○
中谷一馬君
立憲民主党の
中谷一馬です。(拍手)
まず冒頭、
大阪北部地震及び西日本を襲った
豪雨災害におきましては、幾多のとうとい命を失いました。列島を襲うたび重なる
災害の犠牲となられた方々とその御遺族に対しまして、衷心より哀悼の意を表します。また、負傷された方々を始め、被害に遭われ、
避難生活を余儀なくされている
被災者の方々にお見舞いを申し上げますとともに、この間、懸命な救助に当たられている
関係者の
皆様方に心からの敬意と御礼を申し上げます。
このたびの
災害を受け、
立憲民主党の
枝野幸男代表等、野党六
党派党首が七月九日に
首相官邸を訪れました。その際、行政府、
立法府が一体となり、全力で
災害対応に取り組めるよう、
国会での審議を中断する
政治休戦を提案し、緊急の申入れを行いました。
今、政治が取り組むべき最優先は、
党利党略で
自民党国会議員の
身分保障を優先するための
参議院議員定数六議席をふやす法案や、賭博、
ギャンブルを解禁する
カジノ法案を
強行採決することではなく、
災害に苦しむ
被災者に寄り添い、一日も早い復興を目指すことです。
与野党を超えて
災害復旧と
被災者救済に最大限の力を注ぐことができる環境を整えていただくことを政府・与党に要請させていただき、本題に入ります。
ただいま議題となりました
議院運営委員長古屋圭司君
解任決議案に対し、
提案者を代表して、理由を説明いたします。
まず、
趣旨弁明に先立ち、一言申し上げます。
そもそも、
議会制民主主義とは、選挙で選ばれた民意の
代表者が政治に参加し、その民意を反映させる制度です。歴史を振り返れば、差別や迫害、弾圧をはねのけ、自由と権利を求めた人々が長年にわたって闘い続け、かち得たものが
議会制民主主義であり、人類が生み出した偉大な
歴史的英知の一つと言われています。
そして、その
議会制民主主義を健全に運用する使命を与えられているのが
国会です。
国会は国権の
最高機関であり、憲法第四十一条に明記されています。
国会で審議されるさまざまな法案や
予算案は、政府・与党が一体となって審査をし、
国会の場に提出したものを、
与野党が徹底的に検証、検討し、
ブラッシュアップをすることによって初めて可決、成立するものです。
与野党は、政策を闘わせ合う
ライバル同士であったとしても、
嫌悪感を持ち合うような対象ではありません。山の登り方は違えど、日本をよりよくしたい、平和で豊かな
国民生活をつくり、次世代へ希望にあふれたバトンをつなぎたいという思いは共通するものであると信じております。
そうした観点から、私は、政府に行う質問は、
否定論理ではなく、未来への展望を交えながら建設的な提案を行うように心がけております。
一方、政府・与党は、法案や予算をより洗練されたものとするために、野党の指摘に対しても真摯に耳を傾け、徹底的に議論を行い、改めるべきはしっかりと改善をしていくのが健全な
議会制民主主義の姿であると考えます。そして、そのような
議会政治の軸となる
議院運営委員長は、その模範となるべき行動が求められるのではないでしょうか。
こうした観点から
国会運営、
議事運営を見たときに、
国会における議論においても、さまざまな識者の皆様から
大変参考になる御発言がありましたので、ここで何点か趣旨と要点を引用して御紹介いたします。
与野党を超えた真剣な議論が必要であり、そのための真摯な行動こそが、そして建設的な議論を尽くすことこそが、国民が求めたものではないでしょうか。我々は、国民の選良たる
国会議員として、いま一度、よりよい言論の府としての
国会を取り戻すべきではないでしょうか。
数は力の横暴な論理のもと、
我が国の
民主主義を根底から破壊に向かわせようとする、まさにそういう危機の瀬戸際にあるということであります。例えば、一つ、多数を背景に、憲法と
国会法をねじ曲げ、これまでの
国会で積み上げてきたよき慣例と伝統を破って、
民主政治の根本である野党の主張にも耳を傾ける努力を一切せず、強引な
国会運営に終始していること。一つ、議長、
議院運営委員長を始めとする各
常任委員長も、公正な
運営を確保するためにそのリーダーシップを発揮すべきであるのに、政府・
与党側の
出先機関に成り下がり、
党利党略にくみして、恥じることがないこと。一つ、国民が厳しく批判し関心を抱いている問題で、一切
説明責任も
自浄能力も発揮しようとせず、数の力でそれらにふたをしようと強引に事を進めていること。
中略。
選挙で多数の民意を受けた以上、何をやっても白紙委任されたと言わんばかりのやりたい放題、全てにおいて数の横暴でよしとする態度は、健全な
我が国の
民主主義に対する冒涜であり、破壊であります。
中略。
議院運営委員長は、国権の
