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三原じゅん子君 ありがとうございます。
しかし、皆様、お配りをしておりますが、今、リーフレットという話が出ました。そこに、
厚労省が新たに作ったものでありますね、「子宮けいがんそのものを予防する効果は、現段階ではまだ証明されていません。」と、こう記されております。この期に及んでなぜこのようなことを書き記すのか。今
お話しされたことと少し矛盾があるのではないかと思います。フィンランドでは、このワクチン、HPVに関連した浸潤がんの発生率を低下させること、これを証明できたという研究結果も出されて発表されたというのに、日本は本当に遅れていて情けないなとさえ感じてしまいます。
そしてもう一つ、その健康
局長はワクチンの効果の持続期間についても不十分な
答弁をしています。先ほどと同じ
委員会での発言です。ワクチンの期間については、今データが九・四年までのところしか取れていないということですが、まだこれからずっと、年限がたつたびに、そのたびごとにデータが延びておりますので、期間についてはまだこれから延びる余地があるというふうに聞いておりますという
答弁です。
HPVワクチンは、数理モデルによるシミュレーションが行われており、その結果、二十年から三十年間にわたって抗体価が持続するということが推定されているんです。
一般的にワクチンの持続効果期間というのは、上市されてから実際に年限がたつたびに積み重なっていく持続期間だけで測るだけではなくて、
開発段階で推計をしております。この点も含めて、
厚労省はもう少し丁寧に
局長は
答弁をするべき、そして
国民に正しいことを伝えるべきだったのではないでしょうか。
そして、もう一つあります。有害事象と副反応の言葉の使い方、これを変えました。これも
国民が大きく混乱した要因の一つだと私は思っております。これまで、ワクチンとの因果
関係を問わずに、ワクチンを接種した後に生じた症状を有害事象と言っています。ワクチンとの因果
関係がはっきりしているものを副反応と、両者をはっきり区別していました。しかし、当時の予防接種部会の
委員から様々な
意見があり、副反応という言葉に統一されたと承知しています。
ですが、このときにもいろんな
意見がありました。副反応という言葉が独り歩きをするということがしばしば見られているといった
懸念の言葉もあったようですが、今振り返れば、まさにこのやはり
懸念を表明してくれた
委員の発言どおり、副反応という言葉が独り歩きをしてしまって、当時二千件弱の報告があったと思いますが、これが全てHPVワクチンが
原因で生じているかのような報道が続いて収拾が付かない、そういうくらいまで
国民の間にHPVワクチンに対する恐怖心を植え付けてしまったと、私はそう感じております。
現在、
厚労省は、ワクチンとの因果
関係が明らかではないことを
説明するためだと思いますけれ
ども、先ほ
どもおっしゃっておりました副反応疑い、疑いという言葉を副反応の後に付けて使用しているようでありますが、こうして言葉をころころ変えていくことも、私は、しっかりと正しいことを
国民に周知徹底すること、このことが大切だと思っております。
私は、この五年間で接種機会を逃してしまった女の子たちが仮に将来HPVワクチンを接種したいと思ったときの接種は全額自費
負担となってしまうのか、非常に心配をしています。先ほ
ども申し上げましたが、この間、自治体からは予防接種のお知らせは届いていないんです。
国民はこのワクチンの接種を受けていいかどうか知らされていないんです。この接種勧奨差し控えを再開した際に、接種機会を逃してしまった子供たちの接種費用、これはどうなるのか、私はとっても心配しています。子供たちが接種できるように
是非知恵を出していただきたいと思います。
次に、HPVワクチンが世界で販売されるようになり十一年が経過した、もはや新しいワクチンではないと重ねて申し上げます。世界では次々HPVワクチンの有効性を証明する研究結果が出てきています。オーストラリア、アメリカ、スコットランド、スウェーデン、イングランド、ワクチンを接種した人の前がん病変が有意に減少しているとの結果が出ていますし、ワクチンには集団免疫効果というものも期待できるために、HPV感染率が有意に低下しているという結果もあります。
しかも、世界十七か国では、性別を問わない接種制度、つまり男性にも接種する制度ができているんです。例えばアメリカでは、二〇〇七年に連邦
政府による女子への接種推奨ができました。その後、二〇一一年には男子への接種が推奨され、全米で接種制度が
実施されております。しかも、二〇一五年からは、これまでの二価と四価ワクチンではなくて、九価のHPVワクチンが推奨されています。さらに、ワシントンDC、バージニア州、ロードアイランド州、HPVワクチン接種が入学要件ともなっているということであります。
オーストラリアでも、二〇〇七年に女子への接種制度が導入され、二〇一三年には対象が男子へと拡大されている。男子がHPVワクチンを接種する理由、これは、HPVに起因する疾患に肛門がん、陰茎がん、口腔・咽頭がんなどがあり、HPVワクチンはこれらの疾患を予防する効果が期待できるからであります。
諸外国では、HPVワクチンによって関連疾患が防げること、広く
国民に知らせています。子宮頸がんは九一・五%、肛門がんは九一%といった具合です。HPVへの感染を防げれば、これらの人々のがんは防げるので、各国とも、科学的な根拠を基に
国民へHPVワクチンの有効性と効果を知らせる努力をしているのであります。
WHOでは、ワクチンの安全性について定期的に
議論を行っております。ワクチンの安全性に関する世界諮問
委員会では、日本のデータを含む新たなデータを追加しながら
検討した結果、HPVワクチンの子宮頸がん予防に関する利益は明らかで、安全性は高く、国の予防接種プログラムに入れるべきとHPVワクチン接種を推奨しています。また、民間非営利組織コクランは、子宮頸がんなどを予防するHPVワクチンの有効性と安全性に関する評価結果というのをほんのつい先日公表いたしました。
国内で申し上げれば、名古屋市在住のこのHPVワクチンの接種を受けた女性と受けていない女性七千二百人の様々な症状を調査した研究データ、これを名古屋スタディーと申しますが、これでは、その
結論は、二十四項目の症状について、接種を受けた人と受けていない人を
比較した結果、接種を受けた人に有意に発症が多い症状は見られなかった。その調査を行った名古屋市立大の教授は、業界誌のインタビューで、国が意思決定に必要なデータは出そろっていると思います、サイエンティフィックに言えば、国が今積極的な接種勧奨の差し控えをやめないと、将来はミゼラブルなことになると考えていると明言されていらっしゃいます。
祖父江班で行われた研究や海外での様々な研究成果からも、その
結論を覆す論拠が得られておりません。副反応
検討部会では、二十九年十一月二十九日、国内外における最新の安全性に関する情報を整理し、二十六年一月、この部会における
検討以降、ワクチンとの因果
関係を示唆する新しい質の高いエビデンスは報告されていないことを
確認しています。
厚労省に
伺います。逆に、これ以上何をどうすれば再開されるのか、教えてください。
日本産婦人科学会は、HPVワクチンを早期に接種勧奨再開するようにと数年前より要望しています。
厚労省も全国疫学調査を行い、その結果、ワクチンを接種していない男子にもHPVワクチン接種後に生じたとされる多様な症状を生じた子供たちがいたという調査結果が得られているではありませんか。問題となっている多様な症状は、ワクチンに由来するものではなく、この年代の子供たちに生じる症状だと考えられています。
この五年間、科学的、疫学的にワクチンの安全の証明がされるまでは、私は
政治家が口を挟んではいけないものだと思っていました。しかし、これだけ安全性が証明された今、一体どうしたら、これ以上何をしたら勧奨の再開をされるんでしょうか。
是非教えてください。