするんですが、藤田委員の私見で結構ですから、どういう御感想をお持ちか、よろしくお願いします。
  134. 藤田幸久

    藤田幸久君 質問ありがとうございます。  第一の点でございますが、その外交解決ということは、私たまたまこの九月以外も二回アメリカへ行きまして、そのときは自民党の皆さんも一緒でしたけれども、とにかく外交解決ということを政府の関係者及び有識者の方々はかなり、ほとんどの方がそれをおっしゃっておられました。  それで、いわゆる体制崩壊、半島の統一ということのアジェンダじゃないということを伝えることが非常に重要だということを繰り返し言っておられました。それが北朝鮮のトップに伝わっているんですかと質問しましたところ、皆さんが、そうですというふうにおっしゃっておられました。ということは、猪口さんもいらっしゃったとき、五月でしたかな、つまり伝わっているということは、それなりのルートを持ちながらやっているんだなということも感じたわけでございます。  その日本での役割ということに関しては、もちろん唯一の被爆国であるということと、これは河野大臣そのものがこの前、中東行かれましたけれども、中東等においては日本は極めて中立的な国であるということ。それから、この間たまたま代表質問で申しましたが、シーア派とスンニ派の方々が昨年日本にいらっしゃって、これはWCRPと、たまたま民間の団体でございましたが、岸田外務大臣も来られましたけれども、そういう今まで日本が攻撃をしたことがない、中立である、そして人道援助もいろいろやっているということの信頼性というものが私は最大の武器だろうと思っていまして、今までは割とそういう日本の持っている武器を使わないといいますか、俺たち持っているんだと言っていなかった謙譲の美徳があったわけですが、これからはやっぱり、そういった武器といいますかツールをもっとはっきり伝えていくべきではないかということを今回も感じたわけでございます。  それから、河野大臣については、私がその評価といいますか、分かりませんが、ただ、河野大臣が元々御自身の意思として、政治家としておっしゃっていたことと、外務大臣として国の外交、そして外務大臣がなられてからは、極めてきな臭い国際情勢の中でかなりバランスを考えながら動いていらっしゃるんだろうと。その表で言われることと、恐らくいろいろな内々の会合とかで直接当事者の方々にいろいろなことおっしゃっていただいているんだなということを推察をいたしますので、是非そういった部分で御自身がもっともっと考えていらっしゃる、例えば核に関する考え方というものが、今の段階では直接当事者にお話しになっていることが結果的に日本外交政策としてより明確な形で反映されるときが来るということを非常に期待をしております。
  135. 大島九州男

    大島九州男君 まさに政府の、安倍総理をそんたくして外務大臣は発言をしなければならないのかという思いを持ったりするんですが、私自身は期待するのは、河野外務大臣が政治家の信念として、世界に我々の本当の武器である日本人の役割を発信をしていただくことを望んで、質問を終わります。以上です。
  136. 三木亨

    理事三木亨君) 熊野正士君。
  137. 熊野正士

    ○熊野正士君 まず、酒井団長の方にちょっとお尋ねをさせていただけたらというふうに思います。  ちょうどメキシコに行かれたときに第二回のNAFTAの交渉があったということで、見直しの交渉があったということで、非常にタイムリーでホットな話が関係者から聞けましたということだったので、もし何か印象に残っているようなことがございましたら教えていただけたらなと思いますが。
  138. 酒井庸行

    ○酒井庸行君 非常にタイムリーといいますか、偶然そうなってしまったんですけれども、現実その場の交渉には行くことは別にできませんけれども、先ほども申し上げましたけれども、各上院議員人たちからのお話を聞いて、先ほどの、超党派でやることだとか、メキシコの人たちは非常に親日家です。これがもう物すごく私たちとしてはうれしくて、日本のことは第一に考えますということをおっしゃってくださいました。もうこれは私たち派遣団にとっては何よりの言葉でした。だからこそ、またこちらもしっかりと応えていかなければならないというふうに思います。そんな感じがしました。
  139. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございます。  非常にメキシコの方々が、ある意味でいうと、NAFTAの交渉をアメリカから迫られてある意味で苦境かなと思っていたら、非常に前向きに捉えていらっしゃるなというのをすごく団長の報告書を読ませていただいて感じました。  この報告書の中で、日系の方々との懇談があったということで、その中で、日系、先ほど糸数議員の方からもございましたけれども、沖縄の方からもたくさんの方がメキシコの方に行かれているということでしたけれども。そういう方々がメキシコで根を張ってしっかり頑張っていらっしゃるということですけれども、そういった日系社会としっかりと連携をして戦略的な外交を行うべきだという、そういう御提案というか意見をいただきましたということでしたが、その辺の何か具体的なもしお話がございましたら、お聞かせ願えますでしょうか。
  140. 酒井庸行

