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2018-05-18 第196回国会 衆議院 経済産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年五月十八日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 稲津  久君    理事 城内  実君 理事 平  将明君    理事 辻  清人君 理事 冨樫 博之君    理事 松本 洋平君 理事 落合 貴之君    理事 浅野  哲君 理事 富田 茂之君       穴見 陽一君    石川 昭政君       上杉謙太郎君    上野 宏史君       小田原 潔君    尾身 朝子君       大串 正樹君    大見  正君       岡下 昌平君    勝俣 孝明君       神山 佐市君    神田  裕君       小林 鷹之君    佐藤ゆかり君       白須賀貴樹君    田畑  毅君       谷川 とむ君    穂坂  泰君       星野 剛士君    牧島かれん君       三原 朝彦君    八木 哲也君       中谷 一馬君    松平 浩一君       山崎  誠君    吉良 州司君       斉木 武志君    山岡 達丸君       國重  徹君    田嶋  要君       笠井  亮君    森  夏枝君       菊田真紀子君     …………………………………    経済産業大臣       世耕 弘成君    経済産業大臣政務官    大串 正樹君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           岸本 道弘君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           及川  洋君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君    政府参考人    (資源エネルギー庁次長) 保坂  伸君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    政府参考人    (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術参事官)         浅輪 宇充君    政府参考人    (国土交通省総合政策局次長)           松本 年弘君    政府参考人    (環境省地球環境局長)  森下  哲君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君    参考人    (国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事)  伊藤  肇君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   國場幸之助君     上杉謙太郎君   佐々木 紀君     白須賀貴樹君   谷畑  孝君     森  夏枝君 同日  辞任         補欠選任   上杉謙太郎君     國場幸之助君   白須賀貴樹君     谷川 とむ君   森  夏枝君     谷畑  孝君 同日  辞任         補欠選任   谷川 とむ君     小田原 潔君 同日  辞任         補欠選任   小田原 潔君     牧島かれん君 同日  辞任         補欠選任   牧島かれん君     佐々木 紀君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  エネルギー使用合理化等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第五一号)      ――――◇―――――
  2. 稲津久

  3. 稲津久

    稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 稲津久

    稲津委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。八木哲也君。
  5. 八木哲也

    八木委員 改めまして、おはようございます。ただいま御指名いただきました自民党の八木哲也でございます。  私の地元は自動車産業が発達している愛知県豊田市でございまして、中小企業を含め、大企業、たくさんあるわけでございまして、そういう中においても、エネルギーの問題は大きな問題でございます。そういう現場からの声を拾いながら質問にいたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  エネルギー使用合理化等に関する法律の一部を改正する法律案、すなわち省エネ法、この省エネ法を改定するに当たっての背景といいますか、エネルギーミックス実現をどういうふうにしていかなければいけないのかというところをまず確認して質問に入っていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  実は、このエネルギーミックスにおける最終エネルギー需要ということを考えますと、二〇一三年をベースにして、そのときの原油換算で三億六千百万キロリットル、これをベースにして、二〇三〇年、それまでに経済成長を一・七にする、こういう前提の中で、そのときに二〇三〇年に使われる原油換算で三億七千六百万キロリットル、こういうふうになるわけでございます。  成り行きでいくとそういうふうになるんですけれども、やはりそこで省エネという部分をしっかり徹底してやっていかなければいけない、そういう省エネを、五千三十万キロリットルぐらいを徹底してやっていかなければいけない、こういうシナリオになっているわけでございます。  しかしながら、直近経済成長を見てみますと、約一・二、こういうふうになっておるんですね。そうすると、もう既に、計画した段階での一・七というものから、少し成長量のぐあいがおくれているのではないか。この一・二でそのままいったときには、またエネルギーミックスが変わってくる。  そういう部分において、やはりこの成長率をまずしっかり確保していく政策が、私は、優先すべきことだ、こういうふうに思っているんですけれども、このおくれといいますか、今成長率が一・二ということでありますので、その差といいますか、そこにおける、一生懸命やってきたことは事実なんですけれども、なかなか進展してきていない、その原因課題をどのように分析し、計画どおりの一・七にどのようにしていくのかという部分についてまずお聞きしておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  6. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 御指摘のとおり、現行の長期エネルギー需給見通しにおいては、二〇三〇年度の電力需要を計算するに当たって、将来の実質経済成長率を年一・七%という仮定を置いているわけで、これは、政府のいろいろな試算の中で、特に二〇一三年から二二年は、経済再生ケースではやはり成長率年平均一・七ということになっておりますので、それをそのまま使っているわけであります。  しかし、足元経済成長率年平均一・二%ということで、その水準には届いていないという点があるわけであります。アベノミクスの取組によって、現在、好循環が回りつつあって、特に労働関係雇用関係の指標などは非常によくなっているわけでありますけれども、一方で、足元労働生産性の伸びが低迷するなど、また、消費設備投資がいま一つ進まないなど、経済成長に向けてはまだまだ課題があるというふうに思っています。  特に中小企業においては、従業員一人当たりのいわゆる機械設備などの資本ストックが低いことなどが原因労働生産性が低くなっているわけであります。  こういったことに対応するために、IoTやAIなど、イノベーションの成果をフルに活用してもらうことで、生産性を飛躍的に向上させる生産性革命実現に取り組んでいるところであります。  先日この委員会でも可決いただいて、先日参議院の本会議で成立をいたしました生産性向上特別措置法においては、認定を受けた中小企業に対して自治体の判断固定資産税をゼロにする制度を入れさせていただきました。また、昨年度の補正予算では、ものづくり補助金など、非常に手厚い設備投資支援を重点的に行うことになっているわけであります。  こういったことを含めて、中小企業の積極的な設備投資支援して、新しい設備を入れてもらうことによって生産性を高めて、そして成長率を上げていく。また、新しい設備ということは、これは省エネ性能もいいはずでありますから、省エネにも資するようにしていくということにしていきたいというふうに思っています。  長期需給見通し前提としているような、さらなる経済成長実現と、そして成長とともに行う省エネということをしっかりと行ってまいりたいと思っております。
  7. 八木哲也

    八木委員 ありがとうございました。  まさにそのとおりでございまして、今回、経産委員会でも、参議院を先日通りましたけれども、成長戦略、また生産性革命法案、そして産業強化法案、これが可決したことは、一歩前進していく、こういうふうに思いますし、四年前だったと思いますけれども、小規模事業者基本法をつくって以来、やはり中小企業小規模事業者に光を当てる政策をどんどん出してきた。その中で世耕プランというものも出されて、特に中小企業について目をかけていかなければいけない。  といいますのも、やはり、九九・七%が中小企業でございますし、その中小企業の中の約七割から八割におきましては小規模事業者でございますので、そういう人たち投資ができる、また生産効率が上がるということが大前提になりますので、今後もまだまだ、私は、中小企業政策は足りない、こういうふうに思っておるんですけれども、そのところを力を入れていただいて、今は計画前提段階の一・七に近づけていきたい、こういうふうに思っていますので、その辺をよろしくお願いしたい、こういうふうに思っています。  そういう中にあって、二〇三〇年のエネルギーミックス最終エネルギー需要が、一・七をクリアした場合に、成り行きで、そこから計算したときに、原油換算で三億七千六百万キロリットル、こういうことを先ほど申し上げました。それを徹底した省エネをして五千三十万キロリットル削減する必要がある、こういうことでございまして、二〇一五年の実績が六百万キロリットル、こういうことであります。その進捗率を見ると、二〇三〇年までの五千三十万キロリットルに対して一一・八%の進捗だ、こういうことになっております。  そういうことからすると、目標が達成できていない、できかねる、こういうことが懸念されるわけでございますけれども、今現在におけるその原因課題をどのように考えているのか、その辺についてお聞きしておきたいと思います。
  8. 高科淳

    高科政府参考人 お答え申し上げます。  二〇三〇年の長期エネルギー需給見通しにおきましては、技術的に可能で現実的な省エネ対策として考え得る限りのものを積み上げて、その結果として五千三十万キロリットル程度の最終エネルギー消費削減を見込んでおるところでございます。  今、二〇一五年度の数字、御指摘ございましたけれども、二〇一六年度の数字が今出ておりまして、この数字で申し上げますと、このうち約八百八十万キロリットル分の省エネ対策進捗しているというところでございます。これは、パーセンテージで申し上げると大体一七・四%ぐらいということです。  具体的に申し上げますと、全部門を共通してLEDの導入は進んでいる。その一方で、例えば、産業業務部門につきましては、高効率モーターやヒートポンプ、あるいはエネルギーマネジメントシステムなどの省エネ設備投資運輸部門につきましては、次世代自動車普及貨物輸送効率化家庭部門につきましては、新築、既築住宅省エネ化、そういった対策が道半ばの状況でございます。  長期エネルギー需給見通し実現に向けまして、施策を総動員してこれらの対策を推進する必要があると考えておりまして、今回の改正法案におきましては、このうち主に産業業務部門省エネ設備投資貨物輸送効率化の促進に向けて必要な措置を講じることとしているところでございます。
  9. 八木哲也

    八木委員 私が示しましたデータが二〇一五年ということでありまして、二〇一六年、直近、多少上がってきた感じはいたしますけれども、まだまだやらなければいけないことはたくさんあるわけでございまして、そういう中で今回の省エネ法が改定になってきた、こういうふうに認識しているところであります。  今回の省エネ法の中で、基本的な部分、大ざっぱな話かもわかりませんけれども、大きくは二点ある、こういうふうに認識しておるわけでございます。複数事業者連携による省エネ取組認定評価及び規制対象となる荷主範囲拡大ということであります。  まず初めに、複数事業者連携による省エネ取組認定評価について質問するわけでございますけれども、省エネ取組を実施する際の目安となるべき判断基準、こういうことで、エネルギー消費効率改善ということで目標を年一%ぐらいに置いていろいろな事業者にお願いしているところであります。  そういうものを実際に今どういう状況になっているのかというふうに見てみますと、特定事業者の原単位改善状況という二十七年度の実績を見てみますと、全体で一万一千五十八事業者企業のうち、六千百八十二が一%以上改善しておる、こういうことでありまして、すなわち五六%であります。残りの四四%は未達でありまして、その未達の中でも、前年度より悪化しておるところが三〇%もある。やはりここに問題があるのではないのか、こういうふうに私は認識するわけでございます。  しかし、企業というのは一生懸命やっておるんです。特に中小企業小規模事業者、数が少ない中で知恵を絞ってやっておって、私も部品メーカーにおった関係原価低減なんということを一生懸命やったんですけれども、乾いたタオルを更に絞れ、こういうことを言われてハッパをかけられてやった覚えがあるわけでございますけれども、そういうことを思いますと、やはり一企業だけでは限界という部分があるのではないか。  そういう中にあって、特にエネルギーの多消費産業である鉄鋼業とか、私のところにもたくさんあるんですけれども、鍛造鋳造メーカー、このように、エネルギー消費産業、この部分が非常に今、悲鳴の声が聞こえるわけでございます。  ちなみに、日本鋳造協会、七百六十八社から意見を聞いたということで、また陳情等があるわけでございますけれども、従業員三十人未満の中小企業がそのうち約八割もあるんですね。その中で、二〇一二年から倒産及び転廃等が増加し、二〇一七年までの六年間で六十五社が倒産及び転廃となった、こういうことで、これは全体の一〇%に当たるわけでございます。  そのように、特にエネルギー消費産業においては悲鳴が聞こえてくるわけですけれども、今回の改正法連携省エネという部分があるわけでございますが、この連携という部分はどのような概念で打ち出されておるのか、また、具体的にそういう例があればお示しいただきたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
  10. 高科淳

    高科政府参考人 お答え申し上げます。  今委員から御指摘ございましたように、事業者単位での省エネ取組、これは相当程度進んではおりますが、エネルギー消費効率改善足踏み状態にある事業者も存在する状況でございます。そうした中で、複数事業者連携する省エネ取組評価する制度を創設して、事業者省エネ取組の選択肢をふやす、そういったことが重要だと考えてございます。  今御指摘ございました鉄鋼業界におきましては、例えば、製鉄プロセスから生じる排熱を利用した発電によって電気を近接地域に供給するなどの連携省エネ、そういった事例が存在すると聞いております。また、同様に、エネルギー消費の多い化学業界におきましては、一方の事業者エチレン製造設備を廃止して、もう一方の事業者エチレン製造設備の能力を増強して、生産を集約することで省エネを図るなどの連携省エネ事例を聞いているところでございます。  このような連携省エネ取組改正法案で適切に評価できるようにするとともに、税制措置補助金といった支援策も活用して普及を促進していきたいと考えてございます。
  11. 八木哲也

    八木委員 今、製鉄業界排熱を利用したという部分がありましたし、また、確かに、化学プラントだと、大もとがあって、それをパイプラインで結んで効率的な連携を組んでいくということも大事かもわかりません。それもしかりであります。それは大きなシステムとしてあるわけであります。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、町工場鍛造だとか鋳造だとか、要は、エネルギー消費産業といいますか会社にとっては、その連携あり方という部分は、業界同士の、どうやって連携をするのか。それは距離的にも離れている、多分離れていると思いますので、私のところの家の近くも鍛造をやっておるんですけれども、そこはそこでやっておるものですから、そういう部分においてどのような連携があるかということも、やはりそういうところをきめ細かく御指導いただきたい、こういうふうに思っておりますので、またよろしくお願いしたい、こういうふうに思います。  そういう中にあって、改正法二つ目でありますが、規制対象となる荷主範囲拡大等という部分があるわけでございますけれども、この中に、新しい概念といいますか新しい考えとして、準荷主という部分が位置づけられております。  この準荷主というものの努力規定を設ける、こういうふうにありますけれども、この準荷主というものがどのような主体で、どのような、努力規定といいますか、努力をしていかなければいけないのか、その辺ちょっと、また具体例があればお示しいただきたい、こういうふうに思います。
  12. 高科淳

    高科政府参考人 お答え申し上げます。  改正法案におきましては、貨物受取日時場所の指示を通じて、物流効率化による省エネに貢献できる荷受け側等を新たに準荷主と位置づけまして、省エネに向けた努力を求めることとしております。  ただ、輸送のモード、例えばトラックとか船舶とか鉄道とかですね、あるいは発着日時とか場所といった、その貨物輸送方法等を決定する荷主とは異なりまして、準荷主は、荷主が決めた輸送方法等のもとで受取日時等を指示できるのみである。そうしたことから、輸送量一定以上の特定荷主に求めている国への定期報告等義務や全ての荷主対象とする指導助言等規定対象とはせずに、努力規定のみを措置するということにしておるところでございます。  その上で、準荷主貨物受取日時等計画的な設定等取組に努めてもらうために、ガイドラインなどによってそのような取組を奨励することを考えております。
  13. 八木哲也

    八木委員 努力義務ということなものですから、努力すればいいわけでありまして、努力しなくたってわからない部分があるわけでございます。この辺の努力義務という部分をもう少し明確にしていかないといけないんじゃないか、こう私は思っております。  時間がありませんので、最後の質問になります。  今回の改正法成果進捗をどのように把握していくのかということでありますけれども、また、成果というのは、最終エネルギー需要寄与度がどのぐらいあるのか、そういうことをどのように考えているのかということが一つ。  そして、やはりこの進捗状況をどのように把握して次にどういうふうにつなげていくのかということが大事でございまして、省エネ法が一九七九年に制定されて、これは石油危機を契機にして省エネ法が制定されたわけでございますけれども、以後、直近では二〇一五年に建築物省エネ法があるわけでございますけれども、それを含めて九回やっておるんですよ。それは定期的ではなくて、その時代時代に合わせてやっているような感じがしておるんですけれども、そういう部分を捉まえたときに、どのように次、改正あり方という部分考えていくのか、その辺についてのお考えを聞いておきたいと思います。
  14. 高科淳

    高科政府参考人 お答え申し上げます。  まず、改正法案効果でございますが、一定仮定のもとで試算いたしますと、二〇三〇年度までに原油換算で約二百五十万キロリットル、これは、エネルギーミックスで想定する省エネ、先ほどの五千三十万キロリットルを確実に達成する上で重要な施策と位置づけております。  具体的には、複数事業者連携する省エネ取組認定して各事業者省エネ法上の評価適正化を図るとともに、税制措置等支援することで約百六十五万キロリットルの省エネ効果を見込んでおります。それから、荷主の定義を見直して、ネット小売事業者省エネ取組を求め、再配達の削減を含めた小口輸送効率化を進めることで約十万キロリットル。それから、貨物荷受け側等を準荷主と位置づけまして、荷主省エネ取組への協力を求めることで約七十五万キロリットルの省エネ効果を見込んでおります。  今後、この改正法案によります省エネ効果進捗を適切に把握いたしまして、必要に応じて追加施策必要性というのは検討していくこととなると思いますし、今後の省エネ法改正につきましては、特にその時期を決めているわけではございませんけれども、省エネ施策全般状況を踏まえて検討していきたいと考えております。
  15. 八木哲也

    八木委員 以上で終わります。
  16. 稲津久

    稲津委員長 次に、國重徹君。
  17. 國重徹

    國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。  私が初当選して初めて質疑に立たせていただいたのが、今から約五年前の平成二十五年三月二十七日で、当委員会で、経済産業委員会で立たせていただきました。  その内容は何だったかといいますと、いわゆる省エネ法の一部改正法案ということで、今回も省エネ法の一部改正法案でありますけれども、前回のこの改正法案質疑に、私、初質問で立たせていただきました。  そこで、その五年前の審議の際に指摘させていただいたことがどのように進んでいるのかということを、まずは確認させていただきたいと思います。  平成二十五年の省エネ法改正におきまして、トップランナー制度対象として新たに断熱材等省エネ建材導入をされました。その省エネ法改正法案が成立して約五年がたちますが、新たに導入された省エネ建材、具体的にどのような建材で、また、それぞれの普及状況はどうなのか、お伺いいたします。
  18. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  平成二十五年の省エネ法改正におきましては、住宅からの熱損失発生要因の約八割強に相当します壁、天井、床、窓などにおける断熱性能を向上させることを目的といたしまして、熱損失防止に資する建材トップランナー制度対象として設定いたしました。  具体的には、断熱材、ガラス、サッシ、それを対象といたしまして、熱損失防止性能の二〇二二年度における達成目標値を設定して、建材メーカーによる技術開発や設備投資を促し、性能の改善を図っているところでございます。  その二〇二二年度目標をクリアしている高性能な建材の出荷ベース普及率、これは二〇一七年時点でございますけれども、これは、断熱材で三七%、ガラスで六八%、サッシで三三%でございます。
  19. 國重徹

    國重委員 この断熱性は、単にエネルギーだけではなくて、健康状態の改善という点でも重要と言われておりますし、また、騒音防止とかヒートショックの防止にも資するというふうに言われております。  では、今答弁のありました断熱材や、またガラス、サッシ、この省エネ建材普及状況について、経産省としてはどのように評価をしているのか、捉えているのか。また、前回質疑をさせていただいた折に、当時の茂木経済産業大臣は、この普及課題として、表示とコストが課題なんだということをおっしゃっておりましたけれども、今後省エネ建材普及を促進するに当たっての課題とその対応策についてもお伺いいたします。
  20. 高科淳

    高科政府参考人 まず、評価でございますけれども、これは、各メーカーの技術改善の動向ですとか設備投資のタイミングとか新製品の投入のサイクル、これが個々に異なるものですから、その普及率について一概に評価というのは難しいわけですけれども、ただ、目標年度であります二〇二二年度に向けました進捗状況を確認するために、毎年実態調査を行って、必要に応じて関係業界との意見交換なども行っているところでございます。  トップランナー基準をクリアする高性能建材のさらなる普及に当たりましての課題は、やはり一層の価格低減と考えております。このため、新築あるいは既築住宅省エネ化支援事業を活用いたしまして、高性能な建材導入実績をふやすことによって価格低減を後押ししてまいりたい、このように考えてございます。
  21. 國重徹

    國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。  トップランナー建材導入等による住宅省エネを推進していくに当たっては、戸建て住宅の約四割を供給する中小工務店や大工さんの省エネの施工技術を向上させていくことが重要だと考えております。  前回の法改正審議の際に質疑をさせていただいたときには、省エネ施工の技術力の向上のために、平成二十四年度から五年間で、約二十万人の大工さんたちを対象に、省エネルギー施工技術について講習を行うことを予定しているとの答弁がございました。  そこで、お伺いいたします。  この講習会の取組状況はどうだったのか、そして、この取組によってどのような効果が生じたのか、さらに、住宅省エネ基準への適合義務化に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
  22. 眞鍋純

    眞鍋政府参考人 住宅省エネ化についてのお尋ねにお答えしたいと思います。  住宅省エネ性能向上のためには、御指摘をいただいたように、中小の工務店さん、大工技能者などの省エネに係る技術力の向上が重要な課題というふうに認識してございます。  このため、平成二十四年度から、国土交通省から補助を行いまして、地域の住まいづくりを担う中小工務店の大工技能者等を対象とした省エネ技術に関する講習会、これを全国で実施しております。  この講習会は、都道府県ごとに設けております協議会が実施主体となり、国の補助制度を使いまして、各地域内で参加を呼びかけつつ実施しているものでございます。平成二十九年度末までに全国で約十二万人の大工技能者等が受講しております。  なお、この講習会については今年度以降も継続してまいりたいと思ってございますので、目標の達成に向け、努力していきたいと思います。  また、二十九年度の受講者に対するアンケート、これを見てみますと、回答者のうち約六割の方が、みずからの施工に関して具体的な改善点、これまで行ってきたことから、講習を受けたことによって改善点に気がついた、こういう回答がございます。そうしたことから、この講習会が、大工技能者等の省エネに関する技術力向上に一定成果効果があったというふうに考えてございます。  また、省エネ基準への適合義務化につきましては、昨年、平成二十九年四月から、住宅以外の大規模な建築物の新築等に際しまして省エネ基準への適合を義務化したところでございますが、今後、さらなる適合義務化に向けた取組、進め方といたしましては、まず何よりも、住宅や建築物の省エネ性能に関する実態について徹底的に把握、検証をするということが不可欠だと考えております。  その成果を踏まえ、結果を踏まえて丁寧に検討を進めていきたいと考えておりまして、昨年九月から、学識経験者や業界団体の方々をメンバーとする住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会、これを立ち上げまして、省エネ性能の実態把握、検証、適合率のさらなる向上などに向けた課題の整理を行っております。  この三月の末にその取りまとめ結果を公表いたしました。この中で、戸建て住宅の分野について、省エネ基準の適合率について初めて本格的な調査を行い、その検証を行ったところですが、少し前になりますが、平成二十七年度の適合率はようやく五割程度に及んでいるということがわかってまいりました。  こうした状況を踏まえまして、この取りまとめの中では委員の皆様方からいろいろな指摘をいただいておりまして、その指摘を一部紹介いたしますと、省エネ基準への適合状況の現状、それから、対象拡大に伴う建築物、住宅生産、審査体制への影響、そうしたことを十分に見きわめることが必要だ。さらに、エネルギー消費量が住まい方に依存するといった住宅の特性、建築主の認識、伝統的な構法による住宅あるいは文化への影響、そうしたものへの配慮も必要だ。こうした多様な指摘をいただいております。  今後は、審議会などにおきまして、これらの指摘も踏まえ、特に中小の工務店さんへの影響ということも十分に見きわめながら、具体の制度設計について検討を進めていくこととしております。  なお、こういった適合義務化以外にも、省エネ性能全体の底上げと、それから、省エネ性能の高い住宅、建築物への普及促進も必要だ、こういう御指摘もいただいておりまして、今年度より、経産省さん、環境省さんと三省連携で、ゼロエネルギー住宅、ZEHへの支援策、これを連携して取り組んでおるところでございます。  このように、中小工務店の方々への配慮ということも念頭に置きながら、各省庁と連携しながら、住宅、建築物の省エネルギー性能の向上、これに引き続き努めてまいります。
  23. 國重徹

    國重委員 今、非常に詳細に説明がありました。  今の答弁の中で出ました、ゼロエネルギーのZEH、いわゆる、省エネをしっかりと行うことでエネルギー消費量をできるだけ少なくした上で、それでも必要となるエネルギー消費量と同じ量のエネルギーをみずからつくり出すことができる住宅でありますが、このZEHについては、その実現に当たって、太陽光発電設備の搭載が必須となります。  現在では、FIT制度の固定価格買取りによる売電収入が太陽光発電設備の搭載メリットとなっていると聞き及んでおりますが、その一方で、今後は、買取り価格が低減すると見込まれまして、太陽光発電の搭載メリットが小さくなるために、ZEHの普及が見込めなくなるんじゃないかとも懸念されております。  このような状況の中で、FIT制度に依存せずに、どのようにしてZEHを普及促進させていくのか、今後の取組をお伺いいたします。
  24. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  今委員から御指摘ありましたとおり、ZEHに不可欠な太陽光発電設備につきましては、FIT制度の買取り価格の低減によって、搭載のインセンティブの低下、これが懸念されておりまして、これが今後のZEH普及に向けた課題となっております。  そこで、経産省といたしましては、ZEHにつきまして、さらなる省エネを図るとともに、断熱性能のさらなる強化、あるいは高度エネルギーマネジメントによる給湯器等の制御、あるいは電気自動車への充電による自家消費拡大、そういったことを組み合わせまして、太陽光発電の自家消費率を拡大して、購入電力量を減らして、太陽光発電設備設置のメリットを確保する、ZEHプラスと呼んでいますけれども、これをZEHの新たなカテゴリーとして定義するとともに、補助を手厚くした上で、平成三十年度から実証事業を開始したところでございます。  従来からのZEHに加えまして、今後は、そのZEHプラスの導入拡大することで、FIT制度に依存しないZEHの普及、これを図ってまいりたいと考えております。
  25. 國重徹

    國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。  今般の省エネ法改正法案の中身について少しお伺いいたします。  今般の法改正において新たに追加される連携省エネにつきましては、投資余力のある大企業のみが取り組んでいけるものであって、投資余力のない中小・小規模企業の方々は取り組みづらいというふうに考えます。  こういった中で、これらの中小企業事業者連携支援する施策というのは考えているのか。また、連携できない中小企業の方々の省エネ促進というのも非常に重要と考えますが、連携以外の中小企業における省エネ促進策についてどのように考えているのか、答弁を求めます。
  26. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今おっしゃるように、中小企業の大半はエネルギー使用量の国への報告義務がないわけでありまして、連携省エネ計画認定による省エネ量の分配自体のメリットを受けることができる中小企業というのは限られると思いますが、一方で、この認定計画、サプライチェーンの中にあれば、入ることも、中小企業でもできるわけでありますから、参加することによって税制措置の適用を受けることができるというメリットはあろうかというふうに思っています。  一方で、この連携計画以外の中小企業省エネ促進策としては、いわゆる省エネ設備投資に係る補助金の執行において、申請手続の簡素化などを通じて、中小企業が使いやすいように工夫を講じ、中小企業の場合には採択審査時に少し加点措置を講じるということで、優先的に採択をすることにしております。  さらに、無料の省エネ診断ですとか、あるいは、各地域の省エネルギー相談地域プラットフォームにおけるきめ細やかな省エネ相談の実施など、中小企業省エネ取組支援を進めていきたいと思いますし、そもそも、固定資産税ゼロとか、ものづくり補助金、IT補助金も、これも必ず省エネ効果が出てくるものでありますから、こういったものもうまく使いながら中小企業省エネをしっかり後押しをしていきたいと思います。
  27. 國重徹

