○盛山
委員 ぜひ、その積極的なお取組がうまく進んでいくことを心から期待するものでございます。
続けてもう一問、
大臣にお尋ねしたいと
思います。
初めて駅のエレベーター、エスカレーターを
整備する補助
制度を創設したのが、
平成十年度の第三次補正予算でありました。この補助
制度が成立して以降、
バリアフリーの言葉が人口に膾炙して、さまざまな分野で
バリアフリーが
進展し、
平成十二年には
交通バリアフリー法が成立いたしました。それからもう二十年経過しております。
しかし、ある
政府の審議会で、学識経験の
委員から
車椅子を
利用する
委員に対して、すいた時間の
電車に乗ればそんな問題は起こらないのになぜ乗るんですかと質問がなされたことがありました。悪意ではなく、
障害をお持ちの方がその時間帯に行動しなければならないということに対して
思いが回らないんだろう、そんなふうに推察をしました。
先ほど心の
バリアフリーということを御質問もいたしましたが、相手の立場に立つ、相手をおもんぱかる社会にしていく、こういうことがなかなか、言うのは簡単であって実際には難しいことではないかなと
思います。
例えばでいいますと、
平成十八年に、今の
バリアフリー法の審議の際に私が
国交省に質問いたしまして、何の質問をしたかといいますと、
国土交通省の入っております新二号館の一階ロビーのところの点字ブロックが、黄色ではなくて、黒い石の上に銀色の金属のものが貼付されているようなものがございまして、多分デザインを重視されて、弱視の方にとっては黄色とほかの色のコントラスト、そういうのが大事であるということを設計士の方が余りよく理解されていない、そんなことだったからじゃないかと思って質問をいたしました。
そういうことをよく理解するように指導してほしい、こんなことを申し上げまして、当時の住宅
局長の方から指導するという御
答弁もいただいておりますが、現実にどこまで本当に進んでいるんだろうかといったようなことは、やはり今でもちょっと疑問に感じることがあります。
また、昨日、本日の質問にもございましたが、
ホームと車両の間の間隔、こういったものを狭めていくためにどうすればいいのか。例えば、コストの削減のために、アイランド型、島式の
ホームをつくって両面に線路を設けるのではなくて、対面型の
ホームにして直線型の
ホームをつくれば、車両と
ホームの間の間隔、差を少しでも縮めていくことができる、そういったこと。
駅と
ホームの設計ですとか、駅自体の視認性をよくする設計ですとか、そういったことを最初から、誰のためにこの
交通機関あるいは公共の
スペースはあるのだろうか、何が求められているんだろうか、そういうことをよくお考えいただけるようになれば、
バリアフリー、後から
障害、バリアを撤去するということではなく、最初からユニバーサルなデザイン、誰にとっても使いやすい環境になり、コスト的にも、後から工事をするのではなくて、最初からした方が安くなるといったことで、最初から使い勝手のいいものができるというふうになると私は
思います。
私が運輸省でこの
バリアフリーを担当した課長でありましたときに、アメリカのDOT、運輸省から、マイケル・ウインターさんという
車椅子の方がお見えになりました。大変アクティブな方でございました。その方は、
車椅子でどこにでもお出かけになるということでございました。
そして、私に対しまして、いろいろな
議論その他もしたわけでございますけれども、そのマイケル・ウインターさんがおっしゃったのは、
政府だとかほかの人から、哀れみをという表現だったかどうかはわかりませんでしたけれども、かわいそうに思われて何かをしてもらう、そういうようなことは私は嫌なんだ、自分で自分の
思いどおりに行動を、自分の仕事であり、自分の生活を進めていくことができるようにしたいんだ、そして、それによって自分が稼ぐことができて税金を納めることができたら、税金で我々に何かをしてもらうというのに比べて、俺たちが税金を納められるようになった方が社会にとってもいいじゃないか、そういうような社会をつくるのが私たちの希望なんだよ、そんなふうにおっしゃられた。まあ、アメリカ人らしいお考えかもしれませんし、なるほどな、そんなふうに思ったわけでございます。
先日来、きょうの質疑でもそうですが、
移動権、
交通権の御要望も出ております。十八年の
法改正その他も含めて、今こういうことでこういう
法律にしているんだという御説明はいただいているんですが、それでもなお
障害をお持ちの方から、
移動権、
交通権を含めいろいろな要望が出ている。そういうことを十分、しっかり御認識をいただきたいと思うわけであります。
まずは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて多くの方がお見えになる。そしてまた、その先に向けてどのようにすると誰にとっても暮らしやすい社会になるのか。以前に比べると相当程度環境は改善されたとは思うんですが、まだ、
バリアフリー、道半ばでございます。
大臣の、今回の
法改正、これからのユニバーサル社会の実現に向けての抱負を伺いたいと
思います。