最高機関である
国会にあって、中立公正な立場から職務を遂行し、
議会運営の全般に責任を持つべきであることは言うまでもありません。そのことは、私が初当選の時代、
議院運営委員を務めていたころ、当時の
議院運営委員長で、今は亡き
亀井善之先生から教えられたことでもあります。
亀井善之先生からは、
議院運営委員長は、
衆議院において、議長、副議長の指導のもとに、よりよい
国会運営をしなければならない、それゆえに、職務の遂行に当たっては中立公正を旨としなければならない、
幾ら与党の一員といえども、
委員長たる者は、与党の話は四割、野党の話は六割聞いて、
国民主権を具現するための
議会運営に努めなければならない、与党がおごって
国会運営をしたならば、結果として困るのは国民なのだから、そのように教えていただきました。
中略。
もとより、議案の扱いは野党の希望に応じて決定されるべきものであり、多数を持てば話合いは不要とばかりに、議会の
合意形成を真っ向から排除するという態度に終始しては、多様な意見を反映すべき
立法府としての
存在意義が崩壊していくばかりでありますという内容です。
これは、
自民党が野党であった平成二十二年二月二十五日の
衆議院本会議において、
江渡聡徳議員が、当時の
議院運営委員長でありました
松本剛明議員に対しての御発言でありまして、
大変参考になる御意見です。
特に、
委員長たる者は、与党の話は四割、野党の話は六割聞いて、
国民主権を具現するための
議会運営に努めなければならない、与党がおごって
国会運営をしたならば、結果として困るのは国民なのだからという部分は、今の政府・与党の
運営を見てもそのとおりだなと思いますので、皆様におかれましても、
重鎮議員の貴重なお言葉でありますから、今後の
国会運営にぜひこの教訓を生かしていただきたいと思います。
また、次の参考となる発言の要旨を御紹介させていただきます。
みずからの
野党時代の主張にはふたをし、都合の悪いことには目をつぶり、多数を背景に強硬な姿勢で
自分たちの我を通すという御都合主義的、強権的な姿勢は、責任ある与党の姿、国権の
最高機関たる
国会の姿とはとても思えません。
中略。
他人に厳しく自分に甘い、臭い物にふたをするという二大体質に国民は強い疑いの目を向けていることにそろそろ気づくべきであります。
これも、
自民党が野党であった平成二十二年二月二十五日の
衆議院本会議における
伊東良孝議員の御発言であり、こちらも本当に心を打つ、
大変参考になる、すばらしい御意見です。
また、
国会議論を形骸化させ、
少数意見を抑圧する
政治主導を許すわけにはまいりませんということを強く発信されており、私もそのとおりだなと心から共感いたしますので、
政権与党の皆様におかれましては、この教訓を参考に生かしていただき、今後の
国会運営にぜひ取り入れていただきたいと思います。
また、
竹下登元総理は、
国会運営は、野党の言い分を七割聞き入れて野党にげたを履かせる、与党は三割でよいと語り、
伊藤宗一郎元
衆議院議長は、
国会は国民全体のもの、一政党の主張だけが通ることはないと述べられています。
政権与党の皆様におかれましては、これら諸
先輩方の教訓をぜひ参考に生かしていただき、今後の
国会運営に取り入れていただきたいと思います。
政権与党の皆様に
国会運営の
あり方を御理解いただけるまで、まだまだ御説明させていただきたく、他の引用も多数用意していたのですが、時間の都合もあるかと思いますので、
参考意見の御紹介は次の方で最後とさせていただきます。
これは、平成二十三年二月二十五日、産経新聞に寄稿された記事です。
熟議を求めた
首相自身が、
官僚作成の
答弁書を繰り返し読み上げ、答えにくい質問は冗長な答えではぐらかし、質問時間を故意に空費させている。ゆゆしき事態である。そこで、私なりに、
国会の本会議や
委員会に熟議を取り戻すにはどうすればよいか考えてみた。熟議のためには、議論する当事者がうそをつかないことが必要である。もちろん、考えが変わることはある。その場合には、なぜ変わったのか、そのことについての
説明責任を果たさなければ議論への参加はできない。
これは
稲田朋美議員の
インタビュー記事ですが、こちらも
大変参考になる御意見であり、現状に照らし合わせても、まさに傾聴に値するお言葉であると思います。
政権与党の皆様におかれましては、初心を忘れず、こうした教訓を参考に生かしていただき、ぜひ今後の
国会運営に取り入れていただきたいと思います。
このように、現在の
政権与党の中枢を担う多くの
現職議員やOB諸
先輩方の御発言からも読み取れますが、
国会における
議院運営委員長は、
議会運営に責任を持ち、一
党一派に偏らず、各会派の主張に十分に耳を傾け、