    國重委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。  中小・小規模企業の数は非常に多いですので、今後いかにこれらの企業省エネ取組を促進していくかも大事な課題になってくると思います。こういった点で、今、AI、IoTなどの最新技術を活用した動きは、エネルギー分野でも始められております。  中小企業省エネを促進していくために、AIやIoTなどの最新技術を活用しながら省エネを進めていくことも大事な観点になってくるかと思いますが、これに関する見解についてお伺いいたします。
  28. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  AI、IoTを始めといたしました新技術の活用は、専門人材の十分な確保が難しい中小企業省エネ促進に向けた有効な手法と認識しております。  例えば、設備単位のエネルギー使用量をリアルタイムで計測、収集して、最適な制御に生かすエネルギーマネジメントシステム、これを通じました遠隔監視のサービスの利用によりまして、省人化と省エネ、これを両立することが可能であります。  省エネ補助金におきましては、そのEMS費用、エネルギーマネジメントシステムの費用も補助対象としておりまして、先ほど大臣からもありましたけれども、中小企業の場合には採択審査時に加点措置を講じて優先的に採択するなど、その普及に努めているところでございます。  こうした支援策等を通じまして、中小企業が抱える経営課題の解決につながる新技術の活用、こうしたことを引き続き促進してまいりたいと考えております。
  29. 國重徹

    國重委員 では、次の質問に移ります。  今回の法改正のもう一つの目玉である、荷主の定義の拡大、これに関する中小トラック事業者への影響については、今回の法改正によって省エネが進めば、物流は効率化すると考えられます。その一方で、ネット小売事業者が新たに荷主と定義されることで、中小トラック事業者荷主から新たな対策を求められてしわ寄せが来るのではないか、こういった懸念の声も一部ございます。このような懸念に対してどのように配慮していくのか、お伺いいたします。
  30. 松本年弘

    松本政府参考人 お答えいたします。  今回の法改正により物流が効率化されると、中小トラック事業者にとっても有益な面がございます。一方、新たに荷主とされる事業者が増加する結果、中小トラック事業者にしわ寄せが行かないような対策もあわせて必要です。  荷主や準荷主に対しては、改正法案を受けて改定等を予定している荷主判断基準や準荷主のガイドラインにおいて、中小トラック事業者意見をよくお伺いしつつ、中小トラック事業者に過度な負担を生じさせない事項を盛り込む予定でございます。  そのほか、国土交通省としては、トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドラインや、運送委託者向けリーフレットの荷主等に対する周知、貨物自動車運送事業法の荷主勧告制度の発動要件の明確化などを実施しており、いずれにいたしましても、中小トラック事業者に対してしわ寄せが行くことのないよう、十分配慮してまいります。
  31. 國重徹

    國重委員 そういった配慮をぜひよろしくお願いいたします。  最後に、国民の省エネをどのように喚起していくのかも重要な観点だと思います。  省エネ法で、家電製品等を対象トップランナー制度、これが設けられておりますが、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを契機として、また家電製品等の買いかえなども促進される可能性もあります。  国民向けの省エネ喚起、省エネ取組を今後どのように進めていくのか、これは悩ましい課題でありますけれども、これについてどのように考えているのか、お伺いいたします。
  32. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  省エネルギーを更に進めるためには、国民の省エネ意識の醸成、これは非常に重要だと認識しております。  例えば、そのトップランナー制度のもとで家電製品や自動車などの省エネ性能を向上させるとともに、その機器などの選択を国民に促すために、省エネラベリング制度によりまして、小売事業者に対してその機器の省エネ情報を表示するよう求めてきたところであります。  委員指摘ありましたとおり、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて家電製品などの買いかえ需要が期待されるところでありますけれども、この機会に、より省エネ性能の高い機器などが選択されるよう、引き続き、わかりやすい省エネ情報の提供を促してまいりたいと思います。
  33. 國重徹

    國重委員 省エネ、極めて重要なものだと思いますので、私も、政府の皆さんとともに悩みながら、一緒に取り組んでまいりたいと思います。  以上で、本日の私の質問を終わります。ありがとうございました。
  34. 稲津久

    稲津委員長 次に、神山佐市君。
  35. 神山佐市

    ○神山委員 おはようございます。自由民主党の神山佐市でございます。  質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  平成二十六年の新たなエネルギー基本計画では、徹底した省エネルギー社会の実現が掲げられた今日であるわけでありますけれども、燃料や電力の価格上昇、原発の停止など、供給サイドに逆風が吹く中であるわけであります。  需要家に対応を求める省エネが、今後の我が国のエネルギー政策の中心的な取組となっていくわけでありますけれども、本日は、省エネ法改正について、関連項目を含め、質問させていただくわけであります。よろしくお願いいたします。  政府は、エネルギーミックスにおける省エネ対策として、二〇三〇年度に、最終エネルギーを、二〇一二年対比で、原油換算で五千三十万キロリットル程度の削減を掲げているわけでありますけれども、二〇一二年から二〇一五年度時点を見ますと、産業部門で百十九万キロリットル、業務部門で百二十六万キロリットル、家庭部門で百十一万キロリットル、運輸部門で二百四十一万キロリットルの削減となっているわけでありますけれども、各部門の主な対策項目及びその後の進捗状況についてお尋ねいたします。
  36. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  二〇三〇年度の長期エネルギー需給見通しにおきましては、技術的に可能で現実的な省エネ対策として考え得る限りのものを積み上げて、五千三十万キロリットル程度の最終エネルギー消費削減を見込んでおります。  その後の進捗状況ということですけれども、二〇一六年時点におきましては、産業部門で百九十一万キロリットル、業務部門で二百六万キロリットル、家庭部門で百七十万キロリットル、運輸部門で三百九万キロリットル、合計で約八百八十万キロリットル分の省エネ対策進捗してございます。  具体的には、全部門を共通してLEDの導入が進んでいる一方で、例えば産業業務部門につきましては高効率モーターやヒートポンプ、エネルギーマネジメントシステムなどの省エネ設備投資運輸部門につきましては次世代自動車普及貨物輸送効率化家庭部門につきましては新築、既築住宅省エネ化などの対策が道半ばの状況でございます。  長期エネルギー需給見通し実現に向けまして、施策を総動員してこれらの対策を推進する必要があると認識しております。
  37. 神山佐市

    ○神山委員 ありがとうございました。  省エネ対策の背景には、オイルショック後並みのエネルギー消費効率の改善が求められておるわけでありますけれども、二〇三〇年までの経済成長率を念頭に考えますと、当然のことながら、電力需要は現在よりも増加することが予測されていくわけであります。  こうした状況の中で、エネルギーミックス進捗を更に加速させる必要があると考えるわけでありますけれども、部門別の最終エネルギー需要の動向について、家電や乗用車の効率向上により、家庭部門運輸部門、これらは旅客分野ですけれども、足元で減少しておるわけでありますけれども、また一方で、産業業務部門も減少はしているわけでありますけれども、エネルギー消費効率改善足踏み状態であるというふうに認識しているわけであります。  最大の省エネ量を想定する運輸部門では貨物分野での取組強化が必要であると考えているわけでありますけれども、今後の改正法案ではエネルギーミックス省エネ対策のどの部分を強化するものなのか、御教示をお願いいたします。
  38. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今のお話の中にもありました、順調に進んでいる部分とおくれている部分があるというふうに思っていまして、おくれている部門についてやはり少しアクセルを踏んでいかなければいけないと思っています。  大きく二つあると思っていまして、まず産業業務部門であります。ここについては、今回のこの改正法案と新設する税制措置などによって、新たな取組であります連携省エネを促進して、特に進捗がおくれている熱源ですとか動力といった大型の設備投資が加速されることを期待をしております。  もう一つの分野は運輸部門であります。今回のこの改正法案で、ネット通販がこれから拡大をしていくと、当然またエネルギー消費がふえる懸念があるわけですが、こういった懸念に確実に対処をしていきます。また、新たに荷受け側にも省エネ努力を求めることで、旅客輸送に比べて進捗がおくれている貨物分野の対策などを強化していきたいというふうに思っております。  なお、長期エネルギー需給見通し実現には、こういった施策以外にもさらなる取組が必要であります。この改正法案にはよらないですけれども、例えば省エネ法トップランナー制度などによる次世代自動車普及促進ですとか、建築、住宅のゼロエネルギー化などについて更に取組を強化をしていきたいと思っています。  今回の法改正とこれら関連施策を一体的に実施することで、長期エネルギー需給見通し省エネ見通しの達成に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えています。
  39. 神山佐市

    ○神山委員 大臣、ありがとうございました。  近年、IoTという言葉をよく聞くわけでありますけれども、日本でも、二〇一五年十月に、総務省、経済産業省の協力のもと、産官学一体でIoT技術の活用を推進するIoT推進コンソーシアムが設立され、工場のIoT導入の土台が整い、工場へのIoT導入は急速に進みつつあるわけであります。  そして、IoTによるエネルギー使用量の見える化で、これまで総量でしか管理できていなかったエネルギー使用量を、ラインごと、設備ごとに計測することができるわけであります。具体的なエネルギー削減施策を立てることができるようになったわけでありますけれども、オフィスビルのエネルギー消費量を部門別に見ると、空調が約三割、照明が約四割を占めておるわけであります。  節電をする上で、これらをどう削減するかが重要になるわけでありますけれども、例えば、IoTの導入で、季節の日照時間を考慮して照度を変える、昼休みなどオフィスに人がいない時間帯に自動的に消灯する、残業時間帯に照度を落とすなど、このようなIoTを活用した制御できめ細かい節電が可能になっていくわけであります。空調の節電対策にもIoTを活用した商品、サービスが登場しておるわけでありますけれども、室内の温度、湿度状況などを監視しながら自律制御することで、快適な空調環境と節電を同時に実現していくものでもあるわけであります。  さて、本題ですけれども、企業単位の省エネは相当進展しており、産業部門エネルギー消費原単位はほぼ横ばいであるわけであります。業務部門エネルギー消費原単位も足元で足踏みの傾向となっておるわけでありますけれども、手詰まり感も出ているようであります。  その打開策として、さまざまな分野でIoT等も活用しつつ、企業間の連携が検討されておるわけであります。改正法案における連携省エネ認定制度はどのような制度か、お尋ねいたします。
  40. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  これまでに事業者単位省エネが相当進んだことを踏まえますと、二〇三〇年の長期エネルギー需給見通し実現に向けて、今後は、同業種やサプライチェーン上の複数事業者連携による省エネ取組の促進が重要と考えております。  しかしながら、現行省エネ法事業者単位省エネ評価するために、連携取組全体では省エネとなっているにもかかわらず、例えば、連携に参加する事業者の一部が増エネとなる場合は適切に評価されないこともあり得る状況です。  そこで、改正法案におきましては、複数事業者連携する省エネ取組認定して、省エネ量を事業者間で分配して国に報告することを認めることで、取り組んだ各事業者が適切に評価される制度を創設することとしております。  個社単位の取組だけではエネルギー消費効率改善が難しくなっている事業者が、認定制度を活用して他の事業者との連携による省エネに取り組み、さらなるエネルギー消費効率の向上を目指すことを期待しております。
  41. 神山佐市

    ○神山委員 ありがとうございました。  認定制度についてはある程度理解ができてきているわけでありますけれども、思うに、定期報告及び中長期計画の提出は、それ自体煩雑な作業でもあるわけでありますけれども、取組について、優良企業についての何らかのアドバンテージを考えていく必要があるというふうに考えているわけでありますけれども、そういうふうな考え方がある部分について教えていただきたいということ。また、実際にどのような連携省エネの実態を想定しているのか、産業業務部門及び運輸部門、個別にお示ししていただければというふうに思うわけであります。また、今現在の取組事例についてもお願いをいたします。
  42. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  まず、優良企業についてのアドバンテージということでございますけれども、御指摘のとおり、省エネ法に係る事業者の負担を軽減することは重要であると認識しておりまして、まず、定期報告につきましては、これは事業者省エネ取組状況を毎年度把握して、必要に応じて指導や助言を行う観点から、毎年度の報告が不可欠と考えています。自動計算とかあるいは電子手続に対応した作成支援ツールなどを提供いたしまして、引き続き事業者の作成負担の軽減に努めたいと考えております。  他方で、中長期計画につきましては、省エネ取組が優良な事業者については、中長期計画を毎年度細かく国が確認する必要はなく、計画期間中は自主的で柔軟な取組に任せる方が効率的かつ効果的と判断いたしまして、今回の改正法案におきまして、提出頻度の軽減を認めることといたしております。  それから、連携省エネ事例ですけれども、例えば、産業業務部門におきましては、同業種の複数のメーカーが連携して製造工程の一部を集約し、稼働率の向上や最新鋭設備導入を図ることで、全体として大幅な省エネを図る、あるいは熱や電気の需要の大きさが異なる複数企業連携して大規模なコージェネレーションシステムなどを導入して、熱や電気を融通することで、全体として大幅な省エネを図る、あるいはサプライチェーン上の事業者需要予測データを共有して生産等の計画を最適化することで、全体として大幅な省エネを図るといったことを連携事例として想定してございます。  また、運輸部門におきましては、貨物輸送ルートが逆方向の複数荷主連携して、互いに復路の方で相手企業貨物輸送してトラックの積載率を向上することで、全体として大幅な省エネを図るなどを連携事例として想定してございます。  このように、連携省エネ取組改正法案で適切に評価できるようにしたいと考えております。
  43. 神山佐市

    ○神山委員 ありがとうございました。  今回の法改正による効果はもちろん期待をしておるわけでありますけれども、果たして十分に連携省エネが進むかどうかについては、正直なところ、不透明感が隠し切れないわけであります。  こうした現状を打破するためにも、省エネ設備投資の加速が求められるわけでありますけれども、税制や補助金等の支援策の強化が必要であるというふうに考えるわけでありますけれども、これについての具体策を詳細にお示しをお願いいたします。
  44. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  これまでの事業者単位取組だけではさらなる省エネが難しい中で、今後は、連携省エネを含め、事業者省エネ取組の選択肢の多様化が重要となると考えております。  このため、その適切な評価ができない現行法の改正は不可欠ですけれども、それだけでなく、委員指摘ありましたとおり、その支援策をあわせて講じることが必要と考えております。  具体的には、今回の法改正とあわせて創設されます税制措置において、認定された連携省エネ計画の実施に必要な設備投資対象に、法人税等に係る特別償却又は税額控除を講じるとともに、省エネ補助金におきまして連携省エネ案件を採択時に優遇することを通じて、連携省エネを促進してまいりたいと考えております。
  45. 神山佐市

    ○神山委員 ありがとうございました。  最後に、私は、中小・小規模事業者の振興をライフワークの一つにしておるわけでありますけれども、省エネ法において、業務部門を見ますと、中長期計画書、定期報告書の提出で行っている規制は、年間エネルギー使用量が原油換算千五百キロリットル以上となっているわけでありますけれども、大規模事業者、事業所が対象となっているわけでありますけれども、しかしながら、業務部門において、その割合は全体の四割程度であり、残りの約六割である中小事業者に対しての規制はできていないわけであります。  また、保有車両トラック二百台以上などの特定貨物・旅客運送事業者以外の中小事業者、年間輸送量三千万トンキロ以上の特定荷主以外の中小事業者もかなりの数に上っているというふうに認識しているわけであります。  つまりは、特に中小事業者に対する省エネルギー支援する必要があると思うわけでありますけれども、これについてどのような考えがあるのかお伺いいたします。
  46. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  中小企業者に対する省エネ支援ということでございますけれども、例えば省エネ設備投資に係る補助金の執行におきましては、申請手続の簡素化などを通じまして中小企業が使いやすいように工夫を講じますとともに、採択審査時に加点措置を講じて優先的に採択することといたしまして、中小企業者の省エネ設備投資を促進しております。  平成二十九年度の省エネ補助金の採択実績におきましては、工場、事業場単位で五五・五%が中小企業となっておりまして、これらの企業については平均して二二・五%のエネルギー消費量の低減を実現しております。  さらに、無料の省エネ診断や各地域の省エネルギー相談地域プラットフォームにおけるきめ細かな省エネ相談の実施など、中小企業省エネ取組支援を引き続き進めており、省エネルギー相談地域プラットフォームにつきましては、平成二十九年度は五百七十四事業者に対して支援を行ったところです。  また、トラック事業者省エネを後押しすべく、例えばトラックのネットワーク化に資するシステムの購入の補助を行っておりますが、これは中小トラック事業者に幅広く活用されているところでございます。  引き続き、こうした取組を通じまして、中小企業の省エネルギー支援を行ってまいりたいと考えております。
  47. 神山佐市

    ○神山委員 ありがとうございました。  これからの省エネが、取組がさらに必要だというふうに認識しているわけであります。これからの省エネに対するさらなる取組をしっかり取り組んでいかなきゃいけないというふうなことでもあるわけであります。  質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  48. 稲津久

    稲津委員長 次に、山崎誠君。
  49. 山崎誠

    ○山崎委員 立憲民主党の山崎誠でございます。毎度よろしくお願い申し上げます。  きょうは省エネの話をさせていただきたいんですが、その前提となりますエネルギーの全体の計画で大きな動きがございましたので、そこからまず入らせていただきたいと思います。  第五次のエネルギー基本計画の案ということで、五月の十六日の委員会に提示をされたということだと思います。  まだ詳細はちょっと読み込めていないのでまた今後もいろいろと検討したいんですが、資料の一につけました、まずは報道に取り上げられた内容を皆さんと共有させていただきます。  一の資料で、一つ目、大きな、「原発比率 目標を維持」と書いてあるのが日経新聞の五月十七日の朝刊ですね。隣の、東京新聞と上に書いてありますが、これが五月十六日の夕刊でございます。「エネ計画 原発推進鮮明」ということでございまして、私はやはり、想像はしていましたが、唖然としています。  というのは、内容をお聞きした方がいいですね、エネルギーミックスについて、この素案でどんなように今書かれているかお尋ねしたいと思います。
  50. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 一応今、素案に書かれているのは、現行のエネルギーミックスと同様のエネルギーミックスが書かれているわけであります。  ただ、これはまだ素案でありまして、今後、パブコメあるいは省庁間の調整などを経て、最終的に閣議決定ということになろうかと思います。
  51. 山崎誠

    ○山崎委員 その御発言を聞いて、よかったと思います。このままの現状維持の目標設定というのはあり得ないと思います。あり得ないと思います。  一つ、私は、まずお聞きしたいんですが、非常にこの記事に私は腹を立てています。日経新聞の記事、原発比率の目標を維持と書いてあって、二〇三〇年、二〇から二二%と書いてあります。これは目標ですか、大臣。
  52. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 これは、エネルギーミックス全般、原発だけではなくてエネルギーミックス全般について言えることだと思いますけれども、このエネルギーミックスの性質というのは、エネルギー基本計画における政策目標であるスリーEプラスSを踏まえて施策を講じた際に実現されるであろう将来のエネルギー需給構造の見通しでありまして、あるべき姿というべきものだというふうに思っています。エネルギーミックスにおける、いわゆる原発の数字ですとか再エネの数字というのは、そういった性格のものだと思っております。
  53. 山崎誠

    ○山崎委員 原発に関する目標は、以前も確認しました、原発依存を可能な限り低減するというのが目標でございますよね。
  54. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 そのように閣議決定されております。
  55. 山崎誠

    ○山崎委員 再生可能エネルギーは現行二二から二四%というものがありますが、これはキャップではなくて、これを超える、より多い量を入れていく、もちろんいろいろな条件はあると思いますよ、入れていくというのが目標でございますよね。
  56. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 ですから、エネルギーミックスの性質というのは、将来のエネルギー需給構造の見通しであり、あるべき姿であります。だから、逆に申し上げますと、エネルギーミックスにおける再エネの数値二二から二四というのは、別にこれでやめるというような、キャップをかけるような話ではないということであります。  ただし、再エネについては別の視点も必要でありまして、国民負担を抑制するということも考えなければいけない。再エネについては、国民負担を抑制しながら最大限の導入を進めていくというのが閣議決定されている政府の基本方針であります。
  57. 山崎誠

    ○山崎委員 ぜひ、私は、政府の発信を極めて注意していただきたいんですよ。これは明らかに誤報ですよね。明らかに誤報ですよね、今のお話。  「原発比率 目標を維持」、二〇から二二、これは目標ではありません。エネルギーミックスという想定をしたときにこういう数字をとりあえず置いてみた、でも、原発の依存を限りなく、可能な限り低減させる、できれば動かさないで済んだ方がいいんだ、それが政府の方針であるというお話だと思います。  もちろんいろいろな条件がありますよ、経済性があったり、安定性とかいろいろ条件をつけられるんだと思いますが、そういう条件をクリアできればそれが目標であるという認識で間違いありませんよね。
  58. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 繰り返し申し上げているとおり、将来のエネルギー需給構造の見通しであって、あるべき姿をエネルギーミックスという形で示させていただいているということであります。
  59. 山崎誠

    ○山崎委員 こだわって申しわけないんですが、あるべき姿という言葉は理想型のような捉え方をしますよ。あるべき姿なんですか、この二〇から二二が。
  60. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 積み上げて計算をして、将来のエネルギー需給構造の見通しであってあるべき姿ということでありまして、あるべき姿という言葉は、あるべき姿以上でもなければ以下でもないということだと思います。
  61. 山崎誠

    ○山崎委員 それは、私も辞書を引いてこなかったんですが、あるべき姿って、あるべきですよ、こうあるべきだというときには価値観が入っていますよ。こうあるべき、これに向かっていくんだという意思が入っているじゃないですか。  私は、それは間違っていると思います。あるべき姿は、原発依存を限りなくゼロに近づける、可能な限り小さくすると、それが政府の方針じゃないんですか。
  62. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 余りここで国語学の論争をするつもりはないんですけれども、原発依存度は可能な限り低減をさせるというのが政府の方針であります。  ただ、当然いろいろなことを予見をしていかなければいけない、いろいろな政策を進めるに当たって。あるいは、産業界や消費者にとっても、未来のエネルギーの姿、そして、それが一体どの程度のコストに反映をされるのかというのをある程度予見はしてもらわなければいけない。そのための数字としてエネルギーミックスを、将来のあるべき姿としてお見せをしているということでございます。
  63. 山崎誠

    ○山崎委員 またそこであるべき姿と使われる。  私は、ただ、条件について、いろいろな条件、検討しなきゃいけない項目については、今までも世耕大臣といろいろやりとりさせていただきました。経済的に安いのかどうなのか、安全性、避難計画、ちゃんと立てられるのかどうか、いろいろなお話は、私はそれなりにしてきたつもりです。まだまだ足りていないかもしれない。でも、そういう条件を話し合った上で、可能な限り低減させていくというのが私は政府の方針だと思っているので、エネルギー基本計画考え方もそこに立脚していただかなきゃ困る。  あるべき姿と言うので、こうやって出ちゃうわけですよ。これが日本の方針って流れるわけですよ。それは、原発を推進している人たちは喜ぶかもしれない。でも、例えば再生可能エネルギーをやろうとしている人たち、地域で例えばシュタットベルケのような取組をやって、よし行くぞと。これが出た途端に、ええってなりますよ。ああ、やっぱり系統はあかないよ、原発をこれから動かすんだと。二〇から二二%動かすってことはすごいことですよ。そこでまた日本のエネルギー政策がおくれてしまうんですよ。ここは価値観が入っているけれども、私は、明らかにおくれていっていると思っています。  じゃ、もう一つお聞きします。  このエネルギー基本計画の中には、ベースロード、ミドル電源、それからピーク電源ですか、こういう考え方が入っていますよね。
  64. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 入っています。
  65. 山崎誠

    ○山崎委員 ベースロードという考え方をとっている他の国はありますか。
  66. 保坂伸

    保坂政府参考人 必ずしも今手元に資料があるわけではございませんけれども、そういう考え方をとっている国はあると承知しております。
  67. 山崎誠

    ○山崎委員 では、聞きます。  新しいエネルギーシステムを検討している中で、ベースロードという考え方は出てきますか。
  68. 保坂伸

    保坂政府参考人 御質問の趣旨がいま一つちょっと、新しいシステムの上でのベースロードというのは何をおっしゃられたのでしょうか。
  69. 山崎誠

    ○山崎委員 電力システムを今いろいろ改革しようとしています。ヨーロッパの社会とかは先進で、再エネをたくさん入れようとしている。そんなところでは、新しい電力の管理の仕方を入れようとしている。わかりますか。そういう国々がベースロードという考え方をベースにしていますか。
  70. 保坂伸

    保坂政府参考人 新しい電力のシステムの検討におきましては、ベースロードといいますか、ミドルとかベースロードとか、そういう考え方抜きにいろいろなところを検討されているものと承知しています。
  71. 山崎誠

    ○山崎委員 そうなんですよ。ベースロード電源なんて言っているところはもうないんですよ。新しい次のステップに行っている国々にベースロードなんて言っている国はありません、私の知る限り。それをこのエネルギー基本計画にまた盛り込む、このエネルギーミックスを盛り込む、これで本当に日本のエネルギー政策は前に進むんですか。  読みますと、いろいろな新しいことが書いてあるんですよ。IoT導入をするとか、AIだのEVだの、新しいエネルギーシステム、いろいろなことを書いている。原発だって何か新しい開発をすると書いてありますよ。その結果が何にもエネルギーミックスに反映されないんですか。いつまでもこれを目指して道半ばなんですか。  例えば、原発依存を減らすというんだったら、一%でも二%でも減らすのがいいんじゃないですか。それが、世耕大臣が言うんだったら、あるべき姿なんじゃないんですか。
  72. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今おっしゃっているIoTとかそういった活用というのは、二〇五〇年を目指した、これは情勢懇のものをこのエネ基の中へ取り込んでいくという素案の中でのことをおっしゃっているんだろうというふうに思っています。  いずれにしても、我々は、やはり責任あるエネルギーミックスをしっかりと示さなければいけない。予見可能な将来、二〇三〇年というのはそんな遠い将来ではありませんので、これをしっかり積み上げた数字で示していく。その上で、二〇五〇年については、いろいろな新技術を視野に入れながら、これも、一本足打法ではなくて、いろいろな形を考えていくということが重要だというふうに思っています。  日本は、残念ながら、連系線は海外とはつながっていませんし、これをつなぐに当たっては、先日も私、答弁で申し上げましたけれども、安全保障上の観点、地政学の観点も非常に重要なわけでありますから、単純にヨーロッパの国とはなかなか比較はできないわけであります。  そういう中で、この日本で停電を起こすわけにいかないんです、我々は。ですからこそ、我々は、ベースロード電源という考え方が必要なわけであります。よそから電力をもらえないわけですから、しっかりとやっていかなきゃいけない。  我々は、何も、再エネをベースロード電源にすることを諦めているわけではありません。これは、蓄電技術と合わせて、将来ベースロード電源になり得る可能性がある。二〇五〇年という意味では、自立した主力電源に再生可能エネルギーを育てていく、そういう観点でこれからもしっかり政策を行っていきたいというふうに思います。
  73. 山崎誠

