○緑川
委員 先ほどのお話で、公益的な存在ということがまず前提だというお話でございます。
しかし、考えてみますと、小さな拠点、これは
地域にどうしても欠かせない存在だと私は思っております。この形成を進めていこう、その数をふやしていこう、こういう今回の投資
促進税制のはずですね。この目的は一致している、方向性は同じはずなんです。でも、現実には、そうした拠点を担う主体が、
時代の中で、
もともと少ないかもしれませんけれども廃業に追い込まれている、形成どころか今減ってしまっている、大変私はそれを心配しております。そうした拠点をなくさないでほしい、その切実な思い。
確かなニーズというものはあります。
現状、ニーズを把握されていないということもあるかもしれませんけれども、私は
地域を回って、少なくとも秋田県内の多くの
地域では、こうした、
地域での暮らしを支えていく、身近な暮らしを支えるような、持続的に
経営をすることによって支えていくというこの拠点、これは確かに求められている、そうした声は受けとめております。
私が住む、また少し具体的なお話ではありますけれども、北秋田市というところが隣町にございます。北秋田市のある地区で、御挨拶に回っていたときに、食品や日用品をそろえていたディスカウントストアがあります、この地区で唯一買い物ができるこのお店が不況のあおりを受けて先日閉店したというふうに聞きました。
このお店がなくなったことで、近くに住む住民にとって一番近いショッピングセンターはその地区から五キロ以上の距離となって、往復で十キロ以上、これは車でなければ利用できません。バスを乗り継いだとしても、お年寄りには大きな負担がかかる厳しい
現状です。
ひとり暮らしのお年寄りのおうちを訪ねますと、ディスカウントストアでの買い物は何より助かっていただけに残念だとお話しされて、息子も市街で離れて暮らしているから頼みづらいけれども、連絡してわざわざ実家まで来てもらっているんだと申しわけなさそうに話しているのが大変印象的でありました。
また、私の
地元の事務所から近いスーパーでも、およそ半世紀続いていたお店がまた閉店してしまいました。個人商店じゃなくて、これはチェーン店なんです。個人、チェーンかかわらず、
地域でなじみのあったお店が次々に姿を消して、長い歴史に幕をおろしてしまっている、こうした姿を目の当たりにしております。
人口減少社会の中で、
行政サービス、生活サービスが行き届くエリアがどんどんと狭まっていく、これは
一つの流れになってしまう、そうしたものかもしれない。でも、このコンパクトシティーという考え方を当然のものとして、ただただこれを受け入れるだけではなくて、あらゆる試み、もがきを繰り返す、こうした審議を経た、結晶を固めたものをしっかりと
地域に還元する思いで取り組んでいかなければ、ただ、そうかと思って流れに身を任せるだけでは
地域活性化にはならないんじゃないかというふうに私は考えております。
拠点としては小さい、でも、
地域の身近なニーズにしっかりと応えられる、暮らしを持続的に支えていく上でなくてはならない、この御紹介したお店のようになくなってしまったものもありますけれども、そうした最後の拠点がまだ
地域に残っているところがあります。まだ間に合うと思いますし、これからなくしてはいけない。
これから
地域で生活サービスを、そして安心を届けられるように旗上げしようという強い思いのある株式会社の事業主、これをいろいろな形で応援しやすい仕組みに私は変えていくべきであると思うんです。その一歩目が設立時出資ということで、全く反対の方向ではないと思いますし、私は第一歩だというふうに受け取っております。
その上で、あえて提案をさせていただきたいのが、現物による出資。
株式会社は決して、今回のこの小さな拠点に資するという意味では、営利目的という定義はありますが、これらのケースは、ただひたすらに利益を追求していく、そういう性質のものではないことは共有していただけると思うんですね。
地域の方が持続的に暮らしていけるように、住民の福祉、利便性を確保していくために、これは公益的とも言えるというふうに私は思うんです。
その存在である以上は、会社を応援したいのに、先ほどお話が参考人からございました、みなし譲渡所得への課税、この税法上の大きな壁がある。出資の形が極めて限定されてしまっている。
私は、ここに立たせてもらっていますけれども、この
国会のよさというか、それはやはり横断的に
議論ができるという点にあると思うんですね。たとえ税法であっても、
地方創生ですから、横断的な
取組の中で、しっかりと足並みをそろえて、各
省庁で意識を共有し合って、これを
地域活性化に資する
取組につなげていくということがすごく私は大事だと思うんですね。
みなし譲渡所得について私も少しお話しさせてもらいますと、個人から個人へ財産をただで上げてしまう、つまり贈与した場合には、上げた側に譲渡所得が生じないために課税されないんです。
一方、今回提案しているケースでは、たとえ善意で、よかれと思って個人から株式会社にただで財産を上げた場合、これは、個人からもらった財産を保有しようが、ほかへ売り払おうが、法人の場合には、所得税が課されない、課税されないために、これは比較的日本で簡単に会社をつくることができるということもあって、会社が取得した財産に対する譲渡所得への課税は永久に免れることもできる、悪用すれば税金逃れもできるというような中身になっている、これを防ぐためにみなし譲渡所得の規定がある。個人が財産をただで会社に上げた場合には、上げた側の方が課税される。上げた本人にしてみれば、これは半ば不本意な形、感じにも見えるわけです。
家とか土地は大きなものですので、ここからまた現物出資という形で急には
実現は難しいというふうには私も思いますけれども、例えば、家や土地、不動産以外のもの。
私が
地域を回っていると、いろいろなものを目にします。土地や建物だけじゃなくて、
地方の交通に欠かせないもちろん車、そして工業用又は農業用トラクターとか、また食品加工用の機械、農林漁業用の施設、資材など、手つかずになっているもの。高齢化の中で、もう働けない、外に出て働けないという方がたくさんいらっしゃるわけで、こうした資材とか財産が手つかずになっている、優良な資産があります。またあるいは、老朽化が進んではいるけれどもまだまだ利用できる、こうしたもったいないものがたくさんあるわけです。
地域のためになるのであれば、今後のために、事業主さん、役立ててくださいという声、こうした切実な思いを受けとめられる税制であってほしいというふうに私は願いますし、よいものであれば活用したいと思うものであればあるほど、残念だけれども、それに比例してみなし譲渡所得への課税というものが高額になっていく、こういう現実があります。この壁がやはり
地域では越えられないんですね。
土地建物以外のもの、一定の枠組みの中で、今回は、土地建物というのはもう少し
議論が必要かと思います。でも、
地域で眠っている宝、こうした資材とか施設、こうしたものを一定の枠組みの中で規定をして、みなし譲渡所得課税の、免除とは言いません、減らしていく、こういう
措置でも、使われていない資産の有効活用、そして
地域活性化にも資すると考えますけれども、この考えについてはいかがでしょうか。