    ○酒井庸行君 これは糸数先生もお感じになったことだろうと思います。先ほど、親日家ということを申し上げましたけれども、戦略的という言葉ですね、これが非常に大きい言葉だというふうに思います。親日家だからこそ、NAFTAもそうです、TPPもそうですけれども、そして日系企業が千百社も入っているという中で、歴史的な日本とメキシコとのこともあるんですけれども、そこをもう少し日本はよく考えてやってほしいなと。それは具体的にどうのこうのというのはちょっとここではまだ申し上げられませんけれども、その気持ちというのは、移住した方々の日本に対する気持ちというのは非常に強く感じたと思います。また、糸数先生はもっとお考えだと思いますけど。
  141. 三木亨

    理事三木亨君) 糸数議員、どうでしょう。
  142. 糸数慶子

    委員以外の議員(糸数慶子君) 今、酒井団長からいきなり振られたんですが。  先ほども冒頭に申し上げましたように、沖縄の地元から約一千名の、今メキシコに在住している方がいらっしゃいます。企業の方も日墨協会の方もそうでしたが、やはり企業間のあらゆる交渉といいますか、これからもっともっと発展していくので、うんと力を入れて、今後とも日本との取引といいましょうか、それを積極的にやっていただきたいということもおっしゃっていました。私、個人的には、先ほども申し上げましたが、沖縄尚学高校という学校に、つい六月まで、去年の六月まで中学生が留学をしていまして、その留学した方が帰ってからすぐ地震があったので、学校にお電話があって、自分の学校は、一時、何といいますか、休校になっているけれども、御本人も家族もこれといった被害に遭っていないので御安心くださいという連絡があったということを伺って、それで、やっぱり直接こうやって日本との関わり、とりわけ沖縄との、子供たち、教育の観点でのその関わりがありますので、少しでも関係が良くなればということで思いを込めてチャリティーコンサートをいたしましたところ、大変喜ばれているということです。  もう一つ、沖縄の文化的な関わりもありまして、民俗芸能であるとか空手などもかなり交流があって、頑張っているということも付け加えたいと思います。  ありがとうございました。
  143. 熊野正士

    ○熊野正士君 ありがとうございました。  じゃ、時間ですので終わりたいと思います。ありがとうございました。
  144. 三木亨

    理事三木亨君) 武田良介君。
  145. 武田良介

    ○武田良介君 今、政府の方から北朝鮮問題の主な対応についての説明ということでありました。いただいている資料の四ページのところですけれども、二月の九日、平昌で日韓の首脳会談が行われた資料がありました。文大統領が、南北対話が非核化をぼやかしたり、ちょっと時間の関係で全部は読まないですが、云々と、非常に重要な発言だと思っているんですが、この後、日本も積極的に対話に乗り出すことを望む旨発言があったというふうに記載がありますけれども、ここの部分をもう少し具体的にといいますか、前後どういったやり取りでこういう会話になったのか、もうちょっとお聞かせいただければというふうに思います。
  146. 鯰博行

