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田村智子君 私は、
日本共産党を代表して、ただいま
議題となりました
国家戦略特別区域法及び
構造改革特別区域法の一部を
改正する
法律案に対し、
反対の
討論を行います。
加計学園の
獣医学部新設をめぐり、
内閣府が
総理の御
意向、官邸の
最高レベルが言っていると、
今治市への
獣医学部新設を最短スケジュールで認めるよう
文科省に圧力を掛けたことを示す
文書が
文科省の
調査によって昨日、明らかにされました。菅官房長官が怪
文書扱いし、
調査を否定し、とうとう会期末ぎりぎりまで
調査が出てこなかったことは重大であり、政府に猛省を求めるものです。
これらの
文書には、
平成三十年四月開学を大前提にスケジュールを作ること、
今治市ありきでのスケジュール表が作られていたこと、
獣医学部新設の決定が確実に
今治市になるように
国家戦略特区諮問会議の決定
文書が
修正されたことなどが生々しく示されています。
文科省の
調査結果を受けて昨日夕方から急遽行われた
内閣府の
調査は、余りに不十分です。その上、本日の
内閣委員会、
予算委員会の
質疑で、
安倍総理、
山本大臣、
内閣府は、
文科省出向職員をまるで内通者であるかのように答弁し、何の根拠も示さずに
文科省の
文書の
内容を否定しました。それで
説明責任が果たされたとでも言うのでしょうか。既に
今治市への情報開示請求によって出てきた七千八百枚を超える資料と照らしても、
今治市そして
加計学園ありきの結論を持って
内閣府が動いていたことは明らかです。
安倍総理の腹心の友が
理事長を務める
加計学園への利益誘導に
国家戦略特区が
利用された、行政がゆがめられた、この疑惑はますます深まりました。本
法案の
審議終了をもって、また国会
閉会をもって幕引きを図ることは断じて許されません。
関係する
委員会での早期の
閉会中
審査、
文科省事務次官であった
前川喜平氏始め
関係者の証人喚問を行うよう強く求めるものです。
加計学園の問題を通じても、改めて、
国家戦略特区をてこに、結論ありきの
規制緩和が
安倍総理と
内閣府によって無理やりに進められていることが浮き彫りになっています。
本
法案による新たな
規制緩和の一つは小規模保育所の
対象年齢の
拡大ですが、これは、子供の成長、発達への
影響を全く考慮しない、やってはならない
規制緩和です。ゼロから二歳児、定員十九人以下の小規模保育所に三から五歳児まで受入れを認める、その
理由として待機児童の解消が挙げられていますが、待機児童が最も深刻なのは一歳前後の乳児であり、問題の解決にならないばかりか、育休明けの待機児童問題を更に深刻にしかねません。
東京二十三区を始め待機児童数の多い大都市部では小規模保育所の多くがビルやマンションの一室で、園庭もなく、今でもスペースが不十分であると指摘されています。そこに動きの活発な三歳以降の幼児を受け入れれば、すし詰め保育そのものです。この当然の懸念について、
規制緩和を決定した
国家戦略特区諮問会議は何一つ議論していません。
では、ワーキンググループではどういう議論をしたのか。
委員会審議が始まっても、議事要旨はできてもいませんでした。
委員会質疑でこの点を厳しく指摘すると、与党議員からも批判の声が上がり、先日やっと議事要旨が配付されましたが、目を疑う議論が行われていました。
厚労省が、待機児童対策として有効でないこと、他の受入先がない場合など今でも三歳児以降の入所はできること、何より保育の質の
確保から年齢
拡大は適当ではないことなど説明しても、それらをまともに受け止めようともせず、一人の面積は減るけれども小規模というのは妥協の産物、まずは実験的にできるのではないかと押し切る、この議論のどこが有識者だというのでしょうか。
乳幼児の一年は、人格形成にも大きな
影響を与えるかけがえのない時間です。実験的に、明らかに保育の質を引き下げる
規制緩和は絶対に許されません。
農業支援の外国人受入れ
事業は、入国管理の
規制緩和です。政府は、国際テロ
犯罪への対策を強調し、無理やりに
共謀罪法案をテロ対策だと強弁し、本
会議での強行
採決を図りました。その一方で、テロリストの紛れ込みの水際作戦にとって極めて重要な入国管理を
国家戦略特区を使って
規制緩和するという。法務省はどのような懸念を示したのか、それがどうクリアされたのか、調べようと思っても、ワーキンググループの議事は全て非公開、誰が議論に参加したのかも、配付資料も、もちろん議事要旨も一切見ることができない、こんなことが許されるでしょうか。
この
事業は、特定機関に認定された派遣会社等が外国人労働者を雇用し、
農業経営体に派遣するものですが、
派遣元との雇用契約についての定めは
法案にはありません。指針に常用雇用と定めるとの説明ですが、それは雇用期間三十一日以上ならばよいということです。例えば、二か月の雇用契約で反復更新して派遣先に送る、しかし、農閑期や自然災害などで派遣先を
確保できなければ、契約終了をもって派遣切りし、母国に帰国させることも可能なのです。まさに国境を越えた季節労働、
農業における雇用の
調整弁として外国人労働者を受け入れるものではありませんか。
これまでも派遣労働は、低賃金かつ不安定な雇用の温床、そして様々な違法労働の温床となってきました。また、
農業分野では外国人実習生の深刻な人権侵害の事例が多数生じています。
関係自治体、
関係四府省の出先機関でつくる適正受入れ管理協議会が
事業の監査や外国人労働者の相談に乗るといいますが、法令に基づく処分はその法令を所管する省庁にしかできません。四府省の職員がそろって監査に行くわけでもない、それでどこまで監督指導ができるのか、全く不明瞭です。
そもそも、我が国の外国人労働者受入れは、専門的な職業を原則とし、いわゆる単純労働での受入れは行っていません。これは、外国人労働者を低賃金労働の受皿にしないための
規制です。それを根底から掘り崩すのが本
法案の
規制緩和です。
既に、
特区を突破口に農地の株式会社取得の
規制緩和が行われ、
オリックスが
事業参入していますが、その役員はほかならぬ
特区諮問会議のメンバー、
竹中平蔵氏です。この春から
事業がスタートした家事労働の外国人労働者受入れも、
竹中氏が会長を務めるパソナが
事業参加しています。
農業への外国人労働者派遣にも当然参入することが考えられます。利益相反を避けるために、
利害関係者を
諮問会議の
審議や議決に参加させないとした運営規則にも違反しているではありませんか。これが
日本の
農業振興を真剣に考えた
規制緩和なのでしょうか。
日本の
農業は、家族的経営によって質の高い生産活動が行われてきました。
農業を基幹産業と位置付け、担い手の所得を保障して育てることこそが喫緊の
課題です。営利企業、派遣会社のビジネスチャンスのために、
農業の
在り方も外国人労働者の受入れの原則もゆがめることは断じて認められません。
最後に、
共謀罪法案をめぐる余りにも乱暴な国会運営、
安倍総理の進退に関わる疑惑に蓋をする質問封じに改めて強く抗議いたします。国会は、たとえ与党であっても、
内閣をチェックする役割を放棄してはならないはずです。数の多数をもって
委員会の
法案審査権限を奪うなど、国会の自殺行為にほかなりません。
憲法をないがしろにし、暴走を続ける安倍
内閣、それをどこまでも支えかばう政党に、
国民は決して屈することなく、声を上げ行動するでしょう。市民と立憲野党の共同を広げ、この国会を必ず変える、その決意を表明し、
討論を終わります。(
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