    ○山崎委員 いや、大臣、やめてください、停電ですか。そんなことを言ったら、電力会社の方、あるいはエネルギー、システム、いろいろなことをやっている日本のエンジニア、怒りますよ。怒りますよ、そんなの。  今お話ありました、二〇三〇年、遠くない将来ですからと。とんでもない話でございます。この経産委員会で何度も議論したじゃないですか。今、シンギュラリティーの時代ですよ。もう一年で、指数関数的に、いろいろな技術は進歩しているんですよ。二〇三〇年まで待っていたら、日本は本当に、化石の世界に入ってしまいますよ。化石燃料じゃなくて、もう古いシステムにしがみつくことになる。わかりますか。  IoTは二〇五〇年の目標ですって、IoTなんて今まさにその革命が始まっているじゃないですか。世界はそれで動いているんですよ。二〇五〇年ですからちょっと待ってください、二〇三〇年の計画にはIoTは反映しません、そういうことですか。
  74. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 二〇五〇年までIoTをやらないと言っているわけではないんです。当然、いろいろな形での研究、導入というのはもう既に進めている分野もありますよ、電力に関しても。それをやりながら、ただ、今、二〇三〇年の数字として予見できるレベルにはまだ達していないということであります。  今後、エネルギー基本計画は、これからもまだ、検討がこれで終わりではなくて、当然、二〇三〇年に向けて何回か見直しが行われることもあるでしょう。そういった中で、技術の予見性がしっかりとできていれば、そのときは盛り込んでいく。残念ながら、ことしの、今の段階では、二〇三〇年、どういうことになるかということは見通せない。そういう中で、我々は、責任あるエネルギーミックスをお示しをしているわけであります。  停電で笑うとおっしゃいましたが、ことしの冬だって、あの大雪のときに、この関東地域、首都圏は予備電力ぎりぎりのところまで行ったんですよ。他電力から融通を受けるという事態にまでなったんですよ。我々は、やはり、そういった状況もしっかりと踏まえながら、責任あるエネルギー政策をやっていかなければいけないというのが、我が政権の考え方であります。
  75. 山崎誠

    ○山崎委員 先ほど、思い出しました、連系線が日本はつながっていないので、海外から融通できないので、ヨーロッパと違うと。日本は、大きいんですよ、国は。北海道があり、東北があり、幸いなことに、電力会社がそれぞれ地域を持って、まだそういう形が残っている。デンマークと、考えてみてくださいよ、国の規模は同じですよ、北海道、東北。東北と、例えば東京電力を、一つの国、エリアを国として見れば、その間の融通をきちっととれば、東北で再エネがばんばんできる、その電気を足りなくなった東京に送る。同じですよ、ヨーロッパと。同じ形がつくれるんですよ。全然わかっていないと思います。全然わかっていないと思います。  何も、中国や韓国とつながなかったら連系にならない、そんなのは全然違いますよ。四国もあれば、九州もあれば、全然気象、環境も違う。発電のいろいろなシステムも、それぞれで、地域で、強いものを組み上げていくことができるんですよ。  認識を変えてください。先ほどの答弁は恥ずかしいですよ。(発言する者あり)見解の違いではありません。事実です。事実です。それができない仕組みがどこかにあるんだったら、それを取り除くのが経産省の役目ですよ。融通ができない、連系線をうまく使っていない、そういう実態があるんだったら、それを取り除くのが経産の役目ですよ。
  76. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 いや、連系線は、これはヨーロッパと日本は全然違いますよ。逆によく勉強された方がいいと思いますね。  日本は、やはり十大電力会社を前提にしたネットワーク構成になっていますから、どうしてもこれは縦串で、ずどんと通っている。ヨーロッパはメッシュ状に連系線が構成されているから、いや、笑い事じゃないですよ、これ。私は事実を申し上げているんですよ。ヨーロッパはメッシュ状に連系線が構成されていますから、いろいろな形で迂回ができるようになっているわけです。これは各国によって事情が違うわけです。日本はかなり独自の状況ですよ。  ドイツも、これだけ再生可能エネルギーに依存していると言っていますが、何だかんだ言ってベースロード部分は石炭でカバーしているわけです。それもあって、プラス他国との連系線、それはポーランドの石炭火力やフランスの原子力からの供給も受けながら、安定的な電力を確保しているわけです。  それは国によっていろいろ事情が違うわけですから、我が国は我が国のやり方できちっと、もちろん世界の状況も見据え、技術の動向も見据えてしっかりとやっていきますけれども、やはり我が国は我が国なりの安定的な電力を供給するための政策というのは絶対に必要だと考えています。他国のコピーで、他国がこうだから日本もこのとおりやればいいというわけにはいかないというふうに思っています。
  77. 山崎誠

    ○山崎委員 他国のコピーをしろなんて一言も言っていません。こういう例もありますよと。  日本独自のシステムをつくればいいじゃないですか。縦串で通っていたって、左右から、上から下からつなげばいいじゃないですか。  それでどんなことができるか、シミュレーションしていますか。どのぐらい増強すればどういうふうなシステムができるか、シミュレーションをしていますか。そういうシミュレーションをやった上でエネルギー基本計画をつくっていますか。どうですか。
  78. 保坂伸

    保坂政府参考人 系統線のあり方につきましては、今、委員会の中で議論しておりまして、いろいろな視点で研究をしているところでございます。
  79. 山崎誠

    ○山崎委員 研究してから基本計画を決めてくださいよ。研究して、ちゃんといい成果を出してから出してくださいよ。研究中ですって、一番大事なところじゃないですか、電気を考えるんだったら、エネルギー考えるんだったら。  じゃ、もう一つお聞きします。ちょっと違う視点で。  熱利用についてどういう計画を持っていますか。
  80. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  熱は、特に地域の賦存性エネルギーを活用するときに非常に重要な要素になると思っていますし、例えば、バイオマスを活用するときにも、発電だけではなくてその熱とあわせて利用する、そういった形によって地域の活性化にもつながるという形で、非常に重要な要素だと思っております。
  81. 山崎誠

    ○山崎委員 新しいエネルギー基本計画の中に、何ページに書かれていますか。ページ数何ページに書かれていますか。ページ数というか、何行というか、どのぐらいのスペースを使って書いていますか。
  82. 高科淳

    高科政府参考人 ちょっと、複数の箇所にまたがって書かれているものですから、にわかにそのトータルとしてわからないんですけれども、多分、恐らく、トータルすると、半ページから一ページぐらいの間になるのではなかろうかと思います。済みません、正確にはちょっとわかりません。
  83. 山崎誠

    ○山崎委員 私も探したんですよ。多分、一ページないぐらいですよ。熱、熱エネルギーの利用をどうするかという計画が一ページぐらいしか書いてないんですよ。全体で何ページですか。三ページとか四ページですか。これは大問題ですよ。  エネルギーって、電気だけではもちろんないんです。熱がどのぐらいの割合を占めているかというと大変大きくて、三分の一とかもっと、熱で使っている部分がたくさんあるわけですよね。それについての施策が何もないんだ。ほとんど何もないです。  大臣、これで大丈夫ですか。
  84. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 エネルギー基本計画は、これはいろいろな技術に目配りをしながら書いていますから、一定の量的制限はあるということは御理解いただきたいと思いますし、いわゆる熱利用のインフラについては、これはアメリカやヨーロッパに比べて日本は余りないわけですね。これは一からインフラをつくってやっていかなければいけないという面もあるわけですから、いろいろな意味で、優先度も含めて、そういう書き方になっているんだろうというふうに思います。  これも、日本固有の事情を踏まえながらのエネルギー基本計画になっているんだと思っています。
  85. 山崎誠

    ○山崎委員 ちょっと参考人にお聞きしますが、全体の一次エネルギーのうち、熱に使っている部分は何%ですか。最終的に熱で使っている部分は何%ですか。
  86. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  二〇一三年度の実績で申し上げますと、電力が四分の一ぐらい、全体の、一次エネルギーのですね。その残りの七五%を熱とかガソリンとか都市ガスとか、そういったものを含めて使われているということでございます。
  87. 山崎誠

    ○山崎委員 熱に使っている部分は幾つですか。自動車じゃないですよ。熱として最終的に利用している割合。  時計とめますか。(発言する者あり)エネルギー基本計画について聞いているんだよ。基本じゃない、そんなの。基本の基本ですよ、基本の基本。(発言する者あり)じゃ、いいです。  これが実態ですよ。こういう数字が、基本的な数字が何も出てこないというのが実態です。事前に通告しなければ出ないというのが、この経産の体制だということですね。よくわかりました。よくわかりました。  ぜひ、世耕大臣、笑い事じゃないですよ。笑い事じゃないです。本当にエネルギーのことを考えているんですか。考えているんですか。  いや、ぜひこれ、パブコメもあるし、夏までまだ時間があるという話ですから、きょう少しお話ししたようなことをもう一回真剣に省内で検討してください。ぜひお願いします。あの同じパーセントで、ベースロード電源を使った同じシステムで、熱利用については一ページも書いていない、そんな恥ずかしいエネルギー基本計画を閣議決定しないでください。
  88. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 熱ということについては、やはり国別の違いを考えなきゃいけないと思いますよ。私はアメリカで暮らしていましたけれども、やはり熱のインフラがあるわけです。熱湯が通って、暖房もいわゆる熱の配管でやるというのもある、家賃の中にも水道代と熱、熱水代も込められているというような、だからもうインフラがあるわけです。  日本は、それを電気やガスでエネルギーとしてカバーをしてきているというのが現実ですよね。熱で何か、熱が、熱湯そのものが自宅に供給されているというようなケースはなかなかないわけですよね。ですから、そういう現実を踏まえて、それと、じゃ、アメリカやヨーロッパと同じようなインフラをつくろうかと思ったら、これは膨大なコストがかかって、それをどうするのかという議論にもなっていくわけであります。  だから、そういう意味で、我々は、今この時点で、財政事情も踏まえて実現可能、予見可能なもので我々はエネルギー基本計画をつくっているんだということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  また、熱が何%かということについては、後刻調査の上、御報告をさせていただきたいと思います。
  89. 山崎誠

    ○山崎委員 済みません、熱の質問をしようということで、事前通告しろというのは、私が通告しなかったのが悪かった、謝ります。申しわけございません。ちゃんと通告するようにいたします。  大臣、今のお話、そういう今、日本の状況をよしとしてエネルギー考えるときに、熱は今の条件を所与にして未来を考えるんですか。私は違うと思いますよ。  私は、この間、復興の現場に行ってすごく残念な思いをしました。東日本大震災の復興の、宮城のあの新しい復興住宅の土地を見てきました。きれいに整地をされて、新しい家が建ち始めている。そのインフラの中に、熱のシステムはありませんでした。  わかりますか。真っさらな土地から復興の住宅の開発をしているわけです。電気を引いて、水道を引いて、下水を引いてとやっているわけです。そこに熱の導管を入れておけば、宮城は寒いですよね、例えばバイオマス、木質バイオマスのボイラーなどを設置をして熱供給のシステムをつくったら、いい町ができますよ。新しい計画で、熱をちゃんと利用しようよといろいろなプランをちゃんと立てていれば、あの復興の中でもそういうことができたんじゃないかと思って、残念でなりません。  熱利用、とても大事だと思います。エネルギーの本当に多くの割合が、出てこなかったけれども、熱として使われている。熱は熱で使う、そういう流れは着実に今進んでいるし、そういうものを日本でもちゃんと取り入れていかなければなりません。済みませんけれども、ぜひ検討をしていただきたいと思います。  じゃ、次の質問に移ります。もう時間が、たくさんいただいたんですけれども、三十分使ってしまったので。  三番、飛ばします、電力需給のデータ公開について。  現在、電力会社から電力需給のデータが提出されていると思いますが、今、提供状況、どうなっていますか。それを分析するための例えば可視化の取組等はどういうふうに進んでいますか。
  90. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  国におきまして、月ごとの地域別の発電、電力消費量の実績などを公開しておりまして、その前提として電力会社から数字をいただいているところでございます。  また、電力広域的運営推進機関では、一時間ごとの電力需要や主要系統の潮流情報も公開をしているところでございます。電気事業者そのものにおきましても、主要系統の空き容量情報を公開しているというふうに了解をしております。
  91. 山崎誠

    ○山崎委員 公開して、どういう形で公開していますか。
  92. 保坂伸

    保坂政府参考人 具体的に、発電事業者別、電源種別の月次の発電実績、小売電気事業者別、電圧等の月次での需要情報を表の形で公開をしているということでございます。
  93. 山崎誠

    ○山崎委員 タイミングはどうなっていますか。
  94. 保坂伸

    保坂政府参考人 月ごとで、月に一回というふうに承知しております。
  95. 山崎誠

    ○山崎委員 どの月のものがどのタイミングで公開されるんですか。
  96. 保坂伸

    保坂政府参考人 毎月一回、翌月に発表をしているということでございます。
  97. 山崎誠

    ○山崎委員 翌月にって、一カ月おくれということですか。
  98. 保坂伸

    保坂政府参考人 そういうことになります。
  99. 山崎誠

    ○山崎委員 私は三カ月おくれと聞いたんですけれども、早くなったんですかね。一カ月おくれ。全電力会社はそれで出ていますか。
  100. 保坂伸

    保坂政府参考人 確認をいたしますが、全電力会社が公開をしているというふうに聞いています。
  101. 山崎誠

    ○山崎委員 公開の仕方、データをばあっと表の形で出していますね、一時間ごと、出ています。知っています。これを例えば可視化する取組ってどうなっていますか。表だけ見ていても何が何だかわからない。可視化する取組、どこが、誰か、やっている方はいますか。
  102. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  その点については承知しておりません。
  103. 山崎誠

    ○山崎委員 国が公開していると先ほどちょっと言いましたけれども、国はどんなふうにこれを公開しているんですか。
  104. 保坂伸

    保坂政府参考人 電力調査統計としてホームページ等で公開をしているということでございます。
  105. 山崎誠

    ○山崎委員 それはどういうタイミングで出していますか。
  106. 保坂伸

    保坂政府参考人 毎月一回、月末に前月分を公開しております。
  107. 山崎誠

    ○山崎委員 電力会社から出るデータは統一されていますか、フォーマットとか単位とか。
  108. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  統一されていると聞いております。
  109. 山崎誠

    ○山崎委員 資料の三を見てください。これを言うと、またほかの国の例を出すなと怒られるんだけれども、これはドイツのフラウンホーファーという機関です。これは国の研究機関と聞いておりまして、日本でいえば産総研のようなところが、エネルギー、電気のプロダクション、エレクトリシティープロダクションということでデータを出しています。  見ていただいて、ちょっとモノクロで申しわけないんですが、細かな電源種別ごとに、データが時間ごとにずっとグラフになっていて、これはほぼリアルタイムと聞いています。ほぼリアルタイムでずっとこの情報を一般の方々がホームページからアクセスして見ることができます。カーソルを当てると、そのときの構成とか、ばっと出てくる。非常にわかりやすく情報が提示されています。今どんな発電がなされて、どんな需要で、それがどういう構成で電気が提供されているかというのが、一般の方々、当然専門家も含めて見ることができる。  このポイントでとてもすばらしいなと思うのは、一つ、この右側ですね、線があって、その上、ちょっと印刷が切れていますけれども、同じように山が、絵が描いてあるんですが、これは予測です。次の日の予測が、同じ精度で、同じ精度というか同じフォーマットレベルで提示がされています。あすの電気の需要と供給の様子が見えています。  これは実を言うとすごく大事なデータで、きょうは省エネの話ですからそういう話にもなるんですが、例えば今、デマンドレスポンスというのがありますよね。省エネとはちょっと違うかもしれないが、電気の使い方、需要をコントロールしよう、そういう事業などが今進んでいる。そういう方々は、これを見ながら、このデータを使いながら次の日のいろいろな需要のコントロールをして、ここで省エネをやってください、ここの電気の使い方をこう変えてください、そうすれば、今の話でいえば、いろいろな、例えば石炭のたき増しをしなくても済みます、再エネで十分やっていけますよ、そういう調整を民間の方々も含めてみんなでやれるんです、このデータが公開されることによって。  例えば、自治体の方々も、地域別にこれを見ると、自分たちの自治体で今どういうエネルギーが供給されているんだろう、ああ、うちはもっと例えば風力を伸ばそう、太陽光をうまく組み合わせよう、ほかの地域に比べれば偏っているね、そんなこともわかる。市民の皆さんだって、これを見ることによって、省エネ意識が高まったり、ライフスタイルを変えよう、協力しよう、そういう動きにつながっている、そういうお話を聞いています。  ドイツの例でございますが、こういうデータの提示の仕方を日本もぜひやるべきだし、この省エネの話をする前提としてこういうデータ管理をすべきと思いますが、世耕大臣、どうですか。
  110. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 ドイツにおいては、これはEU指令の影響もあって、ヨーロッパの市場統合の進展ですとか、あるいは再エネ拡大実現する上で、適時適切な発電情報の公開が必要だという旨の規定がこれはEU指令の中にありますので、この目的を達成するために今御指摘のような情報開示が行われているんだろうというふうに思っています。  日本においては、再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会という会議の中で、発電事業の収益性を適切に評価をして、投資判断と円滑なファイナンスを可能とするため、事業期間中の出力制御の予見可能性を高めることが重要であって、そして、その出力制御のシミュレーションに必要な情報のうち対応可能なものから公開、開示を行うということになっているわけでございます。
  111. 山崎誠

    ○山崎委員 この間、世耕大臣、データの話をさんざんしましたよね。今ビッグデータの時代ですからね、データは生きているんですよ。今お話ししたような分析は、今のデータの提供の仕方で、専門家が、一部の方々が分析をして、もしかしたらできるのかもしれない。でも、違う、もっと広げて、いろいろな可能性を実現する、そのためにはデータをもっと活用しなきゃいけない、活用の仕方をもっと前向きに変えなきゃいけない、そういう話なんです。  ちょっと政府参考人にお聞きしますけれども、今ある電力会社のデータ、提供できるデータでこういうグラフをつくることができると思いますか。
  112. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  電気事業者でございますけれども、リアルタイムのデータや個別の発電所、個別の需要家ごとのスマートメーターのデータといったより細かなデータは電気事業者はお持ちなんですけれども、競争にかかわるデータである点やプライバシーの観点などから必ずしも公開していない部分も相当多くございまして、今御指摘のようなものができるかどうかちょっとわからないところがあると思っております。
  113. 山崎誠

    ○山崎委員 何というんですかね、考え方だと思います。私は、データはあると思います。絶対、ビッグデータとしてはあると思います。一部とれないというようなところもあるかもしれませんよ。メーターの関係とかいろいろあるかもしれない。でも、大まかなところでは大体とれると思うし、少なくとも発電に関するデータはとれると思います、それもリアルタイムで。  だって、もう実際に市場も動いています。コントロールしていますからね、あるわけですよ。それをこういう形で提供するかどうか、そして、いろいろな用途、可能性、研究あるいはビジネス、そういうものに使うか使わないか、そういう提供をするかしないか、それを誰が音頭をとるか、そういう話です。  私は、ぜひ、これは提案ですけれども、省エネだとかのお話を本当に効果的に進めるためにも、こういうデータをきちっと国でわかりやすく、ドイツの例に倣ってとは言いませんが、オリジナルでも構いません、そういった開発をすべきと思いますが、いかがですか。
  114. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 いずれにしても、データ公開についてはよく検討していきたいと思います。  ただし、やはり、個別のユーザーがどれぐらい使っているかとか、日本は狭い国土ですから特定されやすい面もあると思いますから、そういったところも踏まえながら、よく検討はしていきたい。  ドイツがどういう形で、これは全国なんですかね、全国レベルなんですかね。(山崎委員「これは全国レベルでもあります」と呼ぶ)だから、全国統合であれば別に個別のユーザーが見えないという点もありますから、どれぐらいの投資が要るかとかそういうことも考えなきゃいけないとは思いますけれども、システム投資が膨大にかかるようではちょっと本末転倒という面もあるかもしれませんけれども、情報公開は、公開できるものはしっかり公開していくことが重要だというふうに思います。
  115. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  ぜひこれは前向きに、やはりこういうことを検討していって、こういうものを組み合わせて省エネの議論をしたい、そういう思いでございます。  時間があと五分ということなので、ちょっと駆け足で、最後、法案の関係もちょっと触れておきたいんです。  二番の、省エネ目標の設定、エネルギーミックスの中でも実は変わっていないというので、私はこれも続きをしたかったんですが、これはいいとして、二番、省エネ進捗状況をお聞かせいただけますか。
  116. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  二〇三〇年の長期エネルギー需給見通しにおきましては、技術的に可能で現実的な省エネ対策として考え得る限りのものを積み上げて、五千三十万キロリットル程度の最終エネルギー消費削減を見込んでおるところでございます。  二〇一六年度時点では、産業部門で百九十一万キロリットル、業務部門で二百六万キロリットル、家庭部門で百七十万キロリットル、それから運輸部門で三百九万キロリットル、合計で八百八十万キロリットル分の省エネ対策進捗してございます。パーセンテージで申し上げますと、一七・四%の進捗率になります。  それから、先ほどお尋ねのありました熱ですけれども、二〇一六年度の最終消費ベースで、これは総合エネルギー統計の最新の確報値でございますけれども、電力が二六%、運輸が二三%、残りが熱で五一%という数字になってございます。
  117. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  五一%ですよね。まあいいや。  それで、今の話で、進捗率一七%とお聞きしましたが、全体、二〇三〇年を見通したときの目標は、幾つぐらいが目標になるんですか。
  118. 高科淳

    高科政府参考人 二〇三〇年の目標という意味では、五千三十万キロリットルの最終エネルギー消費削減ということでございます。
  119. 山崎誠

    ○山崎委員 今、一七%って、二〇一六年でしたっけ、一五。
  120. 高科淳

    高科政府参考人 今、一七%と申し上げたのは、二〇一六年度でございます。ちょっと最新の数字が出ましたので、今はそちらです。
  121. 山崎誠

    ○山崎委員 二〇一六年の段階で、目標達成、二〇三〇年の目標を達成するためには何%必要なんですか。
  122. 高科淳

    高科政府参考人 二〇一三年から二〇三〇年までリニアで伸ばしたとして、二〇一六年がどうなるかということで申し上げると、二二%ぐらいだと思います。
  123. 山崎誠

    ○山崎委員 ごめんなさいね。要は、私が聞いたのは未達だ、目標、リニアで伸ばすかどうかも含めて、これはいろいろ議論があるかもしれないけれども、未達だというお話を聞いたんです。このままだと危ないと。なので、今回のこの法案というのはよくわかる。じゃ、どのぐらい、どこが問題なのかというのが分析できているかどうかなんですよ。  この五千三十万キロリットルという目標に対して、例えば、ちょっとトップテンというと数が多いので、トップファイブ、この省エネ削減のトップファイブの項目というのは何ですか。
  124. 高科淳

    高科政府参考人 にわかにトップファイブというのはなかなかあれなんですけれども、進んでいるのは、LED含めた照明というところは非常に進んでいると思います。それから、交通流対策みたいなところも数字的には進んでいると思います。それから、あとは給湯器みたいなところも比較的進んでいる分野であるかなという状況かと思います。
  125. 山崎誠

    ○山崎委員 レクチャーのときにはお願いしたんですけれどもね。  だから、私がお聞きしたいのは、この計画上、どの項目でどのぐらいの目標を掲げて、それで積んで五千三十になったと、その中で、トップファイブ、どのぐらいの大きい、大どころですよ、大どころはどうなのか、それに対してその大どころの進捗がどうなのかというのを聞きたかったんですが、ちょっときょうは時間がないようなので、次回またチャンスをいただければ御質問したいと思います。ちょっと調べておいていただいて。  私が知りたいのは、その省エネ、全体像の中で、どういう取組が進んでいる、進んでいない、それが、エネルギー源別であったり、地域別であったり、産業界別であったり、いろいろなメッシュで切って分析をしてこれが出てきたかどうかなんです。  ほかにもやらなきゃいけないことはたくさんある、先ほども世耕大臣はおっしゃっていました。それはどこなのか、それを総合的に、省エネに対する投資としてどういうふうに、ポートフォリオですかね、配分をしていったら最も効果的にこの目標を達成できるのか、もっと更に深掘りができるか、そういう議論をしたいなと思っていますので、次回よろしくお願いします。  終わります。
  126. 稲津久

    稲津委員長 次に、松平浩一君。
  127. 松平浩一

    ○松平委員 どうもお疲れさまです。立憲民主党、松平浩一です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。  恐らく大臣も皆様もお使いになったことがあると思われます総合スーパーのイオン、先々月の終わりにプレスリリースで、二〇五〇年までに店舗での二酸化炭素排出量をゼロにするというふうに発表しています。中間目標としても、二〇三〇年までに二酸化炭素排出量を二〇一〇年比で三五%削減する、そういうことも発表されています。そのときに、同時にイオンは、国際イニシアチブのRE一〇〇というものに日本の大手の小売企業として初めて参画しましたとも言っています。  このRE一〇〇、こちら、何かと申しますと、ちょっと、もちろん御存じだと思うんですが、念のため言いますと、事業運営を一〇〇%再生可能エネルギーで調達する、それを目標に掲げる企業が加盟する国際イニシアチブのことをいいます。  これは、世界で現時点で百三十二社が加盟していて、BMWですとかP&G、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ナイキ、コカ・コーラ、ゴールドマン・サックス、アップル、グーグルなど、挙げていけば切りがないんですけれども、日本においても聞いたことがある有名な企業が非常に多く参加しています。  こちら、先ほどのイオンも参加を表明しましたように、日本の企業の間でもじわりじわりと広がり始めているようです。イオンの前にも、リコー、積水ハウス、アスクル、大和ハウス、ワタミといった企業が参加されているようです。  こういった取組に日本企業が参加することについて、大臣、どう評価されますでしょうか。
  128. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 やはり、このRE一〇〇のような、エネルギー需要家が再エネの価値を積極的に評価して自主的に調達をするということは、最近はESG投資などという機関投資家の動きもあるわけです。やはり、環境の取組をしっかりやっているかどうかによって、投資対象になる、ならないというような動きも世界的に起こってきているわけでありますから、そういう意味で、ESG投資などの観点からこのRE一〇〇などに取り組んでいる企業は、投資の受入れ拡大などで競争力の強化につながる可能性は十分あると思っています。  ただ、一方で、私も、じゃ、これは、一〇〇%再生可能エネルギー企業って本当に運営できるんだろうか、曇ったり風がとまったときどうするのかなというふうに思って、後で多分御質問が出てくると思うんですが、いろいろマーケットメカニズムが働いているようでありまして、その辺が本当の意味でCO2削減に直結しているのかどうかということは、よく見ていかなければいけない部分があるというふうには考えておりますが、一般論としては、これは歓迎すべき動きだというふうに考えています。
  129. 松平浩一