    政府参考人(鯰博行君) 日韓首脳会談の御指摘の部分につきましては、まさにここに書いてあるようなコンテクストで文在寅大統領の方から、南北の対話について、今動いておりますけれども、これは非核化をぼやかしたりするものではないということ、非核化は最終的にはそこにつながっていかなきゃいけないということを言い、南北が動いているコンテクストで日本も積極的に対話に乗り出してはどうかと、別なところに米朝のことも書いてありますけれども、アメリカも対話してはどうかと、そういう発言があったということでございます。これは特段反応はなかったと思いますけれども、こういうようなコンテクストで発言されたものです。
  147. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございます。  非常に重要なやり取りだろうなというふうに思っております。やはり北朝鮮の問題を解決していこうというときに、ミサイルを撃ち込ませない、核を使わせないという、やっぱりそのことを何より大事に考えれば、対話による解決ということがどうしても必要だろうというふうに思いますし、国際社会の中でアメリカや北朝鮮も含めて韓国もこうした発言がある、そして日本に対して対話に乗り出すことを望むということが大きな流れとして生まれてきているということに注目をしたいというふうに思っています。  それから、糸数議員にお伺いしたいと思いますが、今日の報告の最後のところで、主にワシントンでの調査というところで、普天間基地を始めとする沖縄の米軍基地問題を解決することが不可欠であるということを訴えてきたけれども、更なる理解を深めていただく必要性を痛感しましたということでお述べをいただきました。  私も、沖縄のこの間の実情、米軍のヘリが墜落するだとか不時着するだとかいうことがずっと繰り返されてきた中で、非常に、国内はもちろんですけれども、国際社会としても一定注目があったのではないかなというふうに思っておりましたし、たしか沖縄県の翁長知事もアメリカに行かれて沖縄の実情を伝えるということもやってこられたかというふうに思いますが、しかし、ここでは更に理解を深めていただく必要性を痛感したということでありましたが、なぜ痛感されたのかというか、その具体的なやり取りといいますか、どういったものがあったのか、もう少しお話しいただければというふうに思います。
  148. 糸数慶子

    委員以外の議員(糸数慶子君) ありがとうございます。  この報告書の中にもやり取り多少書かれておりますけれども、やはりまずユン国防次官補代理、やっぱりアメリカの……(発言する者あり)国務次官補代理ですが、アメリカの目線で見ていらっしゃるので、沖縄での事件や事故、承知はしているけれども、やはり戦略的にはこの沖縄に基地を置くという、まずそういう視点での対応でした。  日本にいらっしゃるときに是非沖縄まで足を伸ばして見ていただきたいということを申し上げました。県民がどのような状態で今暮らしているか。先ほど委員からもありましたように、とりわけ最近での米軍の、例えばオスプレイあるいはまたCH53、墜落があったり、あるいはまた、昨日も集会がありましたけれども、緑ケ丘保育園という宜野湾市にある保育園にヘリの方からの落下物、普天間第二小学校へのヘリの窓が落下したという、それもその後起こっておりますけれども、しかし、それ以前に起こった事件や事故に対する状況を細かく話しましたけれども、ただ沖縄にはまだいらしたことがないということでして、一応これまでの県民の立場や事件、事故に対する流れは分かっていらっしゃると思いますが、やっぱり現実に現地に足を運んでみないと分からないと思うので、是非来ていただきたいということを申し上げました。  それともう一つ、シンクタンクでお話を申し上げましたところ、こちらの立場をしっかり申し上げましたが、やはり立場の違う研究所なので、ある意味なかなか理解が得られなかったというのも現実に感じました。もっと足しげく通ってきちんと実情を訴えるべきだなということを強く感じた次第です。  以上です。
  149. 武田良介

    ○武田良介君 ありがとうございました。  やはり、ただ沖縄の問題ということだけではなくて、やはり米軍の問題、日本の安全保障、安保条約だとか日米地位協定含めて、まさに国際的な課題だというふうに思いましたので、聞かせていただきました。ありがとうございました。
  150. 三木亨

    理事三木亨君) 石井苗子君。
  151. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子でございます。御報告ありがとうございます。  今、ワシントン政治に批判が高まっているというようなことを耳にするんですけれども、党派の対立だったり意見の対立だったりということがあるので、ここにもありましたように、トランプ大統領の日々の発言ではなくて、実際に取られている政策というものを重要視してほしいというレポートがあるんですけれども、その点からこの今回の調査は国務省だったり議会の関係者、シンクタンクという関係者とお話をなさったのかなと、そのように想像しているんですけれども。  このパラグラフの三つ目に、先ほども御発言がございましたが、北朝鮮問題に関しましては、核のプログラムの放棄が目的で、体制の崩壊や半島の統一ではないという考え方のその下の部分が気になりまして、有権者から、この有権者というのも、まず有権者というのがよく分からないんですが、有権者……(発言する者あり)あっ、有識者ですか、済みません。有識者からは、北朝鮮の非核化は幻想であって、同国の核保有を前提に解決策を模索するべきという見方も示されとありますけれども、この点についてもう少し、どんなお話があったのか、シンクタンクの方は何をおっしゃったのか、お聞かせください。
  152. 藤田幸久