公正中立の立場で円満な
議事運営に当たることが求められております。
少数の声にも耳を傾けるのが
民主主義の基本であり、当然のことながら、
議院運営委員長が議長から委任された職権を、
議院運営委員長みずからがその都合や
党利党略で濫用することはあってはならないことです。
そうした中、私は、
古屋圭司議院運営委員長と
議院運営委員会でともに仕事をさせていただきました。語学が堪能で、
文化芸術への造詣が深く、
海外要人をお招きしての宴席などでは要人のおもてなしの仕方を指導してくださるなど、私
たち野党の一期生議員にも気をかけていただき、お心遣いをしてくださる人格の持ち主です。その
古屋委員長に対する
解任決議を提出する日が来たことは大変残念でなりません。
しかしながら、今現在も続けられている
巨大与党による数の力に物を言わせた不公正な対応と強引な
国会運営は、まさに職権の濫用であると指摘せざるを得ません。
今
国会のように
委員長職権で本会議がどんどんと立てられる現状は、不公正かつ強引なものであり、
議会制民主主義の根幹を揺るがすほどの大きな問題です。
裁量労働制の
データ捏造、
森友学園文章の隠蔽、改ざん、
加計学園首相案件疑惑など、問題が問われて久しくありますが、一部の権力に近い者への
利益誘導をしていないか、誰かの
私利私欲に走った
政権運営が行われていないかなど、国民の疑念が大きく膨らんでいる中で、今ほど、
国会、そして議員の
あり方が問われているときはありません。
ここにいる
国会議員は、一人一人が国民の思いに対する負託を受けた
代弁者です。
私たちに求められていることは、行政を厳しくチェックし、真摯に謙虚に誠実に国民の皆様の声に耳を傾け、その思いを一つ一つ実現させ、よりよい未来を切り開く、地道な努力と着実な成果です。
もしそれらを怠り、有権者の民意を反映させようとする姿勢が見受けられない、おごりをあらわにする政治が行われているとすれば、それらを厳しく指摘し、正しくしていくことが私たちに与えられている役割です。そして、この国の将来を見据え、
国民生活をよりよいものにするために、発展や改善に尽力するのが、
国会、そして議員に負託された使命です。
自分たちの政権に都合が悪いことは、裏でこそこそして隠す。多くの国民が、
世論調査でさまざまな問題について、納得できない、
説明責任が果たされていないと言っているにもかかわらず、それらに対して正面から向き合うことなく、改善に向けた努力をする姿勢は見受けられません。
その一方で、
自分たちの政権に都合がよいことはどんどんと進め、
政権周囲にいる方々への利益に直結するような話は、恣意的に
スピード感を持って進められているのではないかと、多くの国民はこうした
国会運営に大きく疑問を呈しているものです。
今、政府・与党はどこを向いて仕事をされているんでしょうか。
国会は、一億二千六百万国民の政治を担う中枢であり、
国民生活を守るために存在するのです。一部の
既得権益者や団体への
利益誘導を行うために存在するのではありません。
私は、
国会をクリーンでオープンでフェアなものにしていく必要があると考えます。そうした観点から、現在行われている理不尽な
国会運営、
議事運営の実態を国民の皆様に知っていただくとともに、
安倍政権の強引かつ恣意的な
国会運営に同調し、
国会を
首相官邸の
下請機関のように形骸化させてしまった
古屋委員長を解任せざるを得ないと判断をいたしましたので、
議院運営委員長古屋圭司君の
解任決議案を本日提出いたします。
本院は、
議院運営委員長古屋圭司君を解任する。
右決議する。
以下に、
議院運営委員長古屋圭司君を解任すべき理由を申し上げます。
解任理由の第一は、
古屋圭司君が
議院運営委員長として、不公正かつ強権的に
委員会運営を行っている点です。
国会における議論は、
国会議員が、国の未来を、
国民生活をどのようによりよくしていくのか、
国民目線でそれぞれの思いをけんけんごうごうと議論をする場所であると考えます。決して、
御飯論法のような、政府・与党と野党がかみ合わない、一方通行な発信をし続ける場所ではありません。
そうした中、今の
国会の状況はどうでしょうか。
議院運営委員長たる者は、国権の
最高機関である
国会において、
議会運営に責任を持ち、公正かつ円満にその職務を全うすべきことは言うまでもありません。
しかるに、
議院運営委員長古屋圭司君は、累次にわたって、職権での本
会議開会を七度も強行するなど、その横暴きわまる
議会運営の姿勢は到底看過することはできません。
特に、働き方
改革関連法や
カジノ法案など、
国民生活に直結するような
重要法案についても、野党の意見を一顧だにせず、数の横暴を繰り返す与党の都合のみに目を向けて、本