    ○松平委員 歓迎すべき動きということで、積極的なお言葉をいただきました。  それから、マーケットの件も、お察しのとおり、後からちょっとお聞きさせていただきますし、こちらの背景となりますESG投資の件にもさすが言及いただきました。私も、このRE一〇〇、やはりESG投資が背景にあるものと思っています。  一応、御存じのことと思いますが、言いますと、ESGというのは、環境、エンバイロンメントのE、社会、ソーシャルのS、それからガバナンスのG、この頭文字をとってESG投資と。財務情報だけを重視するということだけではなくて、このESGも考慮に入れて投資考えるということをESG投資というふうに言っておるようで、機関投資家の間で急速に広がってきているようです。  こちら、日経新聞の五月十一日の記事にもあったんですけれども、これをちょっと御紹介させていただきますと、富士通がESG投資の説明会というものを三月の下旬に投資家向けに開催されたということで、このときに、証券会社や投資信託会社から約五十名が来場して、その三割がESG関連の肩書を持つ担当者だったということでした。その会場では、二〇五〇年目標を達成するためのKPIはいかがでしょうかですとか、ライバル企業と比べて省エネ導入率が低くないかなどの質問がなされたそうです。  これに関連して、世界サステナブル投資連合という団体の調査によると、二〇一六年の世界のESG投資残高は二十二兆八千九百九十億ドル、これは日本円にして約二千四百兆円という非常に莫大な額に達するということです。  やはり、先ほども大臣もおっしゃられたように、企業にとって、ESGを考慮に入れた投資状況というのは無視できないものとなっているものと思います。投資家としても、RE一〇〇に参加している企業を選んで投資したり、同じ投資条件であればRE一〇〇に参加している企業を優先して投資する、そういった傾向が高まっていると言えると思います。  したがって、日本企業への投資を促進し、企業が国際競争力をつけていく、そういったことのためには、このRE一〇〇に参加しやすい環境を整えるということも必要であるというふうに思っています。  さて、このRE一〇〇なんですが、もう一度言いますと、再生可能エネルギーで事業を運営するということなんですが、これは、しかしながら、残念ながら、FITを使った再生可能エネルギー、FIT電気についてはこのRE一〇〇の目標達成には使えないということを聞きました。  これは、理由は、聞いたんですが、FITによる環境価値は賦課金を賦課した国民で支えているということで、一事業者だけの利益にはできないということが理由のようです。つまり、日本の再エネ発電事業者は大半がFITを利用していると思いますので、日本では再エネはほとんどRE一〇〇には使えないという状況になってしまっているんです。こういった仕組みがこのRE一〇〇に参加する障害になっているというふうに思うんですね。  やはり、今まで日本企業は六社しか参加していないということなので、このFITがRE一〇〇に使えないという現状、これは何とかした方がいいというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか。ちなみに、ドイツは、FITを使った電気も再エネの電気ということで言えるそうなんです。  いかがでしょうか。よろしくお願いします。
  130. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、これまで、FIT電源の環境価値は賦課金を負担している需要家に帰属されるものとされておりまして、賦課金を御負担していない小売事業者は、FIT電源の電気を調達している場合であっても、この環境価値を消費者に訴求することは認められてこなかったわけですけれども、今般、非化石電源の環境価値を取引する非化石価値取引市場を創設いたしまして、今年度からFITの電源分の非化石証書の取引を開始することとしておりまして、これによりまして、RE一〇〇の取組におきましても、FIT電源分の非化石証書を組み合わせた電気につきまして、RE一〇〇に参加する各企業判断で、再エネ由来の電気とみなすことが可能になったということでございます。
  131. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  非化石価値取引市場ということで、そちらでその非化石証書、それを使うことでRE一〇〇において認められるということとみなすことができるということですね。というふうにお伺いしました。  本当にこれはありがたいことで、ぜひRE一〇〇への参加をふやすためにも引き続き、みなすということが確定されたんですか。確定されたということであればそれで結構なんですけれども、もしされていないということであれば、ちょっと教えてください。
  132. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  このRE一〇〇を実施している共同実施団体が、CDPという事務局があるんですけれども、そこの見解で、問題はないということで、各企業判断で実施していただきたいということで、正式に表明されているところでございます。
  133. 松平浩一

    ○松平委員 ありがとうございます。  今、事務局で問題ないという回答をいただいたということで、安心いたしました。どうもありがとうございます。  ところで、今、非化石証書をオークションする市場ということで言及いただきましたけれども、このそもそものオークション市場についてお聞きしたいんですが、大臣、この市場をつくった意義と申しますか、その目的といったものについて教えていただければと思います。
  134. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今御指摘の市場は、非化石価値取引市場といいますけれども、再エネを始めとした非化石電源から発電されたことによる環境価値を非化石証書として証書化して取引する市場であります。くしくも、本日、初回の取引が実施される予定であります。  まさに、この証書がセットになっている電気は、CO2フリーや再エネといった環境価値のある電気であることを明示して販売することが可能になるわけでありまして、需要家にとっては、非化石電源からの電気を選択して買うということも可能になってくるわけであります。  加えて、これは、発電事業者側からいえば、この非化石電源のうち、FIT電源に係るこの非化石証書の売上げは、まさにFIT賦課金削減の原資にも充てられるわけでありまして、そういう意味では、国民の賦課金の負担を軽減するといった効果も期待できるんではないかというふうに思っています。  なお、この非化石証書は、小売事業者が、エネルギー供給構造高度化法によって課せられた非化石電源比率を二〇三〇年度までに四四%とする義務の達成状況の報告に活用してもらうことも可能ということになっております。  こういったいろいろな効果が相まって、この非化石電源の維持、そして投資インセンティブを高めることに資する、そういったマーケットになるのではないかというふうに期待をしております。
  135. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  いろいろな意義があるということで、特に、FIT賦課金の国民負担が軽減するということに関しては非常に評価できるものなのかなというふうに思います。  やはり、このオークション、活性化をすればするほど、恐らく、非化石証書の金額が上がって、それによって、費用負担調整機関が小売事業者に支払う交付金が下がり、それに充てるための賦課金、すなわち国民負担が下がる、そういったような仕組みと理解したんですけれども。  本当に、そういった意味でぜひとも活性化してほしいと思うんですが、きょう、オークション、ちょうど取引が行われるということなんですが、状況的にはいかがでしょうか。
  136. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  非化石取引市場でございますけれども、本日、初回取引が実施される予定ということで、まだ行われておりませんので、現時点で予断を持ってその状況をお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、この創設に先立ちまして、市場を運営する日本卸電力取引所、JEPXが四月二十四日に行った事前の説明会には約三百名の関係者が参加をしたと聞いておりまして、事業者の関心も高まっているものと考えてございます。
  137. 松平浩一

    ○松平委員 どうもありがとうございます。  それでは、将来の活性化、現時点で予断を許さないということなんですけれども、今後の活性化のための施策みたいなことって何かやっていらっしゃるのでしょうか。
  138. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  この市場の意義は先ほど大臣から御答弁いただいたとおりでございますけれども、その意義を実現するために、取引を活性化させるに当たりましては、このCO2フリーの電気の需要拡大していくことが重要だと考えてございます。  今回の市場の創設によりまして、CO2フリーの電気が需要家にとってより身近になったことなどを積極的に広報してまいりたいと考えてございます。小売電気事業者需要家の意見も聞きながら、不断の制度の見直しも行ってまいりたいと思います。  なお、エネルギー供給構造高度化法に基づく二〇三〇年度の目標達成の確度を高めるべく、今後、定量的な中間評価の基準の検討に取り組むこととしておるところでございまして、非化石価値取引市場との関係も含め、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
  139. 松平浩一

    ○松平委員 了解です。ありがとうございます。  中間的な目標みたいなところを定めることで、小売事業者に非化石証書を買うインセンティブを与えるものと理解いたしました。ぜひとも進めていただければと思います。  ところで、この市場、原子力によって発電された電力というものは入る予定なのでしょうか。
  140. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  この市場は、まずはFIT電源分について取引を開始するということにしてございます。本日、初回の取引が実施されるものは全てFIT電源に由来するものでございます。  他方で、FIT電源以外の非化石証書につきましては、住宅用太陽光のFIT買取り期間が初めて終了いたします二〇一九年度に発電された電気の証書を取引可能とすることを目指しまして、今後、制度の検討を進めることとしているところでございます。  原子力につきましては、エネルギー供給構造高度化法上の非化石エネルギー源でありますことから、FIT電源分以外の非化石電源の証書が取引される際には、原子力の電気に係る証書も取引されることになると承知してございます。
  141. 松平浩一

    ○松平委員 今の話は、原子力による電力も市場に入る方向性というふうに理解いたしました。そういうことでよろしいですか。
  142. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 詳細は今後の検討によるところでございますけれども、FIT電源分以外の検討の中に、当然のことながらFIT電源以外の非化石電源の全てが入るということで、そのとおりでございます。
  143. 松平浩一

    ○松平委員 承知しました。  私が冒頭でお話しさせていただいたRE一〇〇、これは、事業運営を一〇〇%再生可能エネルギーで調達するというものなんです。原子力による電力まで含めてしまうと、この非化石証書も、RE一〇〇の目標達成にもしかしたら使えないというふうになってしまうかもしれないという疑問もあります。  もちろんそういった疑問もありますし、あと、もちろん、もしかしたらやはり原子力による電力は避けたいという人も出てくるかもしれませんし、あと、原子力を含めるとなると供給自体がふえるので、マーケットの価格も下がってくるかもしれない。そうなると、やはり国民負担もそこまで下がらないということになるかもしれない。  したがって、私としては、この非化石証書の中でも再生可能エネルギーと原子力の峻別ということができるようにするであるとか、また、別のマーケットをつくるなど、マーケットが原子力を入れるとしても使いやすくなる工夫をぜひともお願いしたいと思っております。この点、いかがでしょうか。
  144. 村瀬佳史

    村瀬政府参考人 お答え申し上げます。  非化石証書は、当初、再エネ指定のものと指定なしの二種類に分けて設定するという方針となっているところでございまして、御懸念のような点は、当初、発生しないというふうに考えてございます。  RE一〇〇などの取組には再エネ指定の証書が活用されるというふうに想定しておりますけれども、再エネ指定の証書には原子力の電気の証書は含まれないということになってございます。
  145. 松平浩一

    ○松平委員 承知いたしました。  分けた証書となるということで、安心いたしました。  本日、RE一〇〇と、それからこちらのマーケットについてお伺いさせていただきました。  これでちょうど時間も参りましたので、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  146. 稲津久

    稲津委員長 次に、中谷一馬君。
  147. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。  私からも、今国会に提案をされております省エネ法改正に関連をした事項について、先日示されました第五次エネルギー基本計画案を踏まえながら、順次質問をさせていただきたいと思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いします。関係者の皆さんもよろしくお願い申し上げます。  本改正案の提案理由にもありますとおり、エネルギー資源の大部分を海外に頼る我が国が、限られた燃料資源の有効な利用を図ることや、省エネ量の目標達成に向けてさらなる省エネを促進することは、私も重要であると考えております。  しかし、こういった改正の理由以外においても、法案の内容を見ていくと、改正のポイントとなるような産業、業務分野、貨物、旅客事業者、通信販売事業者の実態に現行法が合っていないことがよくわかります。  経済活動をより効率的に、また活発にしていく環境を整えるためにも、たゆまず、各事業者から最新の情報を収集することや、現場に寄り添った対応に努めていただくことをまず要望させていただいて、質問に入らせていただきたいと思います。  まず初めに、この法案は第四次エネルギー基本計画に強く関連しているものでありますが、五月十六日に第五次エネルギー基本計画案が示されましたので、これについて伺いますが、この第五次エネルギー基本計画案は、これまでの基本計画と比べてどのような特徴となっているのか、また、第五次エネルギー基本計画省エネ法との関係性はどのようなものであるのか、詳細について御説明をください。
  148. 高科淳

    高科政府参考人 お答えをいたします。  まず、第五次エネルギー基本計画の特徴でございますけれども、昨年八月から、基本政策分科会におきましてエネルギー基本計画の見直しの議論を開始しました。二〇三〇年に向けてはエネルギーミックス実現重視、二〇五〇年はあらゆる選択肢の可能性を追求といった視点で検討が積み重ねられてまいりました。  今回のエネルギー基本計画の素案におきましては、パリ協定を踏まえた二〇五〇年の視点を追加したことが大きな特徴となってございます。  具体的には、世界ではエネルギー転換、脱炭素化に向けた挑戦が既に始まっていること、他方で、経済的で脱炭素の完璧なエネルギーが存在しないという現実があること、このため、脱炭素化に向けたあらゆる選択肢の可能性を追求すべきといった方向性としてございます。  再エネにつきましては、経済的に自立し脱炭素化した主力電源化を目指すとしてございます。FIT制度による補助からの早期自立、送配電ネットワークの再構築、水素、蓄電、デジタル技術による調整力の脱火力依存といった本質的な課題への対応が重要と考えております。  原子力につきましては、福島事故を経験した我が国としては、安全を最優先し、再エネの拡大を図る中で、可能な限り依存度を低減するとの方針は堅持しながら、実用段階にある脱炭素化の選択肢として、社会的信頼の回復に向け、人材、技術、産業基盤の強化に直ちに着手し、安全性、経済性、機動性にすぐれた炉の追求、バックエンド問題の解決に向けた技術開発を進めるべきとしてございます。  この素案の方向性につきまして、五月十六日の審議会では、おおむね認識が共有されて、取りまとめが行われたところでございます。引き続き、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。  それから、この基本計画と今回の省エネ法改正との関係ということでございますけれども、現行の長期エネルギー需給見通しにおきまして、省エネは、二〇三〇年に向けて、オイルショック後のエネルギー消費効率改善に匹敵する三五%の改善、これを目指すという極めて野心的な対応を行うこととしております。  現在、その実現に向けて道半ばの状況です。このため、新しいエネルギー基本計画の素案におきましては、省エネ対策施策を深掘りして、まずは、現行の長期エネルギー需給見通しにおける省エネ見通しを着実に実現していくこととしております。  今回の改正法案もその一環です。目下の課題であります産業業務部門における省エネ設備投資の加速と貨物分野の増エネ懸念に対して確実に対応するものであります。こうした対応を通じて、着実に進めてまいりたいと考えております。
  149. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 非常に御丁寧な御答弁をるる今いただきましたので、一つ一つ細かく聞いていきたいなということを思っているんですけれども、まず、この第五次エネルギー基本計画案の「はじめに」という前文の部分にこんな言葉が書かれています。「東京電力福島第一原子力発電所事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、福島の復興・再生を全力で成し遂げる。政府及び原子力事業者は、いわゆる「安全神話」に陥り、十分な過酷事故への対応ができず、このような悲惨な事態を防ぐことができなかったことへの深い反省を一時たりとも放念してはならない。」というものでありました。  この原発事故に対する反省、そして、被災された方々への思いや避難者の皆様に寄り添う、そんな思いが述べられているわけでありますが、その中で、先ほど答弁の中でもいただいたんですけれども、原子力発電に関しては、依存度を可能な限り低減させるという記載もされているわけでありますが、残念ながら、二〇三〇年度時点の発電電力量に占める電源別構成比率は、一五年七月に策定した従来どおりの見通しが維持をされ、原発の電源比率については、二〇三〇年度に二〇%から二二%にするという数値が従来どおり掲げられており、見通しが変更されることはありませんでした。  そこで、お伺いをいたしますが、ここまで決意を述べられているのであれば、第五次エネルギー基本計画においても、二〇三〇年度時点の原発依存度を低くする具体的な数値の見通しを行い、原発ゼロを目指した道筋をつくっていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
  150. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 まず、経緯をお話ししますと、現行のエネルギー基本計画というのは、これは二〇一四年四月に閣議決定をされて、その中で、原発依存度については、省エネ、再エネの導入や火力発電の効率化、これは具体的にはLNG化ということだと思いますが、効率化などにより、可能な限り低減をさせるということが決まったわけであります。  それを踏まえて、その後、経産省を中心に、将来のエネルギー需給構造の見通し、いわゆるエネルギーミックスの検討を行って、二〇一五年七月にこのエネルギーミックスを決めさせていただきました。  その中では、東日本大震災前に約三割を占めていた原発の依存度を二〇から二二%程度へ大きく低減するということを決めさせていただいたわけであります。今回、今、世の中にお示しをしている素案の中でも、原子力については、原発依存度を可能な限り低減させるという方針には変わりはないわけであります。  ただ、我々は、スリーEプラスSの観点で考えていっています。原発を可能な限り低減をさせるとなった場合に、やはり、更に今の目標よりも具体的にあと何%原発を削り込むということになった場合には、じゃ、再エネをどれぐらいふやすのか、あるいはLNGをどれぐらいふやすのかという議論になってくるわけですが、そうなると今度は電気料金、コストの問題が出てきます。かといって、石炭火力をふやしたら今度はCO2の問題も出てくるわけでありますから、そういったことを、現時点で、二〇一五年当時に考えたこのバランスを今大きく変えるような状況にはないということから、今回の素案には、従来どおりの原発二〇から二二、その裏返しで再エネ二四から二二ということが盛り込まれているんだというふうに認識をしております。
  151. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 今大臣から御答弁をいただきましたことを一つ一つちょっとかみ砕いて議論をさせていただきたいと思っているんですが、では、なぜ、原発の構成比率の見通しに必要と一般的にされている新増設や建てかえについて、この基本計画では言及をされなかったんでしょうか。  私たちが仮にポジティブに捉えればですよ、原子力発電の依存度を可能な限り低減させる、この強い決意のもと、原発依存度を引き下げることを前提に記載がされなかったのかということも想定できるわけでありますが、まず、この点を触れられなかった理由について、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  152. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 まずは、政府として、今ある原発を安全最優先の姿勢で再稼働させる、このことに全力を傾けることが重要だというふうに思っておりまして、現時点において原発の新増設ですとかあるいはリプレースといったことは考えていませんので、この素案のような形になっているわけであります。  なお、新増設、リプレースを行わなくても、二〇三〇年時点で今我々が示しているエネルギーミックスの姿というのは十分実現可能だというふうに考えております。
  153. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 今大臣からいただいた御答弁に対して、やはり他の有識者の方からは、疑問に思われている、そんな発言もされているかと思います。  福島第一原発事故以降再稼働した原発は八基、そして、一六年度の電力量に占める原発の割合は一・七。三〇年度の見通しが、これは二〇から二二まで上げていくということであれば、さっきおっしゃったとおり、稼働から四十年たった古い原発を十数基、要するにこれを運転延長しなきゃいけなくなる。これはちょっと現実的じゃないんじゃないかということを思っていますし、もし本当に、仮にやるのであれば、リプレースだったりとかそういったことが必要になるんじゃないかということを思いますから、どちらにしても実現可能性が私は乏しいんじゃないかということを思っています。  だからこそ、私は、そもそもやはりそういった原発ゼロを目指していくべきだと思いますし、仮に、大臣のお言葉どおりそれを実現させるということであれば、原発依存、これを可能な限り低減させるという言葉とは逆行する行動になるかと思いますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
  154. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 別に逆行することはないというふうに思っています。震災前は我々は三割原発に依存していたわけですから、それを現実に、日本経済が立っていける、国民生活が成り立つ範囲において、二〇から二二までは減らせるというのが我々の考え方であります。  一方で、やはり安全最優先であって、二〇から二二を目指すために無理やり再稼働するとか、そういうことは考えていない。あくまでもこれは、規制委員会が新規制基準にのっとって安全と判断をした原発についてのみ再稼働させるという方針、これをしっかり両立をさせていくということだろうというふうに思っています。
  155. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 私は、やはり安全性に対しても残念ながら疑問を持っているのと、産業競争力という観点からも、残念ながら、安価な電源という前提が崩れてしまっているんじゃないかなということを思っています。  今、原発の建設費の高騰があって、一基四千四百億円でもともと当初想定をされていたものが、やはりその有識者の話を聞いていると、もう一兆円以上超えてしまっているんじゃないかという方もいらっしゃいますし、もっと言えば、世論調査の結果を見ても、やはり原発は嫌だと言っている人が物すごく多い。そして意見箱、これも調査されていたと思いますけれども、三分の二が反対している現状があるわけですよ。そういったことを踏まえたときに、私は、一部の業界団体やそういった方々の意見だけではなくて、やはり国民目線でのこういう政策決定をやっていただきたいと思っているんです。  そんな中で、今の政府の方針では、私はそういった国民目線からは大きく乖離をするものであるということを思っているんですが、その点については、大臣、どのように考えられているのか、御所見を伺いたいと思います。
  156. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 原発政策エネルギー政策、特に、中でも原子力発電については、福島第一原発の事故もありましたので、国民になかなか御理解をいただくというのは本当に難しいな、これはもっと努力は続けていかなければいけないなというふうに思っております。  特に、先ほどコストのお話がありました。私だってびっくりします、何千億円、何兆円という話が当たり前のように出てくる。去年も国会で御議論いただきましたけれども、福島の廃炉・汚染水対策、賠償の費用だけでも十兆円ぼんと上乗せになってくる。  ただ、原発というのは、ここは本当に御理解いただきたいし、私もよく学んだんですけれども、イニシャルコストがかかる、あるいはバックエンドのコストがかかる。これはほかの発電、電源に比べて圧倒的にかかるわけですけれども、一方で、四十年から六十年動いて、物すごい量の発電を行って、しかも、LNGや石油や石炭のようにずっと補給をしなくてもいいということで、実はランニングコストが物すごく安くて、結果としては、キロワットアワー当たりのお金、私も、原発はなお安いですと記者会見とかで言うと、その日のツイッターではもう大炎上で、世耕は計算できないんじゃないかと言われるんですが、これはやはりランニングコスト含めて考えると、イニシャルコストとあとバックエンドの費用を含めても、やはり単位当たりの発電のコストというのは原発はどうしても安くなる。これは国民感覚としてわかりにくいというのはよく私もわかりますけれども、この辺をやはり地道に説明をしていく必要があるんだろうと思っています。  また、今回、エネ基について御議論をいただいた総合エネ調の基本政策分科会、ここにはなるべく、いわゆる原発推進の立場の方だけではなくて、環境重視の立場に立っている方から、あるいは消費者の立場に立ってる方から、かなり幅広く入っていただいて、そしてそれを全部一から十まで見ていただける、一般の方にもネット中継も含めて見ていただける状況の中で議論をさせていただきました。なるべく幅広い国民各層の意見を取り入れる努力もしているという点は、御理解をいただきたいというふうに思います。
  157. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 御説明をいただきました。  大臣ももちろん政府のお立場があられると思うので、そういった答弁になられるのかなということを思いましたが、残念ながら、イニシャルコストやバックエンドコスト、もっと言えばリスクコントロールやマネジメントをする費用、そういったことを見越すと、どう考えても高価な電源になってしまっているだろうなというのは私は率直に感じますので、その主張をさせていただきたいと思います。  原発の話でもう十五分も使ってしまいましたので、次の議論に行きたいと思います。  その中で、私はやはり、産業だったり安価な電源ということを考えるときには、再生可能エネルギー普及エネルギーの地産地消、これが重要だということを思っています。  それで、今回のエネ基においても、主力電源化を目指すということで、私はこれは率直に評価したいと思っているんです。ぜひ前向きに進めていただきたいなということを思っているんです。  私自身も山崎誠議員らとともにドイツのシュタットベルケを見てまいりました。彼らはやはり、地域が、地産地消でエネルギーの自給自足、これを行いながら、エネルギーの安定供給に加えて、産業構造をしっかりとつくっている現状があります。なので、私は、こういった事例が、しかもドイツ全土に広がっていることを見ると、ちょっとベンチマークしてみてしっかり研究をする、その材料にはなってくると思いますし、日本でも、みやま市ですか、そこがシュタットベルケのことを始めているということで、これは地方の創生にもつながってくるすばらしい取組だなということを思いました。  その中で、先ほど来の議論の数値の話に入っていくんですけれども、今回の案の中では、再生可能エネルギーの電源比率についても、二〇三〇年度、二二から二四%にするという数値が、やはりこれも従来どおりで、見通しが変更されることはありませんでした。  これらの状況は、やはり原発に依存することの安全性の観点に私は不安を持っているものですから、関連産業の競争力の強化についても、やはり再生可能エネルギー普及に向けたエネルギーミックスの見直しに着手をして、再生可能エネルギーの数値の見直しを今よりも高く想定をしたような組立てをしていくべきだと考えるんですが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  158. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 私も、この再エネに関して、もっとすごい数字を出して、世界から評価されて、国民からもいいなと言われるというふうになりたいと思いますが、やはり現実に立脚した数字をしっかりと考えていかなければいけないわけであります。  実際に、この再エネ比率、二〇三〇年度で二二から二四ということ、これを実現しようと思ったら、実は、水力を除いた再エネ比率を現在の倍にしなければいけないんです。それプラス、その上で国民負担も抑えなければいけないという視点も必要であります。  もう既に、今、FIT制度によって電気料金に上乗せされる国民負担は約二兆円へ増大をしてきています。今後、約一兆円の国民負担で更に再エネの導入拡大を進めていって何とかこの目標に達するというわけでありますから、この現実というのもしっかりと見据えなければいけないというところは御理解いただきたいし、その結果、二二から二四という数字になっているわけであります。  ただ、我々は、再エネをふやすということを諦めているわけではありません。これが上限だとも思っておりません。だからこそ、主力電源という表現をさせていただきましたし、さらに、二〇五〇年を見据えたときには、蓄電機能、水素などと組み合わせた、自立した主力電源に再エネをしっかりと育て上げることによって、本格的な再エネの導入というのも進めていきたい。  ただ、現時点、この二〇一八年のきょうの段階では、国民負担のことも考えて、あるいは、もう太陽光を入れられる空き地が目いっぱいになってきているということ、風力に環境アセスその他のいろいろな制約要件もあるということを考えたときには、二二から二四というのが現時点で責任を持ってはじき出せる数字だということを御理解いただきたいと思います。
  159. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 御答弁いただきました。  この議論もこのあたりでおさめさせていただきたいと思っているんですけれども、私から要望と感想を述べさせていただきたいと思います。  原子力に対するスタンスは、もちろん大臣も組織をしょっていらっしゃいますので、その意向も踏まえての発言だと思いますが、やはり残念なものがあります。  しかしながら、再生可能エネルギーのことに関しては、もちろんこれが上限だと思っていない、ふやす余地もあるし、育てていきたい、この思いは私はしっかり酌ませていただきたいと思いますので、そういった方向性で政策を進めていただきたいと思います。  その中で、前文でも読ませていただきましたが、やはり、「東京電力福島第一原子力発電所事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、福島の復興・再生を全力で成し遂げる。」そして、原子力発電に関しては依存度を可能な限り低減させる、この言葉の額面どおり、第五次エネルギー基本計画においては、二〇三〇年度時点の原発依存度を低く、そして再生可能エネルギーの数値を今よりも高く、具体的な数値の見直しを行っていただき、原発ゼロ、再生可能エネルギーの推進を目指した道筋をつくっていただくことを私からは強く要望させていただきます。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  それで、再生可能エネルギー普及に向けては、発電したエネルギーを蓄える仕組みづくりが不可欠であります。そのために、特に蓄電池、低価格化が指摘されるわけでありますが、この蓄電池の普及に向けては、新たなエネルギー基本計画を踏まえて、政府としてはどのように対応していこうと考えているのか、政府の御所見を伺いたいと思います。
  160. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、蓄電池は、太陽光や風力などの再生可能エネルギー導入拡大する上で、有効な対策の一つであります。  他方で、やはりそのコストとか性能の面で今課題があることに加えまして、電力系統での運用例が少ないことから、今後、その技術開発とか実証事業を進めていく必要があると考えています。  具体的には、大型蓄電池につきまして、二〇二〇年度までに揚水発電と同等の設置コストに低減するための技術開発、これを進めるとともに、家庭や工場などに置かれる蓄電池につきましては、二〇二〇年からの自立的普及を図るべく、年度ごとの目標価格を設定いたしまして、目標価格を下回った場合に限定して導入支援してきてございます。  それから、電力会社の変電所に大型蓄電池を設置して系統安定化を行う実証実験や、家庭や工場などに置かれる蓄電池などをIoT技術によりまして統合的に制御して電力の需給調整などに活用いたします、いわゆるバーチャルパワープラント、これの構築に向けた実証にも取り組んでいるところでございます。  こうした取組を通じまして、蓄電池の活用促進を図って、再生可能エネルギーのさらなる導入を促進してまいりたいと考えております。
  161. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 ありがとうございました。  次に、エネルギーミックスにおける省エネ対策について伺っていきたいと思います。  これは大臣に伺いたいんですけれども、二〇三〇年までに省エネ、五千三十万キロリットル、これを削減していく見通しという中で、取組が始まってから、単純計算をすると、もともと二二%ぐらい多分進んでいかなければならないものが、さっきほかの委員の答弁でもありましたけれども、二〇一六年、一七・四%という現状になっていて、少し進捗がよくないのかなということを思っています。  こうした観点から、現在の達成状況について政府としてはどのように捉えていて、この省エネ法改正することによってエネルギーミックスのこの目標は確実に達成できると考えているのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  162. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 二〇三〇年のエネルギーミックス前提として想定している原油換算五千三十万キロリットルの省エネに対して、二〇一六年度時点で約八百八十万キロリットルですから、進捗率一七%ということになるわけであります。当初想定していたのが大体二二%ぐらいということですから、やや進捗におくれが出ています。  分野別でかなり濃淡があると思っていまして、例えば、全部門を共通してLEDの導入なんかは想定のペースよりは順調に進んでいるわけであります。ただ、一方で、例えば産業業務部門では、高効率モーターですとかヒートポンプ、エネルギーマネジメントシステムなどの省エネ設備投資がおくれている、あるいは運輸部門については、次世代自動車普及ですとか貨物輸送効率化、あるいは家庭部門では、やはり新築、既築住宅省エネ化、こういった対策がまだ道半ばの状況であります。  ですので、今回、この足りない部分をしっかりと推し進めていくということで、産業業務部門省エネ設備投資と、そして、特に貨物輸送効率化の促進に関して対応するために、今回この法的措置をとらせていただきたいということであります。  産業業務部門については、熱源や動力などの大型の設備投資が今回の法改正によって加速されることが期待をしていますし、貨物分野においても、全体で六百七十万キロリットルもの省エネを見込む交通流対策ということを強化したいというふうに思っています。  それ以外にも、例えば、省エネ法トップランナー制度などによる次世代自動車普及、あるいは住宅、建築物のゼロエネルギー化などについて取組を推進していく。  これらのことをあわせて、省エネ見通しの達成に向けて着実に取り組んでいきたいと思っております。
  163. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 御答弁いただきました。  この五千三十万キロリットルの削減がしっかりと実現をされるように注視を今後もしていきたいと思っています。  次に、物流業界に対しては、ドライバー不足というレベルから、過剰サービス、積載率の向上といった課題があるわけでありますが、荷主の定義の見直し、準荷主に対する努力規定によって物流の効率化を強化することで、事業者との間に入る中小トラック事業者に負担のしわ寄せが生じるんじゃないかということを懸念しております。  そういった末端事業者への負担増については、さっき答弁の中で、別の委員の答弁でしたけれども、今から事業者にヒアリングをして対策を予定しているということでありましたけれども、制度だけ先に進んで対策が後手に回っている印象が残りますが、これは本当に大丈夫でしょうか。その点についてどのように考えられているのか、政府の御見解を伺いたいと思います。
  164. 松本年弘

