○源馬謙太郎君
国民民主党の源馬謙太郎です。
ただいま
議題となりました
文部科学省設置法の一部を改正する
法律案につきまして、会派を代表して
質問させていただきます。(
拍手)
質問に先立ちまして、一言申し上げます。
我が国がこれまで民主化に向けて
支援を続けてきたカンボジアが、今、独裁化の危機に直面しています。二カ月後の七月に総選挙が行われますが、三十年間にわたって政権を担っているフン・セン政権は、昨年、地方選挙で躍進した最大野党を解党し、政権に批判的なメディアを次々閉鎖させる異常事態が起きています。七月の選挙のためには今月中に政党登録をしないと間に合いませんが、解党された野党は、事後法により議席を
与党に移されてしまっています。
アメリカやEU諸国など、日本と同じく民主主義の
価値観を持つ各国は、いち早く重大な懸念を表明し、七月の選挙に対する
支援を取りやめました。しかしながら、
我が国は、この
状況下でも選挙への
支援を継続しようとしています。
与党が野党を解党し、メディアを弾圧する中で行われる選挙が、果たして公正で自由な選挙となるでしょうか。
その選挙を後押しすることになれば、日本はこのカンボジアの
状況を肯定していると、国際
社会に間違ったメッセージを発することになります。北朝鮮など緊迫する国際情勢の陰に埋もれがちですが、アジアにおいて民主化に逆行する流れをとめることも
我が国にとって極めて重要であると冒頭強く申し上げまして、
質問に入りたいと思います。
日本は、言うまでもなくすばらしい国です。美しい自然があり、長い歴史があり、
国民は
道徳心を親や祖父母から受け継ぎ、世界から尊敬される国だと思います。そうした誇るべきものの一つに、日本の
文化があります。長い歴史の中で培われ、今も現在進行形で紡がれている
我が国の
文化は、守って
継承していくだけではなく、
文化に投資していくことで
経済成長の起爆剤となり、また外交におけるプレゼンスの向上も期待されています。
文化を
我が国のソフトパワーの源泉としていくことは、これから大きな国益になることは疑いのないことだと思います。
本
法律案では、
文化庁の
京都への全面的な
移転に合わせ、新
文化庁にふさわしい組織
改革、
機能強化を図り、
文化に関する
施策を総合的に
推進することを目指していると承知しています。
明治
政府樹立以来の
中央省庁の
東京以外への設置であり、
我が国の歴史においても非常に大きな
意味を持ちますし、
文化振興のための抜本的な組織
改革と
機能強化は、
我が国の
文化史の大きなメルクマールとなるものと期待しています。
本
法律案では、その中でも特に、文科省及び
文化庁の
任務の変更、
所掌事務の変更、そして
文化庁の
京都への
移転が大きな論点となっています。
以下、それぞれの論点について順に
質問させていただきます。
まず第一点目の、変更される
文部科学省及び
文化庁の
任務について伺います。
昨年六月に議員立法によって施行された
文化芸術基本法において、
文化芸術の
振興にとどまらず、
観光、
まちづくり、国際交流、福祉、
教育、産業その他の各
分野における
施策との有機的な
連携が求められることになりました。
これを受け、本
法律案では、
文部科学省及び
文化庁の
任務について、これまでうたわれていた
文化の
振興から、
文化に関する総合的な
推進に変更するということですが、そのことによって具体的にどのような効果があると考えられますか。
文化の
振興を主眼にしていた今までとは何が変わるのか、
文部科学大臣に伺います。
また、これまでは各省庁がそれぞれ取り組んできた
文化施策を調整し、省庁
連携による
文化施策の
推進を図ることとしていますが、具体的に、どのような
体制で、どのように省庁間の
事務を調整するのでしょうか。これまでも同様の調整業務があったのではないかと思いますが、
文化庁が
京都に
移転することで、それがかえって困難になりませんか。これまで一年間、
移転に先行する形で
京都に設置してきた
地域文化創生本部での経験を踏まえて伺います。
第二点目は、
文化庁が所掌する
事務の変更についてです。
本
法律案では、これまで
文部科学省本省が所管していた、
芸術に関する
教育の基準の設定に関する
事務を
文化庁に移管するとしています。
この
法律案と同
趣旨の改正は
スポーツ庁の設置の際にも行われ、
平成二十七年の
文部科学省設置法の一部改正により、体育及び保健
教育に関する
事務が
スポーツ庁に移管されました。
先行事例である
スポーツ庁への移管により、それまでよりも体育などについて
子供たちに
教育が行き渡るようになったのか、学校現場の混乱はなかったのか、あるいは具体的にプラスの効果があったのか、
文部科学大臣に伺います。あわせて、今回の
文化庁への移管についても、どのような具体的な効果があると見込まれるのか、伺います。
そして第三点目が、この
法律案と表裏一体となる、そして最もインパクトが大きいと思われる
文化庁の
京都への
移転についてです。
平成二十六年に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略において、地方からの提案を受ける形で、地方の
発展に資する
政府関係機関の
移転を進めることが決定されました。これを受け、
平成二十七年三月から五カ月間、
政府関係機関
移転に関する道府県からの提案募集が行われ、四十二道府県から六十九機関の
移転に関する提案があったと承知しています。
