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2018-03-22 第196回国会 参議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年三月二十二日(木曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員異動  三月二十日     辞任         補欠選任      礒崎 哲史君     川合 孝典君  三月二十二日     辞任         補欠選任      小川 克巳君     関口 昌一君      自見はなこ君     二之湯武史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柘植 芳文君     理 事                 滝沢  求君                 森 まさこ君                 長浜 博行君                 片山 大介君     委 員                 磯崎 仁彦君                 尾辻 秀久君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 信秋君                 関口 昌一君                 二之湯武史君                渡辺美知太郎君                 川合 孝典君                 芝  博一君                 柳田  稔君                 河野 義博君                 浜田 昌良君                 市田 忠義君                 武田 良介君    国務大臣        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        防災))     中川 雅治君    副大臣        環境大臣  とかしきなおみ君        環境大臣    伊藤 忠彦君    大臣政務官        環境大臣政務官  笹川 博義君        環境大臣政務官  武部  新君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     更田 豊志君    事務局側        常任委員会専門        員        星   明君    政府参考人        内閣府政策統括        官        山本 哲也君        環境大臣官房長  鎌形 浩史君        環境大臣官房環        境保健部長    梅田 珠実君        環境省地球環境        局長       森下  哲君        環境省水・大気        環境局長     早水 輝好君        環境省環境再生        ・資源循環局長  縄田  正君        環境省環境再生        ・資源循環局次        長        山本 昌宏君        環境省総合環境        政策統括官    中井徳太郎君        原子力規制委員        会原子力規制庁        次長       荻野  徹君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力規制技監  櫻田 道夫君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力規制部長  山田 知穂君    参考人        東京電力ホール        ディングス株式        会社代表執行役        社長       小早川智明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (環境行政等基本施策に関する件)  (公害等調整委員会業務等に関する件)  (原子力規制委員会業務に関する件)     ─────────────
  2. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、礒崎哲史君が委員辞任され、その補欠として川合孝典君が選任されました。  また、本日、小川克巳君及び自見はなこ君が委員辞任され、その補欠として関口昌一君及び二之湯武史君が選任されました。     ─────────────
  3. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官山本哲也君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長小早川智明君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、環境行政等基本施策に関する件、公害等調整委員会業務等に関する件及び原子力規制委員会業務に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 自由民主党の磯崎仁彦君でございます。  先日の中川大臣所信表明等で示されました環境政策等について質問をさせていただきたいと思います。  中川大臣は、御経歴を拝見をいたしますと、平成十三年に環境省総合環境政策局長、そして翌年十四年の一月から十五年七月まで事務次官をされております。まさに環境事務次官のトップを経験をされ、環境に精通された大臣として、非常に私ども期待をさせていただいております。その当時から十五年の歳月が経過をいたしております。国内海外共環境を取り巻く状況は非常に大きく変化をしてきているのではないかなというふうに思っております。  まず、私のちょっと経験紹介をさせていただきたいと思います。  実は、私、国会議員になります前、十年前から約三年間、航空会社CSRを担当しておりました。私自身はリスクマネジメント部長をしておりましたが、そのちょうど隣の課が環境社会貢献部というところで、環境問題、社会貢献、こういうことを担当しておりました。そのときに、CSR推進室として、この環境なり社会貢献にどういう観点で取り組んでいくのかということを社内で議論したことを今でも思い出しております。そのときに一つ結論として出したのが、やはりこういう問題を持続可能なものとして取り組んでいくためには、本業事業そのものに根付いたものでなければなかなか持続可能なものとして継続して取り組んでいくのが難しいのではないかなという、そういう結論をそのとき出したわけでございます。  当時は、例えば、航空会社というものは飛行機を飛ばすたびにCO2排出をしている、こういう全体の排出量の九八%が飛行機を運航することによって排出をしている量ということでございますので、やはりその見返りとしてどういうことをやるのかということで、例えば全国で植林活動をして少しでもそれを緩和するような話、それから例えば環境そのものの問題という意味では、今サンゴが非常に白化しているということもあって、そのサンゴ再生のために取り組んでいくと、こういうこともやっておりました。ただ、これは、今から考えてみると、恐らく本業に直接根付いたというものではなくて、違った意味での社会貢献環境への対応策だったんだろうというふうに思っております。  そして、つい最近の、私がいましたその航空会社CSRのレポートを見ますと、やっぱり本業に基づいた対策ということで幾つか練られております。  例えば一つ、これは本質的な問題でございますが、環境性能の高い新しい機材導入する。これは、やはり新しい機材というものはエンジン効率も良くて燃料も少なくて済む、CO2排出も少ない。こういうことでございますし、また、代替燃料として例えばバイオマス、この燃料を混ぜてやはり化石燃料をできるだけ少なくしていこうと。こういう取組もされているわけでございますし、あるいは、今、通常、飛行機が着陸する場合には、皆様方飛行機に乗ったことがあると思いますが、段階的に降りていくということで、水平飛行に移るときには燃料を、エンジン、推力を上げないといけないということなんですが、ずっと断続的に着陸をするということになると燃料消費が少なくなる等々、やっぱりいろんな取組をしている。これはまさしく本業に根付いたCO2環境への対策ではないかなというふうに思っております。  さらに、例えば機内ではいろんな水を使うわけでございますけれども、その水を減らすことによって飛行機自体の重量を減らして燃料消費を少なくする、あるいは、その残った水あるいは使った水を地上において再利用する。こういったことも今行われているということでございまして、これは直接会社の業績にも結び付くということでございますので、やはり取組に対するインセンティブも当然出てくるということで、環境に取り組むということで本業に結び付いたこういう取組をすることがやはり継続して持続的にこの取組というものをやっていくことにつながるんではないかなというふうに思っております。  そういった意味では、恐らく、環境という考え方業務の中にどうビルトインしていくのか、これがまさに今の各企業において取組の主な方向性になっているのではないかなというふうに思っております。  そしてもう一つ、実は先日、一週間前ほどでございますけれども、党の会合で、サステナブルかつインクルーシブな世界を目指す潮流の中で日本が果たすべき役割というタイトルで話を伺う機会がございました。その中で、やはり世界環境に関する大きな動きというものについての話を伺いました。いわゆるダイベストメント投資引揚げですね、この動きがやはり全世界で加速をしているという、こういう動きでございました。  幾つかありますが、例えば世界銀行、石油であるとか天然ガスの探査、掘削への融資を二〇一九年以降停止をする、こういう決定がなされております。この中でキム総裁は、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が進む中で世銀の融資座礁資産にはしたくないという発言がされているわけでございます。  さらに、NBIM、ノルウェー政府年金基金、これは二〇一五年にノルウェー国会全会一致で、政府年金ファンド法に基づいて年金基金から石炭関連産業投資しないという、こういう方針を決定をして、これを踏まえて石炭関連企業六十九社から引揚げを行った、この動き石油なりガスにも拡大をしていっている、こういう動きがございました。また、アクサ保険は、石炭とかオイルサンドからの新規保険を引き受けないという決定もなされているということでございます。  まさに、ダイベストメントがどんどん進行している、こういう動きがまさにあるということでございます。  そして、話、元に戻りたいと思いますが、こういった動きがある中で、大臣はこの十五年間、この環境を取り巻く変化ということをどう御認識をされているのか、大臣の御認識をまずお伺いをしたいというふうに思います。
  9. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 私が事務次官を務めていた当時、我が国はちょうど京都議定書を締結し、持続可能な社会構築に向け一歩を踏み出したところだったというふうに言ってよいと思います。その後、世界的な大きな時代変化が生まれました。一つは、二〇一五年に国連総会で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsであります。もう一つは、二〇一六年に発効した気候変動対策に関するパリ協定でございます。  地球規模の持続可能な社会に向けた動きの中で我が国として環境行政推進していくためには、企業、自治体、市民などの多様な主体とのパートナーシップを強化し、経済社会の諸課題との同時解決を実現していくことが重要であると考えます。  こうした時代の大きな転換期であることを踏まえ、現在改定を進めている環境基本計画では、経済社会システム、ライフスタイル、技術といったあらゆる分野でイノベーションをつくり出すことで、先ほど申し上げました同時解決を実現するという方向性を掲げているところでございます。こうした考え方の下で、例えば、省エネ推進による生産性向上ESG投資拡大などを通じたグリーンな経済システム構築地域再生可能エネルギーの活用などによる持続可能な地域づくりなどの施策を展開し、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長につなげてまいりたいと考えているところでございます。
  10. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  今まさに二〇一五年のSDGs、二〇一六年のパリ協定、こういった動きも踏まえて、やはり大きく変化をしている中で同時解決を目指していかなければいけない、こういう方向性大臣の方から示されたわけでございます。まさにそのとおりだというふうに思っております。  ただ、先ほど御紹介をしました党の中の講話の中で、その方はファンド世界各地を飛び回っている方でございますけれども、その方がこういうことを言われておりました。環境変動取組では日本劣等生、やる気がないと思われているのではないか、高い目標を出すべき、日本目標のない国と思われていく、ゴール設定が必要だと、こういう厳しい御指摘もございました。  これについてはいろいろ御異論もあろうかと思いますけれども、いろんな見方がされている中で、日本の国はこの環境分野でリーダーシップを取ってやはり世界を牽引をしていく、こういう動きを是非、中川大臣筆頭に取り組んでいっていただきたいなというふうに思っております。  それでは、次の質問に移らさせていただきたいと思います。  大臣は、先日の大臣所信表明の中において、パリ協定の下で世界は脱炭素社会に向けて大きく動いていますというふうに述べられております。まさにそのとおりだというふうに思っております。我が国も、二〇三〇年に二〇一三年度比で二六%の温室効果ガス削減、二〇五〇年度に八〇%の削減を目指す、こういう目的を掲げているわけでございますけれども、毎年この温室効果ガス排出量につきましては公表がされているところでございます。  昨年の十二月、恐らく一月に若干訂正が出たというふうに認識をしておりますが、十二月に速報値ということで平成二十八年度の温室効果ガス排出量というものが公表されております。これを拝見をいたしますと、総排出量二酸化炭素換算で十三億二千二百万トン、これは前年度、平成二十七年度に比べて三百万トン、〇・二%の減少基準年になる二〇一三年度の総排出量十四億九百万トンに比べて八千七百万トン、六・二%の減少ということで、着実に減少が進んでいるということだろうというふうに思っております。  温室効果ガス種類別で見ると、二酸化炭素は前年度比で〇・五%減、二〇一三年度比で七・二%減、メタンが前年度比で一・四%減、二〇一三年度比で五・六%減、一酸化二窒素は前年度比で〇・二%減、二〇一三年度比で四・〇%減、この三つにつきましては着実に前年度あるいは二〇一三年度比で減少になっているわけでございますけれども、代替フロン等ガス、これについては増加傾向にあるということがこの速報値を見ても明らかだろうというふうに思っております。  まず、この代替フロン等ガスについてのトレンドについて御質問をさせていただきたいと思います。
  11. 森下哲

    政府参考人森下哲君) お答え申し上げます。  代替フロンでございますが、HFC排出量は増大の一途をたどっておる状況でございます。二〇〇五年度と比べまして、二〇一六年度にはCO2換算で三倍以上というふうになってございます。  こちらの方ですが、冷凍冷蔵及び空調機器に使用されます冷媒分野におきまして、オゾン層破壊物質でございます特定フロン、HCFCから代替フロンHFCへの代替が進んでおります。この代替フロン温室効果を持つということでございます。その一方で、機器廃棄時のフロン回収率が十年以上三割台にとどまっているという状況でございまして、そういったことで代替フロン排出量増加をしているという状況というふうに認識をしてございます。
  12. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  HFCにつきましては、二〇〇五年比で三倍になっているという、大きな増加をしているという傾向があるということでございます。  今御説明にもございましたとおり、このフロンオゾン層破壊をするということで、特定フロンから代替フロン、これへの置き換えがなされたわけでございますけれども、この代替フロンは、オゾン層破壊については効果があるものの、温室効果が高いということで、今、ノンフロンへの置き換えがまさに行われている最中というふうに認識をしております。  やはり、特にこの四ガスの中で四分の三を占める冷凍空調機冷媒等HFC、この対策が重要だということは言うまでもないというふうに思っております。今国会におきましてモントリオール議定書改定について承認を求めるとともに、その国内法として、いわゆるオゾン層保護法提出をされるというふうに聞いております。  このオゾン層保護法、これは代替フロン製造及び輸入を規制する等の措置を講ずるものであり、いわゆる上流規制ということが言えるというふうに思っております。ただ、先ほど御答弁の中でもありましたとおり、やはり回収がなかなか進んでいない、この数年三割台という、そういうお話も今伺ったわけでございます。やはり実際に世の中に出ているHFC、この規制、いわゆる下流規制というふうに言えるかもしれませんけれども、これをすることも非常に重要なのではないかなというふうに思っております。まさに上流から下流まで、この全てにおいてきちんと対応が取られなければ十分なHFC対応にはならないんだろうというふうに思っております。  その意味で、代替フロン上流規制及び下流規制につきまして、取組状況をお伺いをしたいというふうに思っております。
  13. 笹川博義

