○小熊
委員 国民民主党・無所属クラブの小熊
慎司です。
私は、会派を代表して、
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な
協定、いわゆる
TPP11の反対討論を行います。
まず最初に、今回、
TPP11の
審議時間は全く十分ではありませんでした。議論の進め方も、
国会をまるで軽視する最たるものでありました。まだまだ
審議をかけなければならない一方で与党
議員の
質疑が時間足らずで終わることにも、真摯な対応と言えないというふうに厳重に抗議をしたいというふうに思います。
また、条約と関連法案は不可分のものにもかかわらず、本
会議や
委員会もばらばらで討論を行い、関連
委員会との連合審査の
機会も全く与えられないまま、たった数時間の議論を行っただけで
質疑終局、採決となります。
これまでの
各国との
交渉の経緯、
日本の
経済への影響など全くまともに情報も開示せず、議論を深めようにも深められない五里霧中の中での
質疑をせざるを得ませんでした。これだけの議論では、
TPP11がいかに
日本の国益にかなうのか不明であり、
政府の説明責任の放棄に厳重に抗議します。
わずかな議論でも明白になったのは、
TPP11は、
TPP12よりも更に
日本にとって得るものは少ないばかりか、
TPP12の総
GDPの六割を占めている
アメリカが抜けたにもかかわらず、
TPP11の
締結を急ぐ余りに、例えば
TPPワイドの乳製品の
関税割当て枠など調整することなく不透明なままに放置されており、将来のさらなる
農業分野のダメージにつながるおそれは払拭ができませんでした。
一方で、
日本が攻めていく分野である自動車の
関税については、相も変わらず十五年後に初めて税率が下がり始めるという、不平等とも言える
協定です。今回は、
アメリカが抜けてしまい、その恩恵はほとんど期待はできません。
そもそも、
TPPを
安倍総理は成長戦略のかなめと豪語し、二〇一六年十一月には、
総理本人が、
TPPは
米国抜きでは
意味がない、再
交渉が不可能であるのと同様、根本的な利権のバランスが崩れてしまうと言ったのは
総理本人です。こういった点についても全くの説明がなかったことが残念でなりません。
この
審議を通して、乏しい
政府の情報をもってしても、守るものをどうやって守ったのか、攻めたものをどうやって攻めたのか、そういった傾向は
TPP12から
TPP11になって更にわからなくなったとしか思えません。
政府は、今回の
TPP11が
日本の国益にかなうものであるという説明ができていませんし、そもそも二〇一二年の選挙のときに与党の
皆さんが何を訴えてきたのか、そのことについて国民に真摯に向き合ってこなかった、そのツケが更に大きくなったと言わざるを得ません。
まだ不透明な中の
TPP11、この国益がどうなっていくのか、この不透明な中での採決にも強く抗議したいというふうに思います。
つきましては、現段階でのこの採決について、また内容についても無責任であるということを申し上げ、そして
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な
協定に対しての反対討論を終わります。(拍手)