○中川
委員 もうこの三年ほど、
TPP関係の予算が計上をされています。三千億前後ということですね。
この中身、ここに一覧表があるんですけれども、
農業農村
整備事業であるとかパワーアップ事業、クラスター事業、国産チーズの競争力強化とか、畜産・酪農生産力強化
対策事業であるとか、あるいは、さっきの話で、輸出に取り組む事業者への支援の強化であるとか、あるんですけれども、こうした事業というのは基本、支援事業、支援
対策なものですから、この予算は、一般の予算の中に組まれているわけではなくて、補正予算で、毎年毎年
交渉しながら、三千万前後、来ているわけですよね。
だから、この予算というのは、これから生きていく
農業者に対して、中に組み込まれている予算じゃなくて、緊急
対策的に支援をしますよ、予算をつけますよ、例えば新しい農地開発、あるいは建物をつくる、それに補助金を出しますよということなんだけれども、実は
農業者が直面しているのはそこの部分じゃなくて、実際に飼料が入ってくる、餌が入ってくる、牛を育てる、それが販売価格にどう連動してくるか。
海外から入ってくるものに対して、値段は確実に下がる、その日々の活動というのがどのように担保されて、それで、牛を飼い続けることができるか、そういうことを念頭に置きながら、
TPPというのは、その対応をするのに私たちがどうなっていくんだろう、こういうことだと思うんです。そこの不安なんですよ。
だから、これ、ずっと並んでいるのは、いわゆる
日本の
農業がこれまでやってきた従来型の延長線上にこの支援
対策というのがあって、緊急支援
対策なんですよ。だから、そこに本来のものが見えていないということが
一つ問題だというふうに
思います。
もしそれが違うというなら、この
一つ一つの
対策に対して、どれだけ
効果があって、どれだけ競争力がついてくるのかという試算を、もともとそれで想定してやっているんでしょう。この三年間でどれだけそれぞれが
効果があったか、どれだけ押し上げたかということをやはり示すことも大事だと
思います。
これは点の
政策なんですよ、点の
政策。点を説明してもだめなんですよ。点を説明してもだめなんです。これはマクロで説明しないといけないんですよ、トータルでは。ということがなかなかなされていないということを
指摘をしたいというふうに思うんです。
それと同時に、
大臣、先ほど言われました、
世界の
状況が変わってきています。私、不安に思うのは、例えば牛です。私は三重県の松阪の生まれなんですが、この間、ワシントンに行って、それで、ステーキハウスでメニューを見て驚いたんですけれども、松阪ビーフや神戸ビーフもメニューの中にあるんですが、もう
一つ、和牛ビーフ・イン・テキサスなんですよ。
恐らく、こうやって消費が下がっていったら、商社が何を
考えるか、あるいは、生産者の中でも
企業化された生産者が何を
考えるかといったら、いや、
日本の中で生産するよりも、飼料自体がそれだけ安く手に入る、あるいは環境がそれだけ整う、あるいは、ひょっとしたら、労働力というのもそういう
意味では確保ができるということになったら、それは、みんな
海外へ持っていって、それで大量に生産を始める、
日本の
企業がですよ。これが、
グローバル化、グローバル
企業。これが、
農業分野における
サプライチェーンなんですよ。もう始まっていますよ、それは。
同時に、種子もそう。カリフォルニア産のコシヒカリが
日本のコシヒカリよりもうまいといって宣伝を始めて、それで
日本で相当話題になったというようなこともありました。
こういう形で
グローバル化していく将来というのが、ただ輸出をどうしたらいいか、生産力を上げるのはどうしたらいいかと固まっている、その
政策の向こうに、大きく展開していく
可能性というのが出てきているんだというふうに思うんです。それだけに、非常に私は危機感を持っています。
そんなことも想定しながら、私は、
政府試算というのは一遍出してみて、裸で。
政策があるから大丈夫だ、これは、原子力発電所で我々が全く失敗した方法ですよ。大丈夫だ、大丈夫だと言っていて、それだけの安全の装備というのをやらないであんな事故になってしまったというのと同じで、大丈夫だ、大丈夫だというような試算は、これはだめだと思うんです。
裸で持ってきて、裸で持ってきた上で、じゃ、何をしなきゃいけないか。そのときの想定というのは、今の小さい想定じゃなくて、まさに
大臣が
指摘されているように、グローバルな形で
農業も展開がこれからあるんだ、
企業化されていくんだ、そんな想定の中でやったときに、私は違った絵が出てくると思うんです。
最終結論といいますか、私の
思いを言えば、これは、
日本で生産するということにメリット、
農業生産が
日本で行われるということにメリットのある環境をつくらないと、
日本で
農業は続かないんだ、そのメリットというのは、今のこの緊急
対策ではメリットにならないんだということを
指摘をしておきたいと思うんです。
だから、そういう
意味で猛省を図りたいというふうに
思いますし、この
議論も、そうした原点に戻ってもう
一つやるということが大事だと思うんです。そこまで行っていないと思うんですよ、
議論は。どうですか、
大臣。両方。