○
内閣総理大臣(
安倍晋三君) 難波奨二議員にお答えをいたします。
国会における
審議について
お尋ねがありました。
臨時
国会については、本年六月二十二日の臨時
国会召集の要求を踏まえ、同年九月二十八日に召集しました。これは、
予算編成に向けた概算要求作業、
北朝鮮情勢が緊迫する中での
外交日程など、内閣として諸般の事情を勘案した上で適切に行ったものです。また、
国会の会期については
国会においてお決めいただくものと承知しております。
政府としては、森友学園への国有地売却や加計学園による獣医学部の新設を始め、閉会中審査を含め、
国会の
審議においてできる限り丁寧に説明する
努力を積み重ねてきており、今
国会においても引き続き丁寧な説明を行ってきております。
また、
決算については、例年と同様に早期提出に
対応できるよう準備を進め、十一月二十一日に
国会に提出し、本日御
審議をいただくこととなりました。
決算審議は極めて重要なものであると認識しており、
決算軽視、疑惑隠しとの
指摘は全く当たりません。
政府としては、引き続き、
参議院の
決算審議の充実に最大限協力してまいります。
財政健全化の重要性について
お尋ねがありました。
日本の財政は厳しい
状況にあることは十分認識しており、社会保障
制度を次世代に引き渡すとともに、国に対する信任を
確保するため、
財政健全化を着実に進める必要があります。
一方で、急速に進む少子
高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、
人づくり革命を断行しなければなりません。
大きな改革には大きな財源が必要になります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなるおそれがあります。このため、今回、
国民の信を問い、理解を得た上で、消費税の使い道を見直すこととしました。
幼児教育無償化や、真に必要な子供たちに限った高等教育無償化など、人への投資を拡充するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することで
財政健全化も確実に実現してまいります。これにより、
プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇
年度の
プライマリーバランスの黒字化は困難となります。ただし、
財政健全化の旗は決して下ろさず、
プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。
財政健全化と
予算編成について
お尋ねがありました。
まず、
政府は
予算を反映した
国民経済計算ベースの
プライマリーバランスの黒字化を目指すこととしていることを申し上げておきます。
その上で、難波議員より
財政健全化の取組について御
提案がございましたが、
政府としては、
プライマリーバランス黒字化目標の達成に向け、これまでの
経済・財政一体改革の取組を精査した上で、目標達成時期、そしてその裏付けとなる具体的かつ実効性のある
計画をお示ししてまいります。
また、議員より
予算編成の
在り方についても御
提案がございましたが、一般論として、
補正予算は、義務的な経費の不足を補うほか、当初
予算の編成後に生じた緊急性の高い経費の支出などを行うためのものであり、今般の
補正予算においても、
災害対応を始めとする追加的財政需要に適切に対処することとしております。
デフレ脱却について
お尋ねがありました。
政権交代後、アベノミクス三本の矢により、
デフレではないという
状況をつくり出すことができたと認識しています。
お尋ねの指標については、消費者物価の基調は、二〇一三年後半に前年比プラスに転じた後、横ばいで推移し、GDP
デフレーターは、二〇一四年以降、前年比プラス傾向で推移しています。また、GDPギャップは
長期にわたる景気回復によりプラスに転じ、単位労働コストは、賃上げの
状況を反映し、前年比プラス傾向が続いています。加えて、雇用・
所得環境の
改善が続く中で、企業収益は過去
最高を
更新し、人手不足感は四半世紀
ぶりの高水準となるなど、
デフレ脱却に向けた局面変化が見られます。
物価の動向については、
日本銀行が十月に公表した展望レポートにおいて、現在、企業の賃金、価格スタンスが慎重なものにとどまっていることなどを背景に、消費者物価が弱めの動きとなっているものの、マクロ的な需要ギャップが着実に
改善していくこと等から、二%の物価安定目標に向けたモメンタムは維持されている旨示されております。
政府としては、引き続き
日本銀行が、
経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて
努力することを期待しています。
物価目標と成長戦略についての
お尋ねがありました。
安倍内閣は、この五年間、アベノミクス成長戦略の実行に全力投球し、直近の有効求人倍率は一・五五倍と、四十三年
ぶりの高水準となっています。このように雇用情勢が