    藤田幸久君 ここは二つの大きな流れの意見があったということを対照的に書かせていただきました。核保有というのを前提にというのは、今持っているものを実際に廃絶させるというのはなかなか難しいのではないか、したがって、対話の前提をするならば、現状をどう認識をするかということについて実効的な対話をしていくべきではないかというような意見が複数の方から示されました。したがって、その両対照の考え方が示されて、これがアメリカの中でも大きな争点になるだろうということを予感した。  これは、最近の韓国のオリンピックに向けての様々な動きを見ていましても、やっぱりペンス副大統領が帰られてからの対話の発言等が最近複数の、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルですか、出てきておりますけれども、そういったことを予感されるような、アメリカの中では常に、私も去年何回か参りましたけれども、二つ考え方がかなり進んでいるなということを今回も実感をしたという意味で書かせていただきました。
  153. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。  そうしますと、日本立場としては今後はどのような、何というんですか、基軸に足を置いてアメリカやアジアに対して発言をしていくべきだという結論は出ておりますでしょうか。
  154. 藤田幸久

    藤田幸久君 あくまでも私の考え方でございます、認識でございますけれども、当然、日米韓が核廃絶を目指すということなわけですが、実際に、じゃ、北朝鮮と話をする際にどこが取っかかりであれば先方が対話に応じてくるのか。したがって、対話のための対話でもまずいし、圧力のための圧力でも結果が出ないだろうと。  そうすると、その間を、つまり当事者との対話が必要なんだけれども、つまり圧力によって向こうから対話に来るんだという政府の立場でありますけれども、それはそうなんだけど、アメリカの方の中には、だけれども、実際に牛を水辺に連れてくるためには、向こうの牛の前提を崩したのでは水辺まで来ないでしょうという両方の方法論についての考え方の違いがあったということで、特に実際の政権にいらっしゃる方及びかつて政権にいらっしゃったがゆえに恐らく対話に直接関わっているんだろうと思われる方々も含めていたものですから、両方の考え方の中で、恐らくトランプ大統領自身が、方法論とタイミングと組合せと、あるいは日韓、北、あるいは中国との関係の中で複雑な方程式を取られるべく動いていらっしゃるんだろうなと。ただ、流れとすれば、この二つ考え方の流れが相当あるということを感じたということでございます。  その場合、日本がということであるならば、やはり日本の場合は核・ミサイルの距離感が違いますから、既にもう日本は入っていますし、アメリカの場合はいよいよ来ている、それがあと半年たてばこうなってくるだろうということで、一方で、韓国は北朝鮮は同胞民族という今回も感じがありますから、恐らく北朝鮮に対する温度感、緊迫感というものは相当違っている。  ただ、今回、九月に行った段階で、テレビチャンネルをつけると真っ先のアイテムが北朝鮮、真っ先のアイテムが北朝鮮という感じであったという、そういう臨場感はございました。
  155. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。詳しくありがとうございます。
  156. 三木亨

    理事三木亨君) 木戸口英司君。
  157. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。皆さん、御苦労さまでした。  まずは、ちょっと政府にお聞きしたいと思います。  先ほど、日韓関係ということで、三ページちょっと飛ばされたんですけれども、時間の関係もあったと思いますが、あえてここをちょっとお聞きしたいと思います。  やはり、北朝鮮との関係の中で日韓関係重要であるということからして、この最後のところにある韓国側の立場についての説明と日韓パートナーシップ宣言二十周年を契機としたいということ、この辺り、どの程度深く話があったかということもあると思うんですが、日本側としてどのように受け止めているか、お話しできる程度で結構ですので、お願いします。  そして、もう一点。四ページ、日韓中サミットということに大きく期待しているということでありますけれども、早期に開催したいということで、今後の見通し、また課題、韓国側課題、中国側課題をどのように見ているか、あるいは特に中国に対するサミットを開くことでの期待というものを改めてお知らせください。
  158. 鯰博行

