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山崎委員 エネルギーの話を始めますと全部終わってしまうので、私もあえて踏み込みませんが、ただ、文脈的に、
松野課長が
お話しになった文脈というのは大変やはり意味が深いというか、私は重要だと思っています。
なぜ
太陽光パネルはこんな
状態になったか、
風力発電がこんな
状態になったか。やはり
日本市場の進展がとまってしまった、そういうことが
一つの大きな
要因だと言われています。そういう歴史的な背景もあって、あそこでもしエンジンがかかっていたら、
日本の本当にいい
技術がたくさんあったのが、次、こんなことにはなっていなくて、きちっと伸びていたかもしれない。
それから、例えば、一の
資料を見ていただいて、今、私は
世耕さんに教えられました、
デジタルカメラのカメラの
技術が
自動運転に生きていると。見てくださいよ、
監視カメラ。何で
日本はとれないんですか。パナソニックは何とか入っているけれども。
監視カメラなんか、まさにそういったハードの、カメラの
技術を使うところじゃないですか。だから、こういうことだと思うんです。
私の
認識はやはり大変厳しくて、いわゆる
アベノミクスの第三の矢がきちっと飛んでいなくて成長がうまくできていないということなんだろうなと思います。
そういう意味で、今回の
法案というのはある一定の意味はあるのかなとは思っていますが、もう
一つ大きな流れとして
お話をしたいのが、次のテーマで、いわゆるシンギュラリティーという
お話でございます。
非常に新しい言葉であるかもしれません。はやり言葉なのかもしれませんけれども、シンギュラリティー。物の本を読みました。アメリカの未来学者レイ・カーツワイルが、テクノロジーの進化、このスピードについて予言をしました。テクノロジーの進化が、スピードが無限大になる、それが二〇四五年に起こるということで、このシンギュラリティー、そのポイント、
技術的な特異点とも呼ばれています。
グラフを見ていただきますと、三のグラフですね。よく売れている本だと思います。「シンギュラリティ・ビジネス AI時代に勝ち残る
企業と人の
条件」ということで、図表一、「エクスポネンシャル(指数関数的)な進化」ということですね。いわゆる倍々ゲームというものですね。この倍々ゲームの進歩は
技術で今起こっていて、その進歩をグラフにするとこういう
状況になっているという話ですね。
今までの直線的な進化、いわゆる比例で生産性などを言うときに、例えば、一人で働くよりも二人で働いた方が生産力が倍になって生産量が倍になるみたいな、まあ、そんな単純ではありませんけれども、そういう比例の世界から、今起こっているのは指数関数的な倍々ゲームの世界なんだと。よく言われているのが、ムーアの法則というのがあって、要するに、パソコンの能力、集積の度合いは十八カ月をタームで倍になる、倍になる、倍になる。それが続いてきて今のような
状況になっているということでございます。
この指数関数的にいくと、スピードが無限大になるという、ちょっと想像できませんが、理解としては、大変大きな変化がどんと起こる、短期間に起こるということであると思います。これはSFの世界ではなくて、実はもう多くの
企業だとか
経営者、あるいは世界のリーダーが、いろいろな研究を積んで、こういう世界にどう
対応しようか、こういう世界でどうビジネスチャンスを得ようかということを、今、知恵を振り絞っているところという
認識でおります。
こういう世界をどう
日本としても取り込んで、力にしていくということが非常に重要だと考えます。
日本でも、あの有名な孫正義さんは、このシンギュラリティーの世界を見たいということで引退を先延ばししたという話も有名です。
もう
一つ、こういうシンギュラリティーの世界を想定して
企業のことを見ていくと、次の
資料四ですが、シンギュラリティ大学というところが書いている本ですね。「シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法 ビジネスを指数関数的に急成長させる」という本の中に書いてありましたものを抜きました。飛躍型
企業ということですね。
ちょっと定義を読みますと、「加速度的に進化する
技術に基づく新しい組織運営の方法を駆使し、競合他社と比べて非常に大きい(少なくとも十倍以上の)価値や影響を生み出せる
企業。」こういうものが、このシンギュラリティーを背景にした世界の飛躍型の
企業ですと言っています。加速度的に伸びていく
技術をきちっと取り込んで、それを生かす新しい組織の運営の方法を駆使して、競合他社と比べて非常に大きな、それも、何%勝ったとか何割勝ったではなくて、十倍とか二十倍とか、そういう価値や影響を生み出していくところが飛躍型の
企業なんだという定義がされています。
表の二の一には、そうやって大きなパフォーマンスを上げている
