○稲富修二君 希望の党の稲富修二でございます。
私は、希望の党・無所属クラブを代表して、
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして質問いたします。(
拍手)
安倍総理は、昨年二月、
トランプ大統領就任後初めての
日米首脳会談直後の本院予算
委員会において、日米が主導し、
アジア太平洋地域に自由で公正な
経済圏をつくる
必要性について一致することができたと思います、そして、日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標のもと、最善の方策を探求すると
答弁されました。
しかし、その
米国は先月二十三日に、国内法に基づいて、鉄鋼、アルミニウム製品の輸入制限
措置を一方的に発動しました。カナダ、メキシコ、
オーストラリア、EU等は輸入制限
措置の対象から除外されましたが、
我が国は除外されておりません。そして、
ライトハイザー通商代表は、
我が国と二国間のFTAの
締結に向けた協議を始めたいとの意向を示しております。
そもそも、こうした一方的な
措置がWTO
協定に違反していると考えますが、いかがでしょうか。WTOへの提訴は考えないのか、
政府の
答弁を求めます。
安倍総理と
トランプ大統領が自由で公正な市場を世界に広げていくということで一致したとされておりますが、
我が国にとって公正な市場とは一体どういうことを
意味するのでしょうか。数値目標を設けることは公正な市場と言えるのか、
政府の基本的見解を求めます。
次に、
米国への対応について伺います。
トランプ大統領は、選挙で
TPP撤退を主張し、
大統領に就任し、
大統領就任直後には、これからは二国間でディールを行うとし、
TPPからの永久の
離脱を表明しました。これ以降、
米国は
我が国に対し、二国間
交渉、さらには二国間FTAを求め続けてきております。
こうした状況の中で、
安倍総理は、多国間の
自由貿易圏の重要性を強調する一方で、我々も決して
日米FTAを否定しているわけでは全くないとの
答弁を行っております。
そもそも、
政府は、
米国との間で、二国間、多国間を問わず、FTAやEPAを
締結することを志向しているのでしょうか。基本的な認識について
答弁を求めます。
TPPからの永久
離脱を表明したはずの
トランプ大統領は、この
TPP11の
署名の時期が近づいてくると、本年一月に、以前に結んだ
協定に比べ
米国にとってとてもよい
内容になるならば
TPPをやるなどと述べ、
合意内容の再
交渉を前提とした
TPP復帰を示唆する発言をしました。
TPPの再
交渉について、
安倍総理は、
TPP協定の
国会審議中には、再
交渉はしないと明言していらっしゃいます。こうした
トランプ大統領の態度の変化を受けて、
安倍総理は、本年一月、本院予算
委員会でこう
答弁しています。
TPP11はガラス細工のようなものでございますから、我々、それを変更するということは現在考えていない、
TPP12のときの合意から変えるかどうか、このガラス細工の中でそれを変えるのは極めて難しい。
そこで、質問いたします。
将来における
TPP協定の
内容の変更を必ずしも否定しないのか、再
交渉しないとする
答弁を今後も維持するのか、明快な
答弁を求めます。
仮に、
米国が
TPP11への加入を希望した場合には、二十二の凍結項目をどうするかについては、当然協議されることになると思います。それ以外の規定については、
米国と
交渉しないと断言できるのでしょうか。これらについても、あわせて
政府の明快な
答弁を求めます。
また、先週
トランプ大統領は、
ライトハイザー通商代表に対し、我々の条件で
TPPに復帰することを検討せよと指示しました。この指示について、
トランプ大統領が議員や州知事らと行った
貿易をめぐる会合で突然決断を下したとも報道されております。
これに対し、
茂木大臣は、
TPPの意義や効果について正しく評価するものであれば歓迎したいとコメントしています。
政府は、こうした
米国の動きをどこまで把握しているのか、
答弁を求めます。
次に、農林水産品について伺います。
政府は、
TPPにせよ、
日米FTAにせよ、米、牛肉、豚肉等の農林水産品について、二〇一六年二月
署名の
TPP協定の
内容を超える対米譲歩を行うことはしないということでよろしいでしょうか。こうした譲歩は、かつての
安倍総理の再
交渉しないという
答弁に照らしても許されず、
我が国の農林水
産業を守るためにも、すべきではないと思います。
また、数値目標は絶対に受け入れないという
理解でよろしいでしょうか。
米国との
交渉において、
自由貿易に完全に反する、輸入数量を約束するような取引はしないと確約していただきたいと思います。これらについても
答弁を求めます。
次に、
TPPの拡大について伺います。
本
協定については、
