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加藤(鮎)
委員 御答弁をありがとうございます。
今御答弁をいただいたような機能が本当に期待をされるところでありまして、まるで私がこれから申し上げることの前振りをしていただくような形で恐縮でありますが、実は、私の地元の山形県鶴岡市におきましては、
慶応義塾大学先端生命科学研究所、これから先端研と略して呼ばせていただきますが、そういったものがございまして、
地方創生のモデルとなっております。
これまでもこの
地方創生特別
委員会の
大臣の御答弁の中でも何度か登場させていただいておりますし、予算
委員会におきましても、総理の答弁にも数回言及があったものと記憶をしております。
この慶応先端研は、大変すばらしい
取組をしておりまして、設立をされてからもう十八年目になりますけれ
ども、これまでに若い
研究者や
起業家を大変多く育てておりまして、既に七社もの
ベンチャー企業を輩出しております。
バイオ関連の最先端の
研究所でありますので、バイオ関連の
ベンチャーが多いのですが、この場をおかりしてちょっと紹介させていただきますと、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズという長い名前ですが、この
ベンチャーは、うつ病の診断キットを開発して、差別化をしているという
ベンチャーであります。
また、よく聞かれると思いますが、スパイバーという
ベンチャーがありまして、人工クモ糸をつくる技術を確立しました。
サリバテックというところは、唾液からがんを検査することができる技術、血をとらなくても見分けてしまうという技術を開発しました。
また、ヤマガタデザインという会社は、これはバイオじゃないんですが、
まちづくりを推進するディベロッパーでございます。
さらに、メタジェンという会社は、人の便から腸内細菌の遺伝子情報などを分析する技術を持っております。
メトセラという
ベンチャー、移植用の心臓組織の製造と販売を行っています。
最後に、モルキュアという一番新しい
ベンチャーは、次世代のシークエンサーとAIを用いた抗体医薬の探索を行っているということで、この最近五年間は、年に一社のペースで
ベンチャーが立ち上がっているという状況でございます。
中でも、特に成長が目覚ましいのが、また
世界からも注目をされているのがスパイバーであります。クモの糸を人工的につくる技術を開発し、繊維
産業に
イノベーションを起こそうという大きなビジョンを描いている
ベンチャーであります。
この量産化と低コスト化が進めば、今ある車の車体ですとか飛行機のボディーに使われている炭素繊維、これに置きかわる可能性もあります。炭素繊維は石油に依存をしておりますが、クモの糸はたんぱく質ですから、石油には依存をいたしません。
まさに地球
規模の
環境問題にも立ち向かっていく大きな
イノベーションを起こそうという壮大なビジョンと使命感を持った若い方々が集まって、今や海外からもドクターやマスターを持った
若者たちが、
人材が次々と移住をしてきているところであります。
数年前にはまだ
世界じゅうにスパイバーに並ぶ競合がひしめき合っていましたが、今やスパイバーは多くの競合を振り切って、トップランナーとしてフィールドを切り開いているところであります。
そんなスパイバーを始めとした多くのバイオ
ベンチャーを輩出した慶応先端研は、それだけでも十分すごいわけでありますけれ
ども、更にすばらしいところは、
地方創生を自分でやってしまおうという大きなチャレンジ精神を持った若い
人材をも次々と引きつけているところであります。
この慶応先端研の所長の冨田勝先生は、日ごろからこのようにはっきりとおっしゃっています、クリエーティブな発想が生まれたり
研究に没頭できる
環境は田舎にこそあると。本当にそのとおりだと思います。
一方で、田舎には不便さもあります。例えば、英語での幼児
教育ができる
環境がなかったり、国際的な学術イベントをやろうと思っても、外国人のビジネスマンが泊まれる宿泊所が少なかったり、職場の近くにフィットネスがなかったり、さまざまあります。
しかし、だからといって、先端研を取り巻く人たちは諦めたりはいたしません。そういった課題をみずから取り除いてしまおうという発想と意欲を持った
若者たちをも引きつけてしまったのであります。とうとう彼らは、十四ヘクタールもの田んぼをディベロップメントして、サイエンスパークという町をつくり始めました。
先ほど挙げた七社のうちの
一つ、ヤマガタデザインという会社は、ディベロッパーの方が立ち上げた会社であります。田んぼを一望できるビジネスホテルをつくろうと、今まさに進んでおりますし、雨の日でも子供が遊べる遊戯場、これは地元のお母さんたちの声を受けてつくっている子育て
支援施設であります。また、働く方々のためにワークアウトができる施設をそのパークの中につくったり、また、地元の食材を生かしたレストランを近隣につくったりと、非常に短い間に多くのことを計画して進めているところであります。
つまり、そこで、サイエンスパークで働いたり
研究したりする方々の暮らしそのものの満足度を高めてしまって、それによって更に
人材を集めていこう、こういうチャレンジをしているところであります。しかも、更にすごいのが、そのための資金はほとんど地元の
企業から集められているということであります。当然、その
まちづくりの
事業自体にも新たな
雇用も生まれますし、関連
産業でも多様な高度な
人材が集まってきているという現状でございます。
いろいろ申し上げましたけれ
ども、このすばらしい
地方創生のモデル、私、地元選出議員として、大変誇らしく思っております。まさにきらり、きらきらと光り輝く
地方大学づくりのモデルだと言えるのではないかと思っております。
そして、
法案の質問に戻りますけれ
ども、今回の
地方大学振興法案は、まさにこの慶應先端研のようにきらりと光る
地方大学づくりのための
交付金制度の創設を含んでおりますが、これまでも、
地方大学支援については
文科省の方でさまざまな、先ほどの話もありましたが、
事業をやって、予算をつけたりされています。それと今回の
法案の
交付金制度とでは何が違って、どこが新しいのかといったところをお伺いできればと思います。