○関健一郎君
国民民主党の関健一郎です。
このほど
農林水産省が取りまとめた、二〇一六年の市町村別
農業産出額ランキングで
全国一位に輝いた愛知県田原市、
全国九位に輝いた愛知県豊橋市から参りました。
国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま
議題となりました
卸売市場法及び
食品流通構造改善促進法の一部を
改正する
法律案について
質問をさせていただきます。(
拍手)
冒頭、申し上げます。
卸売市場法が制定されたのは、昭和四十六年。当時と現在を比べれば、生鮮
食品の消費の落ち込みなど食生活が変化する一方、
外食産業が劇的に成長するなど、
流通構造は大きく変化をしています。食べ物が生
産地から私たちの食卓に届くまでの道のりが
多様化している現在、制度と
実態が乖離している部分があることも事実であり、その部分を改善することに全く異論はありません。
しかし、国家の根幹である
農業に対して、経済合理性を過度に優先し、行き過ぎた自由化路線を突き進めば、
日本が誇る食の安全や多様性が損なわれるおそれがあります。文化の根幹にかかわる食については、合理性を超えて、守るべき多様性があることを強く申し上げ、具体的な
質問に移らせていただきます。
まず初めに、
卸売市場の果たしてきた
役割について
お尋ねします。
卸売市場は、これまで
我が国の
食品流通の中核として、
価格形成や需給調整、それに
全国各地の八百屋、魚屋、地元の小さなスーパーなどの多様で豊富な品ぞろえの実現など、重要な
役割を果たしてきました。
我が国が誇る多様で豊かな食生活は、
卸売市場が大きく貢献していることは疑いようがありません。
まずは、
卸売市場がこれまで果たしてきた
役割をどのように評価しているのか、
農林水産大臣のお考えを伺います。
次に、
卸売市場の
取引を
規制する
ルールについて
お尋ねします。
これまで
中央卸売市場では、
卸売業者に対して、
差別的取扱いの
禁止や受託拒否の
禁止、
第三者販売の
禁止など、さまざまな
規制がかけられてきました。今回の
改正により、
商物一致の
原則など、現状と乖離する
規制については必須の
取引ルールとはしないこととしており、これは
一定の合理性があると言えます。
その一方で、これらの
規制があるからこそ、
全国各地の
生産者は、地元の
卸売市場に自慢の生産物を安心して出荷できるという側面があります。
今回の
改正により、これらの
取引ルールはどのように
改正されるのか、その
改正は、
生産者、
市場関係者、そして
消費者にとって本当にメリットがあるものと言えるのか、
農林水産大臣にお聞きします。
次に、
卸売市場の認可制から
認定制への変更について
お尋ねします。
中央卸売市場はこれまで国による認可制度がとられており、そのことで
卸売市場が
全国にバランスよく配置され、
全国の
農業者が安心して農産物を
市場に出荷できる体制が整備されました。また、
市場の中では、国や自治体などの公的関与のもと、
卸売業者は
生産者の立場から商品をより高い値段で売ろうと、仲卸や買参人は
消費者の立場から商品をより安く買おうと、それぞれが商いをすることで、
価格形成の重要な
役割を担ってきました。
しかしながら、認可制がなくなれば、
卸売市場がこれまで果たしてきた、
価格形成、需給調整、品ぞろえなど、非常に重要な
役割を果たすことができなくなるおそれがあります。
卸売市場の
事業者について、
第三者販売の
禁止という
原則が撤廃されれば、
消費者の利益を代表する仲卸、買参人を介さないことで、
価格形成のメカニズムが崩壊します。大手スーパーの資本による
卸売業者が登場すれば、みずからの経営するスーパーに利益が出るように、仲卸を経由せず販売することができるようになり、
価格操作、誘導が容易にできるようになります。
また、不公平な行為を厳重に監視してきた国や自治体などの公的関与をゼロに等しいレベルへと弱めることに対しても、
市場関係者は強い
懸念を抱いています。仮に、大手の小売又は大手小売などの資本が入った企業が
卸売市場の
開設者になれば、事実上、
市場全体を税金投与つきの一民間企業の
物流センターにすることもできます。
また、これまで
禁止してきた
規制を存続させるかは、
卸売市場ごとに
関係者の
意見を聞くなど公正な手続を踏みとありますが、資金力が大きい
関係者の
意見が通りやすいのは自明の理で、実情に合った
規制になるのではなく、資金力のある声の大きい企業の
意見が通るだけだと
市場関係者の方は
懸念を口にしています。
この
認定制への変更によって