    政府参考人(鯰博行君) まず、資料の三ページ目の日韓首脳会談における日韓関係の扱いでございます。  安倍総理の方からは、いわゆる慰安婦問題に関する日韓合意について、最近韓国政府が取りました立場について日本の反論というか立場を述べたと。さらには、いわゆる徴用工の問題についても日本側の立場を述べたということでございます。これは、一九六五年の請求権協定で解決済みという趣旨でございます。その上で、それぞれの地元同士の長年の地方交流にも触れつつ、未来志向の日韓関係を築いていきたいと心から願っているということでございます。そうした文脈の中で、本年十月ですけれども、一九九八年に作りました日韓パートナーシップ宣言の二十周年ということでございますので、これも一つの契機に未来志向の関係を構築していきたいということでございます。  韓国側の立場につきましては、慰安婦問題につきましても徴用工問題につきましても、何か新しい立場が示されたということではありません。昨年末から今年の初めにかけて、いわゆる慰安婦問題につきましては二〇一五年の日韓合意では問題が解決していないというのが彼らの立場でございますが、そうした立場を述べたということでございます。  そして、四ページ目の最後にございます日韓中サミット、日中韓サミットでございますけれども、これは一昨年来、日本が議長国で日程調整をずっと続けてまいりましたけれども、現時点に至るまで日程が定められていないということでございます。  私どもとしては、できるだけ早い機会日本で日中韓サミットを開催したいというふうに考えてございます。その関係で中国、韓国の協力を求めているところでございまして、日中関係も、これを機に李克強総理の訪日になりますので、日中関係についても進めていきたいということで考えてございます。
  159. 木戸口英司

    木戸口英司君 分かりました。  それでは、視察の件について藤田委員にお伺いいたします。  アメリカのNEDについて、調査会でも財団については調査をして大変関心を持ったところでありますが、藤田委員も熱意を持って取り組まれている課題であって、実際に訪ねられて、以前にもいろいろ交流もあられたと思うんですが、日本にこういう組織をということ、それを考えた上で、改めて課題、そしてその利点などを御説明いただければと思います。
  160. 藤田幸久

    藤田幸久君 ありがとうございます。  多分、私だけではなく、酒井団長を始め、吉川委員、大野委員、糸数議員も感じられたと思いますけれども、やはり議員外交、政党外交で、特に先進国においてはこれが当たり前のことになっている。先ほどのメキシコにおける上院議員の視察というのもその一端だったと思いますけれども、それがスタンダードになってきているということが実感をしたことと、一緒に同席をしていただいた共和党、民主党、それから財界それから労働界の皆さんの中で、例えば労働界の方々が、沖縄問題でカリフォルニアの議員の方々が実際に取り組んでいる話もしてくださいました。  したがって、今までの人道援助、紛争解決だけではなくて、具体的な政策課題議員、政党が関わること、それから議員、政党、加えて労働組合なり財界の方も関わることの組合せが多層化しているんだなと。したがって、いわゆる一元化外交か多元化外交かというもう選択肢ではなくなってきて、外交の一元化というようなことを言っている欧米の外務省関係者は今ほとんど聞いたことがなくて、このSDGsなんかもそうでございますし、いろんなことを多層的にやっていると。その際に、国民の代表として選ばれた議員がそれに関わるということは当然のことであると。  したがって、幸いこういう関係は河野大臣自身も元々テーマとして関心を持っておられることでございますから、実態がこうだということを是非議員皆さんに共有をしていただくことが、議会全体として党派を超えて取り組むべきだなということをつくづく感じた次第でございます。
  161. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございました。終わります。
  162. 三木亨

