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古賀友一郎君 自由民主党の
古賀友一郎でございます。
雨宮副
総裁候補は、これまで企画畑を中心に
日銀の主流を歩んでこられた
日銀のエースと伺っておりますし、また、
黒田総裁就任以降の五年間、
理事として
金融政策の
企画立案とその実践を担当してこられたということで、
総裁の右腕でもいらっしゃるというわけでございますから、まさしく衆目の一致する順当な人選ではないかというふうに私拝見いたしております。
これまでの衆参の
質疑の中でいろいろ
日銀に対する様々な御
指摘、注文があったわけでございまして、先ほどは、
大学でいえば落第点だというような厳しい御
指摘もあったわけでございますが、しかし、この五年間、
日銀は二十年近く
我が国が苦しめられてきた
デフレからの
脱却に取り組んで、もはや
デフレではないと言い得るところまで
我が国の
経済を立て直してこられたわけでありますから、私は、まずはその功績を率直に
評価すべきだと、こういうふうに思っております。
確かに
物価安定目標二%にはまだまだということで、
デフレからの
完全脱却は道半ばという
状況ではございますけれども、それだけに、この二十年近く
デフレとの戦いに身を置いてこられた
雨宮候補におかれては、
日銀マン人生の総仕上げとして是非この
課題に取り組んでいただきたいと、このように私も期待を申し上げているところでございます。
ただし、それにはまだまだ時間が掛かりそうでございます。
日銀は、二〇一九年度頃には
物価上昇二%程度に達する
可能性が高いという見通しを示されているということはこれまでもありましたけれども、果たしてそうなるのかどうかということ、また、仮にこの二%に達したとしても、それが安定的に二%を超えて軌道に乗るまでどのぐらい掛かるのかというのは、これはまだ見通せていないわけでございます。
先ほど、いろんなファクターがあるというような御答弁もございました。昨日、黒田
総裁候補も、
物価安定目標達成にはまだ距離があるというふうな御答弁ございましたし、今、
雨宮候補も同様の御答弁があったというふうに思います。なかなかこれは持久戦の気配も感じるわけでございますけれども、その場合、
日銀としては、オーバーシュート型コミットメントということで、大規模な
金融緩和を当分続けていかれるということになるわけでありましょう。そういうふうに思いますけれども、ただ、そのときに、そうであれば一層、いわゆるこの副作用への対処、これが大変重要になってくると思うわけでございます。
そこで、今回私がお伺いをしたいのは、
日銀の財務の問題でございます。
これは、これまでの衆参の
質疑の中でも、
雨宮候補だけではなくて黒田
総裁も答弁されておりますけれども、要するに、国債を買い入れてバランスシートを拡大させる局面では
日銀の
収益は押し上げられるけれども、逆に、正常化に向けて縮小させていく局面になりますと、短期
政策金利、すなわち
日銀当座預金に対する付利の
引上げと相まって収支が悪化をするという問題だというわけであります。
私は、
日銀の財務諸表を拝見いたしますと、一昨年度から今年度上期までに、
債券取引損失引当金を一・一兆円積み増して三・四兆円とされているようでございまして、法定準備金三・二兆円と合わせますと約六・六兆円を内部に留保しているということで、黒田
総裁も昨年の
国会では、事前の対応としてはかなりしっかりしたものを行っているというふうに答弁をされておられたようであります。
しかしながら、
現状で平均運用利回りが〇・三%程度の長期国債を四百兆円以上抱えているという
状況で、今後ともこの国債保有残高が増える一方で、低い利回りが更に
低下をしていくということも予想されるわけでございますので、これからこの
日銀の財務がどうなっていくのかという御心配は、これは無理もないことだろうというふうに思うわけでございます。
もちろん
日銀は、通貨発行権があって、通貨発行益も期待できる特殊な会社でありますから、資金繰りが行き詰まるということはございませんし、また、たとえ大きな損失が発生いたしましても、長期的にはこの通貨発行益でリカバーできるはずでありますから、一般
企業のような倒産はないということは、これは私も
理解をしているところでありますけれども、しかしながら、よもや
日銀が債務超過になるということは、たとえそれが一時的なことであるにしても、内外の
経済にどういった混乱を引き起こすか分からないということを
考えれば、やはりこれは避けなければいけないことだろうと、こういうふうに思うわけであります。
そこで、
出口戦略をどう描くかというのはまだ先のことであるということで、これはそのとおりだと思いますけれども、
現状の内部留保と現行ルールの引当金、あるいは準備金の積み増しで
日銀の財務が大丈夫なのかという点について、
雨宮候補のお
考えをお聞かせいただければと思います。