文化庁の
京都への
移転はこれらの提案の中の一つであり、他の
政府機関に先行する形で、
平成二十八年にまち・ひと・しごと創生本部によって決定され、遅くとも二〇二一年度中の
移転を目指しています。
そこで、この
移転による効果について、地方の
活性化という側面と日本全体の
行政組織の変化という側面の両面における意義を伺います。また、本
法律案の
目的との関係性についてもあわせて
確認させていただきます。
文化庁の
京都への
移転のほかにも、消費者庁のうち消費者
行政新未来創造オフィスを徳島県に開設し、総務省統計局においても統計
データ利活用センターを和歌山県に開設、また、そのほかにも小規模の研究機関などの
移転が予定されていると承知しています。しかしながら、これらは控え目に見ても、
文化庁の
移転とは、規模においても性格においても小規模かつ部分的であると思います。
省庁に限って見てみても、
観光庁の北海道や兵庫県への
移転、気象庁の三重県への
移転、特許庁や
中小企業庁の大阪府などへの
移転も提案されていますが、
文化庁の
京都移転の効果などを見ながら、今後も更に省庁の
移転を検討していく方針はあるのでしょうか。
地方創生担当大臣に伺います。
京都に
移転するに当たっては、庁内の局や課の
所掌事務や役職ごとの職務等を見直すことも必要となります。また、
移転先の現
京都府警察本部本館の改修、府警本部の
移転、多数の職員の移動などに向けた
取組も必要となってきます。二百五十人規模の職員の移動ということですから、住環境の
整備なども必要になってきます。
さまざまな準備や手続が必要であり、当然費用もかかることでありますが、受入先である
京都府と負担をどう分担し、賄っていくのでしょうか。地方を
活性化するという
目的から考えても、地方に過度な負担を強いることなく、また、遅くとも二〇二一年度中に完全に
移転するという期限が切られている中で、どういうロードマップを描いているのか、
文部科学大臣に伺います。
少子化が進み、世界に先駆けて人口減少
社会を迎えるとされる
我が国において、これ以上、地方から
東京に人や物が集まる
状況は深刻です。
これまでも、名は変えながらも、歴代
政府によって
地方創生や地方
活性化などが掲げられ、地方の豊かさを底上げすることが試みられてきました。しかし、どれも国から
お金を分配するという発想で、満足な結果が出せなかったことは、地方の
現状を見れば明らかです。
一過性の
資金や仕事場の提供ではなく、地方独自でできることをふやして、地方の裁量と責任において豊かさを生んでいくしかありません。
人も、物も、
お金も、情報も、全てが
東京に集まり、全てが
東京で決められてしまう姿から、地方にも人が集まるように、地方のことは地方で決める姿こそが、日本繁栄の鍵であります。繰り返しますが、国が国のさじかげんで何かを分け与えることでは、地方は豊かになりません。お小遣いを渡す感覚から、自立を促す感覚に切りかえるべきです。
今回の
文化庁の
京都移転は、確かに地方への人と職場の移動はあるかもしれません。しかし、気をつけなくてはいけないのは、今回の
移転は、国の機関が物理的、地理的に地方に移動するというだけであって、権限や財源の移譲を伴っていないということです。歴史的な省庁の
移転は一大事業であって、また、日本の
文化のまさに中心である
京都に
文化庁ができるということは積極的に
評価しますが、本末転倒な結果になってしまっては
意味がありません。
そこで、あえて伺いますが、あくまでも中央
政府の統治機関の場所の移動にとどまれば、これはかえって権限や財源の地方への移譲を妨げ、権限の
中央省庁への一極
集中を固定化する懸念はありませんか。道州制についても所管する
地方創生担当大臣の今後の日本の一極
集中打開に向けた見解を、国家ビジョンとともに伺います。
そもそも、
中央省庁の地方への
移転だけでは
地域間格差を小さくすることには限界があります。積極的な中央
行政機関の
移転が進むイギリスでも、ロンドンの賃料高騰や職員採用難などが
移転の大きな理由と聞いています。
そうしたことを考えると、本来であれば、以前
議論のあった首都
機能の
移転や、国から都道府県への本格的な権限の移譲、そして、その先には、今は下火になってしまっている道州制の導入の
議論を再び始め、本当の
意味で地方が豊かになる道筋をつけていくべきだと思います。
そういう大事な
議論をすべきときに、
国会ではいつまでモリカケ問題をやっているんでしょうか。与野党かかわらず、多くの議員の
皆様は、私同様、地元に帰れば、いつまでモリカケをやっているんだとお叱りの声を受けるはずです。
一方で、これも与野党かかわらず、多くの議員の
皆様は、
国民がこれまでの
政府の対応に何かおかしいと感じていることもちゃんと御存じだと思います。
いつまでもこんなことを続けていないで、そろそろ山積する国家の課題に
国会を挙げて
議論すべきではないでしょうか。先輩議員の
皆様同様、私が国政を志したのは、こんなことのためではありません。
この問題に終止符を打ち、
国民を納得させることができるのは、
安倍総理以外ありません。ボールは
安倍総理の手にあります。
国民が、もういいかげんにしてほしいと思っていながらも納得できないのはなぜなのか。この問題を一日も早く終わらせていただくことを強く要望し、私の
質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣林芳正君
登壇〕