会議開会を強行した責任は極めて重いと指摘せざるを得ません。
例えば、子ども・
子育て法案については、
趣旨説明から採決まで、
古屋委員長の職権で、
野党出席のないまま一方的に質疑が進められるという
強行ぶりでした。こんなことが
我が国会の歴史の中にあるのかと調べたところ、野党第一党の出席がないまま本会議での
趣旨説明から採決まで強行された例は、何と昭和三十五年の
チリ地震に関する八法案までさかのぼらなければありません。五十八年ぶりのとんでもない暴挙です。
また、働き方
改革関連法案をめぐっては、日本経済新聞が二月二十六日に行った、
データに不備があった
裁量労働制をめぐる
厚生労働省の調査について、再調査を必要とする
可能性があると答えた方は七五%となり、非常に高い水準であります。さらには、毎日新聞が五月二十八日に行った、働き方
改革関連法案について反対と答えた方が五〇%に上り、賛成と答えた二七%の倍近い数字となりました。
そもそも、
厚生労働省が、約三年前から、捏造された不適切な
データ比較をもとに、
裁量労働制で働く者の労働時間の方が
一般労働者よりも短いという虚偽の説明を繰り返し、
安倍政権の
答弁撤回に追い込まれたのは記憶に新しいところです。それでも
強行採決に踏み切った
政権与党の暴挙は、結論ありきで進められてきた、
日程優先の性急な審議だったと断じざるを得ません。
そして、法案の
強行採決の当日までも
データ集計のミスが報告されるというずさんな処理が行われていたことが明らかとなっており、
政策決定の
根拠自体が揺らいでいる中で、議論の前提となる情報も十分に提供されていない、それでもなお法案の
正当性を強弁し、成立を強行した政府・与党の姿勢には、あきれて物が言えません。
国民生活に大きな影響を与える立場にある者が、国民の声を聞くことなく、一部の
既得権益者など利益をもたらされる者の声だけを聞いて、実態を踏まえていない机上の空論で政策をつくれば、苦しむのは国民であります。働く人々全てに関係する
重要法案をこのような形で
強行採決したことは、
国会軽視も甚だしいと断じさせていただきます。
先ほどから、やじで、休んでいたんだからという話があるんですけれども、
自民党が
野党時代には、行った
審議拒否の回数、実に八十五回です。また、野党が抗議で
委員会を欠席したこと、法案の
強行採決の当日の朝までも
データの
集計ミスが報告されている現実は全く、野党のせいという指摘は当たりません。人のふりより我がふりを直していただき、まずこの捏造やミスをしっかりと正していただくことを要望するとともに、不適切かつ幼稚なやじを猛省していただきたいと思います。
また、政府・与党は、
カジノを含む
統合型リゾート、
IR実施法案を六月十九日に
衆議院で可決し、
参議院でも近々強行に可決しようとしております。刑法が禁じている
賭博行為である
カジノを、あえて
特別法を策定して設置するということは、非常に慎重かつ丁寧な議論が求められることは当然ですが、政府・与党はなぜこんなにも急いで
カジノを強行に推し進めようとするのでしょうか。
ギャンブル依存症など、
カジノに関する多くの懸念や疑問が解決されていないことの証左として、世論は
カジノ解禁には否定的です。朝日新聞が七月十五日に行った調査では、
IR実施法案を今
国会で成立させるべきかどうか尋ねたところ、反対が七六%であり、賛成の一七%と比べると大きな開きがあります。こうした状況を見ても、多くの国民は、
カジノ法案を今
国会で成立させることを望んでおりません。
また、
政策効果として、今以上に
訪日外国人観光客をふやすことができると吹聴される方もいらっしゃるようですが、実際問題として、
外国人観光客は、日本の
統合型リゾート、IRで
カジノを楽しみたいと考えているのでしょうか。
その答えの一つとして、二〇一七年十月五日発表のDBJ・
JTBFアジア・
欧米豪訪日外国人旅行者の
意向調査によれば、
カジノは、
統合型リゾート、IRの中で利用してみたい施設としては、八項目の中で最も低い最下位に
ランクインをしており、日本で
カジノを利用してみたいと回答した人は、何と全体の七%しかいないという衝撃な数値が明らかになっています。
対照的に、
統合型リゾート、IR内で
ショッピングモールを利用してみたいと回答した人は四六%、ホテルを利用してみたいと回答した人は四三%、
アミューズメント施設を利用してみたいと回答した人は四〇%、
温泉施設などを利用してみたいと回答した人は三七%であり、
カジノを利用してみたいと回答した七%の調査結果と比較して、誰にでもわかることは、
訪日外国人観光客は、日本において
統合型リゾート、IRに足を運ぶなら、
