○伊波洋一君 有識者
研究会が、評価書には海草藻場などの積極的な保全策が提案されていないと
指摘し、消失面積に相当する海草藻場を移植等によって代償されることが望ましいと最終報告書に書いて、海草藻場の移植を提言したんです。そして、その上で今の評価書は補正をされている。工事の実施における周辺海域に埋立予定地を含むとの周辺海域の一般的な解釈を当然採用して、工事の実施における埋立予定区域内の海草藻場の提言をしたものなんですね。
それから、工事の実施と施設の存在はあくまで
影響要因の区分であって、それぞれのタイミングで
環境保全対策を取りなさいという趣旨の区分ではないということは
環境省の
説明のとおりです。
ですから、今ずっと
説明している、この間、施設の存在に書いていることを理由に藻場の移植はしなくても済むというようなことは、
環境庁告示八十七号の別表の本来の
目的から逸脱しています。
このように、防衛省がこの間やっていることはまさに
環境評価書そのものを否定することだと、こういうふうに言わざるを得ないんです。だましてきたと、こういうふうに断言せざるを得ない。
環境監視等
委員会では、配付資料ございます、配付資料の議事要旨や議事録のように、平成二十六年六月二十日の第二回
委員会で、
委員から、ジュゴンについて「三個体しかいないという現状を
考えると、事業実施区域になるべく近づかないための対策として、嘉陽地先に藻場を造成することを始めたら良いのではないか。」との提案があり、これを受けて、平成二十七年一月六日の第三回で、沖縄防衛局が提出された「前回
委員会における
指摘事項とその
対応方針」という資料の中で、「藻場の造成について」の項目では、「評価書では消失する海草藻場に関する措置として、海草類の移植や生育基盤の改善により海草類の生育範囲の拡大を図る対策を講じることとしており、嘉陽地先も造成候補地に含めて検討する。」と書かれています。つまり、
委員からジュゴンを工事区域に近づかせないために工事中の海草藻場の移植が提案され、沖縄防衛局からも検討するという回答がなされています。
このようにこの間ずっと提言されているんです。ここで皆さんに回答を求めたら同じような答えしか出ませんから、一応、後で質問をしますけれども、少なくとも、これはやはり皆さんが言っている
環境保全図書のとおりの実施ではない。
沖縄県の
環境基本計画では、藻場の保全を求めています。防衛省も工事の実施において県の基本計画を挙げ、「工事の実施により海藻草類に及ぼす
影響は、最小限にとどめるよう十分に配慮されている」、「
環境保全の基準又は目標との整合は図られている」としています。しかし、実際は、防衛省が
環境保全図書にある海草藻場の移植を全く実施しないことから、県は防衛省に対し、これまで再三にわたって埋立工事実施前の海草藻場の移植を実施するよう求めてきました。
平成二十九年二月二十二日付けで沖縄県は、沖縄防衛局宛ての
環境保全対策についての事前協議書を提出しています。前
委員会で皆さんに資料お配りいたしました。
同文書では、貴局、防衛局は、「藻場の造成は、「当該工事の実施に先立ち講じる措置ではない」とするが、埋立によって海草藻場が消失するのであるから、工事の実施前に行わなければ、移植する海藻類がなくなり、移植することが出来ないことになる。また、
環境保全図書では、海藻類の移植や生育基盤の
環境改善による生育範囲の拡大は、「工事の実施」に係る評価・結果にも記載されている。」「それにもかかわらず、どのような海草藻場に関する
環境保全措置をとるのか具体的に示していない。」と、このように質問したんですね。
これに対し防衛局は、平成二十九年二月二十七日、三月三十一日、四月十四日付けで回答しています。四月十四日付けの回答では、沖縄県が埋立工事の前に海草藻場の移植を求めることは、「貴県知事より
承認を受けた願書に添付されている
環境保全図書の記載内容の変更を求めていることに等しいものと思われます。」と、非常にけんか腰で回答しました。
まさに、皆さんは、自らの
環境図書を否定しているわけです。土砂投入を行って、飛行場建設してから移植を検討するなどという防衛省の詭弁には全く県が同意していないことは明らかです。
今までの防衛省の一方的な定義、つまり、防衛省は、工事及び存在・供用という
影響要因の区分を保全措置のタイミングを規定したものとみなしていること、施設の存在の項目に書かれた保全対策は飛行場が完成した後にやればよいという定義、周辺には埋立区域は含まず、代替施設、すなわち埋立区域外であるという定義、埋立区域の海草藻場が一旦消失する、飛行場完成まで待って数年にわたり消失したまま放置されるということはアセスの前提になっているということ。このようなことは、早く埋めてしまいたいという防衛省の一方的な願望によって一般的な言葉の
意味をねじ曲げたへ理屈にすぎません。
沖縄県には、こうした防衛省の特殊な定義を
説明したことがありますか。