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2018-05-15 第196回国会 衆議院 環境委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
平成三十年五月十五日(火曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
松島みどり
君
理事
金子万寿夫君
理事
北川
知克
君
理事
関 芳弘君
理事
高橋ひなこ
君
理事
武村
展英
君
理事
生方 幸夫君
理事
西岡 秀子君
理事
江田 康幸君 井上 貴博君
大隈
和英
君 河井 克行君
木村
弥生
君
笹川
博義
君
武部
新君 中村 裕之君 百武
公親
君 福山 守君 古田 圭一君 細田 健一君 三浦 靖君
務台
俊介君 近藤 昭一君 堀越
啓仁君
山崎 誠君 横光 克彦君 下条 みつ君 鰐淵 洋子君 田村 貴昭君
玉城デニー
君 細野
豪志君
…………………………………
環境大臣
中川 雅治君
環境
副
大臣
とか
しきなおみ
君
環境大臣政務官
笹川
博義
君
環境大臣政務官
武部
新君
政府参考人
(
農林水産技術会議事務局研究総務官
) 大角 亨君
政府参考人
(
資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官
) 小澤 典明君
政府参考人
(
国土交通省大臣官房審議官
) 首藤 祐司君
政府参考人
(
環境省大臣官房環境保健部長
) 梅田 珠実君
政府参考人
(
環境省地球環境局長
) 森下 哲君
政府参考人
(
環境省総合環境政策統括官
)
中井徳太郎
君
参考人
(
WWFジャパン自然保護室室次長
)
小西
雅子
君
参考人
(
認定特定
非
営利活動法人気候ネットワーク東京事務所長
)
桃井
貴子
君
環境委員会専門員
関 武志君
—————————————
委員
の異動 五月十五日
辞任
補欠選任
木村
弥生
君
大隈
和英
君 同日
辞任
補欠選任
大隈
和英
君
木村
弥生
君
—————————————
五月十五日
動物愛護法
の
改正
に関する
請願
(
源馬謙太郎
君
紹介
)(第一一〇五号) 同(
木村弥生
君
紹介
)(第一一九九号) 同(
川内博史
君
紹介
)(第一二三一号) 同(
もとむら賢太郎
君
紹介
)(第一二四九号)
動物虐待事犯
を厳正に処罰するために法の
厳罰化
とアニマルポリスの
設置
を求めることに関する
請願
(
馬場伸幸
君
紹介
)(第一一〇六号) 同(
浮島智子
君
紹介
)(第一一五七号) 同(
木村弥生
君
紹介
)(第一二〇〇号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
気候変動適応法案
(
内閣提出
第二七号) ————◇—————
松島みどり
1
○
松島委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
気候変動適応法案
を議題といたします。 本日は、
本案審査
のため、
参考人
として、
WWFジャパン自然保護室室次長小西雅子
さん及び
認定特定
非
営利活動法人気候ネットワーク東京事務所長桃井貴子
さん、以上二名の方々に御
出席
いただいております。 この際、
参考人各位
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。
参考人各位
におかれましては、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
小西参考人
、
桃井参考人
の順に、それぞれ十五分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答え願いたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度
委員長
の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、
参考人
から
委員
に対して
質疑
をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。 それでは、まず
小西参考人
にお願いいたします。
小西雅子
2
○
小西参考人
皆様
おはようございます。
WWFジャパン
の
自然保護室室次長
をしております
小西雅子
と申します。 本日は、
WWF
にこのような
機会
をいただきまして、まことにありがとうございます。
WWF
というのは、百カ国で
活動
している
世界最大級
の
自然保護団体
で、私のような
専門オフィサー
が、五千人が
活動
しております。 本日の
気候変動
の
適応法案
の
意見
としまして、本
法案
の
重要性
をまず述べさせていただいた後に、
改善案
としまして、まず、
緩和策
が
大前提
であること、そして、
PDCAサイクル
を回すときにやはり
第三者機関
の
評価
が必要ではないかという
意見
、その二点について述べさせていただきます。 最初に、きょうも暑くなっているんですけれども、ここのところのこの暑さ、国民の
皆様
もひしひしとこの
温暖化
の
影響
による
異常気象
のことは感じていらっしゃるんじゃないかと思います。お
手元
にある
パワーポイント
に沿って説明させていただきますが、例えばアメリカでは、去年、過去
最大
の
気象被害額
、三百ビリオン、約三兆円の
被害
が出ております。
被害額
はこれからふえる一方なんですが、
今世紀
末の
気温変化
として、このままでは四度
上昇
するという
予測
がIPCCからされております。これを二度
未満
に抑えるということが今
パリ協定
の中で
各国
の
長期目標
として共有されているわけですが、
温暖化
の主な
影響
としましては、
日本
を含めたアジアでは、
洪水
ですとか
熱中症
の
リスク
、干ばつによる水、
食料不足
が挙げられております。 このときに大事なのは、
気温上昇
は、四度
上昇
した場合と二度
上昇
した場合においては非常に大きな差があるということです。と同時に、たとえ二度の
上昇
でもこれは
被害
がかなり深刻でして、例えば
洪水被害
ですと、
リスク
は
中程度
の上となっております。 つまり、この
温暖化
の
被害
に対して軽減する
努力
をする
適応努力
というのは、
緩和
と同時にもうやっていかなければならない非常に喫緊の
課題
であるということです。 続いての次の
ページ
。
パリ協定
、
御存じ
のように、
気温
の
上昇
を二度に抑えるために、
今世紀
後半に
人間活動
による
排出
をゼロを目指す
目標
を持つ初めての
国際協定
です。 その中の第七条、
適応
において、
適応
の
グローバルゴール
、
世界目標
を設定すること、そして、全ての国は
適応計画
の
プロセス
に従事して、
実施
することが義務となっております。このように、
パリ協定
から要請されているわけですね。 あともう
一つ
、
パリ協定
の大きな
特徴
として、第八条に、
損失
と
被害
という
項目
が入りました。これは、
気候変動
の悪
影響
によって、
適応
をしたとしても既に防ぐことができないような、発生してしまう
損失
や
被害
に対して、国際的な
対応
の
仕組み
を
強化
していく、こういった新しい
項目
も入っております。これについては、ちょっと後でまた述べさせていただければと思います。 続いて九
ページ
。この
パリ協定
の大きな
特徴
として、五年
ごと
にこの
目標
を見直すということが決まっております。
パリ協定
で言う
国別
の
目標
というのは、
緩和
の
目標
だけではなく、
適応
の
目標
も入ることになっております。つまり、
緩和
と同時に、
適応
についても、五年
ごと
に
実施計画
を立て、
進捗
を
評価
し、そして
改善点
を見て、そして改善していくといった、
PDCAサイクル
を回すことになっております。 ということで、本
法案
、
適応法案
は、まさに
パリ協定
からの、
国際社会
からの要請を受けた
時宜
を得た
法案
ということが言えます。
長期目標
の設定ですとか、
適応計画
の
実施
、
報告
、そして定期的な更新、こういったものが含まれている本
法案
は、実に
時宜
を得た的確な
法案
であるということが言えると思います。 あともう
一つ
、この
法案
の重要なところは、国が率先して
地方自治体
の
適応計画
を方向づけるということが決められていることです。 次、めくっていただきますと、今まで、主に
適応
の
主体
というのは、
地方自治体
さんが大きな役割を果たします。 というのは、基本的には、
異常気象
に対する
防災計画
、
治水計画
、そして、各地の農業とか漁業とか、そういった
産業
の
適応計画
を進めるということは、既に、
既存
に行われている施策の中にこの
適応
の
視点
を入れていく、これを
国際社会
では
適応
の
主流化
と呼んでいますが、
地方自治体
さんに今までは
適応
の
計画
を立てましょうと私
たち
も申し上げてきても、ああ、でも、今、国もまだやっていないしということで、かなり二の足を踏む
自治体
さんが多かったんですが、二〇一五年に
適応計画
ができて、
地方自治体
さんに非常に弾みがつきました。 さらに、本
法案
によって
法的根拠
がここにできますので、
主体化
として、
地方自治体
さんにとって、非常に
適応計画
を立てるという
重要性
とともにその推進が図られることが期待されます。
自治体
さんにとってやはり大きな
課題
は、
適応計画
を理解して、それを進める能力のある
人材
、この
人材
の
不足
といったことも挙げられますが、その点では、この
法案
において、例えば、この十一
ページ
にありますように、
情報収集
が一カ所でできるような
環境省
さんの
気候変動適応情報プラットフォーム
とか、あと、隣の
自治体
さんはどうしているかなということが
日本
の
自治体
さんとしては気になるところだと思いますが、
適応計画
をどういうふうに持っているかという
自治体
のこともすぐわかりますし、また、これからは
日本
の
産業界
にとっては
適応技術
が非常に大きなニーズとなってきます。その
適応ビジネス
というもののグッドプラクティスも一カ所でわかるようになっております。 また、
気象庁
によって、
気象災害
への備え、私も
気象予報士
なんですが、
気象予報士
を
自治体
に派遣して、こういった
防災計画
になるべく
視点
を入れて
防災
の
強化
を図っていこうといった、こういったことも進められていますが、こういったことが全て
法的根拠
を持ってできるようになりますので、非常に
時宜
を得た
法案
だと言えると思います。 ただ、その中でも、
改善案
としまして二つ申し述べさせていただきたいと思います。 というのは、本当は、この
気候変動
の
対策
というのは、
皆様
よく
御存じ
のように、まず
温室効果ガス
の
排出削減
を行う
緩和策
が第一前提です。ただ、この
緩和策
の方は、まだ
日本
の中においては、
パリ協定
に沿った
緩和策
の
法案
というのは残念ながらございません。 ですので、この
適応
の
法案
が今回成立することは非常に喜ばしいことなんですが、本
法案
の第一条に、
緩和
と
適応
が
温暖化対策
の車の
両輪
であるということをぜひ明示していただいて、後々に
緩和
の
対策
について、なるべく早く
法案
ができるような形で、ここにうたっていただければありがたいなと思っております。 あともう
一つ
重要なことは、今まで御説明申し上げたように、これからの
気温上昇
が、四度になるのか、それとも、
国際協力
をなして二度
未満
に抑えることができるかによって、随分
適応
の
必要性
が変わってきます。四度
上昇
する
世界
にまっしぐらになるのか、それとも、二度に抑えられるのか。
パリ協定
では二度
未満
ということをうたっていますので、本当でしたら、本
法案
の中にも、
パリ協定
に沿って二度
未満
に
対策
を
強化
していき、二度
未満
になっても、それでも起こってしまう
対策
に対して
適応
をやっていかなければならないといったような、本当はそういう形で目指すべき
気温上昇
の幅というものも書かれるべきなんですけれども、そこがないというのが非常に残念に思っております。 そこから考えますと、現状の
日本
が
パリ協定
に出している
目標
は、
国際社会
からは著しく不十分だとの
評価
を受けています。 本来は、
気候変動対策
の
基本法
を制定して、その中に
緩和
と
適応法
を位置づけるというのが本来の姿ではないかと思っております。 といいますのは、もし四度
上昇
した場合、
日本
は、
世界
が
平均気温
で四度
上昇
した場合は、緯度三十度にありますので四・五度ぐらい
上昇
する
予測
ですが、その場合、
東京
は大体、現在の屋久島の
気候
になると言われています。これは、
気象庁
が出した
温暖化予測情報
、これまで九回出しているんですが、この第九巻目に出された知見なんです。 ここで、
気象庁
は、今まで実は、ずっとこの
温暖化
の
予測
というのは
中程度
の
予測
を使用していました。ところが、今回初めて、四度
上昇
するRCP八・五と言われる
シナリオ
に基づいた
影響予測
を出したんですね。といいますのは、次の十八
ページ
にありますように、現実の
世界
の
排出量
というのは四度
上昇
する
シナリオ
に沿っているんです。ですので、このままだと四度
上昇
してしまうということになります。 次の
ページ
へめくっていただいて、
環境省
さんも、もし四度
上昇
した場合と、そして二度
未満
に抑えた場合の、これは
熱中症
の患者の
搬送数
の例で持ってきましたけれども、その倍率も、例えば
東京
で厳しい
温暖化対策
をとった場合には二倍ぐらいなんだけれども、もし四度
上昇
した場合には四倍から八倍にふえるといった
予測
が出されています。つまり、
気温上昇
の
予測
によって準備するべき
適応
も変わってくるわけですね。 ですので、やはりここは
適応法案
としては、
緩和法案
と
両輪
で、しかも、どの
レベル
を
日本
として目指すのかということがぜひ本当は入ってほしいなと思っております。
パリ協定
の主要な
決定事項
としては、二度
未満
に抑える、できるならば一・五度
未満
にと入っております。そのためには、
今世紀
末に
温室効果ガス
の
排出量
を実質ゼロにということがうたわれております。しかし、今
パリ協定
に
世界各国
が出している
目標
では、
気温上昇
は大体二・八度、三度ぐらいになると
予測
されております。 ということで、本来は、
緩和
と
適応
の両方を含む
気候変動
の
基本法
があって、その上でこの
適応法案
が位置づけられるといいなと思っております。 そして、最後に、
PDCAサイクル
を回していくという、
パリ協定
に沿った非常にいい
内容
を持った
適応法案
なんですが、本当は、独立した
第三者機関
の
評価
が、今回の
適応
の
進捗状況
ですとか
評価
がどうであったということが入ってほしいなと思っております。 といいますのは、
パリ協定
に出す
国別目標
の中でも、こういった
適応計画
の
評価
の
国際的妥当性
というものも
提出
する必要がありますので、それのためにも、
日本
の
適応法案
の中にもこうした独立した
第三者機関
の
評価
と
勧告
の
仕組み
というものが入ったらいいなと思っております。 そのほか、御
参考
までにいろいろな資料も持ってまいりましたので、もしよろしければ、また
質疑応答
のときにでも聞いていただければと存じます。 ありがとうございました。(拍手)
松島みどり
3
○
松島委員長
ありがとうございました。 次に、
桃井参考人
にお願いいたします。
桃井貴子
4
○
桃井参考人
気候ネットワーク
の
東京事務所
、
桃井
と申します。 本日は、このような貴重な
機会
をいただきまして、まことにありがとうございます。 私が所属します
気候ネットワーク
は、一九九七年
京都議定書
が採択された
気候変動枠組み条約
第三回
締約国会合
の開催された翌年、一九九八年に設立され、ことしでちょうど二十周年を迎えます。
市民
の
立場
から、
気候変動
の解決に向けて専門的に取り組み、
国際交渉
への
参加
、
政策提言
、
地域レベル
での
草の根活動
や
子供たち
への
環境教育
などを行ってまいりました。そして、
人類
にとって
リスク
の大きな原発には頼らず、
化石燃料
による
温暖化
もない、持続可能な
社会
を構築することをミッションに、
活動
を展開してまいりました。 今回、
気候変動適応法案
が上程されるに当たり、二月二十八日、私
たち
の
立場
を示した
プレスリリース
を発表しましたので、そのコピーをお
手元
にお配りさせていただいております。 今回申し上げたいことは、大きく二点ございます。
一つ
は
気候変動対策
のかなめである
緩和策
について、そしてもう
一つ
は
適応法案
に対してです。 まず第一に、
気候変動対策
において、
適応策
は
最大限
の
緩和策
の
実施
が
大前提
であるということです。
パリ協定
では、一・五度から二度
未満
の
目標
が明記され、
温室効果ガス
の
排出
を早期に削減し、実質的に人為的な
温室効果ガス
の
排出
をゼロとする脱
炭素社会
の構築が決められました。 本年四月二十四日の
環境委員会
の
参考人質疑
で、茨城大学の
三村先生
や
国立環境研究所
の
原澤先生
が御
出席
され、その際にも御発言されていましたが、一・五度から二度
未満
に抑えたとしても
適応策
が必要であるということをおっしゃっていたと思います。つまり、
適応策
をとる上で一・五度から二度の
上昇
に抑えるということが
大前提
になるということです。 しかし、今、
日本
は一・五度から二度
未満
に抑えるための
最大限
の
緩和策
が
実施
できている
状況
にあるとはとても言いがたい
状況
です。
パリ協定
が発効し、
世界
が脱
炭素社会
を目指す中、
日本
はいまだに二十年前と変わらず進歩がないということを指摘しておきたいと思います。 クライメート・アクション・トラッカーという
環境NGO
が、毎年
各国
の
気候変動政策評価
を行っています。今月発表された
評価
では、
日本
の
削減目標
が極めて不十分であることを改めて指摘しています。そして、
気温上昇
を四度
上昇
させる
レベル
だというふうに
評価
しました。 いわゆる
適応策
だけ前に進めても、四度も
上昇
するような、
人類生存
に危険な
レベル
になっては意味をなしません。現在、
日本
の
温室効果ガス削減目標
は、二〇三〇年に二〇一三年度比二六%とされていますが、その見直しを含めて、
日本
の
気候変動政策
、
エネルギー政策
全体を
パリ協定
に合致させることが必要であると考えています。 とりわけ
日本
において
気候変動政策
に逆行しているのが、
石炭火力発電所
の扱いです。
パリ協定
の一・五度から二度
未満
の
目標達成
には、新たな
石炭火力
はもちろん、
先進国
は二〇三〇年にも
既存
の
石炭火力
も全廃しなければならないとされています。そのため、
先進諸国
はもとより、
途上国
でも
石炭火力発電所
から脱却する動きが加速化しています。
再生可能エネルギー
を優先的に系統接続して
主力電源
とし、
石炭
など
CO
2
排出量
の多いものはカーボンプライシングなどのインセンティブで削減するなどの、
石炭火力
を廃止していく
政策対応
もさまざまにとられています。
日本
の
気候変動対策
を考えるとき、まず考えるべきは、
緩和策
が全く不十分で、むしろ真逆の
状況
にあるということです。
気候ネットワーク
では、国内の
石炭火力発電所
の新
増設計画
をウオッチしてきましたが、二〇一二年以降の
計画
は五十基に上りました。そのうち、
計画
が中止になったのはわずか六基です。そのほか四十四基に関しては、もし全て動けば
設備容量
は約二千万キロワット、
CO
2
排出量
は年間約一億千三百七十三万トンに上ります。
環境省
は、ことし三月に行った、
電気事業分野
における
地球温暖化対策
の
進捗状況
の
評価
において、
石炭火力発電所
の
計画
が全て実行され、
稼働率
七〇%で稼働し、かつ、
老朽石炭火力発電
が
稼働開始
後四十五年で廃止されると仮定すると、
石炭火力発電
からの
CO
2
排出量
は、二〇三〇年度の
削減目標
や
電源構成
と整合する
排出量
を六千八百万トン程度超過することを発表しました。 今の
計画
が今後の
CO
2
排出量
の増加を招くことがわかっていながら、
政府
は何も手を打たずに、
計画
が進められることを容認しています。本
法案
で検討する
適応策
は、
緩和策
を十分に講じないことの埋め合わせや口実にすることであってはなりません。 次に、本
法案
に対しての
意見
を申し上げたいと思います。 まず第一に、
基本方針
についてです。
緩和策
の
強化
は、未然に
影響
と
被害
を回避する
最大
の
適応策
であるとも言え、
緩和策
と
適応策
を総合した国全体の
気候変動対策
の
基本方針
を位置づけることが必要です。本
法案
の説明では、
環境省
は
緩和策
と
適応策
は車の
両輪
だとしていますが、
緩和策
が先ほど申し上げたような
状況
で、
適応策
のみしか扱わないということでは、車が片輪あるいは脱輪の状態だと言えるでしょう。これでは車は走りません。本
法案
においても、包括的な
気候変動対策方針
を描くことができていません。 まず、本
法案
が
緩和策
を弱体化させることなく、
緩和策
を更に
強化
して
影響
を最小化させる必要があることを明示し、
気候変動リスク
を回避するためにとるべき
緩和策
についてフィードバックすることを法に位置づけるべきだと考えます。 次に、
企業
や
自治体
、
市民
など、各
主体
の
気候変動影響評価
のあり方についてです。 本
法案
の第十条で、
政府
が
中央環境審議会
の
意見
を聞き、
気候変動影響評価報告書
を
策定
することとされています。しかし、
気候変動
の
影響
や
リスク
は幅広い
分野
にまたがり、まだ
把握
や
証拠
が不十分な
領域
も多々あります。適切な
適応策
を講じるためには、適切に
評価
できる
影響
や
リスク
の
把握
が
大前提
となりますが、そのための
仕組み
が本
法案
では極めて不十分です。
参考
に、
イギリス
の
仕組み
を見ますと、
イギリス
では、
適応計画
をつくる前に
影響評価
を行いますが、その際に
証拠レポート
というものを作成しています。そして、
リスク
が十分
把握
できるだけの
証拠
がそろっていない
領域
がどこにあるかについても詳細に
把握
し、そのギャップを埋めるような
対応
が検討されています。
イギリス
でも、まだ
把握
できていないことは多くあるようです。たまたま
研究
が充実しているですとか、又は
影響
が測定できるということだけで
評価報告
をすると、
研究
が行き届いていないけれども重大な
影響
があるということについて見落とされ、
適応計画
は重要な要素を欠くことにもなりかねません。 そのため、
イギリス
の
証拠レポート
では、
証拠
を集めるために
ステークホルダー
や
企業
の深い
関与
があります。二年にわたりワークショップを開き、
ステークホルダー
も百から二百
団体
がレビューをしており、どこが
緊急領域
かなどについて
意見
を述べています。
適応策
を講じるには、まず
評価報告書
をつくるまでの過程が重要です。 しかし、
日本
の
法案
では、
中央環境審議会
の
意見
のみの
プロセス
だけで、深みのない
影響評価
を行おうとしています。ここは、
企業
、
自治体
、
市民団体
の積極的な
関与
を位置づけることが非常に重要だと考えています。
地方自治体
に対しては、
地域
の
適応計画
の
策定
が奨励されていますが、
計画
の
策定
の前に、十分な
影響評価
を行うことを求めることがまず重要だと言えます。 特に
影響
が大きい
事業分野
に携わる業種の
企業
に対しては、
政府
が定期的に
情報
の
提出
を義務づけることも必要です。その上で、各省庁が
情報提供
に協力し、全省庁挙げて横断的に推進することを明記すべきだと考えています。 第三に、
適応対策
の名のもとの無駄な
公共事業
のチェックと排除を行う必要があるという点です。 これまでも、
気候変動適応策
の名のもとに、さまざまな
事業
の
必要性
が論じられてきました。例えば、無駄な
公共事業
と言われてきたような
治水ダム
や
防波堤設置
などに代表される
事業
、あるいは、熱に強い
遺伝子組み換え農作物
などの
研究
、周囲の
生態系
に
影響
を与えかねないような
事業
です。 こうした
事業
が
適応策
として妥当か厳しく
事業評価
が行われるよう、
計画
に基づいて
実施
された
適応事業
を
報告
し、真の
適応策
か、ほかに
環境負荷
の少ない
方策
や費用の少ない
方策
で代替が可能かなどを
評価
する
透明性
の高い
仕組み
を導入することで、
適切性
を欠く
事業
に
国家予算
を無駄遣いすることのないようにすることが不可欠です。 第四に、
第三者
の
評価
の
仕組み
の導入です。
評価情報
の
的確性
、
計画
の
内容
の
妥当性
を確保するためには、独立した
第三者機関
の
評価
と
勧告
の
仕組み
が必要であり、これを法に位置づけるべきです。
法案
では、
影響評価報告書
の
策定
に関する
中央環境審議会
における検討と
意見
を踏まえることとされている以外には、客観的な検証の
プロセス
や場もありません。各
主体
の
参加
による
影響評価
の
必要性
は前に述べましたが、
適応計画
の
内容
の
妥当性
、そのもとで
実施
される
事業
の
的確性
などについては、新たな
研究
を踏まえた、
専門家
による
第三者機関
による
評価
が必要だと考えます。そのためには、
環境省
のもとの
中央環境審議会
よりも独立性の高い
第三者機関
を
設置
し、当該機関における
勧告
、助言を行い、
適応計画
の見直しが
実施
される
仕組み
が必要だと考えます。 第五に、
市民
の幅広い
リスク
の共有とソフト面での
適応策
の
強化
についてです。 国内でもさまざまな
気候変動
と関連する
影響
が起こり始めているにもかかわらず、一般の
市民
にとって、さまざまな場所でさまざまな形で起こる
気候変動リスク
は、まだ実感が伴うものとはなっていないと思います。また、
地域
の
環境
の変化のみならず、グローバルな
気候変動
がもたらす経済への
影響
やインフラへの
影響
、食料や資源供給に対する
影響
などの、私
たち
の安定した
社会
や基盤を脅かす
リスク
については、理解しがたいものです。
気候変動
を横断的に理解し、起こり得る
被害
や
影響
に対して迅速かつ適切に備えることのできる強靱な
社会
をつくるためには、ハード面だけではなく、
市民
や
自治体
、
企業
の人々や組織のネットワークや連携化が重要です。
法案
では、十三条、十四条で
地域
の
適応
センターや協議会の
設置
を位置づけていますが、単に組織の設立を促すのではなく、ソフト面での
対応
強化
を図る拠点として位置づけるべきだと考えます。 最後になりますが、
日本
は、
気候変動
の
リスク
に対しては、私
たち
の生活や経済基盤を脅かす問題であるという理解は十分に
市民
に行き渡っていない面があると思います。遠い島国や将来世代に
影響
があるかもしれないから、できることをやっていこうという
レベル
を超えていないと言えるかもしれません。あるいは、
日本
は資金力や技術力があるから
対応
可能だと、たかをくくっているところもあるかもしれません。 しかし、食料や資源の多くを他国に依存し、周りを海に囲まれた島国である
日本
は、実は極めて脆弱な国の