カジノ以外で楽しみたいと思っているのが明らかだということであります。
こうした客観的な状況を正面から捉えれば、
カジノに対する
インバウンド需要が大きくない現状が明らかであり、
経済効果という観点から、大きな疑問を持たざるを得ません。
そして、日本の
カジノ市場には、アメリカ、リゾート大手のラスベガス・サンズやMGMリゾーツなどが強い関心を示しているとのことですが、これらの外資系企業が仮に日本の
カジノ運営に参画したときに、
外国人観光客で稼げない
カジノは、経営的には日本人顧客の取り込みに走ることは当然だと思います。(発言する者あり)議運
委員長の話、これは関連していますので、ちゃんと聞いてください。
そして、日本で
カジノを開けば、年間売上高は九千億円に達すると試算している調査もあり、日本人が
ギャンブルで負けた一兆円近いお金が外資系企業に流れる構図ができ上がったとしたら、これは一体どこの国の経済政策でしょうか。
そもそも、アジアで
カジノを楽しみたいのであれば、マカオやシンガポールなどに足を運ぶ
外国人観光客がほとんどですから、有名な
カジノ施設が多いアジアに位置する日本において、真に日本の国益につなげる経営を考えるのであれば、
カジノ一辺倒の
統合型リゾートではなく、
インバウンド需要をしっかりと酌み取った日本独自の色を打ち出した
統合型リゾート、IR整備をしていくことが必要だという答えを導き出すのが普通の経営感覚だと思います。
しかしながら、政府・与党は、こうした都合の悪いことには目を向けず、
IR実施法案を、
古屋委員長が五月二十一日に職権で審議入りを決定されました。閉会まで残り一カ月を切っていたため、今
国会の成立を優先させた審議日程であることは明らかです。このような審議日程を決めた
古屋委員長の責任は極めて重いと指摘せざるを得ません。
また、与党は理事懇で、十八時間以上審議した、時間が短いということはないと主張されたそうですが、その十八時間の審議の中身はどうでしょうか。
国会審議が進めば進むほど、疑問や矛盾が次々と浮上してきているではないですか。
政府・与党は、IRの利点ばかりを強調され、ビジネスの起爆剤に、地域振興、雇用創出が見込まれると聞こえのよい言葉ばかりを並べますが……(発言する者あり)今、そうなんです、試算していないんです、これ。政府は、具体的な
経済効果に関して、定量的な試算を明示しておりません。法案を提案するに当たっては、定量的な根拠のないきれいごとばかりを発信するのではなく、マイナスの影響を検証し、それらの対策を踏まえた議論を行うべきです。
実際には治安対策や依存症対策などに多額のコストがかかることが想定され、負の
経済効果も計算に入れていない現状では、その妄想は絵に描いた餅にすぎません。
ちなみに、二〇〇〇年から自国民向け
カジノを解禁した韓国・江原では、犯罪率が急増し、自殺率も全国平均の一・八倍になったとの報告があります。また、韓国全体では、
ギャンブル産業の売上高とソーシャルコストの差引きは六十兆ウォン、約六兆円の負の
経済効果が発生しているとの研究結果が公表されています。
また、近隣住民や商店への悪影響は本当に大丈夫なのでしょうか。
カジノは、負けて不幸になる人がいて初めて成り立つスキームですが、新しい価値を生み出すわけでもなく、不幸な人を生み出した上の成功が、果たして健全な成長戦略と言えるのでしょうか。
この現状は、十八時間も審議したのではありません。まだ十八時間しか審議できておらず、何の問題も解決できていないのが現実ではありませんか。
このように、
カジノをつくることによるメリット、デメリットもはっきりとしていない、国民への理解も促していない、このような状況での乱暴な職権での
国会運営は目に余ります。
このように、
議院運営委員長や与党所属の
委員長が職権で審議や採決を繰り返す様子を見ていると、政府・与党は、
自分たちの
党利党略のために、
重要法案を会期内に成立させることのみを念頭に行動されているようにしか感じることができません。
あえて苦言を申し上げれば、今、
安倍政権がやらなくてはならないことは、
カジノを含めた
ギャンブルを推進する法案や、
党利党略で
自民党国会議員の
身分保障を優先するための
参議院議員定数六議席をふやす法案の成立に血道を上げるのではなく、大阪地震、西日本
豪雨災害の対応をどのようにしていくのかということに力を注ぐべきではありませんか。
豪雨対応をめぐっては、約十一万人に避難指示が出た七月五日の夜に、安倍首相や政府・
自民党の中枢を担う大幹部の議員団が赤坂自民亭と称する宴席に出席したことへの批判が世論からは噴出しており、朝日新聞が七月十四日、十五日の両日で行った
世論調査によれば、西日本を襲った
