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吉良委員 ありがとうございます。
これから、きょうのある意味では一番重要なポイントになってくるんですけれども、どういうことかといいますと、
米国を復帰させるために、
日本がやはり、
TPP11をまとめたように、
中心になってリーダーシップを発揮しなければいけないというふうに思っています。
その際に、あれだけ
皆さん苦しい
思いをして、まずは
TPP12をまとめ上げていた。その後、
アメリカが離脱することになった。で、もう一回、
アメリカを復帰させる。この際、再
交渉になるような、十二カ国といいますか、もう合意した十一カ国がまた大幅な再
交渉を余儀なくされるような事態は避けなければいけない。でないと、
TPP12の再合意というのは成らないと思っています。
そういう中で、じゃ、どうやったら
アメリカをもう一回引き込むことができるのか。私は、
日本がキーだと思っているんです。
そういう意味で、日米FTAはやらない、そして、十一カ国全体にわたる再
交渉の余地というものを極めて小さくしながらやっていくためには、
日本が何らかの形で、
アメリカを引き入れるための、また、それを十一カ国が
支援するような道を
日本が提示しなければいけないのかなとも思っているんです。そして、それは
日本の国益にかなうやり方でなければならないと思っています。
そういう意味で、かなり大胆な
議論を今からさせていただきたいと思っています。
TPPの賛成論と
反対論、これはいろいろな見方がありますけれども、ざっくり言ってしまうと、
TPPの賛成派は、大概が全体最適を求める派です。そして、
反対する人たちは、多くの人が部分最適。これは、どっちがいい、どっちが悪いと言っているのではないですけれども、
農業のここが傷む、こういう産業のここが傷む可能性がある、だからだめだという部分、それから、傷むところはあるかもしれないけれども、それは何とか手当てをしていきながら、
日本全体の国益が増進できるのであれば
思い切って一歩踏み出そうという全体最適を主張する、この
議論だと思うんです。
私は、全体最適に立つ
立場です。その際に、ここにいる全員の
委員の
皆さんもそうだと
思いますし、賛成論である私もそうですけれども、この
日本の中で、誰一人として、
農業がどうなってもいいとか、
農業従事者の生活がどうなってもいいと思う人は誰一人いない。誰もが
日本の
農業を守りたい、
農業に携わる人を守りたいと思っている。そういう中にあって、やはり国益を増進しなければいけない。まずは、このことを断った上で話をさせてもらいたいと思っています。
というのは、私は、
農業分野の、関税も含めたさらなる開放ということを提案しようと思っているんです。
資料の三を見ていただきたいと
思います。これは、大岡越前守の三方一両損というのは有名な話ですけれども、私流に三方一両得というのをつけている、命名している考え方です。
極論していますけれども、左上の紫のところに書いてある、
TPPにおいて、
農産物関税の撤廃、完全自由化、一番極端なことを書いています。一方で、米、麦、大豆、肉、
酪農などの主要産品に対して、
農家に対して直接支払いを行うという形で、三者、三方とは何かといいますと、消費者であり、
農業従事者、まあ
農業であり、そして
輸出産業を
中心とする産業。
仮の話ですけれども、
農産物の関税がなくなった場合には、外国産の輸入
農産物が
日本の市場に入ってくることになります。その
農産物を
中心としたところは価格が大幅に下がってくる可能性がある。これは、消費者にとっては選択肢はふえるし安くなるので、消費者のメリットになることは間違いないです。
後で
説明、重複しますけれども、消費者にとっては、もっといいのは、私の
思いでは、さっき言った、何らかの形で
生産コストと市場価格のこの差を、WTO上の違反にならない範囲において、直接支払いにおいてその差を埋めるということになれば、仮に外国産のものが市場に千円で出ている、
日本で同じものを出そうとするとコストが三千円かかっている、けれども、二千円は直接支払いで補助として来るということになると、
日本の
農家も千円で市場に出せるようになるということですね。そうすると、消費者は、外国産の関税をなくしたおかげで、外国産はもちろんだけれども、
日本の安心、安全で質のいい、おいしい
農産物を安く手に入れることができる、買うことができるようになる。
日本の場合は、有名ブランドをつくっているような
農家は、仮に市場価格の平均が千円であったとしても、自分は少々高くても買ってもらえる、品質にそれだけの自信があるということであれば、二千円で出せるわけですよね。そうすると、二千円の補助をもらい、かつ、マーケットとの差の千円も、プラスアルファが大きくなります。
右下の産業については、当然ながら、相手国の工業製品、化学製品等の関税が下がる、なくなりますので、
輸出増、売上、利益増。それは結果的に、法人税を通した税収増を招きます。全てを賄えるかどうかわかりませんけれども、私は、この産業の利益増、税収増によって、さっき言った、
農家の
生産コストとマーケット価格の差を埋める財源として使うべきだというふうに思っています。こうすることによって、消費者もハッピー、
農業者もハッピー、そして産業もハッピー。
これは、さっきの全体最適と部分最適でいいますと、釈迦に説法にはなりますけれども、部分最適の人は、
TPPに入ればここが傷む、この人たちが困るから入っちゃならぬということになります。そうすると、今の国益が一〇〇とすれば、一〇〇のままになります。私は、今、るる
説明していたような考え方でもってやれば国益が一〇〇から一一〇になります、その一一〇のふえた一〇のうちの税収が四なりあればそこから
農業に対する手当てをする、そのことによって国益が増大し全体最適が追求できる、そして部分最適で傷むかもしれないところにきちっと手当てができる、このように考えています。
この考え方に対しての茂木
大臣の所見をお伺いいたします。