    理事三木亨君) 江崎孝君。
  163. 江崎孝

    ○江崎孝君 林さんにお伺いしたいんですけど、NAFTAの交渉の状況が非常に厳しい中身であるんだろうと思うんですけれども、もちろんサプライチェーンというか、メキシコに進出している日本企業の影響というのは大きいなと思うんですけれども、これ、交渉が決裂した場合と逆に交渉がNAFTAに残った場合、日本の本国に与える影響というのはどっちが大きくて、どんなことになるのかなというのをお教え願えますか。
  164. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) お答えいたします。  日本企業への影響というのは、まさにそのNAFTAの交渉の結果にもよりますので、決裂した場合とどちらがいいというのはなかなか申し上げにくいですけれども、先ほど申し上げましたとおり、例えば自動車を取りましても、サプライチェーンの関係で日本から部品を持っていったりしておりますので、そうした基準がどうなるかによって、各企業、日本からどういう部品を持っていくか、あるいは現地に進出するのかしないのか、メキシコに行くのか行かないのかといったようなことを検討されるものと理解しております。
  165. 江崎孝

    ○江崎孝君 いや、僕、そのことじゃなくて、元々バイの交渉に持っていくというのがトランプさんの思いの中にあったわけで、NAFTAが逆に決裂をするというのを狙っているとすれば、バイの交渉に持っていくわけですよね。そうすると、日本も今度、TPP11にアメリカがまた何たらかんたらと言ってきていますけれども、逆に言うとTPP11に参加するのか、逆に言うと本気で日米FTAというかバイの交渉に持ってこようとするのか。僕、アメリカの出方がそれで分かるのかなという気がしたものですからその質問をしたんですが、どうでしょうか。
  166. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) TPP11につきましては、御存じのとおり、三月八日に署名式を迎える予定でございまして、政府としてはまずTPPを早期に発効させるということを目標にしてございます。  アメリカからは、例えば先般、ペンス副大統領が来日されたときには、TPPについての重要性等についての会話というのはございましたけれども、今のところ、例えば再交渉ですとか、あるいは二国間のFTAをやりましょうといったような言及はございませんでしたので、引き続き、アメリカに対してはTPPの重要性等についてしっかり説明して復帰を促していきたいと考えてございます。
  167. 江崎孝

    ○江崎孝君 ちょっと質問かみ合わなかったんですけれども、分かりました。  それと、藤田さんに、先ほどの石井さんの質問と同じなんですけれども、結構有識者からこの話が出されたということは大きなことだと思うんですね、その非核化は幻想であるということ。その有識者って、さっきシンクタンクとおっしゃいましたけれども、政府のどのレベル、どこまでこの考え方というのが、何というか、広がっていっているというか、考え方としてあるというふうにお考えですか。その有識者のレベルとか、そのシンクタンクのレベルとか。
  168. 藤田幸久

    藤田幸久君 政府の方とのやり取りそのものは一応オフレコということだったんですが、前後でシンクタンクの方々。シンクタンクの方々で私は重要だろうと思うのは、そういう方々が北朝鮮と直接交流をしたりしている、あるいは元の関係者であったりする。  そういう流れの中で、済みません、私、九月以外で五月も二月も、五月もそうだったんですけど、かなりの方々が、やはり、じゃ、どこから取っかかりで話をしていくかということについて、かなりいろんな、いわゆるペンタゴンの経験者も含めて出ていました。  もちろん、日本とすれば米朝直接交流はこれは困る面もあるわけですから、他方、じゃ北朝鮮とどこをてこにしながら話合いを進めていくかについては、かなりいろんな模索が行われている。というのは、先ほど申しましたように、じゃ、おたくがこうしたらこっちはこうやるよということが相手に伝わっていなければ意味がないでしょうという話を聞いたらば、そのとおりですという答えが来たということは、いろんなやり取りをしているんだろうなと。そうすると、実際にどうやって水辺まで牛を連れてくるかの部分について、いろんな模索が行われているんだなということを感じました。それは非常に重要なことだろうなというふうに感じました。
  169. 江崎孝

