○畑野
委員 それらの
導入に当たっては、やはり財政的な問題が出てくると思うんですね、一つは。ですから、それはどういうふうに進めるのか、本当によく検討して進めていく必要があるということを申し上げておきたいと思います。
もう一つの問題は、
デジタル教科書導入のメリット、デメリットの問題です。先ほどから議論になっております。
それで、「
デジタル教科書」の位置付けに関する検討
会議の第六回目の
会議において、国立情報学研究所の新井紀子教授、AIの研究者でいらっしゃる方ですが、次のように発言をされておられます。
デジタル教科書にそれだけのメリットがあるかということを検証していきたいと思いますとおっしゃって、第一に、
デジタル教科書が、障害や困難がある
子供たちには大変恩恵になるのだという議論があります、確かに、必要な生徒にデジタル化した
教科書を提供する枠組みは非常に重要です、特に、弱視の方あるいは発達障害のお子さんに、その弱視の程度に合わせて拡大できたり、字ではなくアニメーション等で内容が示せるような
デジタル教科書というのはメリットが大変大きいので、そのような枠組みがより進んで充実することは望ましいと考えますと。
一方、実は、動画や音のコンテンツはユニバーサルデザインではないということについては認識をしなければなりません、国立情報学研究所は、さまざまなタイプのコンテンツに対して、そのユニバーサルデザインになるような研究をしておりますが、動画、特にアニメーションや音のコンテンツにアノテーションをつけるという方策がないため、盲聾児は
利用できないコンテンツが圧倒的に多いということは認識しておく必要があります、また、テキストより動画の方が深く理解できる
児童もいますが、逆に動画ではテキストより理解が減ってしまうという
児童もいるということについて認識をする必要もありますし、
調査をする必要もあると考えております、こういうふうにおっしゃっております。
また、協調的学習が進むのではないかという議論について、このように述べられております。
デジタルノートを共有することで協調的な学習が広がるという話です、実は、グループワークにPCを持ち込むことで視線が個人のPC
画面に奪われて会話が減るということが、近年、しばしば報告されています、例えば、福嶋氏の「PCを
利用したグループワーク講義における対面的
画面共有の実践」という論文では、あなたのグループは活発に議論しましたかという問いに対して、PC
利用のグループは、「はい」が五〇%、一方、紙と附箋
利用のグループは、「はい」が九二%という結果が出ています、こういうことなどが述べられていて、私は大変興味深く読ませていただきました。
検討
会議の最終まとめでも、
教育効果、
健康面の
影響など、これらについては、
デジタル教科書の
使用による効果、
影響について、現時点で客観的、定量的な検証は事実上困難とされています。
こうしたことを踏まえれば、
デジタル教科書の
導入は段階的に慎重に行うべきですし、
導入後の状況について丁寧な検証が必要だと思いますが、いかがでしょうか、
大臣。