企業の名前、中には有名なところも出てきますが、どれも何十倍、百倍、あるいは千分の一、十倍、三十倍、そういう
成果を上げている。これがシンギュラリティーの時代を
ベースにした
企業の発展のあり方だということでございました。
それで、私も、
日本でもこうした
企業がやはりどんどん出てきてほしいし、出てこなければいけないんではないかなと思っています。
ただ、全ての
企業が短期的にこういう成長を遂げるとか、こういうアイデアで爆発的な
企業業績を上げるということは難しいかもしれませんが、少なくとも、このシンギュラリティーの特異点というのは二〇四五年と言われていまして、もうそのころには人間の頭脳を超える世界、AIの世界が訪れるということでございます。
やはりそういったものを
前提にした戦略、あるいはさまざまな
政策を今急いで
展開しなければいけないと思っています。それが、この今の御提案の
法案でできるかどうか、十分かどうかというのが私は大事なポイントではないかと思っています。
ちょっと抽象的な話になったので、私、
一つぜひ御紹介したい。本当は
企業経営者の
皆さんに会ってから質問したかったんですけれども、時間がなくて会えませんでした。ただ、御紹介したいのが、Knotという時計メーカーなんですよ。Knotというんですね。
ネットで、初めは通販だと思うんですけれども、ネットからスタートした時計のメーカー。それで、国産にこだわっていまして、メード・イン・ジャパンというふうにうたって、もう残念ながら海外に出ていってしまって時計
自体をつくる職人、エンジニアの
方々が減っていく中で、そういう
技術を持っている国内の恐らく工場をきちっとつないで、国産のいい時計をつくりますと。それで、いろいろな中間マージンを省いて、大変安く高性能な時計を販売する。そこまではまず
一つあるんですね。
それで、その後なんです。この時計は、私すごいなと思うのは、このいわゆるバンドの部分なんですけれども、これは、私、今Knotの時計をしているんですけれども、このバンドの部分は、さまざまな
日本の織物だとか革の加工だとか、そういったものを駆使しまして、組合せが、時計本体とバンドの組合せを掛け算していくと、七千通りとか八千通りとかできるんですよ。バンドの交換がもうとてもすばらしく簡単にできて、着せかえるようにいろいろなことができるんですね。
要するに、
日本の伝統工芸の織物、例えば、タケヤリ帆布というんですか、帆に使うような厚い布とか、高田織物の畳の縁の織物を使ったストラップとか、甲州槙田のジャガード織り、これは傘なんかの生地に使うようなものを使うとか、組みひもを使うとか、そういったものをデザインして提供していて、大変すばらしい。おもしろいです。
それで、ホームページにはこのように書いてあるんです。
ジャパン・クオリティで、
日本と世界をむすぶ。
お気に入りの時計を選ぶのに、二時間近くも悩みながら、「超楽しい」とにっこり笑って、買ってくれたお客さまがいる。吉祥寺のお店まで、わざわざシンガポールから買いに来てくれたお客さまがいる。
私も青山のお店へ行ったんですけれども、もういっぱいです、中国人、韓国人の方。これはネットでしか広告は出ていないんですよ。
それで、
これって本当にすごいこと。何よりもうれしいこと。お客さまが何を求めているか、どうすれば喜んでもらえるかを一番に考えて、Knotはメーカーズブランドとして、いつも「もの」と「こと」を考えているから。世界中のお客さまから愛される存在になりたいから、常に新しい体験ができるブランドでありたいと思っています。高品質な時計を、リーズナブルな価格で手に入れられる。カスタムオーダーで、時計選びを楽しいものにする。地方にある素晴らしい素材や
技術とコラボレーションして、
日本の魅力を世界へ伝える。お客さまの笑顔が見たいから。本当に価値のあるものだけを、
一つ一つカタチにしていきたい。ひとりひとりのライフスタイルに思いを巡らせながら。
こういうキャッチフレーズ。
別に私はこのメーカーの宣伝をしたいわけではないんです。こうやって、メーカーが、
日本にある
技術を
一つ核にして、伝統工芸ですよね、そういった織物の
技術とか革の
技術とかそういうものを組み合わせて
市場化することによって、本当に今ブレークをしていて、八十年ぶりの時計メーカーの誕生だと言われております。
私は、例えばシンギュラリティーの世界とかいろいろなことを考えていくときに、こういうビジネスモデルみたいなことがあるのではないかなというふうに思っていまして、全くのそういう時計には素人の
方々が立ち上げた会社だと思うんですが、アイデアとネットの力、あるいはそういう商品のデザイン力、そういうもので新しい時計という、斜陽
産業と言われている時計の世界を大変革したという事例でございました。
ちょっと話が長くなりましたけれども、こういったシンギュラリティー、大きな変化の時代にあって、
日本の
企業もさまざまなアイデアを組み合わせて
展開をしなきゃいけない、こういう世界観、
産業、
経済の課題について、どうお考えですか。