    大臣政務官笹川博義君) お答えをさせていただきます。  代替フロン製造段階における対策につきましては、平成二十七年四月にフロン排出抑制法が施行されました。日本国内における将来の代替フロン使用見通し、このことについては国が公表する、続いて、使用見通しを踏まえて製造事業者等フロン類使用合理化計画を策定し、国に報告をする、その後、国が事業者取組状況フォローアップをするということで、国内で使われる代替フロンの総量を抑制をしていくということでございます。  また、先ほど委員からも御指摘ございましたが、二〇一六年十月にモントリオール議定書改正をされまして、代替フロン生産量等削減義務が課せられることとなりました。この国内担保措置といたしまして、三月六日にオゾン層保護法改正案国会提出をさせていただいております。  一方で、廃棄段階における対策についてでございますが、フロン類廃棄率回収率につきましては、一定の向上は見られると思いますが、大体十年以上にわたりまして三割台というような形の中で低迷をしており、地球温暖化対策計画で定める二〇二〇年度五〇%、二〇三〇年度七〇%の目標達成に向けて更なる対策の強化が必要と考えており、現在は、中央環境審議会、そしてまた産業構造審議会合同会議において進めておりますフロン類対策フォローアップの中で、フロン類廃棄時の回収率低迷の要因と対策についての調査分析をいたしておるところでございます。その結果も踏まえた上で、関係省庁と協力して必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  さらに、環境省では、ノンフロン化を後押しするために、業務用冷凍冷蔵機器に対する省エネ型ノンフロン機器導入助成支援をいたしております。冷凍冷蔵倉庫食品製造工場、スーパー、コンビニエンスストア等における昨年度までの三年間で約千五百の事業者にノンフロン機器導入されたところであり、今後とも環境省として引き続き御支援をしてまいりたいという予定でございます。  以上です。
  14. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  まさに、今御答弁をしていただきましたように、地球温暖化対策計画、二〇二〇年には五〇%の回収、二〇三〇年には七〇%ということでございますので、まだその水準には遠くというか、及ばないということでございます。  今いろんな対策についてお話をいただきましたし、まさに今、調査分析、それを踏まえてというお話もございました。今、資料を見てみますと、業務用冷凍空調施設、これがやはり回収率が二割ということで断トツに低いと。家庭用のエアコンは三割、カーエアコンは七割ということで、それぞれにおいて差があって、やはり業務用が非常に大きな課題だということだろうというふうに思っております。先ほど支援によって三年間で千五百という話もございましたけれども、是非この業務用のところを中心に対策をしっかり講じていただきたいなというふうに思っております。  続きまして、この排出量に関しましてもう一つ、各部門エネルギー起源排出量が公表されております。やはり、二〇三〇年の二六%削減に向けては、業務その他部門で四〇%の削減家庭部門で三九%削減が必要というふうに言われているわけでございますが、この二〇一六年度の各部門エネルギー起源CO2排出量を見ますと、業務その他部門基準年である二〇一三年度比で一〇%の削減家庭用部門は一二・五%削減という、こういう数字になっているわけでございますが、これは二〇三〇年に向けてそれぞれ四〇%近くの削減が必要だというこの数字に比べて順調に推移しているというふうに見るのか、まだやはり足りないと見るのか、この数字の評価についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  15. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 家庭部門業務部門温室効果ガス排出量についてどういうふうに認識をしているかという御質問をいただいております。  お答え申し上げたいと思いますが、御指摘のように、二〇三〇年度で二六%削減目標を掲げておりまして、家庭部門業務部門もそれぞれ二〇一三年度比で約四〇%の削減という高い目標を掲げているところでございます。  先ほど御指摘がございましたような、削減、進捗の状況ということですが、これらにつきましては、やっぱり再生可能エネルギー導入、そして省エネルギーの導入、こういったことが削減にも効いてきているんだろうというふうに思っておりますが、決して楽観ができるようなものでもないというふうに思ってございます。  このため、しっかり二〇三〇年度の目標を達成する上でも、施策を引き続き講じていく必要があるというふうに思ってございます。例えば、LEDあるいは省エネ家電の利用、宅配便の再配達防止など、CO2削減につながる行動を促す国民運動、クールチョイスと申しますけれども、こういった行動変革を起こしていく、そういったことを推進するということや、省エネ性能の高い住宅やビルの新築や改修、そしてCO2削減ポテンシャル診断による中小企業省エネ取組支援などに取り組んでいく必要があるかというふうに考えてございます。  さらには、それを超えて、二〇五〇年八〇%削減に向けて、暮らし、オフィスの脱炭素化も必要だというふうに思っております。この点につきましては、例えば電子機器電圧制御などを行います部品を大幅に高効率化をいたします窒化ガリウム半導体開発、実証、あるいは、鉄より五倍軽く五倍強度があります、例えば車の軽量化等に役立つセルロースナノファイバーの用途開発などの技術開発推進をしておるところでございます。  このように、財政支援ですとか技術開発、普及啓発などの様々な政策を総動員することで、引き続き、家庭・業務部門における中長期の脱炭素化に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  16. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  今まさにクールチョイスという国民運動の話も出ました。恐らくまだまだではないかなというふうに思っております。私も先日、地元の冷蔵庫を十五年ぶりに買い換えました。これほどやっぱり電力消費、減るものだなということを、まさに電気料金、数字をもって実感をしたところでございますので、やはりなかなか捨てるというのはもったいないという気持ちもあるわけでございますが、電気のもったいないということも併せて考えて、やっぱりこういうクールチョイスという国民運動、是非もっともっと推進をしていって、家庭のCO2排出削減に是非努力をしていっていただきたいなというふうに思っております。  さて、昨年の十一月六日から十七日まで、ドイツのボンでCOP23が開催をされております。中川大臣出席されたというふうに伺っております。このCOP23では、一定程度の成果もあったものの、やはり課題も浮き彫りになったというふうに伺っております。  是非、大臣には出席の御当事者として、どういう成果があったのか、そして今年のCOP24に向けてどういう課題があるのか、これについて是非お伺いをさせていただきたいと思います。
  17. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 昨年十一月に行われましたCOP23に私も出席をいたしまして、政府の関係者またNGOや民間の企業の方など、合計で約二万人の方が参加をした大規模なCOPでございました。そうしたいろいろな交渉やバイの会談、さらにはイベントなどに参加をいたしまして、世界が脱炭素社会に向けて大きく動いている、そういったうねり、潮流というものを実感したところでございます。もう後戻りすることはできない非常に確かな流れになっているということでございます。  そして、このCOPでは、パリ協定が二〇二〇年から着実に実施されるよう、全ての国の取組を促進し、透明性を高めるための実施指針の交渉が行われました。この実施指針の策定方針につきまして、先進国と途上国の意見の隔たりは見られたわけでございますが、最終的には本年のCOP24での合意に向けた実施指針の土台ができ、一定の進捗を得ることができたというふうに考えております。  また、私から国内対策の着実な実施に加え、途上国における温室効果ガス排出状況等に関する透明性を向上させるためのパートナーシップの設立を表明いたしまして、他国からも高い関心と評価をいただくなど、我が国の存在感を示すことができたというふうに考えております。  本年のCOP24は、パリ協定の実施指針が策定される大変重要なCOPとなります。パリ協定が実効性のあるものとなるよう、まずは五月の首席交渉官級会合などにおいてしっかりと日本の立場を主張していきたいと考えております。
  18. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  まさに出席をされて、我が国のいわゆるパートナーシップの設立ですか、これについても非常に高い評価を得たということでございますので、パリ協定を実施をしていくためには非常に実施指針重要なということでございますので、COP24に向けて日本の存在感というか、それを是非示していっていただきたいなというふうに思っております。  続きまして、大臣は先日の所信表明におきまして、二〇五〇年までに温室効果ガスを八〇%削減することを目指し、長期低排出発展戦略について、関係審議会等における検討状況も踏まえながら、来年度の早い段階で政府全体としての検討を開始できるよう、関係省庁と連携して取り組んでまいりますというふうに述べられております。  まさに今、COP23の御報告の中で述べていただきましたように、まさにその後退はできない、後戻りできない、こういう今の動きではないかなというふうに思っておりますが、この長期低排出発展戦略につきましては、昨年、環境省の方からは長期低炭素ビジョン、経産省の方からは長期地球温暖化対策プラットフォーム、これが示されております。この委員会でもこれまでもこの点については取り上げられていた点でございますけれども、非常に重要な点だと思いますので改めて質問させていただきたいと思いますが、この環境省からのビジョン、そして経産省から出されているプラットフォーム、これを拝見をいたしますと、やはり幾つかの点で少なからず隔たりがあるんではないかなというふうに認識をしております。  調査会の方でまとめていただきました幾つかの点について、改めて申し上げるまでもない点でございますが、例えば、趣旨については、環境省は、世界取組動き、流れは後戻りせず、温室効果ガス排出の今後削減すべき目標の後退は許されない、こういう認識、趣旨でございますが、経産省の方は、あくまで目標は持続可能な社会の実現であり、温室効果ガス抑制はそのための手段にすぎない、こういう趣旨であるというふうに伺っております。  また、二度目標への対応についても、環境省の方は、残されたカーボンバジェットを世界全体で効率よく使いながら今世紀後半までに脱炭素社会構築をしていく、これに対して経産省の方は、気候科学には不確実性があるためカーボンバジェットに基づくのではなく状況変化に応じて柔軟に対応していく、これはやはり大分違うなというふうに思います。  幾つかございますけれども、環境と経済、約束された市場の存在により両立は可能だと、経済だけでなく日本の様々な課題にも対処し得る、経産省の方は、我が国のみの産業構造転換によって経済成長と排出削減同時解決は困難、一定のトレードオフが存在する等々、やはり幾つかの課題、その他、長期大幅削減の捉え方であるとか、国際貢献と国内対策の関係であるとか、後ほど質問させていただきますカーボンプライシング、ここについてはやはりいろいろ大きな差があるんだろうなというふうに思っております。  ただ、やはりこれをまとめていくというのは非常に我が国としても重要な課題でございますので、これからどのようなスタンスでこの長期戦略を策定することに取り組んでいかれるのか、その考え方を是非お聞きをさせていただきたいというふうに思っております。
  19. とかしきなおみ

    ○副大臣(とかしきなおみ君) 安倍総理は、今国会で、地球温暖化対策内閣の最重要課題一つである、我が国温室効果ガス国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体の排出削減に最大限貢献し、我が国の更なる経済成長につなげていきますと、こういうふうに答弁されています。要は、温室効果ガス削減して、さらに経済成長、これを同時に達成していきたいという意味だと思われます。  環境省といたしましては、この流れを受けまして、長期戦略の策定に向けて温室効果ガスの長期大幅削減の鍵となりますメッセージや、民間企業にとってのビジネスなどの機会、それと課題、こういったものをまとめまして、長期大幅削減に向けた基本的な考え方、これを取りまとめたところでございます。これも同じように、経産省におきましても、エネルギー政策の観点から関係審議会等において検討を進めていると承知をしております。  このように、総理の答弁にもございましたけれども、向かうべき方向性、これは環境省と経産省と認識は一致しております。世界の脱炭素化を牽引する骨太な長期戦略を策定するべく、関係省庁と一体となって議論を進めていこうと、このように環境省は考えております。
  20. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 是非、その方向で取りまとめをお願いをしたいなというふうに思っております。  この長期低排出発展戦略につきましては、G7の伊勢志摩サミットにおきましても、二〇二〇年の期限に十分先立って今世紀半ばの温室効果ガス排出型発展のための長期戦略を策定し、通報することにコミットしているわけでございます。既にドイツ、フランス、カナダ、アメリカもそうですかね、提出をしているというふうに伺っております。まさに、これこそ我が国の地球温暖化に対する国としての姿勢を内外に示すものでございますので、可能な限り早期に策定できるようリーダーシップを持って取り組んでいっていただきたい、是非お願いをしたいというふうに思っております。  先ほどの環境省と経産省の隔たりの中で、カーボンプライシング、これはかなりあるんではないかなというふうに先ほど申し上げました。環境省におかれましては、有識者から成るカーボンプライシングのあり方に関する検討会が設置をされ、先日、三月九日に第九回目の検討会が開催をされたというふうに伺っております。  その資料も拝見をさせていただきましたけれども、このカーボンプライシングについては幾つかの考慮すべき事項というものが記載をされております。その一つが経済への影響。これは、やはりカーボンプライシングによって経済に影響を与えるんではないかということかと思いますし、二点目が炭素リーケージ、これは、カーボンプライシングが導入されてエネルギー多消費産業に負担が課されれば、やはり日本の商品というものはエネルギー効率が非常に高いわけでございますので、その供給量が減少すれば世界全体でやはりマイナスの効果になっていくのではないかという点。それと、既に世界各地で広がっている我が国の工場の生産量、例えば日本から作るものが海外に移転をしてしまうんではないかという、こういう懸念も炭素リーケージということに関連をして指摘がされているわけでございます。  さらに、やはり逆進性ということで、カーボンプライシングは化石燃料の相対価格を引き上げる施策であるため、光熱費や燃料費等への支出が支出全体に占める割合の高い低所得世帯ほど相対的な負担が重くなる逆進性の課題指摘をされるということも言われております。  また、やはり、価格水準をそれなりに設定をしなければイノベーションが進んでいかない、それを避けるためにイノベーションに向かっていくということかと思いますし、やはり企業にとってみれば、長期的な投資を行う中でどれぐらいにその炭素価格が上がっていくのかという予見可能性を持って、それよりはこちらのイノベーションに進んでいきたいという、やはり予見可能性もなければいけないという経済への影響、炭素リーケージ、逆進性、価格水準と予見可能性、こういう幾つかの点が課題として指摘をされているわけでございますが、これらの課題に恐らくこれから更に検討を加速化させていくということかと思いますが、現段階でどのように対応していく方向性を持っているのか、可能な限りでお伺いをさせていただきたいと思います。
  21. 森下哲

    政府参考人森下哲君) カーボンプライシングについての御質問でございます。  このカーボンプライシングでございますけれども、これは欧米諸国のみならず、近隣の中国あるいは韓国においても導入が進んでございます。それらの国におきまして、排出削減をしながら経済成長をするという事例が観察されているだけではございませんで、カーボンプライシングの導入排出削減に寄与するという経済理論を確認する実証研究も今進みつつあるという状況だと思ってございます。  それで、今委員から御指摘のありました三点あるいは四点についてお答え申し上げたいと思います。  御指摘のあったように、カーボンプライシングの検討に当たっては、例えば以下のような点を考慮する必要があるというふうに報告書の中で検討をされてございます。  一つは、一点目の経済への影響、我が国経済への影響ということでございます。企業のコスト負担が増加することで我が国経済に悪影響があるとの意見がある一方で、停滞する総需要を増加させるためにもカーボンプライシングが必要との意見もございます。カーボンプライシングの在り方を検討する上では、経済への負の影響をできるだけ緩和しつつ、将来的な脱炭素社会への円滑な移行を促す仕組みとして整備をしていく必要があるというふうに記載がされてございます。  それから次に、いわゆる炭素リーケージについての御指摘がございました。炭素リーケージ、これは、エネルギー効率の高い日本製品の供給量が減少して逆に世界全体の排出増加につながってしまう、つまり排出削減にはつながらなくなるという可能性の御指摘ということでございます。この炭素リーケージにつきましては、諸外国において既に制度の設計の中で対応されているということでございますので、我が国においても、それらの例を参考にしつつ対応することは可能というふうに記載がされてございます。  さらには、光熱費や熱料費等への支出が支出全体に占める割合の高い低所得世帯ほど相対的に負担が重くなるという御指摘のあった逆進性の課題もございますし、それから価格水準等の予見可能性などの様々な検討事項ございます。逆進性につきましても、今後、過剰な影響を避けるよう、引き続き議論する必要があるというふうに思ってございます。  こういった課題、様々ございますけれども、気候変動問題と経済社会課題同時解決に資するようなカーボンプライシングについて更に議論を深めていきたいというふうに考えてございます。
  22. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 まだこれから検討する内容、多々あるかと思いますので、是非いい方向で御検討していただきたいなというふうに思っております。  続きまして、再生可能エネルギー導入について御質問させていただきたいと思います。  大臣は、先日の所信表明において、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組むというふうに言及をされております。私は、再生可能エネルギーと言われると、どうしても太陽光であるとか風力であるとかバイオマスとか、こういうことが念頭に浮かぶわけでございますけれども、そういう意味では水力というのはもう過去のものではないかなという、そういう認識を持っておりました。  ただ、先日、元国交省の河川局長の竹村公太郎さんのお話を伺って、ああ、水力発電もポテンシャルがあって可能性もあるんだなということを痛感をいたしました。ちなみに、竹村氏は、「水力発電が日本を救う 今あるダムで年間二兆円超の電力を増やせる」という、こういう書物も著しておりまして、私も早速内容を読ませていただきました。  それで、竹村氏は主にダムを活用した水力発電、これについてお話をされておりますけれども、環境省においては既に、平成二十二年と二十七年に、水路の高低差といいますか、これを利用した小水力発電についての検討というか調査というか、これをされたというふうに伺っておりますので、まずはその検討結果についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
  23. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 先生御質問のその環境省調査でございますけれども、私ども環境省で行いました中小水力発電のポテンシャル調査、こういうふうに申しますけれども、全国の水系のうち、開発規制ですとかあるいは費用面から事業化の可能性がほとんどない地点を除外したものを対象といたしまして、お話にございましたように、流量と落差を調査をいたしまして、取水量を差し引いて発電できる量を計算したということでございます。  その結果としては、全国で九百一万キロワットの発電ポテンシャルがあるということでございます。これは、設備利用率を仮に六五%というふうに仮置きいたしますと、年間発電電力量が五百十三億キロワットアワーというふうに推計ができるという結果になってございます。
  24. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 いろいろな制約はあるんだと思いますけれども、現状、水力発電量は、約九百億キロワットアワー、全体の約九%ということでございますので、今のお話ですと、五百十三億キロワットアワーということで、現在の半分強のポテンシャルがということかと思います。  さらに、竹村氏は、既存ダムの運用変更あるいはかさ上げ、これによって約三百五十億キロワットアワーのポテンシャルがあるんではないかなということを言われております。ただ、やはりこれには、いろんなコストの問題であるとか規制の問題であるとかいろいろありますので、クリアしなければいけない課題というのは多々あるんだと思いますけれども、この一般水力発電につきましては、平成二十六年四月に策定をされましたエネルギーの基本計画におきましても、一般水力については、運行コストが低く、ベースロード電源としての役割を担っているということで、やはり風力発電であるとか太陽光発電、これは非常に変動が多い中で、やはりどうベースロード電源を持っていくかという意味からすれば、この水力発電というのはまさにベースロード電源としての位置付けであるということでございますので、非常に重要な役割を果たしていくんだろうなというふうに思っております。  ダムを活用するということになると、今、特定多目的ダム法ということで、例えばダムの利用は利水であるとか治水であるとか、こういうものに結構限定をしているような法律があったり、河川法の問題があるということで、いろいろクリアしなければいけない問題はあるようでございますけれども、やはり潜在力がある、一旦造ればコストは余り掛からないという、そういう電力でございますので、是非、国交省、経産省とも連携をして、可能な限り前向きに、この水力発電ということについても環境省としても取り組んでいっていただきたいなというふうに思っております。  再生可能エネルギーに関しまして、もう一点お伺いをさせていただきたいと思います。  これは、この委員会でも以前質問等々があったかと思いますけれども、昨年の九月に総務省の行政評価局から太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査結果の報告書が出されておりまして、環境省と経産省に対して勧告がなされております。  主な点は二点でございまして、災害によって損傷したパネルへの対処、例えばその感電等をどう防止をしていくのかという観点、これとやはりよく言われております使用済パネルの適正処理、リサイクル、これについて総務省の方から行政評価が行われ勧告がなされているということでございますので、この勧告に対してどう対処されるのか、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  25. 山本昌宏

