○川田龍平君
民進党・新緑風会の川田龍平です。
会派を代表し、
精神保健及び
精神障害者福祉に関する
法律の一部を
改正する
法律案に関し、反対の立場から討論を行います。
討論に先立ち、眞子様、
婚約おめでとうございます。
おめでたいニュースに隠れて、
森友学園問題で、三メートル以下にごみがないことが明らかになっただけでなく、
加計学園問題でも、総理のそんたくではなく総理の御意向とする文書が出てきました。朴槿恵大統領と同じ、お友達への利益供与であり、安倍総理は総理だけでなく議員辞職すべきです。
四月七日の本
会議において、私は本
法案について、相模原市の事件の原因を精神障害に転嫁し、
精神保健福祉法に犯罪
対策としての措置入院
制度見直しを入れるのは、二つの
理由でおかしいと問題提起いたしました。一つは、
精神保健福祉法という
法律自体の
目的が精神
障害者の福祉の増進であること、よって犯罪
対策をここに入れるべきではないこと。二つ目は、やまゆり園事件と
精神保健福祉法を結び付けることで精神障害を持つ当事者やその
家族の人権を守るという本法の精神から逸脱した
内容になっていることです。
あれから既に一か月以上たちましたが、この間の厚生労働委員会での
法案審査で、
政府は、問題を払拭するどころか、肝腎の
法案の中身は変えずに関連資料の中の一部だけ修正して終わらせるなど、前代未聞のやり方をしてきました。こうした姿勢は、当事者の人権のみならず、社会における法の在り方、そして
国会における適切な立法プロセスという意味でも大きく矛盾しています。
森友学園問題における財務省の隠蔽体質、理財局長
答弁の不誠実さ、さらには共謀罪
審議における法務
大臣と刑事局長の二転三転する
答弁、本
法案の
審議における
厚生労働省の
国会対応は、それと同じくらいひどいものだったと言わざるを得ません。
また、この
法案の
内容にも見過ごせない五つの問題点があります。
まず第一に、この
内容は当事者とその
家族の意思を無視しています。例えば、措置入院者の退院後
支援計画の作成を議論する精神
障害者支援地域協議会の個別ケース
検討会議になぜ当事者である患者本人、
家族の参加が必須とされていないのでしょうか。
障害者たちは、この国でずっと長い間声を上げてきました。歴史を振り返れば、彼らの訴えてきたことが何だったか、
政府は、特に厚労省の皆さんは誰よりもよく御存じのはずです。その最大のメッセージが何だかもう忘れてしまったのでしょうか。それは、私たち抜きで私たちのことを決めないでほしいということです。
障害者の権利と尊厳を守ることは国連の
障害者権利
条約にも書いてあります。
しかしながら、
厚生労働省の概要資料には、最初、本人、
家族等の参加は必要に応じてとありました。この
部分を
指摘されると、
大臣は急に、本人や
家族が参加するのは当然だなどと
答弁し、概要資料からその必要に応じてという記載だけを削除し、肝腎の
法案は全く変えないという支離滅裂な
対応をしたのです。
さらに、委員会において、相模原市
障害者支援施設における事件検証及び再発
防止策
検討チームやこれからの
精神保健医療福祉のあり方に関する
検討会においても当事者からのヒアリングがろくにされていないことも明らかになっています。
検討会の構成員三十名を見ても、当事者の方は二名しか入っていません。私も立場上、当事者の
方々、関係団体から常時たくさんの
意見をいただきます。しかしながら、本来、精神
障害者の人たちの生の声を誰よりも一番聞かなければならないのは、国の
仕組みをつくり、彼らの未来を左右する立場にいる
厚生労働省だということを
認識しているのでしょうか。
私自身、当事者として経験してきたことですが、
法律は一度決まったら社会の
仕組みが変わり、本人やその
家族はその中で暮らしや人間関係や人生がずっと左右されてしまいます。だから、立法府にいる私たちには重い責任があり、当事者の声に真剣に耳を傾け、できる限り誠実な姿勢で進めていかなければならない、そういう立場にいるのではないでしょうか。
第二の問題は、
法案に書かれた
規定の多くが非常に不明瞭なことです。例えば、退院という言葉一つ取っても、患者本人が住む
地域に戻ることなのか、それとも措置入院が解除されて