    松本政府参考人 お答えいたします。  今回の法改正により物流が効率化されますと、中小トラック事業者にとっても有益な面がございます。一方、効率化を進めた結果、中小トラック事業者にしわ寄せが行かないような対策もあわせて必要です。  荷主や準荷主に対しては、改正法案を受けて改定等を予定している荷主判断基準や準荷主のガイドラインにおいて、中小トラック事業者意見をよくお伺いしつつ、中小トラック事業者に過度な負担を生じさせない事項を盛り込む予定です。  そのほか、国土交通省としては、トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドラインや運送委託者向けリーフレットの荷主等に対する周知、貨物自動車運送事業法の荷主勧告制度の発動要件の明確化などを実施しており、いずれにいたしましても、中小トラック事業者に対してしわ寄せが行くことのないよう十分配慮してまいります。
  165. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  時間的に最後の質問になるかと思いますが、新技術の活用による産業構造の転換を踏まえた省エネ取組について伺います。  近年の技術革新、これを考えれば、省エネ対策においてもAIやIoT、ブロックチェーンの活用は容易に考えられるところでありますが、こういった技術革新の中にあって、新たな事業形態ができたときにどのように対応するのか、また、どのように新技術を活用して省エネを進めるのか、今後も繰り返し問われていく課題だと考えております。  例えば、産業構造の転換でいえば、今後は、物、サービス、場所を多くの人と共有、交換して利用する社会的な仕組みであるシェアリングエコノミーによる共有型経済がスタンダードになる世の中が想定をされます。  その中で、例えば自動車、これでいえば、個人や会社で共有するカーシェアリング、こうしたものがあるわけですけれども、今のように主にタイムズのような事業者が顧客に貸すようなサービスだけではなく、個人間の貸し借りが行われるような、そんなサービスが出てくることもどんどんと想定をされ、シェアリングサービスが進んでくることが想定できるわけであります。  省エネ推進を進めるに当たっては、こうした現在の想定の事業者だけではなく、そういったことも含めて広く捉えていく必要があると感じておりますが、残念ながら、今、この第四次産業革命時代に対応した省エネあり方について、展望を踏まえた議論や想定が余りされていないように感じているんですけれども、これらの話を踏まえて、政府としてはどのように考えられていくおつもりであるのか、大臣の御所見を最後に伺いたいと思います。
  166. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 AI、IoTあるいはビッグデータの利活用というのは、これはもうエネルギーに関しても大きな影響を与えてくるというふうに思います。  省エネについても、例えば、サプライチェーンが全部ネット、データでつながることによって、製造工程が最も最適化されて無駄が出ないような仕組みによって省エネにつながっていくというようなこともあるのではないかというふうに思います。  あるいは、これは再生可能エネルギーと組み合わせることによって、これは分散型の電源になってくるわけでありますから、それをIT、IoTの技術あるいは人工知能を使って最適に配分をしていく、そのときには送配電網の考え方も根本から変えなければいけないとは思いますけれども。  そういったことは、我々、今回のエネルギー基本計画、あるいは二〇五〇年をにらんだ計画の中にもある程度織り込んでいっているつもりでございます。
  167. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 ちょっとシェアリングエコノミーの部分の答弁が漏れていたように感じましたので、また次回以降の議論でぜひさせてください。  ありがとうございました。
  168. 稲津久

    稲津委員長 次に、森夏枝君。
  169. 森夏枝

    ○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。  本日も経産委員会での大変貴重な質問時間をいただきまして、ありがとうございます。  本日は、景気回復期における政府規制の進め方、民間活力、省エネビジネスへの期待、中小企業への省エネ支援、法改正の影響などについて質問をさせていただきます。  我が国の景気は回復傾向にあるとされております。政府の統計等によれば、企業設備投資動向が緩やかながら増加傾向が見られております。また、最近の我が国の企業も、一時は海外へ工場等を移転する傾向が見られておりましたが、最近では円安の為替動向の動きもあり、国内回帰する傾向が見られております。  政府は経済政策としていわゆるアベノミクスを進めておられますが、我が国の景気回復の動きに対して、官民を挙げて一層確実なものとしていくことが必要になると思います。  私の地元京都でもお隣の大阪でも、大勢の外国人観光客が訪れるなどの動きもあり、関西の経済は緩やかに改善しているとされております。  このような関西の景気回復の動きを更に加速させるためにも、ことし十一月に博覧会国際事務局、BIE総会で決定される二〇二五年の万国博覧会招致を、既に閣議決定されておりますが、政府を挙げて御支援いただき、成功させる必要があると考えております。  さて、このような我が国経済の景気回復の動きの中での省エネ法改正案の審査であります。  省エネ法は、企業エネルギー消費規制するものであり、今回の改正内容も企業活動に対する規制の強化拡大になっていると言えると思います。  このため、私は、景気の回復傾向の動きの中で、企業に対する規制を強化するような本改正案が景気や企業活動にどのような影響があるのだろうか、何に注意しなければならないのかといった観点から質問をしたいと思っております。  経済を活性化していくためには、経済政策に取り組むとともに、政府規制をできる限り少なくして、企業の自由な経済活動を制約しないようにすることが必要ではないかと思います。  その意味では、これまでの政府による規制改革推進会議などによる規制緩和の推進や、自治体を主体とした特区の設置による規制緩和など、政府規制緩和に取り組んできたことも現在の景気回復の一因となっているのではないでしょうか。  これに逆行する政府による規制の強化は、景気に悪影響を及ぼす懸念があります。行き過ぎた規制は、経済を停滞させてしまうおそれすらあります。行き過ぎた政府規制が地域の経済にまで悪影響を及ぼした例をお話ししたいと思います。  経済産業省は、高度成長期に、都市部への産業、人口の過度の集中や環境悪化といった都市問題等を解決するため、一九六九年に工場等制限法、一九七二年に工場再配置推進法、一九七三年に工場立地法、いわゆる工場三法を相次いで制定し、大阪や東京などの大都市における工場等の立地規制を行いました。  東京は、工場以外にも首都としての役割がありますから、企業の本社も数多く立地し、工場三法による工場等の立地規制がなされても、日本の経済の中心として、大きな影響はないように見えます。  他方、大阪は工場三法の規制に大きな影響を受けました。工場等の流出が他の地域や海外に向けて加速するなど、大阪経済も長らく低迷を余儀なくされました。これについては大阪の経済界からも発言をされております。  もちろん、大阪の経済低迷は工場三法それだけが原因ではないと思います。ただ、大阪の経済界がコメントしているとおり、政府の行き過ぎた規制がそれほど地域によくない影響があったということ、いまだに地域ではそのように受けとめられていることだろうと思います。  私の考えでは、規制を強化するよりも、規制緩和を断行し、新たな民間活力を育成し、産業の振興と経済の活性化を図ることが望ましいと思います。  一方、今後のエネルギー需給や国際的な環境問題、CO2排出抑制における企業の社会的責任を踏まえると、省エネ法により一定規制を行うことはやむを得ないと思います。  そのような点から、省エネ法によるやむを得ない規制とはいえ、規制が行き過ぎたものとならないよう、できる限り必要最低限として、民間の活力に期待するのが本筋ではないかと思います。  政府はアベノミクスで景気回復を進め、企業の経済活動の活性化を図ろうとしている一方で、長期エネルギー需給見通しエネルギーミックス、二〇一四では、二〇三〇年度の省エネ目標五千三十万キロリットルと定めて、野心的な省エネを進めようとしております。ちなみに、二〇一五年時点ではいまだマイナス六百万キロリットルであり、進捗状況は一一%にすぎません。  政府の行き過ぎた規制の例として大阪の話をしましたが、行き過ぎた規制企業活動をかえって萎縮させてしまうおそれもありますし、それによって地域経済が低迷する事態を招くおそれもあり得ます。  そこで、お伺いいたします。  政府は平時にオイルショック後並みの省エネが必要とのことですが、今回の改正は自由な企業活動を抑制するような行き過ぎた規制となっていないか、世耕大臣の御認識を伺いたいと思います。  また、景気回復の加速と省エネ法による規制の強化とは施策の方向としては相反しているように思われます。世耕大臣はこの景気回復と規制の強化という二つの施策をどのように両立していくおつもりなのか、基本的な認識をお尋ねしたいと思います。     〔委員長退席、平委員長代理着席〕
  170. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 当然、行き過ぎた規制があってはならないと思いますし、民間事業者の自由な活動を縛ることは最小限にとどめておかなければいけないと思っています。  今回、この省エネ法規制は、事業者による自律的、自発的なエネルギー消費効率改善を求めて、そして生産性を高める企業活動を促すものであります。今回改正法措置をする、例えば連携省エネ計画認定制度についても、税制措置などの支援策と相まって、そうした事業者省エネ取組の選択肢をふやすことによって、逆に企業の活発な活動を促していくということを趣旨としているわけであります。  また、荷主規制の見直しについても、物流効率化を図ることによって省エネ実現するという取組は、それと同じく、輸送コストの合理化にも資することになるわけであります。そのコストを負担する荷主事業者生産性向上につながる企業行動を促すものであります。  また、共同輸配送といった荷主輸送事業者などの連携した省エネ取組を促すことは、競合他社や異業種間であっても、省エネを通じて、輸送部門における合理化に挑戦する事業者の創意工夫を喚起することになるわけでありまして、そういう意味で、景気回復の加速と省エネ規制の強化というのは、相反するのではなくて、ともに相乗効果を生んでいくことになることを期待をしております。
  171. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  行き過ぎた規制とならないよう、しっかりと対応をお願いしたいと思っております。  最近の統計では、民間の設備投資動向や工場の国内回帰も進んでいるとされております。民間設備投資や工場の立地の増加は、景気回復によい影響をもたらすものと思われますし、そればかりでなく、例えば工場で最新の効率のよい製造ラインに切りかえるなど、結果として省エネ効果をもたらしている面もあると考えます。  省エネ法改正がこのような設備投資や工場の立地の動きに対して具体的にどのような影響をもたらすのか、世耕大臣の認識を伺いたいと思います。
  172. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 省エネ法は、事業者に対してエネルギー消費を一律に制限するものではなくて、省エネ設備投資などを通じてエネルギー消費効率を高めることを促す制度、これが本質であります。  今回の改正法は、企業個社単独の省エネ取組に加えて、企業間の連携による省エネ取組を新たな対策の選択肢として提供するものであります。設備投資動向や工場立地の動きを阻害するどころか、むしろその流れを後押しするものになるというふうに思っています。  今回の法改正に合わせた税制措置補助金などの支援策も活用していただくことで、そしてまた、既に成立しております補正予算ものづくり補助金ですとか、あるいは、先日参議院で成立をしました生産性向上特措法による固定資産の減免、ゼロにできるというような制度も活用していただきながら、設備投資拡大に寄与してまいりたいというふうに思います。
  173. 森夏枝

    ○森(夏)委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。  現場では少し不安の声も聞いておりましたので、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。  企業の活力を引き出して施策効果的に運用するためには、規制の強化を図るだけでなく、企業省エネ取組を促す仕組み、規制緩和的な施策も必要ではないかと思われます。この点で、省エネ法や今回の改正企業の活力を引き出す仕組みを何か準備されているのでしょうか、政府の認識を伺います。
  174. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  省エネに向けた取組は、事業者が自主的に取り組むことが重要でありまして、法執行につきましても、めり張りをつけて事業者省エネ取組を促していくことが必要と考えております。  これまでも、省エネ法の法執行におきましては、事業者のクラス分け評価制度導入いたしまして、事業者省エネ取組状況に応じたきめ細かな指導助言や、優良事業者を公表するなどの取組をしてまいりました。  また、今回の法改正におきましても、複数事業者による連携省エネ評価対象とするとともに、エネルギー管理が一体のグループ企業省エネ法義務の一体的な履行を認めまして、子会社などに課せられていた定期報告などの義務をなくして、事業者の負担軽減を図る、それとともに、グループ全体の報告に基づいて省エネ取組評価することで、費用対効果考えためり張りのある省エネ取組が進むことを期待しております。  また、現行法では一年に一度の提出を求めております中長期計画につきまして、省エネ取組が優良な事業者につきましては、数年に一度の提出といたしまして、中長期計画を毎年度細かく国が確認する必要はなく、計画期間中は自主的で柔軟な取組に任せることで、効率的かつ効果的な省エネ取組が促されることを期待しております。  このような取組を通じまして、企業の活力を引き出しつつ、事業者省エネ取組を促してまいりたいと考えております。
  175. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  企業の活力を引き出す仕組み、しっかりとお願いしたいと思います。  次に、民間の活力を生かした省エネの取り組み方について質問したいと思います。  産業の振興と経済の活性化を図るためには、規制緩和とともに、新たな民間の活力を育成することも重要だと思います。省エネに関連した新たな民間活力として、近年では、新たな技術等を活用した、いわば省エネビジネスと呼べるような新たな取組が始まっていると聞いております。  例えば、AI、IoTなどの省エネ取組への活用です。  当委員会でも、これまで何度となく、AI、IoTの活用が取り上げられてきていると思いますが、民間では既に、AI、IoTなどを活用した省エネ取組を実施している企業があるほか、これをビジネスとして企業に提供する会社もあると聞いております。具体的には、工場のラインやオフィスビルなどのエネルギー消費状況を常時学習して、企業エネルギー使用状況を診断したり、具体的な節電ポイントを提案したりと、さまざまな種類があるようです。  このような省エネビジネスは、今後、我が国が省エネを促進していく中で、政府による省エネ法規制とともに、民間の活力による自主的な省エネ取組として、私も大いに期待をしているところでございます。  そこで、政府に伺います。  政府としては、このような民間の省エネビジネスをどのように認識しておられるのか、我が国の今後の省エネ取組を進めていく中でどの程度の効果をもたらす可能性があるのかなど、省エネビジネスに対する政府の見解を伺いたいと思います。
  176. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  省エネは、エネルギーコストの削減によりまして、事業者消費者は必ずメリットを享受できるにもかかわらず、初期投資コストですとか、あるいは気づきの機会の不足などによりまして、その取組が進まないといった課題が存在しております。  そうした課題に対しまして、省エネのノウハウを有しており、企業に対して省エネの提案やその実行に係る支援サービスを提供する省エネビジネスを手がける民間事業者、サードパーティーと呼んでいますけれども、その役割が極めて重要であります。また、事業者がサードパーティーの省エネビジネスを活用することによって、省エネ機器の導入にとどまらず、その専門的知識による省エネ効果の深掘りが期待できるところです。  例えば、省エネ補助金の活用実績におきましては、エネルギーマネジメントシステムを導入して、設備の最適制御などエネルギー管理支援サービスを提供するエネマネ事業者、その活用によりまして、省エネ設備投資を単独で事業者が行う場合に比べて平均して四%程度の省エネ効果の深掘りも得られているところでございます。
  177. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  このような民間の省エネビジネスの促進をするために、政府は今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、基本的な見解を伺いたいと思います。
  178. 高科淳

    高科政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、企業省エネを進めるには、省エネのノウハウを有しており、企業に対して省エネの提案やその実行に係る支援サービスを提供する省エネビジネスを手がけるサードパーティーの役割が極めて重要であります。  例えば、事業者がサードパーティーの省エネビジネスを活用することで、省エネ機器の導入にとどまらず、その専門的知識による省エネ効果の深掘りが期待できます。  そのため、政府といたしましては、補助制度やガイドラインの整備などを行いまして、サードパーティーの活性化を図っているところでございます。  例えば、各地域できめ細かに中小企業等の省エネ取組をサポートする省エネルギー相談地域プラットフォーム、これの全国展開、あるいは、エネルギーマネジメントシステムを導入し、設備の最適制御などエネルギー管理支援サービスを提供するエネマネ事業者の活用につきまして、これは、省エネ設備投資支援補助金におきまして制度的に優遇しております。  それから、ZEHビルダーとかZEBプランナー、こうした方々による省エネと快適性を両立させる住宅、ビルのゼロエネルギー化の促進、あるいは需要家と直接接点を有するエネルギー小売事業者による省エネ情報や省エネサービスの提供の促進、こういったことを進めているところでございます。  引き続き、省エネビジネスの活性化に向けた施策を適切に講じてまいりたいと考えております。     〔平委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございました。  私も、省エネビジネスには大変期待をしておりますので、しっかりとお願いしたいと思います。  次に、中小企業における省エネ取組の観点から質問をしたいと思います。  中小企業の重要性については、これまでの我が党の谷畑委員質疑の中でも何度も発言をしてきたところだと思いますが、この省エネ法は、規制のレベルは緩やかとはいえ、中小企業にも適用されます。  中小企業省エネという点でいえば、大企業と比べ、数の割合は大きいものの、個社のエネルギー消費量は大きくないとされておりますし、省エネ対策として、体制や資金等の面でもなかなか困難であろうと思います。このようなことから、中小企業省エネ取組がまだまだ進んでいない中で、また政府支援も行き渡っていないのではないかと懸念をしております。  全国には、小さな作業場で職人さんが作業しているような小さな町工場が数多く存在しています。省エネ効果拡大のためには、このような中小企業、小規模企業に対しても省エネ取組を求めていく必要があると思います。私としても、政府が今後省エネ取組を進めていく上で、大企業だけでなく、中小企業に対してどのように省エネ取組を加速していただくかが課題ではないかと思っております。  そこで、政府に伺います。  我が国の省エネ取組において、中小企業省エネ取組の現状をどのように認識されているのか、政府の見解を伺いたいと思っております。また、これまで政府中小企業に対してどのような支援を行ってきたのか、その効果はどうなのか、政府の見解を伺いたいと思います。
  180. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  大企業と比べまして、中小企業はなかなか省エネへの投資が進んでいない、そういった現状があると考えますが、そうした中で、省エネ設備投資に係る補助金の執行におきましては、その申請手続の簡素化などを通じまして、中小企業が使いやすいように工夫を講じる、それから、それと同時に、採択の審査のときに加点措置を講じまして優先的に採択する、そういったことを行いまして、中小企業者の省エネ設備投資を促進しているところでございます。  ちなみに、平成二十九年度の省エネ補助金の採択実績においては、工場、事業場単位で五五・五%が中小企業となっておりまして、これらの企業について、平均して二二・五%のエネルギー消費量の低減が実現されております。  それに加えまして、無料の省エネ診断や、各地域の省エネルギー相談地域プラットフォームにおけるきめ細かな省エネ相談の実施など、中小企業省エネ取組支援を引き続き進めておりまして、省エネルギー相談地域プラットフォームにつきましては、平成二十九年度は五百七十四事業者に対して支援を行ったところでございます。
  181. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  先ほどの質問で、民間活力としてAI、IoTなどを活用した省エネビジネスの活性化について発言しました。これらについても、いずれ世の中に広まっていき、価格が安くなり、また操作性も上がるなど、中小企業にも使いやすくなってくるものと期待をしております。  このため、中小企業省エネ取組を促進する観点から、AI、IoTなどを活用した省エネビジネスの活性化が期待されるところですが、どのような支援策考えられているのか、政府の見解を伺います。
  182. 高科淳

    高科政府参考人 今委員指摘のとおり、AI、IoTを始めとした新技術は、中小企業がさらなる省エネを進めるために有効な手法である、それと同時に、新たな省エネビジネスの機会となると認識しております。  長期エネルギー需給見通しにおきましても、例えば、設備単位のエネルギー使用量をリアルタイムで計測、収集し、最適な制御に生かすエネルギーマネジメントシステムの導入により、産業、業務、家庭部門合計で約四百八十万キロリットルの省エネを見込んでおりまして、工場などの設備省エネ化や、省エネ住宅、ビルの普及を促進するための補助金などを設置して、その普及に努めておるところでございます。  また、運輸部門におきましては、トラックの走行状況をリアルタイムで把握いたします車両動態管理システム、これを活用いたしました、荷主貨物輸送事業者などの連携による省エネを見込んでおりまして、今般の改正法案連携を促すとともに、補助金措置することによって、その導入を進めていくこととしております。  引き続き、中小企業省エネ取組の促進のために、省エネ法による規制のみならず、予算による支援策も含めて、その普及を更に進めていきたいと考えております。
  183. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  今回の省エネ法改正では、企業同士の連携した省エネ取組認定する制度が設けられております。私は、このような制度自体は、省エネの推進に資するものであり、否定するものではございませんが、中小企業のことを考えたときには、制度の運用には気をつけて行わなければならないのではないかと思われる点があります。  例えば、取引上立場の弱い中小企業が、企業間の力関係を背景として、大企業から連携を求められ、中小企業に不利な省エネ配分が強要されたりはしないか、また、設備集約と称して、中小企業の持つ技術、ノウハウまで取り上げられるようなことにはならないかなどを懸念をしております。  政府においては、今後、連携省エネ制度の運用において、取引上立場の弱い中小企業が不利益をこうむることのないようにどのように目配りをしていくのか、政府の見解を伺いたいと思います。
  184. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  連携エネルギー計画認定に当たりましては、連携する事業者から、連携前後のエネルギー生産量を申請させまして、それを評価することによって、適切な申請となることを担保しております。  また、認定後につきましても、計画の内容に示された省エネ取組の実態がないと判断される場合には、認定を取り消すこととしております。  適切な評価とか運用、これを行うことによりまして、取引上立場の弱い中小企業が不利益をこうむることのないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  185. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  中小企業への影響を大変心配しております。政府にはしっかりと対応してほしいと思っております。  少し早いですが、以上で終わります。ありがとうございました。
  186. 稲津久

    稲津委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十六分開議
  187. 稲津久

    稲津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉木武志君。
  188. 斉木武志

    ○斉木委員 では、午後の審議を再開したいと思います。世耕経産大臣、よろしくお願いいたします。  午前中の委員会でも触れられておりましたけれども、二日前に経済産業省からエネルギー基本計画の素案が出てまいりました。省エネ法案の土台となる案ですので、このエネルギー基本計画において、特に、今、私の地元で、日本で稼働している原発五基のうち四基が動いております。八割を引き受けている地元として、エネルギー基本計画における今後の原子力の位置づけ、これについて世耕経産大臣にお伺いしたいというふうに思います。  まず、世耕経産大臣に伺います。  今回のこの第五次エネルギー基本計画骨子案、私も拝見をいたしましたが、リプレースと新増設、これが一切盛り込まれておりませんでした。ということは、今の自民党政権、御党の政権として、これは原子力ゼロの社会を目指すという意思表示なんでしょうか。
  189. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 政権の方針は、あくまでも、可能な限り原発依存度を低減するということであります。
  190. 斉木武志

    ○斉木委員 原子力の寿命、運転可能年限は何年でしょうか。
  191. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 四十年、延長をした場合は六十年ということになります。
  192. 斉木武志

    ○斉木委員 ということは、二〇三〇年以降、二〇%から二二%という原子力の比率も明記されておりましたが、廃炉も同時に相次いでいきます。  例えば、私は今福井二区で、八割の原子力、日本で動いておりますが、十五基中七基は廃炉です、「もんじゅ」を含めて。これからどんどんどんどん、あの高浜の一、二であるとか、大飯の一、二であるとか、廃炉が進行していくわけです。これは、日本じゅう、どこの原子力発電所についても同じです。  要するに、マックスで、最大で六十年しか運転の可能年限はないわけです。ですので、それを建てかえたり、新たに新増設をしない限りは当然ゼロになるのは、これは小学生でもわかる理論なんですけれども、なぜ今回、リプレースや新増設というのを見送られたんですか。
  193. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 基本的には、今回のエネルギー基本政策は、二〇五〇年について述べている一つの章を除いて、二〇三〇年のエネルギーの姿をあらわしているわけであります。  現時点で、二〇三〇年を見通した場合に、新増設、リプレースがなくても、我々がお示しをしているエネルギーミックスは達成可能だというふうに考えております。
  194. 斉木武志

    ○斉木委員 では、二〇五〇年はどんなエネルギー社会を思い描いていらっしゃるんでしょうか。
  195. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 二〇五〇年に、これはパリ協定で温室効果ガスの削減八〇%ということになっているわけですが、これを実現するには従来の議論の延長ではとても実現困難な話でありまして、これは主にエネルギー情勢懇談会で御議論いただいたわけでありますが、CCSや再エネ、蓄電など、ゼロエミッションにつながるあらゆる選択肢の可能性を議論する中で、その中で、当然、原子力発電所もゼロエミッションでありますから、原子力についてもその位置づけについて多面的に議論がなされていくものと考えております。
  196. 斉木武志