    政府参考人山本昌宏君) ただいま御指摘いただきましたように、昨年九月に総務省から太陽光発電設備の廃棄処分等に関しまして勧告をいただいております。  この中で、今委員指摘のあった災害時の廃棄に対する対処も含めて、使用済パネルの回収、適正処理、リサイクルシステムの構築について法整備も含めて検討すること等を趣旨とするものでございます。  こちらにつきましては、将来、廃棄量の増加が見込まれますので、環境省では経済産業省とともにロードマップを作っておりまして、平成二十七年度に取りまとめて、必要な取組を行ってきております。  具体的には、環境省といたしまして、まず安全なリサイクルや廃棄のためのガイドラインを公表する、それから太陽光パネルの回収構築に向けたモデル事業を実施する、それから太陽光パネルのリユース、リサイクル技術についての実証事業をする、こういったことに取り組んできております。それからまた、メーカーにおきましても、リサイクルシステムの構築に向けた検討が行われておりますほか、処理事業者におきましてもリユース、リサイクルの取組が行われてきております。  この勧告を受けまして、これからの関係業者による自主的な取組の実施状況、それから諸外国の動向を現在調査をしておるところでございまして、今後は、調査結果を踏まえて、太陽光発電設備を適正にリユース、リサイクル、処分するための施策の在り方について経済産業省とも連携し、法整備を含めた検討をしっかりと進めてまいります。
  26. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 非常に今導入も進んでいるところでございますので、やはり非常に重要な課題かと思いますので、今まさに法整備も含め検討ということでございましたので、御検討を是非加速をしていただきたいなというふうに思っております。  続きまして、被災地の着実な環境再生ということで、大臣の方からも先日お話がございました。三月十一日、東日本大震災から七年が経過をしたということで、先日、私も追悼式に出席をさせていただきましたけれども、今なお七万三千人を超える方が避難生活を余儀なくされているということでございます。  ここでは、指定廃棄物の問題について質問をさせていただきたいと思います。  大臣も、先日の所信表明におきまして、指定廃棄物等について、福島では、安全確保を大前提として、既存の管理型処分場への搬入を着実に進めます、その他の県についても、それぞれの状況を踏まえつつ、引き続き安全な処理の実施に向けて地元と調整を進めてまいりますというふうに言及をされております。  この汚染状態が一キログラム当たり八千ベクレル超の廃棄物については、環境大臣によって指定廃棄物に指定をされているということかと思います。その総量が十七万五千トン、うち十四万七千トンが福島でございますので、かなりの部分が福島ということでございますが、栃木県、千葉県、茨城県、宮城県、群馬におきましても一万三千トンから千二百トンまでの指定がなされております。いわゆる五県問題というふうに言われているかと思います。  指定廃棄物につきましては、減容化であるとか性状の安定化、こういった事業も進められているというふうに認識をしておりますけれども、まず福島で発生した指定廃棄物の処理状況、これはどんどん今進んでいるというふうに認識をしておりますが、まず、そちらについてお伺いをしたいと思います。
  27. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) お答えいたします。  福島県におきましては、国が処理を実施することとされています対策地域廃棄物と、それから放射能濃度が八千ベクレル・パー・キログラムを超える指定廃棄物、これを合わせまして特定廃棄物として国が責任を持って処理を進めてございます。  対策地域廃棄物につきましては、被災家屋等の解体や片付けごみの回収を実施するとともに、仮設焼却炉施設での減容化あるいは再生利用を着実に進めているところでございます。指定廃棄物につきましては、農林業系廃棄物、下水汚泥等について、こちらも仮設焼却施設等において減容化を進めております。  また、御指摘のございました十万ベクレル・パー・キログラム以下の焼却残渣、不燃物につきましては、必要な安全対策を行った上で、昨年十一月から特定廃棄物埋立処分施設への搬入を開始させていただいております。  引き続き、安全を第一として、特定廃棄物の着実な処理に取り組んでまいります。
  28. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。福島の方では今着実に進んでいるということかと思います。  他方、五県で発生をした指定廃棄物、これにつきましては、平成二十五年二月に処理施設の選定プロセスが見直しとなって、そのプロセスに従った今対応がなされているというふうに伺っておりますが、現状どうなっているのか、お伺いをしたいと思います。
  29. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) お答えいたします。  福島県以外の各県におきましては、各県ごとに指定廃棄物の種類、それから量、それから濃度など、置かれた状況が異なるものでございます。それぞれの状況に応じた対応をきめ細かに進めているところでございます。  宮城県におきましては、指定廃棄物ではありませんけれども、八千ベクレル以下の農林業系廃棄物を処理する方針が昨年七月に宮城県と関係市町村の間で合意され、本年三月二十日、今週に仙南地域において試験焼却が開始されたところでございます。  栃木県及び千葉県の指定廃棄物につきましては、県内一か所に長期管理施設を整備するという方針の下、詳細調査の実施について地元の理解を得る努力を続けているところでございます。その中で、栃木県につきましては、指定廃棄物を保管する農家の御負担を軽減するために、昨年七月、市、町単位での暫定的な集約化を提案させていただきまして、現在、調整を進めているところでございます。  茨城県及び群馬県の指定廃棄物につきましては、平成二十八年に、長期管理施設を新たに設置することはせず、現地での保管を継続しつつ、濃度が下がったものから順次既存の処分場での処理をしていくという段階的な処理の方針を決定しております。  引き続き、地元の御意見をよく伺いつつ、指定廃棄物の処理を進めてまいります。
  30. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 五県それぞれに事情があるということは認識をいたしました。まさに、大臣の言われたそれぞれの状況を踏まえつつということかと思います。丁寧かつ早期解決のために是非御尽力をいただきたいというふうに思っております。  続きまして、資源循環の件について質問をさせていただきたいと思います。  循環型社会を形成をすること、これは非常に重要なことだというふうに思っております。法体系につきましては、環境基本法をピラミッドの頂点として、循環型社会形成推進基本法、廃棄物処理法、資源有効利用促進法、そして個別物品の特性に応じた規制としては、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法、小型家電リサイクル法と、法体系が整っているわけでございます。  大臣は、先日の所信表明におきまして、冒頭、循環型社会形成推進基本計画の改定を行うという、こういうことに言及をされております。現行の計画にどういう課題があって、どのような方向でこの計画の改定を進めているのか、お伺いをしたいと思います。
  31. 伊藤忠彦

    ○副大臣(伊藤忠彦君) 循環型社会の形成は極めて重要な課題でございます。今般検討を進めさせていただいております第四次循環基本計画は、御指摘のように、社会的な資源制約がある中の効率的な資源の使い方、国内における人口減少、少子高齢化等の社会経済情勢の変化を踏まえまして、今後の長期的な方向性を定める極めて重要な計画となります。  具体的な見直し作業につきましては、昨年度末に検討を開始をしたところでございまして、昨年十月に、中央環境審議会において新計画策定のための具体的な指針を取りまとめていただきました。この指針に沿いながら検討作業を進めており、二月十五日の中央環境審議会循環部会では、新計画の全体案を提示したところでございます。  計画全体案といたしましては、環境的側面、経済的な側面、社会的側面の統合的向上を挙げた上で、重要な方向性といたしまして、まず最初に、地域循環共生圏の形成推進による地域の活性化を挙げます。次に、ライフサイクル全体での資源循環の徹底、そして、適正処理に更なる推進環境再生の実施、万全な災害廃棄物処理体制の構築などを挙げさせていただき、さらに、今後五年間で各主体が実施すべき取組を示しているところでございます。  今年前半に新計画を策定できるように、引き続き中央環境審議会において御審議をいただく予定でございます。  以上です。
  32. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 副大臣、まさに極めて重要な計画というお話がございました。  やはり、地域循環共生圏、この構築をするために非常に重要な計画だというふうに認識をしておりますので、是非、いい計画、今の時代に沿った計画を作成をしていただきたいというふうに思っております。  ちょっと時間が迫っておりますので、幾つ質問を飛ばさせていただきまして、海洋ごみ対策に関連をした質問をさせていただきたいと思います。  先日も、大臣の所信表明におきまして、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策の総合的推進にも着実に取り組んでまいりますという、そういうお話がございました。いわゆる海岸漂着物処理推進法につきましては、議員立法として制定されたのが平成二十一年でございます。まさに今、私ども党内におきましても、また公明党さん、与党で今この問題について協議をしているところでございます。  やはり、十年近く経過をする中で、例えば漂着ごみだけではなくて漂流ごみ、あるいは海底ごみ、これをどう取り扱っていくのか、あるいはマイクロプラスチックの問題というのは今大きな問題になっております。これをどう取り組んでいくのか、あるいは、そもそも発生抑制、これをどうしていくのか、こういう課題があるというふうに私ども認識をいたしております。  先日、新聞を拝見をしておりますと、欧州のプラスチック規制動きについての記事が出ておりました。世界の海洋に漂流するごみの八割以上はプラスチックというふうに言われております。欧州委員会によると、EU域内で年間に捨てられる二千五百万トンのプラスチックのうち、リサイクル用に回収されているのは三割に満たないということでございます。  これらを踏まえて欧州委員会でプラスチック戦略が作られたというふうに伺っておりますが、この内容を御紹介をいただきたいというふうに思います。
  33. 山本昌宏

    政府参考人山本昌宏君) ただいま御指摘ありましたように、本年一月、欧州委員会はEUプラスチック戦略を発表しました。  この戦略におきましては、将来的なビジョンとして、二〇三〇年までに全てのプラスチック製容器包装をリユース、リサイクルが可能なものにすること、あるいは分別収集、リサイクルに関係する二十万人分の新たな雇用を創出することなどの目標が掲げられ、プラスチックの設計、分別収集、リサイクル、再生プラスチックの市場構築等についての施策が記載されております。ただ、具体的な規制手法については、特に、使い捨てプラスチック等に関して今後検討することとされております。  一方、我が国におきましては、先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、現在、循環基本計画の見直し作業をしておりますので、こうした動きも参考としつつ、しっかりとこういった内容を取り込むことを検討しておるところでございます。
  34. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございました。  恐らくいろいろ参考になる点もあろうかと思いますので、基本計画の盛り込みの中で参考にしていっていただきたいなというふうに思っております。  最後に、時間が限られましたので、昨年、炉規制法が改正となりました。新たな原子力規制検査が導入をされるということでございます。私ども、この参議院の環境委員会におきましても附帯決議をさせていただいております。  この新しい原子力規制検査につきましては二項目、第九項目めと十項目めでございます。第九項目めが、「原子力規制検査の導入に当たっては、安全上の重要性やリスク評価に着目して検査対象の選定を行い、その運用や判定の一貫性や予見性、透明性を確保する観点から、原子力事業者等との緊密かつ継続的なコミュニケーションを図りつつ、その具体的な方法をマニュアル等で明確化するなどにより実効性ある運用がなされるよう十分な体制を整備すること。」という点。第十項目めはいわゆる人材の面でございまして、「原子力規制検査の運用においては高い能力が検査官に求められることから、同検査の運用開始までに資格付与等の能力管理の仕組みを整備・公表するとともに、同検査の運用に必要な人員を十分に確保し、検査の実効性を担保すること。」という、この新しい検査関係につきましてはこの二点を附帯決議ということで付けさせていただいております。  まさに、この新しい法律の施行という意味では、二〇二〇年ということでございまして、試運用を経て実運用ということも踏まえて、是非、現段階で、この附帯決議を踏まえてどういう検討がなされているかにつきまして原子力規制庁にお伺いをしたいというふうに思います。
  35. 山田知穂

    政府参考人(山田知穂君) 新たな検査制度を円滑かつ効果的に実施するためには、規制機関と事業者の双方がその趣旨をよく理解をしていることが必要でございます。事業者との十分な議論の上に立って詳細な制度設計を行い、具体的な運用につなげていくことが重要であるというふうに考えてございます。  これまでのところ、原子力規制委員会の下に検討チームとその下部のワーキンググループを設けまして、二十五回の公開の会合を開催をし、事業者からも多数参加をいただいて、議論を重ねてきております。  この中では、原子力規制検査の具体的な方法については、検査ガイドといったような文書化をするといったようなことを議論をしてございまして、具体的な案の提示もして、検討を進めているところでございます。これに加えまして、事業者との間では百回を超える個別の面談というのを開催をしてございまして、その中で事業者から示されました疑問点については、丁寧な説明をして共通認識を持つといったようなことで、丁寧な検討を進めているところでございます。
  36. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 実運用までしっかりと、事業者とも引き続き連携を取りながら進めていっていただきたいというふうに思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  37. 長浜博行

    ○長浜博行君 長浜博行でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  今日は午前中、ODA特別委員会に出ておりまして、予算の委嘱が、特別委員会ですか、なされているということでありました。なかなか興味深い議論が展開をされていて、ODAで石炭火力発電所の輸出に絡む案件とか、あるいは原発の輸出はODAでどのように担保するかとか、それから河野大臣が、前は行革だったでしょうか、何か担当されておられたということで、行政監視とか行政改革の観点から、今話題になっている公文書管理等々のことに関しての議論とか、こういった議論がされていて、大変充実した質疑ではなかったかなというふうにも思っております。  前回、私が質問に立ったときに、中川大臣の公式ホームページを拝見をしながら、大変きらびやかな御経歴の中で平成十三年一月から環境省ということに気が付いて、ああ、そうだ、総合環境政策局長時代に、これは平成の十三年ですか、私が環境委員会中川局長に御質問させていただいたということで審議をスタートしましたけれども、大事なところを忘れておりまして、その前ですね、今回気が付いたところというのは、一九六九年に大蔵省に入省をされて、ですから環境省は約二年間だったと思いますが、二年か三年ですよね、ほとんど財務省におられたということでございます。  それで、平成三年の六月ですか、理財局の国債課長に御就任あそばされて、それから平成四年の七月ですか、理財局の資金第一課長、総務課長は御経験はされたんでしょうか。ですから、もう課長を三つもこの理財局でされて、平成八年七月には理財局の次長、そして、ついに平成十年七月に理財局長に御就任をされているという状況であります。  ここには佐藤元次官もおられますけれども、次官経験というよりは、この理財局での豊富な御経験という状況の中において、昨今の状況についてどのようにお感じになっておられるのか。テレビなんかを見てみますと、元大蔵省にちょっといたとか経産省で経験があるとか、そういう方があたかも見てきたように解説をされる場面がありますけれども、多分、これだけ理財局経験の長い国会議員は多分存在をしていないというふうにも思いますので、昨今の状況について大臣はどのようにお感じになっておられるのか、御感想を拝聴できればと思います。
  38. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 私の経歴を御紹介いただきました。現在、私は環境大臣原子力防災担当大臣を拝命しておりまして、その立場で現在の財務省の問題についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。  その上で申し上げますと、公文書というのは、平成二十三年施行の公文書管理法で、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として主権者である国民が主体的に利用し得るものとされておりまして、行政機関としてその管理の適正を確保することが重要であると考えております。  この基本的考え方は、公文書管理法が施行されております現在も、その前も変わらないものというふうに認識いたしております。
  39. 長浜博行

    ○長浜博行君 余りそういうふうに強烈にガードを張られることもなく、今申し上げたように、そういう行政の経験が政治家になる前に大変おありになるわけでありますので、私どもに御教示をいただければというふうに思うわけでございます。  憲法第六十六条の第三項に、内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負うという、こういうことがあります。ですから、先ほど申し上げたように、多分、ODA特別委員会の中においても、外務大臣は、この今置かれている状況の中において何が問題なのかという部分について素直にお話をされているのではないかなというふうにも思っているところでございます。  確かに、今回の問題の真相というのは、来週にも証人喚問が予定をされているようでありますから、その問題についてお聞きをしたいわけではないわけでありますが、大変、行政の信頼がゆがめられたという状況になっておりますし、安倍総理自身が予算委員会で行政全般に対する不信となっているということで答弁もされているわけでありますので、環境省の中においても、今大臣お話しになられた公文書の管理の問題とか、あるいは情報公開の問題とかについて認識を十分持っておられるかどうかということも大きな問題になってくるのではないかなというふうにも思うわけでございます。  今お話にありましたように、公文書管理法、公文書等の管理に関する法律というのは、大昔にできたわけではなくて、何と二〇〇九年成立で、二〇一一年から施行されているわけであります。それより古いといっても、情報公開法に至っても、一九九九年に成立をして、二〇〇一年に施行されている。二〇〇一年というのは、環境省が、環境庁から環境省になったときでございますので、そのときになって初めて車の両輪の一つであるところの情報公開法ができ、それから十年たって公文書管理法ということが福田総理の大変強い御決意の中において成立をしてくると、こういった歴史的な経緯もあるわけでございます。  これは、行政機関の保有する情報の公開に関する法律という情報公開法があって、そして公文書としてどう管理をされているのかなと、こういう状況になるわけでありますが、考えてみれば、私が申し上げた年次のもっと前に、この役所は公害問題等々、前回、滝沢筆頭理事が出張報告というか、お読みになりましたけれども、四日市の公害ぜんそく等々、様々な公害の問題を克服をしながら、そしてまだ解決されない問題があるからこそこの後に公健法の審議に入っていくわけでありますが、こういった歴史を持っている役所でもあるわけでございます。  この情報公開等々あるいはこの管理されている公文書等々でよく言われることでありますけれども、不開示あるいは一部開示、まあ、のり弁とも呼ばれますけれども、こういったことにもなるわけでありますけれども、環境省においては、いわゆる情報公開法に基づくところの開示請求というのは年間どのぐらい出てくるものなのでございましょうか。
  40. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) お答え申し上げます。  情報公開法に基づきます開示請求の件数でございますが、平成二十八年度の数字でございますが、平成二十八年度一年間で新たに受け付けた件数は三百五十二件となってございます。
  41. 長浜博行

