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国務大臣(塩崎恭久君) 我が国は、これまで
平成十五年から十四年間にわたりまして、健康増進法、これに基づいて施設の管理者に受動喫煙防止の努力義務というのを課してまいりました。要はその自主的な取組にお任せをしてきたわけでありますけれども、たばこを吸わない国民が今もう国民の八割を超えているにもかかわりませず、いまだ約四割もの方が飲食店などの公共の場で受動喫煙を受けている現状がございまして、また、受動喫煙を受けなければ亡くならずに済んだ方が少なくとも年間一万五千人はいるだろうと、こういう
推計もございます。
我が国は、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約、FCTCの締約国でございますけれども、WHOからは、屋内全面禁煙義務の
法律がないために、受動喫煙対策については世界最低レベルという分類になってございます。
WHOの調査によりますと、既に四十九か国が飲食店も含めた公共の場を屋内完全禁煙にしておりまして、中国北京以降のオリンピック開催国あるいは開催都市、すなわちカナダ、英国、ロシア、ブラジル、全ての飲食店をそれらの国では、公共の場で罰則付きの屋内禁煙ないしは敷地内禁煙というふうになっています。
今年一月の、今お触れがありました施政方針演説で安倍総理からも受動喫煙対策の徹底という明確な姿勢の表明がございました。こうした中で、三月一日に
厚生労働省が基本的な考え方の案というのを示したわけでありますけれども、それが今コメントあったとおりのことでございます。
その具体的な
内容としては、まず、プライベート空間は規制対象外ということであります。しかし、公共の場について、施設や場所の性質を十分に考慮をして限定した場所で禁煙としているわけでございまして、これによって我が国の位置付けは、WHOの四段階の分類は最低レベルから一ランクだけ、一ランクだけ上がると、こういうことでございます。
喫煙の自由は、当然公共の
福祉に反しない限りは認められるものであるわけでありますが、飲食店も含めた公共の場において、国民の八割を超える非喫煙者や、妊娠をされている方、子供、あるいはがん患者、ぜんそく患者、外国人、いわゆるサイレントマジョリティーの
方々の健康が喫煙者の喫煙の自由よりも後回しにされているという状態はやはり看過できないのではないかというふうに
思います。
現在、飲食店への規制について、大変御心配をいただいているわけでありますが、現状として、飲食店では、受動喫煙によって妊婦あるいは子供、患者等が
利用できる飲食店等の選択肢が狭まっていることに加えて、職場の歓送迎会とかあるいは取引先との接待とか、あるいは従業員の皆さん、アルバイトの大学生、高校生、こういった
方々が望まない受動喫煙、今、嫌々受動喫煙とでもいいましょうか、これが起きているということであります。
また、規制によって飲食店の経営あるいは喫煙動向などについて御心配の向きがございますが、飲食店の経営については、規制を導入した諸外国でいろいろな分析をしております。それを見ますと、ほとんどの調査では、レストラン、バー等の経営に影響はないというふうになっております。それから、喫煙率についても、米国、英国、韓国など、受動喫煙防止のための規制導入の前後で特に喫煙率に変化があったわけではございませんし、また、税収に対する影響もそれほど大きくならないのではないかと推察をされるわけであります。
二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピック、そしてその前年にはラグビーのワールドカップがあるわけでありまして、また、受動喫煙規制が当然と感じていらっしゃる外国の
方々がこれからどんどん増えてくるわけでありますので、来日が予想される中で、そういった
方々へのおもてなしの観点からも、御理解をいただきながら、受動喫煙の対策の徹底の法案を今国会の提出に向けて全力を挙げてまいりたいと思っております。