豪雨災害について安倍内閣の対応を評価するかと尋ねたところ、評価しないと答えた方が四五%であり、評価するの三二%を上回りました。
また、
豪雨災害の対応について、嘉田由紀子前滋賀県知事は、国民の生命財産が脅かされている現状から目を背け、アメリカ国益実現となる
カジノ実施法案の審議に六時間も張りついていたのだと、
国会運営の異常さを指摘されており、国土交通大臣は、堤防決壊で多数の死者を出した倉敷市真備地区の
豪雨災害を直視し、歴代政権が続けてきた河川政策を反省、謝罪した上で、方針転換をする責務があるはずだという趣旨の話をされ、政府の姿勢を痛烈に批判されております。
きのう、
衆議院の本会議において、
自民党の橋本岳議員が、
参議院議員定数六議席をふやす法案の討論を行った際、冒頭、全国から被災地に寄せられた多くの支援に対してお礼を述べられた後、真備地区において、小田川等の堤防が決壊し、極めて大きな被害が出たことについて報告されており、そのときには、声が震え、あふれる感情を必死にこらえながらお話をされていたのが印象的でした。
御自身のお立場の中で、与えられた職責を果たす姿を見て、本当は、議席をふやす法案の賛成討論をするよりも、一刻も早く地元に戻って、
被災者に寄り添い、被災地域の復旧に注力したい気持ちだろうなと感情移入をいたしました。そして、こんな大変な時期に、本会議を職権で開会した
古屋委員長の決定は本当に罪深いなと感じざるを得ませんでした。
繰り返し申し上げますが、今、政治が取り組むべき最優先は、
党利党略で
自民党国会議員の
身分保障を優先するための
参議院議員定数六議席をふやす法案や、賭博、
ギャンブルを解禁する
カジノ法案を、火事場泥棒的に
災害に乗じて
強行採決することではなく、
災害に苦しむ
被災者に寄り添い、一日も早い復興を目指すことです。
今の
政権与党の対応は、
首相官邸を向いた強権的なものであり、余りにも丁寧さを欠き、先人が築き上げてきた
議会制民主主義を根本から否定するばかりです。
直近の選挙で多数の民意を受けながら、何をやっても白紙委任をされたと思わせるようなやりたい放題の
議会運営、何においても数の力が絶対であり、数の力で押し切ろうとする横暴な
議会運営は、
我が国の健全な
民主主義を損ないます。
そうした中、
古屋委員長は、御就任の際、次のような御挨拶を述べられております。
総選挙を経て、新たな
国会に挑むに当たり、
議会政治の健全な発展に対する
議院運営委員長の職責の重大さを改めて痛感しているところでございます、今後、議長、副議長の特段の御指導のもと、各会派の皆様の御協力によりまして、その職責を果たしてまいりたいと存じますというものです。
古屋委員長が、この御就任挨拶どおり、その職責の重大さを痛感され、各会派の協力を求めるように尽力してこられたのであれば、現在の
国会の混乱はなかったのではありませんか。
今の
国会は、国民の皆様から見たときに、残念ながら期待に応えられているものと感じることはできませんので、このことは、
議院運営委員長のみならず、与党の
皆様方にも真摯に反省を求めるものです。
解任理由の第二の理由は、国民の皆様が疑問に思っている諸問題への
説明責任を果たすための措置を行おうとしていないことです。
昨年末に開かれた特別
国会においては、安倍首相に第四次政権の
運営方針をただすとともに、特に森友問題、加計問題を真相解明するべき
国会でしたが、その役割を果たしたとは到底言いがたいものでした。
質疑を避けたい首相へのそんたくがにじみ、都合の悪いことには目をつぶり、多数を背景に強硬な姿勢で
自分たちの我を通すという御都合的、強権的な姿勢は、責任ある与党の姿とは思えません。
各種
世論調査でも、政府・与党の対応については、全く国民が納得していないことは明らかです。
例を挙げれば、日経新聞が四月三十日に行った、森友学園問題をめぐる決裁文書改ざんで安倍首相に責任はという設問に対して、あると答えた方が七二%。朝日新聞が五月二十一日に行った、
安倍政権が加計問題や森友問題をめぐる疑惑を解明するために適切に対応していると思いますかという設問に対して、適切に対応していないと答えた方が七五%という状況でありまして、これらを客観的に見たときに導き出される答えは、多くの国民が
安倍政権の説明に納得していないということであります。
そもそも各種審議が停滞したのは、森友学園問題を始めとした政権絡みの疑惑や不祥事に対して政府と与党が正面から向き合ってこなかったことが原因であり、改めて言うまでもなく、
国会運営の第一義的な責任は政府・与党にあります。
森友学園問題は、国有地を約八億円も値引きして、不当に安く学園側に払下げをしたのではないかという疑惑があり、その不当な払下げに安倍首相夫妻の関与が疑われるものでありました。安倍首相から、私や妻が関係していたということがあれば首相も
