○岸本
委員 希望の党の岸本周平です。
きょうは、
質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
今、各
委員がいろいろとアベノミクスの問題点を
指摘していました。まさに
青山委員が申し上げましたように、アベノミクスを含め、安倍
内閣の
政策というのは常に道半ばということでありますので、我々はこれを永遠の道半ば
政策と呼んでいるわけでありますけれども。
どういうことかといいますと、ある
意味、政権を担う
内閣としては、お上手といえばお上手なんですね、やり方が。ばんとアドバルーンを打ち上げられる。アドバルーンを打ち上げられるんだけれども、なかなかそれは実現できない。うまくいかない。うまくいかないときに、目くらましと言ったら言葉は悪いんですけれども、更にまたアドバルーンを打ち上げる。そうすると、国民の方は前のアドバルーンを忘れるんじゃないかということで、次から次へとアドバルーンを打ち上げられているのではないかと思います。
つまり、PDCAサイクルというのが、今、行政の側にも導入をされて、プラン・ドゥー・チェック・アクションという形で
政策を、その
効果を検証していくということがあるわけですけれども、安倍
内閣の
政策はプランだけ、あるいはドゥーは少しあるかもしれませんけれども、少なくともチェックがない。したがって、アクションもない。PDCAサイクルが全く回っていないということなのではないかと思います。
先ほども各
委員が言っていましたけれども、日銀の第一の矢であった
物価目標二%、六回も先送り、先延ばしをされたわけであります。
あるいは、安倍総理が胸を張るように、失業率が
減少し、今や完全雇用状態ですけれども、なかなか賃金が上がらない。
麻生大臣もおっしゃいましたが、組合にかわって三%上げろと言っているということでありますけれども、
政府が
企業経営者に対して賃金を上げろと言うのもいかがなものかと思いますけれども、なかなか
効果が出ない。
あるいは、日銀と公的年金のGPIFで買い支えてきた非常にいびつな官製の株式市場も今や乱高下しております。
大変リスクのある
政策をされているわけでありますし、第二の矢の
財政のばらまきで、まさにプライマリーバランスの黒字化が、二〇二〇年の目標がなし崩し的に、今の、一月の発表では二〇二七年に達成できるかもしれないという、これもある
意味、非常に前提としては楽観的な指標を置いた上でのことでありますけれども、七年、あっという間に先送りをされてしまったわけであります。これは骨太の段階で新しい計画を発表するというふうにはおっしゃっていますけれども、常に先送りであります。
第三の矢の成長戦略も、潜在成長率は全く高まっておりません。非常に低い状態のまま続いているわけであります。
そうなると、都合が悪いものですから、アベノミクス第二弾というのを打ち出すわけであります。
ここで、GDPを二〇二〇年には六百兆円にします。推計方法をまず変えます。国際基準に合わせるとはおっしゃいますけれども、二十兆も三十兆もかさ上げをして、しかも、その中にその他という項目があって、いまだに御
説明いただいていないんですけれども、それでも六百兆には絶対に届かないということが既に明らかになっていますので、今、安倍総理は一言も六百兆というのはおっしゃいません。
それから、希望出生率一・八というのがありましたね。これもおっしゃらなくなりましたね。
介護離職ゼロ。これはふえていますね、今。介護離職ゼロどころか、ふえています。
例えば待機児童ゼロというのも、皆さんお忘れですかね。二〇一七年が目標だったんですよ。安倍さんは、二〇一七年に待機児童ゼロにしますとおっしゃっていたんです。これをあっさりと三年先送りされて、二〇二〇年、三十二万人。これが本当にあと二年ちょっとで解消するのか。待機児童ゼロになるのか。
過去のパターンの繰り返しを見たときに、なかなか私ども信用できないということであります。
あるいは女性活躍。女性活躍というのもありましたよね。例えば、取締役会の比率、三割ぐらいにしよう。全然ふえていませんので、これも誰もおっしゃらなくなりました。
あるいは、二〇一三年、五年前ですけれども、農業所得を十年間で倍にするとおっしゃったんですよ。農業所得を十年間で倍にする、今五年たっています、全然動いていません。どういうことですか。あと五年たって、どうするんですかね、この倍増。
