○浮島
委員 ありがとうございます。私も、この一人一人ということがとても大切だと思っているところでございます。
このLITALICOは、片仮名でリタリコと書きますけれども、人と社会の幸せの実現が自分たちの幸せにつながるという、利他と利己をかけている、これで片仮名でリタリコと言っていることでございますけれども、LITALICOの社長の長谷川敦弥さん、この方は、一九八五年生まれの三十三歳、ことしで創業十三年目ということで、私も
従業員の方とも
お話をさせていただきましたけれども、
従業員の平均年齢が三十一歳から二歳ととても若く、若い
会社でございます。
会社の事業
内容は、
学習塾及び
幼児教育の運営、障害児支援、就労支援ですけれども、LITALICOの理念は、障害のない社会をつくる。社会は多様な人がいる、社会の側に人々の多様な生き方を実現するサービスや技術があれば障害はなくしていける、障害は人ではなく社会の側にあるという観点から、学ぶことに困難がある
子供向けのオーダーメードの
学習教室、私も行かせていただきましたけれども、LITALICOジュニア、そして、ITと物づくりの教室、LITALICOワンダー、そして、働くことに困難のある方向けの就労支援サービス、LITALICOワークスといった事業を展開されております。いわば、発達障害といった困難さと向き合っている
子供たち向けの
学習塾と言えるのではないかと思います。
長谷川社長は、社会や経済のための人ではなく、人のための社会づくりがしたい。多様な人が幸せになれる人を中心とした新しい社会をデザインしたい。そして、人々の持つ多様性を世界の力に変えていける大きな社会を築きたい。これこそ、まさに人のための社会、ソサエティー五・〇時代の
教育のあり方ではないかと私は思っているところでございます。
今回訪問して伺ったのは小学生の男の子の話なんですけれども、御両親からも、また、
学校へ行ってもお兄ちゃんとずっと比べられてきた。家にいても、お兄ちゃんはできるのになぜあなたはできないのと、
学校に行っても、お兄ちゃんはできたのに何でできないのというふうにずうっと言われてきた。何でできないの、何でできないのとずうっと言われて育ったもので、自分は何もできない、何もできない子だということをずうっと思って育ってしまって、
学校にもなかなか行けなくなってしまった。そこで、LITALICOの
学習支援を受けに来られた。
そこで、
先生方が、何が好き、どういうことをやってみたいと言っても、いや、自分には何もできない、自分にはできない。自分はできないんだ、できないんだと、それしか初めは言わなかった。でも、そのお子さんに、では何が好きなのと聞いたら、僕は飛行機が好きと言い出した。では、飛行機が好きだったら将来何の仕事がしたいと言ったら、パイロットになりたいと。でも、
学校に行っていなかったのでちょっと難しいかなと思ったんですけれども、LITALICOの
先生が、では
一緒にパイロットになる勉強をしようと言ったら、喜んでパイロットになる勉強をし始めた。ずうっと勉強してきたんですけれども、ある日突然、勉強してきたにもかかわらず、やっぱり僕はパイロットになるのをやめると突然言い出した。
それで、
先生が、何でパイロットになるのをやめるのと聞いたら、その子は、だって、僕は飛行機が大好き。パイロットになったら飛行機の中に入らなきゃいけないから、大好きな飛行機を見ることができない。なので、飛行機がいつでも見れる整備士になりたいということに気がついて、今度は整備士になる勉強を一生懸命やって、今は立派な整備士になって、仕事をしながら大好きな飛行機を見て、幸せに仕事をしているという話もございました。
また、別の子は、やはりLITALICOで何が好きと聞かれて、何にも好きなものがない、だけれども、バッハが好きということを言ったそうです。バッハか、では、バッハが好きだったら、まずバッハの生まれた日を調べてみようか、バッハが亡くなった日を調べてみようか、バッハは何年生きたんだろうかということを言い出したら、算数が大嫌いだったのに、数字をどんどんどんどん調べるようになって算数が大好きになった。では、その背景にある歴史を調べてみようと言ったら、うんと。自分の好きなことだから、どんどんどんどん調べるらしいんです。そして勉強が大好きになったという話も聞きました。
また、別の子におかれましては、漫画とアニメが大好き、
学校になかなかなじめない。でも漫画とアニメだったら大好きだということだったんですけれども、そこで、この自分の好きということを大事にしまして、今は、書籍の販売、レンタルショップの専門店において、漫画やアニメに関するどんな
質問でも答えられる、そういうカリスマ店長として活躍をしている。もう引っ張りだこだそうです。その方がいると、誰が来ても、このアニメと言ったら全てわかる。カリスマ店長として、もう引っ張りだこで仕事をしているという
お話を聞きました。
こうして発達障害の困難さに直面している
子供たちの中には、芸術やプログラミング、またアプリの製作などで突出した力を持っていることも少なくないと
先生方はおっしゃっておられました。
LITALICOは、驚いたんですけれども、現在、八千人の
子供たちを支援しています。そして、それでもなお五千人の
子供たちがLITALICOで学ぶための順番待ちで待機をしているとおっしゃっておりました。いかに
保護者や
子供たち自身からのニーズが高いのか。
そして、先ほど
大臣がちょっとおっしゃられた教員の人材育成、これもやっていかなければいけないことですけれども、どのくらいの方が来られるんですかと言ったら、年一回の募集に対して約一万五千人の方が教員になりたいと来てくださる。それも、若い方。だけれども、採れるのは数百人であると。だから、そういうニーズがたくさんあるということが今回わかりました。
このソサエティー五・〇時代の
教育については、まず何より、
大人が
子供たちと向き合い、軽々に、できの悪い子だとか落ちつきがない子だとかいって切り捨ててしまうのではなくて、どんなことにその子が関心があり、どんなことに興味を持っているのか、そしてどんな認知の特性があるのかということをしっかりと見きわめることが求められていると私は思っております。その土台がしっかりしていれば、
子供たちは、自分なりの関心や思いに基づいて、自分なりの学びに取り組むことができると思います。
そんな学びこそソサエティー五・〇時代を切り開く
最大の武器であり、逆に、このように学びの軸がない限り、幾ら知識があってもAIに代替されてしまうのがソサエティー五・〇時代だと私は思っております。
そこで、お
伺いをさせていただきたいと思いますけれども、
文科省では、これまでも、切れ目のない支援体制の構築に向けた特別支援
教育の
充実を図ってきました。これから必要なのは、LITALICOのような
企業も含めた民間の
方々との連携をして、一人一人の
子供たちがどんな認知の特性があるのかをしっかりと見きわめるための体制です。その構築に向けた
取組を支援する必要があると思いますけれども、御見解をお
伺いさせていただきたいと思います。