    ○長浜博行君 それで、例えば一部開示をし、あるいは不開示という状況の中で行政不服審査法による不服申立て、これは不適法という判断するものは除きますけれども、こういった手続に進むものはどのぐらいあるんでしょうか。
  42. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) 先ほど平成二十八年度の開示請求が三百五十二件と申しましたが、必ずしもそれに対応いたしませんが、平成二十八年度の一年間で受け付けた件数、実は二十七年度に開示請求があって、それで不服審査に行ったというものもございますので、先ほどの三百五十二件に一対一で対応するものではございませんが、平成二十八年度に不服申立てを受け付けた件数は十二件というふうになってございます。
  43. 長浜博行

    ○長浜博行君 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律というのも別建てでできておりますが、環境省では独法といえば国環研が浮かびますし、あるいは、これまた視察をさせていただいた関係からすれば、健康被害の救済をする独法もあると思います、これはPCB関係ですね。こういった独法に関してはいかがでしょうか。
  44. 中井徳太郎

    政府参考人中井徳太郎君) お答え申し上げます。  環境省所管国立環境研究所、環境再生保全機構、二つ独立行政法人がございます。この独立行政法人につきましても、公文書等の管理に関する法律、また、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の適用対象となります。したがいまして、これらの関係法令に基づきまして、一義的には法人自らにおいて適切に判断することが基本と考えております。  その上で、公文書管理、情報公開につきまして、適切に進むことが何より重要なことと承知しておりますので、独立行政法人通則法に基づきます所管省庁の立場で、所管の独立行政法人に対しまして適切な対応がなされるよう指導しておるところでございます。
  45. 長浜博行

    ○長浜博行君 この情報公開に基づいて、そして今度は公文書管理というふうになってくるわけでありますけれども、幾つかの省庁の中においては、例えば総務省とか、もう独自に自らの省の公文書管理の実態、もっと言えば改ざん、言葉が悪いですが、文書の書換え、こういったことが行われていたのかどうかを独自調査をされている省庁もあるやに伺っておりますが、環境省はいかがですか。
  46. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 最近の公文書管理や決裁文書の取扱いをめぐる諸問題に鑑みまして、まず、環境省としても公文書管理の在り方について適正な取扱いを確保する観点から、一つは修正履歴等が残る電子決裁のより一層の推進、それから行政文書の適切な所在管理の徹底につきまして、総括文書管理者であります官房長より各職員に向けまして指示を行ったところでございます。  公文書管理に関しましては、環境省においては現時点では公文書管理法等に定められたルールに従って適正な取扱いを行ってきているものと承知しております。したがって、網羅的な調査が必要とは考えておりません。ただし、仮に今後、個別具体的な問題が生じるような場合には、速やかに各課題対応した調査などの具体的な対策を講じていく必要があるというように考えております。  今後とも、適切な公文書管理の確保について厳正な取組を進めてまいる所存でございます。
  47. 長浜博行

    ○長浜博行君 調査状況といいますか、そのお話はよく分かりましたけれども、やっぱり法律に基づいてガイドラインというのが出てくるわけでありますが、基本的にはその一人一人の公務員の意識に係る部分というのは大変大きいと思いますが、その部分は、今官房長というお話がありましたから、直接大臣あるいは副大臣や政務官がこの問題について省の役人の皆様方に何かお話をされるのかどうか分かりませんが、あえてお聞きしますが、公務員出身の大臣ということもありますけれども、これもちょっと予算委員会の中でも議論に出ておりましたが、普通に働いている公務員の皆様方が、刑事訴訟法の二百三十九条の第二項というやつです、いわゆる官吏とか公吏はその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは告発をしなければならないという、こういった規定は、普通の公務員の皆様はこの意識は、ここは環境委員会でありますから環境省の方々はどのぐらいこの意識を持っておられるのか。訓示規定じゃないのという解釈もあるようでありますが、いや、これは大変大切な義務規定であって、その違反は国家公務員法八十二条一項二号の懲戒事案になるんだと、こういうところまで、一年生になられた職員の方から、あるいはまさに文書管理者になる方に至るまで、教育というものはどういう状況でされているんでしょうか。
  48. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) お答え申し上げます。  まず、御指摘の刑事訴訟法の規定そのものについてということではございませんが、公文書管理法あるいは情報公開法につきまして、これまでも新人の採用職員やあるいは転入者、他省あるいは各県などからの自治体などからの転入者向けに毎年度研修を実施してきております。また、今年度は新たに補佐級の職員を対象に公文書管理研修を実施しているということで、公文書管理をめぐりましてはしかるべき研修を実施してきているというところでございます。  今後とも、その充実を図ってまいりたいと考えてございます。
  49. 長浜博行

    ○長浜博行君 そうすると、今、環境省あるいは環境行政においてはいわゆる今問題になっているような事案は発生していない、発生するおそれもないということで理解してよろしいでしょうか。
  50. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 現在のところはそういった問題があるというふうには認識しておりません。ただ、これからいろいろなもし仮に御指摘等がございましたらしっかりと対応していかなければならないというふうに考えております。
  51. 長浜博行

    ○長浜博行君 是非、こういう問題にも、なかなかこれだけの問題にならないと、はっきり申し上げて、こういう日常の業務の中において自然に流れていることはチェック機能が働きづらいというふうに思いますので、是非よろしくお願いいたしたいと思います。  前回は、大臣の所信で、気候変動とか温暖化対策についてからスタートしましたけど、磯崎先生が先ほどやられた部分もありますので、聞くところによるとあしたも質問の機会をいただけるようでもございますから、今日はこの被災地の着実な環境再生推進についてというところで、大臣お話しになられたことでお話ができればというふうに思います。  まさに、七年が東日本大震災から経過をし、私ども千葉県も被災地でありましたので、三月十一日は千葉県の旭市で行われた追悼式に参加をしてまいりました。津波被害で十四名の方が関連死も含めて亡くなられ、四千軒弱が津波による被害を受けたというようなところでもございます。  大臣は国立劇場での追悼式に出られているというふうに思いますが、七年を経過をしてどのような御感想をお持ちになりましたか。
  52. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 東日本大震災から七年が経過いたしましたが、改めて、震災で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表すとともに、被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。  環境省の任務でございます除染、中間貯蔵、廃棄物処理といった被災地の環境回復に向けた取組は、地元自治体や住民の皆様方の御理解の下で一歩一歩着実に進んできているというように考えております。除染につきましては、この三月末で終了いたします。そして、中間貯蔵施設の整備も、地主の皆様方の御理解をいただいて、用地の取得、建設を含めて着実に進んでいるというふうに思います。廃棄物処理につきましても、処分場の今稼働が進んでいるという状況でございます。  しかし、今後とも、被災地の復興、創生は引き続き最優先の課題であるというように認識いたしておりまして、着実に進んではきているものの、まだまだこれから更なる進捗を図っていかなければならないわけでございまして、被災地の復興、創生の更なる加速化に向けて、環境省の総力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
  53. 長浜博行

    ○長浜博行君 規制庁の委員長にも来ていただいておりますので、更田委員長規制委員会をつくった当初から大変御尽力をいただいているわけでありますけれども、前委員長の田中俊一前委員長は、飯舘村ですか、にお住まいを造られて、菅野村長から復興アドバイザーとして、人口、あそこは六千人弱だったぐらいだと思いますけれども、そこにお住まいをされながら、今また活動されているようでございます。  更田委員長自身も、去年の十二月、飯舘村を訪問されたりしておりますけれども、今環境大臣が申し上げたこの除染の状況、一応この三月をもってという状況の中において田中前委員長と何かお話をされたか、この除染の状況について御感想があればお聞きをしたいと思います。
  54. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) お答えいたします。  三月十一日で、東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から七年が経過をいたしました。しかしながら、まだその事故の被害を左右するような判断はこれからも続いておりまして、私たちにとって重要なのは、事故はまだ終わっていないという認識を新たにすることが重要だろうと考えております。  私たちは、そもそも原子力規制委員会は福島第一原子力発電所事故に対する反省、強い反省と教訓とに基づいて設置された組織でありまして、この間、原子力に対する確かな規制を通じて人と環境を守るということを使命として原子力規制を確立することに邁進してまいりましたけれども、しかし、この経験が積み重なる中でも、設立当初の決意、初心を忘れずに業務を進めていくことが重要と考えております。  御質問の、飯舘村で田中委員長と一緒に各市町村を回る機会を持たせていただきました。やはり、既に申し上げたように、まだこれからも、これは原子力規制委員会だけではありませんけど、まだこれからも、事故の被害を更に広げる、ないしは的確にそれを、事故を収れんさせていく、被害を小さくしていくというような判断はまだこれからもまだまだ続くと考えております。  原子力規制委員会にとっては東京電力福島第一原子力発電所の非常に困難を極める廃炉作業に対する規制が直接的な関与になりますが、これからの判断は、ますます周辺の方々、地元の方々、市町村の方々に関わるような判断をしていくことになりますので、コミュニケーションに努めながらきちんとした規制を進めてまいりたいと考えております。
  55. 長浜博行

    ○長浜博行君 この除染基準ですね、コンマ二三マイクロシーベルト毎時、この空間線量でいう一ミリシーベルト年間、こういったいわゆる当初様々な議論があった除染基準については、もうその地域の皆様の中には消化をされていると言ったらいいのか、こなされていると言ったらいいのか、理解されていると言ったらいいのか、この点についてはどうでしょうか。
  56. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) お答えいたします。  これも昨年十二月に福島県の市町村、首長さんを中心にお話を伺う機会の中で出てきたことですけれども、〇・二三マイクロシーベルトというものと実際にそこへもう既に戻られている方との実感との間にはやはり乖離が生まれてきているように思います。〇・二三マイクロシーベルト、空間線量率〇・二三マイクロシーベルトというのは、事故が起きた後、間もない間に、まだデータもない中で様々な仮定を置いて、そして安全側を見て、空間線量率の〇・二三マイクロシーベルト・パー・アワーと個人の年間被曝線量一ミリシーベルト・パー・イヤーを関連付けたものでありますが、その後、データが随分蓄積をされてきています。更に言えば、そのデータに基づいた研究論文等も現れております。  そういった意味で、地域の方々のお話の中でも私が強く印象を受けたのは、やはりそのデータの蓄積が進んだのであるから真実により近いものを知りたいと、本当に〇・二三マイクロシーベルト・パー・アワーの環境がそこでの生活が年間の被曝線量一ミリシーベルト・パー・イヤーに相当するのかそうでないのか、やはりよりデータが積み重なった後は真実に近いことを知りたいという声を受けました。  したがって、やはり今データが積み重なった中で、分からない中で仮定を置いていた値ですから、それを見直して、どのぐらいの空間線量率での環境が年間被曝線量一ミリシーベルト・パー・イヤーに当たるのかというのを見直すということは重要であると考えております。
  57. 長浜博行

    ○長浜博行君 是非、環境省の皆さんも、今の委員長の言われたことを御理解をいただければというふうに思っております。  除染作業の中において、外国人技能実習制度に違反をしているのではないかという案件が取り上げられたことがあります。去年の十一月に外国人技能実習適正実施法が施行されておりますし、この問題について、法務省から、あれは何だったのか、質問主意書に対する答えか、あるいは会見がされたのか分かりませんが、この問題についてどのように認識をされていますか。
  58. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 法務大臣から、今後技能実習の内容として除染作業を一律に認めないこととしたとの表明があったことは承知いたしております。報道があった技能実習生の除染・解体作業への従事が関係法令上適切であったか否かにつきましては、引き続き技能実習制度を所管する省において確認中であると承知をいたしております。  環境省としては、法務省等において技能実習制度における除染等業務の取扱いが公表されましたので、三月十五日付けで、業界団体に対しましてその旨周知を行ったところでございます。また、技能実習制度を所管する省が行う調査に必要な情報提供を行っております。  いずれにいたしましても、環境省としては、引き続き、関係省と連携しつつ、除染・解体事業者に対して法令遵守の徹底やガバナンスの強化を指導してまいりたいと考えております。
  59. 長浜博行

    ○長浜博行君 是非よろしくお願いをします。  東電に伺います。凍土壁の効果について御説明をください。
  60. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 東京電力ホールディングスの小早川でございます。  本日、環境委員会につきまして初めての参加となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。  ちょっと、まず御質問にお答えする前に、冒頭ですが、福島第一原子力発電所の事故から七年が経過いたしましたが、今なお発電所周辺の地域の皆様、広く社会の皆様に多大なる御負担、それから御心配をお掛けしておりますことを改めて深くおわび申し上げます。  ただいま御質問いただきました凍土壁の効果につきましてですが、凍土壁はサブドレーン、それから地下水バイパス、構内敷地舗装を組み合わせた重層的な汚染水対策として汚染水の発生量を低減させる効果を発揮しており、効果はあったと考えております。  当社は、二〇一八年三月一日に、凍土壁の効果につきまして評価を取りまとめ、公表しております。重層的な汚染水対策の進捗により、安定的な地下水位管理が可能となり、その結果、雨の少ない時期で比較いたしますと、二年前の同時期と比較しまして、一日当たり約五百二十トンの汚染水量から併合後は一日当たり約百四十トンまで汚染水発生量が低減しております。  凍土壁の効果は数値のシミュレーションに基づき推計しました結果でございますが、一日当たり九十五トン程度の削減効果があると試算されております。凍土壁がない場合と比較して汚染水発生量を半減する効果があったと推計しておりますが、当社は今後とも、重層的な汚染水対策全体を適切に運用することにより、一層の汚染水発生量の低減に努めてまいりたいと考えております。
  61. 長浜博行

    ○長浜博行君 費用対効果という意味においては、私の知る限り三百数十億の予算と、それから維持費はどの程度でしょうか、十数億ぐらい掛かるんでしょうか、こういったもの等を含めて、それから今御説明あったように、基本的にはゼロになるわけではないので、いわゆる貯蔵しているタンク等々の数が増え続けているということもありますが、総合的に判断をされていかがでしょうか。
  62. 小早川智明

    参考人小早川智明君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。  凍土壁につきまして、汚染水問題の解決が急務である中、サブドレーンとともに地下水の流入抑制のために地下水の水位を管理するシステムを構築する上で必要不可欠な対策として実施してきたものでありまして、費用対効果を目的として設置したものではないと承知しております。凍土壁は、廃炉全体のオペレーションに対して大きな効果があると考えておりますが、仮定の置き方で金額が変わるものでもあり、明確に数字で表すことは難しいと考えております。
  63. 長浜博行

    ○長浜博行君 タンクの問題はいかがですか。
  64. 小早川智明

    参考人小早川智明君) タンクの現状でございます。  まず、タンクの容量につきましては、二〇二〇年十二月末までの処理水の想定発生量約百二十五万トンに対しまして、二〇二〇年十二月末に約百三十七万トンを確保できる見込みでございます。それ以降は、今後の汚染水の発生状況を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。
  65. 長浜博行

    ○長浜博行君 適切に対応するその限界をどこまで考えるか、あるいは、先ほどの御発言にあるとおり、費用対効果を考えなければやれることは何でもやるという答えは出てくるんだというふうに思いますけれども。  それでは、今、タンクの中に含まれているものを含めて、いわゆる放射性物質を含んだ処理水をどうするかということだというふうに思います。トリチウムが多核種除去設備、ALPSでも取り除けないという状況の中において、いわゆるタンクを造り続けるのか、海洋放出を判断をされるのか、この点についてはいかがですか。
  66. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 多核種除去した処理水の最終的な取扱いにつきましては、現在、国の小委員会において技術的かつ社会的な観点から更なる総合的な検討が進められておるものと認識してございます。  当社といたしましても、技術的な側面のみならず社会的な安心が前提と考えておりますので、小委員会の議論を踏まえ、国及び関係者の皆様の御意見を伺い対応方針を決定してまいりたいと考えております。    〔委員長退席、理事滝沢求君着席〕
  67. 長浜博行