あるいは、二〇二〇年までに
東京一極集中を直します。今、昨年、その前ですか、年間十万人ぐらい入っていたんですね、宣言したときは。二〇二〇年にゼロにしますと。去年の統計を見ると、十二万人、
人口流入がふえています。ふえているんですね。これもおっしゃらない。
それから、皆さん、覚えていますか、プレミアムフライデーというのがあったのを。もう覚えていないでしょう。何ですか、プレミアムフライデー。今どうなっているんですか。実施している
企業は七%です。
だから、こういうアドバルーンを上げて、それで目くらましをするというのは、本当に残念であります。
その中でも特に残念なのは、プライマリーバランスの黒字化をあっさりと先延ばしをされる。
財政再建というのは難しいのはわかっていますけれども、その辺については、きょうは少しじっくりと、
財政再建については与党も野党もないと思いますので、
大臣と
議論をさせていただきたいと思います。
本当に
財政再建というのは難しいわけであります。過去、私たちの国では、ある
意味、ことごとくと言っていいぐらい
財政再建は失敗の歴史でありました。大変残念なことです。みんなで力を合わせてきたんですけれども、
財政再建というのはなかなかうまくいかないわけであります。
例えば、一九八〇年代、第二次臨調というのがありましたよね。一九八一年に第二次臨調、増税なき
財政再建ということがうたわれました。一九八一年、この臨調があって、翌年、ゼロシーリングが導入されたんですね。その翌年、八三年はマイナスシーリングが導入されました。
実は、シーリングというのは古いんです。予算の手法として実は一九六一年からシーリング方式が入ったんです。それまでは青天井で要求できたんですけれども、それじゃたまらないということで、一九六一年からシーリング、天井を設ける、これはプラスでした。それを、第二次臨調を受けてゼロにして、マイナスにしていったわけであります。
その後ですが、残念ながら、八五年のプラザ合意の後の円高不況で大胆な
財政出動をしてしまいました。もちろん、バブル景気もありましたので税収はふえましたけれども、税収がふえる一方で、八〇年代後半は補正の予算を相当やったものですから、実は、実際の
財政再建は数字ほどできていなかったんですね。ただ、数字上は公債依存度は下がっています。税収がふえたのもありますけれども。
ただ、これはからくりがあるんです。実は、この段階で、一九八〇年代で会計操作をしています。どういうことかというと、国債整理基金特別会計に繰入れをするんですけれども、一般会計からの繰入れをとめたりしています。まさに隠れ借金。隠れ借金を使って、違法ではありませんけれども、会計帳簿を目くらましして、それもあって少し改善した形にはなっています。
しかし、ここから
財務省、大蔵省の会計帳簿のごまかしの歴史が始まるわけであります。古いんです、長いんです。私、中におりましたので、やっていましたので自分が、よくわかって、今反省をしております。深く反省をしておりますけれども。
そこで、
大臣に聞きたいんですが、その次、九〇年代。九〇年代、ここは本当に当時の
政府・自民党が物すごい覚悟で
財政再建に取り組まれました。私もその時代、
財務省でその先兵をしておったんですけれども、本当にこのときは一生懸命、
政府を挙げて取り組みました。九七年の
財政構造改革法であります。古い話でございますけれども。
この
財政構造改革法、これで、国、地方の
財政赤字の対GDP比を三%以内にしましょう、特例公債、赤字公債からの依存
脱却の目標を二〇〇三年度にしましょうという具体的な数字、目標まで書いた法律だったんですね。その結果、九八年度予算は、一般会計の歳出総額はわずかにプラス〇・四、大変緊縮した
財政。結果として、国債の
発行高も減らし、公債依存度を二〇%にしたわけです。
スタートはよかったんですが、この後、やはり景気対策のため、累次に及び三回補正を打ちました。結果として、歳出増が十・三兆円、景気が悪くなって税収が減りました。歳入増が九・一兆円、その分全部国債を
発行いたしましたので、実は決算ベースでは公債依存度は四〇%です。倍です。当初予算で二〇%の公債依存度が、補正を打って決算では四〇%。
大臣、このときの構造改革法によってもできなかった
財政再建の失敗の原因は何だと思われますか。