○滝沢求君 去る二月十九日及び二十日の二日間、愛知県及び三重県の
環境及び
公害問題に関する実情を
調査し、もって本
委員会に付託を予定される
公害健康被害の
補償等に関する
法律の一部を改正する
法律案の
審査に資するため、
柘植委員長、長浜理事、片山理事、河野
委員、武田
委員そして及び私、滝沢の六名で
調査を行ってまいりました。
以下、
調査の
概要について御報告申し上げます。
一日目は、まず、中間貯蔵・
環境安全
事業株式会社の豊田PCB
廃棄物処理施設を訪れ、
PCB廃棄物処理の進捗
状況等について説明を聴取するとともに、
施設を視察してまいりました。
豊田PCB
廃棄物処理施設は、PCB特措法に基づき、高濃度の
PCB廃棄物を
処理するため、
全国五か所に
整備された
施設の一つであり、
平成十七年九月に操業を開始し、主に岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県内の高圧変圧器、高圧コンデンサー等を化学
処理しております。
施設では、周辺
地域の
環境に
影響を及ぼすことのないよう、排気
処理設備、PCBの漏えい防止のための設備の設置や床面に不浸透性に優れた樹脂を塗布するなど多重の安全
管理対策を施し、
処理作業が行われておりました。また、定期的に
業務報告を行う等により
地元住民の方々の理解と
協力を得ながら
処理を進めているとの説明がございました。
こうした
取組により、
処理の進捗率は約七割に達しており、期限である二〇二二年三月末までに
処理が完了する見込みであるとのことでございました。今後は、
PCB廃棄物の掘り起こしについても
関係団体等と
協力して取り組みたいとの説明もございました。
派遣委員からは、
施設見学の
状況、諸外国における
PCB廃棄物処理の現状や
PCB廃棄物処理に際し
発生した生成物等の
リサイクル状況等について質疑が行われました。
次に、四日市市を訪問し、四日市市における
公害健康被害補償法の
実施状況等について四日市市から説明を聴取し、四日市
公害と
環境未来館を視察してまいりました。
四日市市は、コンビナートの立地によって
産業都市として栄えてきた一方、昭和三十年代には、いわゆる四日市
公害と呼ばれる
大気汚染による
健康被害が
発生いたしました。その後、市民、企業、行政が一体となって
環境改善に取り組み、良好な
環境が取り戻されております。
一方で、
公害発生から半世紀以上経過した本年一月末時点でも、四日市市においては、
公害健康被害補償法の被認定
患者の方が三百五十八名いらっしゃいます。
患者の方々への療養の給付や障害補償費の支給とともに、リハビリテーション
事業などの
公害保健福祉
事業のほか、気管支ぜんそく等の発症予防や健康の保持増進を図るための
環境保健予防
事業の
実施等に尽力されているとの説明もございました。
派遣委員からは、被認定
患者の年齢構成や
公害保健福祉
事業の内容、
法律の施行に伴う自治体の労苦等について質疑が行われました。
また、四日市
公害と
環境未来館では、コンビナートができるまでの様子、その後の
公害発生の歴史、
工場等から
排出される二酸化硫黄の濃度が国の
環境基準を市内全域で
達成するまでの歩みなどをつぶさに視察いたしました。当時の
健康被害の深刻さを痛感するとともに、四日市
公害を教訓とし、
公害による
健康被害を今後
発生させないことが重要であると再認識したところでございます。
二日目は、伊勢志摩
国立公園の
概要及び
国立公園満喫プロジェクトの
実施状況等について中部
地方環境事務所から説明を聴取するとともに、
国立公園内を視察いたしました。
伊勢志摩
国立公園は、戦後初めて指定された
国立公園であります。
国立公園区域の約九六%が民有地であり、公園内の居住人口も多いため、美しい景観とともに
地域の方々の生活や歴史、文化などにも深く触れることができるのが特徴となっております。
平成二十八年七月には
国立公園満喫プロジェクト先行八公園の一つに選定されたことから、
訪日外国人利用者数を二〇一五年の約三万三千人から二〇二〇年までに十万人とする目標を掲げ、アクセス道の
整備やカフェ等の設置などの
取組を
実施しているとの説明もございました。
最初に視察した登茂山園地桐垣展望台は、英虞湾のリアス海岸を見渡すことができる好展望地であり、今後は、多様な自然体験を提供するためのツアープログラムの
開発等を
推進するとのことでございました。
次に訪れた横山ビジターセンターでは、周辺の自然
情報や季節の見どころ等の案内、伊勢志摩の自然や文化などを解説したコーナーを設置するなど、観光客に伊勢志摩
国立公園の魅力を伝える
取組が精力的に行われている様子を視察することができました。
最後に、
国立公園満喫プロジェクトの現場である、海女小屋「はちまんかまど」を視察いたしました。
海女小屋では、海女とのコミュニケーションや
地域の海産物を通して、伊勢志摩の海女文化に触れることができる体験型のサービスを提供しております。海外からの来客者も増加しており、
平成二十九年の外国人来客数は、全来客数の約四割、約九千百人に上るとのことであり、
訪日外国人の受入れ
環境整備を積極的に行っている現場を見ることができました。
以上が
調査の
概要でございます。
最後に、今回の派遣に際し、お世話になりました
関係者の方々に厚く御礼を申し上げ、御報告に代えさせていただきます。