    ○斉木委員 多面的な議論が行われていくものと承知をしている、しかし、数字は一切示さない、そして、リプレースや新増設に関しては触れないということで、まさにこれは玉虫色、どういうふうに読んでいいのかよくわからないというのが、私の感想ではなくて、福井二区、私の選挙区ですけれども、今八割の原発が、日本で稼働しているのが集中している地元で、きのうおととい発表されたこのエネルギー基本計画、どう見たらいいんだろうかと非常に困惑の声が広がっているのが事実なんです。  この立地自治体の困惑の声、要するに、政府として原子力ゼロの社会を目指しているようにも読めるし、原子力を今後推進していくようにも読める。どう読んだらいいんですか、福井県は。
  197. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 少なくとも、我々が今取りまとめつつあるエネルギー基本計画において、原子力ゼロとは読めないと思いますよ。我々は明確に、これは可能な限り依存度を低減すると申し上げていますし、先ほど申し上げているように、新設、リプレースがなくても、二〇三〇年のエネルギーミックス実現可能だということを申し上げているわけであります。  政府考え方は、ぜひお地元にもお伝えいただきたいと思いますが、責任あるエネルギー政策を実行するためには、原発の活用は欠かせないというふうに考えています。その点も、エネルギー基本計画には、今度、今検討中の素案には明記をされているわけであります。  なお、まずは安全最優先の再稼働に全力を傾けるということが重要だというふうに考えておりまして、あくまでも、現時点においてはそれを最優先で取り組むわけでありまして、原発の新増設、リプレースは想定をしていないということになるわけでございます。
  198. 斉木武志

    ○斉木委員 これは、この計画を読み解くと、一部に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源が原子力であるというふうに明記されております。一方で、今大臣のおっしゃったとおり、可能な限り依存度を低減させる、これも明記されている。これは一体どういう脈絡なんだろうか。時間差があるということなのか、単に事実を並べて書いているだけなのか、どういう脈絡なんですか。
  199. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 エネルギーミックスの中であるべき姿はお示しをしているわけでありますけれども、しかし、二〇三〇年を見た場合も、また、さらに、二〇五〇年を見た場合、これは本当に技術がどうなるかというのはなかなか予見の難しいところもあるわけであります。  我々だって再生可能エネルギーを主力電源として扱っていきたいと思いますし、再生可能エネルギーが自立した主力電源になるということは、蓄電その他が技術的にもコスト的にもきちっと成り立つようになってきて、それが再生可能エネルギーとセットで使われるのであれば、これは再生可能エネルギーベースロード電源になってきて、また原発の役割は変わってくることが将来あり得るかもわかりませんが、いずれにしても、現時点で、我々は、見通せるところということで、エネルギーミックスという姿、そして、このエネルギー基本計画の素案という姿をお示しをしているということでございます。
  200. 斉木武志

    ○斉木委員 ただいまの私の質問は、実は私の質問では、言葉ではありませんで、おとといの審議会で西川一誠委員が発言されたコメントを私は今コメントいたしました。  西川一誠委員は福井県知事でございます。立地自治体を代表して、唯一、委員としてこの審議会に出席をされて、立地地域の代表者ですね、その西川知事が、ともかく、この原子力発電の位置づけって、これはどういう脈絡なのかわからない、そして、我々立地地域はこのままでは非常に困る、要するに、政府としてどっちの方向を向いているのかわからないというのを、立地自治体の代表する委員、県知事がおっしゃっているんですがという前提でお聞きになって、これはどういうふうに思われますか、この立地地域の知事の御発言を。
  201. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 まさにこのエネルギー基本計画を取りまとめるに当たって、立地地域を代表して御意見を言っていただきたいという思いで西川知事にはメンバーに入っていただいているわけであります。もちろん、西川知事がおっしゃったということは、私もつぶさに伺っております。  しかし、その上で、これは西川知事も含めて、あるいは原発に関して少し距離を置いている有識者も含めて、いろいろな立場の方々が最終的に合意をして、素案に関して座長一任という形になっているわけでありますから、この素案に尽きるんだろう、これが全てのアウトプットだろうというふうに思っております。
  202. 斉木武志

    ○斉木委員 ちょっとそれは立地地域にとっては随分冷たいお言葉だなというふうには思うんですけれども、私も、地元の方々、十五基の原発全部、福井二区に集中しておりますので、よくお話をするんですが、非常にプライドを持っていらっしゃるんですね。これまで国策に協力をして、国がやってくれという原子力発電を我々の地域で一手に引き受けてきた。だから、今、日本で動いている原発の八割は地元にあると。  その地元の方が、今度、敦賀市長を始めとして、今回のこのエネルギー基本計画に非常に困惑をし、落胆をしている。それは要するに、玉虫色だと。一番、この西川委員、知事もおっしゃっておりますけれども、まさに、この文案はロマンチックだ、現実的に厳しさを入れてもらう必要がある、幾つか核心に、ターゲットに近いところをさわっていないということを明言していらっしゃいます。敦賀市長も同様にですね。  要するに、このままだと、引き受けてきたけれども、このまま国についていって、これまでどおり推進で、地域の雇用も回していくのか、産業の中核として原子力に頼っていけるのか。それとも、国が将来的に依存度を低減をするというのであれば我々は別の道も模索しなければいけないのか。当然、それは知事も市長も考えますよ。どっちを考えたらいいんですか。
  203. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 いろいろな考え方がある中で、逆に、我々政権としては、あるいは与党としては、明確な考えを述べていると思いますよ。我々は、原発はゼロにはするとは言っていないわけであります。今回の素案の中でも、原発の活用は責任あるエネルギー政策を実行するためには欠かせないということも明記をしているわけです。  私も福井県に何回も行っています。知事とも市長とも何度もお話をしています。立地している原発の安全状況も確認をし、そこで働く人たちともコミュニケーションをとってきています。これまで福井県がやってこられたエネルギー政策への貢献に関しては、私は、高い敬意を持っているつもりであります。  そういう意味で、我々は、原発の活用は欠かせないということを明確にし、可能な限り低減はするけれども、原発の活用は欠かせないということを明確にさせていただいて、この素案をまとめさせていただいているわけであります。  これからパブコメもとらせていただきますから、もし御党も何かお考えがあるのであれば、党としてきちっと述べていただくということも一つの選択肢ではないかということを申し上げておきたいと思います。
  204. 斉木武志

    ○斉木委員 もちろん、党内議論を経て、しっかりとしたコメントを出していきたいというふうに思いますので、ぜひ傾聴していただきたいなと思っております。  今、もう一つ気になった発言があったんですけれども、我が党は、現政権として原子力は、ちょっと確認なんですけれども、ゼロにはしない、でも低減はする。ということは、今回、このエネルギー基本計画で言っている可能な限り原子力への依存度を低減していくというのは、ゼロにはしないけれども減らしていくという理解でいいんですか。
  205. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 それも、過去の閣議決定あるいはエネルギーミックスの際に明らかになっていますが、震災前、三割の依存度であったものを可能な限り減らす結果が、今描けている姿としては二〇から二二ということであります。
  206. 斉木武志

    ○斉木委員 そして、またもう一つ確認させていただきたいんですが、ゼロにはしないということですと、私が冒頭申し上げたように、将来的には必ずリプレースや新増設を選択しなければいけないんですが、それも考えていないとおっしゃいました。矛盾しておりませんか。
  207. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 全く矛盾はしていません。  現時点でも、新設、リプレースがなくても、二〇三〇年、二〇から二二%というのは達成可能であるというのが我々の試算です。もちろん、それを目指すために安全を無視するなんということは絶対にあり得ないわけですから、安全最優先での再稼働ということが大前提になりますけれども、それは全く矛盾しないというふうに思っております。
  208. 斉木武志

    ○斉木委員 私は、二〇三〇年というのは、もうあと十二年後ですから、かなり射程に入っている。原子力は六十年サイクルの計画ですので、かなり近未来の話をしているなと思います。ですので、六十年サイクルということは、今例えば新設すれば、二〇八〇年ぐらいまで使うことになる。巨大な装置産業ですので、やはり早目早目にこのプランというのを示さないと、まさに、立地自治体としてはついてこれないというのが正直なところだと思うんですね。  ですので、このリプレースや新増設をどう政府としてお考えなのかというのは聞かざるを得ないなというふうに思っておるんですけれども、二〇三〇年は、そうすると、二〇から二二は原子力で賄うという計画だと。ただ、じゃ、その先の、今、新増設するか、そしてリプレースするかというのは、まさに二〇五〇年のエネルギー構成に大きくかかわってくる話なので、そこを知りたいというのが地元の声なんですよ、立地地域の。  要するに、三〇年はわかりました。ただ、五〇年、明記されておりません。その環境によりますということだと思うんですけれども、そうすると、この二〇三〇年以降に関しては、要するに、今から少し時がたてば、今は考えていないとおっしゃいましたけれども、リプレースや新増設に関しては考えたり、盛り込むお考えがあるということでしょうか。
  209. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 二〇三〇年については、今申し上げたように、現時点では新設、リプレースは考えていないということでありますが、二〇三〇年までにエネ基の見直しもまだあり得るわけでありますから、そのときのことを今予断を持って申し上げるわけにはいかないと思っております。  また、二〇五〇年をにらんだ場合には、これはエネルギー情勢懇談会の報告にも入っているように、原子力についても、これは新しい技術開発もいろいろと起こってきているわけですから、そこについては予断を持たずに、きちっとそういった技術についても検討をしていくということでございます。
  210. 斉木武志

    ○斉木委員 やはり核心、ターゲットに触れないという部分は貫かれているように思いますけれども、やはり私も地域の代弁者として、これまで国策に協力されてきている御地元のプライドであり、そして事情というものをしっかりと酌んでいただいて、国の政策にはぜひ担当大臣として生かしていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。  そして、もう一つ論点が出てきておるんですけれども、私のこの福井県嶺南地域というのは「もんじゅ」も存在をしておりまして、高速増殖原型炉ですね、高速増殖炉というのは、核燃サイクルにおける中核施設であると私は考えております。プルサーマル、軽水炉サイクルと高速増殖炉サイクルという二つのサイクルを回していくのが核燃サイクルでございますけれども、中核施設である「もんじゅ」が、高速炉サイクルの「もんじゅ」が廃炉を決定し、七月、この夏からいよいよ炉心からの燃料の取り出しが始まって、廃炉作業が本格化してまいります。  「もんじゅ」が、これまで巨額の一兆円近い国費を投入して、こういう結果になってしまった。一方で、六ケ所村の再処理施設も稼働を全く見通せない状況である。この状況下で、核燃サイクルは着実に推進をしていくと明記もされているんですが、これは、まず核燃サイクルは、要するに、高速増殖炉サイクルは諦めて推進するのか、それとも、あくまで高速炉サイクルと軽水炉サイクル両方これからも追求して、核燃サイクルとして国の中核の位置づけをされていくということなんでしょうか。
  211. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 これは政府として整理されている考え方がありますから申し上げておきたいと思いますが、政府としては、まず、高レベル放射性廃棄物の量の減少や放射能レベルの低減、そして資源の有効利用などの観点から、核燃料サイクルの推進を基本方針としていまして、これらの意義は、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を受けても何ら変わるものではありません。  引き続き、関係自治体や国際社会の理解を得ながら、直面する課題を一つ一つ解決をしながら、安全を最優先に核燃料サイクルを推進してまいりたいと思います。
  212. 斉木武志

    ○斉木委員 核燃料サイクルが日本で構想された当時と、そしてこの二〇一八年というのは、大分世界の、地球の環境は変わっていると思うんですね。  一つがウランの価格です。当時、日本政府がこの核燃料サイクルにかじを切った当時は、原子力発電がこれから夢のエネルギーとして、あらゆるものが、車も何もかも原子力で動くんじゃないか、ウランの争奪戦が始まってウランの価格が高騰する、その前に、日本に輸入したウランを回していって、国産燃料としてプルサーマルでやるべきじゃないか、そういった思惑で、未来予想図で始まった計画だと私は承知をしております。  一方で、今、じゃ、ウランの価格はどうなのか。ウランは今、石炭よりも安い価格になってきている。これだけ安い、石炭より安いものを一兆円や十兆円の巨費を投じて発電の用に供していく、これからもこの高速炉開発計画、「もんじゅ」の廃炉を受けても維持をするというのは、コストの面からも非常に国民の納得を得るのは大変な作業が待っていると思うんですが、そのあたりはどうお考えですか。
  213. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 使用済み燃料を再処理して、そして回収するプルトニウムなどを有効利用するこの核燃サイクルについては、一つはコスト面とか資源の有効利用という面もこれまでの議論ではあるわけでありますが、それだけではなくて、高レベル放射性廃棄物の量が大幅に減るという点ですとか、あるいは放射能レベルの低減といったメリットがありますので、政府としてはそういった観点も踏まえながら取り組むこととしたいと思います。
  214. 斉木武志

    ○斉木委員 やはり、エネルギーの議論のときに発電コストであるとかいうのは切っても切り離せない、まさに経済産業委員会ですから、経済性のあるエネルギー計画を立てなければいけないというふうに思います。そこはぜひ今後も注視をして、私もたびたび取り上げさせていただくと思いますけれども、注視をしながら、エネルギーのかじ取りをしていただきたいなというふうに思います。  きょうは、その「もんじゅ」の担当者の方にも来ていただいておりますので、七月から本格化する廃炉作業について、特に技術的な課題についても伺いたいというふうに思います。  ここ以降は参考人にお聞きしたいというふうに思います。  きのうの原子力特別委員会参考人にもお聞きした内容なんですけれども、七月から始まる炉心からの燃料の取り出し作業、特に国民や敦賀市民の方から、やはり液体ナトリウムが充満している炉心からこの使用済みや使用前の核燃料を引き抜いて、しかも、これを水で緩やかに反応させながら、一気に爆発現象や火災現象が起きないような形にしていくという方法、工法が発表されております。  一方では、やはりナトリウムというのは水につけると爆発する性質を持っておりますので、非常に、液体ナトリウムに満たされている炉心から使用済み燃料を取り出して、その液体ナトリウムを取り除いて、安全にこれを行えるのかどうかという疑念が多くの方から提示されておるんですけれども、そこは、まず具体的にどのような工程でこの使用済み燃料から液体ナトリウムを分離するというふうになさるんでしょうか。御説明をお願いします。
  215. 伊藤肇

    伊藤参考人 ただいまの先生の御質問にお答えいたします。  「もんじゅ」の燃料、ただいま、炉心にも三百七十体、それから中間的に貯蔵しておりますところに百六十体の燃料がございます。まずこの燃料五百三十体を洗浄してプールの方に移送するという計画を立ててございまして、こちらについては、今後五年をかけてそういう作業をする予定にしてございます。
  216. 斉木武志

    ○斉木委員 私がお聞きしたいのは、今質問でも触れましたが、ナトリウムは非常に、空気中の水分と触れても発火したり爆発をしたりするという厄介な性質を持っております。  これを、私が説明を受けたのは、アルゴンガスを充填した、アルゴンガスというのは不燃性ガスですので、酸素がないから発火現象は起きないという理屈で、アルゴンガスが充填された空間、洗浄設備に炉心から引き抜いた使用済み燃料をまず移す。そこに水蒸気をばあっと入れていって、最後はほぼ水蒸気で満たされたような空間にまで持っていく。その過程で、水酸化ナトリウムと水素に分ける。水素濃度を二%以下に抑えるので発火現象は起きませんという説明だったんですけれども、福島の事故でも明らかになったのは、ヒューマンエラーであるとか自然の脅威であるとか、やはり人間の想定をしていないところで事故は起きるんですね。これはやはり福島から得られた知見だと思います。「もんじゅ」でも、これまでやはりヒューマンエラーによる事故というのはたびたび起こっております。  ですので、この使用済み燃料から液体ナトリウムを分離する作業でも、例えば、蒸気を満たしてしまった、一〇〇%蒸気で満たされたような、若しくは液体の水の中に使用済み燃料を過って入れてしまえば爆発するのではないか、そうしたらその使用済み燃料が飛散をするのではないか、こういった疑念というのは当然国民も市民も持つと思うんですけれども、こういった危険性はないということですか。
  217. 伊藤肇

    伊藤参考人 この燃料の処理の段階の安全確保というためには、ハード面、ソフト面、両方の対策が必要と考えております。  まず、ミスを少なくするという意味では、操作員に対しましては、操作手順、それから基本動作を徹底するための教育を繰り返し今実施してございます。さらに、操作ミスをしづらい、例えば機器の表示、それから作業時の立会いの強化等のヒューマンエラー防止対策も、ハード面、ソフト面、両面から着実に実施してまいります。  次に、洗浄設備につきましては、仮に洗浄作業中に操作員が過って弁を開閉するような誤った操作を行った場合でも、インターロックという安全機能が作動しまして、弁は開閉せずに、洗浄作業に影響のあるようなそういう事象は発生しないような、そういう設計がなされております。  また、洗浄作業につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、化学的に不活性なアルゴンガス中で水蒸気を加えて、緩やかに表面に付着しておりますナトリウムを反応させる手順でございます。  万が一、この蒸気洗浄が、過って、例えば蒸気洗浄前に水を注入するというような操作をいたしましても、先ほど言いました安全機能が働きまして水が注入できないような、そのような設計になってございます。この設計を担保するために、点検等を確実にやっていきたいというふうに考えております。
  218. 斉木武志

    ○斉木委員 インターロックが作動するので大丈夫だという御答弁だったんですけれども、まさにこれも福島の知見なんですが、そういったセーフティーデバイスが働かない、故障して働かない事態も考えられます。ヒューマンエラーが起き、そして不測の機器の故障が起き、それでもなお、そのインターロックが動かなくても、爆発、発火現象は起きないんでしょうか。
  219. 伊藤肇

    伊藤参考人 お答えいたします。  ナトリウムの洗浄時には、確かに水素が発生してまいります。ただし、この水素の発生量は、空気中でも燃焼しないレベルのものであるということを確認しておりますし、さらに、先ほど申し上げましたように、不活性ガス中での反応でありますので、燃焼、ましてや爆発を起こすようなことは、決してございません。
  220. 斉木武志

    ○斉木委員 きょうは規制側の原子力規制庁の方にも来ていただいておりますので、今機構側がおっしゃられた手順、ナトリウムが、ヒューマンエラーやデバイスの故障が起きても爆発、発火は起きないということだったんですけれども、規制庁もそのように廃炉の安全性を評価されているんでしょうか。
  221. 青木昌浩

    青木政府参考人 お答えいたします。  原子力規制委員会としましては、「もんじゅ」の廃止措置計画、こちらを審査して、ことしの三月に認可を行いましたが、その審査におきまして、まず、放射線の影響からの安全性ということで、燃料体取扱い中の燃料体一体の落下によって、放射性物質であります希ガスや沃素が放出される事故を想定しまして、敷地境界外の公衆への影響が小さいことを確認しております。  その上で、核燃料物質を取り扱う設備の一つであります燃料洗浄設備についての先生からの御質問でございますけれども、まず、そもそも燃料体に残留付着しておりますナトリウムの量、こちらが、原子力機構の過去の実績から基づく想定する量が小さいこと、そもそも反応するナトリウムの量が小さいこと、それともう一つは、先ほどから指摘されておりますように、そもそも作業がアルゴンガスの雰囲気で行われる、この二つを考えると、水素の燃焼といった可能性は小さいと考えております。  いずれにしましても、機器の故障やヒューマンエラーの発生を低減して、燃料取り出しを安全かつ着実に進めることは事業者の責任でありますし、原子力規制委員会としても、現在までも、もんじゅ廃止措置安全監視チームにおきまして、設備の点検、運転員の訓練ですか、こういったものがしっかり行われていることを確認しておりますので、こういった監視を続けてまいります。
  222. 斉木武志

    ○斉木委員 審議官に重ねてお伺いしたいんですが、今、小さいとおっしゃいましたね。水素が燃焼する可能性は小さいということなんですが、ゼロではないということなんですか。起こり得るということなんでしょうか、化学的に。
  223. 青木昌浩

    青木政府参考人 お答えいたします。  先ほどから福島第一原子力発電所の教訓という話がありましたけれども、規制当局としましては、絶対安全とか、リスクはゼロということは考えておりませんで、当然、そういった措置をとったことによって、もちろん、アルゴンガスが充填されるという状態が確保されているのであれば、これは化学的に起きません。ただし、それが何らかの要因によって可燃性のものに置きかわるということはありますので、そういうことも考えれば、私は、リスクはゼロとは言えないということで、可能性は小さいということで説明させていただきました。
  224. 斉木武志

    ○斉木委員 ということは、やはりアルゴンガス、要するに、空気に触れないようにして、酸素、O2がない状態で洗浄が始まり、終了する、これが重要だということですね。アルゴンガスがキーであると。
  225. 青木昌浩

    青木政府参考人 お答えいたします。  アルゴンガスというのももちろん、不活性にするということも大事ですけれども、まずはナトリウムの量が十分少ないものであること、さらに、使われる水が水蒸気のように空気とまじることによって希釈されて反応を徐々にするものであること、こういったものが、一つ一つが行われることが大事だと考えております。
  226. 斉木武志

    ○斉木委員 ありがとうございます。  やはり地元としては、ともかく安全に廃炉をしてほしいというのが最大にして唯一のというか、皆さんの願いですので。  きのう更田委員長にもお聞きしましたが、何に着目して「もんじゅ」の視察を行うのかという点がありましたけれども、やはり液体ナトリウムが充填されている炉心ですので、水と違って中は見えませんね。だから、そこのどこにどういった燃料があるのか、しっかり取り出せるのか、こういった論点も水と違います。液体ナトリウムの炉というのは、やはりそういった特殊な形状、性質がありますので、そういったところもぜひ注意をしていただいて、しっかりとまず炉心からの、第一段階、取り出し、洗浄、これがしっかりと行われるように、規制庁としてもよく手順を検証していただきたいというふうに思います。  残余の質問につきましては、また次回以降に繰延べさせていただきたいと思いますので、きょうはこの段階で終わります。  ありがとうございました。
  227. 稲津久

    稲津委員長 次に、浅野哲君。
  228. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。  本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  本日は二十五分という時間ですので、早速質問に入りたいところではありますが、まず冒頭、ちょっと通告はしておりませんが、先ほどの本会議で採決が行われました環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結について一言申し上げさせていただきたいと思いますが、まず大臣に簡単な質問をさせていただきたいと思います。  今回のTPP協定、農林水産分野のみならず、幅広い分野に影響のある、与える可能性のある協定だというふうに認識をしておりますけれども、今回の採決を受けて、今後に向けた大臣の所見といいますか、現段階での認識をお聞かせいただければと思います。
  229. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 TPP11がきょう衆議院で可決をされたということは、歓迎すべきことだというふうに思っています。  保護主義の動きが世界的に強まる中で、やはりTPP11が、アメリカが離脱を表明したにもかかわらず、残りの十一カ国が気持ちを合わせて合意に持っていき、そしてまた、きょう衆議院でも御了解いただいたということは、非常に有意義なことだというふうに思っています。  経産大臣として申し上げられることは、今回のTPP11が特に日本の中小企業にとって大きく海外へ羽ばたくチャンスになるように、今、新輸出コンソーシアムなどを形成しておりますので、そういったものを使いながら、中小企業でもアジア各国に進出ができる、そういう大きなチャンスにしていかなければいけないというふうに考えております。
  230. 浅野哲