医療保護入院や任意入院に
移行することなのか、これだけではどちらか分かりません。精神
障害者支援地域協議会というのも、代表者
会議のことなのか個別ケース
検討会議なのかが分からない上に、どんな立場の委員で構成されるのかも分かりません。
このように、この
法案からは法の根幹に関わる箇所や精神
障害者の人権に関わる多くの重要項目が抜け落ちているにもかかわらず、
政府は、疑問を払拭するどころか、それらは秋までに出すガイドラインで
規定するなどと言って先送りしようとしています。これは、立法府として極めて不誠実だと言わざるを得ません。
第三の問題は、精神
障害者支援地域協議会に警察が参加する
目的が不明確であり、個別ケース
情報が警察に伝わる
可能性があるということです。厚労省は、警察が参加するのは代表者
会議のみで、個別ケース
検討会議には原則参加しないとしながら、その後にこう続けました。しかし、例えば自殺リスクや応急救護を要する場合などには個別ケースに警察が参加する場合もある。しかし、実際に運用を始めると、果たしてこのようなケースに限定されるのかは疑わしいです。
厚労省も
認識されているように、現在でも、
精神保健福祉法第二十三条において、自傷他害のおそれがある方を警察が通報する件数には各
自治体で大きくばらつきがあり、その原因について明確ではなく、今後、
実態調査を行うと
答弁されました。つまり、個別ケース
検討会議についても、各
地域ごと、個別のケースごとに警察が犯罪
防止の
観点から警察が介入すべきと判断する
自治体が幾らでも
拡大する危険があるのではないでしょうか。
参考人質疑でも、参考人から、グレーゾーン事例の
対応である確固たる信念を持って犯罪を企画する者への
対応についても、頭の中で考えているだけの
状態であり、共謀罪以上に本人の内心の問題に介入することを認め、刑事司法の中で重大な問題を引き起こす
懸念が示されました。
自傷のおそれがあって措置入院となり、その後措置解除となった方が、その後も警察の監視下に置かれるということがどれだけの心理的
負担を与えるか、容易に想像ができるのではないでしょうか。
第四の問題は、本
法案が、
障害者権利
条約第十四条が
規定する障害を
理由とした人身の自由の剥奪の禁止に違反する非自発的入院について、何の
見直しも行われていないことです。
二〇一三年に
精神保健福祉法が
改正されたときも私はこの問題を提起し、
医療保護入院者退院後の
地域生活への
移行促進策は
課題として残されていたはずです。なのに、
地域移行を促進するどころか、本
法案を読むと、
家族等の意思表示がなくても、
市町村の長の同意さえあれば
医療保護入院を可能にすると書かれていたり、措置入院者だけ退院後
支援計画を作成するなど、明らかに矛盾しています。
そして、第五の問題は、これも二〇一三年の
改正時にも
指摘したことですが、非自発的入院である以上不可欠であるはずの本人の意思を尊重するための権利擁護の
制度が再び見送られたことです。
実は、本
法案には一つ、私が非常に高く
評価する箇所があります。国及び地方公共団体の義務として、精神
障害者の人権尊重に十分配慮しなければならないことという一文です。これは、
冒頭で申し上げた国連の
障害者権利
条約の精神に沿う、非常に重要なこの
法律の核になる絶対に曲げてはならない
部分だからです。
しかしながら、今申し上げましたように、本
法案の
提出に至る経緯、本
法案の
内容、そしてこれまでの
審議における
政府の不誠実な姿勢、どれを見ても、この精神
障害者の人権を尊重するという
法案の精神から大きく乖離していると言わざるを得ません。
国民は、言葉だけでは信頼してくれません。本当にそう思っているのなら、
政府はまず言葉と行動を一致させてください。したがって、
精神保健福祉法本来の精神に矛盾するその
内容もさることながら、
法案審議過程そのものに問題がある本
法案は、立法府の一員として認めるわけにはいきません。断固として廃案にするべきであると申し上げ、私の反対討論といたします。
ありがとうございました。(
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