一つ
と言えます。スイスの再保険会社は、
世界
の六百以上の都市の中で、最も自然災害の
リスク
の高いトップテンをランキングしていますが、その中には
東京
、大阪、名古屋の三大都市が入っています。
日本
にいる私
たち
こそが、みずからの極めて深刻な
気候変動
の
リスク
を理解していないのではないでしょうか。だからこそ、政治の中でもほとんど重要視されず、脇に置かれた
課題
になっているのかもしれません。 ですから、今申し上げた点を改善した上で、
法案
の成立を望みます。また、同
法案
が、
日本
の各
主体
に対し、
気候変動リスク
を広く共有し、
緩和策
の
必要性
と緊急性に改めて気づき、
緩和
対策
が大きく進展することも、同時に強く期待します。 どうもありがとうございました。(拍手)
松島みどり
5
○
松島委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の方々からの
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
松島みどり
6
○
松島委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申出がありますので、順次これを許します。福山守さん。
福山守
7
○福山
委員
おはようございます。ただいま質問させていただきます、自由民主党の福山でございます。どうかよろしくお願いいたします。 ただいま、
気候変動適応法案
についての、
小西
、
桃井
両
参考人
の方からいろいろ御
意見
を賜りました。非常に
参考
になる御
意見
、そして、この地球
温暖化
という問題につきましては、考えていることは皆さん一緒だなというふうに思っております。 近年、この地球
温暖化
、高温ということが非常に言われておりまして、特にサンゴの白化、これは、沖縄周辺のきれいな海、この底でも、もう既にサンゴの白化が始まっております。 また、いろいろ、米あるいは果物、そういうものについても、米の白濁化、あるいはオレンジの皮が浮く浮き皮とか、そういう問題も出てきております。 また、魚の方に関しても、今、北海道の方でブリがたくさんとれる。 そしてまた、サワラという魚があるんですね。このサワラという魚は瀬戸内海の魚である、私は徳島でございますので、そういう意識がありました。ところが、去年の夏に、連休に東北の方に視察に参りましたときに、気仙沼漁港という非常に大きなところです、そこに行ったときに、サワラがあるんですね。ああ、珍しいですねと言うと、ああ、先生、サワラを知っているんですねと言うから、いや、それはもう四国ですからと言ったら、今、たしか宮城県のまだ上の上の青森県、ここがサワラを非常に売り物にして出すということを聞きまして、そういう事実もあるわけなんです。ということは、やはりこの
温暖化
によって海流変化、いろんな形の中で本当に変わっているのだな、そういうことも思います。 そしてまた、ゲリラ豪雨、これも、私どもの地元で平成十六年、大きな災害があって、そのとき、今でも記憶しておりますけれども、もう大変な思いで、それから全国至るところに入っております。 そしてまた、台風の
被害
、この
被害
というのは、我々四国あるいは九州というのは、台風銀座と言われるような、毎年来ておるところでございました。しかし、今では、東北そして北海道、かつて上陸しなかった、そういう
地域
に直接台風が上陸するというふうな現状もございます。そういう意味では、だんだん北上していっているのかなと、改めて痛感するところでございます。 そういう中で、国民の安心、安全とか、
事業
者の
事業
をしっかり守る中で国が安定するわけでございますけれども、そういうことも含めた中で、この
適応策
の充実
強化
を進めていくということが非常に大事なものでございます。 それでは、お伺いをいたしますけれども、
気候変動
適応計画
の実効性を高めていくために何を留意していくべきか、両
参考人
にお伺いをしたいと思います。
小西雅子
8
○
小西参考人
御質問ありがとうございます。 この実行
計画
を進めていくに当たっては、私は連携が一番重要だと思っております。 というのは、
適応
というのは、結局は
主体
が大勢なんですね。
政府
だけではなく、
地方自治体
、そして各
事業
者、そして国民、全てがかかわることになってきますので、この
法案
で私が
一つ
残念だなと思うのは、連携というものをもっと強くするべきというふうになったらよかったなと思っております。 というのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、例えば同じ
政府
でも、省庁間で、
環境省
、国土交通省、農林水産省、いろんな省庁がそれぞれの
分野
において全て
適応
をやはりやっていかなければならないんですね。それに横串を通すというのが、皆さん
御存じ
のように一番難しいことになりますので、それをした上で、さらに、
地方自治体
におけるそれぞれの局の連携も含めたところでやっていくというのが非常に重要になってきますので。 今回、
情報
プラットフォームとかいろいろな
地域
のセンターとか、あと
一つ
、広域で、つまり
一つ
の市町村だけじゃなくて、場合によってはほかの市町村も含めた形で広域で協議してもいいですよといった、いろんな場が用意されています。これは全て場ですので、そこをいかに生きた血を通わせていくか、本当にそこで連携する血を通わせていくかということが非常に重要なんじゃないかなと思っております。
桃井貴子
9
○
桃井参考人
御質問ありがとうございます。 実効性を高めるために何が一番必要かというような御質問だったと思いますが、私は、
評価
をきちんとしていくということが重要だと思っています。
気候変動
の
影響
に対して、先生がおっしゃられたように、現状でも既にさまざまな
影響
が出ているわけですけれども、こうした
影響
に対して、一体その
影響
がどんなことがほかにもあるのかということを、やはり
情報
を集約し、それを徹底的に
評価
するという
仕組み
が必要なのではないかと思っています。そのためには、今提案されているだけではなくて、
企業
の
情報
、
企業
自身にも
リスク
をしっかり
評価
をしていただくような
仕組み
が必要なのではないかと考えています。 ありがとうございます。
福山守
10
○福山
委員
それぞれ御答弁をいただきました。今御答弁いただいた中で、
小西参考人
の方は、それぞれの各
地域
地域
、いわゆる都道府県単位、あるいは市町村単位、それとあるいは広域、そういうことが、その連携をとるのが非常に大事だということですね。私も、それは当然そういうことが非常に大事なことと思っております。 また、
桃井参考人
さんの方には、また違う角度から、
企業
の方の連携とか、そういうふうなお話も出ました。 それぞれの
立場
、行政がやる
立場
、あるいは
企業
がやる
立場
、それぞれ私はあると思います。そういう中で、例えば、先ほど
桃井参考人
さんの方のお話の中に、そういう各
地域
地域
で
一つ
何かをやっていくときに、新しい組織を構築するべきだと。 例えば、私ども田舎の方で、徳島県で鳴門わかめというのがあります。地球
温暖化
に合わせた、海洋温度の
上昇
に合わせた、これを、上がってもいけるようなものに改良をしようということで、今そういう改良をやっております。また、愛媛県の宇和島の方では、ブラッドオレンジという、これはコルシカ島が原産地で、そういう非常に
温暖化
に強いものを、約十年ぐらい前からそういうふうに始めております。また、米についてもしかり。 そういうところで、いろんな行政体、そしてまた
企業
の方もやられておると思うんですね。こういう連携の仕方、それぞれが違う形で今、私は御答弁いただいたと思っておるんですけれども、具体的に、では、どういうふうに
地域
の実情に応じて
適応策
を推進していくというアドバイスがあれば、
小西参考人
にお伺いしたい。 また、
桃井参考人
さんの方には、またそういう
自治体
とは違った
企業
の方の形の発言が多かったように思うんですけれども、やはり、そういう方についてのアドバイス、それイコール、
自治体
についてどういうふうになるか、そういうことについてちょっとお伺いしたいと思います。
桃井貴子
11
○
桃井参考人
御質問ありがとうございます。 具体的にということなんですけれども、まず、
企業
に関しましては、それぞれ
気候変動
の
リスク
ということをどれぐらい現時点で
把握
しているのかというのがまだ十分ではないのではないかと思っています。 ですので、
気候変動
の
リスク
よりも、むしろ
対策
をする方が
リスク
が大きいのではないかというふうに感じているようなところがあるのではないかと思っていまして、それを、今私が申し上げたように、
気候変動
が及ぼしている、また、これから及ぼしかねぬ
影響
というのをしっかりと認識して、
気候変動
の
リスク
というものの気づきを与えていくという意味でも、この
法案
の中でしっかりと
企業
の
情報
を
把握
していくということが必要なのではないかと思っています。 それによって、
企業
も
気候変動
に対しての
適応策
というのをみずからつくっていくということにもつながると思いますし、その
情報
を積極的に開示していくということにつながっていくのではないかと思っています。
自治体
に関しても、同様のことが言えると思います。今は、それぞれ、農業の
分野
ですとか漁業の
分野
ですとか、できることをできる範囲でいろいろやっているところは多いと思います。これがグッドプラクティスとして、事例としていろいろな形で出てきていると思いますけれども、それだけではなくて、もう少しさまざまな
影響評価
というのを多角的に集めていくというような作業が、
地域レベル
でも必要なのではないかというふうに考えています。 ありがとうございます。
小西雅子
12
○
小西参考人
御質問ありがとうございます。 具体的にということなんですけれども、私は、まず、
自治体
の場合は、私も
自治体
の
環境
基本
計画
をつくる
委員会
の場とかに時々、よく出させていただいているんですけれども、なかなか、
適応
というのは、今ある例えば治水
対策
とかに、降水量、例えば百ミリを超える集中豪雨までというようなそれぞれの単位があるんですね。そこに
適応
の
視点
を入れると、より、本当はもっとそれが高い数値で備えなければならないかもしれない。特に都市の場合とかだったら、内水
対策
とかですね。 ですので、今やっている
防災
とか、先生がおっしゃったような農業の品種改良とかの今やっていらっしゃることに、
適応
でこれからどのような
影響
が更に
日本
にあるのかということをまず知ってもらって、その
適応
の
視点
の策をそこのところに
一つ
一つ
入れていくという作業が実は一番重要なのかなと思っております。 とすると、ちょっとつまらない話に聞こえるかもしれないんですけれども、
適応
の科学の
影響評価
というのは、実は、
温暖化
の科学の中では、前も
三村先生
もおっしゃっていたと思いますけれども、まだ進んでいないところと進んでいるところとがあるんですね。ですので、その科学的知見をいかにそれぞれの農家の方まで、あるいはその
防災
担当の方まで行って、その
視点
を入れた上で
計画
を立てられるようにするということを推進するのが重要なんじゃないかなと思っております。 あと、もう
一つ
、
企業
の場合は、今
桃井
さんがおっしゃったように、まだなかなか
適応
の
視点
までいっていないと思うんですね。経産省さんも
環境省
さんも、今、一生懸命
適応
のグッドプラクティスを広める
活動
とかをされていますけれども、実は、ある意味、
温暖化
の
影響
は深刻化する一方ですので、これは、
世界
からすごくニーズのある、
一つ
のビジネスチャンスではあると思うんですね。 ですので、そういった
企業
さんが新たにそういった
適応
の
視点
を持っていくということを推進していく、それは啓発と言ってしまえばそれだけかもしれないんですけれども、その推進ということも非常に
一つ
重要なことじゃないかなと思っております。
福山守
13
○福山
委員
済みません、いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。 もう時間がございますけれども、簡単で御答弁は結構ですから、もう一点だけ。 先ほど、それぞれ説明の中にありました
適応策
の国民の理解を深めていくために、今後、
政府
としてどのように取り組めばいいかということをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
小西雅子
14
○
小西参考人
国民理解は非常に重要だと思っております。
一つ
、全体的な国民の理解ということも重要なんですけれども、私、まず、
自治体
さん、
企業
さん、そういった、動くと、行政側と、それから実際に
適応
のビジネスができる側、そこにやはり最初は集中して普及していくことが実は重要じゃないかなと思っているんです。 もちろん、国民全体というのもすごく重要なんですけれども、どうしても、普及啓発というと、普及啓発によって、例えば、
温暖化対策
を進めましょうとか、
適応
をやっていきましょうとかいうような全体的な話になると、非常にちょっと漠然としてしまうので、どちらかというと、まさに今回の
法案
の中にあるような、そういった
情報
プラットフォームの中において、ターゲットを決めて伝えていく。なるべく多くそこの協議会の場にいかに
参加
してもらうかということを考えていくとか、本
法案
に沿ってそこを進めて、ターゲットを決めて進めていくということが、まず最初は重要なんじゃないかなと思っております。
桃井貴子
15
○
桃井参考人
ありがとうございます。
政府
の役割ということだと思いますけれども、まずは、
気候変動
問題に対して
政府
が本気になってやっていくということが重要だと思っています。 今は、先ほど申し上げたように、
国際社会
からも非難されるぐらい逆行している
状況
だと言えます。そこを、やはりもっと大きく、今グローバルに動いているような展開を
日本
もして、
政府
が率先して
気候変動
の
緩和策
に取り組み、そして
適応策
にも取り組んでいくという本気度を示せば、国民もそこに、もちろん、全体的に底上げするような
環境
が整っていくのではないかというふうに思います。 ありがとうございます。
福山守
16
○福山
委員
どうもありがとうございました。これで終わります。
松島みどり
17
○
松島委員長
次に、堀越啓仁さん。
堀越啓仁
18
○堀越
委員
立憲民主党・
市民
クラブ、自然系国
会議
員の堀越啓仁でございます。 本日は、本当に、お忙しいところ、お二人の
参考人
においでいただきまして、まず心より御礼を申し上げたいと思います。そして、貴重な御
意見
を賜りましたこと、重ねて御礼を申し上げたいと思います。 限られた時間になります。両
参考人
の皆さんにお話をしていただく時間を多くとりたいものですので、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。 まず、先ほど御
意見
をいただく中で、本
法案
の全般的な
評価
に関しては、さまざまな御
意見
があったかと思います。まず
一つ
は、
緩和策
、これがもう
大前提
であるということ、それから、連携の
重要性
、このことについてもあったと思いますし、やはり無駄な
公共事業
を展開していかないように
第三者機関
の設立等々が必要なのではないかという御提言をいただいたということと承知しております。 その中で、
法案
の
提出
の時期について、このあたりについての御所見があれば、両
参考人
から伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
桃井貴子
19
○
桃井参考人
本来であれば、
提出
というのはもっと早い段階で行われているべきだったと思います。しかも、これは、
気候変動対策
、例えば
イギリス
ですと、
気候変動
法という法律があって、その中に
緩和策
、
適応策
という位置づけがなされていますけれども、そのような形で上位法があり、それが
基本法
であるということを、我々は昔、提案していましたけれども、そういう中で
適応法
というのも位置づけられておくべきだったのではないかというふうに思っています。 時期というのは、そういう意味でよろしかったですか。(堀越
委員
「そういうことです」と呼ぶ)はい。 以上です。
小西雅子
20
○
小西参考人
私も同じです。本来は、本当は、二〇一〇年のころに
基本法
の案が三つ出てきて、そのときにいろいろ、
排出量
取引制度とかいろいろな実効力のある政策も含めて、さらに
適応
という形でありましたので、本当はその形が一番だと思います。 ただ、今、この
法案
は、もちろん、遅過ぎるということはないので、ぜひここに、次、
基本法
あるいは
緩和
法が今後すぐにできてくるんだよということのフックが入った上で成立してもらえることを望んでおります。
堀越啓仁
21
○堀越
委員
ありがとうございます。 まさしくそのとおりだなというふうに私も感じておりまして、
イギリス
であれば、二〇〇八年に
気候変動
法が制定されていることと承知しています。
日本
も、
気候変動
の
影響
を大きく受けていく中で、やはりとにかく早目に
適応策
というものを講じなければいけないということが求められていたわけでございますが、今回
提出
されたことについては私も非常に
評価
をしておりますし、だからこそ、この
法案
の厳格化を求めていかなければいけないということだというふうに考えております。 その
イギリス
の
気候変動
法について、
日本
の、今回、本国会に
提出
されています
適応法
と比較をしていただいたときに、もし
御存じ
であれば、こういった点が
イギリス
の
気候変動
法は非常にすぐれていて、逆に、
日本
のこういったところは足りない、あるいは、こういったところを盛り込んであるのは
日本
の
法案
の方が進んでいるんじゃないかというような点がもしあれば、苦笑されておりますけれども、お答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。
桃井貴子
22
○
桃井参考人
イギリス
の
気候変動
法は、基本的には、
気候変動対策
、全般的なものなので、
緩和策
を重視しているところもあると思いますけれども、最もすぐれているというふうに私が感じている部分は、やはり、カーボンバジェットというのを取り入れて、いわゆる炭素予算ですね、
排出
していい量というのを決めて、将来、二〇八〇年までの
排出量
というのを的確に、それを達成させるようにまずはつくられているということ。そこに向けてしっかりと
評価
をしていくような
気候変動
委員会
という
委員会
をつくって、そこも
第三者
の客観的な
評価
を導入して、五年置きに見直しをしているというような点がすぐれているというふうに思っています。
適応
に関してもその中に位置づけられているというふうに認識しておりまして、そこでも五年置きの見直しというような形で、徹底した
評価
を行う。
リスク
評価
を行って、
計画
を立てて、またそれをきちんと
評価
していくというようなサイクルで動かしているというところに非常に
重要性
があるというふうに思っていまして、そういう客観的な
評価
を取り入れているというところが、逆に、
日本
の今の
法案
には足りない部分ではないかというふうに思っております。 以上です。
小西雅子
23
○
小西参考人
ほんの追加ですけれども、やはり、
イギリス
の
気候変動
法の場合は、カーボンバジェット、今、
桃井参考人
が御説明されたものがあって、明確に
気温
目標
があるわけですね。ですので、この
気温上昇
に、目指していくためのカーボンバジェットの形で、残りの炭素予算の割当てで
目標
を決めて、そうしますと、
適応
の方も
気温上昇
の
レベル
に応じた定量的な
影響評価
というのができますので、
研究
のためにもよりこの方がやりやすいですね。
日本
のこの
適応法案
だったら、一体何度の
上昇
の
影響
の定量的な
評価
をしていけばいいのかということが今の段階ではばくっとしていますので、そこがやはり、
緩和
と
適応
の連携がとりにくいというところが
日本
の
法案
の今後のすごく大きな
課題
だと思っております。
堀越啓仁
24
○堀越
委員
ありがとうございます。
気候変動
法、
イギリス
の法律について、御提案というか御
意見
いただいた点というのは、先ほど御
意見
いただいた点に大きく
影響
しているものだというふうに考えています。 ですので、そういった、一番最初に伺った提言を含めた
法案
が、まさしく厳格化されることによって
日本
の
適応法
というのも大きく進むのではないかなというふうに私も非常に考えております。 そして、今度は
WWF
の
小西
さんにお伺いしたいんですが、
WWF
といえばかわいいパンダのアイコンが有名でございますけれども……(
小西参考人
「これも」と呼ぶ)あ、ピンバッジもあるんですね。後で下さい。 まず、
小西
さんといえば、先ほど御
紹介
の中にもありましたとおり、
気象予報士
でございますので、そういった観点から、最近に見られる
気候変動
、気象の現象に関する変動の御所見等々をお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。
気象予報士
としての、もしあれば。
小西雅子
25
○
小西参考人
ありがとうございます。パンダのマークがあります。
気象予報士
ということなんですけれども、今までは、実は今起きている、例えば暑い日がずっと、今回、桜も早く咲きまして、ありますよね、こういったものがどれぐらい
温暖化
に
影響
しているかということは、直接は語ることはできなかったんですね、
一つ
一つ
の気象というのは揺らぐものですから。ただ、長期的に見ると高温傾向が続いている、あるいは雨の量がふえてきているとか、そういった長期的な傾向では見れるけれども、
一つ
一つ
の現象では言えないというのが今までの気象の
立場
だったんです。 でも、今はイベントアトリビューションという新しい科学ができてきておりまして、
一つ
一つ
の
温暖化
の
影響
に対して、特に
気温
関係ですけれども、これはどれぐらい
温暖化
の寄与度があるといった、そういったこともわかるような形の科学が進んできております。 これから第六次
評価報告書
が出てまいりますけれども、そのときの中にもイベントアトリビューションと言われるものが
一つ
の
分野
として出てきますので、これからこういった
影響
の定量的な
評価
という科学は進んでいくんだと思います。 そうすると、一般の方々にも肌感覚として何かいろいろ起きているなというのがわかったとしても、これがやはり
温暖化
が進むことによってこれぐらいふえてくるんだよということがより明確になってくるという時代が来ると思っております。
堀越啓仁
26
○堀越
委員
ありがとうございます。 やはり肌感覚というところにおいては、国民の皆さんも認識されている部分が非常に多いと思います。今、桜の開花時期も、入学式のときにはもう散っているという
状況
が当たり前のような形、私も地元で桜祭り等々に行くと、大体もう桜は散っているというようなのが非常に多くなってきている中で、やはり国民の皆さんもそういうのが
気候変動
の
影響
によるものなんだということについては御認識をいただけるのではないかなというふうに思います。 さらに、
気候変動
の
適応
、これはやはり
緩和策
、ここが
大前提
である、そして、それらに対して取組をしていかなければ大きな経済
損失
を招いてしまうんだということは御
意見
の中でもいただいたことだと思います。 その反面、
適応策
を講じることによるビジネス展開、
適応ビジネス
というところについても一言触れていただいたと思いますが、このあたりについて、こちらに
WWF
さんの資料でいただいているもので一部ちょっとあるんですが、このことについてもそうなんですけれども、それ以外に
適応ビジネス
というところで何か
情報
がありましたらばお伝えをいただきたいと思いますが、両
参考人
の方で結構です。よろしくお願いします。
小西雅子
27
○
小西参考人
ありがとうございます。
適応ビジネス
ですが、これからアジアで
影響
が非常に深刻化すると言われているのは、実は水
不足
なんですね。ヒマラヤの氷河がどんどん融解していまして、短期的には水の量がふえて地元に土石流とかの
被害
が起きますけれども、長期的に見ると、いずれはアジアの国際河川の水量は減ってくるのではないかと
予測
されています。そうした場合、例えば
日本
の
企業
が持つ淡水化の技術ですとか、そういった、今既に多く行われている
企業
さんもありますけれども、
適応
のビジネスというものに
日本
の
企業
が持っている技術力が非常に生かせる場面がこれからふえてくると思います。 ここのところに例として出させていただいているのは、これはある化学会社さんなんですけれども、
日本
の昔からある蚊帳ですね。この蚊帳に、いわゆる殺虫効果のある蚊帳を持たせて、それでアフリカでマラリアを媒介する蚊を防ぐといった、こういったビジネスを展開されています。 つまり、
日本
企業
がこれまで持っていた技術で、
日本
だけではなく、
世界
に役立つビジネスが多く生まれるということになりますので、やはりここは、むしろ
日本
の中で
緩和
の政策そして
適応
のこういった
法案
の中で、どんどん先取りするぐらいの勢いで入れていくことによって
日本
企業
の競争力が増すことにもなると思うんですね。やはり先んじてということになりますので、それをするには国内でまずそれを醸成してからということになりますので、ぜひ
適応
のビジネスというものについても
日本
企業
が更に海外で競争力を増すような
状況
になっていけばいいんじゃないかなと思っております。
桃井貴子
28
○
桃井参考人
済みません、専門外ですのでビジネスのことは余りわからないんですが、具体的な例が今、
日本
では少ないという話は伺っております。その少ない要因としては、やはり
気候変動
の
リスク
をしっかりと
企業
の中で
評価
するということができていないからではないかというふうに思っています。 それを、きちんと今回の
適応法
を通じて
事業
者が
リスク
を
評価
することによって、またビジネスの
機会
というのが生まれてくるのではないかというふうに思っているところです。 ありがとうございます。
堀越啓仁
29
○堀越
委員
先ほどお答えいただいた
桃井
さんの、本当にそのとおりだなというふうに私も思っておりまして、
企業
が、やはりどれぐらいこの
気候変動
が起こることによって経済的
損失
を招いてしまうのかということについての
評価
がまだなされていないというのが大きなことだと思います。 先日も、
気候変動適応法案
の
法案
審議の際に私も質問させていただきましたが、伊勢湾で一メーター例えば海面が
上昇
することによっての経済
損失
が二十兆円に上るという試算があります。これは
日本
全体で見れば更に大きくなっていってしまうものでありますので、
企業
がやはりビジネスモデルとしても
適応策
を、
適応ビジネス
を展開していくということそのものももちろん重要なことだと思います。それとあわせて、
緩和策
を
企業
側がしっかり取り組んでいくことというのが私も
大前提
であるというふうに思っております。 先ほどお話しいただいた淡水化の技術等々について、非常に高い技術力を持った
日本
だからこそそれが実現可能ですし、また、
気候
正義という概念からも、我々、
温室効果ガス
を
排出
する国々が、いわゆる第三
世界
というようなところに、その
気候変動
の
影響
を大きく受けていってしまうのは、私
たち
はそれは
先進国
