○柿沢
委員 一般的な住宅では、夏場の冷房の涼しさの七割が窓から逃げていきます。冬場の暖房の暖かさの七割がやはり窓から逃げていきます。ですから、窓は重要なんです。
先ほどドイツのパッシブハウス基準との比較を紹介しましたけれども、窓などの断熱性能が低いと、それだけ朝昼晩の室内の気温差は大きくなってしまいますし、一定の温度に保とうとすれば、冷暖房をがんがん回さなければいけなくなる。だから、
日本の住宅とドイツの住宅で、六倍も冷暖房
効率が劣るということになっているわけです。
それどころか、断熱性と気密性を軽視してきた結果、
日本の住宅の朝起きたときの室温は、六度とか七度とか、べらぼうに諸外国と比べて寒くなっているわけです。
ちなみに、ウェザーニューズ社が調べているんですけれども、冬場の朝起きたときの室温が最も寒いところはどこだか御存じですか。これは北海道とか東北じゃないんですよ。一位は長野県です。しかし、二位は大分県、三位は宮崎県、四位は佐賀県なんですよ。断熱性能が低くてそれでいいとされている
地域区分の九州が、朝の室温の低さでは上位にランキングされているんです。
ちなみに言っておきますけれども、私は別にドイツ信奉者ではありませんけれども、ドイツでは、室内温度が十八度以下ということになった物件は、そもそも賃貸住宅として貸し出すことができません。つまり、人間の生活の質にかかわるということになっているわけです。
この
状況、
日本の
状況を象徴的に示しているのが、ヒートショックによる死者の問題だと思うんです。
夜の入浴時、暖めた居間から冷えた脱衣所に入って、裸になって、そしてお風呂場に入って熱い湯に入るわけです。この、暖かいところから寒いところ、そして熱いお湯ということで、
日本は、入浴時、脳卒中などを起こしてそのまま亡くなってしまう方が
世界で突出して多い国になっています。
ちなみに、厚生労働省の
調査によると、入浴中の
事故死の数は年間一万九千人、こういうことになっていて、交通
事故の死者数が四千人ですから、その四倍以上がお風呂で亡くなっているということになるわけです。住宅の断熱性能の低さによって、命の危険がもたらされているわけなんですね。
熱が逃げると、もちろん結露も発生します。家は朽ちるし、カビは生えるし、住み心地は悪い。ぜんそくの
もとにもなると言われている。結露に悩まされている方も大変多いわけです。
長々
お話ししてきましたけれども、この問題を解決するのが、アルミサッシから断熱性能のはるかに高い木製サッシや樹脂サッシに転換することなんですよ。先ほど申し上げたとおり、木製サッシ、木はアルミと熱伝導率が千二百倍違います。樹脂とアルミで千倍違います。それだけ、熱を逃がさずに
エネルギー効率が高くなるわけです。
アルミサッシから同程度の複層ガラスの樹脂サッシや木製サッシにかえると、ガラスは同じでも、かえるだけで、それだけで電気の消費量が二割減らせる、こういう計算もあるんですね。
とりわけ木製サッシは、〇・二%しかシェアはないですけれども、自然の木材を材料に使うので、電気の塊のようなアルミや、あるいは樹脂だって石油製品みたいなものですよね、石油製品そのものです、製造段階での消費
エネルギーも格段に少なくて済むわけです。
ちなみに、製造段階で消費される
エネルギーは、アルミサッシと木製サッシで百五十倍違うということであります。大体、消費
エネルギー量でいうと、プリウスを一台充電するのを四百回分ぐらい違うということで、それだけ
電力を製造段階でも
削減できることになるわけです。しかも、材料となる木材は、リサイクルも可能な、山から生み出される国産の資源ということになるわけです。
二枚目の資料なんですが、これは新聞記事ですけれども、木製サッシで
日本の窓を変えようということで、青森県十和田市に昨年五月に操業を開始した、その名も株式会社
日本の窓、こういう会社があります。
その木製サッシの工場を私は見てきました。
もともとは世田谷を
中心にデザイン性の高い注文住宅を手がける工務店の東京組という会社の中野渡利八郎会長が、みずからの出身地にオープンをさせたものであります。
青森県産の杉でつくられた美しい木造建築の工場なんですけれども、ここで、
地元で採用された二十四人の若者が今働いております。イタリアから最新鋭の木工機械を入れて、窓枠に液体ガラスを塗布する。ロボットでやっているんですけれどもね、見事なものでしたけれども。これは、
地元の杉の間伐材を使った国産の木製サッシの工場大量生産に、今、取り組んでいます。
当面は、一日六十窓、年間一万五千窓、これは大体千棟分になるそうですけれども、この生産量を目指して、工場稼働から半年余りで、既に一日当たり五十窓の生産体制に達したということであります。
ちなみに、これまで既存の木製サッシメーカーの年間生産量が二万窓、年間ということですから、この一万五千窓の生産体制というのは、単体の工場としては画期的な大量生産体制ということが言えると思います。
これまで、木製サッシというと、高級注文建築で主に使用されて、何かヨーロッパ風のおしゃれな、高価なぜいたく品、こういうふうにみなされてきました。アルミサッシと比べても二倍、樹脂サッシと比べても一・五倍、こういう価格差があったのも事実です。それだけに
利用も広がらず、また、アルミサッシと比べて、あってなきがごとしの〇・二%のシェアにとどまってきたわけです。
しかし、この工場では、
地元の
地域材の杉の間伐材を使って、しかも大量生産が可能となって、これまでとは違って、中小工務店向けには大体、樹脂サッシと引けをとらない価格で卸せるようになったというんですね。
日本の豊富な木材を活用し、生産ラインを整えれば、アルミサッシ並みの
コストで
実現できるということを中野渡会長は語っておられます。
評判を聞きつけて、東京から新幹線で三時間以上かかる青森県十和田市の工場に、わずか一年足らずの間に、青森県知事や林野庁の高官を始め千三百人もの人たちが見に来ているそうであります。
ちなみに、もっといいこともあるんですよ。本場のイタリアやドイツでも、木製サッシのメーカーというのは比較的やはり小規模な工場が森林の裾野に点在をする、こういうものになっています。つまり、それだけ森林・林業
地域の経済振興や雇用創出に資するということになるわけです。
現に、
日本の窓の工場でも、
地元で採用された若者が働いていて、みんな、アパレル、肉屋、大工、精密機械、業界の外から、この工場には夢があるといって飛び込んできた若者たちですよ。こういう形で、まさに
地域活性化にも資する、森林・林業
地域の産業振興にも資する、これが木製サッシなんですよ。
この木製サッシ、〇・二%ですよ。一%にするだけでシェア五倍になるんですから。これ、私は普及拡大をやはり強力に
推進するべきだと思います。
環境大臣、ぜひ御感想を聞かせてください。