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小寺分科員 ありがとうございました。
重々、
制度上、
仕組み上、なかなか難しいことは承知の上でお聞きをしたわけでありますけれども、ぜひ、そうした
地域の実情の声にも耳を傾けて、よりよい
制度になりますようお願いを申し上げるところでございます。
最後に、私の思いを少しお話しさせていただければと思います。
私は、
農家の出身ではありません。おやじは
畜産の専門家で、獣医をしながら養豚を営んでおりましたが、私が小学生のときに廃業し、以来、商売の世界でずっと生きてまいりました。であるにもかかわらず、私が
農業に思いを寄せるのには理由がございます。
私
自身は比較的町の中心部に暮らしておりますが、周辺には農村集落がたくさんあります。そして、議員活動を通じて農村の
人たちとの交流を深めていく中で、農村集落において
農業が果たしている多面的機能を大いに評価しているからであります。
私の考える多面的機能というものは、よく土地改良でいうような治水機能や
環境保全といった分野のものではありません。それは、
地域の文化や歴史、あるいは教育や福祉といった分野で
農業が果たしている役割がとても重要なものだと考えているからです。
今でも私
たちの
地域では、三世代あるいは四世代が同居することが決して不思議なことではありません。最近では、敷地内に並べて若夫婦の世帯が暮らすことの方が多くはなっているところではあります。そうした農村において、若い両親が安心して働きに出かけられるのは、おじいさんやおばあさんがおうちにいて、お孫さんのお世話をしたり、晩御飯の支度をしてくださるからです。また逆に、おじいさんやおばあさんがお年を召されても、施設のお世話にならずにデイサービスを利用しながらもおうちで暮らすことができているのは、御家族の
協力があるからです。
営農の組合長や改良区の理事長を務められる方は、紛れもなく
地域のリーダーばかりです。お寺の役員も神社の神主も、みんなそうした
方々に支えられているのです。自治会長やまちづくり協議会の役員も、おおよそそうした
方々に支えられています。
もしも
農業が農村で成り立たなくなって、農村が崩壊し、集落の機能が維持できなくなってしまったら、一体どのようなことが起きるのでしょうか。火を見るよりも明らかであります。そして、崩壊してから行政が負担をしなければならないさまざまなコストを考えれば、
農業を
支援することで農村を守ることの方がよほど費用対効果が高いというのが、私の考えている
農業への思いであります。
私は、少子高齢化が進み、食生活が欧米化した今日、毎年、主食用米の需要が八万トンずつ
減少しているのですから、主食用米の
生産に過度に頼らない
農業経営の
仕組みを全国で
地域に合わせた形でつくっていくことは大変重要なことだと考えています。そうした
観点からすれば、産業政策として
農業を成長産業と位置づけ、
規模拡大を図りながら、
生産の高度化や六次産業化、あるいは輸出や観光産業との連携など、現在、国で進めている方向性は正しいものだと思います。実際に結果は数字にあらわれていますから。
ただし、そうした方針にさまざまな理由から乗り切れないところ、物理的に無理な
地域、例えば中山間
地域などもそうかもしれませんが、では、そうしたところはほったらかしにしておいてもよいのか。私が申し上げたように、
農業が農村で果たしている機能は評価しなくてもよいのかということを申し上げたいのです。
農業が農村で暮らす
人たちですら遠い存在になっている中では、
農業と農村をもう一度結びつけるような
地域政策の充実、日本型直接支払
制度の拡大が、産業政策とのバランスを考慮しながら求められているのではないかと考えております。これが、私
自身が本日申し上げたかったことでございます。
きょうはこうして第六
分科会で
質問の機会をいただくことができましたけれども、これからは、また常任
委員会でも、できれば、国
会議員として、国全体のことを考えながらも、
地域の声も届けてまいりたいというふうに考えております。
そうした
課題を伝えるためには、ぜひこうした
委員会の場で私どもも発言の機会をいただくことが何より重要であるというふうに考えておりますので、どうか理事の先生方におかれましては、与野党にかかわらず、ひとしく発言の機会が得られるような
委員会運営をお願い申し上げまして、私の
質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。