としてあってはならない姿であるというふうに私は考えておりますので、今後とも、皆さんから御
意見
いただいたそのことをしっかり
法案
に盛り込めるように、与野党問わず、全力で取組をさせていただきたいということを申し上げさせていただいて、私の質問時間を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
松島みどり
30
○
松島委員長
次に、下条みつさん。
下条みつ
31
○下条
委員
国民民主党の下条みつでございます。 きょうは、両
参考人
に、本当に貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。 限られた時間なものですから、その範囲内で、個別にちょっと一問一問お聞きしたいなというふうに思っております。学校じゃないので、そんな厳しい質問はないので。 それぞれ、いい、私も、うちの事務所にファンがいるので、これを持っております。「地球
温暖化
の目撃者」ですね、先生が書いていただいた。この中にもいろいろ、それぞれの証言が各地区であったりとか、特に、
東京
の方も
温暖化
によって四季がなくなっているとか、インドとかロシア、いろいろありました。本当にすばらしい本でございますし、また、
桃井参考人
に関しては、私どもと同じ仕事を前なさっていたりとか、いろいろな積み重ねの中できょうおいでいただいたこと、本当にありがとうございます。 それでは、一問一問ちょっとお聞きしたい、まず、
小西参考人
にお聞きしたいというふうに思います。 数万年規模で
気候変動
が本来起きているものが、我々のこの時代は、もう百年でいきなりどんとその変更が来ているということだと思います。 我々としても生物の
適応
能力を超えているような感じがしていますが、我々は、寒ければ服を着ればいいし、暑ければ、そこで一時的に氷があったりエアコンがあったり、過ごすことができる。しかし、
人類
以外の生物というのは、買物してすることはできない。葉っぱをしたり、暑ければ寒いところの海水に行ったりするしかないということもあると思うんですけれども、生物の
環境
の変化が非常に多くこれから言われてくるんじゃないかというふうに思います。 そしてまた、多くの種が絶滅してしまう、現状でもすごく絶滅している。逆に一方で、異色の、また
人類
にとっては余りプラスでない種も多く今度繁栄してしまうというか、なることもあると思います。 この
気候変動
のまず自然界への
影響
をどう
参考人
は考えているかということをちょっとお聞きしたいというふうに思います。答えられる範囲でお願いいたします。
小西雅子
32
○
小西参考人
大きなお題、自然界の変化。今回の
適応
の範囲の中で答えさせていただきますと、私は、一番怖いのは、実は
影響
になれていない
地域
にその
影響
が及んでしまう点かなと思っております。 例えば、先ほどの望ましくない種の繁栄というところでいきますと、例えば蚊ですね。蚊が一番致死率が高い生物らしいですけれども、例えばマラリアを媒介する蚊、これは、アフリカ、我々は一緒のところと思ってしまうんですけれども、実はアフリカでもマラリア蚊がふだんいないところもあるわけですね。ところが、
温暖化
によってそういった蚊の生息域が広がると、体の中に抵抗のないエリアにそのマラリアが蔓延してしまう、そのことによって
被害
が大きくなるといったことがあります。 それは、もちろん
日本
も一緒で、これから、マラリアを媒介する蚊ですとか、ジカ熱とかデング熱とか、ちょうど、おととしぐらいですか、デング熱が非常に代々木公園で話題になりましたけれども、ああいった熱帯の伝染病が来た場合、
日本
人は、当然ですけれども、それに抵抗力のない方が多いですので、そういった
影響
力のないところにいろいろな新しいものが来てしまうという点が、自然界の人間に及ぼす変化としては一番今後懸念される点ではないかと思っております。 そして、例えば、マラリアの
専門家
とお話ししていたときに私がはっと思ったことが、
日本
ではマラリアはそんなに心配することはないんですよと言われたんです。というのは、マラリアというのは、基本的にやはり衛生
状況
の悪いところで、いわゆる食べるものも不十分なところで非常に大きく
被害
をもたらすところなので、
日本
のように医療が発達しているところだったらば、もちろん、我々もアフリカに行くときにはマラリアのための予防の薬を飲んでいきますよね。そういった医療で抑えることもできるし、栄養状態もいいので、それほど懸念することはない。つまり、自然界の変化というのは、
途上国
、特に非常に開発のおくれた
途上国
ほど強く出てしまいますね。 ですので、今回の
法案
の中の第十八条に
国際協力
がうたわれていますけれども、やはりこの
日本
の持っている技術力というもの、そして、それを普及するということにとどまるのではなく、それをどうやって
途上国
に広げていくかという、特に資金支援も含めたインセンティブを実は
日本
社会
はすごく真剣に考えるべきではないかなと。 ですので、本
法案
の中でいいますと、十八条の
国際協力
のところ、ばくっと技術支援とかなっているんですけれども、ここはぜひ、資金支援も含めた支援をしていくということを今後の
PDCAサイクル
の中でうたっていただきたいなと思っております。
下条みつ
33
○下条
委員
ありがとうございます。 私も、実を言うと、先般、本
会議
場で、支援についてはちょっと
大臣
に御要請させていただいて、まさにおっしゃっているとおりで、結局、
気候
にしろ、人間のつながりにしろ、支援にしろ、やはり地球一体となって弱い部分に対してやっていくのが政治の信念だと思っていますので、おっしゃっているとおりです。それを、私はこの
法案
は、私どもの党は賛成でございますので、また附帯決議を含めて検討させていただきたいと思います。 ありがとうございました。 次に、
桃井参考人
にお聞きしたいんですが、そんな怖い質問じゃないので。 二酸化炭素の
排出量
というのが一般的に言われていて、エアコンの頻度が上がった、そして
産業
部門の二酸化炭素
排出量
が少し減少したというのがいろいろ言われています。ただ、家庭部門の電力というのは、そもそもやはり電力で賄われているのがほとんどですから、太陽光もありますけれども。ですから、家庭部門が二酸化炭素
排出量
のそもそもの要因というのがまず第一にあるんじゃないかというふうに思っています。 そんな中で、よく言われる、
石炭
発電について、例の東北の震災のときは、
石炭火力発電
は原子力発電と並んでベースロードという電源ということがありましたけれども、ただ、それ以降も、そのベースロード電源というのはずっとそのまま
石炭
になっちゃっているということがあります。 海外では、もう
石炭
というのは逆行していて、やるべきじゃないと。先ほどもお話ありましたけれども、そんな中でやっている中で、
日本
は、
再生可能エネルギー
が余りできない理由としていつも言われているのが、エネルギーが
気候
その他に左右されちゃっているよ、だから非常にベースロードとして使いにくいんだという言い方、非常にいつもエクスキューズで言われているというふうに僕らは思っています。 ところが、一方で、
日本
は、
世界
一気象観測とか気象
予測
の技術が発達している。だから、私は、そのところをうまく、今後は、百点の
法案
はないですから、加味していかなきゃいけないなと僕は思っていて、いまだに
日本
が
石炭火力
にずっと頼って、これからもずっと続けていくという発想を持った予算づけもしていますけれども、この辺について
参考人
の方から御見解をもしいただければというふうに思います。よろしくお願いします。
桃井貴子
34
○
桃井参考人
御質問ありがとうございます。 まず、一番最初に先生がおっしゃった、
産業
部門は減っているけれども、家庭部門がふえてしまっているのではないかというお話なんですけれども、今は、直接
排出量
、間接
排出量
でいうと、間接
排出量
で
排出量
が
報告
されて、それに基づくと家庭部門がふえているように見えるということがあると思いますが、それぞれ細かく分析していくと、家庭からの
排出
というのは、電力の大もと、
排出
原単位でふえている分、それから、家庭の数、核家族化がふえて、戸数がふえているということによる
排出量
の増加というのもあると思いますし、そして、最後に、電力消費量自体がふえているというようなことも原因としてはあるのではないかと思いますが、やはり、一番大きなところは、電力の部分での
排出
原単位がふえているというところに起因すると思います。それが、まさしく先生がおっしゃった、火力発電による、とりわけ
石炭火力
の
排出
がふえているというところに起因するものだと思っています。 ですので、先生おっしゃったように、ベースロード電源で
石炭火力
が位置づけられているという点、これを大きく変えて、
再生可能エネルギー
の方に転換していけば、おのずとそれを使用しているユーザー側の電力消費量も減り、
CO
2の
排出量
も減っていくという方向に動いていくのではないかというふうに考えています。 そして、電力構成の中で、
石炭
それから原子力発電についても、今のエネルギー基本
計画
ではベースロード電源というふうに位置づけられてしまっていますけれども、低廉なエネルギーだからということが理由で位置づけられているところがありますが、むしろ今は、LNGの価格の方が下がってきているというようなことを考えれば、
石炭
と原発をベースロード電源とすることはおかしいのではないかというふうに考えています。 そして、
再生可能エネルギー
を利用していくというところで、気象
予測
などを用いてもっとこれから発展させられるのではないかという先生のおっしゃっていたこと、私もそうだというふうに思いますし、そこを
主力電源
化することによって、むしろ、
再生可能エネルギー
で足りない部分は、中間的にはLNGなどの調整電源で賄っていくというような、中期的な位置づけというのが必要なのではないかと思っています。 気象
予測
の再エネに関しては
小西
さんの方がむしろ専門なので、
小西
さんの方からも御
意見
いただけるのではないかと思います。 ありがとうございます。
下条みつ
35
○下条
委員
ありがとうございます。 本当は、がちゃがちゃもっと聞きたいんですが、ちょっとあと五分しかないと来たものですから、済みません、ありがとうございました。 ちょっとあっという間に時間がたっちゃったんですけれども、あともう一個だけ質問します。それは、恐縮ですけれども、両
参考人
からお答えいただければというふうに思っています。 先ほどちょっと出ましたカーボンプライシング、炭素税の件であります。本年三月に
環境省
は、可能な限り早期の累積
排出量
の低減をしていこう、二度
目標
に向かってですね、
環境省
がやって、二〇五〇年は八〇%、現行施策の延長線上では現状は困難ということを言っていて、その中で、
社会
の隅々で経済
社会
システムと技術のイノベーションを起こして、脱
炭素社会
に向けた円滑な移行を誘導していくためにはカーボンプライシングが有効というふうに言っているんですね。 それで、見込みで見れば、二〇三〇年には
石炭火力
が最高の出力に達する。ばんばん出てくる、これから十年。非常に暗い話でございます。ただ一方で、先ほどおっしゃった、
石炭火力発電
は高効率のものでもLNGの発電の二倍程度になってしまっている。そんな中でカーボンプライシングを導入すれば、当然、
石炭火力発電所
のコスト優位性は全くなくなっていくということの中で、
日本
においてカーボンプライシング導入を真剣に検討するべきだと僕は思っていまして、本当に時間がないので、両
参考人
からぜひ一言ずつお答えをいただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
小西雅子
36
○
小西参考人
もう先生のおっしゃるとおりです。 今、よく、
日本
には既にカーボンプライシングはあるんだということをおっしゃる
産業界
の方がいらっしゃって、それで、暗示的に、あるということをよくおっしゃるんですけれども、もし本当にそうならば、これだけ
石炭火力
の新設
計画
があるわけはないわけで、やはり
日本
も、ちゃんと炭素含有量に応じた、インセンティブとなるカーボンプライシングが絶対必要だと思っております。 先ほどの
イギリス
の
気候変動
法もそうですけれども、カーボンバジェットを決めて
適応
を決めていく場合において、では、そのカーボンバジェットを、守っていくための手段としてということを位置づけて、
排出量
取引制度とか位置づけられておりますので、
日本
は、本当は、今、カーボンプライシングが必要かどうかという議論をする段階ではなく、カーボンプライシング、
日本
は、どれだったらば
日本
に一番適しているのかということを、それを前提に話していくべきだと思っております。
桃井貴子
37
○
桃井参考人
ありがとうございます。 カーボンプライシングの議論に関しては、もう相当前から
日本
の中においても行われていると思います。しかし、いざ導入するという話になると、大きな反対があって導入できないということを繰り返してまいりました。今は、もうそこを脱却するときなのではないかと思っています。
環境省
の方でも取りまとめは行われていますけれども、検討の段階はもう終わり、導入の時期に来ているのではないかというふうに考えています。 短目ですけれども、ありがとうございました。
下条みつ
38
○下条
委員
時間が来てしまいました。 ありがとうございます。非常に力強い御
参考
の
意見
をいただきましたので、これをしっかり
委員会
の場で生かしていくように頑張りたいと思います。 本当にきょうはありがとうございました。お時間をいただきまして、ありがとうございました。
松島みどり
39
○
松島委員長
次に、鰐淵洋子さん。
鰐淵洋子
40
○鰐淵
委員
公明党の鰐淵洋子でございます。 本日は、お忙しい中、
小西参考人
、
桃井参考人
、国会までお越しいただきまして、大変にありがとうございました。また、貴重な御
意見
を賜り、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。 大変に重要な
法案
ということで、実効性のあるものにするためにも、お二人の御
意見
をしっかりと伺いながら、しっかりと審議を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 重なる点もあるかと思いますが、何点か質問させていただきたいと思います。 まず初めに、両
参考人
、お二人にお伺いしたいと思います。 これはもう言うまでもなく、今、さまざま
気候変動
が既に国民生活に広く
影響
を及ぼしているという中で、
緩和策
と
適応策
をしっかりと同時に、おっしゃったように、しっかりと
緩和策
をやった上で
適応策
を講じていくことが重要であるということで、そういった御
意見
を賜りました。 そういった中で、政治の役割は、やはり地球
環境
を守ること、また、国民の
皆様
の生活、健康、命を守るということで、こういったことはしっかりと具体的に手を打っていかなければいけないと思っております。十年先、二十年先、更に先を見た上での
対策
を講じていくことが重要だと思っております。 そういった中で、今、
日本
の
社会
もさまざま大きな変化が進んでいる中で、例えば、少子高齢化、人口減少、こういった
日本
の
社会
構造も変わっておりますし、また、IoTとかAIの技術革新も進んでいく中で、本当に目まぐるしくいろんな変化、変化の中でのこういった
対策
を講じていくことになると思いますが、具体的には、少子高齢化、人口減少、こういった
日本
の
社会
構造が大きく変わっていく中で、この
緩和策
、
適応策
を進めていく上での何か御見解があればお伺いをしたいと思います。例えばほかの政策と連動させるとか、いろいろな具体的なお話も含めてで結構なんですが、ぜひ御
意見
を頂戴したいと思います。
桃井貴子
41
○
桃井参考人
御質問ありがとうございます。 適切に回答できるかわからないんですけれども、少子高齢化ですとか人口減少ですとかということが、これから先、前提になってくるんだと思います。その上での
気候変動対策
ということが、もう
一つ
大きな柱としてさまざまなところに組み込んでいくということが必要なのではないかというふうに思います。 例えば、人口減少すれば、当然、エネルギーの使用量、需要量というのも減っていくことになると思いますけれども、今まだそういう人口減少などを前提にした
シナリオ
という形で描かれているのだろうかというところがあります。むしろ、これまでと同じように、物をたくさんつくり続け、消費がふえていくということが前提になって
気候変動政策
というのも今
政府
の方でつくられているように見られますので、そこはもっと、現実の
社会
構造の変化というところを踏まえた上での
気候変動政策
というのが必要なのではないかと思いますし、
適応
についても同様のことが言えるのではないかというふうに思います。 ありがとうございます。
小西雅子
42
○
小西参考人
ありがとうございます。 少子高齢化とか人口減少とか、逆に言えば、よく小宮山先生がおっしゃるプラチナ
社会
、
日本
は
課題
先進国
であるからこそ、その
課題
を克服する過程で
世界
に範となれるという。その点でいきますと、やはり、コンパクトシティー化していくといった流れにおいて、より
適応
のサービスというのも行政からしやすくなっていくのだと思います。ですので、やはり、そういった
日本
の現状というものを見据えた上での施策というのがこれから求められていくのだと思います。その方が、この
適応
のやり方次第も楽になっていくんだと思います。 プラス、あと、今、
桃井参考人
がおっしゃったように、これからの例えば
日本
の人口減少を本当は見据えた上でこの
緩和策
のエネルギーの
計画
とかは立てていくべきだとは思うんですね。でも、いまだに、例えば、これだけもう都市の中の都市鉱山化している中でも、まだまだ鉄をつくり続けるとか、そういったことを生産量の前提にした
緩和策
というものがまだまだ
日本
の中ではありますので、やはり、
緩和
と
適応
、両方の
視点
の中の特に
緩和策
の方には、人口減少とかあるいは少子高齢化とか、そういった
日本
の現状というものを反映した形の
計画
を立てていくべきではないかなと思っております。
鰐淵洋子
43
○鰐淵
委員
ありがとうございました。 今おっしゃっていただいたとおり、これから、
社会
の変化の中で先々を見た政策を打っていくということと、あと、本当にもう喫緊の
課題
、目の前でさまざまな
影響
が出ておりますので、しっかりと
対応
していくことが重要になってまいると思いますが、その上で、ちょっと改めて、この
気候変動適応策
の
評価
手法についてお伺いをしたいと思います。 この点につきましては
桃井参考人
からも詳しく御提案はいただいておりますので、できましたら、
小西参考人
からも詳しくお伺いをしたいと思います。 国におきまして、農業とか
防災
などの各
分野
の
適応
を推進するために、
気候変動
適応計画
を
策定
することになっておりまして、その
進捗状況
について
把握
、
評価
していく、そういった手法も開発することに努める、そのようになっております。 これは、
気候変動
適応
を適正に進めて実効性のあるものにするためにも、この
評価
手法のスキームが大変に重要になってくると思いますが、この点について具体的にお伺いしたいと思います。
桃井参考人
も、もし追加がありましたら、済みません、あわせて御
意見
をいただければと思います。
小西雅子
44
○
小西参考人
評価
手法については、実は今、国連のところの場でも、
パリ協定
の中で、
パリ協定
の実際の
実施
していくための指針として、ルールづくりが行われております。ですので、その
国際交渉
の中での議論というものも反映しながら、この
適応法案
の中も改善していくのがいいのではないかなと思っております。 というのは、
適応
というのは、まだまだ
研究
が進んでいない
分野
もあるものですので、その中で、
評価
手法というものを今の段階で全部決め打ちするのは非常に難しいとは思うんですね。でも、
イギリス
の
気候変動
法の場合でも、五年
ごと
に
評価
、科学の
進捗状況
に応じて改善してこられていますので、今回の
適応法案
の中にはそういった五年
ごと
の見直しという
仕組み
が入っていることが、すごく重要だと思っております。 ですので、五年
ごと
に、
国際交渉
の中での
評価
手法というものも
参考
にしながら、
研究
の中での最新の科学的知見というのも
参考
にしながら、改善していけるというのが一番いいのではないかなと思っております。
桃井貴子
45
○
桃井参考人
済みません、特に追加的なことはございませんが、先ほど
意見
陳述の中でも申し上げたとおり、しっかりとした
第三者機関
による
評価
の
仕組み
というのを位置づけていくということが必要ではないかと思っております。 以上です。
鰐淵洋子
46
○鰐淵
委員
ありがとうございました。 続きまして、
小西参考人
にお伺いしたいと思います。
事業
者の
適応策
の取組の推進についてお伺いをしたいと思います。 これも今、これまでも具体例も含めて御
紹介
をいただきました。今回の本法で国、
自治体
、
事業
者の役割を明確にしておりまして、
事業
者による取組、
適応ビジネス
の促進も私も重要だと思っております。 現在、
政府
としての取組は、
気候変動適応情報プラットフォーム
で、このポータルサイトで、
事業
者の
適応
取組、この事例が
紹介
をされております。先進的な取組ということで、これを広く共有して、
事業
者による取組を促進していこうということだと思いますけれども、ちょっと私、個人的には、これだけではなかなか進まないのではないかと思っておりまして、何らかのインセンティブ、そういったものもあっていいのではないかと思っております。 この点につきまして、
事業
者が
適応策
を進めていく上で、促進するための取組について何かアドバイスがありましたら頂戴したいと思います。
小西雅子
47
○
小西参考人
これは、実は私は迷っている
分野
なんです。といいますのは、
適応ビジネス
というのは、まだまだ
緩和
のビジネスに比べて
世界
的に見て進んでいないものなんですね。 どうしても、
緩和
はエネルギーの
分野
でもありますので、いわゆる市場に任せて進んでいくという方法が成り立ちます。実際にとても大きくなっています。でも、
適応
の
分野
というのは、どうしても公的資金に頼る部分が多いんですね。ですので、
日本
の
適応法案
の場合で考えるときには、国内における
適応
の取組を進めるため、これは恐らく
事業
者さんに、今回の
法案
には財政措置がついていないんですけれども、そういった形も本当は考えるべきなんじゃないかなと思ってはいるんです。 ただ、私は、やはり
国際交渉
に出ていますと、
日本
のような
先進国
と、それから
途上国
における
適応
のまさに悲痛な需要といいますか、この差をすごく感じるんですね。 ですので、私
たち
先進国
の人間にとっては、
温暖化
というのは、特に都会に住む人間にとっては、まだ恐らくふだんの生活には感じないものだと思うんですね。でも、
途上国
の同じ
WWF
のオフィサーとかとしゃべっていますと、まさに自分の住んでいる家が、海面
上昇
と、それから嵐による
被害
で海岸侵食されていきますので、もう住めなくなって内陸部に移動した、でも、更にそこからまだ海岸が迫ってくるといったような、本当に深刻な悲痛なところがあるんです。 それを見ていると、やはり
日本
としての責任として、
途上国
の
適応
の支援というものをいかにインセンティブをつけていくかということが、とても喫緊の
課題
なのではないかなと思っているんです。 ですので、
日本
の中の
適応
というのは、
日本
は技術大国ですし資金もありますので、進めることは実はその気になれば本当に進んでいくんだと思うんですね。 ですので、そこの中で、
日本
の培った技術というものを、また、実は
日本
にとっては当たり前のもの、例えば天気予報ですね、
日本
にとっては天気予報は当たり前で、実際に台風が来るときは、二、三日前からもうテレビのことで、我々はすごく準備できますよね。でも、実は
世界
百九十七カ国ある中で、天気予報がない国がまだ八十カ国もあります。 ですので、衛星があって初めてこの台風の
被害
というのはすごく激減されたんですけれども、そういった
情報
手段もないまま嵐にさらされてしまう
途上国
の人
たち
が、更に
温暖化
の
影響
によってそれが深刻化するということを思った場合、やはり
途上国
の
適応
を支援していく
仕組み
、特に資金メカニズム、そういったものを
日本
の
政府
としてはすごく真剣に考えていってほしいなと思っております。 それで、この
法案
の中の第十八条の
国際協力
も、ばくっと技術協力ではなく、その他の
国際協力
ではなく、その中にインセンティブの付与というものを入れていただけたら本当にありがたいなと思っております。
鰐淵洋子
48
○鰐淵
委員
ありがとうございました。 海外支援についてもお伺いしたかったので、今ちょうど御答弁というか、お答えいただきまして、大変にありがとうございました。 同じ質問ということで、ぜひ
桃井参考人
にもお伺いしたいと思うんですが、我が国ができる海外、
途上国
を中心とした支援、我が国ができる支援について御見解をあわせてお伺いしたいと思います。
桃井貴子
49
○
桃井参考人
そうですね、済みません、私、そこの専門外なので、的確なお答えができるかわからないんですけれども。 やはり
日本
として、今までたくさんの
排出
を行ってきた国としての責務で、しっかりと
途上国
の、とりわけ
気候変動
の
影響
を受けている国々に対しての支援というのを充実化させるということが必要だと思っていますし、それは
適応策
、
適応
の
分野
だけではなく、
緩和
の
分野
においても必要だと思っています。 今回は、
適応法案
の中でもきちんと位置づけていくということが
一つ
方策
としてあると思いますので、
小西
さんが言われたような形で位置づけるということが重要なのではないかと思います。 ありがとうございます。
鰐淵洋子
50
○鰐淵
委員
ありがとうございました。 済みません、重ねて
小西参考人
にお伺いしたいと思いますが、今お伺いした
途上国
への支援、また、
世界
に貢献できる
日本
の役割ということで、もしほかにもう少し具体的なところで教えていただけるところがあったら、最後に御
意見
を伺いたいと思います、国際支援。
小西雅子
51
○
小西参考人
具体的なところとなりますと、私はどうしても気象出身なので、
日本
の気象
予測
というものは、当然ですが、
世界
に冠たるもので、やはりアメダスのデータによって、データが、観測場所がたくさんあるので、より
予測
が正確なんですね。 ですので、今回の
適応法案
は連携をすごくうたっています。今まで、例えば
気象庁
さんは
気象庁
さんで
国際協力
をされて、
環境省
は
環境省
でといった形で、農林水産省もそれぞれ
途上国
の支援とかをされているんですけれども、それをやはり
適応
という
視点
で
一つ
くくって、そこに、ぜひ本当はより
途上国
支援の資金援助もついた形で進んでいくことが一番ありがたいなと思っております。 特に
異常気象
とかの場合においては、
日本
ではすごく当たり前の技術が、
途上国
ではそれによって多くの人命が救えるんですね。例えば、ほんの早期警戒システム、サイレンを鳴らして、来るぞというのがあるだけでも、多くの人命を救えるんです。 ですから、
日本
にとっては当たり前と思っていることを、ぜひこの
適応法案
で、連携のときのきっかけに、
途上国
の人のニーズとかを、我々、
国際交渉
に携わっている、省庁さんのたくさん携わっている方だけではなく、現場の人間の人
たち