卸売市場がどのように活性化するのか、また、
市場関係者の皆様の急激な
規制の緩和に対する
懸念にどうお応えになるのか、
農林水産大臣に伺います。
次に、現在の
食品流通全体の目指すべき将来像についてお伺いします。
今回、
卸売市場法とあわせて
食品流通構造改善促進法の
改正案が
提出されていますが、
政府の
食品流通に関する現状
認識は、
流通経路が複雑化、
多様化して不要なコストが発生し、
農業者の
所得向上を阻んでいる、このため、
流通構造を簡素化して、
農業者が直接
実需者や
消費者に販売し、
生産者の
所得を
向上させる必要があるという論旨と存じます。
その簡素化を進めている欧米諸国の中には、
我が国と比較して、
食品小売業で寡占化が進み、
価格競争力が強まり、
農業者はより厳しい立場に置かれ、
農業者の立場を守るための
施策を講じなければならない国もあります。
これに対して、
我が国の
食品小売業の
状況はどうなのか。経済的には、合併をして
効率化を進めるべきという専門家の指摘もあります。しかし、
日本は、
全国各地に八百屋、魚屋、地元の小さなスーパーがあります。それぞれの
地域の人の味の好み、文化的な背景、風土に合わせて、細かく売る商品が変わるからです。
かつて、海外の大手小売企業の幾つかは、
日本の
流通業界に参入をしましたが、
日本全国の無数の地元の小さなスーパーの細やかな多様性に順応することができず、吸収合併に失敗し、
我が国から撤退をした過去があります。
地元の小さなスーパーに象徴される現在の
我が国の
食品流通システムは、時代に合わせて変化をしながら、世界に誇るべき
仕組みとして確立され、多様性を持つ豊かな食生活を実現しています。しかしながら、
政府はこの
仕組みを廃し、
効率化に重心を移そうとしています。
我が国も、欧米と同様に
食品小売業の寡占化を進めることを目指しているのか。そうであれば、欧米と同様、
農業者の
取引条件の悪化が強く
懸念されます。このような
懸念にどう対処していくのか、
農林水産大臣の御所感を伺います。
農業分野における
規制改革の進め方について、
規制改革担当大臣へ伺います。
総理の御著書「新しい国へ」、拝読をさせていただきました。その一部を引用させていただきます。
瑞穂の国には、瑞穂の国にふさわしい資本主義があるのだろうと思います。自由な
競争と開かれた経済を重視しつつ、しかし、強欲を原動力とするような資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国には瑞穂の国にふさわしい
市場主義の形がありますと記されています。多様性を重んじた、貴重な御指摘と存じます。
しかし、今回の
卸売市場法の
改正、そして、ことし四月に、米、麦、大豆の種子を
政府が責任を持って供給するという目的の主要農作物種子法の廃止、これらの
規制改革推進会議から出された
提案は、
総理の目指す瑞穂の国とは逆の、強欲を原動力とする資本主義まっしぐらの提言と断じざるを得ません。
日本全国の個性ある八百屋、魚屋、そして地元の小さなスーパーが、効率性の名のもと、画一的な郊外型の大型ショッピングモールに取ってかわられてもよいとお考えなのか、
規制改革担当大臣の
認識を伺います。
最後に、一言申し上げます。
地元の有権者の方に話を聞くと、
政府・与党の傲慢な
政権運営への厳しい批判を多く聞きます。その一方で、野党もだらしがない、
国会に緊張感がないのは野党が弱過ぎるからだという、野党への、
国民民主党への、そして私への厳しい批判をいただきます。
与党の支持率が下がっても、私がこれまで所属をさせていただいていた希望の党の支持率が上がっていなかったのは、客観的な事実です。
声高に
政権与党を批判しなくても、朝から晩まで仕事をして、育児や介護をして、声を出さずに毎日を生きている声なき多数派は、
政権運営が乱暴かどうか、じっと見ています。同時に、野党がどういう
日本の国家像を描いて選択肢を示そうとしているのか、じっと見ています。
私たちは、まず、
国民の皆様に
政権交代の選択肢を示すことができていないという厳しい現実に真摯に向き合い、謙虚に、愚直に考えていくしかありません。本当に厳しい現実ですが、私は、必ず
政権交代の選択肢として
国民の皆様に見ていただけることを確信しています。仲間とスクラムを組み、尊厳ある生活保障の実現と
農林水産業の持続的な発展に向け、謙虚に、愚直に。
国民の皆様に
政権の選択肢と認めてもらうため、ゼロからの出発をお誓い申し上げ、
質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣齋藤健君
登壇〕