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西田昌司君
総理からそういうお話がありましたが、もう一つ
総理に私は苦言を申しておきたいと思います。
といいますのは、今のこの問題は公務員の問題であります。そのトップが、その
最高責任者として
総理なんですね。元々、この問題は
総理夫妻に関わる問題として扱われてきました。それは事実ではないと、私たちはもうそのことは判明したと確信しておりますが、もう片っ方で、やっぱりそれぞれ社会的立場の高い方、
総理はもちろん法的にも責任あります、奥様はそういう法的の話とは全く無関係な話であります。しかし、そういう方だからこそ自らの身を律していくという、そういう姿勢を
国民に是非示していただきたい。それが、
安倍政権の
信頼、もう一度信用を回復させる一番の私はもとになると思いますので、そのことを是非
総理にお伝えさせていただきたいと思います。
その上で、ちょっと本題に入ります。
要するに、今のこの
決算委員会も含め、我々が一番論じなければならないのは経済、これは
安倍内閣の下で回復しつつあるのは事実であります。しかし、その前のデフレがやっぱりかなり大きかったですね。大き過ぎたこの谷が深過ぎて、なかなか現実のところに戻っていけない、今戻りつつあるんだけれ
ども、まだ戻り切れているとは言い切れないところもたくさんあるわけなんです。
そこで、私は、時間がだんだんなくなってきますので私の方から申し上げると、この一番の問題はやっぱりバブルにあったと思いますね。昭和の時代というのはバブルで、その原因というのは、一つはプラザ合意。あのプラザ合意から、輸出ではなくて内需を増やしていくんだという形で日米公約になってきました。そして、その輸出から輸入を拡大していくという話の中で大店舗法などがなくなり、各地で大型店がどんどんできました。結果的には、それが市街地なんかでは全部シャッター通りになってしまうというような現象を起こす。
そして、もう一つ、これが
国民に受け入れられてきたんですよ。その原因というのは、東京は物価は世界一高いんだと、日本の消
費者は高い物を買わされているんだと、そういうことを世間が、マスコミなんかも
報道しまして、いわゆる規制緩和路線ですね、これに対して応援するというような形であったのも事実だと思います。こうした規制緩和、価格破壊、まあ一番分かりやすいのは、いいものをどんどん安くなんてキャッチフレーズをしていたスーパーマーケットありました。しかし、これ潰れちゃいましたよね。そういうふうに、ああした時代背景があったわけであります。
そうすると、現実に自分の給料が下がってくる、デフレでは下がってくるんですけれ
ども、そういうことは全く感じずに、物の値段がどんどん下がってくる、これはいいことじゃないかということで、みんながこうした風潮を受け入れていく、そういう時代でもあったと思うんですね。
それで、問題はその後のバブルの後始末なんですよ。バブルが終わった後、このバブルは、もう一つは、要するに不動産投資を、過大な不動産投資をして、それが実勢価格との間で乖離があってバブルになったんですが、いわゆる要するに物がどんどん下がるのがいいというような風潮がそのバブルの前から続いていたということを私は申し上げているわけです。そして、その後、決定的な問題は、バブルが終わった後の後始末で政府部門と民間部門のアンバランス、こうした問題が実は出てきたわけです。つまり、バブルが、不良債権処理のために、その後の、銀行の貸出しは大幅に少なくなりました。
この表一を見ていただきますと分かりますように、(資料提示)主要銀行の不良債権の比率がありますけれ
ども、物すごく、一時は八%近くあったんです。それが、今もう〇・九%とかなりなくなりましたけれ
ども、この処理をするときに、一説には何百兆円とも言われるぐらいの不良債権があったとも言われていますけれ
ども、大変な不良債権処理をやってきたと。その結果、貸出額も、隣の表でありますけれ
ども、どんどんどんどん減ってきているわけです。
最近は、貸出額自身は増えてきております、黄色い線でありますが、貸出額自身は増えてきておりますけれ
ども、問題はこの青い方の線なんですけれ
ども、預金残高に占める貸出しの残高の比率というのはどんどん下がっている一方なんです。つまり、実際には、預金がどんどん増えていて、貸出しの額は増えていない、減っているというのが現実なんですね。このとき、要するに民間銀行はお金を貸さない、また民間企業はお金を借らないということですから、やるべきは支出拡大だったんですね、政府側の。政府側が財政出動をどんどんやっていくべきだったと。
ところが、このときは逆に、表二を出していただくと分かりますように、余り増えていないんですよ。むしろ減ってしまって、減らしてしまったと。無駄な公共事業はどんどんやめるんだというような論法で減ってきてしまった。今、
安倍政権になって少々戻りつつありますけれ
ども、やっぱりまだ減る傾向であります。
そもそも、もう一つ、表四を見ていただきたいんですが、これ大事な資料なんですが、要は世界の中でOECD諸国の政府支出、GDPに対してどれぐらいの政府支出があるかということですけれ
ども、要するに赤いのが日本なんです。これ、見ていただいたら分かりますように、政府支出の総支出額自体がかなり低い。そして、その中でも社会保障支出は真ん中ぐらいですから、
それなりに出ている。ところが、社会保障を除いた政府支出はといえば一番下なんですよね、要するに。この表の中では下から二番目になっております。それぐらい極めて、政府の出している、GDP比でいうと政府の支出額は小さいんだというこの現実を、これ
総理にも
麻生大臣にも、全ての
大臣の皆さん方、それから与野党の
議員の皆さん方に是非知っておいていただきたいんです。そういうことであります。
それで、こういうふうに民間が投資をできない環境であったにもかかわらず、政府の支出をずっと抑えてきているというこの現実がデフレをつくり出しているんです。要するに、需要がどんどん減ってきてしまっているということですよね。
そして、こういうふうに、結局は何が言いたいかといいますと、民間部門にはお金はどんどんたまっていっています。これは三番ですね。これは、この間、民間企業の内部留保額の推移なんですけれ
ども、一貫してずっと上がって、今四百兆円を超えると。
麻生大臣も問題だということをいつもおっしゃっているんですけれ
ども、要するに、政府支出は増えない、民間の貸出しも増えない、一方でどんどん民間の企業にお金はたまっている。この結果が要するにこのデフレをつくり出しているわけですよ。これ、構造的なものです。
つまり、今は確かに、海外にどんどん工場移転とかしていますから、日本国内で投資をするよりも海外投資の方がだんだん増えてきております。その一方で、日本の中は、じゃ需要がないのかというと、子育てから、それから医療、介護を始めるそういう福祉の分野、それから新幹線もそうですけれ
ども、様々インフラ整備も含め、国内でやらなきゃならない仕事はたくさんある。たくさんあるんだけれ
ども、財政出動を先ほど言ったようにやっていない。つまり、構造的に官と民のアンバランスがずっと続いているということなんですね。ですから、政府支出を拡大する以外にないわけなんです。
ところが、この間、
平成デフレ、
安倍総理が
総理になってからもなかなか財政出動額は実際には余り増えておりません。一番最初の政権を奪還したときにいわゆる機動的な財政出動だというので補正予算でつくられましたけれ
ども、長期的なもの、構造的なその財政出動を増やすということにはなっていないんですよ。ですから、これこそ
財務省の財政再建至上主義、これが
安倍内閣の中でもまだ生きていて、デフレをここまで長引かせてしまったんじゃないのかと、こういうことなんです。
ここで、
安倍総理にそのことをお聞かせいただきたいと思います。