も、ぜひ、実際に
日本
ができ得ることということを、そういったいろいろな協議の場とかで知っていただいて、進めていただければなと思っております。
鰐淵洋子
52
○鰐淵
委員
貴重な御
意見
をありがとうございました。 以上で終わらせていただきます。
松島みどり
53
○
松島委員長
次に、田村貴昭さん。
田村貴昭
54
○田村(貴)
委員
日本
共産党の田村貴昭です。
参考人
の
小西雅子
さん、そして
桃井
貴子
さん、きょうはどうもありがとうございます。 私の方からも質問をさせていただきたいというふうに思います。 最初に、
桃井参考人
の方にお尋ねをいたします。
桃井
さんがお書きになられた、「生活と
環境
」昨年十一月号の「脱
炭素社会
構築を目指す
パリ協定
時代に
日本
がすべきこと」、これを拝読させていただきました。
日本
の
温室効果ガス
排出量
が十三億六千四百万トン、
CO
2、これは二〇一四年度ですけれども、こうした中で、三三%が発電にあると、グラフの方も示されていました。巨大な
排出
を占める火力発電所の転換を図る、このことが効果的な削減効果であるというふうに指摘をされています。 きょうは
意見
陳述の中で、
緩和策
が真逆の方向にあると。私も本当に同感であります。三三%の発電というのは、これは火力発電がほとんど占めているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
桃井貴子
55
○
桃井参考人
御質問ありがとうございます。 火力発電がほとんど占めています。そのうちの半分が
石炭
、半分がLNGというような割合、大体の割合だったと思います。 〔
委員長
退席、関(芳)
委員長
代理着席〕
田村貴昭
56
○田村(貴)
委員
引き続いてお尋ねしますけれども、
日本
の
温室効果ガス
排出
は約九割がエネルギー起源
CO
2であるというふうな指摘もされています。このことについても御説明をいただけるでしょうか。
桃井貴子
57
○
桃井参考人
約九割がエネルギー起源
CO
2というのは、
化石燃料
を燃やして、それを熱や電気にして使っているという意味で、
日本
の
排出量
全体のうちの
化石燃料
を燃やしている部分がそれに当たるということです。それ以外は、フロンとかそういうものが占めているということになります。
田村貴昭
58
○田村(貴)
委員
気候ネットワーク
さんの方がいろいろな統計を解析して、そして今の
状況
を分析して、そして公表されているといったことについて、
気候ネットワーク
の分析数値に対して
日本
政府
は同じ認識をしているのでしょうか。食い違う点があるのでしょうか。 せっかくこうやって
政府
からの資料をもとに算出しているのに、どうも自分
たち
の主張が認められていないのではないか、あるいは
政府
は別の考え方をしているのではないか、そういったことがあれば、この際、お聞かせいただければというふうに思います。
桃井貴子
59
○
桃井参考人
御質問ありがとうございます。 分析をしているものというのが、恐らく、一番最初にいただいた御質問の、
日本
の総
排出量
の
排出
の割合の構造についてだと思います。
気候ネットワーク
では、
環境省
が行っている
温室効果ガス
の算定
報告
制度を
情報
開示請求をしまして、それをもとに
排出量
を、
政府
が出しているのは間接
排出量
といって、全て電力部門はユーザー側で
排出
しているということにして
排出量
をカウントしているんですが、これを、電力会社は発電しているところから直接
排出
しているものとしてこちらは算定をし直して、それで分析を行っているということです。そこで、電力部門が三三%の
排出
があるというような形を示してきたわけです。
政府
は、これまで、先ほど申し上げたように、間接
排出量
で
情報
を示していました。ところが、ことしになって、
環境省
の
排出量
の確定値、
日本
の
温室効果ガス
の
排出量
の確定値というのが先月出されたんですけれども、それを見ますと、そこに、これまで全くなかった直接
排出量
の割合というのが初めて示されていました。私
たち
がずっと
政府
に求めてきたことを今回
環境省
の中で示されたということで、これは非常に
評価
しております。 しかしながら、本来であれば、直接
排出量
によって、
排出
されている電力部門の
排出
をもっと分析をして、そこで、
気候変動対策
の重要な部分は何なのか、そして電力部門から
排出
を減らしていく
方策
は何なのかというようなところまでを分析しなければいけないと思うんですけれども、それが行われていないということ、
排出量
が
石炭
がふえることによってふえているということが示されたにもかかわらず、そこが具体的には文章の中には書かれていないというようなことが、まだまだ
政府
の方での発表の物足りなさだというふうに感じています。 ありがとうございます。
田村貴昭
60
○田村(貴)
委員
大事な御指摘ではなかったかなというふうに思います。 初めて直接
排出量
が出されてきた、そしてもっと深い分析を行うべきだ、そして、出された数値について、またこれを
市民
的に検証していくことも大事ではないかなというふうに思います。私は、そうしたことも
政府
の方に求めていきたいというふうに思っております。 今度出された資料を見ても、それから
桃井
さんのこれまでの御主張の中でも、
石炭火力
にかかわるところの指摘が多いわけなんですけれども、
気候ネットワーク
の、
最大
の発生源
対策
はやはり
石炭火力
である、こうしたところの主張に今の
政府
はしっかりと応えておられるでしょうか。冒頭の
意見
陳述の中でも、なかなかそうではないといったところはあるんですけれども、要求についてお聞かせいただければというふうに思います。 〔関(芳)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
桃井貴子
61
○
桃井参考人
ありがとうございます。
石炭火力発電所
の建設
計画
というのが二〇一二年以降で五十基も出てきてしまっているということは、
政府
の方針として
石炭火力発電所
を高効率のものは推進するということが、
エネルギー政策
の中に位置づけられてしまっているからだというふうに認識しています。 しかも、
環境
アセスメントという手続を踏む段階においても、
環境省
はこれまで、過去、容認できないといった
意見
書を
環境大臣
から出しているものが五つほどあったんですけれども、それでも、それは
環境
アセスメントの審議自体は経済
産業
省の方で行われるために、結果的には全て容認していく方向で動いており、建設が進んでいってしまっているというような
状況
にあります。 まさに、本来であれば、先生おっしゃるように、
石炭火力発電所
のところが
最大
の発生源
対策
で、一番、
気候変動政策
の一丁目一番地というか、やらなければいけない
対策
のところだと思うんですけれども、そこから逆行してしまっているような政策をとっているというのが今の
日本
政府
だと思います。
田村貴昭
62
○田村(貴)
委員
よくわかりました。ありがとうございました。 それでは、
WWFジャパン
の
小西参考人
の方にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。 私は九州なんですけれども、去年、九州北部水害というのがありまして、未曽有の災害に見舞われました。そういう経験をしたところなんですけれども、
小西
さんは
気象予報士
でもあられます。異常な降雨で甚大な
被害
が、いろいろなところで今、
日本
は起こっているわけなんですけれども、
日本
における
気候変動
と
異常気象
、災害誘発との関係について御所見をお聞かせいただければというふうに思います。
小西雅子
63
○
小西参考人
ありがとうございます。 先ほどの答弁とかぶってしまうんですけれども、やはり、
日本
の
一つ
一つ
の
異常気象
によってどれぐらいが
温暖化
に寄与しているかということはなかなか言いにくい、特にまだ降水の場合は。
気温
の方が言いやすいというところがあるそうなんです。 ただ、
気象庁
の言う
異常気象
の定義というのは、過去三十年の中で起きる
異常気象
の定義となっていますので、実は十年
ごと
に更新されていくんですね。ですから、今は
異常気象
なんだけれども、将来においてはそれが当たり前になって、
異常気象
にもうならないかもしれないです。平均的な気象になっていくかもしれないです。 実際に、もう過去十年
ごと
に
異常気象
の定義というのは変わってきていますので、やはり、
温暖化
が進んでいくと、そういった、今では
異常気象
と言われているものが、それが通常の気象の変化になってしまうような、そういったこともあり得るんだと思っております。 やはり、今の
日本
の中で、例えば台風ですとか、そういったものに対する、定量的にこれぐらいの
影響
が出てくるということは既に
研究
報告
で出されていますので、そういったものを反映して、今回の
適応法案
の中でどういう
適応
の準備をしていかなければならないかということをこれから考えて、
計画
を立てて、
実施
していくということは、これからますます重要になるということと同時に、やはり、五年
ごと
にどんどん新しい知見が出てきますので、それを入れてつくり直していくというこのサイクルを
日本
がつくり上げて、今、
適応法案
は五年
ごと
のサイクルなんですけれども、実は
緩和
の方が、その同じ本当は五年サイクルで回ってこそ、
緩和
と
適応
の、同時に、
緩和
の政策がこれぐらいだから今
適応
はこれぐらいだというような形で本当はやっていくべきなところが、今
緩和
の方はそういったサイクルで回っていないので、ぜひ
緩和策
もこれをきっかけに更に入れていくといったことを検討いただきたいと思っております。
田村貴昭
64
○田村(貴)
委員
小西
さんは、昨年の
CO
P23フィジー
会議
に
出席
されて、いろいろな方とお会いしたというふうに思います。 レポートも、私は楽しく拝見させていただきました。トランプ大統領が
パリ協定
離脱を宣言するもとでも、アメリカの非国家アクター、ウイ・アー・スティル・インですか、この力強い決意であるとか、それから、フランスのマクロン大統領が
WWF
と
意見
交換をされたなど、頼もしい限りだなというふうに思うわけであります。 国連の
会議
とか
世界
を見詰められる中で、すばらしいと感じられる指導者あるいは
団体
等の取組について、印象に残ったところ、これは教訓とすべきだというふうにお感じになっておられるところを、きょうは御
紹介
していただけるでしょうか。
小西雅子
65
○
小西参考人
ありがとうございます。 国連交渉のリーダーシップに関しては、済みません、三時間ぐらい語れちゃうんですけれども、きょうは、
適応法案
にぜひ関係するということで、今先生がおっしゃった、ウイ・アー・スティル・インを御
紹介
させていただけたらなと思っております。
御存じ
のように、やはり、トランプ大統領の
パリ協定
の離脱宣言で、すごく
世界
は動揺しました。しかし、このウイ・アー・スティル・インに
参加
しているカリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事ですとか、多くの、アメリカというのは州
政府
の力が非常に強いところがありますので、その州
政府
のリーダー
たち
、そしてまた市長
たち
といった人
たち
が立ち上がってつくったのがウイ・アー・スティル・インで、実は、アメリカの人口の半分以上を占める人
たち
が、もう既にこのイニシアチブに入っております。 ですので、アメリカ連邦
政府
レベル
での
温暖化対策
が停滞したとしても、こういった州
政府
レベル
でのイニシアチブというのは、我々はまだまだ、文字どおり、ウイ・アー・スティル・インで、
パリ協定
を遵守していくと宣言していますので、実は、それでいくと、一国
レベル
でいくと非常に大きな国
レベル
の動きなんですね。 こういったものが象徴するように、
パリ協定
というのは、実は、今までずっと、
京都議定書
を経た国連交渉というのは
政府
間のものでした、
政府
対
政府
、百九十六カ国から七カ国の
政府
が
国際交渉
をしていたんですけれども、今は、実は、こういった
自治体
の市長
たち
、あるいは
企業
さんのイニシアチブ、そういったイニシアチブが大きく力を持っています。
パリ協定
、
今世紀
末に脱炭素化するという非常に、ちょっとあり得ないような、画期的な
世界
共通の
国際協定
ができたわけですけれども、その裏には、こういった
企業
さんの集まりですとか
自治体
のイニシアチブとか、もちろん、NGOの主導するものとか、そういったものがすごく力を持ってきて、それらが、より強い
温暖化対策
を我々は支持するということを言うことによって、
政府
も、この
パリ協定
を成立させるといったことが可能になりました。それの
一つ
の象徴が、まさに、
政府
が抜けた後のアメリカのウイ・アー・スティル・イン
活動
なんですね。 ですので、実は、
温暖化対策
のリーダーというのは、これからは、そういった
政府
以外の
自治体
とかあるいは
企業
さんとか、そういったところからより力強く出てきているんだと思います。 そこからいっても、今回の
適応法案
においても、やはり、各
自治体
さんですとか
企業
さんとか、そういったところのリーダーシップをぜひ期待したいと思っております。
田村貴昭
66
○田村(貴)
委員
大変貴重な、
CO
P23でのお話をいただきました。ありがとうございます。 「不都合な真実」という映画なんかを見ていますと、本当にびっくりするようなことがいっぱいあるんですけれども、やはり、最後、頑張ったら何とかなるんだ、そして、勇気と力をいただくというのが今の
世界
の取組じゃないかなというふうに思うわけです。
人類
がしでかしたことはやはり
人類
が修復していくといったところで、行政も、そして
企業
も、政治も、全てがやはりこの方向に向き合っていかなければならないかなというふうに思います。きょうは、
桃井
さんと
小西
さんのお話を聞いていて、そんな思いを強くしたところです。 貴重な御
意見
をありがとうございました。終わります。
松島みどり
67
○
松島委員長
次に、
玉城デニー
さん。
玉城デニー
68
○玉城
委員
自由党の
玉城デニー
です。 きょうは、お二方の
参考人
の貴重な御
意見
を本当にありがとうございます。質問が少し重なるところがあるかもしれませんが、どうぞ、その点は御了解をいただければと思います。 さて、ごらんになって、見てわかると思いますが、私は沖縄の出身で、
環境委員会
の中でこのかりゆしウエアを普及しようということで、議員の皆さんにも御理解をいただいて、このように、クールビズの期間になったらできるだけこのかりゆしウエアを着て国会
活動
をするようにしております。時々、寒いときは上着を羽織ればいいやと思う感じで、暑い方が上着を脱いで歩くよりも、最初から半袖を着ていた方が割と快適に過ごせるなというふうに思います。 ですから、きょうの室内も、実は少し、ちょっと寒いのではないかと思うぐらいの
気温
設定ではないかなと思うんですが、できるだけ、できるところからできる
努力
をしていくということが国民の皆さんにわかっていただければ、なじんでいただければ、沖縄よりも本州の内陸部では、山沿いのところでは本当に
気温
が高くなるところがありますので、特にそういう
地域
では、着るものの文化として、普通に快適に過ごせる衣料というか、それがビジネスとつながって
地域
で浸透していったらもっといいなというふうに思います。 さて、きょうは、先ほどの
意見
陳述の中でも非常に貴重な御
意見
もたくさんいただきました。 そこで、それぞれの考えについて改めてお伺いしたいと思いますが、実は、きょう午後、この
参考人
の
意見
陳述を経て、この
法案
の審議をすることになっていますが、きのう私が前もって質問レクをさせていただいた
内容
と非常に通ずるものがありまして、認識として、
一つ
一つ
丁寧に確認をさせていただければと思いますので、ちょっと総論的な話と細かい点があるかもしれませんが、その点もぜひ忌憚のない御
意見
をお聞かせいただきたいと思います。 では、まず
桃井参考人
からお伺いいたします。
パリ協定
の
目標
である平均
気温上昇
を一・五度から二度抑制するというこの共通の
目標
なんですが、全体で見て、
日本
がとるべき行動で、これが今重要だろうと思われる点、それをまずお聞かせいただきたいと思います。
桃井貴子
69
○
桃井参考人
ありがとうございます。 私が先ほどの冒頭の陳述でも申し上げましたとおり、一・五度から二度に抑えるためには、そのために
排出
していい量というのがもう決まっています、地球
レベル
で。そのために、
排出量
の多いものからやはり削減していくということが必要でして、とりわけ
先進国
は、二〇三〇年くらいまでには
石炭火力発電所
はもうほぼ廃止するということをやるのが、この
パリ協定
で言われている一・五度から二度に抑えるために必要なカーボンバジェットの枠だというふうに考えています。 ですので、
日本
として、今、
石炭火力発電所
を高効率だからいいといって進めているこの現状をまず変える必要があるというふうに思っています。 ありがとうございます。
玉城デニー
70
○玉城
委員
ありがとうございます。 再稼働や新設が抑制されている原発の実は代替エネルギー源として、
石炭火力発電
などがベースロード電源とされています。 二〇一三年、これは長期エネルギー需給見通しの、
参考人
の資料からですが、二〇一三年で、原子力が二〇三〇年になると二〇から二二%、
石炭
が二六%というふうに、依然として、原子力にも頼り
石炭
にも頼る、しかし、再エネ、
再生可能エネルギー
の割合も非常に低いということが、現実にそういう方向性になっています。さらには、電源のピークアウトが二〇三〇年まで続いていく。つまり、先送りというか、これは、私は別の意味で放置しているというふうに思います。 ですから、
再生可能エネルギー
への転換がもっと図られて、
企業
全体がそこに向かって
努力
をしていくということが非常に重要だと思いますが、この
石炭火力発電
や原発をベースロード電源に置いている
日本
が、脱
炭素社会
の構築に向けた取組、その中での
再生可能エネルギー
比率への転換で必要と思われる点について、もう一度お聞かせください。
桃井貴子
71
○
桃井参考人
ありがとうございます。 まずは、第一に、このベースロード電源という考え方をやめた方がいいと思っています。
再生可能エネルギー
をメーンの電源にしていくということが必要で、まず第一優先的に
再生可能エネルギー
の接続をするということ、そのためにまず、過渡的に、最終的には
再生可能エネルギー
を一〇〇%に向けていくということを
目標
としても掲げるべきだと思いますが、いきなりそこには向かいませんので、自然の変動に合わせて発電する
再生可能エネルギー
に対して、調整電源的に必要なものは
CO
2の
排出
のできるだけ少ない電源、例えばLNGの高効率のものなどで、それを調整電源として使っていくというような方向が必要なのではないかというふうに思っています。
玉城デニー
72
○玉城
委員
電力の自由化になってからはこの接続の問題が非常に大きな問題となっています。我々は常に、電力の自由化とは、小型化であり、
地域
化であり、分散化である、ですから、
地域
で賄える電力を小規模で、例えばバイオマスで発電をしたとして、発電と熱の利用にもっとコストをかけていけば、十分、大型の火力発電に頼らずとも
地域
の分散化は可能である、しかも、そのエネルギー源をしっかり接続していくということについてもっと力を入れていくべきであるというふうに思います。ありがとうございます。 では、今度は
小西参考人
にお伺いいたします。
気象予報士
の資格を持ってその
活動
もしていらっしゃるんですが、沖縄はかつて台風銀座と言われていましたが、今でも沖縄近海で発生した台風が勢力を強くして本州などへ上陸するというパターンがよく見られるわけですね。ですから、地球
環境
そのものは、
温暖化
も合わせて
気候
の変化が著しくなってきている。要するに、急に寒くなったり大雨が局所的に降ったり、それが、
日本
のみならず
世界
各地で頻繁に起こっているということは、
情報
を見れば、今はネットの
社会
でも、物すごい、
国際社会
の中で地球
温暖化
と
気候変動
に対する取組はもう待ったなしだという
状況
が見てとるようにわかると思います。 そこで、
国際社会
における
日本
の姿勢の
評価
について、まずお伺いしたいと思います。 今回、我が国における
温暖化対策
において、冒頭でもありましたけれども、丸川元
環境大臣
も所信表明で述べていたことですが、
緩和策
と
対応
策が車の
両輪
と位置づけられている点について、これは
国際社会
で、特に
パリ協定
などにおける国際的認識としてはどうなっているのか、まずお聞かせください。
小西雅子
73
○
小西参考人
ありがとうございます。
パリ協定
においては、やはり、
緩和
、削減をしていくということがすごくメーンの議論にはなるんですけれども、その際に
途上国
側から、
適応
も一緒に進めていかなければ自分
たち
は存続の危機なんだということをとても言っています。彼らがよく使う言葉は、サバイバルなんだということを言っておりまして、実は、その問題自体が
国際交渉
を、非常に対立を深刻化させる
一つ
の要因になっています。
先進国
側はやはりどうしても
緩和
を進めたい。特に中国とか、そういった大きな新興国に対して、
削減目標
を持ってきっちりやっていくということを目指すのに対して、やはり
途上国
側は、
適応
の
視点
をどんどんどんどん、
適応
による一番技術支援と資金支援ですね、入れてもらわない限り、
緩和
だけが進むということに対するすごく警戒感がありますので、実は
適応
と
緩和
というのは、
国際交渉
においても、
一つ
、それぞれの
ステークホルダー
によって違うんですけれども、これが
両輪
であることはまず誰も疑わないことなんですね。 ですので、実は
日本
のような
先進国
は、
国際社会
において一番求められることは、まず削減を進めることなんです。みずからの、
先進国
の責任にふさわしい削減をきっちりやっていくという姿勢を見せるということが一番求められています。 その点においては、
日本
は今の
国際交渉
では、
京都議定書
のころには本当に
一つ
の大きな主役だったんですけれども、今はどちらかというと、なるべく目立たないようにという姿勢に見えます。ですので、
日本
が
国際交渉
の中で唯一目立つ点は、
石炭
推進を非難されるときなんですね。ですので、その意味においては、恐らく会場外では一番存在感があるかもしれないです。 現地のNGOとそれから国際NGOによる非難がずっと行われているだけではなくて、例えば中においても、今回、グローバル・コール・アライアンス、
石炭
連盟というのがカナダの首相とかを中心にして、実は国
レベル
で
石炭
を廃止していきましょうといったアライアンスができているんですね。ですので、
会議
場の外でも中でも、
日本
の
石炭
偏重の姿勢というのは非常に特異なものになってきています。 ですので、
日本
人のオフィサーというのは、実は、
国際交渉
に行った場合、我々NGOの場合は自国の
政府
との間をつなぐということがとても求められるんですね、国際NGOの
立場
でいうと。ところが、今の私の
立場
で行くと、
石炭
のことは多くほかの同僚から言われるんですけれども、
日本
の
国際交渉
における貢献ということに対しての貢献が求められなくて、ちょっと残念です。
玉城デニー
74
○玉城
委員
やはり、国内での議論、海外での、特に
国際社会
での議論の場面になると、非常にそこをつなぐ役割が大変だろうなというふうに思います。 もう一点、お聞かせください。 では、
パリ協定
を議論する場である
CO
Pにおける
日本
への
評価
と、それから、これからやはりこういう提案をした方がいいということの話をまたお聞かせいただきたいと思います。
小西雅子
75
○
小西参考人
日本
は、実は資金支援においては非常に感謝されております。 特に、今、トランプ大統領が
パリ協定
、実際にはアメリカが抜けられるのは二〇二〇年の十一月四日ですので、次の大統領選挙の翌日ですので、それまではアメリカは
パリ協定
の締約国ではあり続けるので、アメリカ代表団はきちっと
参加
はしているんですけれども、それでもやはり、アメリカが約束した資金支援とかに対してはもう出さないと言っておりますし、オバマ大統領の時代に、グリーン・クライメート・ファンドというところに約束した量の三分の二ぐらいは出しているんですけれども、残りが見込みが立たないというときに、やはり
日本
は、そこで、事務局の運営に対しても、あるいは
途上国
の資金支援に対しても約束は守っていますので、その点においては存在感はこれからもあると思います。 ただ、
緩和
に対して
日本
に求められている
削減目標
の
レベル
というのが非常に著しく低いという国際的な
評価
ですので、やはり
緩和
そのものにおける
国際交渉
における存在感というのは、
日本
はもっと、国内をまずきちっと
法案
で押さえてから、それから
国際交渉
において、本来は
日本
ができ得る
立場
になって、
国際交渉
の
緩和
においてもリードしていってほしいなと思っております。
玉城デニー
76
○玉城
委員
ありがとうございます。
国際社会
の取組と我が国における取組がやはりイコールといいますか、もっと先進的に
努力
をする、そういう期待もあるのだということもあわせてお伺いいたしました。 さて、最後にお二人にお伺いいたします。
小西参考人
からは、これまでの
中程度
予測
からRCP八・五の
予測
へ動いているという現実的な判断で、四度
上昇
もあり得るということをおっしゃっていました。それから、
桃井参考人
からは、遠い
地域
のことである、あるいは未来への取組である、だから、まだ先の話だとか、あるいはここではない別のところの話ということがこの
地球温暖化対策
として考えられている、国民はそういうふうに受け取っているのではないかということもありました。 最後に、
小西
さん、
桃井
さんの順にお伺いいたしますが、では、
温暖化対策
における国の責務、
日本
国
政府
としての責任、どのように取り組むべきかということを最後にそれぞれお伺いしたいと思います。お願いいたします。
小西雅子
77
○
小西参考人
それでは、時間がないので、なるべく短く。 国の責務は、やはり整えることだと思います。ですので、
緩和
と
適応
、まさに
削減目標
というのは
一つ
の象徴なんですけれども、そこに向かって、
今世紀
末には脱炭素化するんだという長期戦略を今、二〇二〇年までに出すことを求められていますが、まだG7の中で
日本
はおくれております。 ですので、将来的な戦略をきちっと、いずれ脱炭素化するということを出して、それを法にうたって、そこからバックキャスティングで、カーボンバジェットの考え方で、きちっと
日本
はこういう方向でいくんだということをやはり
法的根拠
を持って示すのが一番の責務だと思っております。それがあってこそ、
企業
さんも、そして
自治体
も、国民も、その方向に向かっていけるんだと思っております。
桃井貴子
78
○
桃井参考人
ありがとうございました。 私も、国の責任としては、やはり、今、
気候変動対策
に関して、
政府
の政策の端の方に追いやられてしまっているというふうに思います。むしろ、
気候変動
を中心に据えるくらいの形にして、そのために新しいビジネスをつくっていったりとか、
自治体
の、
地域
のあり方を見直していったりということで、
パリ協定
というのは、もう新しくこれから時代を変えていく革命的なことだというふうに思っていますので、それくらいの意識を持って
政府
の政策として
