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福井委員 ありがとうございました。
現在の
日本人の心に光が差し込むように、光に向かって進んでいけるように、先を見通せる、透明感のある、透明な施策の展開をお願いを申し上げたいと思います。
さて、
パネルをごらんいただきたいと思います。
左の歌ですね。
大津波来たらば共に死んでやる今日も息が言う足萎え吾に
高知県黒潮町のおばあちゃんが詠んだ歌でございます。
今から申し上げるのは、トゥルーストーリーでございます。
二〇一二年三月三十一日でございました。突然でした。我々にも突然でした。
内閣府が、南海トラフの大地震によって、高知県黒潮町には三十四・四メーターの、十階建て以上の高さの津波が来る、そういう予測値を発表いたしました。
三月三十一日は土曜日でございました。四月一日は日曜日でございました。当然、町じゅう大騒ぎでございます。もう町を捨てて出ていくしかないなという雰囲気になりました。どよんとした言いようのない怒り、もう絶対無理という言葉であふれました。
そして、四月二日月曜日、町長は町の全職員を集めました。
皆さんだったら何と訓示するでしょうか。町長はこう言いました。
今後、黒潮町にあっては、諦めるとか絶望するとかいう言葉を禁止する。
災害は
人間を究極にまで追い込みますけれども、追い込まれた町長が二日間考え抜いた言葉でありました。諦めるとか絶望するとかいう言葉を禁止する。
そして、避難拒否民をゼロにすること、もう避難しなくていい、避難したくないという避難拒否民をゼロにするということを全員の目標にいたしました。
人間には生きる義務があるからです。全員避難できるように、避難する体制、避難タワー、高台避難路を
整備する、避難訓練も行う、全員が
災害対策担当になるようにと、町の職員全員に訓示をしたわけでございます。
それ以来、一万人の町、一万回戸別訪問をしました。そして、いついかなるときでも、二十四時間、それぞれが、全員が、町民全員がどこにどのように避難するかを徹底しました。そして、全員が認識を深めました。
しかし、足の痛いおじいちゃん、おばあちゃんがいます。これを説得するのは大変でした。それはそうです。もうわしは年じゃ、早う逃げ、おまえら逃げ、もういいから捨てて逃げて、もうあかんと言うおじいちゃん、おばあちゃんに語りかけます。
そやな、足痛いよな、痛いよな、そらそうや。でもね、東北でね、一旦高台に逃げてきた若者が、あ、近所の何々おじいちゃん、何々おばあちゃんがいないと突き上げる衝動で助けに行って、もう二度と帰ってこなかった、そんな若者がたくさんいたんです。たくさん知っているんです。そして、もっとある。立ちすくんで高台にそのまま残った若者、自分は立ちすくんでしまった、親友は助けに行って死んだと自分を責め続けるんです。一生心に傷を負うんです。どれだけ苦しんでいるか、想像を絶するものがあります。
災害は、こうやって、究極まで
人間を追い込みます。何が正しいかなんて誰にもわかりません。でも、おじいちゃん、おばあちゃんが、足が痛いけれども、痛む足を引きずってでも避難しているその後ろ姿を若者に見せてさえくれたら、いつでも避難訓練で避難しているという後ろ姿を見せてくれたら、こんな若者の命を救うことができる、これだけは正しいんじゃないかな、だから、たとえ半分まででもいい、高台の半分まででもいい、逃げる姿、逃げる後ろ姿を見せてほしいと頼みました。
その結果が、この右側の歌です。
この命落しはせぬと足萎えの我は行きたり避難訓練
です。ありがとう、香代子おばあちゃんという感じですよね。これが防災、これが
国土強靱化の真髄です。これが
人間なんです。
そして、今、もう本当に超田舎なんです、黒潮町って。今では若者の定住意識も高まって、何と社会増です。むしろ、こんな若者の定住意識に見合うようなまちづくりができているのかどうかということを問われている。そこまで町が追い込まれているといううれしい悲鳴を上げている状況。まさに、ピンチはチャンスに変えることができる、
災害を逆手にとって
地域おこしができるという、これは事実であります。
さて、次の補正
予算、きょうのメーンテーマは補正
予算です。
そんな避難路、避難タワーをつくるための
予算、今御審議いただいている補正
予算、公共事業費だけですけれども、一兆三億円。一兆三億円のお金はこういう仕事に使われております。一日も早く、一刻も早く地方部にお届けしなければなりません。どうか御審議をお願い申し上げたいと思います。
もう
一つあるんです。地方部の、そして小さな小さな建設業者に行く公共事業費、どうしても必要なわけがあります。それは私たちの誇りでもあります。
二〇一一年三月十一日、くしの歯大作戦をやりました。盛岡の内陸部から三陸海岸に直轄道路を啓開しなければなりません。道路啓開というのは、もう一面
災害廃棄物の海、どこが道路だったかわからない、その
災害廃棄物をよっこして、そして、御遺体のところに赤い旗を立てて、自衛隊が三陸海岸に助けに行く、その道路空間を開いていく、これが道路啓開でございます。
誰がやるのか。当然、道路補修をしている、道路維持管理をしている、ちっちゃなちっちゃなちっちゃなちっちゃな建設会社です。私たちの誇りは、三月十一日二十四時までに道路啓開チームを発車させることができたわけでございます。官民一緒になって道路を維持管理してきたわけだからです。
電話も通じない、その会社がどこにいるかわからない、そういうところで何とか探し出して、道路啓開をやってくれるかと頼み、そしてやっていただいた。そして、三日三晩たってやっと三陸海岸に到達した。そして、ありがとう、もういいから帰っていいよと言ったら、何を言っているんです、今からこの南北の道路を啓開するんですということを、そのちっちゃなちっちゃなちっちゃなちっちゃな会社の若者が言ったんです。その責任感と使命感、本当に誇りに思います。そんな会社に配るのがこの補正
予算ということです。
さて、
質問に入らないと時間が足りません、
国土強靱化です。
国土強靱化は、二〇一一年十月から
国民運動としてやってまいりました。
国土強靱化とは、いかなる
災害が発生しようとも、人命を守る、国家、社会の機能を維持する、そして財産の
被害を最小にする、迅速に
復旧復興をする。
今、国費が三兆七千億になりました。まだ本
予算の審議が始まっておりませんけれども、三兆七千億。そして、基本計画もローリングを続けている、県版、市町村版の計画の立案もほとんど済んでいるという状況。
そして、今、私どもの目標は、パラリンピック、遠藤
大臣の指導の
もとに、もしパラリンピックをやっているときに首都直下地震が起きても、一人のディスアビリティーも一人の
支援者もパラリンピアンも命を失わない、もちろんけがもさせない、翌日から粛々とパラリンピックを再開させる、これが強靱化されたレジリエントな東京であり、
日本であるという目標を立てているわけでございます。
世界一のユニバーサル都市にする、これが
国土強靱化の目標でございます。
そこで、しかし、やめるわけにはいきません。
冒頭申し上げた
火山対策もそうでした。まだまだ知らないこと、まだまだやらなければならないことが山積をしております。原発がもし
事故があったときに避難する道路、そしてその体制、そしてパンデミック対策、まだまだやるべきことはございます。
小此木
国土交通大臣に、今やらなければならないこと、直面する課題について御紹介をいただきたいと思います。