○佐藤(ゆ)
委員 自由民主党の
佐藤ゆかりでございます。
久しぶりの
予算委員会での
質問、ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。
本日は
社会保障と人づくり等というテーマの
集中審議でございますが、人づくりに若干触れさせていただきながら、等ということでございますので、お許しをいただきまして、アベノミクスの波及効果について、これは大変重要な課題ではないかと私自身考えておりますので、
質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、アベノミクスについてでございます。
安倍
総理も、この五年間、政権交代をしていただいていまして、その間に大変アベノミクスの成果というのは出てまいった、津々浦々そういうお声も聞きますし、
総理自身も御
答弁なさっているところでございます。
数字上は、この政権交代後の五年間のアベノミクスで、足元二十八年ぶりになりますが、八四半期連続のプラス成長。そしてまた、四年連続の賃上げ。そして、生産年齢人口は、
日本はやはり少子高齢化でございますから三百九十万人が減少しているわけでありますが、にもかかわらず、雇用は逆に百八十五万人もふえている。そして、有効求人倍率も、これは四十七全ての
都道府県で一倍を超えている。これは高度成長期でもなかった実績でございまして、こういう統計がマクロ経済全体として出ている。GDPも、この五年間で五十兆円以上も増加している。こういう、続々とプラスの数字が出ているわけでございます。
しかしながら、一方で、評論家の方々、あるいは、私
どもも
地域を歩いてまいりますと、景気がよくなってきたという
地域と、
地域によっては、まだまだ私たちのところにはどうもアベノミクス伝わってこないなという声と、さまざま聞かれるわけでございます。
この数字が見せる成果とやはり
地域でこういうお声があるということの
乖離は、やはり原因を究明しながら、いよいよデフレ脱却に向けてこういったところにも政策を打っていくということが大事ではないかなというふうに考えておりますので、そのあたりをきょうはお伺いをさせていただきたいと思います。
安倍
内閣の政策のアベノミクス。経済政策は、よくトリクルダウンというふうに言われるわけでございます。私も経済のモデルをつくる側で長年
仕事をしておりましたが、トリクルダウンといいますと、大きな木があって、雨が降って、そして、理論の世界であれば、このトリクルダウンの木も左右に一本ずつ枝があるぐらいの抽象化されたものでありますから、雨の水も滴りやすい、すぐに効果があらわれるということでございます。こういったものを前提として、評論家の方々もトリクルダウンはあらわれないじゃないかということをよくおっしゃるんだろうというふうに思います。
しかしながら、現実はそんなに易しいことではありません。現実の木はさまざま枝葉が茂っておりますし、そういう中で、雨がぶつかって水が散るところもあれば、下に落ちるところも出てくる。なかなか根元に水がおりてこないエリアとおりてくる場所とさまざまというのが実際のトリクルダウンの木ではないかというふうに考えるわけでございます。
そうすると、そういう落ちるところ、落ちないところのでこぼこを政策的な
支援でできるだけスムーズにして水が落ちやすくしていく、それが課題としてあるのではないかと思われるわけでございます。
そこで、これは幾つかの要因はあると思いますが、きょうは時間もありますけれ
ども、私が一つ腰を据えた
議論をできる限りお伺いしたいと思っておりますのは、経済政策のトリクルダウンの波及の経路。
経済というのは、情報コストが低くて、できるだけ規制がなくて、障壁がなくて、自由に物が動けるときに一番速やかに効果が及ぶわけでございますけれ
ども、一方で、
政治、行政の仕組み、特に国と地方の関与のあり方、こういった
政治、行政の
制度的なものが中に入りますと、国の
予算も
都道府県でなかなか着実にそのまま執行に至らないというような、意思の疎通の
乖離が、実はトリクルダウンを難しくしている一つのステップではないかというふうに思われるわけでございます。
そこで、今回、そのあたりの御
質問をさせていただきたいのでございますけれ
ども、例えば、幾つかイメージとして先に事例を述べさせていただきたいと思います。
さまざまな省庁で、国の政策的な
予算が
地域におりないという課題があるかと思います。一つは、例えば文科省。国から地方に税財源移譲をしたり交付税措置で、行政サービスとしての、ナショナルミニマムで最低限の義務教育水準ですとかあるいは経済の最低限のサービスの水準、こういうものを普通交付税や交付金、補助金等でできるだけ均一に、
地域のばらつきが出ないように維持するための
予算を国から地方に出しているわけでございます。
例えば、文科省の私学経常費助成費補助金、これは、文科省が、私学振興助成法第九条によりまして、幼稚園から高校までの私学助成のために補助金を
都道府県に支給をしているわけでございます。法律では
都道府県に対して学校への配分を義務化しておりませんので、
都道府県によっては、十分に配分するところとそうでないところとばらつきが出る。しかし、幼稚園から、中学までは少なくとも義務教育でありますから、
都道府県で配分のばらつきが出るということは、いささか私は違和感を感じるわけでございます。
それから同時に、著明な例としては図書購入費などがございまして、例えば、東京都と青森県で、これはよく出される事例ですけれ
ども、図書購入費、国から
都道府県におろす費用が、東京都は破格に多いんですよ、青森県では破格に少ない。しかし、お子さんにとりまして、図書へのアクセス、親しむということは義務教育の一環であって、こうしたところに配分の格差が出るのはいかがなものか、そういう問題があろうかと思います。
さらに、国交省の関連で申しますと、運輸事業振興助成交付金、これは運輸事業者向けの国交省の補助金でございますが、例えば大阪府で申しますと、トラック協会、こうしたところに対する交付率が、国交省を通じて
都道府県におろされたものが、いまだ交付率が五割強にとどまっているという現状がございます。
また、経産省の例で申しますと、小規模事業者経営
支援事業費、これは小規模事業者関連の経産省の補助でございまして、小規模事業ですから、本当に経済にとりまして、全国でナショナルミニマムを維持するという観点で、私は非常にこれは重要な補助金だというふうに考えているわけであります。これは実施機関であります商工
会議所や商工会に交付されるわけでありますが、その実施機関に対する
都道府県からの交付率が例えば五、六割にとどまっているというような
都道府県もあるわけでございます。
こういうばらつきがある中で、トリクルダウンが起きるところと起きていない
地域、交付率の差によってやはり
予算が執行されるところ、されないところが出てまいりますと、相当ばらつきが出ると思います。そういうことを鑑みますと、GDPが五十兆円拡大した、有効求人倍率が全国で一倍以上になっているということは、アベノミクスの政策的な努力が相当見えないところでもあるんだろうということを私はまず認識をしなければいけないというふうに思うわけであります。
その上で
質問させていただきたいと思いますが、確かに政策が打たれて改善したと見られる部門もあるのではないか。
国交
大臣にお伺いしたいと思いますけれ
ども、運輸事業振興助成交付金の交付についてですが、
都道府県の努力義務規定を設けた運輸事業振興助成法、これは
平成二十三年に制定されましたけれ
ども、それ以降、トラック協会に対して運輸事業振興助成交付金の交付
基準額に対する執行率が上がった、いわゆる立法効果があったというふうに考えてよろしいでしょうか。