気候変動
を位置づけ、
緩和策
、そして
適応策
、両方ともきちんとした
評価
をとりながらやっていくべきではないかというふうに思っております。 ありがとうございました。
松島みどり
79
○
松島委員長
質疑
時間です。
玉城デニー
80
○玉城
委員
貴重な御
意見
をありがとうございました。どうぞこれからもまた、私
たち
にたくさんの御教示を賜りますよう、御活躍を御期待いたします。 きょうはどうもありがとうございました。質問を終わります。ニフェーデービタン。
松島みどり
81
○
松島委員長
以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に一言御礼を申し上げます。
小西参考人
、
桃井参考人
におかれましては、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————◇————— 午後二時十四分
開議
松島みどり
82
○
松島委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 午前に引き続き、
内閣提出
、
気候変動適応法案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
農林水産技術会議事務局研究総務官
大角亨さん、
資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官
小澤典明さん、
国土交通省大臣官房審議官
首藤祐司さん、
環境省大臣官房環境保健部長
梅田珠実さん、
環境省地球環境局長
森下哲さん、
環境省総合環境政策統括官
中井徳太郎
さんの
出席
を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松島みどり
83
○
松島委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
松島みどり
84
○
松島委員長
質疑
の申出がありますので、順次これを許します。近藤昭一さん。
近藤昭一
85
○近藤(昭)
委員
立憲民主党の近藤昭一でございます。 きょうは、久しぶりにこの
環境委員会
で質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。 私も自然系議員といいましょうか、ただ、私が初当選したころは
環境
系という言い方をしておったわけでありますが、自然系も
環境
系も、いずれにいたしましても、持続可能な
社会
をつくっていくということで、
環境
保護といいましょうか、
環境
の面からいろいろなことを検討していく、こういうことだと思っております。 それで、この
気候変動
に関する法律について質問をさせていただきたいと思います。
世界
気象機関、WMOと言われるわけでありますが、三月の二十二日、二〇一七年に
世界
各地で、地球
温暖化
の進行に伴ってハリケーン、
洪水
などの
気象災害
が多発をしている、その経済
損失
が過去最高の三千二百億ドル、
日本
円にすると約三十四兆円でありますが、これほどの大きな金額に上ったという試算を公表したわけであります。
日本
においても
気候変動
の
影響
があらわれて、
日本
の年
平均気温
は百年当たり一・一九度Cの割合でこれまで
上昇
しており、今後さらなる
上昇
が見込まれるということであります。 もちろん、この間、本
委員会
でも、この経済
損失
が非常に多額になっている、そうしたことに対して、いわゆる、そうした
温暖化
ガスを
排出
してきた、そうしたところにかかわってきた
企業
、こうした言い方をすると語弊があるかもしれませんが、そうしたことを
排出
することによってある種成長してきたところにとっても、災害等々が大きくなる中で、この損害が大きくなる中で、改めてそうした
温暖化
ガスの
排出
を見直さなくてはいけない、こういう機運が出てきているんだと思います。機運と言いましたが、これは必要なことでありますが、そういうところが出てきているんだと思います。 そういう中で、
気候変動
が原因と思われる災害の激烈化による損害がどの程度あると
政府
は考えているのか、改めてお伺いをしたいと思います。
森下哲
86
○森下
政府参考人
お答え申し上げます。 個々の
気象災害
とそれから
気候変動
との因果関係は必ずしも明らかではございませんけれども、将来、
気候変動
が進行することで水害や土砂災害、高潮、高波などの災害
リスク
が増大することが予想されているというところでございます。 先ほど議員御
紹介
されましたように、
気象災害
につきましては、
世界
気象機関、WMOが本年公表した
報告
書におきまして、二〇一七年における
世界
各地での
気象災害
における
被害額
が三十四兆円になったとの試算が
紹介
されてございます。
気候変動
は、
世界
そして我が国においても大きな
影響
を及ぼすものでございます。
温室効果ガス
の
排出削減
対策
に全力で取り組むことはもちろんのこと、本
法案
によりまして、その
被害
の回避、軽減を図る
適応策
を充実
強化
してまいりたいと思っております。 先ほど、
被害額
ということで御質問がございましたけれども、冒頭申し上げましたように、因果関係が必ずしも明らかではないということもありまして、必ずしも容易ではないというふうに考えてございますけれども、
環境省
といたしましても、調査
研究
等を推進しまして、知見を蓄積してまいりたいというふうに考えてございます。
近藤昭一
87
○近藤(昭)
委員
因果関係が明らかでないと。 ただ、いわゆる地球
温暖化
の問題については、
環境省
もよく
御存じ
といいましょうか、かかわっておられるわけでありますから、
気候変動
については、多くの
世界
的な
研究
者が、因果関係があるといいましょうか、統計的にも、そして、時にそうしたものを新たな
研究
のもとでより確実なというか、より精度の高いものとして
研究
をしているんだと思います。
気候変動
と
排出
ガス、そして、今局長がお答えになったように、そういう中で、
温暖化
によってそうした損害、これがどれだけ出ているのかというのは更に検証が難しい問題なんだとは思います。 しかしながら、きょうも午前中の
参考人
の方々の話にもあったように、これをそれぞれが、
市民
の皆さんとしても、あるいは
企業
としても、さまざま、当事者意識として取り組んでいかなくてはならない、ある種のインセンティブをしっかりと持ってほしいというような言及があったと思うんです。 そういう意味では、なかなかそうした因果関係が難しい中ではありますが、わかりやすいといいましょうか、それによって過度というか正しくない反応が出るということも問題かもしれませんけれども、明らかに損害額が大きくなっていると思うんです。 例えば、最近で、年間の自然災害による損害というものがどれほどここ数年で大きくなっているのか、それに対して、因果関係は難しいとおっしゃるかもしれませんけれども、どのように認識を持っておられるのか、お答えをいただければと思います。
森下哲
88
○森下
政府参考人
近年、
日本
でも、例えば水害の
被害額
を見てみますと大きな数字が出ております。例えば、岩手県で統計開始以来
最大
の
被害額
ということで、約一千六百八十億円の
被害
が出たということを、平成三十年の三月に国交省が公表の資料に掲載もされてございます。都道府県別の
被害
等も見てみますと、一位が岩手県、二位が北海道、三位が鹿児島県、水害の
被害額
では全国で約四千六百六十億円というようなことでございます。 また、台風あるいは梅雨前線、そういったものとの関係でも水害が出てきておりますが、例えば台風を見てみますと、近年は、これまでになかったルートをたどり、
日本
に近づくにつれて逆に勢力を増してくる、これは、海の、海面上の温度が高いことによってパワーを更に増加をさせて
日本
列島に近寄ってくるというようなことも起こってございます。 今後、こういったことも十分注意をしながら、また、国民の
皆様
方にもわかりやすくそういったことがあるんだということもお伝えをしてまいりたいというふうに考えてございます。
近藤昭一
89
○近藤(昭)
委員
ありがとうございます。 今お答えいただいたように、近年、非常にそうした損害が、明らかに自然災害による
被害
が大きくなっているということなんだと思います。そして、今いみじくも
被害
が大きかったところをおっしゃっていました。 私も最近九州の方に行ったときに、昔、よく台風シーズンになると、今回も鹿児島は
被害
が大きかったということでありますが、台風シーズンになると、非常に、沖縄であったり鹿児島であったり、そうしたところに大変に大きな台風が来て、あるいは宮崎でしょうかね、そういうところに
被害
が大きかった。ところが、最近はルートが変わって、実は違うんだ、こういうお話もあったわけであります。 そうしたことが、午前中の
参考人
がおっしゃったように、どれだけ多くの国民の皆さんに共通の認識としてあるのかなということを思うわけでありますし、これは午前中の
参考人
の方にも言及がありました、実は、どうしても、災害というと、少し都市部の方の認識の中にいささか大きくはないみたいなところがあった、しかし、大都市である
東京
とか大阪とか名古屋とか、こういったところで実は災害の
被害
が大きくなっているというような言及があったわけでありますが、その辺に対する、例えばそういう認識でいいのかどうか、そしてまた、そうしたものをどういうふうに
環境省
としてもあるいは多くの皆さんに知らしめているというか、その辺はいかがでありましょうか。
森下哲
90
○森下
政府参考人
お答え申し上げます。 御指摘のように、大都市でも、特に豪雨、短期的に大量の雨が降るというような現象が起こってございます。こういったことに
対応
する必要が、
適応
という観点からも非常に重要だと私ども考えております。 現在、
地域
コンソーシアム
事業
ということを国交省さん、そして農林水産省さんと一緒に展開をさせていただいておりますけれども、その中で、例えば、集中豪雨による
被害
をいかに
適応策
を講じることでミニマイズ、減少させていくのか、そういう観点からのアプローチも
地方自治体
あるいは国交省、関係機関の方々と一緒に取り組んでいるということでございまして、全く、御指摘のあったことは非常に重要なことだというふうに考えてございます。
近藤昭一
91
○近藤(昭)
委員
ありがとうございます。 それで、私もそうしたことを多くの方に体感をしてもらいたい。
一つ
は、
適応
のために、
適応
することをきっちりと進めていくということ。もう
一つ
は、やはりこれは、そうした
排出
、
温暖化
の原因を、
緩和
ですね、しっかりと取っていく。そうしたものを共通の認識として持ってほしいということで私も申し上げています。 そういう中でいうと、先ほど、台風の通るコースが変わってきたということ、あるいは、雨の降り方も変わってきたような気がするんです。先ほどの、やはり、
参考人
の方の言及でありましたでしょうか、このまま、このままだったと思いますが、このまま地球が
温暖化
をしていくと、
東京
のあたりの気象が屋久島のような気象になるというような言及があったと思います。 そういうことでいうと、私は、時々、最近の雨が、
日本
は温帯地方だ、しかしながら、それがもう何か、いわゆる亜熱帯のようになって、雨もスコールのような雨になってきた、こういうふうに言うわけでありますけれども、これはこういう言い方でいいのかどうか、まさしくスコールのような雨なのか、例えば、統計的にもそういう降り方が明らかにふえているのかどうか。いかがでしょう。
森下哲
92
○森下
政府参考人
先ほど御質問にありました、統計的にも、集中的に短期間の間に雨が降るというようなことも確認をされておりますし、それから、雨の降り方もやはり変わっておりまして、帯状に、一気に、集中的に豪雨が起こるというようなことも近年観察されておりまして、それに伴って水害も発生するというようなことも起こってございます。こういったことは確実に今観察されている事実だというふうに考えてございます。
近藤昭一
93
○近藤(昭)
委員
ありがとうございます。 そうしたことで、かなりの人がそうしたことを体感している、そして、新聞報道等でも非常に損害が大きく出ている。因果関係のことをさっきおっしゃられたわけですが、非常にそうしたものが変わってきているということを体感しているし、もちろん、
環境省
さんも、
環境省
としてもホーム
ページ
等々で、そうした今の
状況
、
気候変動
に関することを積極的に、プラットフォームをつくり、広報に力を入れておられるということはよく承知しております。ぜひ、こうしたものをそれぞれが認識として持つことが非常に重要だと改めて思うわけであります。 そういう中で、本
法案
の
提出
に至るまでの経緯についてということでちょっとお伺いをしたいと思います。 先ほど来から申し上げておりますけれども、
気候変動
が深刻化をしている、こういう
状況
の中で、本
気候変動適応法案
が今国会に
提出
されたということであります。
適応
については、これまで
委員会
の
質疑
、附帯決議などにおいて、何度も早期法制化が求められてきた。二〇一六年の
地球温暖化対策
推進法
改正
案の審査時には、
適応
の法制化を
内容
とする修正案を私もかかわって
提出
したところでありますが、取り入れられなかったわけであります。 また、これまで
政府
は、二〇一五年十一月に閣議決定された
政府
適応計画
に基づいて
気候変動
の
適応策
を行ってきたところであります。しかし、このようなスキームに基づく取組に対して、国会では
政府
適応計画
の法定
計画
の
必要性
がたびたび指摘され、二〇一六年の
地球温暖化対策
推進
基本法
改正
案の審査時には、改めて衆参両院の
環境委員会
において、
気候変動
の
影響
への
適応計画
の早期法定
計画
を求める附帯決議も付されたわけであります。 しかるに、二〇一五年から、今は二〇一八年でありますけれども、
政府
適応計画
の
策定
、それから本
法案
の
提出
に至るまで、これまでの時間を要した理由は何だったのかということをお聞きしたいと思います。
とかしきなおみ
94
○とかしき副
大臣
お答えさせていただきます。 平成二十七年、二〇一五年に、
政府
の
適応計画
、これを閣議決定させていただきました後、
適応計画
のもとで各省庁が
適応策
を
実施
させていただきました。平成二十八年、翌年、
適応策
の
情報
基盤である
気候変動適応情報プラットフォーム
、これを構築させていただきまして、そして翌年の平成二十九年には、関係省庁の連携による
地域
協議会の立ち上げ、さらに
適応計画
のフォローアップを行ってまいりました。 こうした一連の動きの中で、充実
強化
を図っていくということと、法制度の
必要性
について関係者の中から認識が広がっていったということと、あとは、やはり現場に近い地方公共
団体
の方からも法制化を求める要望が上がってきたということで、ここで、法制化の機運が高まってきたな、こういうふうに判断をさせていただきまして、これを受けまして、平成二十九年の十月に、関係省庁の局長級の連絡
会議
、これを開催させていただきまして、
適応策
の法制化について議論を始めました。そして本年一月には、
中央環境審議会
からも法制度について御審議をいただいた。 このように、平成二十七年の閣議決定から本法律をつくるまで、同
計画
に基づいて取組を着実に進めるとともに、やはりその
実施
の
状況
を踏まえながら法制化に向けて段階を積んで検討を重ねてきたということで、法律をつくることも大切なんですが、やはりその機運を高めていくこと、
環境
の法律というのは多くの皆さんの賛同を得ながら前に進めていかなくてはいけませんので、そのように丁寧な時間をかけながら、今国会の法律に至ったものであります。
近藤昭一
95
○近藤(昭)
委員
副
大臣
、どうもありがとうございます。 いろいろなことを着実に進めていくこととか、あるいは、着実に進めるに当たっての
計画
とか体制とかそういうものがある。そういう中で、機運、副
大臣
も機運とおっしゃったので機運と言いますけれども、機運を高めていかなくてはならないのは理解するわけであります。 ただ、今質問させていただいた趣旨は、二〇一五年の時点、そういう中でも、衆参の両
委員会
でも早期法制化というものが言われてきた、そういう中で、今、いろいろなものを高めなくてはならないともおっしゃったわけでありますが、しかし一方で、そういう中で、
温暖化
も進んでくる、こういう
状況
も同時にあると思うんです。そういう意味では、なぜこのことがもっと早くできなかったのかということでありますが、改めていかがでしょうか。
とかしきなおみ
96
○とかしき副
大臣
先ほどお答えさせていただきましたように、やはり
環境
の法律というのは、多くの
皆様
の賛同を得ながら、理解を得ながら前に進めていくということが大切であります。 国会の方ではそういう御審議、そして附帯決議もしていただきましたけれども、現場の地方公共
団体
とか、あと民間の
市民
の
皆様
の御理解とか、そういった機運を高めていくことがやはり大切だなということで、今回は特に、
適応策
、今までに、余りまだ考え方として浸透していない提案でございますので、やはり理解をしていただくことに時間をちょっと割いて、そして丁寧に段階を踏んで法整備まで持っていったということでございます。
近藤昭一
97
○近藤(昭)
委員
繰り返しになってしまいますのであれですが、やはり、そうした理解とともに、そうした理解があるからこそいろいろなことが着実に進むということだとは思うんですが、一方で、こうしたことが、
温暖化
が残念ながら進んできている、こういう
状況
に鑑みて今
法案
が出ているわけであります。 先ほど来からも、ちょっと局長にも何回か答弁していただきましたが、本当にこの問題点を、問題というものを深刻に受けとめて、まさしく
環境省
におかれましては、今後、この
適応法
が成立した暁には、しっかりと取組がそれぞれスピーディーに着実に行われるように期待をしたい、期待というか取り組んでいただかなければなりませんし、我々としても、私も私の
立場
でしっかりと取り組んでいきたいと思います。 それでは、脱炭素化の推進と
地球温暖化対策
推進法との関係についてということでお伺いをしたいと思います。
温暖化
効果ガスの
排出削減
、
緩和策
については、
地球温暖化対策
推進法のもとで施策が進められてきたわけであります。
パリ協定
では、一・五度から二度C
未満
目標
が掲げられて、
温室効果ガス
の
排出
を早期に削減し、脱
炭素社会
を構築することが決められました。 しかるに、
日本
では、そのために必要な実効ある
緩和策
がとられていないと考えざるを得ません。
緩和策
の
強化
は、未然に
影響
と
被害
を回避する
最大
の
適応策
であると言えると思います。
緩和策
と
適応策
を総合した国全体の
気候変動対策
の
基本方針
を位置づけることこそが必要だと思います。 午前中の
参考人
の方も、あるいはこの
委員会
の議論の中でも、よく
両輪
の輪というふうに言われるわけであります。
適応策
はもちろん重要だ、しかしながら、一方で、やはり根本的には
緩和策
をしっかりと取り組んでいかなくてはならないわけであります。 しかしながら、
地球温暖化対策
推進法及び本
法案
に、車の
両輪
となるべき、その考え方が規定はされていないわけであります。
気候変動
への取組の施策はそれぞれ独立したものと考えられるおそれがあるわけであります。
法案
にしっかり
両輪
の輪となるべきという考え方が規定されていない。 そもそも、現状の取組で
パリ協定
の
目標
が実現できると考えているのか。午前中の
参考人
の方の中にも言及もありました。
日本
は中ぐらいの、いわゆる地球
温暖化
の予想の
最大
ではなくて中ぐらいのところで想定をしているのではないか、これは本当にある意味で問題ではないか、こういう指摘があったわけであります。 この
パリ協定
の
目標
が実現できると考えておられるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
中川雅治
98
○中川国務
大臣
パリ協定
は、二度
目標
の達成のために、
今世紀
後半に
温室効果ガス
の実質
排出
ゼロを目指して
各国
の取組を前進させていく歴史的な、画期的な枠組みでございまして、全ての国が脱炭素化に向けて取り組み、この
目標
を実現しなければならないと考えております。 我が国におきましては、平成二十八年五月に閣議決定いたしました
地球温暖化対策
計画
に基づく取組を着実に
実施
し、まずは二〇三〇年度二六%
削減目標
の達成に向けて取り組むこととしております。 この
計画
では、
対策
、施策の
進捗状況
を毎年厳格に点検することとしておりまして、二〇一六年度について申し上げれば、例えば、
産業界
の自主的な取組である低
炭素社会
実行
計画
については、百十五業種中百三業種について取組が
進捗
し、
産業
部門で二〇一三年度比一〇・五%の減少になっております。運輸部門では、次世代自動車の着実な普及等により、運輸部門で二〇一三年度比三・八%の減少、家庭部門では、高効率な給湯機器や照明の導入等が着実に進展していること等によりまして、二〇一三年度比八・三%減、こういう
状況
でございまして、個別の
目標達成
に向けて
進捗
しているところもかなりあるわけですけれども、逆におくれている
対策
もございまして、こうした毎年度の点検で、引き続き着実に取組を進めていかなければならないと考えております。 こうした
進捗状況
の点検を積み重ねるとともに、少なくとも三年
ごと
に
目標
及び施策について検討を行い、必要に応じて
計画
を見直すということにもなっております。 この二〇三〇年度二六%削減の
目標
は、いずれにしても確実に達成しなければならないということは当然のことでありますが、さらに、二〇五〇年八〇%削減、そしてその先の
世界
全体での脱
炭素社会
の構築に向けて、長期戦略の
策定
をいたしまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
近藤昭一
99
○近藤(昭)
委員
大臣
、ありがとうございます。 そうして積極的に取り組み、それを検証しながらということでありますが、私はそういう意味でも、本
法案
にきちっと、
緩和策
を弱体させることなく、
緩和策
を更に
強化
して
影響
を最小化させる必要がある、こういうことを明示すべきだと考えるわけであります。 また、そういう中で、やはり本
法案
に、
地球温暖化対策
推進法と本
法案
とが車の
両輪
の関係、これも車の
両輪
だと思うんですが、
温暖化対策
法と本
法案
、
両輪
の関係にある旨がなぜ盛り込まれなかったのか。また、今後、
気候変動対策
に対する総合的な
基本法
を制定する考えはおありになるのかということをお伺いしたいと思います。 着実にやっていくんだ、それを検証していくんだということでありますが、だからこそ、そうしたことを本
法案
にきっちりと、今申し上げたことを書き込むべきであるのではないかということであります。
中川雅治
100
○中川国務
大臣
緩和策
の
重要性
につきましては、既に
地球温暖化対策
推進法に明記されております。二〇三〇年度二六%削減の達成に向けて、
地球温暖化対策
推進法に基づき、徹底した省エネルギーや
再生可能エネルギー
の
最大限
の導入等の
対策
を
政府
一丸となってしっかり進めてまいります。さらに、二〇五〇年八〇%削減を目指して、長期戦略の
策定
に取り組んでいく考えでございます。
緩和策
と
適応策
は、どちらか一方を推進することがもう一方を推進することの前提という関係のものではなくて、どちらもそれぞれしっかりと推進すべきものでございます。車の
両輪
というのは、そういう意味だというように理解をいたしております。 こうした観点から申し上げますと、
緩和策
と
適応策
をそれぞれ個別の法制度に基づいてしっかり推進することとする現在の案というようになったというふうに御理解をいただきたいと思います。
適応策
につきましてはこれまで法的位置づけがございませんでしたが、今回の
法案
により、
緩和策
と
適応策
を車の
両輪
として進めるための法的基盤が整うことになります。 このため、総合的な
基本法
案を制定することは現時点では考えておりませんが、
地球温暖化対策
推進法と御審議いただいております本
法案
の二つを礎に、
緩和策
と
適応策
をしっかりと推進してまいります。
近藤昭一
101
○近藤(昭)
委員
そうすると、
大臣
、そうしたことをしっかりやっていくということでありますが、最後に、さっき御質問させていただきました総合的な
基本法
案を、そういう意味でもつくった方がいいのではないかと思うんです。そういう意味で、そこはどうお考えなのか。 あるいは、
パリ協定
、
目標
が達成できるのかどうか。この
委員会
でも、また午前中も指摘があったんですが、残念ながら、
日本
の国内で今、
石炭火力発電所
の
計画
が多い。
環境省
は頑張ってここでいろいろとチェックというか
意見
は発せられておるわけでありますが、そうしたことで本当に、
パリ協定
の
日本
が目指す
目標
、あるいは、最近よく指摘されるのは、海外に、インドネシア等々に
石炭火力発電所
の
計画
に
日本
が融資、そうしたことにかなり
意見
も出ているわけであります。 そうしたことに対してどういうふうに
大臣
はお考えになっておられるのか、改めて聞かせていただきたい。
中川雅治
102
○中川国務
大臣
石炭火力発電所
につきましては、
排出
ガスの、
CO
2の量が天然ガスの発電所に比べて二倍はございます。これは高効率でもそのような
排出
をするということでございまして、経済効率性という観点からのみ
石炭火力発電所
の新増設を進めるということは許されないことだと考えておりまして、特に、二〇五〇年八〇%削減、その先の実質
排出
ゼロという
社会
を考えますと、ここで
石炭火力発電所
を高効率といえどもつくるということは、耐用年数などを考えますと、これはかなり
事業
者にとっても
リスク
のあることだと思います。 そういう意味では、本当にここは慎重にお考えいただきたいということを
環境省
としてはいろいろな
機会
に申し上げているところでございます。 そしてまた、海外に対する
石炭火力
の、高効率、超超臨界といえども、これは今、
世界
の流れを見てまいりますと、そういった
石炭火力発電
に対する融資はもう引き揚げる、あるいは、もう新規の融資はしないという流れがどんどん起こっております。 そういう意味では、我が国もそのような流れをしっかりと認識していただいて、適切に
対応
してもらうことが大事ではないかというように考えております。
近藤昭一
103
○近藤(昭)
委員
大臣
、どうもありがとうございました。 ぜひ、持続可能な
社会
をつくっていく、
環境省
の役割はますます大きくなっていると思います。今、大きな決意をいただきましたので、ますます御奮闘いただきたいと思いますし、一緒に頑張ってまいりたいと思います。 政務官にも質問もしたかったんですが、ちょっと時間がなくなってしまいましたので。 午前中にもありましたように、
第三者機関
というのが重要だなというふうに思っております。 以上です。ありがとうございました。
松島みどり
104
○
松島委員長
次に、山崎誠さん。
山崎誠
105
○山崎
委員
立憲民主党の山崎誠でございます。 私も、自然系と言うんですね、自然系議員の五番バッターということで、
環境委員会
、途中から
参加
をさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。 私も、今二期目なんですが、一期目のときは、実は本当に
環境
が話題になっておりました。民主党政権、政権交代の後、私も
環境委員会
の
委員
