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松沢成文君 希望の党の
松沢成文でございます。希望の党を
代表して
意見を申し述べます。
私
たち希望の党は、先般の総
選挙で生まれた新しい
政党であります。その結党の理念の一つに、九条を含めて
憲法改正については前向きに
議論をしていく、これを結党の理念にしております。
憲法というのは、不磨の大典ではありません。宗教の聖典とは違って、国家の
最高法規、基本法ではありますが、その大きな時代の変革の中で、もう古くなったところ、あ
るいは現実と乖離しているところ、これを
国会が
議論をして発議し、
国民の皆さんの賛同を得て変えていくことができる、そういう
最高法規だというまず基本認識を持っております。
加えて、今、
立憲主義という
言葉があちこちで聞かれるようになりましたが、確かに
立憲主義というのは、絶対権力、権力から
国民の人権を守るための権力制限規範というふうに言われておりますが、私
たちは、
立憲主義をこの権力の制限規範として捉えるだけではなくて、あと二つ。そのうちの一つは、権力の授権規範、つまり、
立法府、行
政府あ
るいは裁判所にこういう権限を与えて、その権限の下に統治をしていくという権力授権規範という見方もあると思います。さらに、加えて、目標規範であります。この国がどういう国にしていくべきかという
国民のコンセンサスを得た目標を
憲法にしっかり書き込んでいく。
憲法の前文にはそういう要素が強いと思いますが、このように、
立憲主義というのは、権力の制限規範、権力の授権規範、そして国家目標規範、この三つをしっかりと組み合わせて
議論をしていくべきものだというふうに考えております。
さて、
現行憲法の様々な問題があるわけでありますが、私はというか、私
たち希望の党は、現
憲法の最大の欠陥というのは、国家の防衛と国家
緊急事態に対するしっかりとした規定が欠如している、これは独立国家の
憲法としては私は大きな欠陥だというふうに思っております。
例えば、大災害やテロ、戦争のような国家
緊急事態に超法規的
措置をとらずに
憲法の規定の中でその危機を乗り越えていける、これを
憲法にしっかりと書き込んでいかなければ
憲法違反になってしまうわけです。例えば、国家
緊急事態を
内閣総理大臣が宣言をする。その国家
緊急事態の宣言の
期間の間には、やはりその危機を乗り越えるために権力を、
行政権を
内閣総理大臣に集中して対応していく。しかし、それが長引いてはいけませんので、その延長等に対しては
国会がしっかりと関与していく。このような条項が必要だと思います。
そして二つ目には、安全保障の問題であります。九条の問題ですけれども、当然、
我が国は、戦争の反省もあって、侵略戦争は絶対やらない、これをきちっと宣言していくべきだと思いますが、それと同時に、独立国家として自衛権はある、その自衛権を担保するために
自衛隊を置く、そして
自衛隊は実力
組織なので文民統治の下に置くと、これをしっかりと書き込むことこそが私は安全保障の
憲法体系としてふさわしいというふうに思っておりまして、我が党としては、単に
自衛隊の存在を九条に加えるだけではなくて、自衛権の
明記というのをしっかりと
議論をしていくべきだというふうに思っております。
ほかにも、希望の党として幾つか
憲法改正に、具体的な条項
改正を
議論しているところでありますが、そのうちの一つが
地方分権の
在り方であります。第八章であります。やはり
地方分権国家であるということをしっかりと説明していくためには、
地方分権の本旨という
言葉でその理念が説明されていません。この
地方分権の本旨というのは何なのかということ、それから、
地方の財政自主権、あ
るいは運営の自主権としての条例制定権の
強化ということもきちっと
地方自治の条項に書き加えていくべきだと考えております。
それともう一点は、
国民の
権利としての知る
権利です。
昨今の
行政の対応として情報隠蔽というのも問題になっておりますけれども、国家の情報は、
政治家や官僚のものではなく
国民のものであります。
国民の知る
権利をきちっと
憲法に保障すること、情報公開の徹底を図ること、しかし一人一人のプライバシーを守れるような、そういう知る
権利の条項を加えていくべきだというふうに考えております。
さて、
最後に、この
憲法審査会、この一年間
議論が行われなかったわけですが、以前ありました
憲法調査会というのは、
憲法の
調査をしていくというのが大きな目的でありました。しかし、
憲法審査会になったわけで、この
審査会の大きな目的の一つに、
調査、研究をした後に
憲法原案を作成して発議をするというのが大きな
役割になっております。
憲法の
議論がここまで進んできたからには、是非とも今後の
憲法審査会においては、各党が今の
憲法に対する
意見を述べるだけではなくて、どの条項を具体的に変えていく、それを
国民投票に付すべきか、具体的な
改正条項についてしっかりと
議論をし、コンセンサスを得ていく、そのような
審議を積み重ねていっていただきたいというふうに考えております。
以上でございます。