    ○長浜博行君 私は、これは全く個人的な意見でございますけれども、これの判断をするというのは、なかなか一民間企業の判断においては、社長さんの発言の中には出てきたか出てこなかったか分かりませんが、なかなか厳しい判断ではないかなというふうにも思うわけでありますが、更田委員長、国際的ないわゆるこの分野での常識等々を含めて、トリチウム汚染水と言ったらいいんでしょうか、トリチウムが取り切れないというこの汚染水の状況をどのようにお考えになりますか。
  68. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) お答えいたします。  トリチウムを含んだ水の海洋放出ですけれども、これはいわゆる事故を起こしていない通常の原子力施設でもこれまでも行われてきたものであって、その総量でいいますと、各発電所も、それから今後運転を予定している、計画されている再処理施設等においてもトリチウムを含んだ水の海洋放出が計画をされています。また、発電所では実施されてきました。  国際的なという点でいいますと、これは炉型にも依存をしますけれども、例えばカナダのここはCANDU炉という重水炉を使っております関係から、カナダなどははるかに多くの量のトリチウムを含んだ水を海洋へ放出をしております。  したがいまして、これまでの実績に鑑みて言えば、現在、東京電力福島第一原子力発電所で貯留をしているトリチウム以外のものを取り除いた水の海洋放出というのは、これまでの実績に照らして考えれば問題のないものと考えています。  しかしながら、やはり事故で発生した水であるということ、それから、一旦トリチウム以外の例えばセシウムですとかそういったものも含んだ、除かれたとはいえ、一旦それと交わった水であるということから、科学的、技術的な問題というよりは、むしろ社会的ないしはマーケットに与える印象といった経済的な問題の方がより大きなことであろうと考えています。  一言で言えば、風評被害というのが最大の問題であると考えておりまして、原子力規制委員会としては、基準を満足する形で希釈放出するのであれば環境に影響は出ないという認識を持っていて、この認識を今後とも丁寧に御説明をしたいと考えていますけれども、直接のお尋ねに関して言いますと、国際的な今までの実績等に照らして考える上で、科学的、技術的な観点のみで言えば、十分希釈放出がかなった方策であろうというふうに考えております。
  69. 長浜博行

    ○長浜博行君 大臣、ここなんですね。だから、なぜこのトリチウム水が発生をしているかというところまで行くと、この議論というのはなかなか大変な議論ですが、今現在あるこの汚染水というこれをどうするかという問題について、今の東電の社長さんの御説明とそれから更田委員長説明、ファクト、科学、エビデンスベースドと、それで解決できないこの風評被害という問題があります。    〔理事滝沢求君退席、委員長着席〕  私も先般は台湾にお邪魔をしたときに、千葉県産の農水産物はやはりこの影響で輸入ができないという状況になっているところ、これはもう知事も言っていますし、党派関係なく、いや、そういうことはないんだというふうに説明をしても、なかなか今近隣の国、韓国ですか、等々含めて、この問題というのは存在し続けているわけでございます。  ですから、どう言ったらいいんでしょう、エビデンスベースドとは離れるこの風評被害という問題について、大臣はどのように認識をされておりますか。
  70. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) この福島県の風評被害払拭に向けて、政府としては昨年十二月に、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を取りまとめたところでございます。本戦略では、知ってもらう、食べてもらう、来てもらうという観点から、どのような対象にどのような内容を伝えるべきか、また、発信の工夫について具体的に取りまとめているわけでございます。環境省としては、この戦略に基づき、リスクコミュニケーションに関する取組を強化してまいります。  具体的には、知ってもらうという観点から、自治体の新人、新任職員や、児童生徒、保護者、教師等を対象とした研修、セミナー等の充実強化を行います。また、相談員支援センターを活用した放射線に関する健康不安対応の好事例の共有、環境再生プラザ等による情報発信の強化を図ってまいります。さらに、来てもらうという観点から、新宿御苑等を活用した福島の環境再生状況の発信や、修学旅行の説明会等において放射線の正しい知識の提供を行ってまいります。  このような努力を続けて、風評被害の払拭に努力をしていきたいというふうに思っております。
  71. 長浜博行

    ○長浜博行君 先ほども中間貯蔵施設の問題が出ました。福島地方環境事務所におられる環境省を始めとして各省の職員の皆様が大変御苦労をされているということはよく分かっております。今全国的に問題になっているところの土地所有者不明問題、これはもう中間貯蔵施設を取っかかりでやったときには物すごい大きな問題になったわけでありますが、この中間貯蔵施設ではなく、土地所有不明問題を大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  72. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) この中間貯蔵施設予定地の用地取得に関連して、連絡先を把握できていない地権者の方は約四百七十人、面積にして約五十一ヘクタールでございまして、全体面積の約三%になっております。  このようないわゆる所有者が不明な土地が特に早期の施設整備に必要となる場合には、用地担当職員において、相続財産管理人制度、不在者財産管理人制度、認可地縁団体制度などの各種手続を活用した取組を鋭意推進しているところでございます。  引き続き、地権者の皆様から御理解と御協力を得られるよう、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
  73. 長浜博行

    ○長浜博行君 私の質問は土地所有者不明問題をどのように考えるかという質問でありましたんですが、そういうお答えでありますから、それはそれとします。  指定廃棄物の、先ほどの御質問もありましたように、千葉県でも柏市、千トン以上の指定廃棄物を抱えているところに、昨日、おとといですか、環境省から来ていただいたようでもあります。どういう御説明をされ、どういう納得を得られたのか、御報告をいただけますか。
  74. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) お答えいたします。  柏市において、四か所において説明会を開催させていただきました。主には、今までに千葉県あるいは千葉市との私どもの調整の状況、これを御報告させていただき、そして各県全体の指定廃棄物の保存状況等も御説明させていただき、基本的には柏市の指定廃棄物の保管を継続していただけるようにお願いしたということでございます。
  75. 長浜博行

    ○長浜博行君 それで納得を得られることはできましたか。
  76. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) 全ての方が納得されたというふうには理解してございません。申し訳ございません。
  77. 長浜博行

    ○長浜博行君 一月十二日に柏と松戸と流山と我孫子の市長が大臣に直接面会をして、大臣お話をされておりますけれども、今の報告を聞いて、大臣、いかがですか。
  78. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 千葉県におきましては、指定廃棄物を一時保管いただく状況が続いておりまして、周辺住民の皆様方を始めとする関係者の方々に大変な御苦労と御心配をお掛けしておりまして、申し訳なく思っております。  今局長答弁いたしましたように、出向いて御説明をいたしましても、もちろん皆様方に、全員に御納得をいただくという状況にはないわけでございます。大変難しい問題でございますが、国といたしましては、千葉県内の指定廃棄物を一か所の長期管理施設に集約して管理するという方針に変更はございません。そのために、まずは詳細調査候補地である千葉市等の理解を得るための努力を継続してまいります。  ただ、指定廃棄物の処理が非常に難しい課題であるという状況でございまして、千葉県において今のような状況が今後も長く続いてはいけないという強い思いを持って、関係者との意見交換を重ねつつ、他県での対応も参考にしながら、処理に向けた取組を進めていきたいというふうに考えております。
  79. 長浜博行

    ○長浜博行君 よろしくお願いします。  残余の質問は、また明日お願いをいたします。  ありがとうございました。
  80. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博です。  東日本大震災並びに福島原子力発電所の事故から七年がたちました。いまだ避難者は七万三千人、プレハブの仮設住宅にお住まいの方は一万五千人という状況でございます。  私ども公明党は、全国会議員、被災が特に大きかった福島、宮城、岩手、いずれの県かの担当を持ち、それぞれが復興の責任者だという決意の下、この七年間、地元とともに歩みを進めてまいりました。先日も、各三県では復興会議を開催をいたしまして、私も担当県でございます岩手に赴き、現地も併せて視察をさせていただいたところでございます。七年たちましたけれども、風化と風評、この二つの風と闘い続けていくんだという決意を新たにしているところでございます。  大臣所信では、被災地の着実な環境再生推進するとお述べになられまして、放射線に係る住民の健康管理や健康不安への対応についても、福島県の県民健康調査への支援などを適切に進めていくという御発言でございました。  福島県の県民健康調査、甲状腺の検査結果によりますと、その結果によりますれば、県内で発生している甲状腺がんと福島原子力発電所の事故の影響による放射線との因果関係は認められないという調査結果を発表されておりますが、この件が正確に国民に理解されているかといいますと、私は、必ずしもそうではないと。甲状腺検査をやりました、こういう結果になりましたということだけが独り歩きをしまして、私、地元九州ですが、川内原子力、既に再稼働しております、玄海原子力も再稼働を間近に控えて、地元でも、甲状腺のがんが出たんですねというような報道だけが独り歩きしているという面も否定できないというふうに私は思っておりまして、環境省として、こういった状況をどういうふうに受け止めておられますでしょうか。また、国民の誤解や不安、こういったことをどのように解消していかれるおつもりか、大臣の御所見をお伺いいたします。
  81. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 甲状腺検査の二巡目以降の検査の評価につきましては今後の議論の動向を注視していく必要がございますが、一巡目の検査で発見された甲状腺がんにつきましては、福島県の県民健康調査検討委員会において、放射線の影響とは考えにくいと評価されているところでございます。  環境省といたしましては、国民の誤解や不安を解消するために、医学等の専門家のコンセンサスを得られた科学的知見を国民の皆様にしっかりと発信していくことが重要であると考えております。政府全体として風評の払拭に取り組んでいるところでございますが、環境省といたしましても、放射線に関する科学的知見や関係府省庁の取組などを集約した資料を作成いたしまして、毎年度更新いたしております。また、同時に、こうした資料を活用した研修会や地域のニーズを踏まえた住民参加の意見交換会などの取組を進めているところでございます。  住民の皆様の不安な気持ちにも十分に寄り添いながら、今後も引き続きリスクコミュニケーションの取組を進めてまいりたいと考えております。
  82. 河野義博

    ○河野義博君 リスクコミュニケーションは非常に大切な観点だと思っております。不安を是非とも解消していかなければなりませんし、誤解を与えるような報道がなされないような取組というのも私は大切だろうと思います。結果は、青森や山梨、長崎、こういったところで検査をした結果とほぼ同様の結果ということで、福島県だけが特異な状況にはないということをしっかりとやはり改めて大臣以下皆様方から広めていただくというのが大切なことではないかというふうに思います。  続きまして、地球温暖化対策に関しまして伺います。  各地で局所的に雨が降り、その降り方が激甚化し、局地化しています。また、台風も大型化しておりまして、今まで経験したことのないような台風被害が毎年のように起こるようになってきた。直接的な因果関係ということでは、必ずしも地球温暖化ということがストレートに結論付けられてはいないというふうに承知をしておりますけれども、いろんなところで、研究の成果から見ても、やはり温暖化の影響というのが大きな影響を与えているということは間違いないんだろうなというふうに思います。  その観点から、私、二つの角度で質問したいと思っておりますが、まずは二〇五〇年までにどう取り組むのか、二〇三〇年までにどう取り組むのかということを分けて質問したいと思っておりますが、まず、二〇五〇年までの温室効果ガス排出八〇%削減に向けた取組でございます。  大臣の御挨拶の中では、温室効果ガス国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体の排出量削減に最大限貢献し、我が国の更なる経済成長につなげてまいりますという御決意でございました。現在、環境省内では、二〇五〇年度までの温室効果ガス排出八〇%削減に向けた長期の低排出発展戦略の策定に向けて議論が進められております。  私は、これ私見でありますが、今ある政策を積み重ねていくということではこの八〇%削減というのは到底実現不可能だと、私は個人的には思っております。大切なことは、こういった高い目標に向かって何をやっていくのかということだと思っておりまして、実現困難とも一見捉えられるような目標を掲げても、それをゴールとするのかターゲットとするのか、これも一つ議論があるようですけれども、こういったゴールに向かって新しい技術とか価値というのを創造していく、産官学が英知をまさに結集をして世の中を根本的に変えていかなければ、この八〇%目標というのはなかなか達成は難しいんじゃないかと思います。  逆に言うと、この社会を変えていくことで新しい価値とか経済とかが生まれていくんだろうと私思っておりますし、こういったことを環境省は是非とも牽引していただきたいというふうに思いますし、CO2排出削減はコストが掛かるという固定概念ではなくて、この概念を抜け出して、むしろこの野心的な目標達成に向けて新たな価値を生み、前向きに経済政策として位置付けていくべきだろうと私は思っております。  その上で、長期の低排出発展戦略策定に向けての大臣の御決意、また具体的な検討状況を教えていただきたいというふうに思っております。
  83. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) パリ協定の下で、我が国の優れた技術、ノウハウ等の強みを生かしながら国内での温室効果ガスの大幅な排出削減を目指し、同時に世界全体の排出削減に最大限貢献し、二〇五〇年、そしてその先の世界の脱炭素化を牽引していく決意でございます。そのためには、脱炭素化に向けた大胆な方向性を示し投資やイノベーションを促すことで、気候変動対策を契機として、我が国が抱える経済、地域などの諸課題との同時解決を図るための長期戦略が必要であるというふうに考えます。  環境省では、先週十六日に、長期大幅削減に向けた基本的な考え方をお示ししたところでございます。具体的に申し上げますと、技術のイノベーション、これはもうもとより、その技術を普及させる経済社会システムのイノベーションというのが重要であるということ、それから、施策を今から講じ二〇四〇年頃までに大幅削減の基礎を確立することが重要であるといった長期大幅削減の鍵となるメッセージをまとめたところでございます。これを新たな成長につなげていくための長期戦略の土台の一つとして生かしてまいりたいと考えております。  また、来年度の早い段階から政府全体としての検討を開始できるよう、政府部内でその検討の場等を含めて、今必要な調整を進めているところでございます。
  84. 河野義博

    ○河野義博君 三点いただきまして、現行取組の延長であると、もう一つは現行の技術を普及させる経済社会システムのイノベーションだと、もう一つ技術的なイノベーションを起こし続けていくということでありました。  この二番目のやっぱり現行技術を普及させる経済社会システムのイノベーション、これは非常に大事だなと思っておりまして、最先端の技術があるわけでありまして、これをどう普及させていくか。そこで経済社会を変えていくんだという点、非常に大事な点だと思うんですけれども、本件に関して、具体的に、ではどういうふうに取り組んでいくおつもりでしょうか。
  85. 笹川博義

    大臣政務官笹川博義君) お答えをさせていただきます。  大臣からも様々な御指摘がございましたが、蓄電池や省エネ機器などの現存する我が国の優れた環境技術さらには製品などを徹底的に普及させることにより、相当数程度の温室効果ガス排出削減と市場の活性化が期待されているというふうに思います。このために、低炭素な製品、サービス、ライフスタイルを普及させるいわゆる経済社会システムのイノベーションを創出していくことが重要であり、そのために施策の果たす役割は大きいものと考えております。  環境省といたしましては、一に、脱炭素化という確かな方向性を示し、投資の予見可能性を高める長期戦略の策定、そして、あらゆる主体の創意工夫を促しながら削減に向けた行動を誘発するカーボンプライシングの具体化に向けた検討を始め、消費者の低炭素な選択を促す情報を提供、そしてまた環境金融の促進、そしてまた企業関係者や自治体職員などの担い手の育成など、脱炭素化に向けた方向性に向けて各種施策を総合的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  86. 河野義博