だったんですが、合い言葉が経済と
環境
の両立とか、それから、私の言葉で言えば、
環境
の
主流化
のようなお話をずっとさせていただきました。 二〇一〇年の十月には、名古屋市の生物多様性条約第十回締約国
会議
、いわゆる名古屋議定書が締結をされるというようなことで、遺伝資源とか、生物多様性という言葉が非常にメディアの中でも取り上げられて話題になっていたということでございまして、
環境
というのが非常にクローズアップをされて、いい流れができてきたかなと思っていました。 残念ながらというか、あれなんですが、自然災害ですからどうしようもございませんが、二〇一一年の東
日本
大震災、原発事故などもありまして、残念ながら、今、
環境
に対するいろいろな関心とか、あるいは政策の展開とかが若干下火になってしまっているのではないか。 言うまでもありませんけれども、
気候変動
の問題というのは当然もう大問題でございまして、
世界
的に、二〇一五年の
パリ協定
を
機会
にしまして、大きく今クローズアップをされています。 先ほど、
気候ネットワーク
の
桃井参考人
も、これは時代を変える革命的な取組を求めるものだということで、
環境
政策、
環境
を政策の中心に据えるべきだという御主張を最後になさっておりますが、私も全く同感でございます。 そういう今までの思いを込めて、大きな質問で恐縮なんですが、
一つ
、
気候変動
という、この問題についての意義、
気候変動
が
人類
に投げかけているものは何なのかというのを、
大臣
、所感をお伺いしたいと思います。 〔
委員長
退席、関(芳)
委員長
代理着席〕
中川雅治
106
○中川国務
大臣
気候変動
の科学に関する国際的な組織でありますIPCCによれば、地球
温暖化
の進行はもはや疑う余地はなく、人為
活動
が支配的な原因であることは明らかでございます。
産業
革命以降、既に〇・八五度
平均気温
が
上昇
しておりまして、雪氷の融解、海面水位の
上昇
などが観測されております。 また、現状を上回る
温暖化対策
をとらなかった場合、二十一世紀末までに
最大
で四・八度
平均気温
が
上昇
し、多くの生物種の絶滅、
世界
の食料安全保障に対する大きな
リスク
をもたらすなどの不可逆な
影響
が起こると指摘されております。 このように、
気候変動
問題は、その
予測
される
影響
の大きさや深刻さから見て、
人類
の生存基盤にかかわる最も重要な問題の
一つ
と認識いたしております。
山崎誠
107
○山崎
委員
ありがとうございます。
気候変動
の、
人類
基盤を揺るがすという、非常に重要な、大変な
課題
なんだということはわかりました。 私は、ここで
環境省
の皆さんと共有したいのは、この原因なんですよ。この原因が、いろいろな
気候変動
自体については、太陽の
活動
の問題とかいろいろな問題が絡んではいるが、大きな
特徴
は、やはり
人類
の
活動
、
人類
が
排出
している
CO
2のようなもの、
温暖化
効果ガスの
影響
が、地球
環境
という、今までは人間が生きていくということの行為をのみ込んでくれていた地球
環境
が、実はもうのみ込み切れなくなったということだと思うんですよ。 要するに、大事なのは、私
たち
の暮らしや私
たち
のライフスタイル、あるいは
産業
や経済のあり方、そういったものが実は地球
環境
の許容範囲を超えている、いわゆる宇宙船地球号のような考え方ですよね。そこがこの
気候変動
の私は
一つ
大きな要所だと思っています。 中川
大臣
、どうですか。
中川雅治
108
○中川国務
大臣
まさに御指摘のとおりだというように思います。 IPCCの第五次
評価報告書
におきましても、人為起源の
温室効果ガス
の
排出
が、二十世紀半ば以降の観測された
温暖化
の支配的な原因であるということを述べておりまして、この点についてはもう疑う余地はないというふうに考えておりまして、そういう意味では、まさに
人類
がいろいろな形でもたらした
気候変動
というものを、自然界がもう吸収することはできませんので、
人類
がしっかりと人為的にこれをまた解決していかなければならない、そういうときに来ているというふうに考えております。
山崎誠
109
○山崎
委員
なのでということなんですよ。 私は、
環境省
の役割が非常に大きくて、先ほどもお話をしましたが、経済と
環境
、この調和をどうするのかとか、あるいは両立をどうするのか。経産省だとか国交省、この後もちょっとお話を聞きたいんですが、それぞれの役所で今までどおりのある意味経済的な
活動
を、あるいはいろいろな生活基盤、インフラ、そういうものを整えてきた流れはあります。これは、残念ながら今までの、もちろん大事な役割を果たしているんですが、形をなかなか変えようとしないと思います。 その中で、では、このかじ取りを国のかじ取りとして、
環境
の問題が大事なんだ、
環境
をちゃんと配慮して調和しなきゃいけないんだというかじ取りができるのは
環境省
さんしかいない、あるいは
環境省
だと思うんですが、いかがですか。
中川雅治
110
○中川国務
大臣
御指摘のとおりだという、そういう認識に立って
環境省
の職員は、
環境
庁が設立されて以来、そういった意気込みで、
政府
部内のさまざまな施策に
環境
という
視点
を織り込んで施策を進めてもらうことができるように、調整作業や、あるいはいろいろな形で施策を各省庁にお願いをしたり、あるいは時には反対をしたり、そういった形で
政府
部内全体での施策に
環境
配慮を織り込むように
努力
をしてきております。今後ともそのような
努力
を続けてまいりたいと考えております。 〔関(芳)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
山崎誠
111
○山崎
委員
ありがとうございます。 先ほど中川
大臣
から
石炭火力
の話は、私は結構思い切ったことをというか、いい発言をいただいたと思って、今の発言、非常に私も力強く感じております。 では、具体的に少しお話を聞きたいと思います。
緩和策
と
適応策
は車の
両輪
という話は何度も出てきていまして、非常に私は大事だと思います。これがある意味要所だと思うんですね。という
視点
で、では、
気候変動
への
適応策
を見てみたときに、どんなふうにその
適応策
を組み立てていくのかな。この
適応策
を組み立てていくときに、
緩和
という観点も私は踏まえた
計画
を立てるべきと考えるんですが、この質問に書きました、
気候変動
への
適応
を考えるに当たっての基本的な考え方があれば、まずお聞きをしたいと思います。
中川雅治
112
○中川国務
大臣
適応策
につきましては、
気候変動
影響
に関する科学的知見に基づいて、国、地方公共
団体
、
事業
者、国民が連携協力しながら推進していくことが重要でございます。 こうした基本的な考え方のもとで、本
法案
では、
政府
が
気候変動
適応計画
を
策定
し、国、地方公共
団体
、
事業
者、国民が連携協力して
適応策
を推進する旨を規定しております。 また、
国立環境研究所
を中核とした
適応
の
情報
基盤を整備し、精度の高い
気候変動
影響
の
予測
情報
に基づき、実効性の高い
適応策
を展開するための
仕組み
を規定いたしております。 この
法案
のもとで具体的な
気候変動
適応計画
を
策定
し、科学的知見に基づいて、関係者一丸となって
適応策
の充実
強化
を図ってまいります。
山崎誠
113
○山崎
委員
ちょっと一点、短く確認なんですが、これは、平成二十七年十一月の、閣議決定をされた、あの法定化されていない、前の
計画
についても同じですか、その
適応
の考え方。
森下哲
114
○森下
政府参考人
お答え申し上げます。
適応
に関しては、さまざまな関係者がございますけれども、関係者が連携をしてしっかりと効率的に取り組んでいくということが非常に重要でございまして、これは共通をしておるというふうに思っております。 一方で、現在もう既に
策定
をいたしております、これは閣議決定で
策定
をしております
適応計画
につきましては、これは行政
計画
ということでございます。このため、主には関係省庁がこういった取組をしていますということが
内容
になってございますけれども、この
法案
が成立をいたしまして、法定
計画
として
策定
を予定しております新たな
適応計画
につきましては、さまざまな関係者が、国だけではなくて
地方自治体
、
事業
者の
皆様
方、国民の
皆様
方、そういったさまざまな方々が
適応
に取り組んでいく、そういった取組をしっかりこの
計画
の中に書き込んでいくというような考えでございます。
山崎誠
115
○山崎
委員
きょうは、国土交通省の皆さん、それから農林水産省の皆さんに来ていただきました。時間が限られるので手短になんですが、現在持っています
気候変動
の
適応計画
の概要、そして今までの
実施
状況
についてお聞きをしたいと思います。 国土交通省さん、いかがでしょうか。ポイントとして水害
対策
とかを少し、もし具体的にお話しいただけるのであれば。
首藤祐司
116
○首藤
政府参考人
お答えいたします。
気候変動
の
影響
によりまして、自然災害の頻発化、激甚化や
気温上昇
による国民生活への
影響
などが懸念されておりますので、
適応策
を進めることは極めて重要と認識しております。 このため、国土交通省は、平成二十七年十一月に国土交通省
気候変動
適応計画
を
策定
いたしました。この
計画
は、自然災害
分野
それから水資源・水
環境
分野
、さらには国民生活
分野
等における
適応策
を
内容
としております。 この
計画
に基づきまして、幅広い
分野
において、ハード、ソフト両面から総合的な
対策
を講じるとともに、
防災
、
気候変動
に関する知識の普及啓発等を行っているところでございます。 特に水災害
分野
におきましては、比較的発生頻度の高い外力に対しては施設により災害の発生を防止し、施設の能力を上回る外力に対しては、できる限り
被害
を軽減することとしているところでございます。 具体的には、
洪水
氾濫を未然に防ぐ堤防整備や河道掘削等のハード整備を
実施
するとともに、現況施設能力を上回る規模の
洪水
から氾濫
被害
を軽減するため、想定
最大
規模の降雨による浸水想定区域図を
策定
、公表するなどしているところでございます。 引き続き、幅広い
分野
における総合的な
適応策
につきまして、全力を挙げて取り組んでまいります。 以上でございます。
山崎誠
117
○山崎
委員
農水省さんはいかがでしょうか。農水省さんには森林関係で少し。
大角亨
118
○大角
政府参考人
お答え申し上げます。 農林水産
分野
は
気候変動
の
影響
を受けやすい
分野
でございまして、既に我が国でも、高温による米や果実の品質低下、あるいは豪雨による農業
被害
や山地災害など、
気候変動
の
影響
が顕在化しているところでございます。 このため、農林水産省
気候変動
適応計画
を平成二十七年八月に
策定
したところでございます。 本
計画
に基づきまして、高温により米に白濁が起きる等の品質低下につきましては、高温でも品質低下が起きにくい品種や技術の開発、農地の湛水
被害
等の防止のためのハザードマップの
策定
や、排水機場、排水路等の整備等に取り組んでいるところでございます。 特に森林に関しましては、山地災害を防止するため、その危険性の高い地区の的確な
把握
、治山施設の
設置
や機能の低下した森林の整備、高潮等に対する
被害
軽減効果の高い海岸
防災
林の整備や
既存
の海岸
防災
林の機能の維持
強化
、
気温上昇
等により
被害
域の拡大が懸念される松くい虫等の森林病害虫に対します抵抗性品種の開発等に取り組んでいるところでございます。 今後とも、
環境省
を始め関係府省と連携しまして、農林水産
分野
におきます
気候変動
への
適応
をより一層推進してまいりたいと考えております。
山崎誠
119
○山崎
委員
私は、ここで言いたいんですよ。 今お話を聞いて、ちょっと概要しか今御説明いただく時間がないので、詳細はわかりません。私も
計画
を読ませていただきました。印象としては、
気候変動
適応
という観点は一応、一応というか、押さえていらっしゃって、それなりにもちろん重要なことは書いてあるというのは認識をしました。ただ、私が残念だなと思ったのは、要するに、
緩和
と
適応
というこの
両輪
を回すんだという
視点
で、施策がやはり優先順位が上がってこなきゃいけないんじゃないかなと思っているんですよ。 例えば、水害
対策
、水資源の
対策
等であれば、例えば森林の整備というのは、
CO
2吸収源にもなります森林をやはり大事に育てていく、それで、水を、きちっと保水能力のあるいい山をつくるということが水害
対策
にもなるはずですよね。そういう感覚でいくと、例えば国交省にもそういった
視点
で施策が盛り込まれてもいいと思いますし、それが国交省の
計画
にないとしても、全体として、そういう
視点
でそういう施策がどこかにきちっと上がってくるというのが正しいのではないか。 例えば、水田なんかも同じですよね。水の保水の力がある。やはり水田をうまく、休耕田ではなくて、水を張るということで、それは
一つ
の水害防止にもなる。あるいは、都市部の緑化の話とかですね。コンクリートではなくて、緑化をして水をためるところをつくる、あるいは地中に浸透することができるところをつくる。そういった施策が、要するに
緩和
にも
適応
にも役に立つという施策があるはずだ、そういうふうに思うんです。 思いつきだけで、まだほかにもいろいろな施策として、この
緩和
と
適応
。だから、
適応
を考えるときにも
緩和
を意識して、そこに優先的に、優先順位を上げていくという考え方が私はあっていいのではないかと思いますし、それが、せっかく
環境省
が音頭をとってやっていく
気候変動対策
としては重要な
視点
ではないかと思うんです。 今の、残念ながら、皆さんのこういう書類を見ると、それぞれ投げて、自分
たち
の施策を並べて、それぞれが出てきたものを束ねて
事業
を推進していくということだと思うんですが、もっと一歩突っ込んで、私は、
環境省
が、例えば
適応策
、
緩和策
をもっと融合させて、いい施策を出してくれ、それを優先順位を上げて優先的にやっていくんだ、そういう流れがこの
適応策
の検討の中に出てくるべきだと思うんですが、中川
大臣
、いかがですか。
中川雅治
120
○中川国務
大臣
今御指摘のように、例えば森林を整備するということは、吸収源としての役割を更に高めることになりますが、同時に災害を防止していくということにもなる。ですから、
一つ
の施策が、
緩和策
にもなるし、同時に
適応策
にもなる、そういう関係にあるものは多々あると思います。
地球温暖化対策
、地球
温暖化
防止のための
対策
と
適応策
というものはまさに車の
両輪
ということでございまして、それぞれの
計画
に基づいて、それぞれの役所が、全体として
政府
が取りまとめて、個別に
実施
をしていくというものはたくさんあるわけでございますが、そこは常に、そういった車の
両輪
だ、
緩和策
と
適応策
は車の
両輪
だということを念頭に置いてさまざまな政策を
実施
していくということが重要であると理解しております。
山崎誠
121
○山崎
委員
時間なので、まだ言いたいことはたくさんあるんですが、基本的には、私は、
環境省
がホッチキスどめで各省から上がってくるのをとじて、はい、これが
適応策
ですというのではなくて、その中でいろいろな調整を行う。
自治体
だとか民間のいろいろな
活動
も当然あると思います、そういうものをうまく融合して、
適応策
が
緩和策
ともくっついた形で、そういったものに優先順位を置いて、もちろんほかの施策もあると思いますよ。
松島みどり
122
○
松島委員長
質疑
時間が終わっておりますので。
山崎誠
123
○山崎
委員
よくその辺も検討していただければと思います。 終わります。ありがとうございます。
松島みどり
124
○
松島委員長
次に、
玉城デニー
さん。
玉城デニー
125
○玉城
委員
自由党の
玉城デニー
です。
気候変動適応法案
、閣法二七号に関する件で質問をさせていただきます。 午前中も、
小西参考人
、
桃井参考人
から、非常に深い意味での貴重な御
意見
を拝聴させていただきました。その中でも、やはりこの
気候変動
に対する取組は、例えば、遠く離れた
地域
で行われていること、少し先の未来で起こりそうなこと、だから今どうにかしておこうということではなく、今起こっていることに対して既にもう取組がおくれているんだという認識を持って、迅速に、そして
世界
と連携をして進めていかなければいけないということを改めて確認をいたしました。 その点で、きょうは、この
法案
と、それから、
法案
から少しはみ出るかもしれませんが、
大臣
のお考えなども、できればあわせてお聞かせいただければと思います。
気候変動
に関する
政府
間パネル、IPCCの二〇一三年九月から二〇一四年十一月に公表されている第五次
評価報告書
では、この
気候変動
が、
人類
の存続基盤である
環境
に深刻な
影響
を及ぼし、長期間にわたる極めて深刻あるいは取り返しのつかない
影響
をもたらすことがあると指摘しています。 そのため、
気候変動
の
影響
に対処するため、
温室効果ガス
の
排出
の抑制を行う
緩和
だけでなく、既にあらわれている
影響
や中長期的に避けられない
気候変動
の
影響
に対処して
被害
を回避、軽減するための
適応
を求められています。 新興国では、この
適応
について、生命の存続が危ぶまれているという
状況
にあります。ですから、この
適応策
は、本当に、それこそ
世界
を挙げて、
日本
が率先して取り組んでいくためのこの
法案
になるべきであるというふうに私は思料いたします。
パリ協定
の
世界
共通
長期目標
である、
産業
革命以前比二度Cより十分低く保ち、一・五度Cに抑える
努力
、そして、できる限り早く
温室効果ガス
排出量
をピークアウトし、二十一世紀後半には
温室効果ガス
排出量
と森林などによる吸収量のバランスをとる、そういうことが挙げられています。
途上国
を含む新興国を始め、
先進国
、全ての
参加
国に
排出削減
の
努力
を求められることになっています。 さて、
日本
では、中期
目標
として、二〇三〇年度の
温室効果ガス
の
排出
を二〇一三年度水準から二六%削減することが
目標
として定められています。
再生可能エネルギー
の導入をふやすなど低
排出
なエネルギーミックス等の推進、エネルギー効率の追求、徹底した省エネの推進などで実行していくとされていますが、しかし、二〇三〇年まで、
石炭火力発電所
などが五十基の
計画
が進められていること、それから二〇三〇年度で
排出量
の
レベル
ピークに達するということを考えると、非常に我が国の脱炭素化に向けた取組はおくれている、
参考人
の
意見
にもありますとおり、そのように認識せざるを得ないのが現状ではないかと思います。 経産省にお伺いいたします。 我が国における
温室効果ガス
排出
を抑制する
緩和
について、特に
産業界
における脱
炭素社会
に向けてのこれまでの取組
状況
についてお聞かせください。
小澤典明
126
○小澤
政府参考人
お答え申し上げます。
地球温暖化対策
の推進に当たりましては、
委員
御指摘のとおり、
産業界
の取組、極めて重要でございます。 その中で、例えば電力業界、電力業界は非常に二酸化炭素の
排出量
が多いわけでございますが、電力業界は、電気
事業
低
炭素社会
協議会、こういったものを設立いたしまして、二〇三〇年度までに一キロワットアワー当たりの二酸化炭素
排出量
を〇・三七キログラムとする
計画
、いわゆる低
炭素社会
実行
計画
を自主的に取りまとめて、意欲的に取り組んでございます。 あるいは、それ以外の、自動車、鉄鋼、化学、石油、ガス等も同様の
計画
を
策定
して取り組んでございます。 経済
産業
省といたしましては、毎年、審議会におきましてこうした
産業界
の取組に対するレビューを行ってございまして、例えば電気
事業
につきましては、省エネ法によりまして発電効率の向上を、あるいはエネルギー需給高度化法によりまして販売する電力の低炭素化をそれぞれ求めることで取組の実効性を確保するように要請をしているところでございます。 引き続き、経済
産業
省として、
産業界
あるいは
環境省
とも連携をいたしまして、
地球温暖化対策
の取組をしっかりと進めてまいりたいというように考えてございます。
玉城デニー
127
○玉城
委員
大臣
、今の答弁を聞いて、私はすぐ、ではこういう
状況
はどうなっているのかということを見ますと、長期エネルギー需給見通しの、これは
参考人
がきょうお持ちいただいた資料の中の
一つ
なんですが、やはり、
石炭火力
の二〇三〇年度までの
政府
見通しとして、二〇一三年度実績と三〇年度の見通しなんですが、
石炭火力
のエネルギーに対して電力需要が二六%というふうに計上されています。そして、原発が二〇から二二、私が一番必要だと思う、訴えている
再生可能エネルギー
については二二から二四。二〇三〇年度でも、やはりまだピーク
レベル
に達しているという現況を見て、二六%の依存率なんですね。 しかし、これからは、
世界
的には脱
炭素社会
を目指すということが一番の
目標
で、
日本
はその
CO
Pの考え方からもやはりおくれているのではないかという厳しい指摘があるということが
参考人
の
意見
の中にも述べられておりました。
大臣
にお伺いいたします。 二〇一六年当時の丸川元
環境大臣
が、
地球温暖化対策
について、所信表明では、
排出削減
と
適応
を車の
両輪
として取り組むと発言した件に関して、きょうも各
委員
から質問が出ております。 包括的な
気候変動
への
対策
については、私は、車の
両輪
も必要ですが、例えば、各省庁と連携をして同じ方向に進んでいくという四輪駆動方式が重要だと思います。それぞれのタイヤにきちんと力をかけて、一輪たりとも脱輪することなく前に進んでいく。ですから、今回の
法案
は、まさにその車の
両輪
のシャフトとなる
法案
だと思います。 しかし、それもなおかつ包括した上で
気候変動
への
対策
を考えていかなくてはならないと思いますが、この
法案
ではどのような関連性を持って取り組むことになるのか、
大臣
のお考えをお聞かせください。
中川雅治
128
○中川国務
大臣
気候変動
の脅威に
対応
するには、
温室効果ガス
の
排出削減
対策
である
緩和策
と、
気候変動
の
影響
による
被害
の回避、軽減のための
適応策
を車の
両輪
として進める必要がございます。当時の丸川
大臣
もその考えを発言されたものと思います。
パリ協定
あるいはIPCCも、
緩和策
と
適応策
の両者を推進することの
重要性
を強調しております。 このため、
パリ協定
及び
地球温暖化対策
推進法のもとで地球
温暖化
を防止する
緩和策
に全力で取り組むことはもちろん、本
法案
のもとで
気候変動
影響
に対する
適応策
を充実
強化
させてまいります。 この
地球温暖化対策
推進法と今回御審議いただいております本
法案
の二つを礎に、
緩和策
と
適応策
をしっかりと推進してまいりたいと考えております。
玉城デニー
129
○玉城
委員
本
法案
では、
気候
の変動に起因して、生活
環境
の悪化、生物多様性の低下、
社会
、経済、生活等において生ずる
気候変動
影響
と、それから、
気候変動
影響
に
対応
して、
被害
の防止、軽減、
社会
若しくは経済の健全な発展又は自然
環境
の保全を図るものとする
気候変動
適応
について定義されています。
気候変動
への
適応策
として、これまでにも国交省を始めとするさまざまなハード及びソフトのインフラ等の整備が行われてきた経緯を踏まえ、
影響
、そして
緩和
、
適応
に対して、さらなるその需要に応えようとする場合の財政及び適正規模の
対応
策は、主管省庁として
環境省
を中心として
対応
策をとるべきだというふうに思います。 先ほども申し上げましたとおり、やはり
環境
政策は、
世界
とともに取り組んでいくことの一番重い責任を
環境省
が持ち、そして各省庁にその強い意思を持って協力をしてもらうということが肝要だというふうに私は思います。 では、
政府参考人
にお伺いいたしますが、この財政及び適正規模の
対応
策をどのように図ろうとするものか、お答えいただきたいと思います。
森下哲
130
○森下
政府参考人
お答え申し上げます。 平成二十七年に閣議決定されました
気候変動
適応計画
に基づいて、今、各省庁が
適応策
を
実施
してきてございます。事例は、先ほども御
紹介
がありましたが、ハード
対策
として、例えば自然災害の
分野
、それから
防災
施設の整備、あるいはソフト
対策
として、ハザードマップの作成、あるいは私ども
国立環境研究所
でやっていただいております
気候変動適応情報プラットフォーム
の構築、そういったものに取り組んできているということでございます。 今後は、この
法案
に基づきまして、
適応策
を法的に明確に位置づけまして、法定
計画
であります
気候変動
適応計画
のもとで、国、地方公共
団体
、
事業
者、国民の
皆様
方が連携協力を一層
強化
をして、総合的かつ
計画
的に
対応
策を推進していくということが非常に重要だと思ってございます。 その際、最新の科学的知見を踏まえまして
気候変動
影響
の
評価
を行いまして、その結果を踏まえて
気候変動
適応計画
を改善していくということで、定期的にこの
適応策
の充実
強化
を図っていくということが重要だと思っております。 それで、
政府
全体としての
適応
関係の予算の規模というようなことにつきましては、これは、今後さまざまな省庁がそれぞれの施策の中で予算を獲得されて
実施
をしていくということだと思いますし、それから、予算の中でどの程度が
気候変動
の
適応
に貢献をしているのかという部分につきまして、どこで線引きをするのかということが必ずしも明らかでないところもございまして、現時点では
適応
関係予算の全体の規模が明確にはなってございませんけれども、今後も、こういったさまざまな取組をしっかりと、
政府
全体の取組を
把握
いたしまして、
環境省
としても、その
進捗状況
を的確に
把握
、
評価
できるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
玉城デニー
131
○玉城
委員
この
適応
の総合的推進の中で、国、地方公共
団体
、
事業
者、国民が
気候変動
適応
の推進のため担うべき役割を明確化するとあります。そして、今ありましたように、国は、農業や
防災
等の各
分野
の
適応
を推進する
気候変動
適応計画
を
策定
し、その進展
状況
について、
把握
、
評価
手法を開発し、その
評価
をおおむね五年
ごと
に行い、その結果を勘案して
計画
を改定していくというふうになっております。 この
気候変動
適応
を推進していく上で、国、地方公共
団体
の責務、
事業
者、国民への
努力
がこの
法案
でも規定されております。 第三条から五条の規定において、
気候変動
適応
の推進当事者とみなされる国、地方公共
団体
それから民間
事業
者等については、努めるものとすることという規定にしておりますが、これが、ねばならないということではなく、努めるものとすることという規定にしている理由は何でしょうか。
森下哲
132
○森下
政府参考人
お答え申し上げます。 本
法案
第三条から第五条までの規定におきまして、ここで、国、地方公共
団体
及び
事業
者が
気候変動
適応
の推進のために担うべき役割ということを明確にしているところでございます。 国につきましては、
気候変動
等に関する科学的知見の充実を図るとともに、
適応
に関する施策を総合的に
策定
、推進することを義務づけております。 一方、御指摘のように、地方公共
団体