    ○江崎孝君 終わります。
  170. 三木亨

    理事三木亨君) 伊波洋一君。
  171. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 海外派遣議員団の報告、どうもありがとうございました。先ほど来、多くの皆さん質疑があって、より中身は理解させていただきました。  先ほど、酒井団長の報告の中にも、NAFTAの見直しの結果によっては、自動車産業を中心に同国の一千百社以上が進出している日本企業の戦略が影響及ぶという指摘もございます。  そこで、政府にちょっとお伺いしますけれども、林参事官、このNAFTAの現状に対して、現実に一千百社が進出している我が国として、外務省としてどのような対応を例えばしているのかということが一つ。それから、ここの報告にありましたように、自動車原産地規則等の改変によって当然大きな影響が出てくるわけで、そのこと自体が、今TPPがイレブンでスタートしようとするときに、このNAFTAの方向性と、今、日本政府が考えているTPPの今の実効性との間にはどういう関係が出てくるのか、ちょっと私たちも分かるように説明していただけませんか。
  172. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) 外務省の対応についてまず御説明しますと、我々もNAFTAの再交渉の件について大変注目して見ております。  日本企業への影響を最小限にしてほしい、影響が出ないようにしてほしいということは、メキシコ政府等にも働きかけをしているところでございます。  もう一つは、現地で大使館が主導いたしまして、メキシコの実際に交渉に出ている経済省の交渉当事者と、それから現地の日本の企業の集まりとの間で説明会を何度も開催させていただいておりまして、直接メキシコの交渉者から情報を日本企業に提供するという形を取っているところでございます。  それから、二つ目の御質問の、NAFTAのこの再交渉の結果とTPPの我々の対応についての関係というのは、なかなかちょっと、NAFTAの交渉がどうなるかも、どういう形で進むのか、あるいは決裂するのかも含めて、なかなか申し上げにくいところでございますけれども、我々としては、やはりこのアジア太平洋の中で自由貿易を進めていくという観点からすれば、まずはTPPをしっかり早期発効に持っていくと。NAFTAの交渉の結果としてアメリカの当然態度とかも見えてくると思いますので、それも踏まえながらアメリカとの今後の貿易関係、経済関係というのも進めていきたいというふうに考えてございます。
  173. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 この北米自由貿易協定、もちろんアメリカも当事者ですけど、ほかにも幾つも当事者国があって、先ほど委員から若干質疑等がありましたが、アメリカの拒否権でこれが壊れるということはあり得るんでしょうか。そういうことはあり得るような交渉なのでしょうか。それとも、この再交渉というのはある一定の枠の中で行われているのか。そこは、私たち十分知らないんですけれども、どのように考えていますか。
  174. 林禎二

    政府参考人(林禎二君) 今の再交渉といいますのは、現在のNAFTAの協定の内容を実際の貿易状況等に合わせていこうということで、メキシコなんかは現代化という呼び方をしてございます。  実は、NAFTA自身にはいわゆる脱退の規定というのがございまして、六か月、事前に通報すれば、アメリカに限らずどの当事国であっても脱退することができることになっております。これは法律上の規定でございますので、当然、貿易とかいろんな影響も考えながら判断されることだと思います。
  175. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 時間もありませんから、北朝鮮問題についてちょっとお伺いします。  鯰参事官にお伺いしますが、今報告をいただいて、いろいろ状況が報告されましたが、現時点では、今南北の対話が始まろうとしているというふうにも見えます。そういう中に、米国自身がそれに対して条件を付けずに話合いをすることについて了承したかのような報道がここ行われておりますが、メッセージなどが出ていますけれども、日本政府はそれを見守る考えで対応することになるんでしょうか。そういうふうに私はしてほしいと思いますけど、今の外務省としてはどんな対応をする予定でしょうか。
  176. 三木亨

    理事三木亨君) 時間が来ておりますので、簡潔におまとめください。
  177. 鯰博行

    政府参考人(鯰博行君) 日本政府といたしましては、状況を注視し、かつ米国、韓国と連携していくということでございます。  先ほども御紹介ございました、ペンス副大統領がワシントン・ポストの記事で、話合いをするというようなことを、無条件にするというようなことが伝えられましたけれども、その同じペンス副大統領は、その後に御自身のツイートで、話合いに対する報酬はないということであるとか、新しい強力な制裁をすぐ科すというようなことを言っております。  日米韓では、引き続き緊密に政策調整をしていきたいと思っております。
  178. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございました。終わります。
  179. 三木亨

    理事三木亨君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより自由に意見交換を行っていただきます。  発言のある方は挙手を願います。──他に御発言もないようですから、意見交換はこの程度といたします。  本日は、限られた時間でありましたが、派遣団に参加された議員の先生方、また政府参考人から貴重な御意見をいただくとともに、本調査会として大変有意義な意見交換を行っていただき、誠にありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会