    ○河野義博君 カーボンプライシングについても触れていただきましたので伺います。  中長期的なカーボンプライシングの導入に向けて議論が進められております。単にこれは炭素は有料なんだ、炭素を使う人というのはコストを負担しなきゃいけないんだという認識を広めるだけでは私はならぬと思っておりまして、脱炭素化を通じてやっぱり社会構造を変えていく必要があるんだろうと、それと同時に新しい価値も生まれてくるんだという議論を是非とも深めるべきだろうと思います。  例えば、再生可能エネルギーによる発電、コストが非常に高くて、誰が高い電気を買うんだという議論もありましたが、今では高くても再エネを買いたいという人が世の中に出てきて、しかも再エネを使っていなければグローバルなサプライチェーンの中に入れませんよという取組も始まってきた、まさに誰も思ってもしなかったことが起きてきたということであります。  カーボンプライスに関しても、やっぱり産業界の調整というのは恐らく非常に困難を極めるんだろうと思いますし、省庁間とも丁寧な議論が必要なんではないかなというふうなことは分かった上で、既に導入している諸外国の例なんかも交えながら、深く広く検討していく必要が私はあると思います。  改めて、大臣にカーボンプライス導入に向けた御決意を伺えればと思います。
  87. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) カーボンプライシングにつきましては、昨年六月に立ち上げた有識者検討会において、経済や社会問題との関係等も含めて大局的な見地から御議論をいただき、先週検討会の取りまとめが公表されたところでございます。  取りまとめでは、現行施策の延長線上では二〇五〇年八〇%削減の実現が困難な中、カーボンプライシングにより脱炭素社会への移行に向けた共通の方向性を示していくことにより、我が国の経済的社会課題同時解決しながら脱炭素社会への変容を円滑に誘導していくことができるとされているところでございます。  諸外国でも、欧米のみならず近隣の中国や韓国におきましてもカーボンプライシングの導入が広がっております。こうした国では、カーボンプライシングの収入を、気候変動対策への投資はもとより、家計への還元、企業支援など、様々に活用しております。  検討会の取りまとめでは、こうした例も踏まえ、収入の使途について今後更に検討を深めていく必要があるとされています。  要は、カーボンプライシングのメリットというものは極めて大きいと思うのでございますが、一方でいろいろな課題がある、いろんな方から問題点が指摘されるわけでございますが、諸外国の例なども踏まえてそれぞれの課題や問題点を乗り越える、そういった議論を建設的にしていくべきではないかというふうに思っております。  環境省といたしましては、今後も関係者とも丁寧に議論しながらカーボンプライシングについて前向きに検討を進めてまいりたいと思っております。
  88. 河野義博

    ○河野義博君 まさに、課題を乗り越えるリーダーシップを是非とも大臣に発揮していただきたいというふうに思います。  国内対策とともに、やはり日本だけがやっても余り意味がないことでありまして、いかに海外、諸外国を牽引していくかという観点でも伺っておこうと思いますけれども、やはり中国、アメリカ、インドといった実際に排出量の多い国、こういった国々をいかに協調してもらい、そして削減に向けて歩みを進め、実際に削減させていくかということも非常に大事だなというふうに思っておりますが、大臣、度々で恐縮ですが、よろしくお願いします。
  89. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 御指摘のとおり、気候変動問題は、国内での大幅削減を目指すとともに、世界全体で取り組むべき課題でございまして、排出量の多い中国、米国、インドを含め、全ての国が大きな関心を持って取組を進めていくことが重要であると考えております。  米国に対しましては、昨年十一月のCOP23の機会などを捉えて働きかけを行っております。また、いろいろな方々とお目にかかる機会に、私も、とかしき副大臣も、また担当のレベルからもいろいろな働きかけを行っておりまして、気候変動問題は国際社会が取り組むべきグローバルな課題であり、パリ協定の下で米国の関与が引き続き重要であるということを伝えてきております。中国及びインドにつきましても、COP23や世界持続可能性サミットなどの機会を捉えて会談を行い、気候変動対策の重要性をお伝えしております。また、二〇〇五年から毎年、それぞれの国と気候変動対策に関する研究、政策面の意見交換を行うワークショップを開催しておりまして、パリ協定の実施に向けた課題等について議論をしております。  引き続き、世界全体の排出削減に向け、関係各国と連携しながら気候変動政策の着実な実施に取り組んでいきたいと考えております。
  90. 河野義博

    ○河野義博君 各国を牽引するお取組を是非ともよろしくお願いします。  次に、二〇三〇年度目標でございますけれども、二〇三〇年に向けた温室効果ガス排出二六%削減、これは本当にあらゆる政策をもう今総動員しなければ、こちらも達成は容易ではないと私は思っておりまして、今、環境省におきましては二〇三〇年目標達成に向けた政策パッケージの議論がなされておりますけれども、この具体的な内容を簡潔に教えていただきたいと思います。
  91. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 今委員から御質問のありましたものでございますが、これは今週の火曜日、三月二十日に環境省の方で発表しました再エネ加速化、最大化に向けた環境省の具体的アクション、これを取りまとめたものでございます。  再エネ加速化・最大化促進プログラムという名称でございますけれども、このプログラムでは、消費者、企業、そして地方公共団体など様々な皆様方に再生可能エネルギー導入に取り組んでいただけるよう、それぞれの方々にとって再エネに取り組むことがチャンスにもなるんだと、それから、いろいろなメリットがあるんだよ、そういうことを分かりやすく整理をしたものでございます。その上で、環境省の具体的なアクションといたしまして三つの方向性というものをお示ししております。  一つ目は、住まい、オフィスなどエネルギーを使う場での再エネ、省エネ、それから蓄エネ活用の促進でございます。いわゆるZEB、ZEHの新築、改修への支援を行うほか、エネルギー代の節約や健康にも優しい省エネ住宅のメリットをしっかり発信してまいります。二つ目は、地域の再省蓄エネ、ちょっとこれ略して申し上げますが、再省蓄エネのサービスによる地域の自立と脱炭素化の促進でございます。それから三つ目は、大規模再エネの供給ポテンシャルの活用促進というようなことも掲げてございます。  多くの皆様方に御覧をいただきまして、連携、協力しながら地域の再エネ、省エネ、蓄エネ、再省蓄エネの取組一つ一つ実現させていきたいと考えておりますし、関係省庁地域の皆様方としっかりコミュニケーションを深めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  92. 河野義博

    ○河野義博君 再エネ加速化アクション、三ついただきましたので、是非とも進めていただきたいと思いますし、私自身も、前職、再エネに取り組んでまいりましたので、応援していきたいと思っております。  一方で、この二六%目標達成に向けて本当に大丈夫かなと思うのが、石炭火力発電所の建設が進もうとしている点でございます。所信の中にも、石炭火力発電所については厳しく対応していくというコメントございますけれども、これまでの取組、そして今後の具体的な方針を教えていただきたいと思います。
  93. とかしきなおみ

    ○副大臣(とかしきなおみ君) 石炭火力発電所は、最新鋭の技術をもちましても、残念なことにCO2排出係数が天然ガス火力の約二倍となっております。我が国におきましては四十基程度の新増設計画がありまして、仮にこれらの計画が全て実施されてしまいますと、我が国削減目標の達成は困難となります。  世界動きを見ますと、パリ協定が発効し、諸外国では石炭火力発電に対する抑制動きがある中、ビジネスでも投資家でも脱石炭に向けてのかじを大きく切っている現状でございます。実は、この流れは、私も昨年末パリで行われました気候変動サミット、参加してまいりましたけれども、この脱石炭の流れが主流になりつつあると、これを肌で感じてきたところでございます。  環境省では、二月合意に基づきまして、毎年、電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況をレビューするとともに、石炭火力発電所の計画の環境アセスメントにおいて、削減の具体的な道筋が示されないまま石炭火力の新増設は容認されるべきではないと、この考えに立ちまして、事業者石炭火力のリスクに対する自覚を促しているところでございます。  今後も、毎年のレビューにおいて目標が達成できないと判断される場合は施策の見直しについて検討をし、さらに、環境アセスメントにおきましては引き続き厳しい意見を述べるとともに、大臣の意見を受けて事業者の計画的な取組等についてフォローアップを行うなど、引き続き環境省といたしましては厳しい姿勢で臨んでいきたいと、このように考えております。
  94. 河野義博

    ○河野義博君 アセスが必要な、法アセスの対象となる案件には環境省が強い態度で臨めるものでありますし、その点しっかり引き続きやっていただきたいと思うんですが。  これ、度々問題提起させていただいておりますが、環境アセスメントのその対象となる発電所の規模要件というのが再考の時期に来ているんじゃないかなと私は思っておりまして、FIT法施行以来五年がたちましたが、再生可能エネルギー発電の導入というのは余り進んでおりませんし、増えた増えたといっても、その増えた九五%は太陽光発電であります。  その一方で、火力発電の中でも排出係数の高い石炭火力発電所というのが、計画がたくさんあって、四十件、一千八百五十万キロワットですから、原子力発電所の十八個分ぐらい計画されているわけであります。中でも大規模なもの、十五万キロワット以上あれば法アセスの対象ですが、それ未満は法アセスの対象ではありませんので、環境省が実際にアセスの中で効力を発揮するというのはなかなか難しい。そして、小型ですからもちろん排出係数も高い。小型とはいっても火力発電所十五万キロワットといいますとそこそこ大きくて、石炭火力ですから稼働率七割ぐらいと仮定しますと、大体二十八万三千世帯ぐらい賄えてしまう規模の発電所なんです。これも環境アセスの対象外ですから、石炭火力発電所が造れちゃうんです。そこそこの中核都市ですよ、二十八万世帯って。二十八万世帯賄えるそこそこ大きい石炭火力発電所ですが、法アセスの対象外になっている。  かつ、石炭火力ですらこういう状況ですが、加えて混焼バイオマスバイオマス発電所ですから、排出係数自体には悪化する影響は余りないんですけれども、実際問題はそこでもくもく二酸化炭素が出てしまう、非常に二酸化炭素をたくさん出すバイオマス混焼発電であっても法アセスの対象ではないと。  一方で、太陽光発電所はどれだけ大きくても法アセスの対象ではありませんから、住民説明会がなくても、ある日突然ここで発電所を造りますと言うとばたばた建ってしまうという中で様々な環境問題も実際には起きているわけです。  また、風力発電所でいえばアセスは一万キロですから、大体大型の風車三基建てば法アセスの対象になってしまいまして、法アセスやろうとすると五年ぐらい掛かりますから、FIT法施行五年たっていますけど全然増えていないというのは、それは当たり前の、必然の結果でございまして、私、何度もこの点、問題提起をさせていただいておりまして、この環境アセスメントの対象発電所の規模要件というのは見直すべき時期に来ているんではないかなと思いますが、この規模要件見直しに向けた取組状況を教えてください。
  95. 中井徳太郎

    政府参考人中井徳太郎君) お答え申し上げます。  委員指摘石炭火力発電所のアセスにつきましては、委員指摘のとおり、今、第一種事業ということで、必ずアセスメントが必要な事業ということで十五万キロワット、また、第二種事業ということで、個別に必要かどうか判断する事業ということで十一・二五万キロワットから十五万キロワット、そういうことになってございます。  この現在の規模要件におきまして、新増設の石炭火力発電所の発電容量ベースでは九二%が法アセスの対象となっておるというところでございます。法アセス対象未満の案件が十四件ありまして、そのうち十一件が条例アセスの対象となっているという状況の中で、それ以外の条例アセスにも当たらないものについては自主アセスを促すというような対応を今させていただいているところでございます。  例えば、市内におきまして更なる石炭火力発電所の立地について自粛を求めた指導方針を策定いたしました仙台市のような、自治体が独自に対策を実施している例もあるというところでございまして、こうした自治体の取組を踏まえつつ、事業者による取組状況、今後の計画の推移をフォローしてまいりたいと考えております。
  96. 河野義博

    ○河野義博君 二〇三〇年までの政策パッケージのメーンは再エネ加速化ですと言っているわけでありますので、この環境アセスの要件というのは是非とも見直していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  時間になりましたので、終わります。
  97. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  今国会初めての参議院の環境委員会質疑ということになりました。この間、財務省が森友学園に関わる決裁文書の改ざんを行っていたということを認めました。今回の問題は、国会の国政調査権をじゅうりんする問題であり、議会制民主主義に関わる大変重大な問題だというふうに思います。  大臣、今回の問題の本質、どういったところにあるとお考えですか。
  98. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 財務省における決裁文書の書換え問題に関しては、環境大臣原子力防災担当大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産として主権者である国民が主体的に利用し得るものであり、行政機関としてその管理の適正を確保することが重要であるというふうに考えております。
  99. 武田良介

    ○武田良介君 議会制民主主義を壊す、そして国会全体の問題だと思うんですね。国政調査権に関わる重大な問題、そういう認識をはっきりと述べていただくことが必要だというふうに思いますし、改ざんについては財務省や国交省も知っていた、広く関与が疑惑として言われている中でありますので、行政全体に毒が回っているのではないかというふうに国民から疑念の目を向けられても仕方がないというふうに思います。どのような経緯で改ざんされたのか明らかにしていかなければならないということを強調しておきたいというふうに思います。  東京電力柏崎刈羽原発の問題について伺いたいと思います。  柏崎刈羽原発の六号機、七号機の再稼働をめぐって、液状化現象が起きた場合にそのフィルターベントの基礎が損傷するおそれがあることについて以前から分かっていたことが、先月、今になって明らかにされたということで、新潟の皆さんはまたかという思いで非常に怒りの声が上がっております。決して許されるものではないというふうに思います。  まず、東京電力にお聞きしたいと思いますが、現在設置されている地上式のフィルターベント、六号機、七号機、工事の着工はいつのことでしょうか。
  100. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 御質問に御回答申し上げます。  地上式フィルターベント設備の工事着工日は、それぞれ、六号炉が二〇一三年六月二十八日、七号炉が二〇一三年一月十五日でございます。なお、両号機とも現在工事実施中でございまして、竣工日は未定となっております。
  101. 武田良介

    ○武田良介君 二〇一三年にフィルターベントの設備造っているわけです。  東京電力はそれより以前に二つの大きな地震を経験しています。二〇〇七年の中越沖の地震とそれから二〇一一年東日本大震災です。東京電力がこの二回の大震災の教訓をどのように生かしてきたのかということを聞いていきたいと思うんです。  東京電力にお聞きします。あの二〇〇七年中越沖地震の際、どんな事態が発生したのか、簡潔に御説明ください。
  102. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 新潟県中越沖地震では、直接の地震の揺れにより使用済燃料プールから水があふれたこと、それから事務本館の機能喪失などが発生いたしました。  また、地盤に関係する点といたしましては、地盤の不等沈下に起因した三号変圧器の火災、屋外消火配管の損傷、海側での液状化等が発生しております。変圧器の火災につきましては、変圧器自体は岩盤にくい支持していたため大きな沈下はございませんでしたが、ケーブル部の基礎が沈下し段差が生じてショートし火災に至ったものでございます。沈下の要因は、地震の繰り返しによる体積圧縮や揺すり込み沈下が原因と考えられております。液状化に起因する噴砂につきましては、荒浜側では海側エリアなど建屋から離れた場所に多くが確認されており、大湊側で敷地山側の駐車場付近にも一部確認されております。建屋近傍はサブドレーンポンプで地下水位を低下させていることなどから液状化は起こっていないものと考えております。
  103. 武田良介

    ○武田良介君 非常に大変な事態が広がったわけです。今おっしゃられたように、火災が発生したり、緊急時の対策の部屋にドアがゆがんで入れないとか、もうそういったことが言われております。  液状化の今回の中越沖地震の事故を受けて行った対策、事前に私も東電にも伺いましたけれども、今お話がありました三号機変圧器とタービン建屋をつないでいるところの配線で火災が発生する、よって下にくいを入れたとか、ケーブルの貫通部をふさいで汚染水が漏れないようにしただとか、基準地震動についてもこれ以上のものを想定したというようなことも聞きました。  技術的な対応を取られたということは私も聞いておりますが、それじゃ、技術的な対応以外どんな対応がされたのか、その中越沖の教訓をまとめた文書なり、東京電力として引き継いでいく教訓をまとめたようなもの、どんなものがあるのか、御説明ください。
  104. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 幾つか具体的に実施したことを申し上げますと、中越沖地震を受けて、少なくとも地震に対する備えといたしまして、免震重要棟や設備の強化、それから、専門対応を行う防災安全部の設立、これは福島第一原子力発電所の事故時の陣頭指揮を執ることにも役立ちました、など、速やかに対応を進めてまいりました。また、迅速かつ分かりやすい情報発信などに取り組んでまいりました。
  105. 武田良介

    ○武田良介君 対応したという話なんですね。地震の経験があって、何でその地震が大きな被害が出たのかだとか、どんな反省をしたか、そういう教訓というものを示す文書というのは、私も何度も聞きましたけど、東電から一切出てこないんです。教訓をきちんとまとめたものがないということ自体、今回のフィルターベントの基礎が損傷する可能性があるということが今になって明らかにされる、その大きな根っこにあるんじゃないかというふうに思います。  もう少し具体的に聞きたいと思いますが、東京電力の示した資料、今日の資料の一番にも付けましたけれども、柏崎刈羽原発の七号機、六号機、五号機の付近で液状化がどのように発生したのか、噴砂や亀裂がどこに生じたのか、地図に落とした資料であります。七号機、六号機の周りでも液状化が発生していたということなんですね。液状化現象が発生し得る敷地で機能が損なわれるかもしれないフィルターベントを対策もなくなぜ設置したのか。東京電力、いかがですか。
  106. 小早川智明