及び
事業
者につきましては、個別の
主体
によりましてそれぞれの知見や責任の程度などに差異があるということから、御指摘のように、現時点におきましては、取り組むべき方向性や期待される役割を、努めるものとして規定されることが適当と考えているということでございます。 また、こうした地方公共
団体
及び
事業
者の取組を促進するために国が講ずる具体的な措置についても、努めるものとして規定してございます。 これらの規定のもとで、新しい法定の
気候変動
適応計画
のもとで、
政府
のみならず、地方公共
団体
、
事業
者、国民の
皆様
方、さまざまな幅広い
主体
の連携協力によりまして、関係者が一丸となって
適応策
を強力に推進していく、そういうふうに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
玉城デニー
133
○玉城
委員
では、最後に質問させてください。 これまで国民の皆さんに対しては、いわゆる
CO
2を削減するということで、さまざまな
緩和
の政策に関する啓発を行ってきておると思います。今回はさらに
適応
です。 これからどういうふうにして、その
緩和
と
適応
の施策に関する国民への周知、これまでどのように行われてきたのか、そして、本
法案
では更にそれをどのように進めていく、取り組んでいくということで
計画
しているのか、最後にお伺いしたいと思います。
森下哲
134
○森下
政府参考人
緩和
と
適応
に関する周知ということについての御質問でございます。 まず、
緩和
につきましては、私ども、クールチョイス、賢い選択、これを旗印とした国民運動を展開しておりまして、
CO
2の
排出削減
を始めとする取組、この周知を図っているところでございます。 一方、
適応
でございますけれども、平成二十八年に
気候変動適応情報プラットフォーム
を立ち上げておりまして、関係省庁の
皆様
方と連携をいたしまして、
気候変動
の
影響
や
適応策
についてのさまざまな
情報
を、例えばインターネット、さまざまなその他の手法を通じて広く発信をしてきております。 さらに、この
法案
におきまして、国が
適応
の
重要性
に関する国民の関心と理解を深めるための措置を講ずる旨の規定を盛り込んでございます。 この
法案
は、
適応
という言葉を国民に知っていただく、認知を広げていく絶好の
機会
であるというふうに考えております。この言葉が十分に浸透いたしまして、国民の
皆様
方の理解のもと、全国各地で
適応策
が進展するようにしっかりと取り組んでいくべく、
適応
情報
プラットフォームのさらなる充実、あるいは広報資料の作成、各地でのセミナーなどを通じまして、国民の
皆様
方の理解を深める取組に汗をかいてまいりたいというふうに考えております。
玉城デニー
135
○玉城
委員
ありがとうございました。 ぜひ、国民が喜んで楽しんでそういう取組に参画していけるよう、鋭意
努力
をお願いして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。ニフェーデービタン。
松島みどり
136
○
松島委員長
次に、西岡秀子さん。
西岡秀子
137
○西岡
委員
国民民主党、長崎一区、西岡秀子でございます。 昨年初当選をいたしまして、きょう
環境委員会
で初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 早速、
気候変動
適応法
について質問をさせていただきます。 午前中、
参考人
より大変貴重なお話をいただきました。現在、地球
温暖化
の
影響
によりまして、我が国においては、今までになかったような大雨、
洪水
などの自然災害が頻発をしておりますし、
気温
の
上昇
、海水温の
上昇
、水位の
上昇
など、農林水産、自然
生態系
、また、自然災害、人、
産業
へ幅広い
分野
で大変大きな
影響
が波及をしてきております。 先ほど
参考人
からも陳述がございました。
リスク
をどう捉えるかということで
適応策
が大変変わってくるというお話がございました。例えば、
気温
の
上昇
を二度にするのか四度にするのかということによって全く
状況
が違ってきて、
適応策
の
内容
も違ってくるということがお話にございました。このお話を聞きまして、改めてこの
適応策
の
重要性
というものを再認識するわけでございますけれども、どこに
目標
を置いていくのかということも一方で大変重要なことであるというふうに考えます。 先ほどから質問の中でもたびたび出てきておりますが、
温室効果ガス
の
排出削減
対策
である
緩和策
と、今回
提出
をされております
気候変動
影響
による
被害
の回避、軽減
対策
である
適応策
というのは、車の
両輪
であると位置づけられております。 まさに、今回の
適応策
に取り組むに当たって、その基本となる
緩和策
についての取組というものが大変重要であると認識をいたしております。
京都議定書
から今日に至るまで、二〇一六年十一月発効の
パリ協定
に至るまでの間に、これまでの我が国の取組の経緯と、今後、二〇一〇年、二〇二〇年、また二〇五〇年といった中期、長期にわたる取組を含めた我が国のこれからのスタンス、また方針、取組について中川
大臣
にお伺いをいたします。
中川雅治
138
○中川国務
大臣
一九九七年に採択されました
京都議定書
は、
温室効果ガス
の
排出削減
に関する法的拘束力を持つ初めての国際枠組みでございまして、地球
温暖化
問題に関する重要な一歩でございました。我が国は、六%削減約束を遵守すべく、
京都議定書
目標達成
計画
を
策定
いたしまして、総合的かつ
計画
的な
地球温暖化対策
を講じ、その結果、この
目標
を達成いたしました。 しかしながら、
京都議定書
では、一部の
先進国
のみにしか
排出削減
義務が課されていなかったことから、
世界
全体で
温室効果ガス
の削減を進めるため、歴史上初めて全ての国が
参加
する、公平かつ実効性のある枠組みでございます
パリ協定
が二〇一五年に採択されたわけでございます。 こうした
パリ協定
のもと、我が国は、二〇三〇年度二六%
削減目標
を掲げ、その着実な達成に向けて、徹底した省エネルギーや
再生可能エネルギー
の
最大限
の導入等、
地球温暖化対策
計画
に基づく取組を進めております。 さらに、二〇五〇年八〇%削減、そしてその先の
世界
全体での脱
炭素社会
の構築に向けて、長期戦略の
策定
に取り組んでまいります。 この長期戦略につきましては、G7伊勢志摩サミットで、
CO
P21の決定でございます二〇二〇年の期限に十分先立って
策定
、
提出
する旨をコミットしたことも踏まえまして、
政府
全体としての検討作業の加速化に向けて調整を進めてまいりたいと考えております。
西岡秀子
139
○西岡
委員
ありがとうございます。 先ほど
小西参考人
からも少しお話がございましたが、この
パリ協定
からアメリカのトランプ大統領が離脱を表明されております。このことについて、我が国として、どのようにその
影響
を受けとめておられるのか、また、今後、このことについて、
大臣
として、見通しも含めまして、その
対応
についてお尋ねをいたします。
中川雅治
140
○中川国務
大臣
昨年六月の米国の
パリ協定
からの脱退方針表明につきましては、私としても大変残念でございましたが、
世界
は既に脱炭素化に向けてかじを切っておりまして、この大きな流れは変わらないと考えております。 米国の脱退表明の直後に開催されました昨年のG20では、米国以外のG20メンバーは、
パリ協定
は後戻りできないものであり、同協定への強いコミットメントを改めて確認いたしました。 また、米国におきましても、州や
企業
などの
レベル
では、
排出削減
に向けた積極的な動きが広がっております。 我が国といたしましては、
気候変動
問題は
世界
全体で取り組むべき
課題
であり、全ての国が大きな関心を持って取組を進めていくことが重要だと考えております。 米国には、昨年十一月の
CO
P23の
機会
などを捉えて、私からも働きかけを行っておりますが、引き続き、
パリ協定
のもとで
気候変動対策
に取り組むことの
必要性
を伝えていきたいと考えております。
西岡秀子
141
○西岡
委員
ありがとうございます。 一方で、
緩和策
についてお尋ねをいたします。 エネルギーの多くを海外からの輸入に頼っております我が国におきましては、
再生可能エネルギー
の導入、拡大というものが、自給エネルギーの安定的な確保の面はもちろんのことでございますが、地球
環境
の面、特に
温暖化
防止のためにも大変重要な
課題
であると考えております。 特に風力発電につきましては、今大きな期待が寄せられております。その風力発電の中でも、特に洋上風力発電、これには大変な将来性が今見出されております。海底に着床式のものと浮体式のものというものが二種類ございますけれども、特にこの浮体型の風力発電というものが、安定的に効率的にエネルギーを確保する上で、大変期待される再生エネルギーとなっております。 私の地元である長崎県の五島列島におきまして、浮体式洋上風力発電が四年間の国内初の実証実験が行われ、そして、その発電
状況
、
環境
への
影響
、安全性の
評価
など、さまざまな実証が
環境省
において行われました。地元
自治体
の
皆様
や住民の
皆様
の大変深い御理解のもと、また、漁業者の皆さんの本当に深い御理解のもとで、大きな成果が得られ、現在既に実証化されております。そして、
地域
においても、自給可能な
再生可能エネルギー
として、地元の方も大変大きな期待を寄せておられます。 現在は、その普及のためには、コストを抑えていくということが大変重要な
視点
でございまして、平成二十八年からは、
環境省
支援のもとで、施工の低炭素化、低コスト化の手法確立のための
事業
というものが
実施
をされていたところでございます。 実は先日、この洋上施工に当たって、従来は大型クレーン船にてこの風力発電施設が
設置
をされておりましたが、今回、いわゆる
世界
初の風力発電
設置
をするための専用の船が完成をいたしまして、五月十二日の日に、五島の福江港で起工式が行われ、その起工式にとかしき副
大臣
が御
出席
をいただきました。 副
大臣
に、今後の取組、洋上浮揚風力発電の
課題
、そして今後のさらなる普及について、また、とかしき副
大臣
が現地に行かれた上での所感、感想も含めまして、ぜひお話を聞かせていただきたいと思います。
とかしきなおみ
142
○とかしき副
大臣
お答えさせていただきます。 先週末、長崎県の五島市沖の浮体式洋上風力発電の現場に出張させていただきまして、専用台船の完成披露式典、これにも
参加
してまいりました。 当日は非常に
状況
がよくて、二メガワットの雄大な風車が、これまで激しい雨、風、台風に耐えて、五島市の住民の皆さんに電力を供給し、地産地消、まさにこれを実現しているという姿を目の当たりにし、我が国の、
日本
の高い
環境
技術力、これを体感してきたところでございます。 先ほど
委員
御指摘のように、洋上風力発電、これは、脱
炭素社会
の実現の中では、我が国は、これから物づくりの中核を狙っていくということでは避けては通れないところであります。 そして、
環境省
といたしましては、特に
日本
は海洋国でございますから、海を使って
再生可能エネルギー
をいかに生んでいくのか、そしてそれを普及させていくこと、これが我が国のある意味責務でもないかな、このように決意を新たにしたところでございます。 この洋上風力を全国的に普及させるには、一番のネックはやはりコストでございます。ということで、このコストを下げるためにということで、先ほど西岡
委員
もお話しいただきましたように、これを大幅に低減を目指すための実証実験ということで、今回、専用台船をつくらせていただいたところであります。 これは、巨大クレーンを使わないで船に載せていくということでコストを抑えていこうということで、風車を船に載せてそのまま沖に持っていって、船をちょっと沈めて、そしてその浮力でもって自分で起き上がって
設置
ができるということで、非常に効率よくコストダウンで、うまくいけば半額ぐらいに抑えられるのではないか、それを目指して頑張っていただきたいなというふうに挨拶でもお話をさせていただきました。 この低コスト化の道筋をつければ、どんどん皆さんが投資をしてくださいますし、風力発電をやるのがふえてくるわけでありますから、これによってまた量産化が見込めて、更に低コスト化が望める。このいい循環を起こしていく起爆剤になっていけばいいなというふうに思っております。 あと、やはり我が国の強みは
防災
、災害にいかに強くしていくのか。これから
気候変動
が
世界
じゅうで起こってまいりますので、そのときに、
再生可能エネルギー
の弱点は、やはり
気候変動
に弱いというところでありますので、
防災
の部分は我が国はやはり強いわけでございますから、この
防災
と
再生可能エネルギー
の技術開発、これをかけ合わせたのを
日本
の技術の強みにしていきたいということと、あともう
一つ
は、
地域
振興の強み、地産地消のエネルギーをこれからいかに生んでいくのか。 こういった
特徴
をつくって、
日本
のすぐれた
環境
技術を
世界
に広めていこう、成功事例をたくさんつくっていこうということで、
環境省
としては全力で取り組んでいこう、このように考えております。
西岡秀子
143
○西岡
委員
ありがとうございます。 五島の方でも、離島でございますので、本当に
地域
の人口が減少している中で大変大きな期待を寄せるところでございますし、我が国にとっても本当に大切な自給エネルギーの再生エネルギーとして今後大きく普及をしていくように、ぜひ今後とも取組をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、
適応策
に戻りまして質問をさせていただきます。
適応策
につきましては、既に
世界
的には
イギリス
、フランス、アメリカなど、国として
適応計画
を
策定
して法的な根拠を与えております。我が国においても、今回法的な位置づけをされることになり、大変大きな一歩であると
評価
をいたしますけれども、従来からの取組の経過も含めまして、この
適応策
の基本的な方針について再度お尋ねをいたします。
森下哲
144
○森下
政府参考人
適応
に関するこれまでの取組の経緯とそれから基本的な方針についての御質問でございます。 まず、経緯でございますけれども、
政府
におきましては、今から五年前、平成二十五年から
中央環境審議会
での
気候変動影響評価
の議論を開始してございまして、平成二十七年に
気候変動影響評価
の
報告
書を取りまとめた上で、
適応計画
を閣議決定いたしてございます。その後、
適応計画
のもとで各省庁が
適応策
を
実施
するとともに、平成二十八年に
適応
の
情報
基盤でございます
気候変動適応情報プラットフォーム
を構築し、さらには平成二十九年に関係省庁連携による
地域
協議会の立ち上げ、さらには
適応計画
のフォローアップというものを行ってきてございます。 このように、
適応策
を展開していく中で、その充実
強化
を図るための法制度化の機運が高まったということを受けまして、本
法案
を国会に
提出
をさせていただいているということでございます。 基本的な方針ということでございますけれども、
適応策
は、
気候変動
影響
に関する科学的知見にしっかりと基づきまして、国、地方公共
団体
、
事業
者、国民の
皆様
が連携協力をしながら推進していくことが非常に重要だというふうに思ってございまして、こうした方針のもと、この
法案
では、
政府
が
気候変動
適応計画
を
策定
いたしまして、先ほど申し上げました、さまざまな関係者が連携協力して
適応策
を推進する旨の規定を
法案
の中に盛り込んでおるということでございます。 それから、
国立環境研究所
を中核としました
適応
の
情報
基盤を整備いたしまして、精度の高い
気候変動
影響
の
予測
情報
に基づきまして実効性の高い
適応策
を展開するという、そのための
仕組み
についても規定をしているというところでございます。
西岡秀子
145
○西岡
委員
ありがとうございます。 今、
気候変動適応情報プラットフォーム
のお話がございました。これは、
地方自治体
、
事業
者、そして国民が
適応策
を検討するための
情報
基盤となるものであり、大変有効なものであると考えております。 既に各省庁間で蓄積されているデータを一元管理するとともに、さらなる調査
研究
によって知見の充実を図られるものと理解をしておりますけれども、その取組のためには、関係各省庁の一層の連携、
情報
の共有化というものが大変重要であると考えておりますが、その連携のあり方、取組についてお尋ねをいたします。
森下哲
146
○森下
政府参考人
御指摘いただいているところは、本当に
適応
の取組を進めるための肝の部分であるというふうに考えてございます。
気候変動
は、農業、自然災害、生物多様性など、さまざまな
分野
に
影響
を及ぼします。これらの
影響
に対処していくためには、
環境
だけではなく、気象、農業、
防災
など、さまざまな
分野
の科学的知見を充実し集約をするということが必要というふうに考えておりまして、このため、この
法案
におきましては、
適応
の
情報
基盤の中核となります
国立環境研究所
が、国交省さん、農水省さんを始めとする関係省庁の所管の
研究
機関との連携に努めるという旨の規定も盛り込んでおるというところでございます。また、地方の
研究
機関と
国立環境研究所
が
気候変動
影響
に関する
情報
を共有して連携していくという旨の規定も盛り込んでございます。 これらの規定のもとで、
国立環境研究所
が中核となりまして、国あるいは地方の
研究
機関との連携協力体制の構築を図りまして、
気候変動適応情報プラットフォーム
に
情報
を集約しまして、さまざまな
気候変動
の
影響
に関する
情報
を提供してまいりたいというふうに考えてございます。
西岡秀子
147
○西岡
委員
ありがとうございます。 今回の
適応法
の大変重要な部分であると思いますけれども、地方公共
団体
に
気候変動
適応計画
の
策定
というものを義務づけをされました。大変、これが大きな
一つ
の今回の法律の柱というふうに私は思っております。 私の地元、長崎県におきましては、昭和五十七年長崎大水害を始めとした、大変風水害の多い
地域
でございます。それに伴って農業
被害
というものも、大変な深刻な
被害
がその風水害
ごと
に起こっております。近年、特に大型台風が多発をし、急激な大雨、それに伴う土砂災害、浸水の
被害
というものが大変深刻化をいたしております。 長崎県におきましては、独自に長崎県
地域
温暖化
適応策
というものをまとめております。今回の法整備がされることによって一層この充実が図られるというふうに期待をいたしております。現在、長崎県独自として取り組むべき
適応策
、百二件を設定いたしております。そして、そのときに、午前中の
参考人質疑
でもございました、
上昇
気温
を二度以下とする
排出量
の低い
シナリオ
と、
最大
、大きな
排出量
の
シナリオ
の二種類を使いまして試算をいたしております。 それぞれの地方公共
団体
の規模や体制によって一律に
策定
が難しいところもあるというふうに思いますけれども、国として、この地方の公共
団体
の
計画
を
策定
するに当たりましての支援のあり方、また、地方においては、大変、その知見がまだまだ充実していない面があるというふうに思いますけれども、この
適応策
充実のための調査
研究
、そして知見の充実のために、国としてどのような支援策をされるのかということをお尋ねいたします。 また、先ほどお話がございましたところとも一部ダブりますけれども、
地域
における
適応策
を推進するに当たりまして、国や
研究
機関、そして大学などの専門的な
人材
というものが、大変この支援が不可欠であるというふうに思っております。
人材
の
地域
への派遣を含めて、また、専門性を持った
人材
の育成というものも大変必要な
課題
であるというふうに思いますけれども、このことに対して、今後の取組について政務官にお尋ねをいたします。
笹川博義
148
○
笹川
大臣
政務官 御質問ありがとうございます。 今
委員
が御指摘のとおり、地方公共
団体
にはそれぞれ
気候変動
適応計画
策定
をお願いしたい、努めていただきたいという規定がございます。 もちろん、今御指摘がございましたとおり、
地域
においてそれぞれ
気候
も違いますし、また、
自治体
のそれぞれの経済
状況
も異なります。特にまた、お話があったとおり、長崎県では農業の
被害
もあったということでありますので、農業そしてまた
防災
ということで、
実施
すべき
適応策
というのは非常に
分野
が多岐にわたっております。そのため、それぞれの地方公共
団体
が
地域
の実情に応じての
適応策
を進めていく、推進をしていくことが肝要でありますので、
地域
ごと
の
気候変動
影響
や
適応策
に関する
情報
を
分野
横断的にきめ細かく収集、提供していく必要があるというふうに考えております。 こうした認識のもとで、
環境省
は、これまで、農林水産省、国土交通省と連携をしながら、
地域
における
気候変動
影響
の将来
予測
に関する調査や、科学的知見に基づく
適応策
の検討を進めることなどにより、いわゆる
地域
適応
コンソーシアム
事業
として地方公共
団体
の取組を支援してまいりました。 引き続きこのような支援を行っていくとともに、広域的な取組も必要でありますので、広域協議会を通じて
地域
の関係者が連携をして行う調査
研究
の推進、さらには、本
法案
に基づく
国立環境研究所
による技術的、また
情報提供
も含めてのサポートを充実させていただきたい。また、
地域
ごと
のきめ細かい
情報
を収集し、提供をしてまいりたいと思っております。 特に、先ほど
委員
からお話ございました長崎県の取組ですとか、このような形の優良事例、それから
情報
を共有していただくということも大事なことだというふうに思っておりますので、引き続いて、また、
環境省
職員、精力的にそれぞれの
地域
に足を運んで、地方公共
団体
の
計画
策定
からしっかりと支援をしてまいりたいという思いでございます。 ありがとうございました。
西岡秀子
149
○西岡
委員
ありがとうございます。 今政務官からもお話がございましたけれども、既に今、
地域
におきまして、六つの
地域
協議会において、
地域
ごと
の特性に沿った調査
研究
課題
について
研究
が進められております。 このそれぞれの調査
項目
につきましては、
地方自治体
からのそれぞれの要望によるものであるというふうに聞いておりますけれども、今、
地域
協議会で進められておりますこの
研究
の体制の
状況
、
進捗状況
、また今後の取組については、この法律が成立をした暁には、より充実していかれるものと考えておりますけれども、この今の体制
状況
、
進捗状況
について、また、その取組の中で何か今後の問題点、
課題
というものがもしありましたら、お聞かせいただきたいと思っております。
森下哲
150
○森下
政府参考人
環境省
では、農林水産省さん、そして国土交通省さんと連携をいたしまして、平成二十九年度からの三カ年の
計画
で、先ほどお話がございました、
地域
適応
コンソーシアム
事業
というものを
実施
しております。 この
事業
ですが、全国を六ブロックに分けまして、国の出先機関ですとか地方公共
団体
、
地域
の
研究
機関等によりまして構成される
地域
協議会を
環境省
が事務局となって立ち上げるとともに、各
地域
のニーズを踏まえまして、農業、水
産業
、自然災害、水
環境
、
生態系
、健康など、さまざまな
分野
を対象としまして、要望形式ということで、御提案をいただいたものを拾い上げるという形で、将来の
気候変動
影響
に関する全三十五
項目
の調査を
実施
しているというようなところでございます。 例えば、九州・沖縄
地域
におきましては、有明海、八代海における漁業への
影響
に関する調査ですとか、将来の降水量の増加等を想定した水害
リスク
評価
などを
実施
しておるというところでございます。 昨年度は、地方公共
団体
の
研究
機関や
地域
の大学等との連携協力体制のもとで、主に
気候変動
影響
の将来
予測
に必要なデータの収集等を行いましたが、今後は、シミュレーションモデルを活用しました将来
予測
計算ですとか、その結果を踏まえた
適応策
の検討を行ってまいりたいと思っております。
プロセス
を通じて、やはりうまく
情報
を共有できるような
仕組み
をしっかり、データフォーマットも含めて、そういったこともしっかりと統一化していかなければいけないといったことも少しわかってきておりまして、こういう
プロセス
を通じまして、法定
計画
に基づく
地域
協議会の
活動
にしっかりとつなげてまいりたいというふうに考えております。
西岡秀子
151
○西岡
委員
ありがとうございます。 次に、
気候変動
適応計画
について
策定
をして
実施
する中で、その
実施
状況
を
評価
し、よりよきものとしていくということは大変基本であると考えております。 その
評価
手法についての検討というものが大変必要であると考えておりますけれども、
計画
の
進捗状況
の管理や指針の検討というものがぜひ必要であり、我が国においてまだこの体制が十分でない面があるというふうに考えますけれども、今後の取組についてお尋ねをいたします。
森下哲
152
○森下
政府参考人
御指摘の点も非常に重要なところだと考えてございます。
気候変動
適応計画
の
進捗
管理におきまして、やはり
適応策
の効果を定量的に
把握
、
評価
をしていくということが非常に重要でございます。そのためには、それぞれの施策が
気候変動
の
影響
による
被害
の回避、軽減にどれだけ貢献したのかなど、しっかりと
把握
、
評価
していくことが大事だというふうに思ってございます。 しかしながら、この
適応策
の効果を
把握
、
評価
する手法につきましては、適切な指標の設定が困難であること、
適応策
の効果を
評価
するには長い期間を要するなど等の
課題
がございまして、これまで、諸外国におきましても、その手法というものが確立をされてはいないということでございます。 このため、
法案
の中で、
政府
は
気候変動
適応
の進展の
状況
を的確に
把握
し及び
評価
する手法を開発するという旨の規定を置かせていただいているところでございまして、この規定に基づきまして、
把握
、
評価
手法の確立に向けて、調査
研究
等をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えてございます。
西岡秀子
153
○西岡
委員
ありがとうございます。 また、先ほどからも議論となっておりますけれども、国民の皆さんに対して、この
気候変動
対応
策というものの
重要性
、それを意識づけをしていく、普及をしていくということも大変重要な
視点
であると私は考えております。 ただ、大変幅広い範囲でございますので、
一つ
取り組みやすい
課題
から、その
分野
の中からの
適応策
というものについて国民の皆さんが知っていただく、そのきっかけづくりというものも私は必要であると考えております。 例えば、国民の皆さんにとって大変身近な
防災
という面からのアプローチというものも私は大変有効であると考えておりますし、農林水産の作物が、いろいろな地球
温暖化
の
影響
で作物にも大変大きな変化が出てきているということ、この食の面からのアプローチというものも、国民の皆さんに今回の
適応策
を理解していただき、認識をしていただく意味で大変有効なものではないかというふうに考えております。 また、学校教育におきましても、
子供たち
、子供のときから、やはりこのような
緩和策
と
適応策
