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委員長(
二之湯智君) 速記を起こしてください。
これより討論に入ります。
各会派の討論に先立ち、この際、御
報告いたします。
平成二十八年度
決算についての
内閣に対する警告及び
平成二十八年度
決算審査措置要求決議案については、理事会において協議の結果、お手元に配付いたしましたような案文とすることに意見が一致いたしました。
それでは、警告の案文を朗読いたします。
内閣に対し、次のとおり警告する。
内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に
報告すべきである。
1 松山刑務所の開放的施設である大井造船作業場からの受刑者の逃走事件に関し、法務省は未然に防止できず、身柄が確保されるまでの二十三日間にわたり、
地域住民に多大な不安を生じさせるとともに、検問等により極めて不便な日常生活を強いることとなったことは、遺憾である。
政府は、受刑者の更生に資する開放的施設となるよう適切に運用することを堅持しつつ、開放的施設の保安警備等を早急に見直して
再発防止に万全を期すべきである。
2 学校法人
森友学園に対する国有地の売却等に関し、本院の要請に基づく
会計検査院の検査では、十分な根拠が確認できない
状況で売却価格等の算定が行われていた事態などが明らかとなった。さらに、
財務省が、
国会において事実に基づかない
答弁を行い、
決裁文書の改ざんや
交渉記録を廃棄したことなどにより、
国会審議の前提が覆され、国民の信頼を著しく失わせたことは、極めて遺憾である。
政府は、
財務省の
問題行為が、あってはならないことであるとの痛切な反省の上で、
国有財産の
管理及び
処分手続を明確化し、
処分価格等の客観性を確保するとともに、合理的な検証を確実に行うことができるよう、適切に行政文書を作成、
管理すべきである。
3
平成二十八年十二月に廃止措置への移行が決定された国立研究開発法人日本
原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅについて、数次にわたる保守
管理の不備に対し、保全
計画に基づく点検を適切に実施する
体制の整備が図られていないなど安全が確保されなかったことは、極めて遺憾である。
政府は、機構がもんじゅの廃止措置を安全かつ着実に実施するよう、厳重な監視を続けるとともに、今後の大型研究開発プロジェクトにおいては、もんじゅの反省を踏まえ、安全確保に万全を期すべきである。
4 日本年金機構において、委託業者の入力漏れ等が多数発生したことにより本来支払われるべき年金額が正しく支払われなかったこと、契約に違反して委託業者から中国の関連事業者への再委託が行われていたことなど機構のチェック
体制が機能していなかったことは、極めて遺憾である。
政府は、近年、機構において
不祥事が頻発し、信頼が大きく揺らいでいることを重く受け止め、機構の調達手続や業務委託
管理の抜本的な見直しを早急に進めるとともに、厚生労働省による厳格な指導監督を行うことにより、組織の立て直しと
再発防止に万全を期すべきである。
5 株式会社商工組合中央金庫(商工中金)の危機
対応業務における不正行為については、
平成二十九年六月に本院が警告決議を行ったところであるが、全件調査の結果、全国で
職員四百四十四名が関与し、融資実行額二千六百四十六億円を超える不正融資が行われていたことが明らかとなった。その後も新たな不正が多数判明し、商工中金において、組織的な隠蔽や書類のねつ造が常態化していたことは、極めて遺憾である。
政府は、商工中金の在り方と危機
対応業務の枠組みを抜本的に見直し、中小
企業の経営支援に資するビジネスモデルの再構築やガバナンスの
強化を図るとともに、主務官庁による適切な指導監督
体制を構築して
再発防止に万全を期すべきである。
6 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構によるスーパーコンピューターの研究開発に係る五助成事業の助成金三十五億円の一部を、株式会社ペジーコンピューティングが不正に受給し、同社の代表取締役が詐欺容疑等で起訴されたことは、極めて遺憾である。
政府は、機構が立入検査等を実施したにもかかわらず、不正行為を防止できなかったことを重く受け止め、事業者に対して厳正に対処するとともに、国からの助成に係る研究開発事業の実施に当たっては、事業採択に係る審査過程の透明性の確保や抜き打ち検査の実施等を含めた抜本的な
対策を講じるなど
再発防止に万全を期し、機構に対し不正に係る助成金の返還請求を行うよう求めるべきである。
7 除染事業における不適切な事案に対し、
平成二十九年六月に本院が警告決議により
是正を促したが、除染の請負事業者による宿泊費の水増し請求や、汚染土壌を詰めた汚染袋の不適切な取扱いなど、いまだに除染事業に係る不正や不適切な事案が相次いでいることは、極めて遺憾である。
政府は、不適切な事案が後を絶たないことを重く受け止め、建設業界に対して
企業統治の
強化や法令遵守の徹底を要請し、現場における監督
体制を
強化するとともに、不適切な行為を行った事業者を指名停止とするなど厳正な措置を講じ、
再発防止に万全を期すべきである。
8 陸上自衛隊のイラク日報に関し、
平成二十九年三月に陸上自衛隊研究本部において該当文書が確認されていたにもかかわらず、速やかに
防衛大臣等に
報告されず、
国会に対し結果として虚偽
答弁を繰り返してきた。一年以上にわたり組織として
対応が不適切であったこと、また、南スーダン日報に関する情報公開請求への
対応がずさんであったことは、極めて遺憾である。
政府は、イラク日報に係る事案が防衛省・自衛隊におけるシビリアンコントロールに関わる重大な問題であることを深刻に受け止め、組織文化や
職員の
意識の改革に
全力で取り組むとともに、文書
管理や情報公開が適切に行われるよう、
再発防止策を徹底して実施すべきである。
以上であります。
議決案はお手元に配付のとおりでございます。
それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。