国会議員もやめると答弁したことが一連の不正のきっかけになったことを財務省が認めました。
財務省の報告書によれば、公文書改ざん問題は、安倍首相の
国会答弁の後、財務省理財局の職員たちで安倍昭恵夫人の名前が入った書類はあるかどうかの確認を進め、当時理財局のトップであった佐川宣寿前国税庁長官が、そうした文書を外に出すべきではなく、最低限の記載とすべきだと話し、職員たちは文書を直す必要があると認識し、文書の中から首相夫人らに関する部分が削除される改ざんが行われたり、交渉文書が捨てられたりするようになりました。
国有地の大幅な値引きの
正当性や、公文書の改ざんによって何を隠そうとしたのか、また安倍首相の影響の有無についても、残念ながら納得できるような内容ではありませんでしたので、政府・与党には猛省をしていただき、真っ正面からこの問題の解決に尽力していただきたいと思います。
事実、
自民党の石破茂元幹事長は、国民の割り切れなさ、納得のできなさはずっと引きずる、これは与党内の自浄作用の問題であると語り、また、竹下亘総務会長も、党独自に検証する考えを示されたという報道がありました。
憲法六十二条には国政調査権が認められております。
政権与党の
皆様方がリーダーシップを発揮されて、安倍昭恵夫人の証人喚問を進めていただければ、事実の解明、国民の皆様への
説明責任を果たすことにつながるわけですが、本日時点で、私たちから再三再四の要望を受け入れていただけず、国民への
説明責任を果たそうという気概は、残念ながらみじんにも感じることはできません。
また、加計問題の獣医学部設置に関する官邸の関与疑惑に関しては、今までに何度も
国会の場で議論が行われてきました。しかし、ここに来て、総理大臣の
国会答弁の信憑性を疑わなければならないという非常に重大な事態に陥っているのです。
五月二十一日、愛媛県が新たに
国会に提出した一連の文書によって、安倍首相と加計孝太郎理事長が獣医学部新設についてやりとりを交わしているという記録文書があることが判明しました。
首相は、獣医学部の新設計画について、これまで、加計氏側から一切話はなかったと繰り返し強調をされておりましたが、文書が事実なら、答弁の信憑性が根底から揺らぐ、官邸主導、加計ありきで進められたことを改めて強く疑わせるゆゆしき事態であります。
安倍首相を始め官邸や加計学園は、記録の中では会っていないと言い、愛媛県は、会ったという記録があると言っています。安倍首相と愛媛県の双方の言い分が違うということは、どちらかがうそを言っているということになります。そして、国民から見れば、誰がうそをついているのか明らかだと思いますが、皆様、いかがでしょうか。
そして、新文書は
国会の要請で発覚したものですから、この疑惑を国民の皆様に解明して説明する義務は
国会にあります。
私どもは、再三再四、加計孝太郎理事長や柳瀬元総理秘書官の証人喚問や中村時広愛媛県知事の参考人招致を要求しておりますが、こちらもいまだに実現されておりません。
これでは、加計学園問題を政府・与党はこれ以上解明したくないと言っているのと同じではありませんか。
このままでは、国民の政治不信が高まるばかりで、
国会が
国民目線からどんどんと乖離をしていってしまう。この現状を断じて放置するわけにはいきません。
また、報道によりますと、私の地元神奈川県から選出されている先輩議員であります
自民党の小泉進次郎議員が、六月六日の党会合で、加計学園問題を調査する特別
委員会を
国会に設置すべきだと主張されたそうです。さらに、森友、加計学園問題で結論が出せずにいる中、
自民党はこういうこと(
参議院の定数をふやす公選法改正案)には結論を出す、国民にどう映るか心配だ、国民をなめてはいけないと指摘、身内の御都合主義に危機感を示したと報じられております。
しかし、残念ながら、きのうの本会議では、気が変わられたのか、定数増に賛成票を投じておられましたが、これが、提唱されている、平成のうちに行う
国会改革の名の体をあらわすものだとしたら、多くの国民は望んでいない改革です。
この
参議院議員の定数増案については、七月十五日に公表された
世論調査で、五六%が反対しており、賛成の二四%を倍以上も上回りました。
そして、
自民党の
衆議院議員総会長を務めていた船田元議員が、身を切る改革を約束して進める消費税引上げを前に定数増は国民の理解を得られないと、
衆議院本会議での採決を棄権いたしました。
自民党からは全部で七名の方が何かしらの理由で棄権されたようです。
船田議員のように、
