○森田
委員 ありがとうございました。
平成十一年以降で六百九件という御
答弁をいただいております。
アクションプランの中でも、人口二十万というところで線を引いて、大きな自治体、比較的小さな自治体ということで色分けをしているようですけれ
ども、二十万人未満の自治体千六百七のうち、PFIの実施がゼロというところが千四百六十九団体ということでございまして、九割以上が数字にするとやっていないという
状況で、これを見ると、なかなかハードルが高いなということをこの数字からも感じております。
先ほ
ども、専門家を派遣していただいたりということでいろいろと
対応をしていただいているわけなんですけれ
ども、そうやっていろいろと
対応をして丁寧にやっていただいているという御
答弁にもかかわらず、なかなか広がっていないというのが実際のところかなというふうに思っております。
そもそも、先ほど申し上げたように、
制度自体を余り、市町村と、その
職員さんだけでなく、いろいろと広く関係者を含めて
考えると、
制度がわかっていない、理解できていないという方が多いというのも、この
制度の一つのハードルなのかなというふうにも思っております。
さて、先ほど地元のことを申し上げましたけれ
ども、もうちょっと絞って、私の選挙区の地元のことを調べてみたんですけれ
ども、私の埼玉の選挙区には五市ございまして、熊谷、行田、羽生、加須、それから鴻巣市、この五市なんですけれ
ども、PFIを実施しているのは一市のみ、加須市のみということでございました。加須市の農業集落排水の事業がPFIの方式で実施をされているということでございます。
それから、もう一つ、これはまだ計画段階のものがございまして、行田市、鴻巣市それから北本市と三市で、ごみ処理施設の一部事務組合での計画というものがございまして、これは、PFI等導入可能性の
調査を行って、その
調査の報告書が出てきた段階、こういった案件もございました。
さて、選挙区内にあった唯一の貴重な
事例である農業集落排水についてお伺いをさせていただきたいなというふうに思っております。
この加須市の農業集落排水ですけれ
ども、今からおよそ十年前、平成二十一年に供用開始になっております。施設
整備と合わせて十五年間の維持管理を行うという事業になっております。
そもそも、この案件なんですけれ
ども、スタートしたときはPFIではございませんでした。通常の事業の形で計画が始まったというふうに伺っております。通常の形というと、国庫五〇%、県一五%、市で二六・五%、受益者で八・五%という負担割合の事業として計画をされたというわけなんですけれ
ども。
なぜそれが途中からPFIになったかというと、途中、県の財政事情の関係で、県が一五%という補助の枠組みが規定上は一五%以内という書き方になっていたものですから、一五%の満額がどうも出なくなりそうだというリスクが出てきまして、一五%を下回る部分についてどういうふうにしようかという
対応をしていた中で、このPFIの方式に光が当たったということだったそうです。
集落排水の事業をPFIに適しているというふうに最終的に判断をしたわけですけれ
ども、一つにはその規模、集落排水の規模がございます。計画の処理人口が二千六百四十人というこの集落排水の事業なんですけれ
ども、集落排水の事業としてはかなり大きなものでございます。
加須市内にほかにも集落排水がありますけれ
ども、市内でもこの大きさは別格でして、合併前の旧騎西町という地区がありますけれ
ども、この地区ではほかにも集落排水の事業が多く行われておりますけれ
ども、ほかのところを見ますと、数十人という処理人口とかあるいは数百人とかという数字でございまして、ほかはそういう処理人口だと。これは、国全体の規模で見ても、千人以下のものが集落排水で見ると八割ぐらいを占めているということだというふうに伺っております。
いろいろとお伺いをしていく中で、この集落排水の事業をPFIでやって何がよかったでしょうかということを、今管理されているのは、下水道の部門の管理を担当されていらっしゃる方に聞いてきたんですけれ
ども、これは一つは、言うまでもなくお金が安い、事業費が安く済んだ。先ほどの、県からの補助が一五%出なくなって、更にまだ事業が遂行できたということで、お金が安く済んだということですね。
事業が丸ごと一括発注という形になりますので、発注者である行政からすると、工事ごとに一々契約をして工事をするという煩雑さがありませんので、手間がかからないということもあったそうです。工期は計画よりも短く済んだということで、早く完成して早く供用できたという側面もあったということでした。
安いというお話をさせていただきましたけれ