    ○浅野委員 今大臣もおっしゃっておりましたけれども、本当に中小企業の皆さんを始め、国内の多くの産業を営まれている方々が影響を受ける可能性のある重要な法案でありました。  今回、その議論の時間の不足というのを野党側からは主張をさせていただいておりますけれども、やはり国民の皆さんが安心をして、そして国の決定を信頼してこれから産業活動に全身全霊を込めていける、そんな環境を我々はつくっていかなければいけないというふうに思っております。  ぜひ、今回、審議時間が不十分であるということは我々主張させていただきましたけれども、十分な審議時間を今後の全ての法案に対しても確保した上で真摯な議論をしていただきたいということを申し上げさせていただいて、質問に入りたいと思います。  では、今回、エネルギー使用合理化等に関する法律の一部を改正する法律案に対して質問をさせていただきたいと思います。  まず冒頭なんですが、本日お配りをした資料をごらんいただきたいと思います。  一枚目の図には、現在の国内の最終エネルギー消費の内訳と、その年間推移というのをまとめております。四つの分類がありまして、運輸部門家庭部門、そして業務部門産業部門ということでありますが、今回、この法案が対象としているのは主に運輸部門産業部門ということで、この部分について本日は注目をしながら議論をさせていただきたいと思います。  まず、今申し上げた運輸と産業部門の二つの部門エネルギー消費の推移の状況を受けまして、今回、この二つの部門に対する省エネルギー化を進めていきたいという法律案の中身でありますが、それぞれの部門を別々に推移を見たものが二ページ目と三ページ目に記載をしております。  産業部門については、これは一九七五年から継続的に推移をモニターしていますけれども、東日本大震災あたりから微減傾向になっております。また、運輸部門についても、二〇〇〇年前後からではありますが、主に自動車の燃費性能の改善やハイブリッド自動車の普及、またEV自動車の普及などの効果によりまして、年々最終エネルギー消費量が低減しているという状況が見てとれると思います。  そこで、質問なんですけれども、もともとここ数年エネルギー消費が低減している状況において、今回のこの法案の必要性が一体どこにあるのかというところをお答えいただきたいと思います。
  231. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今御指摘のとおり、日本の産業部門、また運輸部門エネルギー消費は、二〇三〇年度の長期エネルギー需給見通しを策定した二〇一三年度以降、減少しているわけでありますけれども、この要因としては、まず一つは、長期エネルギー需給見通し成長前提としているにもかかわらず、産業部門に関しては、鉄鋼業などのエネルギー消費産業生産がこの間伸びていないということ、もう一点は、今もお話が少しありましたが、運輸部門については、これは長期エネルギー需給見通しでも織り込んでありますけれども、自動車の燃費改善などが着実に進んでいること、こういったことが主要因になってくるのかなというふうに思います。  ただ、一方で、経済成長前提とする二〇三〇年度の長期エネルギー需給見通しを達成するには、二〇三〇年度までに、石油危機後の二十年間に相当するエネルギー消費効率改善、すなわち三五%の改善を着実に進めることが重要であります。  そのために必要な省エネ対策進捗に関しては、産業部門については、LEDの導入普及は非常に進んでいるんですけれども、モーターやヒートポンプ、エネルギーマネジメントシステムなどの省エネ設備投資進捗、そして、運輸部門については、乗用車はハイブリッドなどの効果で燃費改善が進んでいる一方で、旅客分野に比べてやはり貨物分野の交通流対策などの進捗にそれぞれ課題があるというふうに思っています。  今回の改正案によって、その課題部分にスポットライトを当てて、産業部門については、従来の個社単位に加えて、企業連携も促進して省エネ設備投資を加速するとともに、貨物輸送分野については、ネット通販に係る増エネ懸念に対応するなどとしているわけであります。
  232. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今回のこの法案の必要性については今御説明をいただきましたけれども、その中身について、私としても同じ認識を持っております。  ただ、一つ懸念しておりますのは、もともと総エネルギー消費というのは減少傾向にある中で、今言っていただいたような分野でのさらなる省エネの推進というのを進める、その基本的な方向性はいいと思っていますけれども、今回の施策によってどの程度の効果が見通せるのか、定量的な評価というのがぜひ知りたいところであります。  ですので、次の質問は、この施策によって、産業部門そして輸送部門におけるエネルギー消費量の削減量の見通しについて、答弁を求めます。
  233. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  二〇三〇年度の長期エネルギー需給見通しにおきましては、徹底した省エネによりまして、原油換算で五千三十万キロリットルのエネルギー需要削減を見込んでいるところでございます。その一定仮定のもとで試算いたしますと、法改正による省エネ効果の合計は、二〇三〇年度までに原油換算で約二百五十万キロリットルでございます。  具体的には、産業部門におきまして、複数事業者連携する省エネ取組認定し、各事業者省エネ法上の評価適正化を図るとともに、税制措置等支援することによって約百四十五万キロリットル、運輸部門におきましては、荷主の定義を見直しまして、ネット小売事業者省エネ取組を求め、再配達の削減を含めた小口輸送効率化を進めることで約十万キロリットル、それから、貨物荷受け側等を準荷主と位置づけて、荷主省エネ取組への協力を求めることで約七十五万キロリットル、それから、運輸部門におきましても、複数事業者連携する省エネ取組、それを認定することによりまして約二十万キロリットルといった省エネ効果をそれぞれ見込んでいるところでございます。
  234. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今御回答いただいた内容を少し復唱させていただきますと、産業部門では事業者間の連携などによって百四十五万キロリットル、そして輸送分野では合計百五万キロリットルでよかったんでしょうかね、十と七十五と二十ということで。  そうしたときに、先ほどお配りをした図二と図三を見ていただきたいと思います。この図二は、産業部門最終エネルギー消費の量をあらわしておりまして、縦軸を見ていただくと、原油換算で百万キロリットルというのが縦軸の単位であります。今もお答えいただいた、推定される効果としては百四十五万キロリットルでしたね。ということは、この縦のグラフの軸の見方でいいますと、これは百万キロリットル単位ですから、一・四五目盛り分だけ、一・四五分だけ動くということになります。  今、産業部門全体のエネルギー消費量がおよそ、これだと百六十掛ける百万ですので、一億六千万になるんでしょうか、非常に、効果としては極めて小さいのではないかという見方もできるわけでありますが、ちょっとその部分について懸念をしております。  経産省の方でも、ぜひこの効果の見通しの量に対して、今の全体の使用量に対してどれぐらいの削減の幅があるのかというところを十分に御検討いただいて、今回の省エネ法案の改正をスタートラインにして、今後、より一層省エネ取組を加速化できるような検討をぜひお願いしたいと思います。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  法案の中身について、今回、主なポイントといたしましては、複数事業者間が連携をして事業所の省エネルギー化を進めたり、あるいは荷主輸送方法の合理化を進めて省エネルギー化を進めるといった中身だというふうに認識をしております。  私が今これからお聞きしたいのは、主に産業事業者同士が連携をして省エネを進める場合のケースについてお聞きをしたいと思いますが、今回、法案の説明をいただいたときに、メーカーAとメーカーBがあって、メーカーAの方の工程を一つ潰してメーカーBの方に集約をする、それによって省エネ化を進めるという場合が想定されるような説明をいただきました。  ただ、今既に世の中、産業界というのは、必ずしも製造行為を一対一、特定の企業とだけつき合いながらやっているわけではございません。例えば半導体製造産業を例に挙げたときに、昔は少量の品種を大量に生産して販売をしていました。ただ、最近は多品種を少量ずつ生産して販売するようなビジネス形態に変わっています。とすると、取引をする相手の企業の数が非常にふえてきているという現状がある中で、今回のような、複数事業者間で省エネ化した分を分配して評価をできるような制度にしたというときに、適正にその評価ができるのかという懸念があります。  非常に企業同士が複雑に連携をし合いながら省エネ取組を進めていくことが想定される中で、いかに公正な省エネ評価をしていくのか、この部分に対する課題認識と対策についてお伺いをいたします。
  235. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  企業の数が二であるか、複数であるか、それ以上であるかということにかかわらず、その考え方についてまず御説明させていただければと思いますけれども、連携エネルギー計画は、その取組目標、内容、実施期間、それから連携に参加する事業者間での省エネ量の分配方法が、国の定める指針に照らして適切な場合に認定されるものです。  その際、具体的には、その認定を受けようとする事業者から、まず一つ目は、集約される設備側におきまして、集約前後のエネルギー使用量、集約後の生産量、その集約後の生産量のうち、設備を廃止した事業者が引き受ける割合、それから、廃止される設備側におきまして、廃止前のエネルギー使用量、これを申請していただくことにしております。  これによりまして、設備を集約する事業者設備を廃止した事業者連携による省エネの総量が算定できるため、省エネ量の分配が適正であることを評価することは可能になると考えております。  それからまた、それぞれの事業者連携エネルギー計画における分配方法に従っているかどうかについては、毎年の定期報告によって確認を行うこととしたいと考えております。  こうしたことによって、連携に参加する事業者省エネ量を適切に評価して、連携省エネ取組を促進してまいりたいと考えております。
  236. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  続いての質問に移りたいと思いますが、今回の省エネ、特に荷主の定義の見直しの部分についてお伺いをしたいと思います。  今回、インターネット通信販売のような業態の普及に伴って、インターネットで物を販売しているような業者の皆さんも、実質的に輸送方法を決めているような業者であれば荷主というふうに定義をするという見直しがありました。  ただ、その一方で、インターネット上の取引をする環境だけを提供している業者に対しては、その対象からは外しているということであります。  その部分について質問したいと思いますが、今、御存じのように、インターネット上での通信販売が急速な勢いで普及をしています。これからもその取引量というのは継続的に増大をしていくだろうというふうに見受けられておりますし、これまでのように、例えば、インターネット上の特定の店舗から個人が購入する場合だけでなくて、個人から個人に、いわゆるフリーマーケットであったり個人のオークションのような、従来からありますけれども、こういった業態がどんどん普及していく、拡大していく可能性もあると思います。そういった場合に、こういう環境を提供している事業者に対して、何の協力もしないのかと言われると、それは、私としては、ぜひこういう省エネ取組に対しても一定程度の協力をいただくべきなのではないかというふうに思っております。  そこで、質問ですが、今回の法案には盛り込まれていないものの、今後のインターネット上のショッピングモールやオークションの普及拡大を受けて、この省エネ法案の中身についてどのように対応していくおつもりなのか、見解を求めます。
  237. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  先ほど委員から御指摘ありましたように、今回の改正法案におきましては、モール事業者は、一般的には、貨物輸送事業者との契約がないために、輸送方法等を決定していないために、規制対象外としております。  また、個人対個人のような取引ですけれども、これにつきましては、事業者規制対象といたします荷主規制範囲外ということになってございます。  ただ、御指摘ありましたように、ネット通販業界におきまして、今後、取引形態の多様化といったものが予想される中で、業界の変化ですとか省エネ進捗状況、そういったものを踏まえながら、必要な状況ということになれば、また対応を検討してまいりたいと考えてございます。
  238. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  対応を検討していきたいということですので、よく市場の状況を経済産業省としても見ていただいて、かなりの勢いで今取引量が拡大をしておりますし、流通の仕方も多種多様化しているという現実がありますので、これから集約をしにくい環境にどんどんどんどん行くと思うんですね。ですので、よく市場を見ていただいて、それにふさわしい制度の見直しというのを今後とも議論させていただきたいと思います。  それでは、次に移りたいと思いますが、次に、少し提案をさせていただきたいと思っております。今回、企業同士の連携による省エネルギー取組というのをどんどん推進していこうということになりますけれども、更にそれを普及させていくための提案を一つさせていただきたいと思います。  その前に、ちょっと二、三、確認をさせていただきたいことがございます。  まず、今回、連携エネルギー化というものがありますけれども、この連携というものの定義なんですが、物理的な手段の集約あるいは統合というのは今回この連携範囲内に含まれているという認識を持っておりますが、仮想的な、具体的に言いますと、デジタル技術あるいはIoT技術を駆使した上での仮想的な集約あるいは仮想的な統合というのは、この連携という範囲に含まれるんでしょうか。
  239. 高科淳

    高科政府参考人 おっしゃるように、物理的な集約はもちろん入りますけれども、例えば、サプライチェーンの上と下の関係にある事業者さんが共同で需要の予測のシステムみたいなものを購入するというような場合にも、今回の連携対象になると考えてございます。
  240. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  続いて、大臣の方に午前中のやりとりの中身を少し確認をさせていただきたいんですが、午前中に、八木委員質問に対して、大臣は、新しいものを入れればそれは省エネ性能もいいはずだというような御見解をおっしゃっておりました。また、國重委員質問に対する答弁の中でも、ものづくり補助金やIT補助金は必ず省エネ効果が出てくるはずだ、そんな御見解を示されたというふうに私は記憶しておりますが、この認識はお持ちでしょうか。
  241. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 認識と言うまでもなく、割と常識的な感覚ではないかなというふうに思っていますけれども。
  242. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今確認させていただいた二点なんですが、仮想空間上での集約、統合というのも、全てではないけれども、先ほどおっしゃっていただいたような事例であれば連携という言葉の中に入ってくると。また、大臣も、新しい設備導入、あるいは、ものづくり補助金、IT補助金によって入れたそういう設備であれば省エネ効果が上がるだろうという認識をお持ちであるということであります。  今回、私が気にしておりますのは、今回審議している省エネ法計画認定を受けた場合に受けられる税制優遇と、先般この委員会でも議論をさせていただいた生産性革命法の認定を受けた場合に受けられる税制優遇というのは、別の制度として運用がされているということであります。  ただ、どちらも、今お話の中にある生産性革命法の方では、IT設備投資に対して生産性を高めるということで税制優遇を受けられるような支援制度が創設をされましたが、IT導入をすることで、例えば、きょうお配りした資料の図の五を見ていただきたいんですけれども、図の五を見ていただくと、左側の例二、「データ連携」というところがございます。複数の工場がデータ連携をすることで生産性を高めるような、こういう設備投資をした場合に税制優遇が受けられるというものでありますが、例えばこれなんかは、まさに省エネ法で言っている事業者間の連携エネルギー化の対象になるのじゃないかと思うんですね。  ですので、ぜひ検討をお願いしたいのは、この省エネ法案の中で計画認定を受けた場合に、生産性革命法の方の支援制度を受ける、これをぜひリンクさせて運用していただきたい。例えばですが、加点対象にするとか、新しい設備投資省エネ化を同時に進めていくためにも、それぞれの制度を独立的に運用させるのではなく、ぜひ連携させて運用させていただきたい。  これは提案でありますが、ぜひ、これに対して大臣の御見解を伺えればと思います。
  243. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 極めて真っ当な御指摘だと思います。  例えば、メーカーと販売店でデータをリンクさせて需要に応じて生産をきちっとやっていく、そのことによって、在庫を持たないようにして、倉庫代とか倉庫にかかる電気代とか、そういうのを抑えていって省エネをやるなんという取組、これはまさにデータを利用した連携省エネになるわけですが、これは同時に、御指摘生産性向上特別措置法の革新的データ産業活用計画認定支援措置の適用によって、さらなる取組、発展ができるのではないかというふうに思っています。  今回のこの省エネ法改正法の運用に当たっては、データを利用する連携省エネ取組認定案件の参加事業者に対して、生産性向上特措法の活用をしっかり促すなど、両法の連携を必要に応じて考えていきたいと考えております。
  244. 浅野哲

    ○浅野委員 ぜひよろしくお願いします。  事業者の皆さんからしてみたら、全ての法律を理解されて使いこなせるというわけではありません。ぜひ、国の方から、事業者の方にとって使いやすい制度運用をお願いしたいと思います。  終わります。
  245. 稲津久

    稲津委員長 次に、山岡達丸君。
  246. 山岡達丸

    ○山岡委員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸と申します。  省エネということが、今回、法案の審議でございます。  省エネということで、私たちの暮らしも含めて、今大臣もクールビズの御格好をされておられますけれども、ちなみに、北海道は、一般には六月一日から北海道庁も始まったりして、少しずれてはおるんですけれども、きょうは気温が二十八度ということで、大変五月にもかかわらず暑いという日であります。  非常に暑い中ではありますけれども、大臣はきょうもまた御質疑に精力を注がれていること、そのことに敬意を表させていただきながら、質問に移らせていただきたいと思います。  あわせて、気温のことで申し上げれば、北海道、特に私が活動している胆振と日高のエリアは、今、雨が降っていることもあるんですけれども、七度ということだそうでございます。五月で二十八度の地域もあれば七度の地域もありまして、本当に全国、委員長も北海道でございますから恐らく近い気温かもしれませんけれども、本当にこれから北海道はいい季節になってきますので、委員の皆様におかれましても、暑くなられたら北海道ということもまた御紹介させていただきながら、今回は省エネの議論に入らさせていただきたいと思います。  省エネルギーということで、法案の中身の話からちょっと、広い意味でまず一点、この法案の中身の前に大臣にお伺いしたいことがございます。  自動車の、ガソリン車からハイブリッド車、今こういうふうに日本は、技術をそうした方向に導きながら、メーカーはそれぞれ頑張っておられるわけでありますけれども、この自動車をめぐる動きの中で、フランスで、昨年七月六日に、二〇四〇年にガソリン、ディーゼル車を販売禁止にするという方針を発表されて、イギリスも、昨年の七月の、同じ月ですね、二十六日に同じ内容を発表されました。  この中で、日本の自動車メーカー、特に電力とガソリンを同時に使うハイブリッド車というのは、その中でどういう位置づけになるかというのが非常に不明確な、去年の七月の状況ではあったんですけれども、ただ、最近、報道によれば、ことしの五月になって、イギリスのエネルギー省の大臣が、このハイブリッド車のことを更に飛び越えて、プラグインハイブリッド、電気を使って走らせるハイブリッド車についてのことに言及した上で、しかもこれを、八十キロは電力で走る車じゃないと販売をするべきじゃない、そうした趣旨の発言をされたという報道もございました。  これはまだ政府内の議論のようでありまして、政府内でもいろいろ議論はあるようでありますけれども、ただ、プラグインハイブリッドの話までもう二〇四〇年にいくということになれば、これまで不明確だった、通常のハイブリッド車については販売禁止になるんじゃないかというようなおそれといいますか見通しというか、そうしたことも非常に示唆されるような中身でもございました。  あわせて、オランダの一部銀行の予測では、二〇三五年ごろにはEUでは全て電気自動車化するんじゃないかとか、そうしたさまざまな観測が今飛び交っておるわけであります。  世耕大臣は、EUのこれからの情勢も含めて、二十二年後ということでありますから、先々のことの中で、技術革新の中で日本はちゃんとそれはクリアできるという考えの中で今自動車の位置づけを考えればいいと考えておられるか、それとも、非常に危機的な、そうした考えを持たねばならないか。このEUの、今、幾つかの国のこうしたハイブリッド車、ディーゼル車の二〇四〇年の販売停止をしたいという動きについて大臣はどのようにお考えか、伺わせてください。
  247. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 イギリス、フランス、それぞれの政府から、ガソリン車について販売禁止の方針の発表があったということ、これは事実でありますけれども、これは、どうやって二〇四〇年までにガソリン車販売禁止に持っていくのかという、その道筋ははっきり言って明らかではありません。  また、先日、報道で、イギリス政府が二〇四〇年までにハイブリッド車も販売を規制していくという報道もありましたけれども、これも、イギリス政府の正式発表ではなくて、閣僚の間でも賛否いろいろ議論もあるというふうに聞いています。  いずれにしても、間違いなく、EVを含めて世界的に電動化が進んでいくことは確かだとは思いますが、いきなりEVだけになるのかどうかというのは、私はやや疑問を持っています。  私も、先日、テスラを持っている友人が家族で高速道路でドライブに出かけて、充電がなくなってきたので充電しようと思って、ちゃんと地図でどのサービスエリアに充電ステーションがあるというのがわかるので、そこへ入って、さあ充電しようと思ったら、前に二台並んでいて、それで一時間待ちですからね。  こういう、やはり充電に時間がかかるとか、充電ステーションをどう充実させるのかとか、いろいろと問題があるわけでありまして、やはり現実を考えると、ハイブリッド車、あるいは更にそこから進んだプラグインハイブリッド車が、CO2排出量を削減していく上で、やはり現実問題としては大きな役割を果たしていくのではないかというふうに思っています。  ただ、日本もやはりフルラインナップはしっかりそろえていく。EVを欲しい人にはEVもしっかりとラインナップとして用意をする。しかし、何か特定の技術に一本足打法で依存するのではなくて、どんな状況が起こっても日本の自動車産業は常にメニューが全部そろっていて、また、本当にもうこれだけになりますよということになれば、それにさっと対応できるという体制を組んでおくことが重要ではないかというふうに思っています。  そういう問題意識も含めて、ことしの四月、私が主宰する形で、有識者また自動車メーカーのトップに集まってもらって、日本としての戦略を検討する自動車新時代戦略会議をスタートさせたところであります。会議の中でも、真の意味で世界の環境問題を解決する自動車産業としての取組は何なのかということを議論を始めさせていただいております。いずれその結果はしっかり世界に発信をしていきたいと思っております。
  248. 山岡達丸

    ○山岡委員 御答弁ありがとうございます。  大臣からもお話ありましたとおり、EVというのは、そもそもその電源をどうするのかとか、充電の時間も今お話ありましたし、技術的なことも含めて、誰もが開発しやすいのかもしれませんけれども、運用の部分は非常に疑義が残るというお話は、本当におっしゃるとおりだと思っております。  そして、今お話にもありましたけれども、自動車メーカーの御努力の中でフルラインナップをして、そして、どのメニューが出てきてもこれは対応できるようにしたいというお話もございました。  あわせて、この二〇四〇年、二十二年後のことの道筋も今見えていない、大臣もお話ありましたけれども。ただ、この環境の問題とかあるいは省エネの問題というのは、ある種、言葉は悪く言えば、一つの大義というか、にしながら、国として特定のメーカーを排除すると言ったら表現は悪いですけれども、例えば、この先、日本メーカーがいろいろつくっていく中で、ある日突然、EUは一般に厳しいと言われていますけれども、ほかの国でも、我が国は環境規制でこの手の車は入れませんとか、この手の車はやりませんとか、そうした、カントリーリスクと言っていいかどうかわからないんですけれども、国々の、予見可能性が低いといいますか、そうした状況も非常に心配されるということを個人的には考えております。  これはメーカーの御努力も必要なんですけれども、大臣にお伺いしたいんですけれども、これは、経産省の御努力として、この環境基準とかあるいは省エネ基準、別に緩くしろということじゃありません、ただ、一定の基準のコンセンサスづくり、世界の中でこの産業の先行きに予見可能性を持たせるために、こうした御努力は、経産省として、政府として取り組むべきじゃないかという思いもあるところなんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  249. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 全くそのとおりであります。  突然他国によって一方的にルールが変更されて日本の産業が不利になるようなことというのはあってはなりません。まさに自動車がその典型だというふうに思います。これは、しっかり環境基準が国際的に協調していけるように、あるいは日本がしっかりとリーダーシップをとっていけるように頑張っていかなければいけないと思います。  一部、EVだけに優遇税制を入れようとしている国などに対しては、これは我々政府としても、本当にそれが現実でやれますかということも含めて、きちっと議論をしていきたいというふうに思っています。
  250. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  まさに、合理性も含めて、日本の立場もありますけれども、貢献する、合理的な、自動車のあり方ということも含めて、大臣には、経産省にも、含めてですけれども、こうした世界の中の標準、基準のコンセンサスづくりということを御努力いただきたいなということを改めて申し上げさせていただきながら、本題の省エネ法関係に入らせていただきたいと思います。  今回、エネルギー使用の合理化に関する法律の一部改正ということでありますけれども、制定背景、これは一九七九年に成立したものだということを確認しておりますけれども、私も一九七九年生まれでありますが、三十八になりますけれども、三十八年、九年、この法律が制定してから年数がたっているということであります。  当時は、オイルショックがあって、そして国内の需給の逼迫、非常に各企業が、エネルギー事情が厳しいという状況になっていた中で、もちろん、エネルギー源の取引先の多様化とか、そうした努力もしていかなきゃいけない一方で、我が国としてきちんとエネルギー使用効率化していこう、省エネしていこうというような背景でこうした取組を、当時は通産省なんでしょうか、音頭をとって進めてきたということが背景にあろうかと思います。  しかしながら、三十九年の歳月が流れる中で国際情勢は大きく変わってきているという状況であります。世界の人口の爆発的な上昇も含めて、各国の産業の高度化もありますし、あるいは劇的な気候変動、そうした中で、エネルギー使用量もそうですし、CO2の排出量もそうですけれども、環境問題も含めた国際的なさまざまな議論の中で、京都議定書もあり、パリ協定もあり、こうしたいわゆる省エネというのは、まさにCO2排出とか、あるいは環境のさまざまな問題にも連動する、そうした話にもなってきたという背景があります。あるいは、経済という観点でいえば、グローバル化も進んで、国家間を超えて企業がさまざま取引するというような状況も生まれてまいりました。  大臣は法案についてはもちろん詳しく御存じのことだと思っておりますが、きょうは、せっかく経産省の皆様、この法文づくりにも直接かかわった皆様もおられますから、この法文についての意味するところをまず伺いたいと思うんです。  この条文の第一条の「目的」とあります。この「目的」は、全部読み上げると長くはなるんですけれども、「内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、」、そうした趣旨のことが第一条の「目的」に書かれていますが、この条文はほとんど一九七九年から変わっていないといいますか、主要な部分は変わっておりません。追加は途中でされたようでありますけれども。  この「内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた」というのは、今私が申し上げましたけれども、当時のオイルショックのことだけじゃなくて、今は、国際協調とかさまざまな環境の問題、CO2の排出制限の問題、こうしたことも包括的に含めた中での、意味するところの省エネ法になっている、その理解でよろしいのかどうか、このことを伺わせてください。
  251. 高科淳

    高科政府参考人 お答えいたします。  省エネ法第一条に規定されております「内外」ですけれども、これは、国際エネルギー情勢、あるいは長期的なエネルギー供給制約、それからエネルギー価格の推移、あるいはエネルギー消費の急増がもたらす地球温暖化問題への対応の必要性などのさまざまなエネルギー需給を取り巻く経済的社会的環境全体を指すものでございます。  したがいまして、時代の変化に応じてその「内外」の意味合いというものも変化していくものと認識してございます。
  252. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  成立、制定当時と違って、今私が申し上げましたけれども、さまざまな状況を背景にした今回の改定なんだということを前提にして、次なる質問に入らせていただきたいと思います。  私は、北海道で、特に南側の太平洋沿いの中で活動している中で、港湾、室蘭であったり苫小牧であったり、そうした港もありますけれども、港湾に出入りしている船、船舶でありますけれども、CO2の観点でいえば、当然、船舶というのは非常に排出量は大きい。もちろん、全体の中でいえば、全体の分野でいえば、家庭用自動車とか、そうしたところが割合的には多くなるわけですけれども、船舶の台数に対して、排出しているCO2というのは、これは非常に大きいものだというふうに理解しております。  この法文の中では、いわゆる国内同士の、内航船と言われる船の行き来をする、こうした船に対しては省エネ義務支援も含めた対象であるということでありますけれども、今、国際社会になっていく中で、当然、日本と海外とを結んでこうした船も大変行き来しているわけであります。国際的な協調の中では、世界全体としてCO2を削減しよう、省エネしようという動きがある中でありますけれども、この法文ではそこの部分はカバーされていない。時代に合っているのかどうか、その視点について、経産省に伺います。
  253. 高科淳

    高科政府参考人 海運の話ということでございますけれども……(山岡委員「船舶の話」と呼ぶ)船舶の話。はい。(山岡委員「ごめんなさい。私、質問の趣旨を、内航船は対象になっていて、外航船は対象になっていないじゃないか、その趣旨の」と呼ぶ)
  254. 稲津久

    稲津委員長 山岡君、質疑者はちゃんと委員長の指示に基づいて。  では、もう一度、明確に質疑者は質問を述べて、そして、答弁者も明確に御答弁いただきたいと思います。
  255. 山岡達丸

    ○山岡委員 失礼しました。  私が指定する先をちょっと誤ったということでございました。経産省と申し上げましたけれども、国交省ということで。失礼いたしました。  訂正させていただきながら、国交省にお話を伺いたいと思います。
  256. 宮武宜史

    宮武政府参考人 内航船につきましては省エネ法対象になっておりまして、外航船につきましては省エネ法対象になっていないというところでございます。  特に、外航船につきましての私どもの施策あるいはこれからの取組について御説明したいと思います。  国際海運は、世界の温室効果ガス排出量の二%強を占めております。国際的にも、効果的な省エネルギー対策が求められております。  我が国は、国際海運の省エネルギー化に貢献しつつ、我が国造船、海運産業の国際競争力強化を図るために、省エネ技術開発と国際ルールづくりを一体的に推進しております。  省エネ技術開発につきまして、国土交通省では、平成二十一年度から平成二十八年度まで、計九十八件の技術開発を支援してまいりました。また、本年度も、IoT技術を活用した先進的な省エネ技術開発の支援を行っております。  また、国際ルールづくりにつきましては、こうした技術開発支援の結果を踏まえながら、国連の専門機関であります国際海事機関の議論を主導いたしまして、新造船舶の燃費規制、あるいは既存船も含めました全外航船舶の燃料消費実績報告制度の国際ルールを構築いたしまして、我が国の国際競争力の確保を図ってまいりました。  今後も、こうした取組により、引き続き国際海運の省エネルギー化の推進に努めてまいりたいと思います。
  257. 山岡達丸

    ○山岡委員 委員長、ありがとうございます。  私が伺ったのは、まさに外航船のことが対象になっていないじゃないかというお話であります。御努力はされておられるんだと思いますけれども、今お話の中の、背景もいただきましたけれども、造船の方の支援もされていることだということは理解しておりますけれども、非常に国際的な社会の中で、国内だけじゃなくて、省エネという観点からもまた枠組みを検討すべきだと思いますので、このことはお伝えさせていただきたいと思います。  そして、済みません、質問を先ほどちょっと間違えましたのは、大変申しわけございませんでした。  あわせて、船のことで申し上げれば、港のことについても、きょうは国土交通省さんがいらっしゃいますので、お伺いしたいと思います。  今回の法案はまさに企業とか事業者に対していろいろ省エネを求めるわけでありますけれども、ただ、船とか車が出入りする港というのはまさにエネルギー消費の一番の大現場であるんですけれども、こうしたところの、そもそもの港の合理的な活用、運用をできる状況が整っていないと事業者が幾ら努力しても難しいという現実があるというのも申し上げさせていただければと思います。  例えば、私、苫小牧なんですけれども、苫小牧というのは、港があるんですけれども、北海道の貨物取扱量のおよそ半分は苫小牧から出しています。国内のみに絞った場合の取扱量は、十三年連続日本一という取扱量なんです。物流の一大拠点が苫小牧という場所にあるんですけれども、この港も、非常に船舶が入れる場所は狭く、ヤードも狭くて常に満員状態、大きな船が入るときには、ほかの船が出ていかないと入れないものですから、常に沖待ちの状態も続いているというぐらい、港の整備が追いついていないということを思わざるを得ないような状況も続いています。  まさに省エネの観点からも、合理的なこうした物流の拠点のインフラが整備されることが省エネにもつながるものだということを理解している中で、きょうは国土交通省さんがいらっしゃいますので、苫小牧港も含めて、必要なインフラ整備についてお話をお伺いさせていただければと思います。
  258. 浅輪宇充

    浅輪政府参考人 お答えさせていただきます。  苫小牧港は、フェリー、ローロー船や外貿コンテナ船の定期航路を有しまして、今委員指摘のとおり、全国一の内貿貨物量、また、道内の約七割の外貿コンテナ貨物を取り扱います北海道の物流拠点として重要な役割を担ってございます。  苫小牧港の西港区では、船舶の滞船や、また非効率な荷役が生じておりまして、地元からも港湾整備に対し御要望いただいているところでございます。  国土交通省におきましては、その対応の一環としまして、西港区の南埠頭地区においてローロー船ターミナルの改良事業を進めているところでございます。  引き続きまして、地元の御要望を丁寧に伺いながら、必要な港湾整備について検討してまいります。
  259. 山岡達丸