改善する中で、賃金については、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現しております。
こうした中で、物価目標については、先ほど答弁したとおり、
日本銀行の展望レポートにおいて二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されている旨示されており、引き続き成長戦略を断行することによって持続的な賃金上昇を実現することを通じ、物価上昇につながっていくものと
考えています。今後、二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間と位置付け、大胆な税制、
予算、規制改革、あらゆる施策を総動員いたします。中小・小
規模事業の皆さんも含め、生産性を大きく押し上げることで賃上げの勢いを更に力強いものとし、
デフレからの
脱却を目指してまいります。
日本銀行によるETFの買入れについて
お尋ねがありました。
日本銀行によるETFの買入れは、物価安定目標を実現するための金融
政策の一環として行われているものであり、特定の物価水準を念頭に置いているものではないと承知しております。
その上で、
日本銀行は、株式市場に与える影響も含め様々なリスク要因も十分に点検し、
経済、物価、金融情勢等を踏まえながら適切に金融
政策運営を行っていると理解しています。こうした理解に基づいて、ETFの買入れ
規模の増額につきましても、
日本銀行の目的達成上必要と判断し、
政府として認可してきたところであります。
国家戦略特区認定のプロセス並びに加計理事長との関係について
お尋ねがありました。
今回のプロセスは、規制改革項目の追加、
事業者の選定のいずれについても、御
指摘の四項目も当然踏まえた上で、民間有識者も加わった特区諮問
会議やワーキンググループが主導し、適正に行われてきました。その際、節目節目で、農水大臣、文科大臣も
会議に出席するなど、
関係大臣の間に異論がないことを確認し、合意の上で、関係法令に基づき
実施してきたものと理解しています。
このように、法令にのっとり一貫してオープンなプロセスで進められる中で、
関係大臣合意の下、四項目の充足は確認されており、その選定プロセスについては、民間有識者も一点の曇りもないと述べているものと承知しています。
加計理事長は、私が政治家になるずっと前の、学生時代の頃からの友人でありますが、私の地位を
利用して何かを成し遂げようとしたことは、この四十年間一度もありません。加計理事長からこの獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切なく、そうした関係だからこそ、長年友人であり続けることができたと
考えております。
そして、
さきの閉会中審査では、
関係大臣を始め誰一人として私から何らの指示も受けていないことが明らかになったところであり、そのことが今回の行政プロセスを評価するに当たり最も重要なポイントであると
考えております。
国家戦略特区
制度の透明性、公平性の担保について
お尋ねがありました。
国家戦略特区
制度は、民間有識者が加わった諮問
会議やワーキンググループで、議事もルールにのっとって全て公開するオープンな形で
議論を行うという透明性の高い仕組みが岩盤規制改革の大きな原動力となってまいりました。
今後、更なる透明性の向上を図るため、現在、特区諮問
会議において、議事公開ルールの明文化など透明性を高めるための改革
提案がなされ、民間有識者の主導で具体策の
検討が進んでいます。
その
成果を踏まえた
措置を速やかに講ずることにより、特区
制度の透明性を更に向上させつつ、同時に、岩盤規制改革のエンジンとして国家戦略特区の機能を
強化してまいります。
森友学園への国有地売却、国税庁長官の人事、公文書
管理の
在り方について
お尋ねがありました。
御
指摘のあった答弁については、当該国有地の売却価格は地下埋設物の撤去
費用を差し引いたものとなっているということを申し上げたものです。国有地の売却価格については、
会計検査院がきっちりと厳正に
調査するものと思っているということを申し上げてまいりました。その後、
政府から独立した機関である
会計検査院が第三者的立場で
検査を行い、今般、
国会に
報告が提出されました。その
報告については真摯に受け止める必要があると思っております。
先日の
参議院予算委員会において、財務省から、この
報告の
内容を重く受け止め、これをしっかり検証した上で、国有財産の
管理、処分の手続等について必要な見直しを行っていくことに尽きるという答弁がありました。
国有地は
国民共有の財産であり、その売却に当たっては、
国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。私としても、国有財産の売却について、業務の
在り方を見直すことが必要と
考えており、関係省庁において今後の
対応についてしっかりと
検討させてまいります。
国税庁長官の人事については、他の全ての人事と同じく、それぞれのポストに最もふさわしい人材を適材適所で配置するという
考え方に基づき行ったものです。(
発言する者あり)