ども、何で安いんでしょうかねということで、もうちょっと細かく見てみたわけなんですけれ
ども、理由は幾つかございました。
まず、工事を一括発注ということで、まずはスケールメリットが生かせるということです。それから、配管ですけれ
ども、下水と同じようにずっと各家庭、家庭というか、家庭の前からずっと配管をして処理施設までつなげていくわけなんですけれ
ども、通常は、だんだん傾斜をつけていって下っていく自然流下式ということで、傾斜をつけた配管の埋め方、埋設をしているわけなんですけれ
ども、当然、これは傾斜をつけていくと、どんどん先に行けば行くほど深くなってくるということで、工事もそれに伴って費用がかかってくる。深くまで管を埋設するということで、工事費も上がってくるということになってまいります。
しかし、この施設については真空式という形のものを使った。掃除機のようなもので排水を吸い込んで、いわば傾斜に頼らずに排水を吸い寄せられるということで、配管が深くなっていかないということで工事費が安く済んだ、そういう面があったということですね。
あと、埋設をする工事のときにはアーバンノーディッグ工法という工法を使って、管路を埋めるところを全部掘り返すんじゃなくて、ある一部分を掘ってそこから管を入れ込んでいく、そういう形をとって、全部掘り返すことなく工事ができたということで、こういう工法を使ったことによる経費の縮減効果もあったということなんですね。
そういうことを聞いていると、やはり地元の企業、地場の企業を使っているのかなという心配が当然ありましたので、その辺を聞いてみたところ、これはプロポーザル方式で当初募集をしているということで、そのプロポーザルの中に項目として、地元企業との協力関係をどういうふうに担保していくかという項目があったということで、もちろん、行政が直接発注することよりはいろいろな制約があったとは思いますけれ
ども、そのプロポーザルの中での項目に入っていたということで、地元企業を使っての工事にもなっているということでございました。
何かこういうふうに言っているといいことばかりのような感じがしなくもないんですけれ
ども、ではデメリットはどういうところだったのかなということでお伺いをしたわけなんですけれ
ども、まずは、工事、工事というか契約の段階で非常に手間がかかったということをお話ししていました。
手間がかかったといってもいろいろなことがあると思いますけれ
ども、一つは実現可能性の
調査ということですね。当然のことながら、集落排水の事業のPFIというのはほかにも
事例がありませんでしたので、そういったことを一から立ち上げて、PFIの方式にかなうかどうかということで、そういった
調査をしていった。
それから、契約書の整理、やはり通常の事業とは違いますので、この辺の手続が煩雑であったということでした。
弁護士に入ってもらって、要望水準書といったようなものを含めて、契約に不備がないかという確認をしながら契約手続関係を進めていったということでございまして、そこの前さばきのところでも費用が大体二千万から三千万ぐらいかかっているということでした。
また、供用開始してからの問題点はどういうことがあったかというふうに伺ったところ、いろいろなふぐあい、詰まっただとか漏れるとか、そういうふぐあいのトラブルというものの苦情が市に来ちゃうということなんですね。管理は運営会社がやっているはずなんですけれ
ども、やはり住民の方が電話する先というと市の担当部署ということになりまして、結局、管理者じゃなくて市に来てしまって、管理の担当者に伝言ゲームのようなことをせざるを得ないというようなことがあるというふうに、問題点としての指摘がございました。
あとは、実際の現場の管理というものを運営の会社がやっておりますので、いろいろな苦情が、例えば、市のこれはもちろん責任もありますので、市にいろいろな苦情が来たとしても、ふだんのメンテナンスの
状況等が、もちろん監視はしているとはいいながらも、なかなか直接やっていることと比べると見えない、見えづらい部分があるということもお話をしていらっしゃいました。
大体、こういうふうにメリットとデメリットを整理してみますと、このようなことが事業の中であったということなんですね。
何でこんなことを細かく聞いてきたかというと、この後が、集落排水に関しての後が続いていない、PFIに関して後が続いていないということがありましたので、あえてここまで細かくいろいろと調べさせていただいたわけなんです。
そこで、お伺いをさせていただきますが、この埼玉県の加須市における集落排水事業のほかに今のところPFIの
事例は見られないわけなんですけれ
ども、これまでの経過をどのように評価をしておられるでしょうか。御
答弁をお願いいたします。