自民党内からもおかしいことはおかしいと唱える声を上げ、ぶれずに意思を示す方もいらっしゃいます。このような良識を持つ方々が行った意思表示に、心からのエールを送るとともに、その思いが政府・与党の自浄に少しでもつながることを期待しています。
我々
国会議員は、国民の皆様の声に対して真摯に耳を傾け、疑念を払拭するべく最大限の努力をする責務があります。今、各種審議が停滞しているのは、森友、加計問題を始めとした
安倍政権に関係するさまざまな疑惑や不祥事に対して、政府・与党が正面から向き合ってこなかったことが大きな原因です。
首相は何度も、一連の問題に対して、うみを出し切ると強調されてきました。しかし、現状、言っていることとやっていることが全く一致いたしません。
そして、残念ながら、またしても疑惑が追加されました。
報道では、
古屋圭司委員長が代表を務める資金管理団体、政圭会において二〇一六年七月二十五日に開いた政治資金パーティー、政経フォーラムのチケットを企業、団体などに販売していた際の記録が明らかになりました。
そして、このチケット販売が記録されたノートには、パーティー券番号、企業、団体などの名称と担当者、購入を依頼してチケットを配付した枚数が記載され、実際に入金があった購入枚数の記録もあるとのことです。
さらに、ノートによると、三百十一企業、団体などに計八百枚のパーティー券の購入を依頼し、そのうち二百十八企業、団体などから、計五百九十四枚、一千八百八十八万円の入金があったと読み取れると報道されている一方、二〇一六年の収支報告書では、パーティーでの収入が六百四十二万円と記載されているとのことです。
これが事実だとすれば、法律に抵触する
可能性があり、政治資金規正法を悪用した裏金づくりと疑われても仕方がありません。差額の五百四十六万円は一体どこに消えてしまったのでしょうか。
古屋委員長は与党内からも
説明責任を求められているようですが、こうした疑惑を持たれている以上、しっかりと調査をして、国民に対する
説明責任を果たすべきです。この疑惑を払拭される論理的かつ丁寧な説明がなされない以上、
古屋委員長が
議院運営委員長として円満に
委員会運営を行える状況にはありません。
多くの問題を放置し、
国会運営を形骸化させ、国民の疑問に答えようとしない、やましいことは隠蔽、捏造を繰り返す。今の
国会運営は国民軽視と言わざるを得ませんし、これ以上、
国会に対する国民の信頼を失うわけにはいきません。
こうした観点から見ても、
古屋委員長は、残念ながら
議院運営委員長としての職責を果たすことができる状況にはなく、
国会の権威が傷つくばかりです。
うみを出し切るどころか、うみがふえていくばかりのこの状況を改善する意味でも、
議院運営委員会から改革を進めていく必要がありますし、
古屋委員長が
議院運営委員長としての職にとどまることは許されません。
もとより、
国会は、
政権与党、
首相官邸の
下請機関ではなく、国権の
最高機関です。当然ですが、
国会での決定は
国民生活に重要な影響を及ぼします。
そうした中、
与野党の立場を超えた
合意形成づくりという努力を怠り、強行的な
運営を続けるだけでは、
議会制民主主義は根幹から崩れます。だからこそ、法案の内容はさまざまな角度から徹底的に検証し、審議を重ねた上で結論を出すのは当たり前のことです。
法案審議は、国権の
最高機関をつかさどる
国会議員一人一人に託された最重要任務の一つであり、一億二千六百万国民の年間約百兆円の予算を担う日本
国会における
議会制民主主義の根幹をなすものです。その
国会が、国民の声を聞くことなく、
党利党略の自己都合で、
国民目線から乖離した机上の空論で法案を押し通したとき、結果として苦しむのは国民です。
しかしながら、今までの強行的な
国会運営の数々は、まさに多数を占めた者のおごりと自己都合であり、真摯に謙虚に
国会運営に当たるべき職務にありながら、それを行うことをしなかった
古屋圭司委員長の結果責任は極めて重大です。
私からは、一刻も早く正常な
国会運営が取り戻されるように、今までるる申し上げた改善を行っていただくことを強く申し上げるとともに、健全な
国会運営を求める良識ある議員の皆様におかれましては、政局のみを念頭に置いた判断ではなく、所属する党派、会派を超え、みずからの良心と正当な理念に従って、この
議院運営委員長解任決議案に賛成していただきたいと思います。
以上の理由から、ここに、
議院運営委員長古屋圭司君の解任を求めます。
与野党議員各位の御賛同を心からお願いして、提案理由の御説明といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
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