    ○山岡委員 本当に非効率な状況になっているということは理解されているということを伺いました。  これは省エネの議論ではありますけれども、まさに事業者とかあるいはユーザーとかに努力を求めるのも、それは努力を求めないといけませんが、どうか行政としてもそうした必要な対応をしていただきたいということを改めて申し上げさせていただければと思います。  そして、法案の中の、また法文のことで、今度は経産省にお伺いします。  今回、提案理由として、いわゆるネット販売大手が台頭してくる中で、荷主として位置づけられていない人たちがいるというところを、確実に荷主として位置づける、法規制対象に位置づけるんだということを趣旨説明の中でお話がございました。  その中で、今まで所有権を持っている人を荷主としていたのに対して、運送方法といいますか配送方法を実質的に決めるところを、決める人を荷主とすることによって、具体名を挙げればアマゾンさんとか、そうした、利用規約の中で、いわゆる所有権は買った時点でユーザーさんのものですよという規約をつくっているところに対しても、きちんとその範囲におさめていきたいというお話がございました。  ですから、法文は、「契約その他の取決めにより当該貨物輸送方法等を実質的に決定している者」ということを荷主とするというふうに変えるということが一つの大きなテーマであります。  しかし、確実にネットの販売大手をこれから入れていきたい。アマゾンさんが別にそれをするとは言っていませんし、御協力関係にあるとも聞いておりますけれども、これからこの法文で確実に拾えるかという点で伺いたいんですけれども、この輸送方法の決定も、例えば、ネットの通販で、ユーザーの方に船便で送ってください、航空便で送ってくださいと選ばせて、しかも、利用規約の中には、輸送方法はユーザーの方が決定したものとすることに同意しますということをつくった場合には、この法文であっても、これから大手のネット販売業者が出てきた、さまざまな業者が出てきたときに、荷主としての、あるいは大きい場合は特定荷主という責任から逃れることができるんじゃないかという法文になっているんじゃないかという心配がございます。  この部分の、技術的な部分ではありますけれども、経産省の考え方を伺います。
  260. 高科淳

    高科政府参考人 お答えします。  仮に、消費者が貨物輸送事業者との契約で貨物輸送方法等を決定する、そうなった場合には、ネット小売事業者省エネ法上の荷主とはならないことになります。その御指摘のとおりです。  ただ、他方で、省エネ法規制を逃れるためだけの目的で契約形態の変更まで行う事業者というのはなかなか想定しづらいと考えておりまして、実際、改正法案におきまして新たに特定荷主となる可能性のあるネット小売事業者の方々は、こちら側との意見交換の中で改正法案の内容にも理解を示しておられまして、そのような行動はとらないものと考えております。  ただ、いずれにしましても、規制の運用については、実態をよく注視しながら進めてまいりたいと考えております。
  261. 山岡達丸

    ○山岡委員 そういう場合は逃れることになるということをはっきり申されてしまったので、それ以上申し上げることはないんですけれども、現状は、でも信頼関係をつくりながらやっているんだというお話でございますから、これはしっかり進んでいただいて、やはりこういう案件が出てこないように、これはさまざま対応を打っていただきたいということを思います。  あわせて、趣旨説明の中に、配送の再配達の問題も出ておりました。  ちょっと時間も限られているので駆け足で質問しますけれども、再配達の問題等も含めて、業者、事業者に対してさまざまな要件を課す、さまざまな努力義務を課すのであれば、宅配ポスト、いわゆる不在でも受け取れるポストですね、これをアパートとかにたくさんつくりまくる、それが一番早いんじゃないかと思うわけであります。  きょうは環境省さんにも来ていただいていますので、この宅配ポストの普及についてちょっとお話を伺えればと思います。
  262. 森下哲

    森下政府参考人 宅配便の再配達の削減でございますが、これは温暖化対策の観点からも課題だというふうに考えてございます。  私ども環境省では、関係省庁の皆様方、あるいは事業者の皆様方と一緒に、温暖化対策の国民運動、クールチョイスという運動を展開しておりますけれども、その中で、「できるだけ一回で受け取りませんかキャンペーン」というものを展開しております。  また、昨年度でございますけれども、駅やコンビニなどの公共スペースに、いわゆるオープン型、特定の宅配事業者でなくとも利用できるオープン型の宅配ボックスの設置の支援を行わせていただきまして、首都圏を中心に設置が進んでいるというふうに認識をしてございます。  本年度は、クールチョイスにおきまして、コンビニでの受取ですとか、あるいは戸建て、集合住宅への宅配ボックスの設置など、受取方法を適正に選択をするというようなことを消費者の皆様方に広く呼びかけていきたいというふうに考えております。  引き続き、関係省庁あるいは物流事業者の方々と連携協力いたしまして、宅配便の再配達削減のために必要な施策を展開してまいりたいと考えてございます。
  263. 山岡達丸

    ○山岡委員 失礼しました。私、宅配ポストと言いましたけれども、宅配ボックスですね。  今、公共のスペースにはつくっているんだというお話もございましたが、利用率の問題であったり、浸透の問題というのはいろいろあろうかと思います。  私は、個人的には本当に、集合住宅につくるというのを正面から支援して、誰もが家に帰ったら自分が不在でも物を受け取れるという体制を整備するのが一番早いと思っておりますので、このことも省エネの観点から政府として御検討いただきたい、その思いをお伝えしたいと思います。  そして、この省エネ法です。事業者からの提出書類のことについて最後に伺いたいと思います。  電子化もされているようですけれども、メーンは書類を提出するというのがこの省エネ法の求めるところでありますけれども、これは大体何枚ぐらいの書類が必要な制度なんですか、提出するのに。
  264. 高科淳

    高科政府参考人 書類で提出する場合には、おおよそ定期報告で大体二十枚ぐらいと認識しています。
  265. 山岡達丸

    ○山岡委員 私が伺ったところによると、二十枚から最大百枚程度の提出をしなければいけないというお話を伺いました。最低でも二十枚程度と。  省エネという法律でもありますから、電子提出も含めて、こうした部分も、企業に対しての負担を減らしていくということも求めていくのであれば、行政としてそうしたこともぜひ検討していただきたいということもあわせてお伝えをさせていただきたいと思います。  ちょっときょう、途中はトラブルもございまして、質問は駆け足になりましたけれども、最後に大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今回は、省エネ法ということで、事業者とかあるいはユーザーとか、そうした方々にいろいろなことを求めていくという中身でありますけれども、省エネというのは、まさに事業者だけでできることではなくて、これを進めることによって、暮らしも合理化するし、業務も効率化するし、まさに働き方も変わっていくし、ワーク・ライフ・バランスにもかかわるような大きなテーマだと思っております。  今回、省エネ法案を審議するに当たって、大臣に、せっかくの機会ですので、そうした包括的な社会全体の省エネということにどう取り組んでいかれるか、このことについて伺わせていただければと思います。
  266. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 省エネというのは、省エネそのものに閉じるだけではなく、また、CO2排出といった環境課題だけではなくて、例えば人手不足とか、働き方改革とか、生産性向上といった社会的課題の解決にも貢献をするテーマだというふうに考えています。
  267. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  時間も限られておりますので、終了時間が来ましたので、きょうの質問はこれで終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  268. 稲津久

    稲津委員長 次に、落合貴之君。
  269. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  早速、省エネ法改正案について伺わせていただきます。  まず、大臣に、省エネの重要性、改めて、どのように認識をされているか、それをお伺いできればと思います。
  270. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 エネルギー資源の大部分を海外に頼る日本にとって、やはり限られた資源の有効な利用を図るということが極めて重要だと思っています。  これまで、日本は、第二次石油危機後に制定された省エネ法による規制と、そして省エネ補助金などの支援策、この規制支援の両輪でエネルギー消費効率改善を進めた結果、経済成長と世界最高水準の省エネというのを同時に達成してきた国だというふうに思っています。  二〇一五年に策定した二〇三〇年度の長期エネルギー需給見通しにおいても、エネルギー政策の基本的視点でありますスリーEプラスSを同時に達成するために、省エネについては、経済成長前提に、石油危機後並みのエネルギー消費効率改善、すなわち三五%の改善を目指して、具体的な裏づけのある極めて野心的な省エネ対策を最大限積み上げたところであります。  長期エネルギー需給見通し実現に向けて、施策を総動員して徹底した省エネに取り組む必要があると考えております。  改正法案は、現行省エネ法が直面する課題に対応するための措置を講ずるものでありまして、長期エネルギー需給見通しを確実に達成する上で重要な施策だと位置づけております。
  271. 落合貴之

    ○落合委員 今回、野心的な目標と、野心的という言葉を法案の中でも使っているわけでございます。  例えば、二〇一三年の時点では電力が四分の一ぐらいなわけですが、その電力に限って見てみましても、二〇一六年は原発の比率が一・七%なわけですけれども、一・七%節電すれば、その原発が発電している分は電気を使わなくて済むようになるわけでございます。それから、残りの四分の三の熱、それから都市ガス、ガソリンなど、これも、ガソリンですとか都市ガスは大臣がおっしゃったように海外に頼って輸入をしているわけでございますから、この部分を減らすことでエネルギー自給率を高める。再エネにかえることができれば足り、あと、省エネを行えば自給率を高めることができるわけでございます。  これは重要な問題でありまして、三五%やるんだとなると、大変な野心的な目標であって、この省エネ法を、昭和五十四年、オイルショックのころに成立をして、もう何回も何回も改正をしてきたわけでございます。  今これだけエネルギーについてまた関心が高まってきている中で改正案が出てきて、あれ、これだけでいいのかなと。今回の中身、絶対やらなきゃいけないですが、これだけでいいのかなと思うんですが、大臣の先ほどの意気込みを達成するに当たって、この今回の改正で足りていますかね。私は、来年、再来年と、どんどんもっと手を打っていくべきだと思うんですが、いかがですか。
  272. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今回は、今もう既に立てているエネルギー基本計画で見込んでいる省エネのレベルもちょっと進捗率が悪いということで、問題のある分野を特定して、法改正で対応をさせていただいているわけでありますけれども、当然、この法改正に乗らない分野での省エネというのは不断にしっかりと進めていかなければいけないと思っておりますし、今後、今回改定の作業を進めているエネ基、あるいは将来のエネ基において、もう一段の省エネが求められることがあった場合には、それはまた、それに対応した政策制度というものを導入していかなければいけないだろうというふうに思っています。  いずれにしても、省エネが今の段階でこれで十分ということは全くないというふうに思っています。
  273. 落合貴之

    ○落合委員 先ほどの何人もの方が原発比率のことも挙げていましたが、全体の電力使用量が低くなれば、それは新設、リプレースもやる必要性というのがどんどんなくなっていくわけですから、これは重要な問題だと思います。  私も、昨年から、議員立法で省エネ法改正案をつくろうかなと思っていろいろ調べたんですが、これはどういう施策をすれば省エネが更に進んでいくだろうと。  それで考えたのが、主に中小企業省エネが進んでいないということは言われていますので、信用保証を設備更新のときに省エネに限って特別な枠をつくったりですとか、あと、融資じゃなくても、リースで設備をかえていく、そのために、リースがある意味信用をとれるように保険をつけていく、それから、グリーン投資減税みたいなものをもっと拡充していったりですとか、省エネのために補助金をどんどんつくっていく、そういうのが考えられるなと思いまして調べたところ、今言ったものは全部今までやってきていたわけでございます。  だから、法律を変えるというよりも、既存の、やってきたことをいかに進めていくかということも重要だというふうに私は去年調べて思いました。  通告をさせていただいていますので、今言った四つあたりの、関連するそういう措置の最近の実績というのはどうなのか、教えてください。
  274. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 おっしゃるように、省エネを進めていく上では、規制をするということに加えて、支援を行うということも非常に重要、特に中小企業にとっては重要だというふうに思っていまして、これまでも補助金ですとか税制などの誘導措置による支援をいろいろと行ってまいりました。  今お問合せの近年の実績を申し上げれば、まず、省エネ補助金平成二十八年度に八百六十一件、四百六十六億円であります。また、エネルギー対策保険は平成二十八年度に百三件、約三十七億円。そして、低炭素設備リース信用保険は平成二十八年度に二千五百九十四件、三百三十七億円。そして、グリーン投資減税については平成二十八年度に二千八十八件、約三百三十億円となっているところであります。
  275. 落合貴之

    ○落合委員 済みません、百三件というのは信用保証のことですか。ちょっと、どこに該当するものを言ったのか、その百三件がわからなかったもので。
  276. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 信用保険の件数ということでございます。
  277. 落合貴之

    ○落合委員 これは、リースが二千五百九十四、それから信用保証百三ということで、中小企業の数から比べたら、特に融資の面ですとか、全国で百三件というのは、余り使われていないなというふうに思います。  これは、今までこういう仕組みをつくったわけですから、世に知られていないもの、こういうものをもう少し広めていく。それから、省エネ補助金は恐らく倍率が二倍ぐらいになっていると思います、ヒット商品だと思います。こういうものに関してはもう少し予算措置をふやしていく。そういった、今までやってきた施策を拡充していくということはこれからお考えになっていくということでよろしいですね。
  278. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 その都度、必要に応じていろいろな支援措置というのはやっていかなければいけないと思っています。  今、二十八年度を、ちょっと単年度、切って御報告しましたけれども、これはそれぞれ保険制度その他、継続して取り組んできていますので、累計ではもっと大きな数、済みません、ちょっと今手元に数字はありませんけれども、累計ではそれなりの数になっているのではないかというふうに思います。
  279. 落合貴之

    ○落合委員 一回、私、一年前ぐらいに同じ質問をさせていただいていまして、少なくとも信用保険に関しては残高がかなり少ないですので、そういう施策がたくさんあるはずですので、ぜひ大臣、指示をしていただいて、ほったらかしになってしまっているいい制度、これを特に中小企業に広めていこうという音頭をぜひとっていただければと思います。  私は、こういうときこそ政策金融というものを活用していくべきだと思います。今まで、政策金融、これは意味があるのかということをたくさん私はここですとか財金でも取り上げてきたんですが、こういういい方向に進めていくためには、政策金融を使ってどんどん背中を押していくべきだと思うんですが、大臣、それについてはどうですか。
  280. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 ちょっと今、通告がなかったので、制度的にどうなっているかというのはよく検証はしてみる必要がありますけれども、政策金融で使える面があるのであれば、それは積極的に活用していくべきだというふうに思います。
  281. 落合貴之

    ○落合委員 こういう経済の根本であるエネルギーの問題等を大きく日本全体を引っ張って動かしていくには、政策金融の力というのは大変重要なものであると思います。ぜひ、こういう意味のあることに政策金融を使っていただけるように、大臣にも指令を飛ばしていただければと思います。  それでは、きょう資料を用意させていただきました。これは資源エネルギー庁からいろいろレクをしていただいたときにあった、その中の一ページなんですが、一九七〇年代にオイルショックがあった。それで、七〇年から一九九〇年までは三五%ぐらいエネルギー効率が改善をされているわけでございます。それから省エネ法、ずっと今まで続いてきているわけですけれども、経済が停滞していた九〇年から二〇一〇年、これは経済活動が停滞していたと言われているにもかかわらず、一〇%しかなぜか改善をしていません。  これは大臣、行政がちゃんとやっていなかったのか、産業界がそんなに関心がなかったのか。これは、行政も産業界も努力した上でこの二十年間が結果が出なかったのであれば、今後、三五%改善するのはかなり難しいと思います。  しかし、二十年で技術がかなり進歩している、特にIT化なども進んでいるにもかかわらず、この二十年、ほとんど省エネができなかった、これについてはどう大臣は思いますか。
  282. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今おっしゃっているのは、一九九〇年から二〇一〇年に減り方が少ないということでありますが、一方で、この一九九〇年から二〇一〇年の間も累次にわたって省エネ法改正も行われておりまして、何もやらないでこうなっているわけではないということだと思います。恐らく、やらなければもっとふえていた時期なんだろうというふうに思います。  ちょうどこのころを境に、一九九〇年というのは私は大きな境目だと思いますけれども、やはり個人の生活も大変豊かになっていって、例えば、私が大学生のときは、大学生で部屋にエアコンのある人なんというのはなかなか恵まれた方だったわけですけれども、一九九〇年以降はやはりそういうのも当たり前になっていったとか、かなりエネルギー消費型の社会構造になっていったという面もあるのではないかというふうに思いますし、でも、それを手をこまねいていたわけではなく、いろいろな手を打ってきたわけであります。  今回は、やはりパリ協定発効も踏まえてしっかりと省エネを進めていく必要があるということで、ある程度この数字目標もコミットした上で、今回こういう法改正をしっかりとやらせていただきたいと考えています。
  283. 落合貴之

    ○落合委員 省エネの議論になりますと、特に、製造業の方々ですとか、電力を使って商売を、生産活動している方々は、もうこれ以上乾いた雑巾を絞ることができないということをおっしゃるわけですけれども、目標を三五%、日本全体でエネルギー効率改善していくんだという目標を立てているからには、大臣は、今この日本のエネルギーの使い方は乾いた雑巾ではないという認識でよろしいですね。
  284. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今、三五%の目標に向けて、ことし時点の進捗から見ると、全然だめなわけではなくて、ちょっと足りないというわけであります。  そういう中で、どういう部門がまだやれるのかということを考えて、特に産業部門といわゆる貨物部門にスポットライトを当てて今回法改正をさせていただいたということであります。この部門については、もう少し努力ができる範囲があるのではないかというふうに考えています。
  285. 落合貴之

    ○落合委員 日々技術は進歩していきますので、三十年前にはもうこれ以上絞れないという状況でも、三十年後、十年後、二十年後にもっと絞れるようになるということは多々あると思います。だからこそ、早目に対策を、どんどん高目の対策を打っていかなければならないと思うんです。  あと、エネルギーミックスということで、省エネ対策産業部門業務部門家庭部門運輸部門に分けて、全体で原油換算で五千三十万キロリットル分省エネをしますという目標を立てているんですが、今大臣も持っていらっしゃる資料にもありますけれども、この四つの部門のうち、運輸部門以外の三部門はLEDが登場しています。よく見てみると、LEDの節約できる部分を足し算すると五百六十七になる。五千三十のうち、LEDだけで五百六十七。一〇%以上が、今の電気をLEDにかえるだけで達成できるわけでございます。だからこそ、この部分はある程度進んでいるわけなんですけれども。  これは、原油で換算すると五百六十万キロリットルなんですが、これも通告させていただきましたが、電力に換算すると、この五百六十七万キロリットルというのはどのぐらいの電力量になるんでしょうか。
  286. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 LEDの導入に関しては、二〇三〇年に全照明をLED化することで約五百三十八万キロリットル、これは、電力で表現すると五百七十八億キロワットアワーの省エネを見込んでいるわけであります。二〇一六年時点で既に四割程度に相当する約二百三十億キロワットアワーまで進捗が見られているところであります。これは、日本の年間電力消費量が約九千九百八十一億キロワットアワーであることと比較をすると、かなりの量の省エネ量に相当するのではないかというふうに思っております。
  287. 落合貴之

    ○落合委員 六%ぐらいは電力消費量を、LEDにかえるだけで、その計算でも減らすことができるということです。  今、先ほどからいろいろな方が電力のベストミックス、電源のベストミックスについて質問をしてきましたけれども、これは、新設、増設の議論が出てくるのであれば、この六%を削減しちゃう方を先にやった方がいいんじゃないですかね。このLEDの部分を二〇三〇年より前に達成させる、そしてエネルギーの問題を先に改善させる。順番としてはこれを先にやった方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  288. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 これは、経済社会の実態に合わせて、現実的な形で我々はエネルギーミックス考えさせていただいておりますので、お話はわからぬではないですけれども、実際、LEDを一〇〇%かえようと思ったら、これは家庭も含めてかなりコスト負担も要るわけでありますから、そういったところを総合的に考えて我々は二〇三〇年の姿を描かせていただいているところでございます。
  289. 落合貴之

    ○落合委員 特に電力については、私は、電球をかえるだけでこれだけ改善できるんですから、もっと進めていくべきだと思います。  この四十年近くにわたって、省エネ法をつくって、いろいろな仕組みをつくってきました。実際に国民がそれを実行していく、それから事業者が実行していくに当たっては、経産省だけではそれを広めていくことはできません。執行機関というものが指定されて、その執行機関が窓口になって主に進めていくわけでございますが、この法案ができた昭和五十四年の前の年に、財団法人省エネルギーセンターという組織ができています。  これは、国ですとか電力業界ですとか石油業界などがお金を出して設立していまして、この法人が省エネ法のいろいろな中身と連動して執行機関として歩んできたわけですが、もう四十年近くたっていますが、この機関はしっかり機能しているというふうに認識はされていますでしょうか。
  290. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 済みません、ちょっと初めて伺う機関だったのであれなんですが、サポート機関としてしっかり機能しているということでございます。
  291. 落合貴之

    ○落合委員 大臣、この機関はかなり重要ですので、省エネ法といえばこの機関ですので、昔、調べたら事業仕分にも載っていましたけれども、それでも残っている機関でございますので、ぜひ注目をしていただければと思います。  歴代の経産省の方々が専務理事にもなって、常務理事にもなっています。だから重要なんじゃないかなと私は思うんですが、役所の方がここに行くことで、法案の執行機関として役割を果たすということを潤滑にしていくという役割もあると思うんですけれども、これはもう四十年近くたっている機関ですので、いろいろな問題点も出てくるんじゃないかなと思います。  これは、歴代経産省の方々が専務理事、常務理事になっていますので天下りじゃないですかとここで取り上げたとしても、違いますとおっしゃるでしょうから聞きませんけれども、ここ一年、私は商工中金のことを取り上げてきましたけれども、自分たちの存在意義を固めていこう、維持していこうというために仕事をつくっていった、法改正もそのためにしていった、それで一個の大きな組織がこけてしまったということは起きがちなわけでございます。省エネ分野で起きるとしたら、私はこの機関が要注意であると思っています。  そういう意味で、大臣、きょう、これをきっかけに、しっかりガバナンスをきかせていただきたいと思うんですが、それについてはいかがですか。
  292. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 一般財団法人省エネルギーセンター、今急に詳しくなりましたけれども、これは今、省令に基づいて指定試験機関として指定をされている団体であります。この団体は、省エネ技術、知識の総合的な普及啓発に努めることによって、国民生活及び産業活動の改善向上に資し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている団体となっています。  これまでは、省エネ診断ですとかあるいは省エネ大賞などの自主事業に加えて、省エネ法の指定試験機関ですとか指定講習機関に指定をされてエネルギー管理士試験やエネルギー管理講習などの実務を円滑に実施をしてきておりまして、こういった実績を踏まえて、いろいろな意味で能力を有する機関だとは思いますので、しっかりと仕事をするように、ただし、OBが行っているのは、これはそれぞれ適性が判断されて行っているということは前提にしますけれども、しっかりと仕事をする機関として、きょう、済みません、気づかせていただきましたので、今後注視をしていきたいというふうに思います。
  293. 落合貴之

    ○落合委員 これはどこが指定機関になっているかなと私が調べたきっかけは、今回の改正案でも、例えば、今大臣は試験とか講座をここがやるんだとおっしゃいましたけれども、要は、省エネ法でいろいろな資格がふえたりとか、これを講習で学ばなきゃいけないと指定すれば、この機関の仕事がふえるわけです。  今回の改正も、十九条にエネルギー管理統括者を選任しなければならないというのが新設されていて、あと二十条、エネルギー管理企画推進者を選任しなければならないと違うのが出てきて、それから、三十三条はエネルギー管理者というのが出てきて、三十四条はエネルギー管理員というのが出てきて、どんどんどんどん資格や講座がふえてきていることは確かなんですね。  だから、これは危ないんですよ、もしかしたら。ですから、自民党の皆様もぜひここに注目していただければと思います。こういう、国が省エネをやらなきゃいけないというときに、やはり組織がおかしくなる原因ができると思います。どんどん予算がついてしまうし、法改正もどんどんやっていこうとなったときに、こういう裏に隠れている組織が暴走していく可能性があると思いますので、これは重要な役割をこの機関が担っていることは確かですので、ぜひそれは指摘をさせていただければと思います。  それからもう一つ、省エネ補助金が今物すごく盛況ですけれども、これは平成二十四年から公募を始めているんですが、ずっと同じ団体が受託をしています。一般社団法人環境共創イニシアチブという団体でございます。  これも、別に何か問題があるとここで取り上げるわけではなくて、ずっと同じ団体が執行機関として続いているんだということをまず大臣に認識してもらいたいと思いますので、こういうところに注視をしていただければと思います。  ぜひ、省エネ利権というものが生まれないように大臣には監督してもらいたいんですが、いかがですか、大臣。
  294. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今御指摘の団体は、公募の結果選ばれている、それがたまたま同じ機関がということになっているんだろうというふうに思いますが、いずれにしても、この省エネ補助金というのは、かなり額も大きいものでありますし、影響も大きいものでありますから、その運用、執行に当たっては、行革の精神に反することがないように、きちっと目を光らせていきたいというふうに思っています。
  295. 落合貴之

    ○落合委員 それでは、残りの時間で、今まで野党の委員の方々がしてきた質問の更問いをちょっと一問させていただければと思うんですが、発電のベストミックス、二〇三〇年、原発比率二〇から二二%ということで、二〇三〇年にこの比率にするために、先ほどの何回かの答弁の中で、新設、増設はしなくても大丈夫だということをおっしゃったように聞こえたんですが、それでよろしいでしょうか。
  296. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 二〇三〇年のエネルギーベストミックスに示されている原発の比率二〇から二二を達成するに当たっては、必ずしも新設、リプレースは必要がない。具体的に通告をいただいていればこういう試算でということもお示しできたので、ちょっと今手元にないんですが、稼働率とかその辺の議論はあると思いますけれども、我々としては、新設、リプレースを前提としなくても二〇三〇年のベストミックスは達成できるという考え方であります。
  297. 落合貴之

    ○落合委員 いずれ一般質疑がやってきますので、その比率を資料で出していただければと思うんですが、大臣、指示はしていただけますか。
  298. 世耕弘成

    ○世耕国務大臣 今資料がありましたからお答えしますが、エネルギーミックス、原発比率二〇から二二は、当然、原子力規制委員会の安全最優先の新規制基準適合を認めてもらうということが大前提になりますが、既存の原発を全て再稼働して、そして、震災前の稼働率が平均七割のところを八割程度まで稼働率を向上させて、そして、一部の炉については法令で認められた四十年を超える運転期間延長を行うことによって、達成が可能だというふうに考えています。  原発ごとに出力規模とか実際の稼働率も異なりますので確定的なことは申し上げられませんが、例えば、二〇三〇年度に原発比率二〇%を達成するには、一定仮定前提をもとに計算をすれば、原発三十基程度が稼働していることが必要。そのためには、現時点では新設、リプレースは必ずしも必要ではないということでございます。
  299. 落合貴之

    ○落合委員 私もきょうからちょっとその点については調べさせていただきますが、エネルギー基本計画の発電のコストの計算のときに、火力でさえ七割の稼働率で計算していますので、原子力八割というのが、できる話なのかなというふうにも思います。これはまた改めて取り上げさせていただければと思います。  本日はありがとうございました。
  300. 稲津久

    稲津委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会