、この両方というものを子供のころから動機づけをして教えていくということが大変私は必要であると思っております。 主権者教育、消費者教育、この教育が、今、
子供たち
、この教育に国として取り組んでおられますけれども、この地球
環境
の問題につきまして、
緩和策
、また今回の
適応策
、これを教育の面からも、私は子供のころから身につけていくということも必要であるというふうに思っておりますけれども、この面について
環境省
としての今後の取組等ございましたら、お聞かせをいただきたいと思っております。 〔
委員長
退席、北川
委員長
代理着席〕
森下哲
154
○森下
政府参考人
お答え申し上げます。
気候変動
による
影響
ですけれども、真夏日、猛暑日の日数の増加ですとか桜の開花日の早まり、大雨の頻度の増加ですとか強い台風の発生数の増加とか、非常に国民一人一人の
皆様
方の生活に密接なかかわり合いがあるということだというふうに考えております。 このため、
気候変動適応情報プラットフォーム
を通じまして、
気候変動
の
影響
や
適応策
についてのさまざまな
情報
をインターネット等を通じて広く発信するとともに、広報資料の作成ですとか各地でのセミナーの開催などによりまして、
適応
について国民の
皆様
方に広く関心を持っていただけるように取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。 学校教育についても御指摘をいただきましたけれども、非常に効率のいい、重要なアプローチだというふうに思っておりまして、教育現場で取り上げていただけるよう、適切な
情報
を提供していくことが重要だというふうに思っております。 このため、昨年でございますけれども、文部科学省さんの御協力をいただきまして、
適応
の
情報
基盤でございます
気候変動適応情報プラットフォーム
に関する
情報
を教育の現場にも周知をさせていただいたところでございます。 この
法案
におきましては、国が
適応
の
重要性
に関する国民の関心と理解を深めるための措置を講ずる旨の規定を盛り込んでございます。本
法案
に基づきまして、教育現場において活用しやすい広報用の資料の充実等によりまして、国民の
皆様
方の理解を深める取組を更に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
西岡秀子
155
○西岡
委員
ありがとうございます。 この
適応策
、大変重要な
法案
であるというふうに思っております。
適応策
につきましての法律が通りましてから、より一層、これを使いまして充実をしていくことが必要であると思っております。 本日はありがとうございます。これにて質問を終わらせていただきます。
北川知克
156
○北川
委員長
代理 次に、田村貴昭さん。
田村貴昭
157
○田村(貴)
委員
日本
共産党の田村貴昭です。 質問に入る前に、せんだってのチッソの社長の発言について質問をさせていただきたいというふうに思います。 五月一日、チッソの後藤社長は、水俣市で開かれた犠牲者慰霊式に参列した後に、記者団に、水俣病特措法の救済は終了したと述べました。 地元の熊本日日新聞によりますと、後藤社長は、チッソが患者補償で生じた多額の債務を抱えることを踏まえ、
企業
間競争に勝っていく上で、手かせ足かせをできるだけ早く取り除くことが必要だと述べたんです。 また、朝日新聞によりますと、水俣病特措法に盛り込まれた
事業
子会社JNC株売却要件の
一つ
である救済終了について、異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっていると述べました。さらに、JNC株の売却について、ぜひやりたいと思っていますと意欲を示したと報じられています。そして後藤社長は、現在も続く訴訟の原告らを念頭に、いろいろ紛争がありますけれども、その広い範囲の救済にもかからなかった人
たち
ですからと述べたのであります。これは私は大問題だというふうに思います。
大臣
、式典に
参加
されて、
出席
されておりました。私もあの場におりました。
大臣
が退席された後、後藤社長が何でこんなに取り囲まれているのかなというふうに私が不思議に思っていたら、こうした発言が連続して行われたということなのであります。 社長の祈りの言葉の中には、補償の完遂という言葉も入っていたんですけれども、その言葉の直後ですよ、この発言が放たれたというのは。私は問題だと思います。 患者
団体
不知火会、水俣病不知火患者会の大石利生会長は、加害者のチッソが、やるべきことはやったと自分で判断するような言い方は絶対に許せません、救済を求める人がまだ存在する中で、加害者としての責任を放棄するものだと抗議をしているところであります。 そこで、お伺いしたいと思いますけれども、水俣病特措法では、市況の好転と救済の終了を条件に、
環境大臣
の承認を得てJNC株を売却できる手続が盛り込まれています。チッソの社長が言うように、この特措法に定めるところの救済の終了という
状況
にあるのでしょうか。
大臣
の認識を伺います。 〔北川
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
中川雅治
158
○中川国務
大臣
JNCの株式譲渡につきましては、水俣病特措法では、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結することとなっております。 しかしながら、多くの方が公健法の認定申請をされていること、訴訟が提起されていることから、救済の終了とは言いがたいと考えております。 したがって、現時点では、JNCの株式譲渡について、
環境大臣
として承認できる
状況
にはないと考えております。
田村貴昭
159
○田村(貴)
委員
それでは
環境省
にお伺いしますけれども、救済の終了というのは、どういう時点で、どういう
状況
をもって終了となるのでしょうか。
梅田珠実
160
○梅田
政府参考人
お答えいたします。 現時点で、救済の終了につきましては、どういう時点で、どういう
状況
をもってそうと言えるかは、予断を持って申し上げることはできませんが、多くの方が公健法の認定申請をされていることや訴訟が提起されていることから、救済の終了とは言いがたいと考えております。
田村貴昭
161
○田村(貴)
委員
どういう
状況
をもって終了となるのかとお伺いしているので、こういう
状況
だということを具体的にちょっと披瀝していただきたかったんですけれども。 私は、やはり、社長の、救済は終了という言葉は、絶対使ってはいけない言葉だ、加害
企業
として、今なおこれだけ患者の方が苦しんで、そして、行政の救済がままならないから司直に委ねる、こういう
状況
にあって、この言葉は絶対に許されないと思うわけであります。 原因
企業
のトップからなぜこのような暴言が出てくるのか。実は、後藤社長は、チッソとJNCの分社化前の二〇一〇年にも問題発言をしているわけなんですね。そのときの発言は、特措法に基づき分社化ができれば、水俣病の桎梏、つまり手かせ足かせの意味ですね、桎梏から解放されると言っているわけですよ。そしてまた同じような発言をしているわけですよね。加害
企業
としての責任をわきまえていないからこの発言が続くのではないですか。
大臣
にまたお伺いしますけれども、
環境省
は、この社長の発言をただす
立場
にあります。そして、チッソのこの責任をやはり
環境省
としてたださなければならないと思います。この社長の、患者や
被害
者の感情を逆なでするような発言に対して、具体的にはどうされるんでしょうか、
大臣
。
中川雅治
162
○中川国務
大臣
チッソの社長の発言が報道されました。また、共産党の先生方からも、私のところにわざわざお越しいただきまして、お話を承ったところでございます。 その後、担当の政策統括官が、チッソ株式会社の役員を
環境省
に呼びまして、報道にあったような発言は、患者の
皆様
、御家族や御遺族の方々の感情を傷つける不用意なものであり、大変遺憾であると申し上げるとともに、
環境省
の考え方、認識をしっかりと伝えたところでございます。 具体的には、水俣病特措法に規定する救済の終了とは言いがたく、そのため、
環境大臣
として株式譲渡の承認をすることができる
状況
にはないこと、それから、国、熊本県等によるこれまでのチッソへの公的支援は、チッソに水俣病の原因
企業
としての責任を全うしていただくためであること、
環境省
として、引き続き、これまでの多くの方々の
努力
や思いの積み重ねに寄り添いつつ、関係地方公共
団体
と密に連携し、責任を持って水俣病問題に取り組む所存であること、以上をお伝えしております。 これを受け、チッソとしては、今後も真摯に補償、救済を継続する旨の意向が示されまして、
環境省
としてはその動向を見守ってまいりたいと考えております。
田村貴昭
163
○田村(貴)
委員
チッソの方の役職者を呼んで、そして
環境省
の
立場
を伝えたと。それはわかりました。 相手は、自社の社長の発言について、会社としてはどういうふうに総括しているのかといったところの発言はなかったんでしょうか。これは
大臣
でもいいですし、
大臣
と一緒にお聞きになった方でもいいんですけれども、いかがですか。
中井徳太郎
164
○中井
政府参考人
お答え申し上げます。 先ほど
大臣
の方から御答弁させていただきましたように、私が、後藤社長の発言の一件がありました後、
大臣
の指示によりまして、チッソの役員を
環境省
に来ていただきまして、先ほど
大臣
が御答弁なさったような趣旨、
環境省
として、今回報道にあったような発言は、患者の
皆様
、御家族、御遺族の方々の感情を傷つける不用意なものであり、大変遺憾であると、まずこのことについてしっかりと
環境省
としての考えを伝えるとともに、具体的に、この特措法での、先ほど
大臣
もお答えいたしましたような責任について、
環境省
の見解を伝えたところでございます。 この役員の方、チッソの会社といたしまして、今後も真摯に補償、救済を継続するという見解でございます。 そういう
状況
の中で、後藤社長という形でも、やはりチッソという会社としての方針を
環境省
としてはいただかなきゃいかぬという趣旨で、この役員にこういう見解をいただいておるという中で、その動向を見守ってまいりたいということでございます。
田村貴昭
165
○田村(貴)
委員
統括官、確認ですけれども、不用意であり遺憾であるというのは、
環境省
の
立場
で言葉としてあるんですか、向こうが言ったんですか。
中井徳太郎
166
○中井
政府参考人
環境省
として、この報道を受けまして、不用意で遺憾であるという
環境省
としての認識を伝えたところでございます。
田村貴昭
167
○田村(貴)
委員
チッソとして真摯に今後も
被害
補償をやっていくというのは、これは当たり前の話なんですよ。 こういう、不用意で、そして
環境省
の方が遺憾であると思うのであったら、社長はやはりわびを入れにゃいかぬですよ、患者、
被害
者に対して。そのことをやはり公表しないといけませんよ、会社としても。そういう指導をしないといけないんですよ、
環境省
は。違いますか。
大臣
、この後藤社長の発言は、公式にやはり撤回する、撤回させなければ、またこの発言続きますよ。桎梏だとか手かせ足かせ、今回、二回目ですよ、また。こういう、不用意で遺憾ともとれる発言がだめだというのであれば、今回はちゃんとけじめをつけて、社長にこの発言を撤回を求めるべきだというふうに思いますけれども、
大臣
、いかがですか。
中川雅治
168
○中川国務
大臣
ただいま私からも、中井政策統括官からも申し上げましたが、我々のチッソに対する発言を受けて、チッソの役員として、会社をその場で代表して、今後も真摯に補償を継続するという意向を示されたわけでございます。 それから、さらに、チッソは、決算発表の役員会見におきまして、株式売却については
環境大臣
の意向で決まるものであり、コメントを差し控える、こういう回答を行っております。 チッソに対しましては、今後とも、
環境省
の考え方や地方公共
団体
の意向等をしっかりと伝えてまいりたいと考えております。
田村貴昭
169
○田村(貴)
委員
やはり、
大臣
、社長に
大臣
から一言言わなければ、私はけじめはつかないというふうに思いますよ。 社長は、いろいろ紛争がありますけれども、その広い範囲の救済にもかからなかった人
たち
ですからと。特措法にもかからなかった人
たち
はもう私
たち
は面倒見ませんと言っているのと一緒やないですか。 今もやはり裁判をやっている人がいるわけですよ。そして、裁判で水俣病患者と認められた、あるいは公健法の患者として認められた人には、これは救済しないといけない、
被害
補償しないといけないんですよ。そういうスキームがあるにもかかわらずこういう発言をするというのは、やはりたださなければいけない。それは、
環境省
として
対応
をとっていただきたいというふうに思います。 そして、ノーモア・ミナマタ第一次訴訟の和解条項に基づいて、全ての
被害
者を救済するまでチッソの幕引きを許すべきではない、このことを強く求めたいと思います。 それでは、
法案
の審査に移ります。
気候変動適応法案
について質問します。 まず最初に、確認をしておきたいんですけれども、るるきょうは議論がありました。そして、午前中は
参考人
のお二方からも大変貴重な
意見
の陳述がありました。
気候変動
適応
化というのは、何といっても
緩和策
の
実施
が前提にならなければなりません。
最大限
の
緩和策
の実行が
大前提
であること、私はそう思いますけれども、
大臣
、いかがでしょうか。
最大限
の
緩和策
を実行することが
適応策
の軽減につながっていく。車の
両輪
という話もあったんですけれども、
緩和
なくして
適応
はないわけなんですけれども、基本的な認識を
大臣
にお伺いしたいと思います。
中川雅治
170
○中川国務
大臣
御指摘のとおり、まずはしっかりと
緩和策
をとっていく、これはもう、
世界
が連携をして
パリ協定
の
目標
を達成していくということが何よりも重要なことだと考えております。 一方で、現実に
気候変動
の
影響
がさまざまな形であらわれておりまして、また、更に深刻化するという
状況
でございますので、
緩和策
と
適応策
は車の
両輪
と申し上げております。 と申しますのは、どちらか一方を推進することがもう一方を推進することの前提という考え方ではなくて、どちらもそれぞれしっかりと推進すべきものだというのが、この車の
両輪
という考え方でございます。 もちろん、
緩和策
をしっかりとっていくということが重要であるということは当然の前提の上で、
緩和策
も
適応策
もどちらもそれぞれしっかり推進をしていく、こういう観点から、それぞれの法律をつくって、二つの礎をつくって、そのもとに
緩和策
と
適応策
をしっかりと推進してまいりたいと考えているところでございます。
田村貴昭
171
○田村(貴)
委員
基本的にはしっかりと
緩和策
をとるといったところに基づくならば、やはり
温室効果ガス
の
削減目標
というところに行き着くわけなんです。ここをやはり手直ししないと私はいけないと思います。 二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%削減、先ほどから答弁あっていますけれども、これを国際的な基準である一九九〇年比に直しますと、わずか一八%の削減にしかならないわけなんですよね。長期的な基準である二〇五〇年までに八〇%の
温室効果ガス
の
排出削減
を目指すとするのであれば、
政府
の二〇三〇年
削減目標
のスピードは、到底達成できないわけなんです。ですから、何としても今の
目標
値を変えなければいけません。 長期的
目標
である二〇五〇年までに八〇%削減というのならば、二〇三〇年までに
日本
が野心的に
温室効果ガス
を一九九〇年比で少なくとも四〇%から五〇%削減を目指すことが今求められると思いますけれども、
環境省
、いかがですか。
森下哲
172
○森下
政府参考人
お答え申し上げます。
パリ協定
のもとで、我が国におきましては、平成二十八年の五月に閣議決定をいたしました
地球温暖化対策
計画
に基づく取組を着実に
実施
し、まず、二〇三〇年度二六%
削減目標
を達成することが非常に重要だというふうに考えております。必ず達成をしないといけないというふうに考えております。 また、同
計画
は、少なくとも三年
ごと
に
目標
及び施策について検討を行い、必要に応じて
計画
を見直すということといたしてございます。 さらに、御指摘のありました我が国の長期的
目標
としまして、二〇五〇年までに八〇%の
排出削減
を目指すということでございますけれども、このような大幅な
排出削減
には、従来の延長の取組では実現が困難でございます。 このため、本年三月に、
環境省
から、長期大幅削減に向けた基本的考え方というものをお示しをさせていただいております。その中で、
一つ
は、技術のイノベーションはもとより、技術を普及させる経済
社会
システムのイノベーション、そしてもう
一つ
、施策を今から講じ、二〇四〇年ころまでに大幅削減の基礎を確立することが重要であるといったような、長期大幅削減の鍵となるメッセージをまとめているというところでございます。 この長期大幅削減に向けた基本的考え方は、これから
政府
全体で検討をいたします長期戦略の議論の土台の
一つ
として生かしてまいりたいというふうに考えてございます。
田村貴昭
173
○田村(貴)
委員
長い流れの中で、悠長なことを言っている時代ではないかなというふうに思うわけなんです。 ヨーロッパ、EU諸国は、一九九〇年比で少なくとも三〇、四〇%、四〇%削減すると言っているんですから、できない数値ではないというふうに思います。
国際社会
の中でリーダーシップを発揮していく、
日本
政府
、いつも言っているじゃないですか。だったら、せっかくこの
適応策
を出していくというのであれば、
両輪
というのであれば、
緩和策
もこの
機会
に思い切って進めていくという提案があってこそ、私は車は回っていくものだというふうに思います。 この
温室効果ガス
の基準を大幅に引き上げていくということを、野心的な
目標
を持つことを強く要求したいというふうに思います。 その
温室効果ガス
の削減についてなんですけれども、
石炭火力発電
についてお伺いをいたします。
世界
が
石炭火力
から撤退の道を歩んでいる中で、
日本
ではこの流れに逆行するかのような新
増設計画
を容認している。きょう、
気候ネットワーク
の
桃井参考人
がいみじくも真逆という言葉を使われましたけれども、
大臣
、聞かれておられたでしょうか。そういうふうにおっしゃったわけです。私も本当にそうだというふうに思います。 不十分な
削減目標
の達成も危ぶまれているのに、まして、
石炭火力
を
世界
がやめようというのに、五十基も新増設、今から認めていくというのは真逆ですよ。何度もこの
委員会
で私は主張しますけれども、きょうは、やはり見直すというふうに言っていただきたい。せっかくの
適応策
の審議ですので。
気候ネットワーク
によれば、
日本
の
温室効果ガス
の
排出量
のうち、一番大きな比重を占めているのは発電で三三%と。けさも私はお伺いしました。この巨大な
排出
所である火力発電の転換を図ることが、今、
最大
の
適応
ではないかと思いますけれども、
環境省
、いかがでしょうか。
森下哲
174
○森下
政府参考人
電力部門は、我が国のエネルギー起源
CO
2の
排出量
の約四割を占めておりまして、この電力部門の低炭素化が
課題
となっているということでございます。 特に、
石炭火力発電
は、ほかの火力発電と比べましても
CO
2の
排出量
が多いことから、英国、カナダが主導する脱
石炭
連合の発足や、
石炭
関連資産からの投資を引き揚げますいわゆるダイベストメントなど、
石炭火力発電
及びそれからの
CO
2
排出
を抑制する動きがあるということでございます。 我が国におきましては、二〇三〇年度の
削減目標
及びエネルギーミックスとも整合いたします
排出
係数〇・三七キログラム
CO
2、これは一キロワットアワー当たりという、この
目標
の達成に向けまして、
電気事業分野
における
対策
の
進捗状況
のレビュー等の取組を行っているというところでございます。 さらには、
パリ協定
の
目標
といたします
世界
全体での脱
炭素社会
の構築に向けまして、我が国は、二〇五〇年までに八〇%の
排出削減
を目指すということにしてございます。 これを踏まえまして、本年三月に
環境省
からお示しをしました長期大幅削減に向けた基本的考え方においては、九割以上の電源を低炭素化するということが重要としておりまして、
環境省
として、その実現に向けて尽力してまいりたいと考えております。 特に
石炭
については、厳しいスタンスで臨みたいというふうに考えてございます。
田村貴昭
175
○田村(貴)
委員
厳しく、もう新増設認めないと。どうなんですか、新増設認めませんと。今から聞いていきますけれども。 三月六日の
大臣
所信
質疑
で、私は中国電力の三隅発電所のことを尋ねました。きょうは、神戸製鉄所火力発電所について尋ねるわけであります。
環境省
は、三月二十三日、神戸製鉄所火力発電所
設置
計画
環境
影響評価
準備書に対する
環境大臣
意見
を
提出
しました。今回もまた同様なんですけれども、具体的な道筋が明確にできなければ、
事業
計画
の撤回を含めてというわけです。その一方で、本
事業
が稼働する場合には、所有する低効率の火力発電所の休廃止、稼働抑制、LNG火力発電所の設備更新など、
目標達成
に向けた具体的な道筋が不可欠としているという
意見
であります。
大臣
、やはり、休廃止や稼働抑制、LNG火力発電所の設備更新を行えば、換言すれば、これは容認する、認めるということでないですか。認めるんですか、いかがですか。
中川雅治
176
○中川国務
大臣
今のアセスでの
環境大臣
意見
の記述は、「二〇三〇年度のベンチマーク指標の
目標
との関係では、」「具体的な道筋が示されないまま容認されるべきものではなく、
目標達成
に向けた具体的な
方策
や行程の確立及び
CO
2
排出削減
に向けた不断の
努力
が必要不可欠である。」と申し上げているわけでございますけれども、その前段で、「本
事業
者においては、
石炭火力発電
に係る
環境
保全面からの
事業
リスク
が極めて高いことを改めて自覚し、二〇三〇年度及びそれ以降に向けた本
事業
に係る
CO
2
排出削減
の取組への
対応
の道筋が描けない場合には
事業
実施
を再検討することを含め、
事業
の
実施
についてあらゆる選択肢を勘案して検討することが重要である。」と述べております。 この再検討というのは、もう一度一から考え直すということでございまして、あらゆる選択肢の中には
事業
計画
の中止や撤退も含まれるということでございます。
田村貴昭
177
○田村(貴)
委員
三隅の発電所に続いて、やはり
大臣
、ここは曖昧にしてはいけないと思います。そういう曖昧さが新増設を認めていくことになるわけですよ。
世界
から批判を浴びることになっていくわけです。
大臣
は十分御承知だと思うんです。ここはやはり、もうやめないといけません。 この神戸製鉄所火力発電所ですけれども、どういうところなのか。
計画
地は、一九七〇年代から工場周辺道路の大気汚染公害が長年にわたり対象
地域
とされ、多くの公害患者が現存する
地域
にあるんですよ。ここで
CO
2をふやしていくんですか。
大臣
意見
にもありましたように、今度の指摘の中では、「現状においても大気の汚染に係る
環境
基準の一部を達成していない地点が存在するなど、大気
環境
の改善が必要な
地域
である。」と。ここで
石炭火力
、また認めるんですか。 さらに、
事業
所は、神戸製鋼所ですよ。昨年十月に、製品検査のデータ改ざんが問題として発覚した。
社会
的に信頼があるのかないのか、こういう指摘が上がっている
企業
であります。 大気汚染
地域
で
環境
悪化に拍車をかけるかのような新増設を
環境省
は認めるのですか。いろいろいろいろ条件を言われて、厳しい目を向けていくと言うけれども、結局、増設、稼働に道を開いているだけじゃないですか。そこはやはり道を断たないと、この問題は解決できませんよ。 私は、やはり
事業
者としての適格性さえ疑わしいし、こういう
地域
でこういうものを認めるべきではない、明らかに是認すべきでない案件だと思いますけれども、いま一度、
大臣
、いかがですか。
中川雅治
178
○中川国務
大臣
神戸製鋼所に対しましては、大気汚染防止法に基づく
排出
基準の遵守は当然のこと、より一層の大気
環境
の改善に向け、
環境大臣
意見
の中で、兵庫県や神戸市からの
意見
も踏まえ、神戸市との
環境
保全協定を積極的に見直すことを求めるとともに、大気汚染物質の
排出量
を
最大限
抑える不断の姿勢と
努力
が必要である旨、述べております。 また、
事業
者としての
社会
的信頼の回復に取り組む必要があり、
地域
住民等の理解、納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行うことも求めております。 しかし、こうしたことがしっかりと実現できない、道筋が描けない場合には再検討というふうに申し上げておりますが、再検討というのは、先ほども申し上げましたが、もう一度一から考え直すということでございまして、あらゆる選択肢の中には
事業
計画
の中止や撤退も含まれるというふうに考えております。
環境省
としては、神戸製鋼所の今後の
計画
的な取組等について継続的にフォローしてまいります。
田村貴昭
179
○田村(貴)
委員
是認すべきでないことを重ねて主張したいというふうに思います。 午前中、
WWF
の
小西参考人
が、
気候変動
、
異常気象
についてこういうことをおっしゃったんですね。今は異常としか見えないような事象でも、それが将来的に当たり前、なれてしまうことがやはり怖いんだと。 私は、経済
社会
現象で、今そういう
石炭火力
があることが当たり前となっているかに見えるんだけれども、
気候変動
と地球
温暖化
の中で見ると、
CO
2をいっぱい出すようなこの電力方式が現存していること自体がやはり異常であるんだと。この異常をなくさなければならないというわけです。当たり前と思っていることが、やはり全
世界
から見たら、地球
環境
から見たら異常であるということをいま一度認識していただきたいというふうに思います。 神戸製鉄所火力発電所の運転については是認すべきでないということを申し上げたいと思います。 時間が参りましたので、そのほかいろいろ質問を用意していましたけれども、次回に譲りたいと思います。 最後に、
大臣
、きょう、水俣病の、後藤社長の暴言について伺いました。
大臣
からちょっとなかなか私としては納得いく答弁は得られていないんですけれども、
環境省
も含めて、折を見てやはりチッソに対して、社長の発言に対しては、患者と
市民
に釈明をすべきではないかと。やはり間違った発言なんです、救済は終わったという間違った発言なんだから、患者とそれから
被害
者の方に対してはちゃんと釈明をし、陳謝するところはするべきだ、そういうことをやはり
環境省
としては言わなければいけないかなと思うんですけれども、それについてはいかがですか。チッソに対してちゃんと物を言わなければいけないと思いますけれども、どうですか。
大臣
でも。
中川雅治
180
○中川国務
大臣
チッソに対しましては、
環境省
の考え方をこれからもしっかりと伝えてまいりたいと思います。
田村貴昭
181
○田村(貴)
委員
次回にまた質問します。 きょうは終わります。ありがとうございました。
松島みどり
182
○
松島委員長
次回は、来る十八日金曜日午前九時二十分
理事
会、午前九時三十分
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十四分散会