    参考人小早川智明君) まず、なぜフィルターベント設備を造っているのかにつきまして御説明申し上げたいと思いますが、当社は、福島第一原子力発電所での事故対応を受けまして、放射性物質を拡散させない措置が必要だと認識いたしましたことから、新規制基準の制定にかかわらず、放射性物質の拡散が最小限となる機能を付加したベント設備の設置検討に着手しておりました。  これまでのベント設備は、原子炉の格納容器の保護を目的として原子炉格納容器内に蓄積された圧力を下げる役割を持っておりますが、圧力を下げる段階で格納容器内の気体を外部放出することから、放射性物質が拡散してしまいます。このため、今回、拡散されてしまう放射性物質を閉じ込める機能を備えた、具体的にはセシウムを例にしますと千分の一程度に低減させることができるフィルター付きベント設備を設置することといたしております。  本設備を設置することによりまして、万一ベント操作を実施する事態に陥ったとしても、フィルターがない場合と比較して放射性物質の放出の影響を可能な限り低減させることができ、またセシウム等による大規模な土壌汚染と被害の長期化を防止することができるものでございます。  これらの設備、柏崎刈羽六号炉、七号炉につきまして、二〇一三年七月に施行されました新規制基準に対し、二〇一三年度に適合性申請を行っており、二〇一七年十二月に設置変更許可をいただいているところでございます。  今後、事業者の責任で、安全対策工事、先行着手しておりますが、後段規制であります工事計画認可プロセスにおいて設備の詳細設計を御審査いただくものと考えております。工事計画認可の段階でコメントを受けた場合には、責任を持って適切に対処してまいりたいと考えております。
  107. 武田良介

    ○武田良介君 今問題になっているのは、液状化が過去にも発生したところに地盤改良がされないままフィルターベント造られた、これから地盤改良しますと言っているんですね。  じゃ、フィルターベント造ったときは、地盤改良をしなくても安全だと思っていたわけですか。
  108. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 御質問にお答えいたします。  弊社は、二〇一七年一月二十四日の第四百三十三回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合におきまして、フィルターベント設備の設置地盤の液状化の可能性があることを説明させていただいております。二〇一七年十二月二十七日の設置変更許可により、液状化対策の方針が確定したため、液状化対策として地盤改良工事について検討を進めてまいりました。  本対策は、二〇一七年一月二十四日の審査会合で液状化の評価対象設備としてお示ししたため公知の事実であったと考えておりますが、地元の皆様にやや唐突な御説明をさせていただいたということで、これは先日、二月の八日の所長会見において、地上式フィルターベントは地元の皆様の関心が高いことを踏まえて公表させていただいたものでございます。
  109. 武田良介

    ○武田良介君 今のは事実経過だと思うんですけど、地盤改良をしなくても安全だと思っていたのかということをお伺いをいたしました。
  110. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 一日も早い安全性向上に取り組む中で、自主的取組としてフィルターベントの工事を進めてまいったということでございます。専門家との協議の結果、液状化のリスクが否定できないことから、保守的に液状化対策を実施することが適当と判断したものでございます。
  111. 武田良介

    ○武田良介君 事前に東電から繰り返し私も聞きましたけれども、ちょっと細かな話省きますが、そこのフィルターベントを設置した下の地盤のところ、どうなっているか。ちょっとサイクリックモビリティー、それが何かということは一旦置いておいてにして、サイクリックモビリティーと言われるところなので一〇〇%液状化はありませんと東電の方はおっしゃっていましたし、埋め戻し土、岩盤に当たるところを掘り起こして、そこを埋め戻したところは絶対に液状化しない、一〇〇%液状化しないんだということを東電の方は繰り返し説明されておりました。そうした見通しが甘かったから今になって地盤改良が必要だってことを言っているわけです。  規制委員会にもお伺いしたいと思うんです。  二〇一七年、先ほどありました一月二十四日の審査会合、地質学を専門とされている石渡委員が発言をされています。資料の二番にも付けました。中越沖地震のときの液状化とか、噴砂、亀裂などの分布のデータというのは初めて拝見するデータだ、必ずしも海側だけで噴砂が起きているわけじゃなくて結構山側でも発生している、これについてはしばらく検討させていただきたい、こういう発言があるんですね。このとき初めて知ったように驚いているわけです。  これ、規制委員会全体としても液状化だとか地盤沈下に関する審査というのは不十分だったんじゃないですか。
  112. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) お答えいたします。  新規制基準において、今先生の御質問になっているフィルター付きベントも含めて、重大事故等対処施設は、基準地震動による地震力に対して必要な機能が失われるおそれがないことを要求をしております。したがいまして、液状化の影響により必要な機能が失われるおそれがある場合には、地盤改良などの対策が必要となります。  柏崎刈羽原子力発電所六、七号炉の設置変更許可に係る適合性審査におきましては、地盤の強度が足りなければ地盤改良等の追加対策を行う方針を確認をしており、対策の詳細、その妥当性につきましては、工事計画の審査で厳正な確認を行っていくこととなります。  したがいまして、また、そのフィルターベント設備も含めて液状化の可能性というものは工事計画認可の中で確認していくということが既に設置許可前の審査においても確認をしておりまして、新たに問題が明らかになったものではなく、設置変更許可の審査が不十分であったとの認識は持っておりません。
  113. 武田良介

    ○武田良介君 工事計画で見ていくと。これから先の話なんですね。ただ、問題は今起こっているわけです。  私は、中越沖地震の最大の教訓というのは、この柏崎刈羽原発というのが非常に軟弱な地盤の上にある原発で、液状化するものだというふうに捉えていく必要があるということだと思うんです。現地に行っても豆腐の上の原発というふうに表現されるぐらい、地下水も非常に多いですし、軟弱な地盤にあると。  そう考えればもう再稼働はやめようというふうに判断するべきだと私は考えますが、少なくても、今回のように何の地盤改良もなくフィルターベントを設置して、しかも後から地盤改良が必要でしたというふうに言い出すということは、もう言語道断だというふうに思います。現実は地盤改良をしないままフィルターベントの設置ということで始まっているわけで、これでは中越沖地震の教訓を生かしているというふうには言えないというふうに指摘しておきたいと思います。  それから、もう一つ大きな地震は東日本大震災です。新規制基準は、東日本大震災の教訓を踏まえて、フィルターベントの設置しなければならないというふうにしたと。  まず、規制委員会にお伺いしたいと思いますが、新規制基準の制定、公布、それから施行、それぞれいつだったか、お答えください。
  114. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) 実用発電用原子炉の新規制基準は、平成二十五年六月二十八日に公布いたしまして、同年の七月八日に施行いたしました。
  115. 武田良介

    ○武田良介君 冒頭にフィルターベント設備の着工日お聞きしましたけれども、資料の三に重ねておきました。  検討チームの検討が公開で始まったのが二〇一二年の十月二十五日、その後、七号機、六号機、フィルターベント工事着手されまして、六号機の着手というのはこの新規制基準の公布日、施行される十日前ですね。つまり、この新規制基準についてフィルターベントの設置が義務付けられることを知りながら、その施行直前に建設に着手していたということになると思うんですね。  東電にお聞きしたいと思うんですが、今設置されている七号機、六号機のフィルターベント、新規制基準に係る工事計画の認可を求めたか、あるいは届出を行ったか、いかがでしょうか。
  116. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 御質問にお答えいたします。  柏崎刈羽六号炉、七号炉につきましては、二〇一三年七月に施行された新規制基準に対し、二〇一三年九月に適合性申請、これは原子炉設置変更許可申請を行っておりまして、二〇一七年十二月に設置変更許可をいただいているところでございます。  今後、事業者の責任で安全対策工事に先行着手しておりますが、後段規制であります工事計画認可プロセスにおいて設備の詳細設計を御審査いただくものと考えております。工事計画認可の段階でコメントを受けた場合には、責任を持って適切に対応してまいります。
  117. 武田良介

    ○武田良介君 届出したのかどうかということをお伺いしたんですけど、いかがですか。
  118. 小早川智明

    参考人小早川智明君) まだしておりません。
  119. 武田良介

    ○武田良介君 していないんですね。  資料の四番にも付けましたけれども、新規制基準に係る主な経過規定についてということの二番目のところですが、今般の改正により新たに工事計画の認可又は届出の対象となった工事であって、改正法施行前に施設し、又は着手したものについては、許可又は届出を要しないこととするということによって、これ、対象外になっているわけです。  先ほどの時系列でも言いましたけれども、こういうふうな中身がある程度分かった上でこれやっていたということだと思うんですね。これでは新規制基準逃れというふうに言われても私は仕方ないというふうに思いますし、中越沖地震のときの教訓は生かさないで、東日本大震災の教訓は擦り抜けているということが実態だというふうに私は思います。  今回、改めて私問題だと思うのは、その認可が下りる前に工事が行われているということなんですね。これ、やっぱり国民一般からしたら理解できないというふうに思うんですが、東京電力、何でこれ先に工事されているんですか。
  120. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 御質問にお答えいたします。  一日も早い安全性向上に取り組む中で、自主的取組としてフィルターベントの工事を進めてまいりました。事後になりますが、専門家との協議の結果、液状化のリスクが否定できないことから、液状化対策に対して実施するものでございます。
  121. 武田良介

    ○武田良介君 つまり、原発は動いていようといまいと核燃料がそこにあるなど危険なものだと、危険なものがあれば安全に関わる装置はいち早く設置すると、そういうことかなというふうにお聞きしましたけれども、先行着手というお話お聞きしましたけれども、機能しないかもしれないけれども機能するかもしれないからフィルターベント付けたと。要は、現状そういうことだと思うんですね。私は、そんなばかな話ないと、そんないいかげんな話でいいのかというふうに思うんです。  これ、認可される前から工事する、やっぱり私はおかしいと思いますけど、規制委員会、どうですか。
  122. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) 原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備に関する規則附則第三条において、新規制基準の施行により新たに工事計画の認可の対象となった工事であって、施行前に施設し、又は着手したものについては、前述の条文による工事計画の認可を要しないこととした上で、施行後も工事の継続を可能としております。  先行着手された工事が、その後、工事計画認可を受けるための施設の一つとして審査を受ける場合、基準をクリアするための施設として認可を受ける場合、それで認可を受けられなかった場合というのは、先行した工事が無駄になるだけのことであります。
  123. 武田良介

    ○武田良介君 要は、工事計画をやるだとか稼働する前には、性能の検査ということもよくおっしゃられますけれども、その段階で厳しく審査するという話なんですね。ただ、建設し始めたときに地盤改良しなかったから今問題になっているということだと思うんです。規制委員会も、今おっしゃられたように、経過措置があるから、地盤改良がされたのかどうか確認、指導するということもこれまでやっていなかったわけですよね。私、そのこと自身が問題になっているというふうに思うんです。  先ほどの規制委員会説明でいくと、今おっしゃられましたが、認可する前に工事するか否かということは、結局事業者に任せられているということになるわけですよね。事業者に任せられているということでよろしいですか。
  124. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則に該当する工事については、工事計画の認可前に着手されていてもそれ自体は問題ないと考えております。  しかしながら、新規制によって新たに要求される設備等であって、新規制施行前に、この規制の施行前に工事に着手又は完成したものについては、新規制施行後、当該設備等に関する設置変更許可、工事計画変更認可、使用前検査などの手続によって、原子炉の運転前に新規制基準への適合性を厳正に確認してまいることになります。
  125. 武田良介

    ○武田良介君 要は、事業者に任せられているわけですね。先ほどもおっしゃられましたけれども、先に造って無駄になるかもしれない、それでも造るんだったら自由だという話なんですね。結局事業者の判断ということになったら損得勘定に委ねられるわけです。規制が損得勘定に委ねられていく、それでいいということなんですか。
  126. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) 工事計画認可もその一つでありますけれども、規制のプロセスは、たとえその試みが先行されているものであっても、事業者の計画をいたずらに追認するだけのものではありません。ですので、言ってみれば、事業者が先行して行う取組というのはオウンリスクで行うものだと。したがって、改める必要があるのであればチャラにしてもらいますし、その先行して彼らが行った工事というのが、繰り返しますけれども、無駄になるだけのことというふうに考えております。
  127. 武田良介

    ○武田良介君 現実は、新規制基準作った後も基準に沿わないようなフィルターベントを現在まで許してきたということが現実だと思うんですね。今のような話でいけば、やっぱり新潟の皆さんを始め、国民的な疑念、怒りというのは私当然だというふうに思います。  東電からも先ほど説明聞いてきましたけど、対策はいっぱい出てくるんです。今後対策が取られれば大丈夫ということだと思うんですね、東電の説明は。結局、これ新たな安全神話じゃないかと思うんですが、東京電力、いかがですか。
  128. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 当社といたしましては、福島第一原子力発電所の事故の反省と教訓を踏まえて、昨日よりも今日、今日よりもあしたと、終わりなき安全性の向上に取り組むこととしております。  例えば、原子炉格納容器の保護に関しまして、先ほどから話題になっておりますフィルターベント設備で放射性物質の拡散防止を図ること、これにとどまらず、さらには、今回の審査対応におきまして、新冷却システム、これ代替循環冷却系という名前にしておりますけれども、新しい装置を導入することで、より多重で多様化した放射性物質の外部放出を行わなくて済む設備の検討も率先して実施してまいりました。  これからも安全性を絶えず問い続ける企業文化を確立し、地元との対話を重ね、立地地域を始めとする社会への信頼を得られる事業運営を進めてまいりますことを私が責任を持って進めてまいります。
  129. 武田良介

    ○武田良介君 私は、東日本大震災の教訓というのは、絶対に安全神話に陥ってはならないということだと思うんですね。今回、規制委員会が東電の経営判断に事実上任せてフィルターベントを造らせてきたということ自身が規制委員会も東電も新たな安全神話に陥っているということを私は示していると思いますし、東日本大震災の教訓を十分生かしていないということだと思います。  新潟県の米山隆一県知事が、今回のフィルターベントの一連の問題について私も聞いていなかった、そういう情報はきちんと出してもらえないと東電を信用できないというふうにまでおっしゃられております。こうした知事の言葉、どのように受け止めておられますか。
  130. 小早川智明

    参考人小早川智明君) 御質問にお答えいたします。  フィルターベント設備の液状化対策につきましては、二〇一七年一月二十四日の審査会合において液状化の評価対象設備としてお示しさせていただいていたため、既に公知の事実であったと考えており、二〇一八年二月八日の発電所長の定例会見で簡単に御説明いたしましたが、結果として地元の皆様に十分伝わっていなかったことが判明し、これが課題だと受け止めております。  今後は、伝えるだけではなく、伝わることを意識し情報発信に努め、地域の皆様から御理解と御信頼を得られるように努めてまいりたいと考えております。
  131. 武田良介

    ○武田良介君 今の話聞いたら、私、新潟の皆さんは本当に怒ったと思います。  伝えていたつもりといっても、発表したときには、資料に入っているだけで特に言葉では説明されていないですね。しかも、表のところに新たな項目で入れましたというだけの話でした。前後に行われている住民説明会でもそういった話はなかった。発表することが決まっていた段階でもなかった。本当に、新潟の皆さんの怒りというのは当然だと私は思うんです。  これまでも、データの捏造だとかメルトダウン隠しだとか基準地震動の問題、私も取り上げてきましたけれども、再発防止ということを言われても繰り返されてきたという思いを新潟の皆さんが持っている。今回の問題の本質というのは、やっぱり東電の隠蔽体質ということがあると思うんですね。  規制委員会に改めてお伺いしますけれども、フィルターベントの今回の問題、新潟の皆さんの怒り、本当に頂点に達していると思うんです。こういう東京電力に対して適格性ありとはやっぱり言えないのではないかと。適格性ありという判断を撤回する、そういうお考えはございませんか。
  132. 更田豊志

    政府特別補佐人更田豊志君) お答えいたします。  まず、フィルター付きベントに関しましては、現在停止している、また炉心の中に燃料が入っていない柏崎刈羽六、七号機の安全性にそのフィルター付きベント設備のあるなしが影響を与えるものではありません。  フィルター付きベントが重大事故等対策一つとして新規制基準をクリアするためのものとして東京電力から申請され、その申請内容に含まれている場合は、今後とも原子力規制委員会は、工事計画認可等を通じて、その設備がきちんと機能することを見てまいります。決して、原子力規制委員会は柏崎刈羽六、七号機の安全性を東京電力任せにはしておりません。  また、東京電力の適格性に関しては設置許可段階での確認を行いましたが、今後も、保安規定等々の審査を通じて、その適格性については厳しく東京電力を監視してまいる考えでおります。
  133. 武田良介