署名国十一カ国以外の国においても、韓国、タイ、インドネシア、さらには英国等が加入に関心を示していると報じられております。
政府は、
米国以外のこれらの国について、
TPP11に加入できるよう積極的に働きかけていくのでしょうか。また、その加入
交渉に当たってはどのような姿勢で臨むのでしょうか。
答弁を求めます。
次に、本
協定の経済効果について伺います。
政府は、昨年十二月に公表した日・EU・EPA等の経済効果分析において、本
協定については、
我が国の実質GDPを約一・五%押し上げるとしました。一方で、
政府が
TPP12について二〇一五年十二月に公表した
TPP協定の経済効果分析では、
米国を含む
TPP協定が発効した場合、
我が国の実質GDPを二・六%押し上げるとしていました。つまり、この
TPP11のGDP押し上げ効果は、
TPP12が発効した場合の想定の六割弱の水準に落ち込んでいることになります。
米国は、
TPP原
署名国のGDP合計額の約六〇%を占めるとともに、同国には、高度な技術力を有する企業が多数立地しております。
そこで、伺います。
政府は、本
協定に
米国が不参加であることが、
我が国企業の海外直接
投資、国際的な事業展開等にどのような変化をもたらすと想定しているでしょうか。また、
米国が不参加であることにより、
貿易開放度の上昇、域内
投資の
環境整備による国際分業体制の構築を始めとするグローバルバリューチェーンの形成、深化がもたらす経済効果は大きく損なわれたのではないでしょうか。
茂木大臣の
答弁を求めます。
次に、凍結項目について伺います。
本
協定では、
TPP協定のうち二十二項目を凍結することとしております。凍結項目は、
米国の意向を強く反映した知財
保護関連の規定が半分を占め、まさに
米国の要求を反映して盛り込まれたため、その実施が棚上げされたと言われております。
政府は、本
協定の
交渉に当たり、特定の凍結項目を設けることを主張したのでしょうか。しなかったとすれば、その理由は何でしょうか。また、他の十カ国の凍結の主張を認めるかを検討するに当たって、
政府が考慮した要素はどのようなものだったのでしょうか。
答弁を求めます。
この凍結項目について、
茂木大臣は、
米国の
TPP復帰を促すインストルメントとなっていると発言したと報じられていますが、
政府は、凍結項目の存在が、いかなる理由で
米国の
TPP復帰を促す手段となっていると認識しているでしょうか。
答弁を求めます。
次に、著作権
保護の期間について伺います。
本
協定では、
TPP協定における著作権の
保護期間に関する規定を凍結することとしております。それにもかかわらず、
政府は、著作権の
保護期間を、現行の原則著作者の死後五十年から七十年へと延長することとしております。したがって、既に成立した、いわゆる整備法による
著作権法の関連改正部分は維持されたままであります。
そこで、伺います。
政府は、この五十年と七十年という期間について、なぜこのような期間になっているのか、期間の延長の
意味も含めて、明快に御
答弁ください。
また、
保護期間の延長は
利用者側に不
利益をもたらしかねないものであり、
著作権者等と
利用者側との
利益の調和という観点からは慎重な検討が求められますが、
政府は、
利用者側などに、もはや延長に対する懸念は存在しないとお考えなのでしょうか。そうでなければ、
我が国における
保護期間の延長も一旦凍結するのが筋だと思いますが、
政府の
答弁を求めます。
最後に一言申し上げます。
安倍総理は、日米は一〇〇%ともにあるという発言を何度かされております。友人
関係でも、夫婦
関係ですら一〇〇%ともにあることが難しいのに、国同士で一〇〇%ともにあるなどというのは絵そらごとでしかありません。あるのは
国益の追求であります。
米国の一方的な関税引上げなどを見ても、日米は一〇〇%ともにあるという基本認識がいかに空虚で、軽薄で、内実を伴っていないか明らかであります。この基本認識をまず変えていただきたい。変えないのであれば、政権がかわるしか方法はございません。
財務省の文書改ざん、事務次官の
セクハラ疑惑、厚生労働省のデータ改ざん、防衛省の日報隠蔽、日がわりメニューで、改ざん、隠蔽のオンパレードであります。政権に対する
国民の信頼は、回復するどころか底なし沼の状況であります。霞が関をリードすることもできず、
国民をリードできない政権が、難しい外交
交渉をリードすることなどできるはずがございません。当然ながら、外交
交渉において、そんたくを期待することなどはできないものであります。
国益を背負う難しい
交渉だからこそ、
国民の信頼を背景にした強い布陣で臨まなければ、力強い
交渉を望むことはできません。
国民の信頼を回復するよう、徹底的な原因究明と、政治的、道義的責任をとることを
政府に求め、私の質問といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣河野太郎君
登壇〕