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黒田参考人 お答えする前に、まず、この短観についての見方について私どもの
考え方を申し上げますと、御
指摘のとおり、大
企業製造業、非製造業とも足元若干マイナスになっておりますが、この数字ぐらいの幅で動くということは十分あり得るということと、それから
中小企業の方は実はむしろ改善しているということもあります。したがいまして、現在のところ、業況判断は高位でほぼ安定しているというふうに見ております。
なお、先行きの変化幅は、この短観の癖なんですけれども、足元の景気がいいときは必ず先行きがマイナスになるというふうにみんなアンケート
調査に答えるという傾向がありますので、そういう傾向をディスカウントしますと、余り先行きが更に悪化していくという感じではないと思っております。ただ、御
指摘のように、景気というものがずっと無限に
拡大していくわけではありませんので、景気後退リスクというものも十分将来考えていく必要はあるとは思っております。
ただ、現時点では、今申し上げたような景気判断でもありますし、何と申しましても、二%の物価安定の目標の実現を目指して、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作つき量的・質的
金融緩和を継続するということにしておりまして、当面、こうした
考え方に沿って運営していくということになると思います。
なお、出口については、御
指摘のように慎重な言い方をしているというふうに見られるとは思いますけれども、かなり具体的に、実際の出口というのは、FRBの例を見ましても、あるいはECBの例を見ましても、結局のところは、
拡大した
バランスシートをどのように調整していくかという問題と短期金利をどのようなペースで引き上げていくか、この
二つが重要な論点になるということは前から申し上げております。
その場合に、どちらから先に行くのかとか、そのテンポはどのくらいになるのかというのは、やはり出口を具体的に
議論する時点で政策
委員会で十分
議論して、その
考え方を市場にも適切に伝えていくということが重要であると思っておりまして、まだ二%の目標までかなり距離がある段階で、実際にそういうことを
議論する段階の
経済とか物価とか
金融情勢がまだはっきりしていない今から、こういう順序でこういうふうにやるというようなことを言うのは、かえってミスリーディングじゃないかと。
御案内のように、FRBも出口についてかなり早くに
一定の
考え方を示したんですが、実際の今の出口、正常化のプロセスはちょうど逆になっていまして、なかなか、FRBの状況を見ても、実際に出口に差しかかるずっと前に出口の具体的な方法とかテンポを言うというのは非常に難しい。ただ、どういう点が論点になって、どういうことを考えなければならないかということは、私どもも随時、その時々の
経済状況を踏まえて、市場関係者等にもコミュニケートしていきたいというふうに考えております。