    ○武田良介君 中川大臣にもお伺いしておきたいと思います。  原子力防災担当大臣として今回の事態をどう見ているのか。フィルターベントということになれば、やはり避難計画との整合性ということも問題になってきます。原子力防災大臣として今のままでは責任を果たせないというふうに思いますけれども、東京電力に対してそんな姿勢は許されないということをはっきり言うべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  134. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 私は環境大臣として環境省の外局として独立性の高い三条委員会である原子力規制委員会を所管しておりますが、本件に係る原子力発電所の審査につきましては原子力規制委員会が独立した立場で対応しておりまして、私からコメントすることは差し控えたいと思います。そしてまた、事業者を指導する立場にはございません。  原子力防災担当大臣としては、原子力発電所が存在し、そこに核燃料がある限り、稼働しているか否かにかかわらず、地域防災計画、避難計画を策定し、継続的に充実強化を図っていくべきものと考えております。
  135. 武田良介

    ○武田良介君 時間なので終わりますけれども、今の答弁では、原子力防災担当大臣として責任を果たせない、国民の皆さんの命、暮らし、しっかり守るということは十分できないというふうに思いますし、これだけの問題が今明らかになってきたわけだから、私は、審査や工事も一旦ストップするぐらいのことをやるべきだというふうに思います。  野党共同で原発ゼロ法案というものも提出をいたしました。今動いている原発は全て止めて、これからの再稼働を認めないで、再生可能エネルギーの普及、そして原発ゼロの社会をつくるということが大きな中身ですけれども、これもしっかり審議して成立させるように頑張りたいという決意を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  136. 片山大介

    ○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。  私は、先ほど長浜委員が原発事故の除染についての質問をされましたが、私はその除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設について伺いたいと思います。  去年の秋からこれ稼働し始めて、大臣も視察に行かれたというふうに聞いておりますが、今、福島県内各地の土の受入れを行っているということです。  まず、資料の一枚目を御覧になっていただきたいんですが、この施設の敷地というのは福島第一原発が立地している双葉町と大熊町にあって、それで原発がこの赤い斜線のところなんで、そこに隣接するような形でこの広大な敷地、これが中間貯蔵施設になっていると。それで、先ほど去年の秋から稼働したと言っていますが、これはどこが稼働しているのかというと、この土壌貯蔵施設稼働箇所といって、このちっちゃな赤いところの点の二か所だけなんですよね。まだこういう状況になっているという感じなんです。  それで、二枚目の資料を続いて見ていただきたいんですが、そして敷地内では、この写真のように、運び込まれた土などを受け入れてそして分別する施設、そしてその汚染土などを貯蔵する施設、そしてこのほかにもその廃棄物の貯蔵施設などがいろいろ点在する形で造られることになっていると。そして、こうしたのがそれぞれワンセットになって、それを合わせて十セット造る、十か所造るというのがこの貯蔵施設の計画なんです。  じゃ、実際に運び込まれる汚染土などがどれくらいの量なのかというと、一千六百万立方メートル、これなかなかこれ想像し難いんだけれども、東京ドームに換算すると大体十三個分に当たるというふうになっているんですね。  じゃ、今その用地の取得、この施設のための用地の取得だとか運び入れがどのようになっているのかというと、今度これ三枚目の資料を見ていただきたいんですが、これが環境省が作った、おととし作ったこれ計画になりまして、その用地の取得と、それから運び込んでいる輸送量のそれぞれの実績と、それから今後の見通しを書いているという感じなんですね。  それで、この計画を見ると二〇一七年度までは、今年度までは大体その見込みどおりに行われているということなんですが、今後、二〇二〇年度までの計画のまず見込みについて、用地取得の方で結構ですから、どのような計画を立てるのか、見込み達成できそうなのか、教えていただけますか。
  137. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 中間貯蔵施設の用地取得につきましては、今お示しいただきました中間貯蔵施設に係る当面五年間の見通しに沿って着実に進んでおりまして、本年二月末時点で全体面積の半数を上回る約八百四十四ヘクタール、千三百八十人の方と契約しております。大切な土地を御提供くださった地権者の皆様に心より感謝を申し上げます。そして、二〇二〇年度末までには、この当面五年間の見通しにおいて最大千百五十ヘクタールを取得する見通しとしております。  そこで、百ヘクタールぐらい残るわけでございますけれども、二〇二〇年度以降も引き続き地権者の皆様方の御理解、御協力を得られるように丁寧に対応して進めてまいりたいと思っております。
  138. 片山大介

    ○片山大介君 今の百ヘクタール残るというのはどれのことなんでしょうか。  この計画だと二〇二〇年度まで、仮にその上限値の方で行ったとしても千百五十ヘクタールで、それで用地なんですか、その全体の七〇%にとどまっちゃっていて、まだ足りない部分があるんですよね。これについての見通しというのはどのように考えているのか、それで、今言われたようにこの計画がもう二〇二〇年度で終わりですから、それでもかなり残るわけですから、その先の計画というのはどのように考えているのか、教えていただけますでしょうか。
  139. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 民有地のほかに公共用地、公用地もあるわけでございますが、この二〇二〇年度以降の対応ということについて、今この時点でいつぐらいまでに完了するということを申し上げるのはなかなか難しいというふうに思っております。誠心誠意、地権者の皆様方の御理解、御協力を得られるように全力で進めてまいりたいと思っております。
  140. 片山大介

    ○片山大介君 そうなんです。これからは更に、先ほどの質問でもあったかと思うんですが、やはり地権者の中でも反対している人がいる、あと所有者不明の土地もある、だからこれからがどんどん難しくなってくると思うので、ここはきちんとやっていただかなきゃいけないなというふうに思っていますし、その先の最後まできちんとした計画どおりに取得するための計画を私は早めに立てた方がいいというふうに思っています。  それで、それがなぜかというのをまたちょっと説明していきたいんですが、これ、四枚目の資料を見ていただきたいんですが、これ一枚目の資料の地図よりも広い、広域で取った地図なんですけれども、これ帰還困難区域という、これ斜線のところは帰還困難区域と呼ばれていて、現在も避難指示が出されているところなんです。これ市町村の数でいえば七つの市町村になるんですが、このうち、これ双葉町も大熊町ももちろん入っているんですが、双葉町と大熊町では、その四年後の二〇二二年の春に避難指示を解除して、そして住民の帰還を始めるというふうにしているんですよね。  それで、中間貯蔵施設というのは、この四枚目の資料だと紫の部分になるんですが、それで、だから双葉町と大熊町の中にあって、現在、その福島県内各地にある汚染土がこの二つの町に向かってどんどこどんどこ運び込まれているわけですよね。そうすると、その汚染土を載せたトラックの輸送というのはやはり一定程度のリスクはあると思います。ですから、四年後に住民の帰還を双葉町と大熊町で始めるのであれば、少なくともそれまでに全部の用地取得を終わらせることがまず大前提になるんじゃないかなというふうに思いますが、それについていかがでしょうか。
  141. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) この中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入につきましては、今年度の目標の五十万立米を既に達成しておりまして、これまでに累計で約七十四万立米の輸送を完了いたしました。二〇一八年度は百八十万立米程度の輸送を予定しておりまして、二〇一九年度の輸送を含め、二〇二〇年までに累計で最大六百五十万立米程度の輸送を目指すことにしております。  二〇二〇年度以降につきましても、鋭意拡大をしていくように努力をしてまいりたいと思いますが、用地の取得状況も踏まえながら最大限の輸送を行っていくということで、福島の復興を進めてまいりたいというふうに考えております。
  142. 片山大介

    ○片山大介君 私が言っているのは、だから、その双葉町と大熊町の住民の帰還を始めるときまでには、こういうものを載せたトラックの輸送というのをもう極力なくした方がいいんじゃないかと言っているので、是非考えていただきたいですし、大臣、それで、これ二〇二〇年まで千二百五十万立米で、全体の今の想定されているのが千六百万立米なんですね、これ、資料の三で見て。なおかつ、もう一つ言えるのは、双葉町と大熊町で今除染が始まっています。この除染で出た汚染土については、この計画に全く入っていないんですよ。ですから、そうすると、今後かなりまた汚染土、運び入れる汚染土の量が増えてくることになる、だから計画も変わっていくことになる可能性があると思うんですが、そこはお答えになれますでしょうか。
  143. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) 御指摘ございましたように、大熊、双葉町共に今後拠点区域の避難指示解除に向けて除染が進められてまいります。  ただ、この量につきましては、昨年の秋に最初に双葉町から認定が始まりまして、今まだその全体の面積、どのような除染の行動をするかという内容、それから、除染の内容によりましては剥ぎ取る土の厚さをどれぐらいまでやればいいかという技術的な問題もまだ固まってございませんので、今のところでは全体量をお示しできる状態ではないということでございますが、時期がたちまして計画が立ってまいりますれば、早い時期に計画をまとめてまいりたいというふうに考えております。
  144. 片山大介

    ○片山大介君 数値が出なくても、ある程度これがプラスアルファになるということは分かるはずなんですよね。  それから、環境省がこの中間貯蔵施設を進めるに当たって、PDCAサイクルをやっているはずなんですよ。要は、毎年計画を立てて実施する、そして検証する、そして翌年度の計画にフィードバックさせるというのは毎年度やっているはずです。だから、先ほど、去年の秋から双葉町の除染が始まったとは言っても、それは、去年の話を新年度の計画にフィードバックできないはずがない、PDCAサイクルやっているんだから。  それで、双葉町の汚染土というのは、確かにほかの地域よりも放射能濃度の割合が高いこともやっぱり十分想定されるので、だからそれは、こうしたことが増える可能性があるということを明記したっていいと思いますけど、それはどういうふうにお考えでしょうか。
  145. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) 御指摘のとおり、除去土壌等が処分量が増えるのは間違いないというふうには考えてございますが、その量について、先ほど来申し上げましたとおり今の段階で推計するのが困難なものですから、今のところは五年の見通しに沿って作業をさせていただいているということでございます。
  146. 片山大介

    ○片山大介君 それは分かります。だから、それでも、量を言うんじゃなくて、これが増えてくるということをきちんと認識できるようにこれ計画に書き込めばいいんじゃないかなというふうに私は思っているんですね。そのことを言いたいと。  それで、ちょっと時間がないので、次に、じゃ今度はその中間貯蔵施設の内部のことについてちょっと聞きたいんですけれども。  最初に言ったように、運び込まれてきた土というのは放射能濃度の割合によって分別されて、それできちんと貯蔵されることになっているんだけれども、先ほどの二枚目の写真で見た貯蔵施設、これの整備が実はまだ間に合っていなくて、その施設内、施設の敷地内で臨時の保管場所という、ストックヤードというんですが、これを今設けて、そこに一時保管していっているんですよね。  それで、じゃ、そのストックヤードというのがどこかというと、これ一枚目の地図に戻っていただきたいんですが、一枚目の地図のこれ白いところなんですよね。だから、この臨時の保管場所がこれ面積上これだけ広く取っているような感じになっている。  そこで聞きたいのが、これまでに運び込まれた、運び入れた汚染土のうち、土壌施設にきちんと保管されたものとストックヤードにたまっているものというのはどれぐらいあるのか、それぞれ教えていただけますか。
  147. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) 現時点では土壌貯蔵施設の容量がまだ大きくないことから、輸送量全体の約九五%を保管場に搬入しております。数量で申し上げますと、三月十七日現在で、輸送量が約七十四万袋、このうち約七十万袋は保管場の方に搬入してございます。
  148. 片山大介

    ○片山大介君 私はこれを、今のを一義的に悪いというふうには思っていないんです。福島県内の今各地にもう置かれたままになっているその汚染土を取りあえず一時保管でもいいからこの敷地内に入れるという考え方は決して間違っているとは思わないんですけれども、ただ、時間だとか労力のことを考えれば、やはりもう直接それは土壌の貯蔵施設に入れた方がいいのは、合理的なのは間違いないし、それから安心面だってそうだと思うんですね。  だから、そうすると、気になるのは、そのストックヤードの保管というのが長期化することにならないかというのを懸念しているんだけど、それについてはどのようにお考えなのか、教えていただけますか。
  149. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) ストックヤードは、御指摘のとおり仮の置場に使用させていただいております。私どもといたしましても、土壌貯蔵施設、とにかく早く施設を整備して、本格的な貯蔵に進めたい。ただ、福島県内、たくさんありますいわゆる除去土壌、フレコンバッグを一日も早く回収してほしい、こういう御意向を受けて、二〇一五年の三月から、除去土壌の搬入を始めるためにストックヤードという手法を取らせていただいております。これは、何度も申し上げますが、仮の姿でございますので、できるだけ早く解消できるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  150. 片山大介

    ○片山大介君 その計画の見通しというか、どういうふうなイメージなんでしょうか。そこが知りたかったんですけれども。
  151. 縄田正

    政府参考人(縄田正君) 見通しが、先ほど来御答弁申し上げている内容に戻ってまいりますが、今後の用地取得の状況、施設整備の進捗状況、こちらを見据えて計画を変更してまいらなければならないというふうに考えております。御指摘のように、用地の買収は今まで当面の見通しに基づいてほぼ着実に進んできておりますが、これから非常に厳しい用地交渉の方々との交渉が待っておりますので、こちらの状況を見据えて計画をまた見直してまいりたいというふうに考えております。
  152. 片山大介

    ○片山大介君 先ほどの話になるんですが、やはり住民の帰還がこれから始まろうと本当にしているわけですから、だからそこは是非大変だと思うんだけどしっかりやってもらわなきゃいけないと思いますし、汚染土というのはやはり施設の中で厳重にしっかりと管理されることが大前提だと思いますし、それが帰還して戻ってきた住民のやっぱり心理的な安心にもつながるので、是非それはやっていただきたいと思っています。  それで、次に聞きたいのが、最後に最終処分について聞きたいんですけれども、この汚染土は中間貯蔵施設で集中的に管理、保管された後に三十年を期限として福島県外で最終処分されることになっている。環境省は、それ二〇二四年度までに、減容化、要は汚染土とかそのものをできるだけ容量を少なくすることの技術の基盤開発ですか、これを終わらせるということにしている。来年度、三十年度がその中間年度に位置付けられていて、その部分の見直しというんでしょうか、検証というか、行われるというふうに聞いているんですが、それについてはどのようにお考えで、進んでいるのか、教えていただけますか。
  153. 伊藤忠彦

    ○副大臣(伊藤忠彦君) 環境省では、ただいまお話がございましたとおり、除染作業に伴う除去土壌等の最終処分量の低減のためにも、除去土壌の再生利用量を可能な限り増やしていくことが重要だと考えております。そのため、除去土壌等に関する減容処理技術開発再生利用の推進等の中長期的な方針として、二〇一六年四月、中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略及び工程表を取りまとめたところでございます。  工程表においては、中間目標とした二〇一八年までに再生利用の手続の案の作成や分級処理システムの技術開発等を行うこととしております。そのため、有識者による検討や、南相馬市、飯舘村、二本松市のそれぞれにおきまして実証事業等を実施又は検討をさせていただいており、工程表に沿った取組を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。
  154. 片山大介

    ○片山大介君 それで、これには、一番みんなが気にしているその最終処分の場所をどう選んでいくのか、これについての記載が全くないんですね。それで、この用地の取得に当たっては、その売買契約を結んだ人だって、それから地上権とか借地設定で貸した人だって、やっぱり三十年以内に福島県外で出ていくことをみんな信じているわけなんですよね。  そうすると、今後間違いなくこの最終処分の場所をどのように選んでいくのかということが、手続のことを考える必要が出てくるんですけれども、それについてはいつ頃からどのような形で考えていくおつもりなのか、これ、大臣お願いします。
  155. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) そこにつきましては、今、伊藤副大臣から申し上げましたこの減容化、再生利用の実証事業を今行っておりまして、更にそれを現実の事業として広げていきまして、実際にこの中間貯蔵施設、土壌貯蔵施設に運び込んだ土壌をどれだけ減容化できるか、再生利用できるか、そこのめどを付けて、最終処分に回す量というものはどのくらいになるのかということを見通しを立てた段階で、じゃ、それを最終処分する場合の設備の構造とか規模とかそういうものがどういうふうになるのか、そういったことを見通した上で最終処分地の選定作業に入ると、こういうことになると思いますので、現段階では、まずは減容化、再生利用の方の努力を続けていくということがまず先にやるべきことではないかということで努力をしているところでございます。
  156. 片山大介

    ○片山大介君 もう終わりますが、これ、基準年がたしか二〇一五年になっているから、もう三十年割っているんですよね。ですから、時間はやっぱりないと思います。これはもう大変なエネルギーを、大変な苦労もすると思いますので、是非今から計画を立てるように頑張ってやっていただきたいと思います。  終わります。
  157. 柘植芳文

    委員長柘植芳文君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十分散会